JPS6116415B2 - - Google Patents
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- JPS6116415B2 JPS6116415B2 JP57073947A JP7394782A JPS6116415B2 JP S6116415 B2 JPS6116415 B2 JP S6116415B2 JP 57073947 A JP57073947 A JP 57073947A JP 7394782 A JP7394782 A JP 7394782A JP S6116415 B2 JPS6116415 B2 JP S6116415B2
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Description
本発明は外殻高クロム材質中に黒鉛を晶出せし
めた複合高クロムロールに関する。 高クロムロールは冶金学的にはその基地組走織
中に微細なクロム炭化物を含んで成立しており、
耐摩耗性に優れるのが特長であるが、反面熱伝導
率が低く、同一圧延条件で熱間圧延に使用した場
合、他の熱伝導率の良いロールよりも圧延材と接
する胴最表面の温度上昇が大きいのが難点であ
る。これはロール胴表面の温度差に改因してロー
ルの耐肌荒性、耐摩耗性、耐クラツク性に悪影響
を及ぼすためである。 この欠点を改良する一つの方法として、可能な
限りクロムを少なくする方策も案出されるが、炭
素含有量との関係でカーバイドが減少し、高クロ
ムロール本来の優れた耐摩耗性を維持できなくな
るため限度がある。 ところで、高クロムロールについては組織中に
硬い炭化物のみを有し、黒鉛は全く晶出しないと
するのが技術通念であり、又実際黒鉛を有するも
のは従来全く見当らないものであるが、一方本発
明者の研究によると、もしその組成中に黒鉛を晶
出することが可能ならば、高クロムロールの熱伝
導性を改善することができ、これによつて上記圧
延使用特性の劣化を有効に防止できると考えるに
到つた。 本発明はかかる独自の技術的見地に基づき、鋳
造のままで外殻高クロム材質中に黒鉛を晶出する
複合高クロムロールを提供せんとするものであ
る。すなわち、本発明は上記目的を達成すべく高
クロム鋳鉄の化学成分、組成を改良工夫したもの
であつて、高クロムロールとしてC2.4〜3.4、
Si2.0〜3.4、Mn0.5〜1.5、P0.1以下、S0.08以下、
Ni4.5〜10、Cr5〜10、Mo0.4〜1.5を各重量%含
み、残部実質的にFeからなり、かつ組成中に黒
鉛を晶出している外殻と、高級鋳鉄、ダクタイル
鋳鉄もしくは黒鉛鋳鋼からなる内殻とを溶着一体
化せしめてなることを特徴とするものである。 一般にクロムは炭化物形成に大きく寄与し、炭
素含有量の増加につれて黒鉛の晶出を抑えるため
通常高クロム鋳鉄の基地組織には硬い炭化物のみ
が存在しているが、上記成分組成範囲にある本発
明の複合高クロムロールでは、その組織中に微細
な黒鉛の均一分布が認められる。 本ロールにおける内殻材質については、従来と
同様の各種鋳鉄・鋳鋼材質を用いることができ別
段特色はない。また本ロールの製造方法について
も、上記成分の高クロム鋳鉄を遠心力鋳造した
後、公知の複合化技術により内殻(軸芯材)を溶
着一体化せしめて鋳造することができる。 第1図は本発明に係る複合高クロムロールの構
造一例を概略的に現わし、1は外殻高クロム鋳
鉄、2は各種強靭鋳鉄、鋳鋼からなる内殻(軸芯
材)を示している。 以下本発明に係る外殻高クロム鋳鉄の成分範囲
限定理由について詳述する。 C2.4〜3.4% CはCrと結合してクロムカーバイドを形成す
る他、後述するSi、Niの黒鉛化生成元素により微
細な黒鉛を晶出するものである。しかして、
C2.4%以下ではクロムカーバイドが減少すると
共に黒鉛の晶出もなくなり、目的とする高クロム
鋳鉄が得られなくなるためである。一方C3.4%
以上ではCr含有量との関係によるものが、本発
明の場合ではCr10%以下に抑えられるため、過
飽和の炭素が高いSi、Ni含有量のため黒鉛化し、
黒鉛晶出量が過剰となつて耐摩耗性の点で劣化す
るためである。 Si2.0〜3.4 Siは高クロム材質に黒鉛を晶出させるために必
