JP3895023B2 - 機械基礎 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電所や工場などにおいて発電機やタンクなどの各種機器を据え付けるためにコンクリート床上に設けられる機械基礎に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所や工場などにおいて多数設置されるこの種の機械基礎は、機器据え付けについては厳密な精度が要求されると共に、耐震上必要な強度が要求される。このような機械基礎としては、従来、特開昭61ー294295号公報に記載されたものが知られている。この機械基礎は、図5及び図6に示すように、H型鋼材aをロ字状に組み合わせたプレハブ架台bと、その縦壁cに隣接して設けたスリーブ管d内に挿通したアンカーボルトeとからなる組立体fをコンクリート床g上に配置し、機械基礎を補強するためにコンクリート床g内に埋設したコルゲート管h内でアンカーボルトeが機器の据え付け位置になるように、組立体fの位置決め作業を行い、更に、前記架台bの回りに型枠を取り付け、該型枠内にモルタルを流してコルゲート管hと架台bの回りにモルタルを打設したものである。
【0003】
しかし、この機械基礎は、架台bの外側にのみモルタルを打設したもので、架台bの内側まではモルタルを打設していないので、強度が低く、架台bに取り付けた発電機などの機器が地震の時や稼働時に振動すると、架台bが空洞部分で大きく振動して架台bががたつき、そのためにモルタルが割れやすくなる不都合を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、頑丈な機械基礎を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、その手段は、請求項1に記載のとおり、各種の機器を載せるための受板にアンカーボルト用の穴を設け、該穴にねじ側を上方に突出させてアンカーボルトを挿通し、該受板の上下でねじ部に螺着したナットでアンカーボルトを受板に定着し、受板を支持する支持鉄筋を受板に固定して、該支持鉄筋を、機械基礎のコンクリートを補強するためにコンクリート床に立設された差し筋に溶接し、基礎コンクリートを、その上面を受板の上面のレベルと一致させて受板とアンカーボルトを囲んで打設したことを特徴とする機械基礎である。
アンカーボルトの設置位置を正確に位置決めするための穴を受板に明け、該穴にアンカーボルトのねじ部を挿通し、該ねじ部を上方に突出させた状態で、受板の上下でねじ部に螺着したナットでアンカーボルトを受板に定着し、該アンカーボルトを定着した受板をコンクリート床上に配置する。そして、受板に固定した支持鉄筋をコンクリート床に立設された差し筋に溶接し、受板の上面のレベルとコンクリート仕上げ面のレベルを一致させるように、受板とアンカーボルトを囲んで、基礎コンクリートを打設する。
【0006】
そして、機械基礎の完成後に、受板から突出したアンカーボルトのねじ部に螺着していた上側のナットを取り外し、発電機やタンクなどの各種機器を、受板の上面上及びコンクリート仕上げ面上に載置して、前記機器の底部の取付部にアンカーボルトのねじ部を挿通した後に、該ねじ部に再び取り外したナットを螺着することで、前記機器を機械基礎に取り付ける。
【0007】
この機械基礎は、内部に空洞をつくらないように、受け板とアンカーボルトを囲んで基礎コンクリートを打設したものであり、アンカーボルトを定着した受板は上面を除いて基礎コンクリートで固定されるので、地震の時や稼動時に発電機やポンプなどの機器が振動しても、基礎コンクリートによって受板の振動が阻止されるので、受板のがたつきのために基礎コンクリートが割れることはなくなる。
また、この機械基礎は、受板に支持鉄筋を固定して、該支持鉄筋を、コンクリート床に立設された差し筋に溶接したので、受板が間接的に差し筋に連結され、地震などで各種の機器を据え付けたアンカーボルトに力が加わっても、その力が、受板と、該受板に固定された支持鉄筋を介して差し筋にも分散される。そのために、この基礎鉄筋は、非常に頑丈になる。
【0008】
また、別の手段は、請求項2に記載のとおり、請求項1の機械基礎において、受板がアングル材又はチャンネル材からなり、平坦な外面を上向きにしたものであることを特徴とする機械基礎である。
【0009】
