JPS6151039B2 - - Google Patents
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- JPS6151039B2 JPS6151039B2 JP22753083A JP22753083A JPS6151039B2 JP S6151039 B2 JPS6151039 B2 JP S6151039B2 JP 22753083 A JP22753083 A JP 22753083A JP 22753083 A JP22753083 A JP 22753083A JP S6151039 B2 JPS6151039 B2 JP S6151039B2
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Landscapes
- Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、燃料タンク用防錆鋼板に係り、特に
ガソリン、アルコール、あるいはアルコール混合
ガソリンタンク材料としてすぐれた耐食性を発揮
する防錆鋼板に関する。 (従来技術および問題点) 最近北米、南米、ヨーロツパの国々では、石油
供給の逼迫、価格の高騰に対処するため現用のガ
ソリン以外の自動車燃料としてアルコール(エタ
ノール)、あるいはアルコール混合ガソリン(エ
タノール、メタノール等)を導入しつつあり、そ
の比率は年々高まつている。さらにヨーロツパで
はメタノール100%燃料の導入も検討されてい
る。これらのアルコールあるいはアルコール混合
ガソリンは水分を保有し、かつ吸収しやすいこ
と、またアルデヒド、有機酸などの不純物を含有
するなどの理由からガソリン単味の場合に比べて
強い腐食性を有している。しかるに自動車の燃料
タンクは、安全確保の意味から最重要部品として
位置付けられており、この材料としてはまず腐食
による穴あきが発生しないこと、さらには燃料循
環系統でフイルターの目詰まりを発生するような
浮遊性の腐食生成物が生じないことが要求され
る。 ところで、現在通常の自動車用燃料タンク材料
は、たとえば特公昭57―61833に示されるような
Pb―Sn合金(Sn8〜20%含有)溶融メツキ鋼板と
か、特公昭53―19981に示されるようなZnメツキ
鋼板に厚クロメート処理を施したものが使用され
ている。これらの材料のガソリン、アルコールあ
るいはアルコール混合ガソリンに対する耐食性に
ついて見ると、Pb―Sn合金(Sn8〜20%含有)溶
融メツキ鋼板に関していえば、このようなPb―
Sn合金がメタノールに非常に溶解しやすい特性
を有している点が問題であり、メタノール混合ガ
ソリンに対しては実用が困難と考えられる。 さらに該Pb―Sn合金は、自動電極電位列でFe
よりも貴に位置するため、流通過程で不可避的に
混入する水分を多く含むガソリン、水分を必然的
に多く含むアルコール単独あるいはアルコール混
合ガソリン中では、メツキ層が損傷したプレス加
工部において赤錆が発生しやすく、このため燃料
循環系統でフイルターの目詰まりが生じたり、短
期間で穴あきが発生する欠点が有する。 一方電気Znメツキ鋼板に厚クロメート処理を
施した材料については、ZnはFeより卑な電位の
金属であるからメツキ層が損傷したプレス加工部
ではZnの犠性防食作用により赤錆、穴あきの発
生は抑制されるがZnの溶出速度が大きく、浮遊
性の白色沈澱物を多量に生成して燃料循環系統で
フイルターの目詰まりが発生しやすい欠点を有す
る。 (発明の目的,構成) 本発明は、このような現用タンク材料の欠点を
解消し、ガソリン、アルコール単独あるいはアル
コール混合ガソリン等の燃料に対してすぐれた耐
食性を有する燃料タンク用防錆銅板を提供するこ
とを目的とするものであり、その要旨とするとこ
ろは、鋼板表面にNiを5〜30%を含むZn―Ni合
金電気メツキ層を1〜60g/m2の量で有しさらに
該Zn―Ni合金電気メツキ層のうえに1g/m2以
上の量でSnメツキ層を有することを特徴とする
燃料タンク用防錆鋼板にある。 以下本発明について詳細に説明する。 まず本発明においては鋼板表面にNiを5〜30
