JPS6135103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、額縁における裏板等の掛止具に関
するものである。

従来一般的な額縁においては、枠骨の裏側面に
所謂トンボと称する爪片を鋲等で止め、それを回
転して裏板を止めていたが、このような裏板の掛
止装置では、裏板の押え止め箇所が爪片の取付け
位置と数に限定されること、爪片の取付けが緩み
やすく自然に回転して裏板が脱落するおそれがあ
ること等の欠点があつた。しかもこのような爪片
は裏板を止める位置が枠骨の裏側面とほゞ同一平
面に限定されるので、枠骨の表裏面間の厚みが大
きいために裏板が奥深く入つている場合には、機
能上役に立たないので用いることができなかつ
た。

そこでこのような裏板位置の額縁では、枠骨の
裏側に枠内方向へ突出する掛止片を設け、その掛
止片と裏板間に屈曲した板バネからなる掛止具を
介在させ、裏板を板バネの弾発力で押し付けて止
める手段が採られていたが、この場合掛止具は枠
骨の一部と裏板との間に狭まれることにより両者
で固定される構成であるから、額縁内部のマツ
ト，作品あるいは入子等との間係で、例えばこれ
ら相互の組合せに圧接作用が減少したために、裏
板の押えに緩みが生ずると、掛止具も安定性を失
い脱落するおそれがあつた。そのため掛止具を裏
板にビス等で止めておく別途な手段が必要で、作
品の取変えに不都合な構造になる欠点があつた。

この考案は上記のような欠点を一挙に解決した
もので、裏板が裏側から引込んだ奥深い位置にあ
つても、その裏板を安定して掛止できるようにす
ることを目的としている。

次にこの考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第６図はこの考案の第１実施例を示
したもので、その掛止具P₁は、板バネをプレス加
工して形成したもので、先端部にＵ字形の反転屈
曲部１を設け、反転屈曲部１の一片１ａより裏板
掛止片２を延設し、他片１ｂより摘み片３を延設
して略Ｖ字形に形成すると共に、裏板掛止片２を
摘み片３から離反する方向へ屈折させてある。ま
た裏板掛止片２の端部外面に凸面部４を設け、そ
の凸面部４は掛止片２の端部を外側へ湾曲して形
成してある。また摘み片３が反転屈曲部１から突
出する箇所の外面に凹面部５を設け、その凹面部
５は内側へ湾曲屈折して形成してある。更に摘み
片３は、角が取れた舌片状に形成し、中央部に指
掛け孔６が設けてある。

上記構成の掛止具P₁を使用する額縁G₁，G₂，
G₃は、枠骨７の裏部に枠内へ開口する溝８を設
け、溝８の開口裏側縁に突条９を形成したもので
あつて、図中１０は板ガラス，１１は窓孔１４付
きのマツト，１２は作品，１３は裏板である。そ
して裏板１３は表側へ奥深く入つており、しかも
溝８との間にも相当の間隔Ｌを有している。

掛止具P₁の取付け要領については、溝８と裏板
１３との間隔Ｌや溝８の形態に対する掛止具P₁の
変形の融通性によつて必ずしも一様ではない。例
えば溝８と裏板１３との間隔Ｌが大きい場合は、
第３図の如く、掛止片２と摘み片３を両方から指
で摘みながら、その間を閉じることによつて反転
屈曲部１の厚みＳを縮め、縮めた屈曲部１を溝８
に押し込んで係合部５を溝８の突条９に引つ掛け
ることができる。また間隔Ｌが小さい場合は、摘
み片３にだけ指を触れ、掛止片２を裏板１３に押
圧しながら反転屈曲部１を縮め得るので、そのよ
うな操作によつても溝８に嵌着できる。

