JP3741799B2 - エンジンにおけるオイルポンプの取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン、主として車両用エンジンにおいて、オイルパン内に貯留される潤滑オイルを、各被潤滑部に強制給油するためのオイルポンプの取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来シリンダブロックの下面にオイルパンを備えたエンジンにおいて、オイルパン内に貯留される潤滑オイルを、そのエンジンの各被潤滑部に強制給油するオイルポンプを、そのオイルパン内の底部に取り付けたものは既に良く知られており(たとえば特開平3−64609号公報参照)、また前記エンジンにおいて、シリンダブロックの下面に、クランク軸を支持するためのベアリングキャップ部を一体に形成した、ベアリングキャップ一体型オイルパンを結合したものも既に良く知られている(たとえば特公昭59−50864号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところでかかるベアリングキャップ一体型オイルパンを備えたエンジンでは、複数のベアリングキャップがオイルパンの内部空間を占有し、またそれらがオイルパンの開口上面にまで及んでおり、更にこのオイルパンをシリンダブロックに取り付けるための連結ボルト等がオイルパン室を通過しているため、そこにオイルポンプを取り付けようとすれば、(1) オイルポンプの取付位置に制約がある。
(2) オイルポンプの取付作業性やそのメンテナンス性が良くない。
(3) オイルパン自体の剛性低下を招く。
(4) オイルポンプと各被給油部とを連絡する油路構成が複雑になる。
等の課題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、前記課題を解決した新規なエンジンにおけるオイルポンプの取付装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、請求項1の発明は、シリンダブロックの下部にベアリングキャップ一体型オイルパンを備えてなる、エンジンにおいて、前記シリンダブロックの下面には、複数のベアリングキャップ部を一体に形成したオイルパン本体が固着され、このオイルパン本体には、そのベアリングキャップ部と、その底壁との間に、クランク軸方向の一端に開口部を有するオイルパン室が形成されると共に、その開口部が蓋体により閉じられ、前記オイルパン本体の、前記開口部に近い側の底壁には、該開口部を通してオイルパン室内に入れたオイルポンプがボルトを以て取付けられる取付座が一体に形成されており、この取付座の上面には、前記ボルトの取付孔を各々開口した取付部が、いずれもベアリングキャップ部の間で一体に形成されていることを特徴としており、これにより、オイルパンは、ベアリングキャップ部を一体に成形したにもかかわらず、その内部へのオイルポンプの取付作業やその後のメンテナンスがし易くなるばかりでなく、その取付位置の制約を受けることがない。またオイルポンプ取付座の上面に形成された、ボルト取付孔を各々開口した取付部が、いずれもベアリングキャップ部の間に位置していることにより、オイルポンプの取付性がよい。
【0006】
また請求項2の発明は、シリンダブロックの下部にベアリングキャップ一体型オイルパンを備えてなる、エンジンにおいて、前記シリンダブロックの下面には、複数のベアリングキャップ部を一体に形成したオイルパン本体が固着され、このオイルパン本体には、そのベアリングキャップ部と、その底壁との間に、クランク軸方向の一端に開口部を有するオイルパン室が形成され、前記オイルパン本体の、前記開口部に近い側の底壁には、該開口部を通してオイルパン室内に入れたオイルポンプが取付けられ、シリンダブロックには、クランク軸の回転力を動弁カム軸に伝達する伝動機構を被覆する伝動ケースが固着され、その伝動ケースには、シリンダブロックよりも下方へ延長され且つ縦断面コ字状をなし てクランク軸方向外方に張り出した延長部が一体に形成されていて、その延長部が、前記開口部を閉じる蓋体を構成していることを特徴としており、これにより、オイルパンは、ベアリングキャップ部を一体に成形したにもかかわらず、その内部へのオイルポンプの取付作業やその後のメンテナンスがし易くなるばかりでなく、その取付位置の制約を受けることがない。またオイルパンの開口部を閉じる蓋体は、伝動機構を被覆する伝動ケースを利用するので、部品点数を少なくして構造の簡素化が図られ、その上、オイルパンとしての組付作業が不要である。しかもその伝動ケースの、蓋体を構成する延長部が、縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方に張り出しているため、オイルパン室の容量が拡大される。
