JPH0533314B2 - - Google Patents
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- JPH0533314B2 JPH0533314B2 JP7367586A JP7367586A JPH0533314B2 JP H0533314 B2 JPH0533314 B2 JP H0533314B2 JP 7367586 A JP7367586 A JP 7367586A JP 7367586 A JP7367586 A JP 7367586A JP H0533314 B2 JPH0533314 B2 JP H0533314B2
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- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は自動車等の燃料タンク用材料、とくに
低級アルコールまたはその混合ガソリンあるいは
ガソリンなどの燃料タンク用材料に適した防錆鋼
板に関する。 (従来技術) 近年メタノールやエタノールなどの低級アルコ
ールは自国で製造でき、しかも安価で燃焼させて
も有害なガスを生じないことから、自動車用燃料
であるガソリンの代替燃料として世界的に注目さ
れ、すでにブラジルではニート・エタノール(純
エタノール)が自動車用燃料として多量に使用さ
れ、またアメリカ合衆国やヨーロツパなどの一部
でもメタノールやエタノールをガソリンに混入し
たアルコール混合ガソリンの使用が実用化されて
いる。 しかしながら低級アルコールやその混合ガソリ
ンを自動車用燃料に使用する場合、燃料タンクが
従来のガソリン用材料のものであると、材料が腐
食されてしまうという問題があつた。 一般に自動車用などの燃料タンク用材料として
は、プレス成形性や溶接性などタンク内外両面に
共通の特性が要求される他、タンク内面と外面と
には異なつた特性も要求される。例えばタンク内
面は常に燃料と接触しているので、内面にする側
は燃料に対する耐食性を有していることを要し、
腐食による穴あきが発生したり、燃料循環系統で
フイルターの目詰まりを生じさせるような浮遊性
の腐食生成物が生じないことが要求される。一
方、外面にする側はタンクに燃料の輸送管などを
接合する際ハンダ付け接合を行うので、ハンダ付
け性が要求される。従来このような特性を充たす
ものとして、ターンプレートと称するPb−Sn合
金めつき鋼板(特公昭57−61833号)や電気亜鉛
めつき鋼板に厚クロメート処理を施したもの(特
公昭53−19981号)が使用されている。 しかし、これらの鋼板は低級アルコールやその
混合ガソリンにより腐食されやすいという問題が
あつた。このためPb−Sn合金めつき鋼板の場合
はPb−Sn合金が浮遊性の腐食生成物を多量に生
成し、また厚クロメート処理を施した電気亜鉛め
つき鋼板の場合は孔食状の腐食および白錆が発生
するという問題があつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明はこのような低級アルコールやその混合
ガソリンによる腐食の問題を解決し、しかもハン
ダ付け性も優れた新規なる燃料タンク用防錆鋼板
を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記のような防錆鋼板を開発すべ
く種々検討した結果、防錆鋼板を鋼板の両面を
Alか、またはSi含有率が13%以下で、残部がAl
および不可避的不純物からなるAl−Si系合金で
被覆し、さらに片面をSn、Cu、Zn、NiおよびFe
の1種または2種以上で厚さ0.3〜5μm被覆した
鋼板あるいは該鋼板のAl−Si系合金をSi含有率
13%以下で、0.03〜1.0%のMg、0.05〜0.5%のTi
および0.03〜1.0%のCrの1種または2種以上を
含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなる
ものにした鋼板にすれば、AlまたはAl−Si系合
金被覆層側が低級アルコールやその混合ガソリン
に優れた耐食性を発揮することおよびSn、Cu、
Zn、NiおよびFeの被覆側がハンダ広がり性に優
れていることを見出し、本発明を完成したのであ
る。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明者らは低級アルコールおよびその混合ガ
ソリンに対する表面処理鋼板の耐食性を検討した
結果、AlまたはAl−Si系合金被覆鋼板が優れた
