JPS6216100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンに連係の出力軸と車輪に連
係の入力軸とにわたり、伝動比を異ならせて２本
の伝動ベルトを巻回すると共に、前記第１及び第
２伝動ベルト夫々に択一的に入り操作自在にテン
シヨンプーリを付設した田植機用変速装置に関す
る。

従来の上記装置では、両テンシヨンプーリに手
動操作レバーを連係して変速操作するように構成
すると共に、変速操作のために、両テンシヨンプ
ーリのいずれをも切り状態にした後にいずれか一
方のテンシヨンプーリが入り操作されることを利
用して、その操作レバーによりエンジンから車輪
への伝動を断つようにしていた。

ところが、従来のものでは、テンシヨンプーリ
が切り側に付勢されると共に、機体左右方向での
操作によつてテンシヨンプーリを選択するよう
に、Ｕ字状経路に沿つて操作される手動操作レバ
ーにより入り操作しており、入り操作に際し、切
り側付勢力とベルトの伝動反力に抗して入り操作
しなければならず、入り操作が重くなる欠点があ
ると共に、レバーに対する操作を曲がり経路で行
うために迅速な操作が行いづらい欠点があつた。

本考案は、上記の点に鑑み、テンシヨンプーリ
を背反的に入切り操作しての変速操作を、容易迅
速に、かつ、人間工学的に操作性良好に行えるよ
うにすることを目的とする。

次に、本考案の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

前後に車輪１，２を軸架した走行車体の前部に
エンジン３を搭載すると共に、後部に苗植付装置
４を油圧シリンダ５を介して駆動昇降自在に設
け、かつ、機体前後方向中間に位置させて運転座
席６を設け、乗用型田植機を構成してある。

前記エンジン３から車輪１，２に動力を伝達す
るに、エンジン３からミツシヨン７に、ダブルテ
ンシヨン式の変速装置８を介して伝達すると共
に、前記ミツシヨン７から、その内部のギア式変
速機構（図示せず）を介して前後車輪１，２に伝
達するように構成してある。

前記変速装置８を構成するに、エンジン３のク
ランク軸９に連動の出力軸１０を機体横一側方に
突出させ、その出力軸１０に出力プーリ１１を取
付け、他方、ミツシヨン７から突設の入力軸１２
に大小異径の入力プーリ１３，１４を取付け、出
力プーリ１１と入力プーリ１３，１４とにわたつ
て第１及び第２伝動ベルト１５，１６を巻回する
と共に両伝動ベルト１５，１６夫々に、その上方
側に位置させて第１及び第２テンシヨンプーリ１
７，１８を付設し、その第１及び第２テンシヨン
プーリ１７，１８を機体前後方向の直線経路Ｒに
沿つて操作自在な手動操作レバー１９によつて択
一的に入り操作するように構成してある。

前記第１及び第２テンシヨンプーリ１７，１８
夫々のテンシヨンアーム２０，２１を、ミツシヨ
ンケース２２の上部から機体左右方向に突設した
支軸２３に、機体左右向き軸芯Ｐ周りで揺動自在
に枢支連結し、かつ、テンシヨンアーム２０，２
１と、正面視で門型のフレーム２４とにわたつて
引つ張りスプリング２５，２５を張設して第１及
び第２テンシヨンプーリ１７，１８夫々を常時入
り側に付勢してある。

前記支軸２３の突出端側に手動操作レバー１９
を揺動自在に枢支連結し、支持ブラケツト２６に
横軸芯P₁周りで揺動自在に枢支連結した板体２７
を前記操作レバー１９の長手方向途中箇所に長孔
２８を介して連結すると共に板体２７の所定箇所
に一端側を枢支連結した第１及び第２リンク２
９，３０と、前記両テンシヨンアーム２０，２０
夫々とを長孔３１を介して枢支連結し、かつ、前
記板体２７に、所定の幅を有する凹溝３２を備え
させると共に、凹溝３２の両側壁３２ａ，３２ａ
に接当させる固定ピン３３を突設して板体２７を
所定範囲内で揺動させるように構成してある。

