JP3827085B2 - 内燃機関のヘッドカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに結合されて、動弁機構が収納される動弁室を該シリンダヘッドと共に形成するヘッドカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のヘッドカバーとして、例えば特許文献1に開示されたエンジンのヘッドカバーがある。このヘッドカバーには、吸気弁用および排気弁用のカムシャフトが設けられたシリンダヘッドの上方を覆う本体部分と、本体部分の前方に設けられてベルトカバーで囲まれたタイミングベルト室の上部を構成するベルト室上方部分とが一体成形されている。シリンダヘッドと本体部分との間に介在するガスケットよりも上方に延出する延出部分を有するシールプレートが、タイミングベルト室の後端部に位置して、シリンダヘッドに固定される。そして、ヘッドカバーは、ベルト室上方部分の後部壁を延出部分に後方側から当接させつつ、シリンダヘッドに載置される。
【0003】
【特許文献1】
実公平7−27395号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、ベルト室上方部分は、ベルトカバーおよびシールプレートに嵌合されることにより、本体部分で覆われる空間からタイミングベルト室へのオイルの侵入や外部からタイミングベルト室へダストの侵入が防止されるものの、嵌合構造では、振動などの影響を受けてシール性が低下することがあって、そのシール性の点で改善の余地がある。また、嵌合構造を採用しているために、本体部分とベルト室上方部分とを有するヘッドカバーの着脱の作業性が良好であるとはいえない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シール性が良好で、しかもシリンダヘッドに対する着脱の作業性が良好な内燃機関のヘッドカバーを提供し、さらに、良好なシール性を確保したうえで、ヘッドカバーの小型軽量化を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、動弁機構が収納される動弁室をシリンダヘッドと共に形成する動弁室カバー部と、前記動弁機構へ駆動力を伝達するベルト式伝動機構が収納される伝動室を伝動室形成部材と共に形成する伝動室カバー部と、前記動弁室と前記伝動室とを仕切る仕切部とが一体成形された内燃機関のヘッドカバーにおいて、前記仕切部、前記動弁室カバー部および前記伝動室カバー部の各合わせ面から構成されるカバー側合わせ面が、前記シリンダヘッドおよび前記伝動室形成部材の各合わせ面からなるヘッド側合わせ面に上下方向で全周で対面すると共に、平面視で前記動弁室および前記伝動室の全周を囲むように形成され、前記ヘッド側合わせ面の全周および前記カバー側合わせ面の全周に渡って配置される単一のシール部材を介して、前記シリンダヘッドに結合され、前記伝動室カバー部には、前記伝動室を挟んで前記仕切部と対面する前記伝動室カバー部の端壁に向かって前記動弁室カバー部から延びる補強リブが形成されている内燃機関のヘッドカバーである。
【0007】
これにより、仕切部、動弁室カバー部および伝動室カバー部が一体になったヘッドカバーは、嵌合作業を要することなく、上下方向で対面するヘッド側合わせ面とカバー側合わせ面との間に配置される単一のシール部材を介してシリンダヘッドに結合される。また、単一のシール部材は、ヘッド側合わせ面の全周およびカバー側合わせ面の全周に渡って配置されるので、平面視で動弁室および伝動室の全周がシール部材により囲まれる。
【0008】
この結果、次の効果が奏される。すなわち、ヘッドカバーは単一のシール部材を介してシリンダヘッドに結合されることにより、嵌合作業が不要になるので、仕切部、動弁室カバー部および伝動室カバー部が一体になったヘッドカバーのシリンダヘッドに対する着脱作業が容易になる。また、単一のシール部材が、平面視で動弁室および伝動室の全周を囲むように形成されたカバー側合わせ面の全周、およびカバー側合わせ面に全周で対面するヘッド側合わせ面の全周に渡って配置されることにより、動弁室から伝動室へのオイルの侵入が確実に防止されて、オイルの付着によるベルトの劣化が防止され、さらにヘッドカバーの外部から動弁室および伝動室への塵埃や水の侵入が確実に防止される。
【0010】
さらに、動弁室カバーから端壁に向かって延びて形成される補強リブにより、動弁室カバー部から離れて位置する端壁を有する伝動室カバー部の剛性が高められるので、伝動室カバー部を伝動室形成部材に締結することなく、内燃機関の振動などに起因して伝動室カバー部と伝動室形成部材との間に間隙が生じることが防止される。
