JP6892896B2 - 内燃機関の構造 - Google Patents
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Description
このような内燃機関の構造においては、ピストンの内壁やクランクシャフトなどから落下したエンジンオイルがオイルパンの底部に溜るようになっている。そして、バッフルプレートは、オイルパンの内部空間を上下に仕切るように配置され、オイルパンにボルトなどによって締結されている。
しかしながら、バッフルプレート自体を、例えば厚くし又はバッフルプレートに高剛性材料を使用すると、内燃機関の構造の重量が増加する。そして、内燃機関の構造の重量が増加すると、これを搭載する車両の燃費が悪化する。
以下に、内燃機関の構造の全体構成について説明した後に、オイルパンとバッフルプレートについて説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の構造Cの正面図である。なお、図1中、トランスミッション4は、仮想線(二点鎖線)で示している。
図1に示すように、内燃機関の構造Cは、内燃機関の本体部1(以下、「内燃機関本体部1」と称する)と、バッフルプレート3(図2参照)を有するオイルパン2と、トランスミッション4と、を備えている。なお、本実施形態での内燃機関本体部1は、ガソリンを燃料とする直列4気筒エンジンを想定している。
シリンダヘッド14及びヘッドカバー15の内部には動弁室が形成されている。
クランクケース12の下部には、後に詳しく説明するオイルパン2が複数のボルトB1にて締結されている。
そして、本実施形態でのオイルパン2は、このトランスミッション4の接合部24を有している。なお、この接合部24については、オイルパン2とともに後に詳しく説明する。
以上のような内燃機関本体部1は、シリンダブロック11、シリンダヘッド14、ヘッドカバー15などが、アルミ合金のダイカストによる鋳造品であるものを想定している。
次に、オイルパン2(図1参照)について説明する。
図2は、バッフルプレート3が配置されたオイルパン2の斜視図である。
図2に示すように、本実施形態でのオイルパン2は、上方に開いた箱体で形成されている。そして、オイルパン2の内部空間は、後に詳しく説明するバッフルプレート3によって、上下方向に、クランクケース12(図1参照)に臨む空間と、オイルパン2の底側に設定される油室26とに仕切られている。
そして、オイルパン2の上部開口には、開口縁に沿ってフランジ25が形成されている。このフランジ25には、ボルトB1(図1参照)の挿通孔25aが開口縁に沿うように複数設けられている。
これら接合部24のそれぞれは、矩形左辺に対応する縁部に沿って上部開口から遠ざかる方向に延出している。
そして、図1に示すように、オイルパン2は、この接合部24を介して前記のようにボルトB2にてトランスミッション4に締結されている。
ただし、特許請求の範囲にいう「重量物接合部」は、本実施形態でのトランスミッション4に対する接合部24に限定されるものではなく、重量物の接合部であればよい。したがって、重量物接合部は、例えばハイブリッド車における駆動用電動機との接合部などであってもよい。
図3に示すように、オイルパン2は、潤滑油(オイル)を溜めるための相対的に底の深い深底部22と相対的に底の浅い浅底部21とを有している。なお、図3中、符号3aは、浅底部21に配置される後記の第1バッフルプレートである。
つまり、オイルパン2の浅底部21は、中間部23を挟んでトランスミッション4との接合部24側に設定されている。そして、深底部22は、中間部23を挟んで接合部24とは反対側に設定されている。
図4に示すように、オイルパン2は、油室26内に複数のボルトボス20を有している。
具体的に説明すると、本実施形態でのオイルパン2においては、前記のように内燃機関本体部1(図1参照)とトランスミッション4(図1参照)に対してボルトB1,B2(図1参照)にて締結されることによって、図4に示すように、オイルパン2の長手方向(左右方向)に延びる中心軸Ax周りに捩れ角が周期的に変化する運動(捩れ振動)が想定される。
本実施形態でのオイルパン2においては、この浅底部21に形成される節Ndに対応する位置に、前記のように第3ボルトボス20cが配置されることとなる。
これらのボルトボス20には、後に詳しく説明するように、オイルパン2にバッフルプレート3を取り付けるボルトB3(図2参照)が噛み合う。
次に、バッフルプレート3(図2参照)について説明する。