耐食性を発揮するのを見出した。そしてAl−Si
系合金被覆鋼板についてSi含有率を検討したとこ
ろ、該鋼板は通常溶融めつき方により製造するの
で、加工性の劣るFe−Al系合金層を抑制するの
に13%以下にすればよいことが判明した。なおこ
れらの鋼板が低級アルコールやその混合ガソリン
に対して優れた耐食性を発揮するのは、被覆層表
面に安定な酸化皮膜が形成されているためと推定
される。 しかしこのような安定な酸化皮膜が両面に存在
すると、タンク外面に燃料の輸送管などをハンダ
付け接合する際ハンダ付け性が悪くなり、シール
を完全にすることができないことが判明した。 そこで本発明者らはこの耐食性とハンダ付け性
の相反する問題を解決すべく検討した結果、Al
またはAl−Si系合金被覆鋼板の片面にハンダ広
がり性の優れた金属、すなわちSn、Cu、Zn、Ni
およびFeの1種または2種以上を0.3〜5μmの厚
さで被覆すればよいことを見出した。ここでハン
ダ広がり性に優れた金属による鋼板被覆を片面に
したのは、油送管などの取付けの際のハンダ付け
は通常片面だけであるので、その面のハンダ付け
性が確保できればよいためである。また被覆厚さ
を上記のようにしたのは、0.3μm未満であると十
分なハンダ広がり性を得ることができず、5μm
を越えて被覆してもそれ以上のハンダ広がり性が
期待できず、経済的にも高価になつて好ましくな
いからである。 ハンダ広がり性に優れた金属による被覆はとく
にSnまたはZnがハンダ広がり性に優れている。
このSnまたはZnによる被覆は単独でもよいが、
ハンダ付けの一層強い密着強度が要求される場合
には、溶融ハンダに溶解しにくい金属、すなわち
Cu、NiまたはFeを下地被覆し、その上にSnまた
はZnを被覆するのが好ましい。この場合の被覆
厚さは下地被覆の場合いずれの金属も0.1μm以
上、好ましくは0.3〜1μmの範囲がハンダ密着性
および経済性の点から適している。またSnまた
はZnの被覆厚さはハンダ広がり性および経済性
を考慮すると0.2〜4μmが好ましい。 ところでAl被覆鋼板は低級アルコールおよび
その混合ガソリンいずれに対しても優れた耐食性
を発揮するが、Al−Si系合金被覆鋼板は純低級
アルコールでは若干ではあるが、孔食状の腐食が
発生することが判明した。 そこで本発明者らはさらにこの問題を解決すべ
く種々検討した結果、被覆層をSi含有率が13%以
下で、0.03〜1.0%のMg、0.05〜0.5%のTiおよび
0.03〜1.0%のCrの1種または2種以上を含むも
のにすればよいことを見出したのである。ここで
Al−Si系合金被覆層にMg、TiおよびCrの1種ま
たは2種以上を含有させると耐食性が向上するの
は、被覆層表面により安定な酸化皮膜が形成され
るためと推定される。 Mg、TiおよびCrの含有量を上記のようにした
のは、MgおよびCrの場合は0.03%未満であると
鋼板を純低級アルコール、例えば純メタノール中
に浸漬した場合、孔食状の腐食が若干発生し、燃
料タンク材料として十分なる耐食性が得られず、
他方1.0%を越えて含有させても耐食性向上効果
が飽和して、それ以上の効果が得られないからで
ある。Tiの場合も同様で、0.05%未満であると十
分なる耐食性向上効果が得られず、0.5%を越え
て含有させても耐食性向上効果が飽和してしまう
ことによる。 本発明の防錆鋼板のAlまたはAl−Si系合金の
被覆方法としては、例えば溶融めつき法、蒸着め
つき法、粉末めつき法、溶融塩めつき法、非水溶
液電気めつき法、溶射法あるいはクラツド法など
が挙げられるが、これらのいずれの方法で被覆し
たものでも被覆法に関係なく低級アルコールおよ
びその混合ガソリンに優れた耐食性を発揮するこ
とが確認されている。 しかし燃料タンクに加工する際の加工性を考慮
すると、Al被覆は溶融めつき法以外の方法で被
覆したものが好ましく、逆にAl−Si系合金被覆
は溶融めつき法により被覆したものが好ましい。
これはAl被覆鋼板の場合、溶融めつき法により
被覆すると、被覆層と鋼板との界面に加工性の劣
るFe−Al系合金層が厚く形成され、加工すると
被覆層にクラツクが発生し、その部分の耐食性が
低下してしまうからである。これに対してAl−
Si系合金被覆鋼板の場合は溶融めつきの際めつき
浴にSiが添加されているので、加工性の劣るFe
−Al系合金層の成長が抑制され、加工により被
覆層にクラツクが発生することが少ないからであ
る。 Al−Si系合金を溶融めつき法により被覆する
場合は被覆層がSiを3〜13%含有したものにする