%を含むZn―Ni合金メツキ層を有する。なおこ
のZn―Ni合金は、言うまでもなくZnとNiとから
構成されるものであるが、耐食性向上を目的とし
て、前記Ni範囲に加えてさらにCoあるいはCrの
一方または両方を0.01〜2.0重量%程度含むこと
は本発明の趣旨を逸脱するものではない。 該メツキ層はこのうえに形成されるSnメツキ
層と鋼板素地との中間層として重要である。すな
わち鋼板素地のうえに直接Snメツキ層がある
と、これは電気メツキブリキに相当するわけであ
るが、この場合メツキ層がプレス加工等で損傷し
鋼板面が露出した部分ではSnがFeよりも貴な電
位列に位置するため、腐食環境下では短時間で鋼
板表面に赤錆が発生し穴あきに至る。そこで鋼板
素地とSnメツキ層との間にZn―Ni合金メツキ層
を介在させこの場合の該Zn―Ni合金メツキ層の
自然電極電位をFeに対して適度に卑に保つと、
メツキ損傷部において該Zn―Ni合金層は鋼板に
対して適度な犠性防食作用を発揮し、かつZnの
溶出にともなう浮遊性の白色沈澱物の生成が実害
のない程度に抑制されるのでメツキ層損傷部の耐
食性は良好なまま維持される。Zn―Ni合金メツ
キ層の自然電極電位のコントロールは、Ni含有
量を変化することで可能であり、前述の効果を発
揮させるためには、Zn―Ni合金メツキ層中にNi
含有量を5〜30%の範囲とすれば良い。 Ni含有量5%未満であると、Zn―Ni合金メツ
キ層とFeとの電位差が大となり、腐食電流が増
加するためメツキ層損傷部においてZnの溶出が
高まり浮遊性の白色沈澱物を多量に生成して、燃
料循環系統のフイルターが目詰まりする。 Ni含有量が30%を越えると、Zn―Ni合金メツ
キ層の電位がFeに近づき、鋼板素地に対する犠
性防食作用が減少することと、該メツキ層自体の
耐食性の劣化により、メツキ損傷部では赤錆が発
生し短時間のうちに穴あき発生に至ることにな
る。 また鋼板表面上のZn―Ni合金メツキ層の量を
1〜60g/m2と限定した理由は1g/m2未満では
メツキ量が少なすぎて充分な耐食性向上効果がな
いためであり、60gm2を越えると耐食性は向上す
るとはいえ不経済であり、また加工性、溶接性の
観点からは好ましくないためである。 次に本発明においてはZn―Ni合金電気メツキ
層のうえにSnメツキ層を有するものである。 Snは、Pb―Sn合金(Sn8〜20%)をはげしく
腐食するメタノールに対して良好な耐食性を有す
る金属であり、メツキ層として、ガソリン、アル
コール、アルコール混合ガソリンあるいは、これ
らに水が共存する腐食環境においてすぐれた耐食
性を維持するために重要である。当然のことなが
らSnのメツキ量が多いほどピンホール等のメツ
キ欠陥が減少し耐食性が向上する。一方少ないと
ピンホール等のメツキ欠陥が増加しZn―Ni合金
メツキ層の露出面積が増えて、その部分ではZn
分が選択的に溶解する。このため浮遊性の沈澱物
によるフイルターの目詰まりが発生しやすくな
り、かつタンクの寿命が短縮される。またSnは
高価な金属であり必要以上にメツキ量を増すこと
は不経済である。そこで耐食性の確保、経済性を
考慮するとSnのメツキ量は、1g/m2を下限と
し5〜30g/m2の範囲が好ましい。なおこのSn
メツキ層は軟質であるからプレス加工時に潤滑作
用を発揮するので加工によるメツキ層の損傷防止
に効果がある。 本発明の燃料タンク用防錆鋼板は、公知のメツ
キ法により得ることが出来る。 まずZn―Ni合金電気メツキ層に関しては、例
えば ZnSO4・7H2O 50〜300g/ NiSO4・6H2O 50〜400g/ Na2SO4 100g/ (NH4)2SO4 20g/ から成るメツキ浴を用いて、浴PH1.4〜1.8浴温度
55〜60℃、電流密度30〜40A/dm2の条件のもと
で鋼板表面に電気メツキを施すことで、Ni5〜30
%を含有するZn―Ni合金メツキ層を得ることが
出来る。また目付量については、電流密度と時間
の関係から調整すれば良い。次にSnメツキ層に
関しては、通常のホツトデイツプ法、電気メツキ
法いずれにおいても実施可能であるが、Snメツ
キ層を不要に多く付着させることは不経済であ
り、メツキ量コントロールの容易さから電気メツ