図2に示すように、バッフルプレート3は、オイルパン2の中に複数配置されている。本実施形態でのバッフルプレート3は、オイルパン2の中に2つ配置されている。具体的には、バッフルプレート3は、相対的に剛性が高い第1バッフルプレート3aと、相対的に剛性が低い第2バッフルプレート3bとで構成されている。
なお、以下の説明において、これらを特に区別しない場合には、単にバッフルプレート3と称することがある。
そして、これらのバッフルプレート3は、オイルパン2のボルトボス20(図4参照)に対して、ボルトB3にて締結されている。
図5(a)は、第1バッフルプレート3aの平面図、図5(b)は、第1バッフルプレート3aの裏面図である。なお、図5(a)中、第1バッフルプレート3aの裏面に形成されるリブ33の肉抜き部34b(図5(b)参照)を隠れ線(点線)で示している。また、図5(b)中、第1バッフルプレート3aの表面に形成されるリブ33(図5(a)参照)の肉抜き部34a(図5(a)参照)を隠れ線(点線)で示している。
また、第1バッフルプレート3aは、図5(a)及び図5(b)に示すように、ボルトB3(図2参照)が挿通される複数のボルト穴30を有している。これらのボルト穴30は、図4に示す第1ボルトボス20aから第5ボルトボス20eに対応するように、第1ボルト穴30a、第2ボルト穴30b、第3ボルト穴30c、第4ボルト穴30d、及び第5ボルト穴30eからなる5つで構成されている。
具体的には、リブ33は、第1ボルト穴30aと、第3ボルト穴30cと、第5ボルト穴30eとを略対角線上に繋ぎ、第2ボルト穴30bと、第3ボルト穴30cと、第4ボルト穴30dとを略対角線上に繋ぐように形成されている。
このリブ33は、第1バッフルプレート3aの上面で部分的に上方に向けて盛り上がるように形成されている。
このような本実施形態での第1バッフルプレート3aは、アルミニウム系素材からなるダイカスト成形品を想定している。
図6は、第2バッフルプレート3bの平面図である。
図6に示すように、第2バッフルプレート3bは、平面視で、右側に開く略U字形状を呈している。
第2バッフルプレート3bは、ボルトB3(図2参照)が挿通される複数のボルト穴30を有している。これらのボルト穴30は、図4に示す第6ボルトボス20fから第9ボルトボス20iに対応するように、第6ボルト穴30f、第7ボルト穴30g、第8ボルト穴30h、及び第9ボルト穴30iからなる4つで構成されている。
なお、以下の説明において、これらの第6ボルト穴30fから第9ボルト穴30iを特に区別しない場合には、単にボルト穴30と称することがある。
本実施形態での構造部材逃げ部35は、構造部材としてのバランサ装置(図示を省略)の配置スペースを想定している。ちなみに、バランサ装置は、図示を省略するが、チェーンなどを介してクランクシャフト13(図1参照)によって回転する第1バランサシャフトと、この第1バランサシャフトと斜歯ギヤなどを介して噛み合って第1バランサシャフトと逆回転する第2バランサシャフトと、これらを収納するハウジングと、を有して構成される。
つまり、本実施形態の内燃機関の構造Cにおいては、構造部材逃げ部35に構造部材が嵌り込むことによって、これと一体になった第2バッフルプレート3bとが協働することによってバッフル機能が向上する。したがって、構造部材としては、構造部材逃げ部35に嵌り込む形状を有していれば特に制限はない。
次に、本実施形態でのオイルパン2の長手方向(左右方向)における第1バッフルプレート3aと、第2バッフルプレート3bとの長さについて説明する。
図7(a)は、バッフルプレート3のカット距離[%]とオイルパン2の捩り剛性[μm/Nm]との関係、及びバッフルプレート3のカット距離[%]に対応するオイルパン2の累計質量[kg]の関係を表すグラフである。図7(b)は、図7(a)におけるバッフルプレート3のカット距離[%]の説明図である。
そして、第4ボルト穴30d(第5ボルト穴30e)からカット距離[%]が増加するに従って、捩り剛性[μm/Nm]の値は減少した。
また、カット距離[%]が40%を超えると捩り剛性[μm/Nm]は飽和した。つまり、第4ボルト穴30d(第5ボルト穴30e)と第6ボルト穴30fとの略中間位置で、第1バッフルプレート3aと第2バッフルプレート3bとに分割することで、オイルパン2の捩り剛性[μm/Nm]の最小値を得た。つまり、捩り剛性に最も優れた。
なお、図7(a)中、右縦軸は、カット距離[%]に対応するオイルパンの累計質量[kg]である。
次に、第1バッフルプレート3a(図2参照)に生じる歪みとリブ33(図5(a)参照)の形状との関係について説明する。
図8(a)は、本実施形態での第1バッフルプレート3aに生じる歪みの分布図であり、図8(b)は、変形例に係る第1バッフルプレート3cに生じる歪みの分布図である。