上記構成により、レバー１９の揺動に伴い、第
２リンク３０を介し、スプリング２５の付勢力に
抗して第２テンシヨンプーリ１８を第２伝動ベル
ト１６から離間させながらも、第１テンシヨンプ
ーリ１７を、長孔３１により第１リンク２９に作
用すること無くスプリング２５の付勢力によつて
第１伝動ベルト１５に入り操作する高速状態（第
４図のイ参照）と、第１テンシヨンプーリ１７を
第１伝動ベルト１５から離間させながらも第２テ
ンシヨンプーリ１８を入り操作する低速状態（第
４図のロ参照）、及び、第１及び第２テンシヨン
プーリ１７，１８のいずれをも第１及び第２伝動
ベルト１５，１６から離間させる切り状態（第４
図のハ参照）が得られるのである。

前記低速状態及び高速状態夫々において、第１
及び第２リンク２９，３０のいずれもが、レバー
１９の揺動軸芯Ｐと板体２７の揺動軸芯P₁とを繋
ぐ仮想直線Ｌに対して同じ側に変位するように構
成し、スプリング２５，２５のいずれか一方の付
勢力により低速状態及び高速状態のいずれをも安
定維持するように構成してある。

前記第１及び第２リンク２９，３０を板体２７
に枢支連結するに、第７図に示すように、レバー
１９を引き操作により機体後方側へ揺動操作して
高速状態から低速状態に切換えるに際し、スプリ
ング２５の付勢力に抗しながら第１リンク２９の
枢支位置を仮想直線Ｌを越えるまで持上げるため
の操作量W₁を、レバー１９を押し操作により機
体前方側へ揺動操作して低速状態から高速状態に
切換えるに際しての、スプリング２５の付勢力に
抗しながら第２リンク３０の枢支位置を仮想直線
Ｌを越える位置まで持上げるための操作量W₂よ
り大になる状態で設け、引き操作力の方を押し操
作力よりも大に構成して、押し引き操作を、重軽
の差無く感覚上ほぼ同じ力でもつて行える状態に
構成してある。

ロツド３５の先端の連設した長孔形成部材３６
を、第１及び第２リンク２９，３０間に入れ込ま
せると共に、第１及び第２リンク２９，３０夫々
に前記スプリング２５，２５を取付けるために押
通止着されるピン３７，３７を前記長孔形成部材
３６の惰円状の長孔３８に嵌入させ、両リンク２
９，３０をしてロツド３５を位置決めさせる状態
でロツド３５とテンシヨンプーリ１７，１８を連
係し、そして、ロツド３５と、スプリング３９を
介して付勢された足踏みペダル４０とを連結し、
通常時は、前記長孔３８によつて、両テンシヨン
プーリ１７，１８の択一的な入り操作を許容しな
がらも、ペダル４０の踏み込み操作に伴い、第１
及び第２リンク２９，３０に形成された長孔３
１，３１により操作レバー１９を何ら変位させる
事無く、両テンシヨンプーリ１７，１８のうち、
入り状態にあるものを強制的に切り操作し、ミツ
シヨン７への伝動を停止できるように構成してあ
る。

図中４１は、ペダル４０を切り状態に維持する
ロツク部材を示し、４２はペダル４０を切り操作
した状態でのみセルモータの作動を許容する安全
スイツチを示す。

又、図中４３は、機体左右方向において、前記
ペダル４０と同じ側に設けられたデフロツクペダ
ルを示す。

図中４４は、足踏みペダル４０の非操作時の復
帰位置を規制するストツパーを示し、その復帰状
態において、ペダル４０に何ら影響されること無
く、第３図及び第５図に示すように、長孔形成部
材３６の長孔３８内でテンシヨンアーム２０，２
１が入切り操作変位されるように構成してある。

前記両テンシヨンプーリ１７，１８を択一的に
入り操作するために、レバー１９に連係される第
１及び第２リンク２９，３０と、夫々に形成され
た長孔３１，３１、板体２７、及び、レバー１９
に形成された長孔２８をして選択操作機構と総称
する。

