JPS6230086B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は溶融樹脂を射出充填して成形した成
形品のゲートを、ゲート部の移動により切断する
ゲート切断成形用金型に関するものである。

成形品のゲートを金型の部分的移動をもつて切
断する技術は、特公昭51−28663号公報や特公昭
53−782号公報などに開示されている。しかしな
がら前者はばね部材により弾圧したキヤビテイブ
ロツクを移動して切断を行うため、射出圧がばね
圧より高いとキヤビテイが開く欠点があり、また
後者は圧縮成形を主とする目的から、金型の閉鎖
位置変更を必要とし、圧縮工程に入る直前にゲー
ト部の移動によりゲートの切断を行うため、圧縮
工程を不要とする成形や射出装置を固定して常時
ノズルタツチさせたまま成形する場合には利用し
難い欠点があつた。また上記従来技術ではキヤビ
テイが変化し易く、または変化するため、いずれ
も射出充填時のキヤビテイ寸法が不安定であり、
高精度が要求される精密部品の成形には適さない
欠点もあつた。

この発明は上記従来のゲート切断成形における
問題点を解決するために考えられたものであつ
て、その目的は、通常の射出成形と全く同様に射
出充填を行つた後においても、ゲートの切断が容
易にでき、また切断に要する押圧力も僅かでよ
く、ゲート切断に際してキヤビテイに何等の悪影
響も与えず、精密射出成形にも応用することがで
きる新たな構成のゲート切断成形用の金型を提供
することにある。

上記目的によるこの発明は、キヤビテイを形成
する一対のコア型と、パーテング面にゲート部を
有するコア型側部の一対の可動型とを、可動盤側
と固定盤側の型保持部材にそれぞれ取付けて対設
し、固定盤側のコア型と可動盤側の可動型とを型
保持部材に固定する一方、可動盤側のコア型と固
定盤側の可動型とを、各型保持部材内の油圧シリ
ンダのプランジヤに連結して、相対的に移動自在
に型保持部材に設けてなることを要旨とするもの
である。

更にこの発明を図示の例により詳細に説明す
る。

図中１，２はキヤビテイを形成する一対のコア
型、３，４はコア型側部の一対の可動型でそのパ
ーテング面にゲート部５が設けてある。

上記コア型１は、可動盤６に固着した型保持部
材７の内部にある押圧板８と連結し、また一方の
可動型３は、型保持部材７の前面に固定してあ
る。

上記押圧板８は型保持部材７の内部に設けた油
圧シリンダ９のプランジヤ１０と連結し、その油
圧シリンダ９によつて上記コア型１を押圧するこ
とができるようになつている。

他方のコア型２は、固定盤１１に固着した型保
持部材１２に取付けられ、また他方の可動型４
は、型保持部材１２の内部に設けた油圧シリンダ
１３のプランジヤ１４に連結して、型保持部材１
２の前面に位置させてある。更にまた型保持部材
１２には、上記ゲート部５と連通するスプルブツ
シユ１５が貫設してあり、スプルブツシユ１５に
ノズルタツチした射出ノズル１６からの溶融した
樹脂が、キヤビテイ側面のゲート部５からキヤビ
テイ内に充填されて、成形品１７が成形されるよ
うになつている。

上記コア型１，２及び可動型３，４の開閉及び
強力型締は、通常構造の型締機構と同様に、可動
盤６に連結した型締ラム１８をもつて行う。なお
図示の例は可動型３，４をもつてキヤビテイ側部
を形成しているが、ゲート部側を除いた他の部分
をコア型相互に嵌合をもつて形成してもよい。

次に上記金型におけるゲート切断動作に付いて
説明する。

まず第１図に示すように、型保持部材７，１２
の内部にある油圧シリンダ９，１３のプランジヤ
１０，１４は後退させて置き、可動盤６を移動し
て型閉じを行う。更に型締ラム１８の出力を上げ
ると、型保持部材７及び可動型３が可動型４及び
型保持部材１２に押圧されて強力型締状態とな
る。

次に射出を行つてキヤビテイに溶融樹脂が充填
されたならば、ゲート部５の樹脂が充分に硬化す
る前に、上記油圧シリンダ９，１３を加圧する。
この加圧に連続して上記型締ラム１８を油圧シリ
ンダ１３のストロークだけ後退させる。

この型締ラム１８の後退に伴い、両方の油圧シ
リンダ９，１３のプランジヤ１０，１４が前進
し、第２図に示すように、プランジヤ１０は押圧
板８を介してコア型１をコア型２の方に押圧し、
またプランジヤ１４は可動型３，４はコア型１の
方へ押圧して、上記ストロークに等しい寸法だけ
可動型３，４を移動させる。この結果、成形品１
７は加圧された状態で、ゲート部５はキヤビテイ
からずれてそこに切断が生ずる。