そして、これら4つのリブ33cとしては、例えばボルトボス20(図4参照)と同幅以上、好ましくはボルトボス20の幅の2.4倍未満の幅で延びるものが挙げられる。
すなわち、第1バッフルプレート3cは、これらのリブ33cによって捩り剛性が高められることとなる。
リブ33のうち本体33aは、図8(a)中、仮想線(二点鎖線)で示しており、前記の変形例に係る第1バッフルプレート3c(図8(b)参照)のリブ33cと同じ構造となっている。
4つの本体補間部33bのそれぞれは、図8(a)中、ハッチング(斜線)を付したように、平面視で、第3ボルト穴30c側を頂点とする略三角形状を呈している。そして、各本体補間部33bの大きさは、例えば、略三角形状の底辺に相当する外縁の位置が、放射状に延びる本体33aの第3ボルト穴30c側から三分の一以上、三分の二未満の位置となるように設定することができる。
これら4つの本体補間部33bは、本体33aと一体になってリブ33を形成し、前記したように、平面視で、5つのボルト穴30a,30b,30c,30d,30eを略X字状に繋いでいる。
なお、本発明においては、変形例に係る第1バッフルプレート3c(図8(b)参照)を有するもの排除するものではない。ちなみに、このような第1バッフルプレート3cによれば、オイルパン2の剛性を高めつつ、より確実に第1バッフルプレート3c自体の軽量化を達成することができる。
第1バッフルプレート3a(図2参照)及び第1バッフルプレート3c(図8(b)参照)の剛性は、第2バッフルプレート3b(図2参照)の剛性よりも相対的に高い。
第1バッフルプレート3a,3cは、リブ33(図8(a)参照)及びリブ33c(図8(b)参照)の形成部位や、肉抜き部34b(図5(b)参照)の形成部位を含めない、いわゆる一般部の厚さが、薄板材からなる第2バッフルプレート3b(図2参照)の厚さよりも、厚くなるように設定されたものを想定している。
これにより第1バッフルプレート3a,3cは、第2バッフルプレート3bを構成する鉄系素材よりもヤング率が小さいアルミニウム系素材で構成されてはいるものの、第2バッフルプレート3bよりも相対的に剛性が高くなっている。
これにより第1バッフルプレート3a,3cは、第2バッフルプレート3bを構成する鉄系素材よりもヤング率が小さいアルミニウム系素材で構成されてはいるものの、第2バッフルプレート3bよりも相対的に剛性が高くなっている。
これにより第1バッフルプレート3a,3cは、第2バッフルプレート3bを構成する鉄系素材よりもヤング率が小さいアルミニウム系素材で構成されてはいるものの、第2バッフルプレート3bよりも相対的に剛性が高くなっている。
これにより第1バッフルプレート3a,3cは、第2バッフルプレート3bを構成する鉄系素材よりもヤング率が小さいアルミニウム系素材で構成されてはいるものの、第2バッフルプレート3bよりも相対的に剛性が高くなっている。
本実施形態では、カット距離[%]が40%(図7(b)参照)の第1バッフルプレート3aが、図4に示すように、浅底部21の第1ボルトボス20aから第5ボルトボス20eの5つのボルトボス20に対してボルトB3(図2参照)にて締結されている。
また、本実施形態での隙間Gは、左右方向に距離を有するものを想定しているが、第1バッフルプレート3aと第2バッフルプレート3bとの間で上下方向に距離を有するように設定することもできる。
また、第1バッフルプレート3aよりも剛性の低い第2バッフルプレート3bは、オイルパン2の長手方向における接合部24の反対側で第1バッフルプレート3aと隣り合うようにオイルパン2に締結される。
次に、本実施形態の内燃機関の構造Cの奏する作用効果について説明する。
本実施形態の内燃機関の構造Cは、バッフルプレート3が複数に分割されている。
すなわち、本実施形態の内燃機関の構造Cは、オイルパン2の各部で要求される剛性に応じて、高剛性の第1バッフルプレート3aと、低剛性の第2バッフルプレート3bとが配置される。
このような内燃機関の構造Cによれば、第2バッフルプレート3bのさらなる軽量化を図ることができる。
このような内燃機関の構造Cによれば、内燃機関本体部1の振動によって、第1バッフルプレート3aと前記第2バッフルプレート3bとが接触しない。これにより内燃機関の構造Cは、異音の発生を防止することができる。また、この内燃機関の構造Cによれば、第1バッフルプレート3aと前記第2バッフルプレート3bとが接触することによる相互の摩耗、損壊などを防止することができる。
このような内燃機関の構造Cによれば、第1バッフルプレート3aの剛性を効果的に増加させることができる。
