JPH0667582B2 - 射出成形方法および射出成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は射出成形方法および射出成形装置に関し、特に
射出樹脂圧による金型の変形を抑制するようにした方法
および装置に関する。

（従来の技術） 従来、射出成形装置においては、キャビティ内の樹脂圧
を所定圧に保つとともに金型の変形を抑制すべく油圧ラ
ムやトグルを用いて型締めを行う型締機構が設けられて
おり、該型締機構からの型締め力によって固定側および
可動側のプラテン間で金型の型締めが行なわれるように
なっている。そして、この種の射出成形装置を用いて光
学素子等のように高精度の成形を行なう場合には、ゲー
トシール成形等のように樹脂充填時にキャビティ内が高
温、高圧とされることから、金型の変形による寸法、面
精度の低下やバリの発生を防止するために射出成形装置
の成形金型を高剛性のものにしている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、このような従来の射出成形装置にあって
は、キャビティ内の高樹脂圧が成形金型に多方向に作用
するのに対し、所定の金型剛性と型閉じ方向の型締め力
によってキャビティ内の圧力を所定圧に保つ構成であっ
たため、特定材料を用いたり大型化したりして高精度成
形を行う成形金型を全体的に非常に剛性の高いものにす
る必要があり、金型製作コストが高くなることによって
高精度の成形品を低コストで射出成形することができな
っかった。

（発明の目的） そこで本発明は、型締め方向以外の成形金型の変形を抑
制するよう成形金型に押圧力を加えることにより、金型
剛性をさほど高剛性にすることなく樹脂圧力による金型
の変形を効果的に抑制し、高精度の成形品を低コストで
射出成形できるようにすることを目的としている。

（発明の構成） 本発明は、上記目的達成のため、請求項１記載の発明に
係る射出成形方法は、一対の金型を互いに当接させて型
締めし該一対の金型間にキャビティを画成した後、該キ
ャビィ内に樹脂を射出、充填する射出成形方法であっ
て、前記一対の金型の型開閉動作に伴って作動して型締
め時に該一対の金型を型締め方向と直交する方向の押圧
力で押圧する押圧機構を用い、前記一対の金型の型締め
と同時に該一対の金型を型締め方向と直交する方向から
押圧することを特徴とするものである。

そして、請求項２記載の発明に係る射出成形装置は、型
開閉方向に相対移動して型締め時に所定形状のキャビテ
ィを画成する一対の金型と、該一対の金型を互いに離隔
させて型開きし、また互いに当接させて型締めする型締
め手段と、を備えた射出成形装置であって、前記一対の
金型のうち少なくとも一方を前記型開閉方向と直交する
方向に押圧する押圧機構を設けたことを特徴とするもの
である。

また、請求項３記載の発明に係る射出成形装置は、型開
閉方向に相対移動して型締め時に所定形状のキャビティ
を画成する一対の金型と、該一対の金型のうち一方の金
型を支持する第１のプラテンと、前記一対の金型のうち
他方の金型を支持する第２のプラテンと、を備えた射出
成形装置であって、前記第１および第２のプラテンの離
隔、接近に伴って作動し、前記一対の金型の型締め時に
両金型のうち少なくとも一方を前記型開閉方向と直交す
る方向に押圧する押圧機構を設けたことを特徴とするも
のである。

さらに、請求項４記載の発明に係る射出成形装置は、請
求項３記載の発明に係る射出成形装置の前記押圧機構
が、前記第１および第２のプラテンの間に介装され、前
記一対の金型を挟んで対抗する一対のリンク機構からな
ることを特徴とするものである。