要で、2.0%以下ではこの効果がなく3.4%以上で
は黒鉛晶出が過多となり耐摩耗性の点で劣化する
ためである。なおSiについては鋳込前のSi量を上
記成分範囲よりも低目にしておいて、鋳込時に接
種を行ない、最終制品の成分で上記範囲内に調整
する方が黒鉛の晶出に有効である。 Mn0.5〜1.5% Mnは溶湯の脱酸のためにSiと共に積極的に添
加される。Mn0.5%以下ではこの効果が不足し、
1.5%以上では機械的性質特に靭性の点で劣化が
著しくなるためである。 P0.1%以下 Pはロール材質においては少ない程望ましく、
材質を脆くするという点から0.1%以下とする。 S0.08%以下 SもPと同様に少ない程望ましく、やはり材質
を脆くすることから0.08%以下とする。 Ni4.5〜10% Niは基地組織の改良と黒鉛晶出の目的で積極
的に含有される。しかしてNi4.5%以下では黒鉛
の晶出がみられず、一方10%以上になるとSiの場
合と同様黒鉛過多となり、同時に残留オーステナ
イトが増加して後の熱処理によつてもオーステナ
イトが安定で使用時に耐肌荒性の面で問題となる
ためである。 Cr5〜10% CrはCと結合してCr炭化物を形成するが、5
%以下では炭化物が少なく耐摩耗性の点で劣り、
一方10%以上では上記Ni、Siの成分範囲によつて
も黒鉛の晶出が得られないためである。 Mo0.4〜1.5% Moは焼入焼戻し抵抗を高めると共に炭化物中
に入り、炭化物硬度を高めると同時に焼戻し軟化
抵抗を向上させるのに有効であるが、その含有量
が0.4%以下ではこのような効果が少なく、一方
1.5%以上では白銑化傾向が強くなつて黒鉛の晶
出が得られなくなるためである。 本発明の、外殻は以上の成分のほか残部実質的
にFeで形成されるが、その材質特性を向上させ
るためにFeに代えて下記のNb、Vを必要に応じ
て含有することができる。 Nb、V1.0%以下 Nb、Vは共に鋳造組織の微細化に効果があ
り、必要に応じ単独又は複合で1.0%以下含有さ
れる。すなわち、それらが合計量で1.0%以上含
まれると、炭素と結びついてVC、NbC、Nb2Cを
形成し黒鉛の晶出を妨げると共にコスト高となる
ためである。 次に本発明の実施例を従来例と共に掲げて説明
する。 製品胴径φ680、胴長1800 l、全長3800 lの
複合高クロムロールを下記の如く製造すると共に
種々の調査に供した。 外殻として第1表に示す化学成分の高クロム
鋳鉄溶湯を用い、これを遠心力鋳造機上で回転
する鋳型に1410℃の鋳込温度で肉厚80mm(鋳込
重量2T400Kg)鋳込んだ。 外殻が完全に凝固した後(鋳込開始から22〜
23分後)、外殻を内有した遠心力鋳造用鋳型を
垂直に立てて、上部から軸芯材として第1表に
示した内殻溶湯を1380℃で鋳込み鋳型内を完全
に満たした後、上端を押湯保温材でカバーし
た。
めた複合高クロムロールに関する。 高クロムロールは冶金学的にはその基地組走織
中に微細なクロム炭化物を含んで成立しており、
耐摩耗性に優れるのが特長であるが、反面熱伝導
率が低く、同一圧延条件で熱間圧延に使用した場
合、他の熱伝導率の良いロールよりも圧延材と接
する胴最表面の温度上昇が大きいのが難点であ
る。これはロール胴表面の温度差に改因してロー
ルの耐肌荒性、耐摩耗性、耐クラツク性に悪影響
を及ぼすためである。 この欠点を改良する一つの方法として、可能な
限りクロムを少なくする方策も案出されるが、炭
素含有量との関係でカーバイドが減少し、高クロ
ムロール本来の優れた耐摩耗性を維持できなくな
るため限度がある。 ところで、高クロムロールについては組織中に
硬い炭化物のみを有し、黒鉛は全く晶出しないと
するのが技術通念であり、又実際黒鉛を有するも
のは従来全く見当らないものであるが、一方本発
明者の研究によると、もしその組成中に黒鉛を晶
出することが可能ならば、高クロムロールの熱伝
導性を改善することができ、これによつて上記圧
延使用特性の劣化を有効に防止できると考えるに
到つた。 本発明はかかる独自の技術的見地に基づき、鋳
造のままで外殻高クロム材質中に黒鉛を晶出する
複合高クロムロールを提供せんとするものであ
る。すなわち、本発明は上記目的を達成すべく高
クロム鋳鉄の化学成分、組成を改良工夫したもの
