JPS6130094B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、シース管等の基礎への埋設方法に関
する。

コンクリート基礎上に、予め工場で所定水準迄
完成させた複数個のユニツト構造体を設置固定し
て建物を構築しようとする場合、一般に、予め基
礎にアンカーボルトを埋設して置き、このアンカ
ーボルトにより上記ユニツト構造体を固定する方
法が採用されている。しかし、斯る方法による場
合、アンカーボルトの埋設位置に誤差があると、
その誤差が極めて微少であつてもユニツト構造体
の所定位置への正確な設置が困難になり、場合に
よつては不可能になる等の問題がある。

そこで、斯る問題を解消するため、基礎に予め
シース管を埋設して置くと共に、ユニツト構造体
に予めアンカーボルトを結合して置き、ユニツト
構造体の基礎上への設置に際し、アンカーボルト
をシース管内に挿入し、アンカーボルトの挿入前
又は後にシース管内にグラウト材を充填固化させ
てアンカーボルトを埋設するグラウト工法が開発
された。そして、この方法によれば、シース管の
位置に多少の誤差を生じてもユニツト構造体を所
定位置に正確且つ容易に設置固定できる。

また、上述のユニツト構造体の設置固定に際し
ては、その据付レベルを正確に規制することが必
要であり、そのために、基礎にレベル調整用イン
サートアンカーを埋設して置き、このインサート
アンカーに据付レベル調整ボルトを螺合する方法
が開発された。そしてこの方法によれば、レベル
調整用インサートアンカーを基礎の所定位置に埋
設後は容易に据付レベルを調整できる。

本発明は、前述のグラウト工法によりユニツト
構造体を基礎上に設置固定する際に必要なシース
管、及び上記レベル調整用インサートアンカー
を、基礎内の所定位置に同時に埋設する方法を提
供するものであり、本発明の方法によれば、上記
シース管等の埋設を要する全ての所定位置にそれ
ぞれシース管等を容易に埋設することができる。

以下本発明のシース管等の基礎への埋設方法の
好ましい一実施態様を、図面に沿つて説明する。

第１〜３図において１は本発明方法に用いられ
るセツト治具、５はコンクリート基礎打設用型
枠、６はシース管、７はレベル調整用インサート
アンカーであり、本発明のシース管等の基礎への
埋設方法は、常法により第１図に示す如くコンク
リート基礎打設用型枠５，５の枠組みをした後、
シース管６及びレベル調整用アンカー７を第１図
に示す如く脱離可能に予め取付け保持したセツト
治具１を、第３図に示す如く、シース管６及びレ
ベル調整用インサートアンカー７を所定位置に吊
下させてコンクリート基礎打設用型枠５，５に係
架固定し、コンクリート基礎１０打設後、コンク
リート基礎打設用型枠５，５の脱型時に又はその
脱型前に上記セツト治具１を上記シース管６及び
上記レベル調整用インサートアンカー７から離脱
させることにより、建物のコンクリート基礎１０
の打設時に、アンカーボルト１８（第４，５図）
をグラウト材１７（第５図）により固定するため
のシース管６、及び上記基礎１０上に固定する構
造体１１（第４，５図）の据付レベルを規制する
ためのレベル調整用インサートアンカー７を、同
時に上記基礎１０の所定位置に埋設するものであ
る。

本発明に用いるセツト治具１は、コンクリート
基礎打設用型枠５に係架固定される水平固定枠２
と、水平固定枠２によつて下方に建設支持されて
いる水平保持板３とを主体として構成してある。
上記水平固定枠２は、その中央部に矩形状に開設
した開口部２０を備えてなるもので、その４隅
に、上方から垂直に螺合させた４本のボルトから
なるレベル調整機構２１を設けてあり、又必要に
応じた適宜箇所に、上記コンクリート基礎打設用
型枠５への固定に用いられるフツクボルトからな
る固定具２２，２２，２２を長孔２３，２３，２
３を貫通させてナツト２４，２４，２４により吊
下保持させてある。尚、２５，２５，２５，２５
は周縁部に設けた切欠部で、水平固定枠１２の上
記コンクリート基礎打設用型枠５上への係架固定
に際し、上記コンクリート基礎打設用型枠５上に
張架された水系に合致させることにより、水平固
定枠２を所定の向き及び位置に定める定規として
の機能を有している。又上記水平保持板３は、上
記水平固定枠２の開口部２０の一部の周縁に連設
した垂下連結枠４，４を介して上記開口部２０の
下方に上記水平固定枠２との間隔を一定にして支
持してあり、それぞれ孔部より形成したシース管
６の保持部３０及びレベル調整用インサートアン
カー７の保持部３１を設けてある。尚、上記垂下
連結枠４，４は必らずしも開口部２０の一部の周
縁に限らず、水平固定枠２に垂下させて固定して
あれば良い。上記保持部３０に保持されるシース
管６は、上部を開口させ、底部を閉塞し、且つそ
の底部内側にナツト部（図示せず）を設け、更に
その側面部をコンクリート基礎への埋設保持力を
増加させるため蛇腹形状となしてあり、上記保持
部３０は、その上方より挿通された長ボルト８の
先端部を上記ナツト部に螺合することにより、シ
ース管６を吊下保持するようになしてある。又上
記保持部３１に保持されるレベル調整用インサー
トアンカー７は、上部を開口させた、据付レベル
調整ボルト９を螺合し得る長ナツト構造となして
あると共に、コンクリート基礎への埋設保持力を
増加するためその側面部を蛇腹形状とし、且つそ
の底部を２叉に分岐させてあり、上記保持部３１
は、その上方より挿通された据付レベル調整ボル
ト９を上記レベル調整用インサートアンカー７に
螺合することにより、上記レベル調整用インサー
トアンカー７を吊下保持するようになしてある。