キ法が望ましい。メツキ浴は、酸性浴ではZn―
Ni合金メツキ層の溶解がはげしくむずかしいの
でアルカリ浴を用いれば容易に実施できる。たと
えば K2SnO3・3H2O 100g/ KOH 15g/ CH3COOK 10g/ から成るメツキ浴を用いて浴温60〜70℃、電流密
度4〜6A/dm2の条件のもとで銅板表面に電気
メツキすることで得ることが出来る。また目付量
については、電流密度と時間の関係から調整すれ
ば良い。なお、かかるSnメツキ層に対しピンホ
ール等を除去する目的で240〜260℃程度に後加熱
してSnメツキ層のリフロー処理を行なうこと
は、当然のことながら本発明の実施態様に含まれ
るものである。 さらに以上のようにして得られた本発明の防錆
鋼板の耐食性を一層向上させる意味で、クロム酸
処理等の通常の化成処理を行い、Snメツキ層上
に化成処理被膜を形成せしめることも本発明の趣
旨を逸脱するものではない。 以上本発明の構成について説明したが、さらに
実施例により本発明の効果を具体的に説明する。 (実施例) 0.8mmの冷延鋼板を素地原板として、これにア
ルカリ脱脂、希塩酸による表面清浄処理を行つた
後、以下に示すメツキ条件にもとづき本発明にな
る燃料タンク用防錆鋼板および本発明の範囲外の
メツキ鋼板を製造した。 メツキ条件 1 Zn―Ni合金電気メツキ 1−1 メツキ浴組成 ZnSO4・7H2O 50〜300g/ NiSO4・6H2O 0〜400g/ Na2SO4 100g/ (NH4)2SO4 20g/ 1−2 浴PH 1.4〜1.8 1−3 浴温度 60℃ 1−4 電流密度 35A/dm2 2 Sn電気メツキ 2−1 メツキ浴組成 K2SnO3・3H2O 100g/ KOH 15g/ CH3COOK 10g/ 2−2 浴温度 60〜70℃ 2−3 電流密度 4.5A/dm2 これらの防錆鋼板A〜1のメツキ組成、メツキ
量、および性能試験結果を第1表に示す。なおこ
れらの内A,C,Dについては、Snメツキ後245
〜250℃に後加熱してSnメツキ層のリフロー処理
を行つた。さらにEについては、重クロム酸ソー
ダ浴による電解クロメート処理を行いCr量12
mg/m2のクロメート被膜を形成した。 また第1表には、従来例として現行のガソリン
タンク材料であるPb92%―Sn8%合金溶融メツキ
鋼板(目付量60g/m2)と、Znメツキ鋼板(目
付量40g/m2)に厚クロメート処理(Cr付着量
60mg/m2)を施した鋼板、比較例として熱漬ブリ
キ(Snメツキ量60g/m2)の性能を示した。性
能試験に供した試験片の形状であるが、加工を受
けた状態での耐食性を評価する意味で5cm×10cm
の試験片の中央をエリクセン試験機で5mm張出
し、加工部およびその周辺の耐食性を観察した。 第1表に示す結果から明らかなように、本発明
による防錆板は、塩水噴霧試験下で発錆しにくい
ことから、通常ガソリンの中に塩分を含む水が混
入した場合においても、有害な浮遊性の腐食生成
物の発生が抑制され、かつアルコールおよびアル
コール混合ガソリンに対してすぐれた耐食性を示
すことがわかる。 さらに最外層が軟質のSnメツキであるところ
からプレス加工時のメツキ損傷を受けにくく、か
つ抵抗溶接性、半田接合性にもすぐれており、本
発明による防錆鋼板は総合的にみてガソリン、ア
ルコールあるいはアルコール混合ガソリン用の燃
料タンク材料として適切なものである。
ガソリン、アルコール、あるいはアルコール混合
ガソリンタンク材料としてすぐれた耐食性を発揮
する防錆鋼板に関する。 (従来技術および問題点) 最近北米、南米、ヨーロツパの国々では、石油
供給の逼迫、価格の高騰に対処するため現用のガ
ソリン以外の自動車燃料としてアルコール(エタ
ノール)、あるいはアルコール混合ガソリン(エ
タノール、メタノール等)を導入しつつあり、そ
の比率は年々高まつている。さらにヨーロツパで
はメタノール100%燃料の導入も検討されてい
る。これらのアルコールあるいはアルコール混合
ガソリンは水分を保有し、かつ吸収しやすいこ
と、またアルデヒド、有機酸などの不純物を含有
するなどの理由からガソリン単味の場合に比べて
