JPS6142353Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、脱穀機の籾もれ防止装置に関するも
のである。

脱穀機の選別風路内に設けられている揺動選別
体は常時上下振動しながら選別移送方向へ往復揺
動運動するものであつて、その円滑な運動を保持
する必要上揺動選別体とそれに隣接する機壁内面
及び流板等の固定側との間に揺動運動に支障をき
たさない程度の空隙が設けられている。

そのため上記空隙部から籾等の一部がもれてし
まう欠点があり、従来はこの籾もれを防止するた
め揺動選別体の側壁等にゴム板等を装着したもの
も提供されているが、ゴム板等は破れたりめくれ
たりし易く満足すべき機能を果していないのが実
情である。特に螺旋移送体の近傍に設けられてい
る流板（樋）上に揺動選別体の端部を臨ませた構
造のものにおいては、螺旋移送体の回転による籾
のはね上げ作用と相俟つて流板と揺動選別体との
間から籾がもれ易い問題点がある。このことは特
に機高を低くすべく二番樋を浅くして揺動選別体
をラツプさせたものにおいて顕著である。従来、
このもれた籾は掃除して除去していたが、脱穀機
の機壁には掃除用の孔等特別設けられていないた
め、もれ籾の除去作業が大変で多くの時間と労力
を必要とし、そのためシーズンオフにはもれた籾
をそのまま放置して機体を格納してしまうことが
多々あり、その結果、機内にネズミが侵入して内
部を汚し、錆発生の原因となつていた。

本考案は上記の如き問題点を解決するためなさ
れたものであつて、脱穀機の選別風路内に設けた
揺動選別体の選別移送終端部を２番螺旋移送体近
傍に固定した流板上に臨ませ、上記揺動選別体の
終端部と流板の上端部を所要間隙を存して夫々接
近方向へ向け入り込み状に折曲形成すると共に、
揺動選別体の上記折曲部両側端には弾性体からな
る籾もれ防止体を添着したことにより、簡単な構
造のものでありながら流板と揺動選別体の接合部
近傍からの籾の飛び出し及び籾もれを確実に防止
し得て流板上に流落した籾（未処理粒等）を尽く
再度揺動選別板上等に還元されることができる脱
穀機の籾もれ防止装置を提供しようとするもので
ある。

本考案の構成を図面に示された一実施例につい
て説明すれば、第１図は脱穀機１の全体構造を示
すものであつて、２は扱胴、３は受網である。Ａ
は選別風路Ｂ内に破設された揺動選別体であつ
て、この揺動選別体Ａは受網３の直下方に位置し
且つ無孔の段付揺動板４ａと精粒漏下網４ｂを一
体的に連設してなる揺動シーブ４と、該揺動シー
ブ４の被選別物移送方向先端部から更に前方に向
け延設したストローラツク５と、上記揺動シー４
及びストローラツク５の上方に位置し且つ排塵口
２ａの直下からストローラツク５の中間部にかけ
て設けられた揺動スポーク６とストローラツク５
の下方に設けられた無孔の段付補助揺動板７とに
より構成されており、これら揺動選別体Ａの各揺
動部４，５，６，７は夫々一体的に若しくは関連
して揺動運動するようになつていて、これらの配
置構成により高さの低いコンパクトな脱穀機１が
形成されるよう工夫されている。

８は２番螺旋移送体で、その受樋を形成する流
板９の一側傾斜上端部には上記揺動選別体Ａの一
部を構成する補助揺動板７の移送終端部がラツプ
状に臨ませてある。そして上記流板９及び補助揺
動板７のラツプ側端部は所要間隙を存して夫々接
近方向へ向けＶ字形状に折曲して入り込ませてあ
り、これにより流板９と補助揺動板７の接合部に
は略全巾にわたるラビリンス状の覆壁ａが形成さ
れている。１０，１０は補助揺動板７の折曲部両
側端に一体的に添着された籾もれ防止体で、ポリ
ウレタンフオーム又はゴム等の弾性体で形成され
ており、この籾もれ防止体１０，１０に隣接して
補助揺動板７の両側にはスポンジ等の弾性部材１
１，１１が添着されている。

１２は２番還元スロワーで、その吐出口は扱室
一側から揺動シーブ４の始端側上方に臨ませてあ
る。

１３は揺動シーブ４の下方に設けた１番螺旋移
送体、１４は揚穀筒、１４ａはホツパーである。

図中、１５はフイードチエン、１６は排藁チエ
ン、１７は排藁切断装置、１８は唐箕、１９は３
番口である。

叙上の如き構成において、扱胴２で脱穀された
扱卸物のうち単粒や穂切粒及び小さな藁屑等は受
網３から揺動シーブ４上に漏下した後、揺動移送
される過程で比重選別を受け、単粒は精粒漏下網
４ｂの網目から漏下し、１番螺旋移送体１３及び
揚穀筒１４を経由してホツパー１４ａに送られ袋
詰される。