この機械基礎は、受板をアングル材又はチャンネル材で構成し、受板の外面が表面に露出した状態でコンクリートを打設したので、平坦な外面上に各種機器の底面を載せることができ、精度よく各種機器を据え付けることができる。また、この機械基礎は、受板をアングル材又はチャンネル材で構成しているので、地震や稼働時に機器を介して受板やアンカーボルトに水平方向に力が加わたときにも、アングル材やチャンネル材の縦板により、その力が分散吸収される。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、1は、発電所や工場などにおいて各種機器を据え付けるために多数設置される台状の機械基礎であり、該機械基礎1は、発電所や工場などのコンクリート床2を造るために略格子状に縦横にはりめぐらされたスラブ配筋2aの適切な箇所に、機械基礎1のコンクリートを補強するための差し筋3、3を溶接し、四つのアングル材5a、5a、5b、5bをロ字状に溶接して一体にした受板5に、アンカーボルト4をそれぞれナット7、7で螺着し、受板5を支持するために受板5に溶接された支持鉄筋6、6を前記差し筋3、3に溶接して水平に位置決めし、アンカーボルト4と共に受板5の内外周にわたって基礎コンクリートを打設し、前記受板5の上面のレベルとコンクリート仕上げ面のレベルを一致させるように、基礎コンクリートの上面を仕上げたものである。
【0013】
受板5は、発電機などの前記各種機器の底面を載せて各種機器を支持すると共にアンカーボルト4を正確に位置決めするためのテンプレートの役目をするものである。図1及び図2に示された実施の形態の場合、受板5は、アングル材5a、5a、5b、5bの下向きの縦板5a1、5a1、5b1、5b1が外側に配置されるように、アングル材5a、5a、5b、5bを溶接してロ字状にしたものである。この受板5では、図2に示すように、縦に配設されたアングル材5a、5aの横板5a2、5a2にアンカーボルト4を位置決め及び保持するための穴5cを明け、また、横に配設されたアングル材5b、5bは、上記アングル材5a、5aと組み合わせたときに受板5の上面全体が平坦になるように、その横板5b2、5b2の両端部を切削して上記アングル材5a、5aと溶接して一体にする。
【0014】
また、アングル材5a、5a、5b、5bの下向きの縦板5a1、5a1、5b1、5b1が内側に配置されるように、アングル材5a、5a、5b、5bを溶接してロ字状にすると、側部のコンクリートの厚さが増大して、横方向の受圧力が大きくなる。その場合、前記アングル材5b、5bの横板5b2、5b2の両端部を切削する必要はない。また、支持鉄筋6は、アングル材5a、5aの縦板5a1、5a1に溶接される。 更に、タンクのような大型の機器を機械基礎1に据え付ける場合、据え付けられる機器の底面の形状に応じて、受板5は、上記のようなロ字型に形成するのではなく、図2に示す横に配設されたアングル材5b、5bを用いずに、縦に配設されたアングル材5a、5aを複数個間隔をあけて用いる。図1及び図2に示す実施の形態の場合、受板5はアングル形の鋼材を用いたが、チャンネル形の鋼材を用いてもよい。
【0015】
機器の据え付け精度をよくするために、コンクリート面に露出する受板5の上面は、例えば、機械で仕上げた程度に平坦でなくてならない。また、受板5は、コンクリート打設時に変形しないように、例えば、5mm程度の厚さが必要である。
【0016】
発電所や工場などにおいては、一般に、機械基礎に据え付けた機器が大きく、稼働時に機器自体が振動したとき、または、地震などにより前記機器が振動するときには、アンカーボルト4にかかる力も大きいので、本発明においては、アンカーボルト4は、引き抜き強度の大きな埋め込みアンカーボルトを用いる。
【0017】
また、図1及び図2に示すように、アンカーボルト4は、その上部をねじ部4aに形成し、該ねじ部4aを受板5の穴5cに挿入し、該受板5を挟んで上下二つのナット7、7を前記ねじ部4aに螺着して、受板5にアンカーボルト4を固定する。機械基礎1が完成された後には、上側のナット7をアンカーボルト4のねじ部4aから取り外し、発電機などの機器の基部に設けた、図示しない取付部にアンカーボルト4のねじ部4aを挿通し、再び前記取り外したナット7をアンカーボルト4に螺着して、前記機器を機械基礎1に取り付ける。
【0018】
また、図1及び図2に示す実施の形態の場合、受板5に溶接された支持鉄筋6を差し筋3に溶接するようにしたが、支持鉄筋6の代わりに、図4に示すように、アンカーボルト4の下部4b同士を連結した下部横筋8を差し筋3に溶接するようにしてもよい。
【0019】