強い腐食性を有している。しかるに自動車の燃料
タンクは、安全確保の意味から最重要部品として
位置付けられており、この材料としてはまず腐食
による穴あきが発生しないこと、さらには燃料循
環系統でフイルターの目詰まりを発生するような
浮遊性の腐食生成物が生じないことが要求され
る。 ところで、現在通常の自動車用燃料タンク材料
は、たとえば特公昭57―61833に示されるような
Pb―Sn合金(Sn8〜20%含有)溶融メツキ鋼板と
か、特公昭53―19981に示されるようなZnメツキ
鋼板に厚クロメート処理を施したものが使用され
ている。これらの材料のガソリン、アルコールあ
るいはアルコール混合ガソリンに対する耐食性に
ついて見ると、Pb―Sn合金(Sn8〜20%含有)溶
融メツキ鋼板に関していえば、このようなPb―
Sn合金がメタノールに非常に溶解しやすい特性
を有している点が問題であり、メタノール混合ガ
ソリンに対しては実用が困難と考えられる。 さらに該Pb―Sn合金は、自動電極電位列でFe
よりも貴に位置するため、流通過程で不可避的に
混入する水分を多く含むガソリン、水分を必然的
に多く含むアルコール単独あるいはアルコール混
合ガソリン中では、メツキ層が損傷したプレス加
工部において赤錆が発生しやすく、このため燃料
循環系統でフイルターの目詰まりが生じたり、短
期間で穴あきが発生する欠点が有する。 一方電気Znメツキ鋼板に厚クロメート処理を
施した材料については、ZnはFeより卑な電位の
金属であるからメツキ層が損傷したプレス加工部
ではZnの犠性防食作用により赤錆、穴あきの発
生は抑制されるがZnの溶出速度が大きく、浮遊
性の白色沈澱物を多量に生成して燃料循環系統で
フイルターの目詰まりが発生しやすい欠点を有す
る。 (発明の目的,構成) 本発明は、このような現用タンク材料の欠点を
解消し、ガソリン、アルコール単独あるいはアル
コール混合ガソリン等の燃料に対してすぐれた耐
食性を有する燃料タンク用防錆銅板を提供するこ
とを目的とするものであり、その要旨とするとこ
ろは、鋼板表面にNiを5〜30%を含むZn―Ni合
金電気メツキ層を1〜60g/m2の量で有しさらに
該Zn―Ni合金電気メツキ層のうえに1g/m2以
上の量でSnメツキ層を有することを特徴とする
燃料タンク用防錆鋼板にある。 以下本発明について詳細に説明する。 まず本発明においては鋼板表面にNiを5〜30
%を含むZn―Ni合金メツキ層を有する。なおこ
のZn―Ni合金は、言うまでもなくZnとNiとから
構成されるものであるが、耐食性向上を目的とし
て、前記Ni範囲に加えてさらにCoあるいはCrの
一方または両方を0.01〜2.0重量%程度含むこと
は本発明の趣旨を逸脱するものではない。 該メツキ層はこのうえに形成されるSnメツキ
層と鋼板素地との中間層として重要である。すな
わち鋼板素地のうえに直接Snメツキ層がある
と、これは電気メツキブリキに相当するわけであ
るが、この場合メツキ層がプレス加工等で損傷し
鋼板面が露出した部分ではSnがFeよりも貴な電
位列に位置するため、腐食環境下では短時間で鋼
板表面に赤錆が発生し穴あきに至る。そこで鋼板
素地とSnメツキ層との間にZn―Ni合金メツキ層
を介在させこの場合の該Zn―Ni合金メツキ層の
自然電極電位をFeに対して適度に卑に保つと、
メツキ損傷部において該Zn―Ni合金層は鋼板に
対して適度な犠性防食作用を発揮し、かつZnの
溶出にともなう浮遊性の白色沈澱物の生成が実害
のない程度に抑制されるのでメツキ層損傷部の耐
食性は良好なまま維持される。Zn―Ni合金メツ
キ層の自然電極電位のコントロールは、Ni含有
量を変化することで可能であり、前述の効果を発
揮させるためには、Zn―Ni合金メツキ層中にNi
含有量を5〜30%の範囲とすれば良い。 Ni含有量5%未満であると、Zn―Ni合金メツ
キ層とFeとの電位差が大となり、腐食電流が増
加するためメツキ層損傷部においてZnの溶出が
高まり浮遊性の白色沈澱物を多量に生成して、燃
料循環系統のフイルターが目詰まりする。 Ni含有量が30%を越えると、Zn―Ni合金メツ
キ層の電位がFeに近づき、鋼板素地に対する犠
性防食作用が減少することと、該メツキ層自体の