であつて、高クロムロールとしてC2.4〜3.4、
Si2.0〜3.4、Mn0.5〜1.5、P0.1以下、S0.08以下、
Ni4.5〜10、Cr5〜10、Mo0.4〜1.5を各重量%含
み、残部実質的にFeからなり、かつ組成中に黒
鉛を晶出している外殻と、高級鋳鉄、ダクタイル
鋳鉄もしくは黒鉛鋳鋼からなる内殻とを溶着一体
化せしめてなることを特徴とするものである。 一般にクロムは炭化物形成に大きく寄与し、炭
素含有量の増加につれて黒鉛の晶出を抑えるため
通常高クロム鋳鉄の基地組織には硬い炭化物のみ
が存在しているが、上記成分組成範囲にある本発
明の複合高クロムロールでは、その組織中に微細
な黒鉛の均一分布が認められる。 本ロールにおける内殻材質については、従来と
同様の各種鋳鉄・鋳鋼材質を用いることができ別
段特色はない。また本ロールの製造方法について
も、上記成分の高クロム鋳鉄を遠心力鋳造した
後、公知の複合化技術により内殻(軸芯材)を溶
着一体化せしめて鋳造することができる。 第1図は本発明に係る複合高クロムロールの構
造一例を概略的に現わし、1は外殻高クロム鋳
鉄、2は各種強靭鋳鉄、鋳鋼からなる内殻(軸芯
材)を示している。 以下本発明に係る外殻高クロム鋳鉄の成分範囲
限定理由について詳述する。 C2.4〜3.4% CはCrと結合してクロムカーバイドを形成す
る他、後述するSi、Niの黒鉛化生成元素により微
細な黒鉛を晶出するものである。しかして、
C2.4%以下ではクロムカーバイドが減少すると
共に黒鉛の晶出もなくなり、目的とする高クロム
鋳鉄が得られなくなるためである。一方C3.4%
以上ではCr含有量との関係によるものが、本発
明の場合ではCr10%以下に抑えられるため、過
飽和の炭素が高いSi、Ni含有量のため黒鉛化し、
黒鉛晶出量が過剰となつて耐摩耗性の点で劣化す
るためである。 Si2.0〜3.4 Siは高クロム材質に黒鉛を晶出させるために必
要で、2.0%以下ではこの効果がなく3.4%以上で
は黒鉛晶出が過多となり耐摩耗性の点で劣化する
ためである。なおSiについては鋳込前のSi量を上
記成分範囲よりも低目にしておいて、鋳込時に接
種を行ない、最終制品の成分で上記範囲内に調整
する方が黒鉛の晶出に有効である。 Mn0.5〜1.5% Mnは溶湯の脱酸のためにSiと共に積極的に添
加される。Mn0.5%以下ではこの効果が不足し、
1.5%以上では機械的性質特に靭性の点で劣化が
著しくなるためである。 P0.1%以下 Pはロール材質においては少ない程望ましく、
材質を脆くするという点から0.1%以下とする。 S0.08%以下 SもPと同様に少ない程望ましく、やはり材質
を脆くすることから0.08%以下とする。 Ni4.5〜10% Niは基地組織の改良と黒鉛晶出の目的で積極
的に含有される。しかしてNi4.5%以下では黒鉛
の晶出がみられず、一方10%以上になるとSiの場
合と同様黒鉛過多となり、同時に残留オーステナ
イトが増加して後の熱処理によつてもオーステナ
イトが安定で使用時に耐肌荒性の面で問題となる
ためである。 Cr5〜10% CrはCと結合してCr炭化物を形成するが、5
%以下では炭化物が少なく耐摩耗性の点で劣り、
一方10%以上では上記Ni、Siの成分範囲によつて
も黒鉛の晶出が得られないためである。 Mo0.4〜1.5% Moは焼入焼戻し抵抗を高めると共に炭化物中
に入り、炭化物硬度を高めると同時に焼戻し軟化
抵抗を向上させるのに有効であるが、その含有量
が0.4%以下ではこのような効果が少なく、一方
1.5%以上では白銑化傾向が強くなつて黒鉛の晶
出が得られなくなるためである。 本発明の、外殻は以上の成分のほか残部実質的
にFeで形成されるが、その材質特性を向上させ
るためにFeに代えて下記のNb、Vを必要に応じ
て含有することができる。 Nb、V1.0%以下 Nb、Vは共に鋳造組織の微細化に効果があ
り、必要に応じ単独又は複合で1.0%以下含有さ
れる。すなわち、それらが合計量で1.0%以上含
まれると、炭素と結びついてVC、NbC、Nb2Cを
形成し黒鉛の晶出を妨げると共にコスト高となる
ためである。 次に本発明の実施例を従来例と共に掲げて説明
する。 製品胴径φ680、胴長1800 l、全長3800 lの
