JPS6363507A - 強靭ロ−ル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はワークロールシフト方式、ダブルチョックヘン
ダ一方式、ＳＨｉ方式、クロス方式等の新圧延方式に通
用可能な強靭ロールの提供に関する。

〈従来の技術〉 従来の一体式圧延用ロールは、遠心力鋳造による複合ロ
ールと静置鋳造による単体ロールに大別され、複合ロー
ルは外層に耐摩耗材を、軸芯にはロール使用時の発生応
力に応じて通常片状黒鉛鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、黒鉛鋼
、鋳鋼から選定されている。

なお本発明に係る軸芯材に相当する材質、すなわち黒鉛
を晶出した高クロム材を外層に使用して、晶出黒鉛によ
る耐焼付性、耐肌荒性、耐摩耗性等の向上を目的とした
複合ロールを、本願出願人は先に「特公昭６１−１６４
１５号」において開示していることを此処に付記する。

〈発明が解決しようとする問題点〉 冒頭に述べた近年の新圧延方式で使用のワークロールは
、小径化及び長尺化されたロールであり、ロールのネッ
ク部に発生する応力は従来に比し格段に大きく、従って
これに対応し得る強度、靭性。

疲労強度を具備することが要求され、上記の従来材では
次のような問題点を生じるに到った。

すなわち、 ａ０片状黒鉛鋳鉄 鋳造性は良好で引は巣はできにくいが、強さ。

伸び共に低く、ベンダー荷重をネック部にかけて鋼板の
形状制御を行なう、などの新圧延方式に対応できない。

ｂ１球状黒鉛鋳鉄 片状黒鉛鋳鉄同様、鋳造性が良好で引は巣はでき難く、
かつ片状黒鉛鋳鉄より強靭ではあるが、ロールの小径化
によるペングー効果の向上動向に対応できなくなってき
ている。

Ｃ１黒鉛鋼 強さ、伸び共に優れ、この面からは新圧延方弐のワーク
ロール軸芯材として適するが、炭素含有量が低く凝固点
が高いため鋳造性が悪く、加えて凝固収縮が大きいため
引は巣を発生し易く、この面からは前記具備条件を充分
溝たしたものとは云えない。更に黒鉛鋼本来の強靭性を
得るためには、Ａｃ１変態点以上の高温で熱処理を行う
必要があり、従って外層材の熱処理は制約を受ける。

ｄ、鋳鋼 強さ、伸び共に問題はないが、黒鉛鋼と同様鋳造性が悪
（引は巣ができ易い。また＾Ｃ１変態点以上の熱処理を
必要とするため、外層材の熱処理が制約される。

なお、外層材としては高クロム鋳鉄、高合金グレン鋳鉄
、アダマイト材等が用いられるが、特に高クロム鋳鉄を
用いるときは、上記従来材の軸芯へその高濃度のＣｒが
拡散し、軸芯材の靭性を低下させる欠点があった。

〈問題点を解決するための手段〉 本発明は以上の従来軸芯材の有する問題点、欠点を解決
し、鋳造性が良好で引は巣ができ難く、かつ強靭なロー
ルを提供する目的を以ってなされたものであり、従って
その目的達成のための手段として、 外層と溶着一体化の軸芯を有する複合ロールにおいて、
軸芯が重量百分率で、 ＣＦ２．４　〜３．４　　％　　　　Ｓｉ　：　２．０
　〜３．４　　％Ｍｎ　：　０．５−１．５％　　　Ｐ
：０．１％以下Ｓ：０．０８％以下　　　　Ｎｉ　：　
４．５〜１０％Ｃｒ：　５〜１０　％　　　　Ｍｏ　：
　０．４　〜１．０　　％残部実質的にＦｅから成る黒
鉛を晶出させた高クロム鋳鉄から成るようにしているの
である。