反転屈曲部１を溝８に嵌着すると、第３図から
第６図にそれぞれ示すように、枠骨７の溝８の突
条９に掛止具P₁の係合部５が嵌まるため、反転屈
曲部１の表裏面両方への回動が阻止され、反転屈
曲部１の回動不能な固定に支えられて、掛止片２
がその弾発力で裏板１３を押し付けるので、裏板
１３の脱落が防止される。しかし裏板１３を押し
付ける箇所は凸面部４であるため裏板１３を傷つ
けるおそれはない。またこの凸面部４は第３図の
如く掛止具P₁を指で摘むときに指掛け孔６と共に
指の引掛かりとなる。

また掛止具P₁を取り外す場合は、指掛け孔６に
指を掛けながら摘み片３を押圧し、反転屈曲部１
をその押圧力で縮めることによつて溝８から引き
抜くことができる。凸面部４はこの場合において
裏板１３面上を滑るので引抜きやすい。

次に第７図および第８図はこの考案の第２実施
例を示したもので、その掛止具P₂は、Ｕ字形の反
転屈曲部１の上下片１ａ，１ｂに対してそれぞれ
掛止片２と摘み片３が股開き状に開いた傾斜角度
で屈折しており、前記実施例とは違つて凸面部４
および凹面部５は無いが、同様にして額縁G₄の
溝８に着脱できるものである。

またこの掛止具P₂は、反転屈曲部１が溝８に単
に嵌まるだけであるが、溝８に窮屈に嵌まる限
り、溝８に前記実施例のような突条９が有る無し
にかゝわらず、脱出には非常に大きな抵抗を示
し、また、回動不能に固定される。しかしいずれ
にしても、掛止片２の端が裏板１３に脱出に抗す
る状態で圧接するので、掛止具P₂の脱出は防止さ
れる。したがつてその圧接による掛止片２の引つ
掛かりが強い場合には、掛止具P₂を取り外す際に
掛止片２をやゝ持ち上げてその引つ掛かりを外し
てやるのが操作上適切である。

この考案の裏板掛止具は、以上説明したよう
に、反転屈曲部を枠骨の溝に嵌着して固定するも
のであるため、ビス等の部品は何ら要しなく、し
かも、裏板の押えから自由な摘み片を有するた
め、主にその操作だけで着脱を容易にでき、裏板
が額縁の裏側から表側へ引つ込んだ奥深い位置に
あつても、その裏板を安定して掛止でき、それを
バネの弾発力で押え付けるので、裏板止めに緩み
が生ずるおそれはない。しかし掛止具自体は裏板
との関係で止められるものではなく、反転屈曲部
が枠骨の溝に嵌着して止められるため、裏板の位
置ずれ等によつて掛止具の取付け状態が悪くなる
おそれはなく、常に安定した取付け状態が保持さ
れるので、枠骨の溝の位置より更に奥深く裏板が
引つ込んでいる額縁における裏板の掛止具として
正に最適である。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図はこの考案の第１実施例を示
し、第１図は掛止具の斜視図、第２図は同断面
図、第３図は掛止具の取付け操作を示す額縁の一
部断面図、第４図は掛止具の取付け状態を示す同
額縁の一部断面図、第５図および第６図は掛止具
の取付け状態を示すそれぞれ異つた額縁の一部断
面図である。第７図はこの考案の第２実施例によ
る掛止具の斜視図、第８図は同掛止具の使用状態
を示す額縁の一部断面図である。 P₁，P₂……掛止具、G₁，G₂，G₃，G₄……額
縁、１……反転屈曲部、２……裏板掛止片、３…
…摘み片、７……枠骨、８……溝、１３……裏
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠骨の裏部に枠内へ開口する溝を設けた額縁用
   の板バネからなる裏板掛止具において、先端部に
   額縁の枠骨の溝に嵌着し裏側へ回動不能に固定し
   得るＵ字形の反転屈曲部を設けることにより、反
   転屈曲部の一片より延びる裏板掛止片と、他片よ
   り延びる摘み片とをそれぞれ形成し、裏板掛止片
   を摘み片に対して離反する方向へ屈折させ、その
   屈折方向は、反転屈曲部が嵌着する溝の位置より
   も更に表側へ奥深い位置で裏板を押え付け得る角
   度にしてあることを特微とする額縁の裏板掛止
   具。