【0011】
この結果、次の効果が奏される。すなわち、伝動室カバー部には、伝動室を挟んで仕切部と対面する部分である端壁に向かって動弁室カバー部から延びる補強リブが形成されることにより、動弁室カバー部から離れて位置する端壁を有する伝動室カバー部の剛性が高められるので、伝動室カバー部を伝動室形成部材に締結することなく、良好なシール性を確保することができ、しかも締結部を形成する必要もないことから、ヘッドカバーを小型軽量化することができる。ひいては伝動室形成部材を小型軽量化できる。
なお、この明細書において、上下方向は、シリンダのシリンダ軸線の方向であり、また平面視とは、シリンダ軸線の方向から見ることを意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図3を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例であるヘッドカバー3が適用される内燃機関Eは、車両に搭載される水冷式の直列3気筒4ストローク内燃機関であり、ピストン4が往復動可能に嵌合するシリンダ孔1bを有する3つのシリンダ1aが一体成形されたシリンダブロック1と、シリンダブロック1の上端に複数のボルト(図示されず)により結合されたシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端に複数のボルト(図示されず)により結合されたヘッドカバー3とを備える。そして、ピストン4は、クランク室を形成するシリンダブロック1の下部に回転可能に支持されるクランク軸にコンロッドを介して連結される。
なお、この実施例において、上方は、シリンダ軸線L1の方向において、シリンダブロック1に対してシリンダヘッド2が位置する方向である。
【0013】
各シリンダ孔1bの上方に位置する燃焼室5が形成されるシリンダヘッド2には、燃焼室5毎に、燃焼室5に吸気口にて開口する吸気ポートおよび燃焼室5に排気口にて開口する排気ポートが形成され、また前記吸気口および前記排気口をそれぞれ開閉する吸気弁および排気弁(いずれも図示されず)が設けられ、さらに燃焼室5に臨む2つの点火栓が取り付けられる。
【0014】
シリンダヘッド2に配置されて、前記吸気弁および前記排気弁を開閉作動させる動弁機構Vは、動弁機構Vの駆動用回転軸としてのカム軸6の回転中心線L2の方向A1(以下、軸方向A1という。)に間隔をおいてシリンダヘッド2に形成された複数の保持部21に回転可能に支持されるカム軸6と、カム軸6に形成された吸気カム7および排気カム8と、カム軸6の上方にカム軸6と平行に配置されて各保持部21にボルトB1により固定されたロッカ軸9と、ロッカ軸9に揺動可能に支持される吸気ロッカアーム10および排気ロッカアーム11とを備える。
【0015】
各保持部21に形成された軸受孔21aに挿通されて、そのジャーナル部6cにて保持部21に摺動可能に支持されるカム軸6は、シリンダヘッド2の、軸方向A1での一方の端壁2aから軸方向A1に突出する一端部6aを有する。一端部6aには、カムプーリ12がボルトB2によりカム軸6に一体回転するように結合される。そして、カム軸6は、カムプーリ12と、シリンダブロック1の前記下部の軸方向A1での一方の端壁1cから軸方向A1に突出する前記クランク軸の一端部に一体回転するように結合された駆動プーリと、該駆動プーリおよびカムプーリ12に掛け渡される無端のタイミングベルト13とから構成されるベルト式伝動機構Tを介して伝達される前記クランク軸の駆動力により、前記クランク軸の1/2の回転速度で回転する。
【0016】
また、動弁機構Vにおける保持部21とジャーナル部6c、吸気カム7と吸気ロッカアーム10、排気カム8と排気ロッカアーム11、ロッカ軸9と吸気ロッカアーム10および排気ロッカアーム11などの摺動部分となる箇所を潤滑するためのオイルは、オイルポンプにより圧送され、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2に形成された油路を通って供給される。そのオイルの一部は、開口部23aから1つの保持部21に形成された油路23bを経てロッカ軸9の内部に形成された油路23cに流入し、該油路23cに連通する複数の油路23dからロッカ軸9の外周面に流出して、ロッカ軸9と吸気ロッカアーム10および排気ロッカアーム11との摺動部分を潤滑する。
【0017】