本考案としては、例えば、第１リンク２９に付
設した側のスプリング２５の付勢力を、第２リン
ク３０に付設したものにおけるよりも大に構成
し、操作感覚的にほぼ同じになるように、そのレ
バー１９に対する実際の引き操作力よりも大に構
成する等、各種の変形が可能である。

以上要するに、本考案は、冒記した田植機用変
速装置において、前記両テンシヨンプーリ１７，
１８夫々に、それを入り側に付勢するスプリング
２５，２５を付設し、運転座席６の前方に機体前
後方向の直線経路Ｒに沿つて操作自在に操作レバ
ー１９を設けると共に、その操作レバー１９と前
記両テンシヨンプーリ１７，１８夫々とを、両テ
ンシヨンプーリ１７，１８の一方を切つて両者を
切り状態にした後に他方を入り状態に操作する選
択操作機構を介して、かつ、機体後方側への操作
力を機体前方側への操作力よりも大にした状態で
連動連結してある事を特徴とする。

つまり、テンシヨンプーリ１７，１８を入り側
に付勢するから、ベルト１５，１６の伝動反力に
抗して入り位置に強制的に押圧するための操作を
スプリング２５，２５の付勢力をして行え、入り
操作を楽に行えるようになつた。尚、テンシヨン
プーリ１７，１８を入り側に付勢する結果として
切り操作が重くなるが、切り操作時には、ベルト
１５，１６の伝動反力が切り操作に加わる状態と
なり、従来の入り操作力に比べて小さなもので済
み、全体として、入切り操作を、即ち、変速操作
を楽に行えるようになつた。

しかも、操作レバー１９を機体前後方向に直線
操作して変速操作するから、腕を屈伸してレバー
１９を押し引き操作するといつたように、変速操
作を容易迅速に行えるようになつた。その上、同
等の操作力を得る場合に、人間工学的に引き操作
よりも押し操作の方が重い感じがすることに着目
し、機体後方側への操作力、即ち引き操作力を、
機体前方側への操作力、即ち、押し操作力よりも
大にするから、押し引きいずれの操作をも、感覚
的に同等の力で行うようにでき、人間工学的に操
作性を向上できるようになつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機用変速装置の実施例
を示し、第１図は田植機の全体側面図、第２図は
要部の一部切欠正面図、第３図は要部の一部切欠
側面図、第４図は作用説明図であり、イは高速状
態を、ロは低速状態を、そしてハは停止状態を示
す。第５図は要部の一部切欠斜視図、第６図は停
止状態における要部の断面図、第７図は要部の拡
大側面図であり、イは高速状態を、そしてロは低
速状態を示す。 １，２……車輪、３……エンジン、６……運転
座席、１０……出力軸、１２……入力軸、１５，
１６……伝動ベルト、１７，１８……テンシヨン
プーリ、１９……操作レバー、２５……スプリン
グ、Ｒ……直線経路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン３に連係の出力軸１０と車輪１，２に
   連係の入力軸１２とにわたり、伝動比を異ならせ
   て２本の伝動ベルト１５，１６を巻回すると共
   に、前記第１及び第２伝動ベルト１５，１６夫々
   に択一的に入り操作自在にテンシヨンプーリ１
   ７，１８を付設した田植機用変速装置であつて、
   前記両テンシヨンプーリ１７，１８夫々に、それ
   を入り側に付勢するスプリング２５，２５を付設
   し、運転座席６の前方に機体前後方向の直線経路
   Ｒに沿つて操作自在に操作レバー１９を設けると
   共に、その操作レバー１９と前記両テンシヨンプ
   ーリ１７，１８夫々とを、両テンシヨンプーリ１
   ７，１８の一方を切つて両者を切り状態にした後
   に他方を入り状態に操作する選択操作機構を介し
   て、かつ、機体後方側への操作力を機体前方側へ
   の操作力よりも大にした状態で連動連結してある
   事を特徴とする田植機用変速装置。