【0007】
さらに請求項3の発明は、シリンダブロックの下部にベアリングキャップ一体型オイルパンを備えてなる、エンジンにおいて、前記シリンダブロックの下面には、複数のベアリングキャップ部を一体に形成したオイルパン本体が固着され、このオイルパン本体には、そのベアリングキャップ部と、その底壁との間に、クランク軸方向の一端に開口部を有するオイルパン室が形成され、そのオイルパン室内には、前記開口部を通してオイルポンプが取り付けられると共に、該開口部が蓋体により閉じられ、オイルパン本体の、ベアリングキャップ部とオイルパン室との境界壁部の外面にはボス状の取付部が外向きに一体に成形されており、該取付部に吸気系部材が固着具により固着されることを特徴としており、これにより、オイルパンは、ベアリングキャップ部を一体に成形したにもかかわらず、その内部へのオイルポンプの取付作業やその後のメンテナンスがし易くなるばかりでなく、その取付位置の制約を受けることがない。またオイルパン本体の、ベアリングキャップ部とオイルパン室との境界壁部の外面に一体に成形したボス状の取付部に吸気系部材を固着することができる。
【0008】
さらにまた請求項4の発明は、請求項3の上記構成に加えて、前記複数のベアリングキャップ部の相隣り合うもの同士が、オイルパン室内の潤滑オイルの波立ちを抑制するバッフルプレートにより一体に連結されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 この実施例は、本発明を直列四気筒の四サイクルエンジンに実施した場合の実施例であって、図1は、エンジンの一部破断側面図、図2は、エンジンの一部破断正面図、図3は、図1の3−3線に沿うエンジンの縦断面図、図4は、図2の4−4線に沿うエンジンの部分側面図、図5は、図1の5−5線に沿う部分拡大図、図6は、図5の6−6線に沿う断面図、図7はオイルパン本体の斜視図、図8は、オイルパン本体の平面図、図9は、図8の9−9線に沿うオイルパン本体の端面図である。
【0010】
図1〜4において、四サイクルエンジンEのエンジン本体1は、シリンダブロック2と、そのデッキ面上にガスケットを挟んで連結ボルトにより結合されるシリンダヘッド3と、前記シリンダブロック2のクランクケース側の下端面にパッキンを挟んで同じく連結ボルトにより結合される、ベアリングキャップ一体型オイルパン(以下単にオイルパンという)4とより構成されている。
【0011】
図3に明瞭に示すように、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3の幅方向前後すなわちクランク軸方向両側には、それぞれ互いに一致する複数のボルト通し孔71 ,171 ;72 ,172 がそれぞれクランク軸9と並んで設けられ、前記シリンダヘッド3、シリンダブロック2およびオイルパン4の三者は、シリンダヘッド3側から前記ボルト通し孔71 ,171 ;72 ,172 を貫通してオイルパン4の複数のベアリングキャップ部(第1〜第5ベアリングキャップ部)4B1 〜4B5 に形成した盲ねじ孔191 ,192 にねじ込まれる、複数の通しボルト381 ,382 により一体に結合される。
【0012】
図1,2に示すように、前記シリンダブロック2には、直列に並ぶ四つのシリンダボア5およびそれらを取り囲む水ジャケット6が形成され、さらにその水ジャケット6の外側には、複数の前記ボルト通し孔71 ,72 が設けられる。
【0013】
前記四つのシリンダボア5内にピストン8がそれぞれ摺動自在に嵌合され、またシリンダブロック2の、クランクケース側の下面と、前記オイルパン本体41 の複数のベアリングキャップ部4B1 〜4B5 間にはクランク軸9が回転自在に支持され、このクランク軸9のクランクピンと、前記ピストン8のピストンピン間にはそれぞれコンロッド10が連接される。また前記シリンダヘッド3には、動弁カム軸11が回転自在に支承され、また通常のように前記動弁カム軸11と、それを挟んで設けられる吸、排気弁14,15とを連動して、それらを所定のタイミングをもって開閉作動する、従来公知の動弁機構16が設けられる。また動弁カム軸11の左右両側には、前記シリンダブロック2側のボルト挿通孔71 ,72 と一致する複数のボルト挿通孔171 ,172 がクランク軸9方向に並んで設けられる。さらにシリンダヘッド3の上面には、前記動弁機構16を被覆するヘッドカバー18がパッキンを介して固着される。
【0014】