そして、回転するカム軸6と一体に回転する吸気カム7および排気カム8よりそれぞれ揺動させられる吸気ロッカアーム10および排気ロッカアーム11が、前記クランク軸の回転に同期して、それぞれ前記吸気弁および前記排気弁を所定の開閉時期に開閉する。それゆえ、吸気系で形成されて前記吸気ポートを通じて燃焼室5に流入した混合気は、各燃焼室5に臨む2つの前記点火栓により点火されて燃焼し、発生する燃焼ガスの圧力により駆動されて往復運動をする各ピストン4が、前記コンロッドを介して前記クランク軸を回転駆動する。燃焼ガスは、排気ガスとして前記排気ポートを通じて排気系に流出する。
【0018】
さらに、図2,図3を併せて参照すると、ヘッドカバー3は、動弁機構Vが収納される動弁室14をシリンダヘッド2と共に形成する動弁室カバー部31と、動弁機構Vへ駆動力を伝達する伝動機構Tが収納される伝動室15を、両端壁2a,1cおよびベルトカバー17と共に形成する伝動室カバー部32と、ヘッドカバー3の内側空間に形成される動弁室14の上部14aと伝動室15の上部15aとを仕切る仕切部33とが、一体成形された合成樹脂製の部材である。ここで、シリンダヘッド2は動弁室14の下部14bを形成する。一方、軸方向A1で伝動機構Tを覆うように両端壁2a,1cに跨って両端壁2a,1cに締結されるベルトカバー17と、両端壁2a,1cとは、伝動室15の下部15bを形成する伝動室形成部材を構成する。
【0019】
また、ヘッドカバー3には、シリンダヘッド2の帯状の上端面からなる合わせ面22と該合わせ面22と同一平面上にあるベルトカバー17の帯状の上端面からなる合わせ面18とから構成されるヘッド側合わせ面SHに、平行であり、かつ上下方向で全周で対面するカバー側合わせ面SCが、平面視で、動弁室14および伝動室15の全周を囲むように形成される。このカバー側合わせ面SCは、動弁室カバー部31に形成される合わせ面34と伝動室カバー部32に形成される合わせ面35と仕切部33に形成される合わせ面36とから構成され、これら3つの帯状の合わせ面34〜36は同一平面上にある。
【0020】
そして、ヘッドカバー3は、ヘッドカバー3とシリンダヘッド2およびベルトカバー17との上下方向での間であって、ヘッド側合わせ面SHの全周およびカバー側合わせ面SCの全周に渡って配置される単一のシール部材50を介して、シリンダヘッド2のみに結合される。このようにして、ヘッドカバー3が、シール部材50を介してシリンダヘッド2の上端およびベルトカバー17の上端に装着された状態で、シール部材50により、ヘッドカバー3とシリンダヘッド2との間およびヘッドカバー3とベルトカバー17との間が、液密および気密に密封される。
【0021】
動弁機構Vの上部を覆って動弁室14の上部14aを形成する動弁室カバー部31には、その内側に、天井壁31cから下方に延びる多数条のリブ31eに固定された仕切板37が設けられ、さらに、吸気側に配置される前記点火栓が挿入される挿入口38aおよび排気側に配置される点火栓が挿入される挿入口38bと、オイルパンに連通する油管が接続されるオイル注入口39と、動弁室カバー部31の合わせ面34の外方に貫通孔40aを有する複数の締結部40とが形成される。
【0022】
仕切板37は、動弁室カバー部31の内側空間を、動弁室14とブリーザ装置の一部を構成する換気室16とに仕切る。そして、換気室16は、管継手41に接続される導管を流通して前記吸気系の空気が流入する空気室16aと、前記クランク室からのオイルミストを含んだブローバイガスが流入する気液分離室16bとに区画される。そして、この気液分離室16b内でオイルが分離されたブローバイガスは、管継手42に接続される導管を流通して前記吸気系に還流されて、燃焼室5に供給される。
【0023】
オイル注入口39の周壁39aの周囲には、オイル注入口39の周囲に付着または流出したオイルがヘッドカバー3の四方に広がって流れることを防止するための弧状リブ43が上方に突出して形成され、周壁39aと弧状リブ43との間に、伝動室カバー部32側に開口部44aを有するオイル収容溝としての弧状溝44が形成される。また、各締結部40の貫通孔40aに挿通されるボルト(図示されず)がシリンダヘッド2に形成されたねじ孔にねじ込まれることにより、ヘッドカバー3がシリンダヘッド2に締結される。
【0024】
カムプーリ12の上部を覆って伝動室15の上部15aを形成する伝動室カバー部32は、動弁室カバー部31の軸方向A1での一方の端壁31aから軸方向A1に突出して延びると共に、動弁室カバー部31の天井壁31cよりも下方に位置する天井壁32cを有する。天井壁32cの上面には、平面視で、伝動室カバー部32の合わせ面35のうちで軸方向A1に延びる1対の合わせ面35d,35eおよび該合わせ面35d,35eに上下方向で対面するシリンダヘッド2およびベルトカバー17の合わせ面22,18にそれぞれ重なる位置で、伝動室15を挟んで仕切部33と軸方向A1で対面する伝動室カバー部32の端壁32aに向かって端壁31aから延びる1対の補強リブ45,46が上方に突出して形成されている。