のが好ましい。これはSiが3%未満であると、溶
融めつきの際Fe−Al系合金層の成長を十分抑制
できず、他方13%を越えで含有させても合金層の
抑制効果が13%で飽和してしまうためである。 Sn、Cu、Zn、NiおよびFeの被覆としては、電
気めつき法、蒸着めつき法、置換めつき法および
無電解めつき法などが挙げられるが、本発明では
とくに被覆法に制限がない。 次に実施例により本発明を説明する。 (実施例) 板厚0.8mmのAlキルド低炭素鋼板を素材として
まず次のように種々の被覆鋼板を製造した。 (1) 溶融Al−Si系合金めつき鋼板 鋼板を脱脂した後、温度が700℃の50%H2−
N2雰囲気中で30秒間焼鈍し、引続いて温度が
660℃の同雰囲気下にある下記合金めつき浴に
浸漬してめつき厚さが10μmになるように溶融
めつきした。 (a) Al−Siめつき鋼板 Si 8.5% 残Alおよび不可避的不純物 (b) Al−Si−Mgめつき鋼板 Si 8.5% Mg 0.01%、0.03%および1.0% 残Alおよび不可避的不純物 (c) Al−Si−Tiめつき鋼板 Si 8.5% Ti 0.01%、0.05%および0.5% 残Alおよび不可避的不純物 (d) Al−Si−Crめつき鋼板 Si 8.5% Cr 0.01%、0.03%および1.0% 残Alおよび不可避的不純物 (2) 蒸着めつき鋼板 鋼板を脱脂した後、温度が700℃の50%H2−
N2雰囲気中で60秒間焼鈍し、引続いて真空圧
3×10-5Torr、基板温度(板温)250℃、蒸着
レート1μm/minなる条件でAlを蒸着めつきし
た。 (3) Alクラツド鋼板 鋼板を芯材に、板厚1.0mmの1100(H24)Al板
を皮材に用いて、両者を脱脂後合わせて250℃
に加熱してまず圧下率70%で1次冷延を、次に
350℃で15時間拡散焼鈍を、さらに圧下率20%
で2次冷延を施し、Alクラツド鋼板とした。 次に以上の(1)〜(3)のようにして製造したAl被
覆鋼板およびAl−Si系合金被覆鋼板に脱脂、ア
ルカリエツチングおよび酸洗を施した後、片面に
公知電気めつき法によりSn、Cu、Zn、Niまたは
Feの1種または2種以上をめつきし、本発明の
燃料タンク用防錆鋼板と本発明範囲外のめつき鋼
板とを製造した。 その後これらの鋼板のAlまたはAl−Si系合金
の被覆層側の低級アルコールおよびその混合ガソ
リンに対する耐食性を調査するとともに、Sn、
Cu、Zn、NiおよびFe被覆層側のハンダ広がり性
を調査した。 第1表にこれら鋼板のAlまたはAl−Si系合金
被覆層側と、従来の燃料タンク用防錆鋼板である
Pb−8%Sn合金めつき鋼板(片面めつき付着量
45g/m2)およびクロム換算で皮膜量が45mg/m2
であるクロメート皮膜を有する電気亜鉛めつき鋼
板(片面めつき付着量40g/m2)とのメタノール
およびメタノール混合ガソリンなどに対する耐食
性を示す。 なお耐食性調査は従来材の場合も板厚が0.8mm
のものを用い、幅が50mm、長さが100mmの試験片
をエリクセン試験機で5mm張出し加工を行い、そ
れを第1表に示すメタノール、水含有メタノール
またはメタノール混合ガソリンに室温で11箇月間
浸漬することにより加工部およびその周辺の腐食
状況を調査することにより行つた。
低級アルコールまたはその混合ガソリンあるいは
ガソリンなどの燃料タンク用材料に適した防錆鋼
板に関する。 (従来技術) 近年メタノールやエタノールなどの低級アルコ
ールは自国で製造でき、しかも安価で燃焼させて
も有害なガスを生じないことから、自動車用燃料
であるガソリンの代替燃料として世界的に注目さ
れ、すでにブラジルではニート・エタノール(純
エタノール)が自動車用燃料として多量に使用さ
れ、またアメリカ合衆国やヨーロツパなどの一部
でもメタノールやエタノールをガソリンに混入し
たアルコール混合ガソリンの使用が実用化されて
いる。 しかしながら低級アルコールやその混合ガソリ
ンを自動車用燃料に使用する場合、燃料タンクが
従来のガソリン用材料のものであると、材料が腐
食されてしまうという問題があつた。 一般に自動車用などの燃料タンク用材料として
は、プレス成形性や溶接性などタンク内外両面に
共通の特性が要求される他、タンク内面と外面と
には異なつた特性も要求される。例えばタンク内
面は常に燃料と接触しているので、内面にする側
は燃料に対する耐食性を有していることを要し、
腐食による穴あきが発生したり、燃料循環系統で
フイルターの目詰まりを生じさせるような浮遊性
の腐食生成物が生じないことが要求される。一