複合高クロムロールを下記の如く製造すると共に
種々の調査に供した。 外殻として第1表に示す化学成分の高クロム
鋳鉄溶湯を用い、これを遠心力鋳造機上で回転
する鋳型に1410℃の鋳込温度で肉厚80mm(鋳込
重量2T400Kg)鋳込んだ。 外殻が完全に凝固した後(鋳込開始から22〜
23分後)、外殻を内有した遠心力鋳造用鋳型を
垂直に立てて、上部から軸芯材として第1表に
示した内殻溶湯を1380℃で鋳込み鋳型内を完全
に満たした後、上端を押湯保温材でカバーし
た。
【表】
【表】
完全に冷却した後、ロールを鋳型から取り出
し、歪取り熱処理(500℃×10Hr)及び組織安
定化熱処理(550℃×15Hr)を行なつた。 このようにして製造されたロールの製品組成
を第2表に示す。また、ロールの胴部について
超音波探傷を行なつた結果、外殻と内殻とは完
全に結合しているのが確認された。更に、実施
例1の外殻について顕微鏡組織観察した結果を
第2図に示す。第2図より明らかな通り、所期
目的とする微細な黒鉛、クロムカーバイド及び
基地からなる組織が得られていることが確認さ
れた。 外殻硬度及び内殻強度を調べた結果を第3表
に示す。
し、歪取り熱処理(500℃×10Hr)及び組織安
定化熱処理(550℃×15Hr)を行なつた。 このようにして製造されたロールの製品組成
を第2表に示す。また、ロールの胴部について
超音波探傷を行なつた結果、外殻と内殻とは完
全に結合しているのが確認された。更に、実施
例1の外殻について顕微鏡組織観察した結果を
第2図に示す。第2図より明らかな通り、所期
目的とする微細な黒鉛、クロムカーバイド及び
基地からなる組織が得られていることが確認さ
れた。 外殻硬度及び内殻強度を調べた結果を第3表
に示す。
【表】
次に外殻材について、フアビリー試験により
耐焼付性を調べた。 (i) フアビリー試験は、第3図に示すように、
テストピン11の一端を回転機12にシアー
ピン13によつて固定し、その他端を一定荷
重Pの下で一対のVブロツク14,14によ
り挾み付けながらテストピン11を回転さ
せ、回転に要したトルクにより焼付の有無、
程度を調べるものである。 (ii) フアビリー試験の試験条件は下記の通りで
あつた。 テストピン寸法……φ6.5×40 l Vブロツク寸法……φ12 テストピン回転数……300rpm(0.1m/sec) 負荷荷重P……35Kg 試験環境……無潤滑 (iii) フアビリー試験の結果を第4図及び第5図
に示す。第4図は実施例2、第5図は従来例
に対応したものである。 尚、黒鉛の晶出のない下記成分の比較材に
ついても試験され、その結果を第6図に示
す。 比較材化学組成(重量%) C:2.86% Si:0.92% Mn:0.60% P:0.072% S:0.013% Ni:7.40% Cr:8.29% Mo:0.73% 残部実質的Fe (iv) 第4図より本発明に係る外殻材について
は、トルクの上昇がほとんど認められず焼付
き現象が生じなかつたことが判る。 一方、従来の高クロム材である従来例の外
殻材については、第5図より12秒後に焼付が
生じ始め爾後強固に焼付が生じていることが
判る。また、実施例1の外殻材とSiを除きほ
ぼ同様の成分である比較材についても、第6
図より9〜10秒後でトルクが急激に上がり19
秒で最大になつており、焼付の発生が看取さ
れる。 実施例2、従来例の外殻材及びの比較材に
ついて600℃における熱伝導率を調べた。その
結果を下記に示す。 熱伝導率Cal/cm.seo.℃ 実施例2 5.3×10-2 従来例 5.4×10-2 比較材 4.7×10-2 上記結果から、本発明外殻材の熱伝導率は、従
来材とほとんど変らなかつたが、成分がほぼ同様
の比較材に対しては大幅な向上が認められた。 熱伝導率が従来材とほとんど変らなかつたの
は、黒鉛の有無よりも成分の相違が大きかつたた
めと考えられる。尤も、硬度測定の結果及び耐焼
付性の試験結果から、本発明の外殻は従来の高ク
ロム材に対して、耐摩耗性及び特に耐焼付性に優
れており、延いてはこれらの総合的結果として耐
肌荒性にも優れることが明らかであり、また黒鉛
の生成によりクラツクの進展を有効に阻止できる
ため、耐クラツク性にも優れることが明らかとな
つた。 以上説明した通り、本発明の外殻は、Ni含有