【0025】
各補強リブ45,46の先端部45a,46aは、平面視で端壁32aの合わせ面35aおよび該合わせ面35aと上下方向で対面するベルトカバー17の合わせ面18と重なるように、かつ相互に近づいて天井壁32cを部分的に囲むように屈曲しており、両先端部45a,46aの間に軸方向A1に開放する開口部47が形成される。また、オイル注入口39に近い一方の補強リブ45は、その基端部45bにて、平面視で軸方向A1と直交する方向A2(以下、直交方向A2という。)での端壁31の端部31a1寄りの弧状リブ43の先端部43aに、連結リブ48を介して連結される。
【0026】
さらに、線状であり、かつ無端のシール部材50は、合成ゴムなどの弾性材から形成され、カバー側合わせ面SCの全周に渡って形成された1条の無端の装着溝49に装着される。この装着溝49は、各合わせ面34〜36に形成された装着溝49a,49b,49cが互いに連続することにより構成される。そして、シール部材50は、動弁室カバー部31の合わせ面34および仕切部33の合わせ面36の各装着溝49a,49cに装着される部分50a,50cが、平面視で動弁室14の全周を囲み、伝動室カバー部32の合わせ面35および仕切部33の合わせ面36の各装着溝49b,49cに装着される部分50b,50cが、平面視で動弁室14の全周を囲む形状を有する。
【0027】
また、図1,図3を参照すると、仕切部33の上方で、動弁室カバー部31の端壁31aと、該端壁31aと軸方向A1で対面する伝動室カバー部32の、軸方向A1での他方の端壁32bとの間には、肉抜きによる溝30が形成される。
【0028】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
ヘッドカバー3は単一のシール部材50を介してシリンダヘッド2に結合されることにより、嵌合作業が不要になるので、仕切部33、動弁室カバー部31および伝動室カバー部32が一体になったヘッドカバー3のシリンダヘッド2に対する着脱作業が容易になる。また、単一のシール部材50が、平面視で動弁室14および伝動室15の全周を囲むように形成されたカバー側合わせ面SCの全周、およびカバー側合わせ面SCに全周で対面するヘッド側合わせ面SHの全周に渡って配置されることにより、平面視で動弁室14および伝動室15の全周がシール部材50により囲まれるので、動弁室14から伝動室15へのオイルの侵入が確実に防止されて、オイルの付着によるタイミングベルト13の劣化が防止され、さらにヘッドカバー3の外部から動弁室14および伝動室15への塵埃や水の侵入が確実に防止される。
【0029】
伝動室カバー部32には、伝動室15を挟んで仕切部33と軸方向A1で対面する端壁32aに向かって動弁室カバー部31の端壁31aから延びる1対の補強リブ45,46が形成されることにより、動弁室カバー部31から離れて位置する端壁32aを有する伝動室カバー部32の剛性が高められるので、伝動室カバー部32をシリンダヘッド2の端壁2aおよびベルトカバー17に締結することなく、内燃機関Eの振動などに起因して伝動室カバー部32とシリンダヘッド2およびベルトカバー17との間に間隙が生じることが防止されて、良好なシール性を確保することができ、しかも締結部を形成する必要もないことから、ヘッドカバー3を小型軽量化することができ、ひいてはシリンダヘッド2およびベルトカバー17を小型軽量化できる。
【0030】
さらに、1対の補強リブ45,46は、平面視で、伝動室カバー部32の合わせ面35のうちで軸方向A1に延びる1対の合わせ面35d,35eおよび合わせ面35d,35eに上下方向で対面するシリンダヘッド2およびベルトカバー17の合わせ面22,18にそれぞれ重なる位置に形成されることにより、シール部材50が配置される合わせ面35の部分の剛性を効果的に高めることができるので、シール性が一層向上すると共に、補強リブ45,46の形成による重量増が抑制されて、さらにヘッドカバー3の軽量化が可能になる。
【0031】
