JPS6129346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はアルミニウム又はアルミニウム合金
等の押出型材を枠骨に使つた軽金属製の額縁にお
ける裏板等の掛止装置に関するものである。

従来一般的な額縁においては、枠骨の裏側面に
所謂トンボと称する爪片を鋲等で止め、それを回
転して裏板を止めていたが、このような裏板の掛
止装置では、裏板の押え止め箇所が爪片の取付け
位置と数に限定されること、爪片の取付けが緩み
やすく自然に回転して裏板が脱落するおそれがあ
ること等の欠点があつた。

このような欠点を解決するために、枠骨の裏側
突出部分と裏板間に屈曲した板バネからなる掛止
具を介在させ、裏板を板バネの弾力で押し付ける
ようにして止める装置も工夫されたが、この場合
掛止具は枠骨の一部と裏板との間に挟まれること
により両者で固定される構成であるから、額縁内
部の入子、マツト、作品押え板等との関係で、例
えばこれら相互の組合せに圧接作用が減少したこ
とで、裏板の押えに緩みが生ずると、掛止具も安
定性を失い脱落するおそれがあつた。そのため掛
止具を裏板にビス等で止めておく別途な手段が必
要で、作品の取変えに不都合な構造になる欠点が
あつた。

この考案は上記のような欠点を一挙に解決した
もので、板バネからなる掛止具の取付け取外しが
簡単であり、しかも掛止具を裏板とは無関係に枠
骨に安定して固定し得るようにすることを目的と
している。

次にこの考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

１はアルミニウム又はアルミニウム合金の押出
型材からなる枠骨、２は金属又は合成樹脂の板バ
ネからなる裏板掛止具であつて、板ガラス３と裏
板４との間には入子５、マツト６、面金７、作品
８、作品押え板９を介在させてある。そのうち押
え板９には作品のずれを防止するためにゴム又は
合成樹脂等の弾力質材が使用されている。

枠骨１は額縁の外周となる外周部壁１０はら１
対の内向片１１，１２を突設することにより裏側
端縁部に額縁の内側へ開口する掛止具取付溝１３
を設け、取付溝１３の開口裏側縁に表側へ向けて
突縁部１４を形成してある。また額縁前面の縁と
なる表面縁片１５を半円弧形断面に形成し、その
内側にＬ字形屈折片１６と直片１７を突設するこ
とによりＬ字形連結板１８の挿入ポケツト１９を
設け、屈折片１６と直片１７との間よりビス２０
を連結板１８に螺入して縦横枠骨１，１が連結さ
れている。更にこの枠骨１は内周部壁１０から屈
折片２１を、表側内向片１１から直片２２を突設
することにより内周部壁１０の内面に沿つてＬ字
形連結楔２３の打込みポケツト２４を設け、この
連結楔２３によつても縦横枠骨１，１が連結され
ている。そしてこの打込みポケツト２４を構成す
る屈折片２１と直片２２に当接して板ガラス３等
の端当て２５を内蔵し、板ガラス３、入子５、マ
ツト６、押え板９が額縁の平面方向にずれるのを
防止してある。

掛止具２は枠骨１の取付溝１３に押込み得るよ
う先端に反転屈折部２６を有する二叉状に形成
し、裏板４との離反片２７に枠骨１取付溝１３の
突縁部１４に脱出不能に引つ掛かる係合部２８を
設け、その係合部２８は先端からは取付溝１３の
開口巾Ｗより長い寸法Ｌの位置において段状に形
成してある。また離反片２７の端部に抜孔２９を
設けてあつて、この抜孔２９は掛止具２の操作時
には指掛孔として、額縁使用時には壁掛け用の釘
や紐等の通し孔として都合良く利用できる。一方
離片２７と対になる掛止片３０は裏板４を直接掛
止するもので、その作用を果すために取付溝１３
より一部が突出する長さに形成されている。

上記構成において、掛止具２で裏板４を止める
場合には、第４図に示すように、掛止具２を裏板
４上に滑らせながら枠骨１の取付溝１３に先端の
屈折部２５を向かわせ、離反片２７の端を指先で
押圧しつつ第５図の如く取付溝１３に押込むが、
この際に離反片２７と掛止片３０との間の角度が
徐々に小さくなつて圧縮されるため押込み操作は
至つて容易である。そして離反片２７の係合部２
８が取付溝１３の突縁部１４に達すると、第６図
のように離反片２７が反発して係合部２８が突縁
部１４に引つ掛かり、離反片２７を押圧して積極
的に突縁部１４から係合部２８を外す操作をしな
い限り外れない状態となる。またこの状態では反
発力で掛止片３０が表側内向片１１に圧接し固定
されるため、裏板４は掛止片３０によつて脱出不
能に止められる。

逆に掛止具２を取外す場合には、その離反片２
７を押圧しながらやゝ引くことによつて取付溝１
３の突縁部１４からの係合部２８を外して第５図
の状態に戻すと、その後は離反片２７が掛止片３
０に対して開こうとする反発力の作用で、掛止具
２が取付溝１３の口から自然に脱出するため、そ
の取外し操作も至つて容易である。

以上のようにこの考案は、額縁に裏板を止める
ために板バネからなる掛止具を取付ける構成であ
るから、裏板を止める箇所が限定されないことは
勿論、掛止具の取付け取外しが極めて容易であつ
てほとんどワンタツチで操作できるので、作品収
めやその取変えが容易な額縁を提供する上におい
て正に最適である。しかも掛止具は裏板とは無関
係に枠骨との組ぬわせだけでそれに安定して取付
け得るので、例えば仮に実施例の額縁の如く弾力
質材からなる作品押え板が年月の経過によつて弾
力を失つたために裏板に緩みが生じたとしても、
掛止具には何ら影響がなくその安定した取付け状
態を保持でき、結果的に裏板の脱落を安全に防止
し得る顕著な効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は額
縁の一部背面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線矢視の
断面図、第３図は掛止具の斜視図、第４図、第５
図、第６図は掛止具の取付け手順を示す額縁の一
部断面図である。 １……枠骨、２……掛止具、１３……取付溝、
１４……突縁部、２６……屈折部、２７……掛止
具の一片、２８……係合部、３０……掛止具の他
片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠骨の裏側端縁部に額縁の内側へ開口する掛止
   具取付溝を設け、取付溝の開口裏側縁に表側へ向
   けて突縁部を形成し、掛止具を枠骨の取付溝に弾
   力的に押込み得るよう板バネが屈折し先端にその
   反転屈折部を有する二叉状に形成し、且つ掛止具
   の一片にその反発力で取付溝の突縁部に脱出不能
   に引つ掛かる係合部を設け、他片に裏板等が押え
   止められるように構成した額縁における裏板等の
   掛止装置。