耐食性の劣化により、メツキ損傷部では赤錆が発
生し短時間のうちに穴あき発生に至ることにな
る。 また鋼板表面上のZn―Ni合金メツキ層の量を
1〜60g/m2と限定した理由は1g/m2未満では
メツキ量が少なすぎて充分な耐食性向上効果がな
いためであり、60gm2を越えると耐食性は向上す
るとはいえ不経済であり、また加工性、溶接性の
観点からは好ましくないためである。 次に本発明においてはZn―Ni合金電気メツキ
層のうえにSnメツキ層を有するものである。 Snは、Pb―Sn合金(Sn8〜20%)をはげしく
腐食するメタノールに対して良好な耐食性を有す
る金属であり、メツキ層として、ガソリン、アル
コール、アルコール混合ガソリンあるいは、これ
らに水が共存する腐食環境においてすぐれた耐食
性を維持するために重要である。当然のことなが
らSnのメツキ量が多いほどピンホール等のメツ
キ欠陥が減少し耐食性が向上する。一方少ないと
ピンホール等のメツキ欠陥が増加しZn―Ni合金
メツキ層の露出面積が増えて、その部分ではZn
分が選択的に溶解する。このため浮遊性の沈澱物
によるフイルターの目詰まりが発生しやすくな
り、かつタンクの寿命が短縮される。またSnは
高価な金属であり必要以上にメツキ量を増すこと
は不経済である。そこで耐食性の確保、経済性を
考慮するとSnのメツキ量は、1g/m2を下限と
し5〜30g/m2の範囲が好ましい。なおこのSn
メツキ層は軟質であるからプレス加工時に潤滑作
用を発揮するので加工によるメツキ層の損傷防止
に効果がある。 本発明の燃料タンク用防錆鋼板は、公知のメツ
キ法により得ることが出来る。 まずZn―Ni合金電気メツキ層に関しては、例
えば ZnSO4・7H2O 50〜300g/ NiSO4・6H2O 50〜400g/ Na2SO4 100g/ (NH4)2SO4 20g/ から成るメツキ浴を用いて、浴PH1.4〜1.8浴温度
55〜60℃、電流密度30〜40A/dm2の条件のもと
で鋼板表面に電気メツキを施すことで、Ni5〜30
%を含有するZn―Ni合金メツキ層を得ることが
出来る。また目付量については、電流密度と時間
の関係から調整すれば良い。次にSnメツキ層に
関しては、通常のホツトデイツプ法、電気メツキ
法いずれにおいても実施可能であるが、Snメツ
キ層を不要に多く付着させることは不経済であ
り、メツキ量コントロールの容易さから電気メツ
キ法が望ましい。メツキ浴は、酸性浴ではZn―
Ni合金メツキ層の溶解がはげしくむずかしいの
でアルカリ浴を用いれば容易に実施できる。たと
えば K2SnO3・3H2O 100g/ KOH 15g/ CH3COOK 10g/ から成るメツキ浴を用いて浴温60〜70℃、電流密
度4〜6A/dm2の条件のもとで銅板表面に電気
メツキすることで得ることが出来る。また目付量
については、電流密度と時間の関係から調整すれ
ば良い。なお、かかるSnメツキ層に対しピンホ
ール等を除去する目的で240〜260℃程度に後加熱
してSnメツキ層のリフロー処理を行なうこと
は、当然のことながら本発明の実施態様に含まれ
るものである。 さらに以上のようにして得られた本発明の防錆
鋼板の耐食性を一層向上させる意味で、クロム酸
処理等の通常の化成処理を行い、Snメツキ層上
に化成処理被膜を形成せしめることも本発明の趣
旨を逸脱するものではない。 以上本発明の構成について説明したが、さらに
実施例により本発明の効果を具体的に説明する。 (実施例) 0.8mmの冷延鋼板を素地原板として、これにア
ルカリ脱脂、希塩酸による表面清浄処理を行つた
後、以下に示すメツキ条件にもとづき本発明にな
る燃料タンク用防錆鋼板および本発明の範囲外の
メツキ鋼板を製造した。 メツキ条件 1 Zn―Ni合金電気メツキ 1−1 メツキ浴組成 ZnSO4・7H2O 50〜300g/ NiSO4・6H2O 0〜400g/ Na2SO4 100g/ (NH4)2SO4 20g/ 1−2 浴PH 1.4〜1.8 1−3 浴温度 60℃ 1−4 電流密度 35A/dm2 2 Sn電気メツキ 2−1 メツキ浴組成 K2SnO3・3H2O 100g/ KOH 15g/ CH3COOK 10g/ 2−2 浴温度 60〜70℃ 2−3 電流密度 4.5A/dm2 これらの防錆鋼板A〜1のメツキ組成、メツキ