而してセツト治具１にシース管６及びレベル調
整用アンカー７を予め取付け保持さるには、上述
の如く長ボルト８及び据付レベル調整ボルト９を
用いて行なえば良い。

又、セツト治具１のコンクリート基礎打設用型
枠５，５への係架固定は、第３図の如く水平固定
枠２をコンクリート基礎打設用型枠５，５の上方
に位置させて水平固定枠２に螺合したレベル調整
機構（ボルト）２１の下端をコンクリート基礎打
設用型枠５，５の上端面に支持させ、且つ第１図
に示す固定具２２，２２，２２を、その先端部を
コンクリート基礎打設用型枠５，５に設けた孔部
（図示せず）に係止させてナツト２４，２４によ
り水平固定枠２に緊結して行なうことができる。

かかる係止固定に際しては、水平固定枠２に設
けた切欠部２５，２５，２５をコンクリート基礎
打設用型枠５，５の上方に張架した水糸（図示せ
ず）に合致させることにより、水平固定枠２、ひ
いては水平保持板３、ひいてはシース管６及びレ
ベル調整用インサートアンカー７の位置及び向き
を所定のものに調整することができる。又、レベ
ル調整機構２１の水平固定枠２への螺合度合の変
化、及びこれに付随して行なう固定具２２，２
２，２２のナツト２４，２４，２４への螺合度合
の変化により、水平固定枠２、ひいては水平保持
板３、ひいてはシース管６及びレベル調整用イン
サートアンカー７のレベル及び角度（水平）を所
定のものに調整することができる。

本発明において上述の調整により、シース管６
及びレベル調整用インサートアンカー７を所定位
置に吊下させた後、コンクリート基礎打設用型枠
５，５間にコンクリート基礎１０を好ましくは第
３図に示す如く水平保持板３の下面まで打設し、
しかる後コンクリート基礎打設用型枠５，５の脱
型時に又はその脱型前に固定具２２，２２，２
２、長ボルト８、及び据付レベル調整ボルト９の
固定を解除させてセツト治具１をコンクリート基
礎打設用型枠５，５、シース管６、及びレベル調
整用インサートアンカー７から離脱させることに
より、かくしてシース管６及びレベル調整用イン
サートアンカー７をコンクリート基礎１０の所定
位置に同時に埋設することができる。

而して、このようにシース管６及びレベル調整
用インサートアンカー７を所定位置に埋設したコ
ンクリート基礎１０上に、第４図及び第５図に要
部を示す構造体１１、即ち、鋼製梁材１２，１
２，１２，１２を矩形に枠組し、その上面に床板
１３を固定して床体を形成するとともに該床体の
隅角部に４本の鋼製中空柱体１４，１４，１４，
１４を立設し、且つ外側部の一部に外壁体１５を
固定してなるユニツト構造体１１を、グラウト工
法により設置固定するには、第４図（図面を簡略
化するため上記外壁体１５を離脱させてある）に
示す如くレベル調整用インサートアンカー７に据
付レベル調整ボルト９を所定の高さに螺合し、且
つシース管６及びレベル調整用インサートアンカ
ー７を囲んで弾性枠体１６をコンクリート基礎１
０上に載置して上記シース管６内にグラウト材１
７（第５図）を注入する一方、構造体１１の上記
床体の隅角部下面にアンカーボルト１８を取付固
定し、構造体１１をクレーン等により降下させて
第５図に示す如くアンカーボルト１８をグラウト
材１７に没入させると共に、上記床材の隅角部下
面を据付レベル調整ボルト９上に載置すれば良
い。この場合、アンカーボルトのグラウト材１７
への没入によつて、グラウト材１７の上面（液
面）は若干上昇するが、弾性枠体１６によりその
溢出は阻止され、又グラウト材１７の硬化によ
り、アンカーボルト１８は堅固にコンクリート基
礎１０に固定される。