本発明の機械基礎1を施工するには、まず、図3に示すように、コンクリート床用に配筋されたスラブ配筋2aに、機械基礎1の設置個所において差し筋3を予め溶接する。そして、スラブコンクリートを打設し、養生させてコンクリート床2にする。更に、コンクリート床2上に、型枠用と受板用の墨出しを行う。
【0020】
図2及び図3に示すように、ロ字状の受板5の各穴5cにアンカーボルト4の上部のねじ部4aを挿通し、上下から受板5を挟んでナット7、7を前記アンカーボルト4のねじ部4aに螺着することにより、受板5に各アンカーボルト4を定着する。
【0021】
そして、図3に示すように、コンクリート床2上のアンカーボルト4用の墨出し位置A、Aにアンカーボルトの中心が一致するように受板5を位置決めし、受板5の上面がコンクリート打設の上限位置になるように受板5の高さを決め、更に、受板5の取り付け姿勢が水平になるように調整して、該受板5の支持鉄筋6をそれぞれ差し筋3に溶接する。
【0022】
次いで、コンクリート床2上の型枠の墨出し位置B、Bに、型枠9を設置し、コンクリート打設の上限位置、即ち、受板5の上面位置に対応する型枠9の位置に目印10を付けておき、該目印10の位置に来るまで、内部に空洞が生じないように型枠9内の全体に亘って、基礎コンクリートを打設する。
【0023】
打設した基礎コンクリートの上面を、受板5の上面のレベルに一致するように、金鏝で仕上げ、コンクリート養生後に型枠を解体する。
【0024】
そして、コンクリート劣化防止のために、機械基礎1の表面を塗装し、機器を搬入して、上側のナット7を取り外して、受板5の上面上及びコンクリート仕上げ面上に機器の底面を載せると共に、受板5から突出した各アンカーボルト4のねじ部4aを、機器の基部に設けた、図示しない取付部に挿通させ、取り外したナット7を再びアンカーボルト4のねじ部4aに螺着することで機器を機械基礎1に取り付ける。
【0025】
この機械基礎1は、内部に空洞をつくらないように、受板5とアンカーボルト4を囲んで、型枠9内の全体に亘って基礎コンクリートを打設し、受板5が上面を除いて基礎コンクリートで固定されるようにしたので、発電機やポンプなどの機器が振動しても、基礎コンクリートによって受板5の振動が阻止されるので、受板5のがたつきのために基礎コンクリートが割れることはなくなる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の機械基礎は、基礎部全体に亘って基礎コンクリートを打設して内部に空洞をつくらないようにしたので、受圧力が大きく発電機やポンプなどの機器が振動しても受板が振動することがなく、受板のがたつきによるコンクリートの割れもなく、地震などで各種の機器が振動して、該機器を据え付けたアンカーボルトに力が加わっても、その力が受板と、該受板に固定された支持鉄筋を介して差し筋にも分散されるので、非常に頑丈なものとなる効果を有する。
【0027】
また、請求項2に記載の機械基礎は、アングル材やチャンネル材を用い、地震などで各種の機器が振動して、該機器を据え付けたアンカーボルトに水平方向に力が加わたときにも、アングル材やチャンネル材の縦板により、前記力が分散吸収されるので、頑丈なものとなる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の機械基礎の要部断面図。
【図2】 本発明の機械基礎の平面図。
【図3】 型枠を設置した状態を示す略図。
【図4】 図1乃至図3の実施の形態とは別の実施の形態の機械基礎の略図。
【図5】 従来の機械基礎を示す要部断面図。
【図6】 図5の機械基礎に用いられたプレハブ架台の平面図。
【符号の説明】
1 機械基礎 2 コンクリート床
3 差し筋 4 アンカーボルト 4a ねじ部 5 受板
5a アンカーボルト用の穴 6 支持鉄筋 7 ナット
9 型枠

Claims (2)

  1. 各種の機器を載せるための受板にアンカーボルト用の穴を設け、該穴にねじ側を上方に突出させてアンカーボルトを挿通し、該受板の上下でねじ部に螺着したナットでアンカーボルトを受板に定着し、受板を支持する支持鉄筋を受板に固定して、該支持鉄筋を、機械基礎のコンクリートを補強するためにコンクリート床に立設された差し筋に溶接し、基礎コンクリートを、その上面を受板の上面のレベルと一致させて受板とアンカーボルトを囲んで打設したことを特徴とする機械基礎。
  2. 請求項1の機械基礎において、受板がアングル材又はチャンネル材からなり、平坦な外面を上向きにしたものであることを特徴とする機械基礎。
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