図1に示すように、動弁カム軸11の外端と、前記クランク軸9の外端との間には、伝動機構12が連結されている。この伝動機構12は、クランク軸9の外端に固着される駆動スプロケット45と、動弁カム軸11の外端に固着される被動スプロケット46と、それら両スプロケット45,46間に巻き掛けられる無端状の伝動チエン47とより構成されており、クランク軸9の駆動力は、この伝動機構12を介して1/2の減速比をもって前記動弁カム軸11に伝達される。またこの伝動機構12は、シリンダヘッド3のクランク軸方向の一端部に一体に形成される伝動ケース部31 と、シリンダブロック2のクランク軸方向の一端面に複数の連結ボルト29により固着される伝動ケース13により被覆されている。この伝動ケース13は、シリンダブロック2よりも下方に延長される延長部13eが一体に形成されており、この延長部13eは、後に詳述するオイルパン本体41 の開口部24を閉じる、オイルパン4の蓋体を構成しており、この延長部13eすなわち蓋体は、複数のボルト29によりオイルパン本体41 の開口部24に固着されており、したがってオイルパン本体41 と、伝動ケース13の延長部(蓋体)13eとよりこのエンジンEのオイルパン4が構成される。図6に明瞭に示すように、伝動ケース13の延長部13eは縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方に張り出されており、これによりオイルパン4のオイルパン室Coの容量が拡大される。
【0015】
また図6に示すように、クランク軸9の一端は、前記伝動ケース13の軸孔50を貫通してその外部に突出しており、その外端に駆動輪すなわち駆動プーリ48が固着され、この駆動プーリ48は無端伝動帯49を介して図示しない水ポンプ等のエンジン補機に連動されている。クランク軸9と伝動ケース13の軸孔50との間にはオイルシール手段54が介在される。伝動ケース13内において、クランク軸9には、駆動スプロケット45に隣接して他の駆動スプロケット51が固着され、この駆動スプロケット51は、オイルパン室Co内の底部に取り付けられるオイルポンプOpの駆動用スプロケット52に無端状チエン53を介して連結されており、クランク軸9の回転によりオイルポンプOpが駆動されるようになっている。
【0016】
前記オイルパン4は、その主体部である前記オイルパン本体41 が、Fe、Al合金等の金属材料により一体に鋳造成形される。このオイルパン本体41 は、連結ボルト35によりシリンダブロック2の下面に固着され、図7,8に明瞭に示すように、底壁20、左、右側壁21,22および端壁23とより形成されており、またそのクランク軸方向の、前記伝動機構12側の一端面に開口する開口部24を有しており、この開口部24は、その周縁に複数のボルト孔25が設けられており、前記シリンダブロック2の一端面30(図4参照)と同一面となっており、それらの面24,30に、前記伝動ケース13が複数の連結ボルト29によりパッキンを介して固着される。そして前述したようにオイルパン本体41 の開口部24は前記伝動ケース13の下部の延長部(蓋体)13eにより被覆され、オイルパン本体41 と、伝動ケース13の延長部(蓋体)13eとにより、このエンジンEのオイルパン4が構成される。
【0017】
図7,8に明瞭に示すように、前記オイルパン本体41 内には、そのクランク軸方向に略等間隔を存して、そのクランク軸9と交叉する方向に複数のベアリングキャップ部(第1〜第5ベアリングキャップ部)4B1 〜4B5 が一体に形成されており、これらのベアリングキャップ部4B1 〜4B5 は、何れもクランク軸線に対して鉛直な壁体により構成されていて、それらの左右両側端は、前記左、右側壁21,22にそれぞれ一体に連続されている。オイルパン本体41 の一方の最外側、すなわち前記開口部24と反対側には、トランスミッションケースを締結するためのフランジ4fが一体に成形されており、この最外側のベアリングキャップ部(第5ベアリングキャップ部)4B5 は、該オイルパン本体41 の前記端壁23と一体であって該端壁23の一部を構成している(図1参照)。
【0018】
複数のベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の上面の中央部には、半円状の軸受下半部26がそれぞれ形成されており、これらの軸受下半部26は、シリンダブロック2の下部のクランクケース部に一体に形成される複数の半円状軸受上半部27と協働して、前記クランク軸9を回転自在に支持するクランク軸受孔28を構成している(図3参照)。
【0019】
