JPS6218697B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、曲線部分を有するカルバート等のコ
ンクリート構造物の施工に適した移動型枠装置に
関するものである。

道路、鉄道、水路等におけるカルバートや高架
構造物等の施工には、近年大型の移動型枠装置が
使用され、施工が高能率に行なえるようになつて
きた。

ところで、カルバート等の構造物は、直線部分
ばかりでなく、施工路線の曲りに応じて種々の曲
線部分が生じてくるが、大型の移動型枠装置は一
般に全長を長く形成しているため、曲線部分の施
工ではそれに適合することができず、そのため特
別に短尺の装置を作つてこれを数多く接続して使
用したり、その曲線部分だけに適合する専用の型
枠装置を作つて使用したり、或は従来一般に行な
われている手組みによる型枠を使用したりしてい
る。

特に、道路等においては、第１図イのように路
線が曲りの中央部分で、巾が拡大される所謂ラツ
パ状曲線となつたり、或は同図ロのように路線の
巾が漸減、漸増するような巾違い曲線となつたり
することが多く、このような個所でのカルバート
の施工においては、従来の手組みによる非能率な
型枠を使用しなければならない状態であつた。

また、直線部分においても、第１図ハのように
路線の巾が漸減、漸増する直線ラツパ状となると
ころもあり、この場合でも従来の移動型枠装置で
は適合できず、手組みによる型枠が用いられてい
る状況である。

本発明は、前述のような型枠施工の欠点を改善
し、種々な曲線に適合できるように、彎曲及び巾
方向の伸縮調節を自在とした型枠装置と走行台車
とを組合せることにより、カルバート等の直線部
分から曲線部分まで巾方向の変化を含めて適合す
ることのできる汎用の移動内型装置を提供せんと
するものであり、これによつて、カルバート等の
施工能率を大巾に向上させると共に、施工の労力
や経費の低減を図らんとするものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第２図は本発明に係る移動内型枠装置を示した
正面図であり、第３図はその一部切載平面図であ
つて、図中Ａは走行台車で、前後に所要の間隔を
おいて配置した主枠体１，１を連結桁２，２によ
つて一体的に結合して形成してあると共に、各主
枠体１，１の両側端部には、施工場所の床面２６
に施設されたレール３に沿つて走行できる車輪４
及び昇降装置５を設けた走行脚車６，６が設けら
れており、この昇降装置５を操作することによつ
て、走行台車Ａを矢印のように任意に昇降させる
ことができる。

また、Ｂは型枠装置で、走行台車Ａの上面にそ
の長手方向に沿つて載置できるように適宜な間隔
をもつて配置された複数の支持桁７，７上に、こ
れと直交する方向に多数のスラブ梁８，８を略等
間隔に配置して、支持桁７とスラブ梁８との各交
叉部はピン９により枢着されている。そして、こ
のスラブ梁８は、その長手方向に伸縮自在に構成
されている。

即ち、スラブ梁８は、その長手方向先端部にス
ライド溝１０，１０を設け、これに伸縮材１１，
１１が挿入され、この伸縮材１１は当金１２によ
つて上下面の位置規制が行なわれていると共に、
スラブ梁８と伸縮材１１とは、ターンバツクル或
はシリンダー等の伸縮装置１３により連結され、
伸縮装置１３を操作することにより、矢印で示す
ように伸縮材１１をスラブ梁８に出入させて、ス
ラブ梁８を実質的にその長さ方向に任意に伸縮さ
せることができるようにしている。

また、各スラブ梁８の両端部には、それぞれ側
壁縦バタ１４がピン１５により枢着され、各側壁
縦バタ１４，１４の外側にはせき板１６が取付け
られて側壁型枠１７が形成されており、この側壁
型枠１７の下部適所は主枠体１，１とターンバツ
クル或はシリンダー等の伸縮装置１８によつて連
結され、伸縮装置１８を操作することによつて、
側壁型枠１７は各ピン１５，１５を軸として第１
図矢印のように任意に傾動できるようになつてい
る。また、前記の各スラブ梁８，８上にはスラブ
せき板１９が適宜載置或は取付けるようにしてあ
り、これらスラブ梁８とスラブせき板１９とによ
つてスラブ型枠２０が形成されるようにしてあ
る。