このゲートの切断に当つては、各油圧シリンダ
の出力を下記のように選択または調整するとよ
い。即ち、切断時の出力を、油圧シリンダ１３
「FA」、油圧シリンダ９「FB」、ラム出力
「FC′」とし、ゲート切断力を「FG」とすると、 （FA−FG）＋FB＞FC′ FA−FG＜FC′、FB＜FC′ なる関係であり、上記の関係を保つ限り、射出成
形後に型締ラム１８を後退しても、キヤビテイが
変化することなくゲート切断と成形品の加圧の両
方を行うことができる。

上記のごとくしてゲート切断が完了したなら
ば、成形品１７を加圧したまま冷却を行い、完全
に硬化させたのち型締ラム１８を後退移動させて
型開きを行う。この型開きは一対の可動型３，４
の間にて生じ、成形品１７はキヤビテイから離型
される。

また成形品１７の肉厚や材料樹脂によつて、ゲ
ート切断後の圧縮力を高め、冷却を行いたい場合
には、ゲート切断後にラム出力及び油圧シリンダ
９の出力を増加すればよく、また冷却行程に応じ
て押圧力を調整したい場合には、油圧シリンダ９
の出力を調整すればよい。

この発明は上述のように、可動盤６側と固定盤
１１側の型保持部材７，１２にそれぞれ取付けて
対設した固定盤１１側のコア型２と、可動盤６側
の可動型３とを、型保持部材７，１２に固定し、
また可動盤６側のコア型１と固定盤１１側の可動
型４とを、各型保持部材７，１２の内部の油圧シ
リンダ９，１３のプランジヤ１０，１４に連結し
て相対的に移動自在に型保持部材７，１２に設
け、型締状態下にて両油圧シリンダ９，１３によ
りコア型１と可動型４とを相反する方向に加圧し
たのち、可動盤６を後退移動するだけで、可動型
３，４と共にゲート部５が移動してゲート切断が
生じるように金型を構成したので、可動盤の僅か
な後退移動量をもつてゲート切断を確実になすこ
とができる。

しかもゲート切断に際して、一対のコア型の間
に形成されたキヤビテイには何の変化も生じない
ので、射出充填された樹脂が充分に硬化する以前
にゲート切断をでき、切断抵抗も小さくなること
から、切断に多大な押圧力を要せず、ゲート切断
面積を大きく形成しても切断を円滑に行うことが
できるので、ゲート切断面積の拡大により、狭い
ゲート部に生じがちな異常発熱をも防止できる。
またキヤビテイへの溶融樹脂の充填状態も良好と
なるとともに、ゲート切断後においても一対のコ
ア型の位置は不変でキヤビテイは強力型締下にあ
るため、ゲート切断を先行しても充分な成形圧力
のもとに樹脂の成形がなされ、精度の高い成形品
が得られる。

また可動型側のコア型をもつて成形品を加圧
し、キヤビテイ面に施した繊細な模様等を成形品
表面に正確に転写することもできるなどの利点を
も有し、構造も両型保持部材に油圧シリンダを内
設してそのプランジヤをコア型と可動型に連結す
るだけでよいから簡単であり、成形に際しても複
雑な操作を要せぬなどの特長を有する。切断抵抗
が小さく、僅かな可動型の移動によつてゲート切
断を確実になすことができる。また成形品は加圧
されてもキヤビテイ変化はないから精度の高い成
形品が得られ、また切断後も加圧を維持できるの
で、キヤビテイ面に施した繊細な模様等を成形品
表面に正確に転写することもできる。更にまたゲ
ート面積を充分にとることができるので、成形圧
力をも充分に伝達でき、成形状態が良好な精密製
品を量産することができるなどの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係るゲート切断成形用金型を
例示するもので、第１図は射出成形時の半部横断
平面図、第２図はゲート切断時の半部横断平面
図、第３図は金型の正面図である。 １，２……コア型、３，４……可動型、５……
ゲート部、９，１３……油圧シリンダ、１０，１
４……プランジヤ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キヤビテイを形成する一対のコア型と、パー
   テング面にゲート部を有するコア型側部の一対の
   可動型とを、可動盤側と固定盤側の型保持部材に
   それぞれ取付けて付設し、固定盤側のコア型と可
   動盤側の可動型とを型保持部材に固定する一方、
   可動盤側のコア型と固定盤側の可動型とを、各型
   保持部材内の油圧シリンダのプランジヤに連結し
   て相対的に移動自在に型保持部材に設けてなるゲ
   ートカツト切断成形用金型。