〈実施例〉 以下本発明を詳述する。

第１図は本発明に係るロールの構造例を概略的に示す断
面図で、１が外層、２が軸芯である。

ます軸芯材の成分範囲の限定理由について述べる。

Ｃ：２．４〜３．４％ ＣはＣｒと結合してクロムカーバイドを形成する他、後
述するＳｉ、　Ｎｉの黒鉛化生成元素により微細な黒鉛
を晶出する。

Ｃが２．４％以下になるとクロムカーバイドが減少する
と共に黒鉛の晶出もなくなり、一方３．４％を越えると
Ｃｒ含有量との関係にもよるが、本発明では上限を１０
％と抑えているため、過飽和のＣが高いＳｉ、　Ｎｉ含
有量のため過剰に黒鉛化し、機械的性質の低下を招来す
る。

なお上記のような高いＣ量の含有と黒鉛の晶出は凝固点
の低下、凝固時の収縮の緩和をもたらすもので、引は巣
を発生しにく＼し鋳造性を向上せしめているのである。

Ｓｉ　：　２．０〜３．４％ Ｓｉは高クロム材質に黒鉛を晶出させるために必要で２
．０％以下ではこの効果がなく、３．４％を越えると黒
鉛晶出が過多となり、ヘアリング部の肌荒れや強度低下
を招く。

なおＳｉの添加については鋳込前のＳｉ量を上記成分範
囲よりも低目にしておいて、鋳込時の接種によって、最
終製品の含有量で上記範囲内に調整する方が黒鉛の晶出
に有効である。

Ｍｎ　：　０．５〜１．５％ Ｍｎは溶湯の脱酸のためにＳｉと共に積極的に添加され
る。Ｍｎ　０．５％以下ではこの効果が不足し、１゜５
％以上では機械的性質、特に靭性の劣化が著しくなる。

Ｐ：０．１％以下 Ｐはロール材質においては少ない程望ましく、材質を脆
くするという点から０．１％以下とする。

Ｓ：０．０８％以下 ＳもＰと同様に少ない程望ましく、やはり材質脆化の点
から０．０８％以下とする。

Ｎｉ　：　４．５〜１０％ Ｎｉは基地組織の改良と黒鉛を晶出させるため積極的に
含有させるもので、４．５％以下では黒鉛の晶出がなく
、一方１０％を越えるとＳｉと同様黒鉛量が過多となっ
て、機械的性質の劣化を招来する。

またコスト面からも１０％を限度とする。

Ｃｒ：５〜１０％ ＣｒはＣと結合してＣｒ炭化物を形成し、強度を確保す
る上で効果があるが、５％以下では炭化物が少な（、一
方１０％を越えると黒鉛の晶出が抑制されると共に炭化
物量が多くなって、機械的性質特に靭性の低下を招く。

Ｍｏ　：　０．４〜１．０％ Ｍｏは炭化物中に入り、炭化物の硬度を高めると共に基
地中にも入り、焼戻し軟化抵抗性を高めるのに有効であ
るが、本発明では軸芯材として本材質を用いるもので、
熱負荷はか＼らず、従って上記熱処理特性の向上を図っ
ての添加ではなく、基地中に入って基地組織の機械的性
質、特に強度向上を目的としての添加であって、０．４
％以下では目的の機械的性質が得られず、上限の１．０
％はコスト面から限定した。

なお前記「特公昭６１−１６４１５号」において外層に
用いるところの、本材質相当の黒鉛晶出高クロム鋳鉄で
は、外層として焼戻し軟化抵抗性を必要とすることから
、Ｍｏ　０．４〜１．５％と限定していることを付記す
る。

以上のように成分範囲を特定した本発明に係る軸芯材は
、引張強さ５０〜８０眩ｆ／１１、伸び０．５〜０．８
％を有するもので、既に触れたように高Ｃで凝固点も低
く、かつ黒鉛を晶出することにより凝固時の収縮も小さ
くて、鋳造容易であり引は巣も発生し難いことに加えて
、上記の強さ、伸び、すなわち球状黒鉛鋳鉄をしのぐ強
靭性もＡ餉変態点以下の熱処理によっても、あるいはＡ
ｃ１点以上の熱処理によっても確保されるのである。

下記第１表に本発明の軸芯材と従来軸芯材の機械的性質
及び鋳造性を比較して示した。

第１表 次に本発明ロールの製造について述べると、本発明ロー
ルは通常の遠心力鋳造に依ることができる。すなわち遠
心力鋳造機上で回転する金型に外層材溶湯を鋳込み、該
溶湯が完全に凝固した後、外層を内存した金型を予め用
意した下型上に七）トし、前記特定組成の溶湯を鋳込み
、外層及び軸芯を冶金的に溶着一体としたロールとする
のである。