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて具体的に説明
する。

第１、２図は本発明に係る射出成形装置の一実施例を示
す図であり、本発明をレンズ成形用の射出成形装置に適
用した例を示している。

まず、構成を説明する。第１、２図において、１は固定
側金型、２は固定側金型１に対向配置された金型駒付き
の可動側金型であり、これら一対の金型１、２のうち少
なくとも一方、例えば可動側金型２にはパーティング面
Ａ上に開口する所定形状の凹部2aが形成されている。固
定側金型１および可動側金型２は型開閉方向（第１図の
矢印Ｘ方向）に相対移動して後述する型締め時に前記凹
部2aに対応する所定形状のキャビティＣを画成すること
ができ、公知の射出ノズル３から該キャビティＣに図示
しない溶融樹脂が射出充填されるようになっている。ま
た、固定側金型１は固定側プラテン４（第１のプラテ
ン）に支持されており、可動側金型２は可動側プラテン
５（第２のプラテン）に支持されている。可動側プラテ
ン５は固定側プラテン４の隅部に連結された４本のタイ
バー６によって固定側プラテン４に離隔、接近可能に案
内されており、この可動側プラテン５はタイバー６に連
結する図示しない型締め手段によって駆動され、固定側
プラテン４に対向して離隔、接近することにより固定側
金型１および可動側金型２を型開き、型閉じおよび型締
めするようになっている。なお、型締め手段は、例えば
油圧シリンダーでトグルを動かすトグル式型締機構であ
り、型締力は主にタイバー６の伸びにより発生する。

一方、固定側プラテン４および可動側プラテン５の間に
は前後一対の型締めリンク機構11（下側のみ図示してい
る）が介装されており、一対の型締めリンク機構11は固
定側金型１および可動側金型２を間に挟んで対向してい
る。型締めリンク機構11は、例えば固定側プラテン４お
よび可動側プラテン５に着脱可能に保持されて両プラテ
ン４、５に当接する当接部材12、13と、当接部材12、13
に各一端で揺動自在に連結されるとともに、他端部で互
に揺動自在に結合した揺動部材14、15とを有しており、
固定側プラテン４および可動側プラテン５の接近時に揺
動部材14、15を揺動させて揺動部材14、15の他端部を可
動側金型２の側面2bに衝合させるようになっている。ま
た、保持部材12は同軸にねじ結合した複数の部材12a、1
2bからなるストローク調整台となっており、保持部材12
を伸張又は収縮させて揺動部材14、15の揺動角（挾角
θ）を変化させ、前後一対の型締めリンク機構11により
可動側金型２をパーティング面Ａと平行な方向に適当な
締付け力で挾圧できるようにしている。すなわち、一対
の型締めリンク機構11は固定側プラテン４および可動側
プラテン５の離隔、接近に伴って作動し、固定側金型１
および可動側金型２の型締め時に固定側金型１および可
動側金型２のうち少なくとも一方（本実施例においては
可動側金型２のみ）を前記型開閉方向と直交する方向に
押圧する押圧機構となっている。なお、型締めリンク機
構11は前記キャビティ形状等に対応して上下に配置した
り複数対設けたりしてもよく、固定側金型１又は可動側
金型２に保持されるようにして固定側プラテン４又は可
動側プラテン５に保持されないようにしてもよい。ま
た、保持部材12、13をスリーブ状に形成してタイバー６
に外装しても、両プラテン４、５から保持部材12、13を
切り離して型開き量を拡大できる。さらに、一対の型締
めリンク機構11の保持部材12同士を連結する支持枠およ
び保持部材13同士を連結する支持枠を設け、両プラテン
４、５に型締め方向以外の力を加えないようにすること
もできる。

次に、上記の構成を用いて実施する本発明の射出成形方
法の一実施例を、作用と共に説明する。

予め保持部材12によって型締めリンク機構11のストロー
ク調整がなされた後、型締手段の作動により可動側プラ
テン５が固定側プラテン４に接近するよう移動され、固
定側金型１および可動側金型２が型閉じされると、一対
の型締めリンク機構11の当接部材12、13が互に接近し、
揺動部材14、15を両者の挾角θを減少する方向に揺動さ
せる。このとき、型締めリンク機構11は揺動部材14、15
の他端部を可動側金型２に衝合する。

次いで、型締手段によってタイバー６に張力を発生させ
ながら可動側プラテン５が加圧され、固定側金型１およ
び可動側金型２が型締めされると、固定側金型１および
可動側金型２によってキャビティが画成される。このと
き、この型締めに連動して当接部材12、13が揺動部材1
4、15の挟角θをさらに減少させるよう近接され、一対
の型締めリンク機構11のそれぞれが型締め方向と直交す
る方向の押圧力（この場合、挟圧力となる）で可動側金
型２を押圧する。