方、外面にする側はタンクに燃料の輸送管などを
接合する際ハンダ付け接合を行うので、ハンダ付
け性が要求される。従来このような特性を充たす
ものとして、ターンプレートと称するPb−Sn合
金めつき鋼板(特公昭57−61833号)や電気亜鉛
めつき鋼板に厚クロメート処理を施したもの(特
公昭53−19981号)が使用されている。 しかし、これらの鋼板は低級アルコールやその
混合ガソリンにより腐食されやすいという問題が
あつた。このためPb−Sn合金めつき鋼板の場合
はPb−Sn合金が浮遊性の腐食生成物を多量に生
成し、また厚クロメート処理を施した電気亜鉛め
つき鋼板の場合は孔食状の腐食および白錆が発生
するという問題があつた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明はこのような低級アルコールやその混合
ガソリンによる腐食の問題を解決し、しかもハン
ダ付け性も優れた新規なる燃料タンク用防錆鋼板
を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記のような防錆鋼板を開発すべ
く種々検討した結果、防錆鋼板を鋼板の両面を
Alか、またはSi含有率が13%以下で、残部がAl
および不可避的不純物からなるAl−Si系合金で
被覆し、さらに片面をSn、Cu、Zn、NiおよびFe
の1種または2種以上で厚さ0.3〜5μm被覆した
鋼板あるいは該鋼板のAl−Si系合金をSi含有率
13%以下で、0.03〜1.0%のMg、0.05〜0.5%のTi
および0.03〜1.0%のCrの1種または2種以上を
含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなる
ものにした鋼板にすれば、AlまたはAl−Si系合
金被覆層側が低級アルコールやその混合ガソリン
に優れた耐食性を発揮することおよびSn、Cu、
Zn、NiおよびFeの被覆側がハンダ広がり性に優
れていることを見出し、本発明を完成したのであ
る。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明者らは低級アルコールおよびその混合ガ
ソリンに対する表面処理鋼板の耐食性を検討した
結果、AlまたはAl−Si系合金被覆鋼板が優れた
耐食性を発揮するのを見出した。そしてAl−Si
系合金被覆鋼板についてSi含有率を検討したとこ
ろ、該鋼板は通常溶融めつき方により製造するの
で、加工性の劣るFe−Al系合金層を抑制するの
に13%以下にすればよいことが判明した。なおこ
れらの鋼板が低級アルコールやその混合ガソリン
に対して優れた耐食性を発揮するのは、被覆層表
面に安定な酸化皮膜が形成されているためと推定
される。 しかしこのような安定な酸化皮膜が両面に存在
すると、タンク外面に燃料の輸送管などをハンダ
付け接合する際ハンダ付け性が悪くなり、シール
を完全にすることができないことが判明した。 そこで本発明者らはこの耐食性とハンダ付け性
の相反する問題を解決すべく検討した結果、Al
またはAl−Si系合金被覆鋼板の片面にハンダ広
がり性の優れた金属、すなわちSn、Cu、Zn、Ni
およびFeの1種または2種以上を0.3〜5μmの厚
さで被覆すればよいことを見出した。ここでハン
ダ広がり性に優れた金属による鋼板被覆を片面に
したのは、油送管などの取付けの際のハンダ付け
は通常片面だけであるので、その面のハンダ付け
性が確保できればよいためである。また被覆厚さ
を上記のようにしたのは、0.3μm未満であると十
分なハンダ広がり性を得ることができず、5μm
を越えて被覆してもそれ以上のハンダ広がり性が
期待できず、経済的にも高価になつて好ましくな
いからである。 ハンダ広がり性に優れた金属による被覆はとく
にSnまたはZnがハンダ広がり性に優れている。
このSnまたはZnによる被覆は単独でもよいが、
ハンダ付けの一層強い密着強度が要求される場合
には、溶融ハンダに溶解しにくい金属、すなわち
Cu、NiまたはFeを下地被覆し、その上にSnまた
はZnを被覆するのが好ましい。この場合の被覆
厚さは下地被覆の場合いずれの金属も0.1μm以
上、好ましくは0.3〜1μmの範囲がハンダ密着性
および経済性の点から適している。またSnまた
はZnの被覆厚さはハンダ広がり性および経済性
を考慮すると0.2〜4μmが好ましい。 ところでAl被覆鋼板は低級アルコールおよび
その混合ガソリンいずれに対しても優れた耐食性
を発揮するが、Al−Si系合金被覆鋼板は純低級
アルコールでは若干ではあるが、孔食状の腐食が