量の多いクロム材質中に鋳造のままで微細な黒鉛
が晶出したものであるから、耐摩耗性、耐クラツ
ク性及び特に耐焼付性が優れたものとなり、延い
ては耐肌荒性の向上にも大きく寄与することがで
きた。また、本発明の内殻は、外殻中のCr含有
量が比較的少ないため外殻から内殻へのCrの混
入、拡散を軽減することができ、内殻の強靭性を
向上させることができた。
耐焼付性を調べた。 (i) フアビリー試験は、第3図に示すように、
テストピン11の一端を回転機12にシアー
ピン13によつて固定し、その他端を一定荷
重Pの下で一対のVブロツク14,14によ
り挾み付けながらテストピン11を回転さ
せ、回転に要したトルクにより焼付の有無、
程度を調べるものである。 (ii) フアビリー試験の試験条件は下記の通りで
あつた。 テストピン寸法……φ6.5×40 l Vブロツク寸法……φ12 テストピン回転数……300rpm(0.1m/sec) 負荷荷重P……35Kg 試験環境……無潤滑 (iii) フアビリー試験の結果を第4図及び第5図
に示す。第4図は実施例2、第5図は従来例
に対応したものである。 尚、黒鉛の晶出のない下記成分の比較材に
ついても試験され、その結果を第6図に示
す。 比較材化学組成(重量%) C:2.86% Si:0.92% Mn:0.60% P:0.072% S:0.013% Ni:7.40% Cr:8.29% Mo:0.73% 残部実質的Fe (iv) 第4図より本発明に係る外殻材について
は、トルクの上昇がほとんど認められず焼付
き現象が生じなかつたことが判る。 一方、従来の高クロム材である従来例の外
殻材については、第5図より12秒後に焼付が
生じ始め爾後強固に焼付が生じていることが
判る。また、実施例1の外殻材とSiを除きほ
ぼ同様の成分である比較材についても、第6
図より9〜10秒後でトルクが急激に上がり19
秒で最大になつており、焼付の発生が看取さ
れる。 実施例2、従来例の外殻材及びの比較材に
ついて600℃における熱伝導率を調べた。その
結果を下記に示す。 熱伝導率Cal/cm.seo.℃ 実施例2 5.3×10-2 従来例 5.4×10-2 比較材 4.7×10-2 上記結果から、本発明外殻材の熱伝導率は、従
来材とほとんど変らなかつたが、成分がほぼ同様
の比較材に対しては大幅な向上が認められた。 熱伝導率が従来材とほとんど変らなかつたの
は、黒鉛の有無よりも成分の相違が大きかつたた
めと考えられる。尤も、硬度測定の結果及び耐焼
付性の試験結果から、本発明の外殻は従来の高ク
ロム材に対して、耐摩耗性及び特に耐焼付性に優
れており、延いてはこれらの総合的結果として耐
肌荒性にも優れることが明らかであり、また黒鉛
の生成によりクラツクの進展を有効に阻止できる
ため、耐クラツク性にも優れることが明らかとな
つた。 以上説明した通り、本発明の外殻は、Ni含有
量の多いクロム材質中に鋳造のままで微細な黒鉛
が晶出したものであるから、耐摩耗性、耐クラツ
ク性及び特に耐焼付性が優れたものとなり、延い
ては耐肌荒性の向上にも大きく寄与することがで
きた。また、本発明の内殻は、外殻中のCr含有
量が比較的少ないため外殻から内殻へのCrの混
入、拡散を軽減することができ、内殻の強靭性を
向上させることができた。
第1図は本発明に係る複合高クロムロールの構
造例を概略的に現わす断面図である。第2図は本
発明の実施例ロールについての外殻組織を現わす
顕微鏡写真(倍率50倍)、第3図はフアビリー試
験要領説明図、第4図〜第5図はフアビリー試験
結果を示すグラフ図であり、第4図は実施例外殻
材、第5図は従来例外殻材、第6図は比較材に係
るものである。 1……外殻、2……内殻(軸芯材)。
造例を概略的に現わす断面図である。第2図は本
発明の実施例ロールについての外殻組織を現わす
顕微鏡写真(倍率50倍)、第3図はフアビリー試
験要領説明図、第4図〜第5図はフアビリー試験
結果を示すグラフ図であり、第4図は実施例外殻
材、第5図は従来例外殻材、第6図は比較材に係
るものである。 1……外殻、2……内殻(軸芯材)。
Claims (1)
- 1 C2.4〜3.4、Si2.0〜3.4、Mn0.5〜1.5、P0.1以
下、S0.08以下、Ni4.5〜10、Cr5〜10、Mo0.4〜