そして、スラブ梁８，８と支持桁７，７とによ
り形成された方形状囲枠の対角線方向には、ター
ンバツクル或はシリンダー等の伸縮装置２１を架
設して、その両端部をそれぞれスラブ梁８或は支
持桁７にピン２２によつて枢着し、この伸縮装置
２１を操作することによつて、各スラブ梁は互に
その長さ方向に相対的に変位し、支持梁７，７は
その弾性によつて彎曲するようになり、スラブ梁
８，８と支持桁７，７とにより形成された方形状
囲枠が菱形状に変形されるようになる。その結
果、型枠装置の平面形状は全体として第４図のよ
うにその長さ方向に対して彎曲され、側壁型枠１
７，１７の一方は凸形にそして他方は凹形に彎曲
され、施工構造物の曲線に沿つた形状にすること
ができるのである。

なお、このような型枠装置の彎曲変形操作を行
なう場合には、スラブせき板１９は取除いた状態
で行なうのがよく、スラブせき板１９は型枠装置
の彎曲操作後、その平面形状に合せて張り込んで
やればよい。この場合、スラブせき板１９はスラ
ブ梁８，８上に単に載置しても、またスラブ梁に
固定するようにしてもよい。また側壁型枠１７の
方は全体に薄くて長さ方向に弾性変形し易い構造
であるから、せき板１６は常時取付けたままで
も、前記の彎曲操作は容易に行なうことができ
る。

この型枠装置Ｂの彎曲させる構成は、前記の手
段に限ることなく、例えば第６図に示したよう
に、変形手段に用いられている伸縮装置２１の枢
着位置を対角線上にあるスラブ梁８と支持桁７と
の枢着ピン９，９と同じ位置としたり、或はスラ
ブ梁８と支持桁７との各適所間にピン２２，２２
により枢着してもよい。そして、伸縮装置２１は
スラブ梁８，８と支持桁７，７とにより形成され
た方形状囲枠のすべてに設けなくてもよく、少な
くともその両端部の囲枠に設けておけば型枠装置
Ｂの彎曲操作は行なうことができる。また、この
彎曲変形の手段は、第７図に示したように、スラ
ブ梁８にネジ杆２３を螺合した調節杆２４を固着
して、ネジ杆２３を回動させ、その進退によつて
支持桁７の押圧度を調節して、スラブ梁８と支持
桁７との交叉角を変化させるようにしてもよい。

また、型枠装置Ｂにおけるスラブ梁８の伸縮自
在の構造も、前記のように伸縮材１１を設けた手
段に限らず、例えば第８図のように、スラブ梁８
の両端部に横長孔２５を設け、これに側壁縦バタ
１４と上端部に設けたピン１５′を摺動自在に係
合させ、伸縮装置１３′を操作することにより、
側壁型枠１７をスラブ梁８の長手方向に移動させ
るようにしてもよい。このような構成としても、
スラブ梁８の実質的長さは伸縮自在とすることが
できる。

なお、２９は床面２６上に別途配設される下部
型枠補助材であるが、この上端面とこれに当接す
る側壁型枠１７の下端面とは、図示のように内向
きに傾斜しており、側壁型枠１７を内側に傾動さ
せる際に、その下端面が下部型枠補助材２９の上
端面からスムーズに離脱できるようにしてある。

そして、型枠装置Ｂは走行台車Ａに図のように
載置されるが、走行台車Ａの上面には、載置され
た型枠装置Ｂを横方向に調節移動できるように、
ネジ杆２８を螺合した調節具２７が設けてあり、
ネジ杆２８の先端を支持桁７に当接させ、ネジ杆
２８を回動してこれを横方向に進退させることに
より、型枠装置Ｂは走行台車Ａ上で横方向に調節
移動されるようになつている。

前記構成よりなる本発明装置を用いて、例え
ば、カルバートを施工するには、走行台車Ａ上に
型枠装置Ｂを図のように載置し、床面に施設した
レール３に沿つて走行移動させ、所定の施工位置
において固定する。

次に、昇降装置５，５を調節して走行台車Ａを
介して型枠装置Ｂを所定の高さにセツトすると共
に、伸縮装置２１，２１を調節して第４図のよう
に支持桁７，７を彎曲させ、これによつて側壁型
枠１７，１７のせき板１６，１６の外側面を施工
する構造物の曲率に適合するようにさせる。この
操作を行なう場合には、スラブせき板１９は取除
いておき、操作終了後載置或は取付けるようにす
る。また、側壁型枠１７，１７の法線合せは、伸
縮装置１８，１８を操作して、その傾動状態の調
節によつて行なうようにする。また、型枠装置Ｂ
全体の横方向への位置調節は、調節具２７のネジ
杆２８を回動させて行なうことができる。