発生することが判明した。 そこで本発明者らはさらにこの問題を解決すべ
く種々検討した結果、被覆層をSi含有率が13%以
下で、0.03〜1.0%のMg、0.05〜0.5%のTiおよび
0.03〜1.0%のCrの1種または2種以上を含むも
のにすればよいことを見出したのである。ここで
Al−Si系合金被覆層にMg、TiおよびCrの1種ま
たは2種以上を含有させると耐食性が向上するの
は、被覆層表面により安定な酸化皮膜が形成され
るためと推定される。 Mg、TiおよびCrの含有量を上記のようにした
のは、MgおよびCrの場合は0.03%未満であると
鋼板を純低級アルコール、例えば純メタノール中
に浸漬した場合、孔食状の腐食が若干発生し、燃
料タンク材料として十分なる耐食性が得られず、
他方1.0%を越えて含有させても耐食性向上効果
が飽和して、それ以上の効果が得られないからで
ある。Tiの場合も同様で、0.05%未満であると十
分なる耐食性向上効果が得られず、0.5%を越え
て含有させても耐食性向上効果が飽和してしまう
ことによる。 本発明の防錆鋼板のAlまたはAl−Si系合金の
被覆方法としては、例えば溶融めつき法、蒸着め
つき法、粉末めつき法、溶融塩めつき法、非水溶
液電気めつき法、溶射法あるいはクラツド法など
が挙げられるが、これらのいずれの方法で被覆し
たものでも被覆法に関係なく低級アルコールおよ
びその混合ガソリンに優れた耐食性を発揮するこ
とが確認されている。 しかし燃料タンクに加工する際の加工性を考慮
すると、Al被覆は溶融めつき法以外の方法で被
覆したものが好ましく、逆にAl−Si系合金被覆
は溶融めつき法により被覆したものが好ましい。
これはAl被覆鋼板の場合、溶融めつき法により
被覆すると、被覆層と鋼板との界面に加工性の劣
るFe−Al系合金層が厚く形成され、加工すると
被覆層にクラツクが発生し、その部分の耐食性が
低下してしまうからである。これに対してAl−
Si系合金被覆鋼板の場合は溶融めつきの際めつき
浴にSiが添加されているので、加工性の劣るFe
−Al系合金層の成長が抑制され、加工により被
覆層にクラツクが発生することが少ないからであ
る。 Al−Si系合金を溶融めつき法により被覆する
場合は被覆層がSiを3〜13%含有したものにする
のが好ましい。これはSiが3%未満であると、溶
融めつきの際Fe−Al系合金層の成長を十分抑制
できず、他方13%を越えで含有させても合金層の
抑制効果が13%で飽和してしまうためである。 Sn、Cu、Zn、NiおよびFeの被覆としては、電
気めつき法、蒸着めつき法、置換めつき法および
無電解めつき法などが挙げられるが、本発明では
とくに被覆法に制限がない。 次に実施例により本発明を説明する。 (実施例) 板厚0.8mmのAlキルド低炭素鋼板を素材として
まず次のように種々の被覆鋼板を製造した。 (1) 溶融Al−Si系合金めつき鋼板 鋼板を脱脂した後、温度が700℃の50%H2−
N2雰囲気中で30秒間焼鈍し、引続いて温度が
660℃の同雰囲気下にある下記合金めつき浴に
浸漬してめつき厚さが10μmになるように溶融
めつきした。 (a) Al−Siめつき鋼板 Si 8.5% 残Alおよび不可避的不純物 (b) Al−Si−Mgめつき鋼板 Si 8.5% Mg 0.01%、0.03%および1.0% 残Alおよび不可避的不純物 (c) Al−Si−Tiめつき鋼板 Si 8.5% Ti 0.01%、0.05%および0.5% 残Alおよび不可避的不純物 (d) Al−Si−Crめつき鋼板 Si 8.5% Cr 0.01%、0.03%および1.0% 残Alおよび不可避的不純物 (2) 蒸着めつき鋼板 鋼板を脱脂した後、温度が700℃の50%H2−
N2雰囲気中で60秒間焼鈍し、引続いて真空圧
3×10-5Torr、基板温度(板温)250℃、蒸着
レート1μm/minなる条件でAlを蒸着めつきし
た。 (3) Alクラツド鋼板 鋼板を芯材に、板厚1.0mmの1100(H24)Al板
を皮材に用いて、両者を脱脂後合わせて250℃
に加熱してまず圧下率70%で1次冷延を、次に
350℃で15時間拡散焼鈍を、さらに圧下率20%
で2次冷延を施し、Alクラツド鋼板とした。 次に以上の(1)〜(3)のようにして製造したAl被
覆鋼板およびAl−Si系合金被覆鋼板に脱脂、ア
ルカリエツチングおよび酸洗を施した後、片面に
公知電気めつき法によりSn、Cu、Zn、Niまたは
Feの1種または2種以上をめつきし、本発明の
燃料タンク用防錆鋼板と本発明範囲外のめつき鋼
板とを製造した。 その後これらの鋼板のAlまたはAl−Si系合金