1.5を各重量%含み、残部実質的にFeからなり、
かつ組織中に黒鉛を晶出している外殻と、高級鋳
鉄、ダクタイル鋳鉄もしくは黒鉛鋳鉄からなる内
殻とを溶着一体化せしめてなることを特徴とする
黒鉛を有する高クロムロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7394782A JPS58193343A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 黒鉛を有する高クロムロ−ル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7394782A JPS58193343A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 黒鉛を有する高クロムロ−ル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58193343A JPS58193343A (ja) | 1983-11-11 |
JPS6116415B2 true JPS6116415B2 (ja) | 1986-04-30 |
Family
ID=13532793
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7394782A Granted JPS58193343A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 黒鉛を有する高クロムロ−ル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58193343A (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60124407A (ja) * | 1983-12-06 | 1985-07-03 | Kubota Ltd | 高バナジウム複合鋳鉄ロ−ル |
JPS61557A (ja) * | 1984-06-13 | 1986-01-06 | Kubota Ltd | ホツトランテ−ブルロ−ラ |
JPH07103443B2 (ja) * | 1987-04-15 | 1995-11-08 | 株式会社クボタ | 耐摩耗性に優れた高硬度黒鉛晶出高クロム材および圧延用複合ロ−ル |
JP2542681B2 (ja) * | 1988-07-19 | 1996-10-09 | 日立金属株式会社 | 耐摩耗合金鋳鉄 |
JPH0293040A (ja) * | 1988-09-29 | 1990-04-03 | Kubota Ltd | 耐焼付性および耐摩耗性に優れた黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材 |
US5202087A (en) * | 1992-07-31 | 1993-04-13 | The Carondelet Corporation | Cement cooler grate alloy |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55158250A (en) * | 1979-05-28 | 1980-12-09 | Kubota Ltd | High-hardness high-chromium roll |
-
1982
- 1982-04-30 JP JP7394782A patent/JPS58193343A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55158250A (en) * | 1979-05-28 | 1980-12-09 | Kubota Ltd | High-hardness high-chromium roll |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58193343A (ja) | 1983-11-11 |
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