外層材としては、高クロム鋳鉄、高合金グレン材、アダ
マイト材のいずれも適用可能であり、特にＣ：２．Ｏ〜
３．２％、　Ｃｒ　１０〜２５％を含有し、主として、
（Ｃｒ−Ｆｅ）　７　Ｃ３型炭化物による優れた硬度、
耐摩耗性を発揮させる外層材（たとえば、Ｃ：２．０〜
３．２％、　Ｓｉ　Ｏ，５〜１．５％、　Ｍｎ：　　０
．５〜１．５％、Ｐ：０．０８％以下、Ｓ：０．０６％
以下、Ｎｉ：１．０〜２．０％、　Ｃｒ　：　１０〜２
５％、　Ｍｏ：　　０．５〜１．５％。

残部実質的にＦｅ）と、前記Ｃｒ　５〜１０％を含む特
定組成の軸芯材を用いた本発明ロールは、従来軸芯材の
使用におけるような、外層材の高濃度Ｃｒが軸芯材中に
拡散侵入してその靭性を損うということがない。

なお本発明の強靭ロールは、上述のような中実ロールに
限らず、たとえば前記高クロム鋳鉄、高合金グレン材、
アダマイト材等による外層と前記特定組成の軸芯材によ
る中空軸芯部を有するロールも本発明の範萌に入るもの
である。

次に本発明の具体的実施例を示す。

■　製品胴径４３０φ、胴長１８００　＃　、全長３８
００　ｔｔで、外層が高クロム鋳鉄より成る強靭ロール
を下記の如く製造すると共に種々の調査に供した。

（ａｌ　　外層として下記第２表の組成を有する溶湯を
、肉厚７０ｔｍとなるように、遠心力鋳造機上で回転す
る鋳型に１４１０℃で鋳込んだ。

（鋳込量１２００ｋｇ） （残部実質的にＦｅ） （ｂｌ　　鋳込み開始８分後に外層は完全に凝固した。

そこで鋳型の回転を止め、該外層を内有する鋳型を下型
上にセットし、上部から第３表に示す組成の軸芯材（黒
鉛晶出高クロム鋳鉄）溶湯を１３８０℃で鋳込み（外層
鋳込み開始後、１４分後）、鋳型内を完全に満たした後
、上端を押湯保温材でカバーした。（鋳込量は３１００
ｋｇ）（残部は実質的にＲｅ） ｔｃ＋　　鋳造ロールが完全に冷却して後、同ロールを
鋳型から取り出し、５６０℃で１０時間の熱処理後、機
械加工を行って最終製品のロールを得た。

＋ｄｌ　　製品胴部を超音波探傷した結果、外層と軸芯
は完全に結合していることが確認され、また軸芯の材質
は微細な黒鉛とクロムカーバイド及び基地から成ること
が顕微鏡組織観察によって認められ、軸芯部表面の硬さ
はＨｓ　７３であった。

（ｅｌ　　本ロールの軸芯部を解体し、引張試験を行っ
た結果を第４表に示す。

第４表 上記試験の結果、従来の軸芯材のダクタイル鋳鉄１片状
黒鉛鋳鉄よりも強靭であることが確認された。また引は
巣は認められなかった。

■　製品胴径４００φ、胴長１８００β、全長３８００
７！で、外層が高台金グレン材より成る強靭ロールを下
記の如く製造すると共に■の場合と同様種々の調査に供
した。