オイルパン本体41 の下半部には、その底壁20、両側壁21,22、端壁23および複数のベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の底面とにより、クランク軸方向に一端面すなわち前記開口部24に開放されていて、そのクランク軸方向に連続する、洞穴状のオイルパン室Coが形成される。このオイルパン室Coは、オイルパン本体41 を一体に鋳造成形するときに、中子等の成形型の型抜きによる鋳抜き孔として成形され、オイルパン本体41 の底壁20および左右両側壁21,22の内面と、複数のベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の底面は、クランク軸9と交叉する断面が同形状に形成され、かつオイルパン本体41 の端壁23から開口部24に沿って末広状に広がる型抜き勾配が形成されており、これによりこのオイルパン室Coの、クランク軸9と交叉する方向の断面積は、前記開口部24側で最も大きくなっており、またオイルパン室Coの下面は端壁23から開口部24に向かって下り勾配の傾斜面に形成される。オイルパン本体41 の開口部24の最下部に対応する、伝動ケース13の延長部13eの最下端部には、ボス部55が形成されており、このボス部55にオイル排出口56が開口され、このオイル排出口56は、栓体すなわちドレンボルト57のねじ込みにより閉じられる。
【0020】
なお、前記オイルパン室Coは、そのクランク軸方向と交叉する方向の両端壁がいずれも開放されたトンネル状の鋳抜き孔として成形することもできる。
【0021】
前記複数のベアリングキャップ部(第1〜第5ベアリングキャップ部)4B1 〜4B5 の相隣り合うもの同士は、それぞれクランク軸9と交叉する方向の左右両側において、左右バッフルプレート31,32により一体に連結されており、これらのバッフルプレート31は、オイルパン4内の、クランク室Ccとオイルパン室Coとの連通部の一部を仕切るように、横方向に延びており、オイルパン室Co内の潤滑オイルの波立ちを抑制する。またクランク軸9の一方向回転(図2,3、矢印a方向)により潤滑オイルが跳ね上げられる側にあるバッフルプレートすなわち図8において、左側の複数のバッフルプレート31の内側縁部には、クランク室Cc側に向けて突出する補強壁33が一体に形成されており、これらの補強壁33は、前記バッフルプレート31と協働してベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の剛性確保に寄与している。また前記補強壁33の長手方向の両端部には、それぞれ対をなしてリブ片34が一体に形成されており、これらのリブ片34は、クランク軸9の回転による、オイルパン室Coの潤滑オイルの跳ね上がりを抑制するのに役立つ。
【0022】
図3に明瞭に示すように、ベアリングキャップ部4B1 〜4B5 には、その上面左右に、それぞれ上面に開放される凹部36,37が形成されるとともにそれらの凹部36に開口する、前記盲ねじ孔191 ,192 が形成されており、それらの盲ねじ孔191 ,192 に、前記通しボルト381 ,382 がねじ込まれる。
【0023】
また図3に示すように、ベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の、クランク軸9の一方側の凹部36は、シリンダブロック2側の一方側の凹部39とともに給油路40を形成しており、この給油路40内の潤滑オイルはクランク軸9の軸受およびクランク軸9の一方側の前記ボルト通し孔71 ,171 と、通しボルト381 間に形成されるオイル通路43を通してエンジンの被潤滑部に供給される。一方ベアリングキャップ部4B1 〜4B5 の、クランク軸の他方側の凹部37は、シリンダブロック2側の他方の凹部41と協働してオイルパン室Coに連通する戻し油路42を形成しており、この戻し油路42は、クランク軸9の他方側の前記ボルト通し孔72 ,172 と、通しボルト382 間のオイル通路44に連通されており、潤滑後のオイルをオイルパン室Coに導く。
【0024】
図7〜9に示すように、前記オイルパン本体41 の、前記開口部24に近い側の底壁20には、前記オイルポンプOpの取付座70が一体に形成されており、この取付座70の上面には、各取付孔を開口した3つの取付部71,72,73が、いずれもベアリングキャップ部4B1 〜4B3 の間で、三角形の各頂点上おいて一体に形成されており、前記開口部24よりオイルパン室Co内に入れられたオイルポンプOpは、それらの取付部17,72,73に、固着ボルト74をもって一体に取り付けられる。この場合3つの取付部71,72,73はいずれもベアリングキャップ部4B1 〜4B3 の間に位置していることにより、オイルポンプOpの取付性がよい。また前記開口部24に近い側とは、この実施例ではオイルパン本体41 のクランク軸方向中央部に位置するベアリングキャップ部(第3ベアリングキャップ部)4B3 よりも開口部24側であるが、好ましくはそれよりも外側のベアリングキャップ部(第2ベアリングキャップ部)4B2 よりも開口部24側である。