量、および性能試験結果を第1表に示す。なおこ
れらの内A,C,Dについては、Snメツキ後245
〜250℃に後加熱してSnメツキ層のリフロー処理
を行つた。さらにEについては、重クロム酸ソー
ダ浴による電解クロメート処理を行いCr量12
mg/m2のクロメート被膜を形成した。 また第1表には、従来例として現行のガソリン
タンク材料であるPb92%―Sn8%合金溶融メツキ
鋼板(目付量60g/m2)と、Znメツキ鋼板(目
付量40g/m2)に厚クロメート処理(Cr付着量
60mg/m2)を施した鋼板、比較例として熱漬ブリ
キ(Snメツキ量60g/m2)の性能を示した。性
能試験に供した試験片の形状であるが、加工を受
けた状態での耐食性を評価する意味で5cm×10cm
の試験片の中央をエリクセン試験機で5mm張出
し、加工部およびその周辺の耐食性を観察した。 第1表に示す結果から明らかなように、本発明
による防錆板は、塩水噴霧試験下で発錆しにくい
ことから、通常ガソリンの中に塩分を含む水が混
入した場合においても、有害な浮遊性の腐食生成
物の発生が抑制され、かつアルコールおよびアル
コール混合ガソリンに対してすぐれた耐食性を示
すことがわかる。 さらに最外層が軟質のSnメツキであるところ
からプレス加工時のメツキ損傷を受けにくく、か
つ抵抗溶接性、半田接合性にもすぐれており、本
発明による防錆鋼板は総合的にみてガソリン、ア
ルコールあるいはアルコール混合ガソリン用の燃
料タンク材料として適切なものである。
【表】
Claims (1)
- 1 鋼板表面にNiを5〜30%含むZn―Ni合金電
気メツキ層を1〜60g/m2の量で有し、さらに該
Zn―Ni合金電気メツキ層のうえに1g/m2以上
の量でSnメツキ層を有することを特徴とする燃
料タンク用防錆鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22753083A JPS60121295A (ja) | 1983-12-01 | 1983-12-01 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22753083A JPS60121295A (ja) | 1983-12-01 | 1983-12-01 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60121295A JPS60121295A (ja) | 1985-06-28 |
JPS6151039B2 true JPS6151039B2 (ja) | 1986-11-07 |
Family
ID=16862345
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22753083A Granted JPS60121295A (ja) | 1983-12-01 | 1983-12-01 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60121295A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63103096A (ja) * | 1986-10-20 | 1988-05-07 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 燃料容器用めつき鋼板 |
JP5381902B2 (ja) * | 2010-05-31 | 2014-01-08 | 新日鐵住金株式会社 | 表面処理鋼板及びその製造方法 |
-
1983
- 1983-12-01 JP JP22753083A patent/JPS60121295A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60121295A (ja) | 1985-06-28 |
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