JPS6152779B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属インサートを樹脂中に埋込み、
これを一体に成形するインサート成形法に関する
ものである。

プラスチツク製品において、使用目的に応じて
その強度等を増大する目的で金属インサートを埋
込み、これを一体的に成形するに際し、従来では
予め金属インサートに金型外で両側から保持部材
を挿入合体させてから、これらを金型内に嵌着し
て樹脂を射出するか、金型内に組込んだ保持部材
に、金属インサートを手で保持しながら挿入固定
した後型締めして樹脂を射出するという方法がと
られていた。そして、樹脂の注型に際して金属イ
ンサートをその設定位置に設定する装置として、
コア側金型の一部をスライドコアとして構成し、
このスライドコアをキヤビテイ側金型の一部に傾
斜して設けられたアンギユラピンに滑り係合せし
め、前記スライドコアを含むコア側金型が注型作
業に先立つてキヤビテイ側金型の方へ向けて近づ
き、また注型後キヤビテイ側金型より外れる方向
へ移動する際に、前記スライドコアと前記アンギ
ユラピンが傾斜係合することを利用して、スライ
ドコアを金属インサート設定位置へ向けて移動さ
せ、あるいはその逆の方向に移動させることが行
なわれている。

しかしながらこの場合、スライドコアの移動は
スライドコア先端のピンを金属インサートより引
き抜いて、成形品を離型することが目的である。
それゆえ、金属インサートをスライドコア先端の
ピンに装着するのは、やはり別の手段によつて行
なう必要があつた。したがつて金属インサートを
金型内に装着するのに手数がかかる上、その作業
に長時間を要するため生産性が非常に悪かつた。
特に金属インサートの外周を一度に完全に成形充
填するには、成形前に金型内の空間部分に埋込む
金属インサートを浮かしておく必要があり、保持
部材への装着を自動化する上でネツクとなつてい
た。

この発明のインサート成形法は従来技術の上記
欠点を解決せんとするもので、以下図面に基いて
本発明の一実施例を説明する。１は固定側金型、
２は可動側金型、３はパーテイングラインであ
り、成形完了後、このパーテイングライン３から
前記金型１，２が開き、成形品４を取出す。上記
可動側金型２に形成したキヤビテイ５内には、端
部に磁石８を内蔵した吸着ピン９が進退自在に突
設され、金属インサート６はこの吸着ピン９によ
つてキヤビテイ５内に浮いた状態で支持される。

一方金属インサート６の他端側には、可動側金
型２上を進退自在に取り付けられたスライドブロ
ツク１１の先端に付設した可動ピン１２が対面
し、スライドブロツク１１を進めることにより、
上記のごとく吸着ピン９によつてキヤビテイ５内
に浮き支持された金属インサート６の端部に可動
ピン１２が嵌挿され、上記スライドブロツク１１
とこの可動ピン１２とよりなる保持部材によつて
金属インサート６が金型１，２内に強固に保持さ
れる。

上記吸着ピン９の下端はスライド板１３に固定
され、このスライド板１３の下面に内蔵されたバ
ネ１４により吸着ピン９は常にキヤビテイ５内へ
先端が突出するように押上げられている。スライ
ド板１３にはまた下降ピン１５が固定され、下降
ピン１５の先端はパーテイングライン３から上記
吸着ピン９の突出部分と同じ長さだけ突出してい
る。

次に固定側金型１には前記スライドブロツク１
１と嵌まり合うアンギユラーピン１６が突設され
ている。１７はガイドピンである。

本発明のインサート成形法は以上のように構成
されており、以下その作動を各部の作動順序に従
つて説明する。まず可動側金型２が後退して金型
が開いた時、スライド板１３がバネ１４によつて
押上げられ、吸着ピン９及び下降ピン１５はそれ
ぞれキヤビテイ５内及びパーテイングライン３上
に突出する。またスライドブロツク１１もアンギ
ユラーピン１６の上昇とともに後退している。そ
の状態で金属インサート６の外周を吸着ピン９に
当接することにより、金属インサート６はキヤビ
テイ５上に浮いた状態で支持される。