また前記取付座70の一側端には、入口75が開口されており、この入口75は、オイルポンプOpの吐出口に連通される。またオイルパン本体41 の底壁20には、前記入口75に連通する、横方向の底部給油路76bが一体に成形され、さらにオイルパン本体41 の開口部24の一方のコーナ部外側には、前記底部給油路76bに連通する縦方向の側部給油路76sが一体に成形されており、この側部給油路76sは、オイルパン本体41 の上面すなわちシリンダブロック2との結合面に開口されており、このオイルパン本体41 にシリンダブロック2が結合されるとき、そのシリンダブロック2側に形成される給油系に連通される。そして前記底部および側部給油路76b,76sは、オイルポンプOpと、シリンダブロック2側の給油系とを連通する給油路76を構成しており、この給油路76は、オイルパン本体41 にシリンダブロック2を接合するだけで、オイルポンプOpと、シリンダブロック2側の給油系とを連通させることができ、それら間の油路構成が簡素化される。また前記給油路76はオイルパン本体41 を鋳造成形時に一体に成形され、そのオイルパン本体41 、特にその開口部24側の剛性を大幅に高めるのに役立っている。
【0025】
エンジン本体1の、吸気系部材Inの取付側において、オイルパン4の、ベアリングキャップ部4B1 〜4B5 とオイルパン室Coとの境界壁部の外面には、クランク軸9方向に間隔をあけて複数の肉厚なボス状の取付部61が外向きに一体に成形されており、これらの取付部61に、前記吸気系部材Inの下部が、ボルト等の固着具62により固着される。前記吸気系部材Inは、この実施例では、インテークマニホールドであるが、されに代えてスロットルボディ、吸気ダクト、吸気チャンバあるいはエアクリーナ等であつてもよい。
【0026】
なお、図中Fuは、吸気系部材Inに取り付けられる、燃料噴射ノズルを備えた燃料供給ユニット、Exは、エンジン本体1の他側に取付られる排気系部材である。
【0027】
いまウエットサンプ式エンジンEが運転されると、そのクランク軸9の回転により、伝動機構12を介して動弁カム軸11が駆動されて動弁機構16が作動され、また駆動プーリ48の駆動により無端伝動帯49を介して水ポンプ等のエンジン補機が駆動され、さらにこの駆動スプロケット51、チエン53および駆動スプロケット52を介してオイルポンプOpが駆動されて、オイルパン室Co内の潤滑オイルは吸上げられてエンジンEの各被潤滑部に強制給油される。オイルポンプOpから吐出される加圧潤滑オイルの一部は、前記給油路76を通ってシリンダブロック2側の被潤滑部に供給される。
【0028】
ところでオイルパン本体41 には、そのベアリングキャップ部4B1 〜4B5 と、その底壁20との間に、クランク軸方向の一端に開口部24を有するオイルパン室Coが形成され、そのオイルパン室Co内には、前記開口部24を通してオイルポンプOpが、その開口部24近くの底壁29上の取付座70に取り付けられ、前記開口部24は、蓋体13eにより閉じられることによりオイルパン4が構成され、このオイルパン4は、ベアリングキャップ部4B1 〜4B5 を一体に成形したにもかかわらず、その内部へのオイルポンプOpの取付作業やその後のメンテナンスがし易くなるばかりでなく、取付位置の制約を受けることがない。
【0029】
またオイルパン4の開口部24を閉じる蓋体13eは、伝動機構12を被覆する伝動ケース13を利用するので、部品点数を少なくして構造の簡素化が図られ、その上オイルパン4としての組付作業が不要である。
【0030】
さらに前記オイルパン室Coは、前記オイルパン本体41 のクランク軸方向の一端からの成形型の型抜きにより鋳抜き成形されて、その端壁23から開口部24に向けて末広状に広がる抜き勾配が形成されることにより、前記オイルポンプOpは、クランク軸9と交叉する方向の開口面積が最も大きい開口部24よりオイルパン室Co内に装入されて、そこに取り付けられることになり、オイルパンOpのオイルパン室Coへの取り付けが一層容易になる。
【0031】
さらにまた前記オイルパン本体41 は、前記開口部24を有するクランク軸方向の一端に、前記オイルポンプOpの取付座70およびそのオイルポンプOpとシリンダブロック2側の給油系とを連通する給油路76が一体に形成されることにより、オイルポンプOpからシリンダブロック2側の給油系への通路構成が大幅に簡素化され、またオイルパン室Coは、トランスミッションケースの締結用フランジ4fが一体に形成されている端壁23側に比べて剛性の低い、その開口部24側を、オイルポンプOpの取付座70および給油路76の一体成形により、補強することができ、オイルパン4はその全域にわたり高剛性に形成することができる。