また、各補強リブ45,46の先端部45a,46aが、平面視で、伝動室カバー部32の端壁32aの合わせ面35aおよび該合わせ面35aに上下方向で対面するベルトカバー17の合わせ面18に重なるように屈曲していることにより、各補強リブ45,46の軸方向A1周りの剛性が高められるので、伝動室カバー部32の剛性がさらに高められて、伝動室カバー部32とシリンダヘッド2およびベルトカバー17との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0032】
仕切部33の上方であって、動弁室カバー部31の端壁31aと伝動室カバー部32の端壁32bとの軸方向A1での間には、上方に開放する溝30が形成されることにより、仕切部33の上方を肉抜きすることができるので、ヘッドカバー3が軽量化される。
【0033】
オイル注入口39の周囲に伝動室カバー部32側に開口部44aを有する弧状溝44が形成され、弧状リブ43の直交方向A2でのヘッドカバー3の端部31a1寄りの先端部43aは、連結リブ48を介して補強リブ45の基端部45bに連結されることにより、弧状溝44から溢れたオイルは、開口部44aから連結リブ48により案内されて伝動室カバー部32の天井壁32cの上面に導かれ、さらに1対の補強リブ45,46の先端部45a,46aの間に形成された開口部47から流出するので、補強リブ45,46を利用して、弧状溝44から溢れたオイルがヘッドカバー3上で四方に広がって流れることが防止される。
【0034】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記伝動室形成部材は、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2のみから構成されてもよい。また、シール部材50の装着溝49は、カバー側合わせ面SCの代わりに、ヘッド側合わせ面SHに形成されてもよい。
【0035】
内燃機関は、3気筒以外の多気筒内燃機関または単気筒内燃機関であってもよい。また、内燃機関は、前記実施例では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるヘッドカバーが適用された内燃機関の要部断面図であり、シリンダブロックは、主としてシリンダ軸線を通る平面での断面図であり、シリンダヘッドおよびヘッドカバーは、主としてカム軸の回転中心線を含みシリンダ軸線に平行な平面での断面図である。
【図2】図1のシール部材が装着されたヘッドカバーの下面図である。
【図3】図1のヘッドカバーおよび装着前のシール部材の斜視図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、1c…端壁、2…シリンダヘッド、2a…端壁、3…ヘッドカバー、4…ピストン、5…燃焼室、6…カム軸、7…吸気カム、8…排気カム、9…ロッカ軸、10,11…ロッカアーム、12…カムプーリ、13…タイミングベルト、14…動弁室、15…伝動室、16…換気室、17…ベルトカバー、18…合わせ面、21…保持部、22…合わせ面、23a…開口部、23b〜23d…油路、
30…溝、31…動弁室カバー部、32…伝動室カバー部、33…仕切部、34〜36…合わせ面、37…仕切板、38a,38b…挿入口、39…オイル注入口、40…締結部、41,42…管継手、43…弧状リブ、44…弧状溝、45,46…補強リブ、47…開口部、48…連結リブ、49…装着溝、50…シール部材、
E…内燃機関、L1…シリンダ軸線、L2…回転中心線、V…動弁機構、A1…軸方向、A2…直交方向、B1,B2…ボルト、T…伝動機構、SH…ヘッド側合わせ面、SC…カバー側合わせ面。
Claims (1)
- 動弁機構が収納される動弁室をシリンダヘッドと共に形成する動弁室カバー部と、前記動弁機構へ駆動力を伝達するベルト式伝動機構が収納される伝動室を伝動室形成部材と共に形成する伝動室カバー部と、前記動弁室と前記伝動室とを仕切る仕切部とが一体成形された内燃機関のヘッドカバーにおいて、
前記仕切部、前記動弁室カバー部および前記伝動室カバー部の各合わせ面から構成されるカバー側合わせ面が、前記シリンダヘッドおよび前記伝動室形成部材の各合わせ面からなるヘッド側合わせ面に上下方向で全周で対面すると共に、平面視で前記動弁室および前記伝動室の全周を囲むように形成され、前記ヘッド側合わせ面の全周および前記カバー側合わせ面の全周に渡って配置される単一のシール部材を介して、前記シリンダヘッドに結合され、前記伝動室カバー部には、前記伝動室を挟んで前記仕切部と対面する前記伝動室カバー部の端壁に向かって前記動弁室カバー部から延びる補強リブが形成されていることを特徴とする内燃機関のヘッドカバー。
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