そして可動側金型２を前進させ、スライドブロ
ツク１１とともに可動ピン１２を前進させて金属
インサート６の他端に嵌着した後、可動側金型２
を最終的に型閉じする際、複数設けた下降ピン１
５を可動側金型２内に押込むと、スライド板１３
が下がるとともに吸着ピン９もキヤビテイ５と平
面になるまで引き下げられる。このとき金属イン
サート６は保持部材のみによつてキヤビテイ５内
に支持されている。

このように両型内に金属インサートが定位置で
保持された後、溶融樹脂が湯口１８を通つてキヤ
ビテイ５内に注入されると、第３図のように金属
インサート６の外周が樹脂で被覆された成形品４
が得られる。

この後、溶融樹脂は冷却固化され、可動側金型
２が後退し、成形品４が取出される。このとき吸
着ピン９及び下降ピン１５は旧の位置に復する。
ここで再び前述したように金属インサート６を装
入し、前記のサイクルを繰り返す。

なお上記したところでは吸着ピン９は一個所の
みであるが、吸着ピン９を複数設け一又は二以上
の金属インサートを支持した後、保持部材を金型
の型締めと同時に金属インサート６に嵌着すると
ともに吸着ピン９を上述のように後退させても良
い。このようにして大型の、あるいは多数の金属
インサートを埋設することができる。

また吸着ピン９が成形品を離型する際の突出ピ
ンを兼ねるものとすることが望ましい。

次に可動ピン１２をスライドブロツク１１に弾
性支持等により後退可能に取り付け、可動ピン１
２で金属インサート６を保持した後、さらに可動
側金型２を押し上げ、この時下降ピン１５を下降
させるとともに吸着ピン９をキヤビテイ５内から
引き抜くように時差を持たせることもできる。

以上述べたように、本発明によると金属インサ
ートを樹脂内に内蔵する成形品を、一回の成形工
程のみで成形することができる。また吸着ピンに
磁力で保持するため、金属インサートをマジツク
ハンド等で自動的にキヤビテイ内に供給すること
により、成形工程を自動化することができる。

さらに油圧シリンダー等の複雑な装置を用いず
に金属インサートの保持及び吸着ピンの後退を連
続的に行うことができる。

本発明のインサート成形法は上記した形状のみ
ではなく、各種金属インサート内蔵型成形品の成
形に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のインサート成形法に用いられ
る金型の断面図、第２図は金型を開いた状態の正
面図、第３図は得られた成形品の斜視図である。 １……固定側金型、２……可動側金型、３……
パーテイングライン、４……成形品、５……キヤ
ビテイ、６……金属インサート、８……磁石、９
……吸着ピン、１１……スライドブロツク、１２
……可動ピン、１３……スライド板、１４……バ
ネ、１５……下降ピン、１６……アンギユラーピ
ン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属インサートを有するプラスチツク成形品
   を固定側金型と可動側金型との間に形成されるキ
   ヤビテイ内に金属インサートを保持しながらその
   中に溶融樹脂を注入することによつて成形するに
   当たり、一方の金型に磁石を内蔵した吸着ピン
   を、この金型に弾性支持されたスライド板に突設
   してその先端がキヤビテイ内を進退自在となるよ
   う設け、吸着ピンと連動する下降ピンを上記スラ
   イド板に突設して、パーテイングラインより上記
   吸着ピンの突出部分とほぼ等しい高さに突出させ
   るとともに、上記可動側金型内にはスライドブロ
   ツク、およびこれに付設された可動ピンを設け、
   他方固定側金型には上記スライドブロツクに係合
   するアンギユラーピンを突設して、型締め時にス
   ライドブロツクが作動して金属インサートを可動
   ピンで保持するようにした保持部材を設けること
   により、金型の開放時には金属インサートを吸着
   ピンにより保持し、型締め時には下降ピンととも
   に吸着ピンを後退させて保持部材のみによつてキ
   ヤビテイ内に金属インサートを支持しながら、溶
   融樹脂をキヤビテイ内に注入することを特徴とす
   るインサート成形法。