前述した型枠装置Ｂの彎曲操作は、第１図イの
ように平面曲線をなすカルバートに適合させるも
のであるが、同図ロのようなラツパ状曲線のもの
に対しては、上述の操作に加えて各スラブ梁８，
８の伸縮調節を適宜行なうようにする。また、同
図ハのような直線ラツパ状のものに対しては、伸
縮装置２１の調節による支持桁の彎曲操作は行な
わずに、各スラブ梁８，８の伸縮調節を行なうよ
うにすればよい。

図のようなカルバートや壁体の施工において
は、前述のような内型枠装置のほかに外型枠が必
要であるが、この外型枠については、従来一般に
行なわれている手組みの型枠を用いたり、或は走
行自在な移動型枠やクレーン吊による大型型枠を
使用したり、その適用は任意である。

本発明内型枠装置及び外型枠が上述のようにセ
ツトされれば、コンクリート３０を打設する。コ
ンクリート３０が硬化したら、第５図に示したよ
うに、伸縮装置１８，１８を縮めて側壁型枠１
７，１７の下部を内方に引き寄せて、これを傾動
させ、次いで、昇降装置５，５を操作して走行台
車Ａを降下させれば、型枠装置Ｂはそれにつれて
降下し、型枠装置Ｂは脱型されると共に縮少され
ることになる。

そして、本発明装置はその縮少された状態で次
の施工場所に走行移動させ、上述の操作を繰返し
て施工を進めて行くのである。なお、次の施工場
所における施工構造物の曲率が前施工場所におけ
ると同様であれば、伸縮装置２１による彎曲操作
を除外して、型枠装置Ｂの昇降と側壁型枠１７の
傾動操作だけを行なうだけで型枠セツトが行なえ
ることになる。

以上説明したように本発明は、昇降装置を有す
る走行台車と、この走行台車上に載置される型枠
装置とにより構成し、この型枠装置は支持桁とこ
れに交叉させた複数の伸縮自在なスラブ梁とをそ
れぞれ枢着すると共に、支持桁とスラブ梁との交
叉角度を調節自在とし、そして、スラブ梁の両端
部には側壁型枠を傾動調節自在に設けたので、型
枠装置は走行台車によつてその移動が容易である
と共に、型枠の脱型、縮少、整形が簡易、迅速に
行なえ、施工能率が著しく向上でき、しかも、型
枠装置は変曲及び巾の調節が自在となるので、カ
ルバート等施工構造物が平面上彎曲していたり、
横巾に変化のある場合でも、側壁せき板をその形
状に沿うように自在に調節して適合させることが
でき、施工性の優れた大型の移動型枠装置の適用
範囲を著しく拡大し、施工の能率化と施工費の節
減を大巾に図ることができる等、多くの優れた効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロ，ハはカルバート等施工構造物の
各種平面形状を例示した図、第２図は本発明装置
の正面図、第３図は平面図、第４図は本発明の型
枠装置を彎曲させた状態を示した平面図、第５図
は施工後側壁型枠を傾動、脱型したところを示し
た正面図、第６図及び第７図はそれぞれ型枠を彎
曲させる機構の他の実施例を示した平面図、第８
図はスラブ梁の他の実施例を示した正面図であ
る。 Ａ…走行台車、Ｂ…型枠装置、１…主枠体、２
…連結杆、３…レール、４…車輪、５…昇降装
置、６…走行脚車、７…支持桁、８…スラブ梁、
１１…伸縮材、１３…伸縮装置、１４…側壁縦バ
タ、１６…せき板、１７…側壁型枠、１８…伸縮
装置、１９…スラブせき板、２０…スラブ型枠、
２１…伸縮装置、２６…床面、２７…調節具、３
０…コンクリート。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 昇降装置を有する走行台車と、この走行台車
   上に載置される支持桁に、該支持桁に交叉する複
   数の伸縮自在としたスラブ梁を所要間隔をおいて
   配設し、支持桁と各スラブ梁とを互に枢着すると
   共に、スラブ梁の両端部には、側壁型枠の上端部
   を傾動調節自在に枢着した型枠装置とよりなり、
   該型枠装置には、支持桁とスラブ梁との交叉角を
   調節する装置を設けたことを特徴とする、カルバ
   ート等の移動内型枠装置。