【0032】
さらにこのエンジンEでは、伝動機構12を被覆する伝動ケース13を利用してオイルパン4の一部が構成されることにより、シリンダブロック2の下面に固着されるオイルパン本体41 自体の小型化を図りながら、必要、十分な潤滑オイル量を確保し、またオイルパン4の一部となる、伝動ケース13の延長部13eは、駆動プーリ48の下方のデッドスペースを占有するように外側方に張り出し形成されて、そのデッドスペースを有効に利用することができ、エンジンE自体を大型化することもない。
【0033】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実施例では、四気筒直列型エンジンに本発明を実施した場合を説明したが、他の型式の単気筒または多気筒エンジンにも本発明を実施することができることは勿論であり、また前記実施例では、クランク軸と動弁カム軸とを連動する伝動機構としてチエン伝動機構が採用されるが、これに代えて歯車伝動機構、ベルト伝動機構、その他の伝動機構を採用してもよい。また前記オイルポンプは、この種エンジンの潤滑用ポンプとして使用できるものであれば、その種類を問わない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シリンダブロック一体型エンジンにおいて、ベアリングキャップ部を一体に形成したオイルパン本体には、そのベアリングキャップ部と、その底壁との間に、クランク軸方向の一端に開口部を有するオイルパン室が形成され、そのオイルパン室内には、前記開口部を通してオイルポンプがを取り付けられ、前記開口は蓋体により閉じられるので、オイルパンは、ベアリングキャップ部を一体に成形したにもかかわらず、その内部へのオイルポンプの取付作業やその後のメンテナンスがし易くなるばかりでなく、その取付位置の制約を受けることがない。
【0035】
また特に請求項1の発明によれば、オイルパン本体の、オイルパン室開口部に近い側の底壁には、オイルポンプがボルトを以て取付けられる取付座が一体に形成され、この取付座の上面には、ボルトの取付孔を各々開口した取付部が、いずれもベアリングキャップ部の間で一体に形成されるので、それら取付部がいずれもベアリングキャップ部の間に位置することによりオイルポンプの取付性が良好である。
【0036】
また特に請求項2の発明によれば、オイルパン本体の、オイルパン室開口部に近い側の底壁にオイルポンプが取付けられ、シリンダブロックには、クランク軸の回転力を動弁カム軸に伝達する伝動機構を被覆する伝動ケースが固着され、その伝動ケースには、シリンダブロックよりも下方へ延長され且つ縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方に張り出した延長部が一体に形成されていて、その延長部が、前記開口部を閉じる蓋体を構成しているので、オイルパンの開口部を閉じる蓋体は、伝動機構を被覆する伝動ケースが利用され、部品点数を少なくして構造の簡素化が図られ、その上、オイルパンとしての組付作業が不要である。しかもその伝動ケースの、蓋体を構成する延長部が、縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方に張り出しているため、オイルパン室の容量が拡大される。
【0037】
また特に請求項3の発明によれば、オイルパン本体の、ベアリングキャップ部とオイルパン室との境界壁部の外面にはボス状の取付部が外向きに一体に成形され、該取付部に吸気系部材が固着具により固着されるので、オイルパン本体の、ベアリングキャップ部とオイルパン室との境界壁部の外面に一体に成形したボス状の取付部に吸気系部材を固着することができる。
【0038】
また特に請求項4の発明によれば、複数のベアリングキャップ部の相隣り合うもの同士が、バッフルプレートにより一体に連結されるので、オイルパン室内の潤滑オイルの波立ちを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジンの一部破断側面図
【図2】 エンジンの一部破断正面図
【図3】 図1の、3−3線に沿うエンジンの縦断面図
【図4】 図2の4−4線に沿うエンジンの部分側面図
【図5】 図1の5−5線に沿う部分拡大図
【図6】 図5の6−6線に沿う断面図
【図7】 オイルパン本体の斜視図
【図8】 オイルパン本体の平面図
【図9】 図8の9−9線に沿うオイルパン本体の端面図
【符号の説明】
2・・・・・・・・シリンダブロック
4・・・・・・・・シリンダヘッド部一体型オイルパン
41 ・・・・・・・オイルパン本体
4B1 〜4B5 ・・ベアリングキャップ部
