JPS6128513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの調時歯車及び補機駆動用歯
車装置を収容するギヤケースの蓋に関する。

この種のギヤケースには上記歯車装置の他に吸
排気弁駆動用のカム軸やクランク軸端部が収容さ
れており、ギヤケースの蓋に冷却水ポンプや潤滑
油ポンプ等の取付座ならびにクランク軸端部が嵌
合する孔が設けてある。上記蓋はクランク軸に対
してシリンダブロツク側と台板側とに２分割で
き、焼き付いたカムを修理する場合、シリンダブ
ロツク側の蓋部分（上半部）を取り外してカム軸
を抜き出せるようになつている。ところが蓋上半
部には冷却水ポンプや潤滑油ポンプが取り付けて
あるので、蓋上半部の取外し時には上記ポンプも
一緒に外さねばならず、そのためにポンプ配管の
取外し作業に手間が掛かる。又上記ポンプは大形
で重いので、この点においても蓋上半部の着脱作
業に手間どることが多い。

本考案は上記従来の不具合を解決するために、
ギヤケースの蓋を３分割可能な構造にし、カム軸
抜出し時にはカム軸を覆う蓋部分だけを取り外
し、冷却水ポンプや潤滑油ポンプを取り付けた蓋
部分はギヤケースに固定したまま残しておけるよ
うにしたもので、図面により説明すると次の通り
である。

縦断面部分略図である第１図において、Ｐはピ
ストン、Ｃ−Ｃはシリンダ中心線である。ギヤケ
ース１は図中右側の縁部がシリンダブロツク２及
びクランクケース３の側壁にボルト止めされてお
り、ケース１の図中左側の開口縁部に蓋５がボル
ト止めされている。クランク軸６の端部はケース
１内に入り込んでおり、蓋５にはクランク軸６が
嵌合する孔７が設けてある。蓋５の外面（第１図
の左面）には冷却水ポンプ１０や潤滑油ポンプ１
１等の補機が取り付けてあり、これらの補機はケ
ース１内のギヤ（図示せず）を介してクランク軸
６に連結している。１２はケース１内に配置した
カム軸で、図示されていないギヤを介してクラン
ク軸６に連結しており、カム軸１２の第１図中左
端は蓋５の外面に取り付けた弁腕注油ポンプ１３
の駆動軸に連結している。

第２図は蓋５の分解正面略図で、第１図の−
矢視図に対応しており、この第２図から明らか
なように、蓋５は３個の部分１５，１６，１７か
ら形成されている。蓋５の台板寄りの部分１５す
なわち蓋５の下部とシリンダブロツク寄りの部分
１６，１７すなわち上部とはクランク軸中心Ｏ
（孔７の中心）を通る水平面Ａ−Ａを境にして分
割できるようになつている。上側の２個の部分１
６，１７はクランク軸中心Ｏの近傍を通る垂直面
Ｂ−Ｂを境にして互に第２図の左右に分割できる
ようになつている。部分１６には冷却水ポンプ取
付座２０及び潤滑油ポンプ取付座２１が形成され
ている。部分１７には燃料フイードポンプ取付座
２２及び弁腕注油ポンプ取付座２３が形成されて
いる。前述の如く第１図の弁腕注油ポンプ１３は
カム軸１２に連結しているので、カム軸１２は第
２図の部分１７の内側に位置することになる。２
５，２６，２７は連結用の外向きフランジで、境
界面Ａ−Ａ、Ｂ−Ｂに沿つて部分１５，１６，１
７の縁に設けてあり、対向する各１対のフランジ
２５，２６，２７を連結ボルト（図示せず）によ
り互に固定することにより蓋５全体が一体品とし
て完成するようになつている。２８は上記連結ボ
ルトが入り込む窪みで、各部分１５，１６，１７
の外表面に設けてある。

カムが焼き付いた場合、フランジ２６，２７に
装着したボルト及び部分１７を第１図のギヤケー
ス１に固定するためのボルトを外し、部分１７だ
けをギヤケース１から外してカム軸１２を外部に
露出させ、カム軸１２を抜き取つてカムを修理す
る。又修理が完了するとカム軸１２を元の位置に
取り付け、部分１７をギヤケース１及び部分１
５，１６に固定する。

以上説明したように本考案は、エンジン本体の
端部にギヤケース１を取付け、ギヤケース１の内
部にクランク軸６の端部を入込ませ、エンジン本
体から抜出し可能なカム軸１２の端部をギヤケー
ス１内に位置させ、ギヤケース１をエンジン本体
と反対方向に開口した形状にし、ギヤケース１の
開口を閉鎖する概ね板状の蓋５をギヤケース１に
ボルトにより固定し、クランク軸６により駆動さ
れる冷却水ポンプ１０及び潤滑油ポンプ１１を上
記蓋５の外面に取付けた構造を対象としている。

そして本考案によると、上記構造において、蓋
５をクランク軸中心線を含む平面に対してエンジ
ン本体のシリンダブロツク２側の部分１６，１７
と台板側の部分１５とに分割可能にし、しかも蓋
５のシリンダブロツク側の部分１６，１７を、冷
却水ポンプ１０及び潤滑油ポンプ１１を取付ける
部分１６と、カム軸１２を覆う部分１７とに分割
可能にしている。

このように本考案では、ギヤケース１の蓋を３
分割可能にし、冷却水ポンプ１０及び潤滑油ポン
プ１１等の補機を取り付ける部分１６とカム軸１
２を覆う部分１７とを別々に形成したので、カム
軸１２の抜取り時には部分１７だけを外せばよ
く、部分１６を外す必要はない。このように大形
かつ大重量のポンプ１０，１１を取り付けた部分
１６を外す必要がなく、勿論ポンプ１０，１１の
配管を外す必要もないので、カム軸抜取り時の蓋
取外し作業を簡単に行うことができる。又蓋５は
クランク軸中心Ｏを含む面Ａ−Ａを境にして部分
１５と部分１６，１７に分割できるので、蓋５全
体の取付け及び取外し時にクランク軸６が邪魔に
なることはない。

なお境界面Ａ−Ａ及びＢ−Ｂは必ずしも水平及
び垂直にする必要はなく、傾斜させることもでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の縦断面部分略図、第２図は第
１図の−矢視図に対応する蓋の分解正面略図
である。 １……ギヤケース、２……シリンダブロツク、
３……台板、４……シリンダヘツド、５……蓋、
６……クランク軸、１０……冷却水ポンプ、１１
……潤滑油ポンプ、１２……カム軸、１５，１
６，１７……蓋部分、２０，２１……取付座、Ａ
−Ａ……面、Ｏ……クランク軸中心。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン本体の端部に調時歯車及び補機駆動用
   歯車装置のギヤケースを取付け、ギヤケースの内
   部にクランク軸の端部を入込ませ、エンジン本体
   から抜出し可能なカム軸の端部をギヤケース内に
   位置させ、ギヤケースをエンジン本体と反対方向
   に開口した形状にし、ギヤケースの開口を閉鎖す
   る概ね板状の蓋をギヤケースにボルトにより固定
   し、クランク軸により駆動される冷却水ポンプ及
   び潤滑油ポンプを上記蓋の外面に取付け、上記蓋
   をクランク軸中心線を含む平面に対してエンジン
   本体のシリンダブロツク側の部分と台板側の部分
   とに分割可能にし、上記蓋のシリンダブロツク側
   の部分を、冷却水ポンプ及び潤滑油ポンプを取付
   ける部分と、カム軸を覆う部分とに分割可能にし
   たことを特徴とするギヤケースの蓋。