の被覆層側の低級アルコールおよびその混合ガソ
リンに対する耐食性を調査するとともに、Sn、
Cu、Zn、NiおよびFe被覆層側のハンダ広がり性
を調査した。 第1表にこれら鋼板のAlまたはAl−Si系合金
被覆層側と、従来の燃料タンク用防錆鋼板である
Pb−8%Sn合金めつき鋼板(片面めつき付着量
45g/m2)およびクロム換算で皮膜量が45mg/m2
であるクロメート皮膜を有する電気亜鉛めつき鋼
板(片面めつき付着量40g/m2)とのメタノール
およびメタノール混合ガソリンなどに対する耐食
性を示す。 なお耐食性調査は従来材の場合も板厚が0.8mm
のものを用い、幅が50mm、長さが100mmの試験片
をエリクセン試験機で5mm張出し加工を行い、そ
れを第1表に示すメタノール、水含有メタノール
またはメタノール混合ガソリンに室温で11箇月間
浸漬することにより加工部およびその周辺の腐食
状況を調査することにより行つた。
【表】
【表】
第1表より明らかなように、本発明のAl被覆
鋼板はメタノール、水含有メタノールおよびその
混合ガソリンのいずれに対しても優れた耐食性を
発揮するが、Al−Si系合金被覆鋼板の場合は純
メタノールおよび水含有メタノールにより若干孔
食が発生する。しかしAl−Si系合金被覆鋼板で
も被覆層にMg、TiまたはCrを0.03%以上含有す
るものは純メタノールおよび水含有メタノールに
対しても優れた耐食性を発揮する。 これに対して被覆層のMgまたはTiの含有量が
0.03%未満であるか、またはCr含有量が0.05%未
満であると、それらを含有しないAl−Si系合金
被覆鋼板の場合と同様メタノール混合ガソリンに
対しては良好な耐食性を発揮するが、純メタノー
ルおよび水含有メタノールに対しては、軽度では
あるが、孔食が発生し、腐食されてしまう。 また従来の燃料タンク用防錆鋼板であるPb−
8%Sn合金めつき鋼板の場合はメタノールおよ
びメタノール混合ガソリンにより激しく腐食さ
れ、多量の腐食生成物が発生する。同様に電気亜
鉛めつき鋼板の場合もPb−8%Sn合金めつき鋼
板程ではないが、かなり腐食されてしまう。 次に第1図はAlまたはAl−Si系合金被覆層の
片面にSnまたはZnをめつきした面側のハンダ広
がり面積とSnまたはZnめつき厚さとの関係を示
したものであるが、SnまたはZnのめつき厚さを
0.3μm以上にすると従来のPb−8%Sn合金めつ
き鋼板と同程度のハンダ広がり性を発揮する。こ
れに対してSnまたはZnのめつき厚さが0.3μm未
満であると、十分なるハンダ広がり性が得られな
い。また図示してないが、Cu、NiおよびFeを
0.3μm以上めつきしたものもSnまたはZnをめつ
きしたものと同様のハンダ広がり性を有してい
た。なおハンダ広がり性試験はフラツクス
(ZnCl2系)0.3gを使用してハンダ(Sn−40%
Pb)0.5gが300℃のハンダ浴で鋼板を30秒加熱し
た場合に広がる面積を測定する方法で5試験片に
ついて測定し、その平均値とバラツキを図示し
た。 第2図はAlまたはAl−Si系合金被覆層の片面
にCu、NiまたはFeの1種を各0.1μm下地めつき
し、その上にZnめつきした面側のハンダ広がり
面積を第1図同様に測定して、その広がり面積と
Znめつき厚さとの関係を示したものであるが、
下地めつきの種類に関係なくZnめつき厚さが0.2μ
m以上であると、十分なハンダ広がり性が得られ
るのに対して、Znめつきが0.2μm未満であると、
十分なハンダ広がり性は得られない。同様に下地
めつきの上にSnめつきを0.2μm以上施したもの
も、図示してないが、十分なハンダ広がり性を有
していた。 第2表は上記同様にCu、NiまたはFeの1種を
下地めつきし、その上にSnまたはZnを1μmめつ
きした面側のハンダ密着性を示したものである
が、下地めつきの厚さが0.1μm未満であると、ハ
ンダ密着性は低下する。なおハンダ密着性試験は
ハンダ広がり性試験を行つた試験片を一旦0t密着
曲げした後再び開いてハンダの剥離程度を目視に
判定する方法により行つた。
鋼板はメタノール、水含有メタノールおよびその
混合ガソリンのいずれに対しても優れた耐食性を
発揮するが、Al−Si系合金被覆鋼板の場合は純
メタノールおよび水含有メタノールにより若干孔
食が発生する。しかしAl−Si系合金被覆鋼板で
も被覆層にMg、TiまたはCrを0.03%以上含有す
るものは純メタノールおよび水含有メタノールに
対しても優れた耐食性を発揮する。 これに対して被覆層のMgまたはTiの含有量が