この状態において、射出ノズル３からキャビティＣ内に
溶融樹脂が射出、充填される。このとき、第２図に示す
ようにキャビティＣには樹脂圧が作用し、可動側金型２
は第２図に破線で示す方向に変形しようとするが、一対
の型締めリンク機構11によって挾圧される方向において
該変形が抑制される。したがって、キャビティＣの形状
および成形部品の重要管理寸法等を考慮して構造の簡単
な型締めリンク機構11を適宜位置に設けることにより、
高樹脂圧によって固定側金型１および可動側金型２が変
形するのを効果的に抑制することができ、固定側金型１
および可動側金型２を必要以上に高剛性にする必要がな
いから、高精度の成形品を射出成形する成形金型１、２
を低コストで製作できる。さらに、型締めリンク機構11
は可動側プラテン５の固定側プラテン４に接近する移動
に伴って揺動部材14、15の挟角θが減少されるので、型
締めと同時に可動側金型２を押圧することができ、固定
側金型１および可動側金型２の変形を抑制することがで
きる。このため、高精度の成形品を低コストで射出成形
できるようになる。

なお、本実施例においては押圧機構としてリンク機構を
用いたが、本発明はこれに限らず、型開閉に連動して作
動する油圧式の押圧機構や電動モータおよびねじ等を利
用した電動式の押圧機構とすることもできる。

（効果） 請求項１記載の発明によれば、一対の金型の開閉動作に
伴って作動する押圧機構によりその一対の金型を型締め
方向と直交する方向の押圧力で押圧するので、一対の金
型をその型締めと同時に型締め方向と直交する方向の押
圧力で押圧することができ、その押圧力によって金型の
変形を抑制することができる。

そして、請求項２記載の発明によれば、一対の金型をそ
の型開閉方向と直交する方向の押圧力で押圧する押圧機
構を設けているので、この押圧機構の押圧力によって金
型の変形を抑制することができ、金型剛性をさほど高め
ることなく樹脂圧による金型の変形を効果的に抑制し、
高精度な成形品を低コストで射出成形することができ
る。

また、請求項３記載の発明によれば、第１および第２の
プラテンの離隔、接近に伴って作動し一対の金型のうち
少なくとも一方をその型開閉方向と直交する方向の押圧
力で押圧する押圧機構を設けているので、金型の型締め
する開閉動作と同時にその押圧機構の押圧力によって金
型の変形を抑制することができ、金型剛性をさほど高め
ることなく樹脂圧による金型の変形を効果的に抑制し、
高精度な成形品を低コストで射出成形することができ
る。

さらに、請求項４記載の発明のように、請求項３記載の
前記押圧機構を第１および第２のプラテンに連動可能な
簡単なリンク機構により構成すれば、さらにコスト低減
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１、２図は本発明に係る射出成形装置の一実施例を示
す図であり、第１図はその射出成形装置の要部平面図、
第２図はその作用を説明する固定側金型および可動側金
型の概略断面図である。 １……固定側金型（第１のプラテン）、 ２……可動側金型（第２のプラテン）、 ４……固定側プラテン、 ５……可動側プラテン、 11……型締めリンク機構（押圧機構）、 Ｃ……キャビティ。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の金型を互いに当接させて型締めし該
   一対の金型間にキャビティを画成した後、該キャビティ
   内に樹脂を射出、充填する射出成形方法であって、前記
   一対の金型の型開閉動作に伴って作動して型締め時に該
   一対の金型を型締め方向と直交する方向の押圧力で押圧
   する押圧機構を用い、前記一対の金型の型締めと同時に
   該一対の金型を型締め方向と直交する方向から押圧する
   ことを特徴とする射出成形方法。
2. 【請求項２】型開閉方向に相対移動して型締め時に所定
   形状のキャビティを画成する一対の金型と、該一対の金
   型を互いに離隔させて型開きし、また互いに当接させて
   型締めする型締め手段と、を備えた射出成形装置であっ
   て、前記一対の金型のうち少なくとも一方を前記型開閉
   方向と直交する方向に押圧する押圧機構を設けたことを
   特徴とする射出成形装置。
3. 【請求項３】型開閉方向に相対移動して型締め時に所定
   形状のキャビティを画成する一対の金型と、該一対の金
   型のうち一方の金型を支持する第１のプラテンと、前記
   一対の金型のうち他方の金型を支持する第２のプラテン
   と、を備えた射出成形装置であって、前記第１および第
   ２のプラテンの離隔、接近に伴って作動し、前記一対の
   金型の型締め時に両金型のうち少なくとも一方を前記型
   開閉方向と直交する方向に押圧する押圧機構を設けたこ
   とを特徴とする射出成形装置。
4. 【請求項４】前記押圧機構が、前記第１および第２のプ
   ラテンの間に介装され、前記一対の金型を挟んで対向す
   る一対のリンク機構からなることを特徴とする請求項３
   記載の射出成形装置。