尚、以上はユニツト工法によりユニツト構造体
１１を隣接設置して建物を構築する場合におけ
る、ユニツト構造体１１，１１，…の隣接してな
い箇所における説明をしたが、ユニツト構造体１
１，１１，…の隣接箇所においては、複数のユニ
ツト構造体１１，１１，…の据付レベルを調整し
且つその床体隅角部下面のアンカーボルト１８を
固定するため、水平保持板にシース管の保持部３
０及びレベル調整用インサートアンカーの保持部
３１を複数組設けるようにする。又隣接するユニ
ツト構造体１１，１１，…の設置固定レベルが異
なる場合には、水平保持板３，３を異なる高さで
通常２枚水平固定枠２に固定し、保持板３，３そ
れぞれに上記保持部３０，３１を設けるようにす
る。

又、以上は、シース管６及びレベル調整用イン
サートアンカー７の埋設を要する位置一箇所につ
いての説明をしたが、シース管６及びレベル調整
用インサートアンカー７の埋設を要する全ての位
置に、それぞれ同一基準で形成したセツト治具
１，１，…を、その係架固定位置を相互に調整し
て係架固定し、各シース管６，６，…及び各レベ
ル調整用インサートアンカー７，７，…の位置関
係を、コンクリート基礎１０の打設前に、相互に
同一基準で調整する吊下位置調整工程を実施する
のはいうまでもない。

叙上の如く、本発明のシース管等の基礎への埋
設方法によれば、セツト治具によりシース管及び
レベル調整用インサートアンカーを所定位置に吊
下さえすれば、通常のコンクリート基礎打設作業
を行なうだけで、上記シース管及びレベル調整用
インサートアンカーを、これらの埋設を要する全
てのコンクリート基礎の所定位置に、相互の位置
関係を充分な精度を以つて同時且つ容易に埋設す
ることができ、従つてグラウト工法を極めて容易
に実施できる等の多大な効果が奏せられる。

【図面の簡単な説明】

第１図はシース管及びレベル調整用インサート
アンカーを保持させたセツト治具の、コンクリー
ト基礎打設用型枠への係架固定前における本発明
の一実施態様を示す斜視図、第２図はセツト治具
の斜視図、第３図はセツト治具の係架固定後コン
クリート基礎を打設した状態における本発明の一
実施態様を示す縦断面図、第４図はシース管及び
レベル調整用インサートアンカーを埋設したコン
クリート基礎上へのユニツト構造体の設置固定直
前の態様を示す斜視図、第５図はユニツト構造体
の設置固定態様を示す縦断面図である。 １…セツト治具、２…水平固定枠、３…水平保
持板、４…垂下連結枠、５…コンクリート基礎打
設用型枠、６…シース管、７…レベル調整用イン
サートアンカー、８…長ボルト、９…据付レベル
調整ボルト、１０…コンクリート基礎、１１…構
造体、１７…グラウト材、１８…アンカーボル
ト、２０…開口部、２１…レベル調整機構、２２
…固定具、３０…シース管の保持部、３１…レベ
ル調整用アンカーの保持部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 建物のコンクリート基礎の打設時に、アンカ
   ーボルトをグラウト材により固定するためのシー
   ス管、及び上記基礎上に固定する構造体の据付レ
   ベルを規制するためのレベル調整用インサートア
   ンカーを、同時に上記基礎の所定位置に埋設する
   方法であつて、コンクリート基礎打設用型枠の枠
   組みをした後、上記シース管及び上記レベル調整
   用インサートアンカーを脱離可能に予め取付け保
   持したセツト治具を、上記シース管及び上記レベ
   ル調整用インサートアンカーを所定位置に吊下さ
   せて上記コンクリート基礎打設用型枠に係架固定
   し、コンクリート基礎打設後、コンクリート基礎
   打設用型枠の脱型時にその脱型前に上記セツト治
   具を上記シース管及び上記レベル調整用インサー
   トアンカーから脱離する、シース管等の基礎への
   埋設方法。 ２ 上記セツト治具が、コンクリート基礎打設用
   型枠に固定される水平固定枠と、該水平固定枠に
   よつて下方に連設支持されている水平保持板とを
   構成主体としてなり、上記水平固定枠には上記コ
   ンクリート基礎打設用型枠への固定具及び上記水
   平保持板のレベルを調整するためのレベル調整機
   構が設けてあり、また、上記水平保持板には上記
   シース管の保持部及び上記レベル調整用インサー
   トアンカーの保持部が設けてある、特許請求の範
   囲第１項記載のシース管等の基礎への埋設方法。