また穂切粒や枝梗付着粒等の単粒化されていな
い未処理粒及び藁屑等は揺動シーブ４の先端から
ストローラツク５上に送られ、未処理粒はストロ
ーラツク５の揺動による単粒化作用を受けながら
移送されその網目から補助揺動板７上に落下し、
藁屑は３番口１９から機外へ排出される。

一方排塵口２ａから排出される比較的長い藁屑
等の中にも末処理粒等が混入しているがこの未処
理粒等は揺動スポーク６の基端部の無孔板により
先方へ送られたのちスポークの隙間からストロー
ラツク５上に落下し上記の未処理粒と一緒になつ
て爾後の選別作用を受け、大きな藁屑等は上記同
様３番口１９から機外へ排出される。

上記の如くして補助揺動板７上に落下した未処
理粒及び単粒化された穀粒は更に２番口ｂへ向け
折返し移送され、その移送終端部から２番口ｂの
流板９に落下した後、２番螺旋移送体８及び還元
スロワー１２を経由して揺動シーブ４上に再度還
元せしめられる。

ところで補助揺動板７から流板９上に落下した
未処理粒及び単粒は２番螺旋移送体８により横移
送される際、螺旋移送体８からの反発作用を受け
て流板９上で跳動するため、流板９の高さが低く
形成されていることと相俟つて、流板９と補助揺
動板７間の空隙部かり飛び出そうとするが、これ
ら流板９の傾斜上端部と補助揺動板７の移送終端
部は互に接近する方向へ向けＶ字形状に折曲して
入り込んでいて、該部に空隙部の略全巾にわたる
ラビリンス状に覆壁ａが形成されているので、上
記螺旋移送体８がたとえ籾の跳出し方向に回転す
るもので反発粒が大であつても反発された未処理
粒等の籾は覆壁ａに当つて再度螺旋移送体８方向
へ跳返されるため、流板９と補助揺動板７間から
の籾の飛び出しは確実に阻止される。また補助揺
動板７の折曲部両側には弾性体からなる籾もれ防
止体１０，１０が添着され、この籾もれ防止体１
０，１０で補助揺動板７と脱穀機側壁内面間との
隙間が覆われるので、該部からの籾もれも防止さ
れる。この結果流板９上に落下した未処理粒等の
籾は脱穀機１の底部に漏落することなく揺動シー
ブ４上に尽く還元され再度選別処理を受ける。

上記したように本考案は、脱穀機の選別風路内
に設けた選別揺動体の選別移送終端部を２番螺旋
移送体近傍に固定した流板上に臨ませ、上記揺動
選別体の終端部と流板の上端部を所要間隙を存し
て夫々接近方向へ向け入り込み状に折曲形成する
と共に、揺動選別体の上記折曲部両側端には弾性
体からなる籾もれ防止体を添着したから、簡単な
構造のものでありながら流板と揺動選別体の接合
部近傍からの籾の飛び出し・籾もれを確実に防止
し得て、従来のものの如く、もれた籾の除去・掃
除等の面倒な作業を無用とすることができ、機体
格納中のネズミの侵入に伴う内部の汚れや錆の発
生を防止することができるばかりでなく、上記籾
もれの防止と相俟つて、構造上流板を極力低くし
得ると共に流板と揺動選別体の接合部を螺旋移送
体に可及的に近接し得て脱穀機全体も機高の低い
小型・コンパクト化とすることができる効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は本考案を装備した脱穀機の全体構造を示
す縦断面図、第２図は要部の作用説明図、第３図
は要部の一部切欠斜視図である。 図中、１は脱穀機、８は２番螺旋移送体、９は
流板、１０，１０は籾もれ防止体、Ａは揺動選別
体、Ｂは選別風路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 脱穀機の選別風路内に設けた揺動選別体の選別
   移送終端部を２番螺旋移送体近傍に固定した流板
   上に臨ませ、上記揺動選別体の終端部と流板の上
   端部を所要間隙を存して夫々接近方向へ向け入り
   込み状に折曲形成すると共に、揺動選別体の上記
   折曲部両側端には弾性体からなる籾もれ防止体を
   添着したことを特徴とする脱穀機の籾もれ防止装
   置。