ｔａ＋　　外層として下記第５表の組成を有する溶湯を
肉厚６５ｎとなるように、遠心力鋳造機上で回転する鋳
型に１３５０℃で鋳込んだ。

（鋳込量９６０ｋｇ） （残部は実質的にＦｅ） （ＩＩ＋）鋳込開始６分３０秒後に外層は完全に凝固し
た。そこで鋳型の回転を止め、該外層内存の鋳型を下型
上にセントし、上部から第６表に示す組成の軸芯材（黒
鉛晶出高クロム鋳鉄）溶湯を、１３５０℃で鋳込み（外
層鋳込開始後、１３分後）、鋳型を完全に満たした後、
上端を押湯保温材でカバーした。（鋳込量は２２００　
ｋｇ　）（残部は実質的にＦｅ） ＦＣ＋　　鋳造ロールが完全に冷却して後、同ロールを
鋳型から取り出し、４００℃で２０時間の熱処理後、機
械加工を行って最終製品のロールを得た。

＋ｄ＋　　製品胴部を超音波探傷した結果、外層と軸芯
は完全に結合していることが確認され、また軸芯材質は
微細な黒鉛とクロムカーバイド及び基地から成ることが
顕微鏡組織観察によって認められ、軸芯部表面の硬さは
Ｉｓ　７７であった。

＋ｅｌ　　本ロールの軸芯部を解体し、引張試験を行っ
た結果を第７表に示す。

第７表 上記試験の結果、従来の軸芯材であるダクタイル鋳鉄９
片状黒鉛鋳鉄よりも強靭であることが確認された。また
引は巣は認められながった。

〈発明の効果〉 本発明は以上のとおりであり、複合ロールにおける軸芯
組成を既述のように特定したことにより、組織中に黒鉛
を晶出させ、鋳造性をよくし、引は巣も発生し難くし、
更に球状黒鉛鋳鉄を上回る強靭性を付与している。しが
ちその強靭性はＡｃｌ変態点以上、或いは以下のいずれ
の熱処理によっても確保することができるもので、従っ
て外層の熱処理に制約を与えない。

また、外層材が高クロム材であって、同外層からＣｒが
軸芯へ混入するような場合でも、軸芯材自身Ｃｒをかな
り含有する材質であるからその強靭性を従来材のように
損わないのである。

更に硬度も従来材に比してかなり高く、従ってヘアリン
グ部の摩耗も減少するという効果も有している。

以上の様な利点を有する本発明ロールは、十分に新圧延
方式の小径、長尺のワークロールとして適合するもので
あり、かように小径、長尺ものとして適用できることは
、その鋳込量が小径で少なくて済むため、材質中にＮｉ
、　Ｃｒを多（含有させたことによるコストアンプ分を
、結果的には少なく抑えることができているのである。

なお本発明の技術は、高クロム鋳鉄、高合金グレン、ア
ダマイト等を外層とし、本発明に係る軸芯材を内層とす
る複合中空ローラに利用することもでき本発明の工業的
価値は著大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るロールの構造例を概略的に示す断
面図である。第２図は本発明実施例ロールについての内
殻組織を現わす顕微鏡写真（５０倍）である。 １・・・外層、２・・・軸芯。 特　許　出　願　人　　久保田鉄工株式会社■ｂ 第７図 第２図 手続補正書（方式） 昭和６１年１２月４日 １、事件の表示 暖０６１年特　許　願第２０７２０９号２、発明の名称 強靭ロール ３、補正をする者 事件との関係　特許出願人 （１０５）　　久保田鉄工株式会社 ４、代理人◎５７７ 住所　大阪府東大阪市御厨１０１３番地観０６　（７８
２）　６９１７・６９１８番「第２図は本発明実旧列ロ
ールについての内殻金属組織を現わす顕微鏡写真（５０
倍）である。」と補正する。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）外層と溶着一体化の軸芯を有する複合ロールにお
   いて、軸芯が重量百分率で、 Ｃ：２．４〜３．４％　Ｓｉ：２．０〜３．４％ Ｍｎ：０．５〜１．５％　Ｐ：０．１％以下 Ｓ：０．０８％以下　Ｎｉ：４．５〜１０％ Ｃｒ：５〜１０％　Ｍｏ：０．４〜１．０％ 残部実質的にＦｅから成る黒鉛を晶出させた高クロム鋳
   鉄から成ることを特徴とする強靭ロール。
2. （２）外層が重量百分率で、 Ｃ：２．０〜３．２％　Ｃｒ：１０〜２５％ を含有する高クロム鋳鉄から成る特許請求の範囲第１項
   に記載の強靭ロール。