9・・・・・・・・クランク軸
11・・・・・・・動弁カム軸
12・・・・・・・伝動機構
13・・・・・・・伝動ケース
13e・・・・・・蓋体(伝動ケースの延長部)
24・・・・・・・開口部(オイルパン本体の)
31,32・・・・バッフルプレート
61・・・・・・・取付部
62・・・・・・・固着具
70・・・・・・・取付座
71〜73・・・・取付部
74・・・・・・・ボルト
Co・・・・・・・オイルパン室
In・・・・・・・吸気系部材
Op・・・・・・・オイルポンプ
Claims (4)
- シリンダブロック(2)の下部にベアリングキャップ一体型オイルパン(4)を備えてなる、エンジンにおいて、
前記シリンダブロック(2)の下面には、複数のベアリングキャップ部(4B1 〜4B5 )を一体に形成したオイルパン本体(41 )が固着され、このオイルパン本体(41 )には、そのベアリングキャップ部(4B1 〜4B5 )と、その底壁(20)との間に、クランク軸方向の一端に開口部(24)を有するオイルパン室(Co)が形成されると共に、その開口部(24)が蓋体(13e)により閉じられ、前記オイルパン本体(4 1 )の、前記開口部(24)に近い側の底壁(20)には、該開口部(24)を通してオイルパン室(Co)内に入れたオイルポンプ(Op)がボルト(74)を以て取付けられる取付座(70)が一体に形成されており、この取付座(70)の上面には、前記ボルト(74)の取付孔を各々開口した取付部(71〜73)が、いずれもベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 3 )の間で一体に形成されていることを特徴とする、エンジンにおけるオイルポンプの取付装置。 - シリンダブロック(2)の下部にベアリングキャップ一体型オイルパン(4)を備えてなる、エンジンにおいて、
前記シリンダブロック(2)の下面には、複数のベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )を一体に形成したオイルパン本体(4 1 )が固着され、このオイルパン本体(4 1 )には、そのベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )と、その底壁(20)との間に、クランク軸方向の一端に開口部(24)を有するオイルパン室(Co)が形成され、前記オイルパン本体(4 1 )の、前記開口部(24)に近い側の底壁(20)には、該開口部(24)を通してオイルパン室(Co)内に入れたオイルポンプ(Op)が取付けられ、シリンダブロック(2)には、クランク軸(9)の回転力を動弁カム軸(11)に伝達する伝動機構(12)を被覆する伝動ケース(13)が固着され、その伝動ケース(13)には、シリンダブロック(2)よりも下方へ延長され且つ縦断面コ字状をなしてクランク軸方向外方に張り出した延長部(13e)が一体に形成されていて、その延長部(13e)が、前記開口部(24)を閉じる蓋体を構成していることを特徴とする、エンジンにおけるオイルポンプの取付装置。 - シリンダブロック(2)の下部にベアリングキャップ一体型オイルパン(4)を備えてなる、エンジンにおいて、
前記シリンダブロック(2)の下面には、複数のベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )を一体に形成したオイルパン本体(4 1 )が固着され、このオイルパン本体(4 1 )には、そのベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )と、その底壁(20)との間に、クランク軸方向の一端に開口部(24)を有するオイルパン室(Co)が形成され、そのオイルパン室(Co)内には、前記開口部(24)を通してオイルポンプ(Op)が取り付けられると共に、該開口部(24)が蓋体(13e)により閉じられ、
オイルパン本体(4 1 )の、ベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )とオイルパン室(Co)との境界壁部の外面にはボス状の取付部(61)が外向きに一体に成形されており、該取付部(61)に吸気系部材(In)が固着具(62)により固着されることを特徴とする、エンジンにおけるオイルポンプの取付装置。 - 前記複数のベアリングキャップ部(4B 1 〜4B 5 )の相隣り合うもの同士は、オイルパン室(Co)内の潤滑オイルの波立ちを抑制するバッフルプレート(31,32)により一体に連結されていることを特徴とする、前記請求項3に記載のエンジンにおけるオイルポンプの取付装置。
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