0.03%未満であるか、またはCr含有量が0.05%未
満であると、それらを含有しないAl−Si系合金
被覆鋼板の場合と同様メタノール混合ガソリンに
対しては良好な耐食性を発揮するが、純メタノー
ルおよび水含有メタノールに対しては、軽度では
あるが、孔食が発生し、腐食されてしまう。 また従来の燃料タンク用防錆鋼板であるPb−
8%Sn合金めつき鋼板の場合はメタノールおよ
びメタノール混合ガソリンにより激しく腐食さ
れ、多量の腐食生成物が発生する。同様に電気亜
鉛めつき鋼板の場合もPb−8%Sn合金めつき鋼
板程ではないが、かなり腐食されてしまう。 次に第1図はAlまたはAl−Si系合金被覆層の
片面にSnまたはZnをめつきした面側のハンダ広
がり面積とSnまたはZnめつき厚さとの関係を示
したものであるが、SnまたはZnのめつき厚さを
0.3μm以上にすると従来のPb−8%Sn合金めつ
き鋼板と同程度のハンダ広がり性を発揮する。こ
れに対してSnまたはZnのめつき厚さが0.3μm未
満であると、十分なるハンダ広がり性が得られな
い。また図示してないが、Cu、NiおよびFeを
0.3μm以上めつきしたものもSnまたはZnをめつ
きしたものと同様のハンダ広がり性を有してい
た。なおハンダ広がり性試験はフラツクス
(ZnCl2系)0.3gを使用してハンダ(Sn−40%
Pb)0.5gが300℃のハンダ浴で鋼板を30秒加熱し
た場合に広がる面積を測定する方法で5試験片に
ついて測定し、その平均値とバラツキを図示し
た。 第2図はAlまたはAl−Si系合金被覆層の片面
にCu、NiまたはFeの1種を各0.1μm下地めつき
し、その上にZnめつきした面側のハンダ広がり
面積を第1図同様に測定して、その広がり面積と
Znめつき厚さとの関係を示したものであるが、
下地めつきの種類に関係なくZnめつき厚さが0.2μ
m以上であると、十分なハンダ広がり性が得られ
るのに対して、Znめつきが0.2μm未満であると、
十分なハンダ広がり性は得られない。同様に下地
めつきの上にSnめつきを0.2μm以上施したもの
も、図示してないが、十分なハンダ広がり性を有
していた。 第2表は上記同様にCu、NiまたはFeの1種を
下地めつきし、その上にSnまたはZnを1μmめつ
きした面側のハンダ密着性を示したものである
が、下地めつきの厚さが0.1μm未満であると、ハ
ンダ密着性は低下する。なおハンダ密着性試験は
ハンダ広がり性試験を行つた試験片を一旦0t密着
曲げした後再び開いてハンダの剥離程度を目視に
判定する方法により行つた。
【表】
○…剥離なし
△…剥離がわずかに認められる
(効果) 以上のごとく、本発明の燃料タンク用防錆鋼板
はAlまたはAl−Si系合金被覆面側が低級アルコ
ールおよびその混合ガソリンに対して優れた耐食
性を発揮し、またそれらの被覆層上にSn、Cu、
Zn、NiおよびFeの1種または2種以上を被覆し
た面側が優れたハンダ付け性を有するので、低級
アルコールやその混合ガソリンの燃料用タンク用
材料として適している。
△…剥離がわずかに認められる
(効果) 以上のごとく、本発明の燃料タンク用防錆鋼板
はAlまたはAl−Si系合金被覆面側が低級アルコ
ールおよびその混合ガソリンに対して優れた耐食
性を発揮し、またそれらの被覆層上にSn、Cu、
Zn、NiおよびFeの1種または2種以上を被覆し
た面側が優れたハンダ付け性を有するので、低級
アルコールやその混合ガソリンの燃料用タンク用
材料として適している。
第1図はAlまたはAl−Si系合金被覆鋼板の片
面にSnまたはZnをめつきした本発明に係る防錆
鋼板のSnまたはZnめつき面側のハンダ広がり面
積とSnまたはZnめつき厚さとの関係を示したも
のであり、第2図はAlまたはAl−Si系合金被覆
鋼板の片面にCu、NiまたはFeの1種を下地めつ
きし、その上にZnめつきした本発明に係る防錆
鋼板のZnめつき面側のハンダ広がり面積とZnめ
つき厚さとの関係を示したものである。
面にSnまたはZnをめつきした本発明に係る防錆
鋼板のSnまたはZnめつき面側のハンダ広がり面
積とSnまたはZnめつき厚さとの関係を示したも
のであり、第2図はAlまたはAl−Si系合金被覆
鋼板の片面にCu、NiまたはFeの1種を下地めつ
きし、その上にZnめつきした本発明に係る防錆
鋼板のZnめつき面側のハンダ広がり面積とZnめ
つき厚さとの関係を示したものである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鋼板の両面をAlか、またはSi含有率が13%
以下で、残部がAlおよび不可避的不純物からな