このような内燃機関の構造Cによれば、第1バッフルプレート3aの軽量化を図ることができる。
前記実施形態では、第1バッフルプレート3aと第2バッフルプレート3bとの
2つのバッフルプレート3で構成されているが、3つ以上のバッフルプレート3で構成することもできる。
しかしながら、第1バッフルプレート3a及び第2バッフルプレート3bのそれぞれは、一部の締結点を中間部23に形成されたボルトボス(図示を省略)に設定することもできる。
また、アルミニウム系素材は鉄系素材よりも展延性に富むため、低剛性の第2バッフルプレート3bを薄く成形する際に有利となる。
このような傾斜底を有するオイルパン2においては、分割されたバッフルプレート3がオイルパン2の長手方向に並ぶように配置される。この際、分割されたバッフルプレート3のうち、一方のバッフルプレート3が、例えば傾斜底の低い側に配置されれば、必然的に他方のバッフルプレート3が傾斜底の高い側に配置される。
そして、このような傾斜底を有するオイルパン2においては、前記の他方のバッフルプレート3に高剛性のもの(第1バッフルプレート3a)が採用され、前記の一方のバッフルプレート3に低剛性のもの(第2バッフルプレート3b)が採用される。
2 オイルパン
3 バッフルプレート
3a 第1バッフルプレート
3b 第2バッフルプレート
4 トランスミッション
20 ボルトボス
21 浅底部
22 深底部
23 中間部
24 トランスミッションの接合部(重量物接合部)
26 油室
30 ボルト穴
33 リブ
34a 肉抜き部
34b 肉抜き部
34c 肉抜き部
35 構造部材逃げ部
B1 ボルト
B2 ボルト
B3 ボルト
C 内燃機関の構造
G 隙間
Claims (8)
- 内燃機関の本体部に接続されるオイルパンと、
前記オイルパンの中に配置されて前記オイルパンに締結される複数のバッフルプレートと、を有し、
前記複数のバッフルプレートのうち部分的に低剛性のバッフルプレートが配置されていることを特徴とする内燃機関の構造。 - 内燃機関の本体部に接続され、オイルを溜めるための相対的に底の深い深底部と相対的に底の浅い浅底部とを有するオイルパンと、
前記オイルパンの中に配置されて前記オイルパンに締結される複数のバッフルプレートと、を備え、
複数の前記バッフルプレートのうち、前記浅底部側に締結される前記バッフルプレートの剛性は、前記深底部側に締結される前記バッフルプレートの剛性よりも高いことを特徴とする内燃機関の構造。 - 内燃機関の本体部に接続されるオイルパンと、
前記オイルパンの中に配置されて前記オイルパンに締結される複数のバッフルプレートと、を有し、
前記オイルパンは、オイルを溜めるための底部と、側部に重量物接合部と、を備え、
複数の前記バッフルプレートのうち、前記重量物接合部側に締結される前記バッフルプレートの剛性は、他の前記バッフルプレートの剛性よりも高いことを特徴とする内燃機関の構造。 - 複数の前記バッフルプレートは、相対的に剛性が高い第1バッフルプレートと剛性が低い第2バッフルプレートとからなり、前記第1バッフルプレートは、鉄系素材で形成され、前記第2バッフルプレートは、アルミニウム系素材で形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の構造。
- 複数の前記バッフルプレートは、相対的に剛性が高い第1バッフルプレートと剛性が低い第2バッフルプレートとからなり、前記第2バッフルプレートには、構造部材逃げ部を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の構造。
- 複数の前記バッフルプレートは、相対的に剛性が高い第1バッフルプレートと剛性が低い第2バッフルプレートとからなり、前記第1バッフルプレートと前記第2バッフルプレートとの間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の構造。
- 複数の前記バッフルプレートは、相対的に剛性が高い第1バッフルプレートと剛性が低い第2バッフルプレートとからなり、前記第1バッフルプレートには、前記オイルパンとの締結点同士を繋ぐリブが形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の構造。
- 前記第1バッフルプレートにおける前記リブは、肉抜きされていることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の構造。
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