るAl−Si系合金で被覆し、さらに片面をSn、Cu、
Zn、NiおよびFeの1種または2種以上で厚さ0.3
〜5μm被覆したことを特徴とする燃料タンク用
防錆鋼板。 2 Sn、Cu、Zn、NiおよびFeの1種または2種
による片面の被覆をまずCu、NiおよびFeの1種
または2種以上で厚さ0.1μm以上行い、次にSnま
たはZnで厚さ0.2μm以上行つたものであることを
特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の燃料タ
ンク用防錆鋼板。 3 鋼板の両面をAlか、またはSi含有率が13%
以下で、0.03〜1.0%のMg、0.05〜0.5%のTiおよ
び0.03〜1.0%のCrの1種または2種以上を含み、
残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Si
系合金で被覆し、さらに片面をSn、Cu、Zn、Ni
およびFeの1種または2種以上で厚さ0.3〜5μm
被覆したことを特徴とする燃料タンク用防錆鋼
板。 4 Sn、Cu、Zn、NiおよびFeの1種または2種
による片面の被覆をまずCu、NiおよびFeの1種
または2種以上で厚さ0.1μm以上行い、次にSnま
たはZnで厚さ0.2μm以上行つたものであることを
特徴とする特許請求の範囲第3項に記載の燃料タ
ンク用防錆鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7367586A JPS62230988A (ja) | 1986-03-31 | 1986-03-31 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7367586A JPS62230988A (ja) | 1986-03-31 | 1986-03-31 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62230988A JPS62230988A (ja) | 1987-10-09 |
JPH0533314B2 true JPH0533314B2 (ja) | 1993-05-19 |
Family
ID=13525036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7367586A Granted JPS62230988A (ja) | 1986-03-31 | 1986-03-31 | 燃料タンク用防錆鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62230988A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6396279A (ja) * | 1986-10-09 | 1988-04-27 | Nisshin Steel Co Ltd | ハンダ付け用溶融アルミメッキ鋼板の製造方法 |
US6652990B2 (en) * | 1992-03-27 | 2003-11-25 | The Louis Berkman Company | Corrosion-resistant coated metal and method for making the same |
AU694077B2 (en) * | 1996-07-01 | 1998-07-09 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Rust preventive carbon steel sheet for fuel tank having good welding gastightness and anticorrosion after forming |
JP4469030B2 (ja) * | 1999-04-05 | 2010-05-26 | 新日本製鐵株式会社 | 耐食性に優れた自動車燃料タンク用アルミめっき鋼板 |
JPWO2022215635A1 (ja) * | 2021-04-06 | 2022-10-13 |
-
1986
- 1986-03-31 JP JP7367586A patent/JPS62230988A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62230988A (ja) | 1987-10-09 |
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