JPS6320627B2

JPS6320627B2 -

Info

Publication number: JPS6320627B2
Application number: JP54059393A
Authority: JP
Inventors: Suejiro Yoshino; Hideo Fujita; Akitoshi Okabayashi
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1979-05-14
Filing date: 1979-05-14
Publication date: 1988-04-28
Also published as: JPS55153659A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はＨ型鋼圧延用スリーブロールに係り、
特にそのスリーブの改良に関する。Ｈ型鋼の圧延においては、その生産性並びに品
質確保の面から、ユニバーサルミルの使用が一般
的となつているが、このユニバーサルミルで使用
されるロール、つまり水平ロール、堅ロール、エ
ツジヤーロールでは、その殆んどのものにスリー
ブロール方式が採用されている。この種ロール（特に水平ロール）では、圧延材
との擦り摩耗に対する抵抗性が重要で、圧延材と
接触しその使用部に当るスリーブには優れた耐摩
耗性が必要とされ、同時に又耐焼付性も備えたも
のであることが必要とされる。そこで、従来このスリーブには、高硬度高Ｃ量
のアダマイト材質が用いられているのであるが、
この材質のものでは耐摩耗性の要求には合致する
ものの、耐焼付性の点では充分なものとは云え
ず、スリーブ材質として耐摩耗性、耐焼付性を兼
備したものが望まれており、加えてその使用層に
おける一層の耐摩耗性向上並びに使用層厚さの増
大化に伴う強靭化も要望されているのが現状であ
る。このような要望に応えるべく、本発明ではその
スリーブとして、遠心力鋳造により外内層を異な
る材質で一体に形成した複合スリーブを用いる新
しいＨ型鋼圧延用複合スリーブロールを提供する
ものであり、本発明の特徴とする処は、化学組成
が重量比で、Ｃ：1.8〜3.0％、Si：0.6〜1.5％、
Mn：0.6〜1.5％、Ni：1.5〜5.0％、Cr：0.6〜2.0
％、Mo：0.3〜1.2％、残部実質的にFeの高硬度
アダマイト材の外層と、化学組成が重量比で、
Ｃ：1.0〜1.8％、Si：0.5〜2.0％、Mn：0.2〜1.0
％、Ni：0.1〜1.0％、Cr：0.1〜1.0％、残部実質
的Feの黒鉛鋳鋼材の内層とが、遠心力鋳造で溶
着一体化して形成された複合スリーブを、軸体に
外嵌してなるＨ型鋼圧延用スリーブロールにおい
て、前記外層組織は、高硬度アダマイト基地中に
接種により黒鉛が晶出してなる点にある。以下本発明について詳述すると、上記の如く本
発明では、遠心力鋳造により外内層を溶着して形
成された複合スリーブを用いるものである。そこ
で、この複合スリーブの製造法について説明して
おくと、第１図に示すように、所定の複合スリー
ブ鋳造キヤビテイを形成した遠心力鋳造鋳型（図
中、１は金型、２は砂型又は耐熱レンガ、５は回
転ローラ）には、先ず外層３を形成する溶湯が鋳
込まれ、その凝固未完了時乃至完了後に、引き続
き内層４を形成する溶湯が鋳込まれ、これにより
外内層３，４を一体に溶着せしめた複合スリーブ
が形成されるのである。而して、先ずこの複合スリーブの外層材とし
て、本発明では前記特定組成の高硬度アダマイト
材質で、且つ組織中に黒鉛を晶出すべくその鋳込
み溶湯に、Ca−Si、Fe−Si等のSi系接種剤を0.05
〜1.0％添加したものを用いる。即ち、外層を形
成するアダマイト材質に黒鉛を晶出せしめること
は、スリーブロール使用時における焼付きを防止
し、又ヒートクラツクの進展を防止する上でも重
要である。外層に用いる高硬度アダマイト材質の各成分範
囲及びその限定理由について説明する。Ｃ：1.8〜3.0％Ｃは共晶セメンタイト及び黒鉛の適量晶出のた
めに重要な元素であり、1.8％以下では共晶セメ
ンタイト、黒鉛量共に少く、場合によつては黒鉛
が皆無となり、圧延時における耐摩耗性及び耐焼
付性の面で適当でない。然し乍ら、3.0％以上で
は、共晶セメンタイト、黒鉛量共に多くなり過ぎ
強度面での劣化を来たし耐ヒートクラツク性で問
題となる。 Si：0.6〜1.5％ Siは0.6％以下では、黒鉛の晶出が困難となり
一方1.5％以上では、共晶セメンタイト量が減少
し過ぎ、何れの場合も外層材として不適となり、
0.6〜1.5％の範囲が適切である。 Mn：0.6〜1.5％ MnはＳによる害を抑え、安価に硬度上昇を図
るために0.6％以上の含有が適当である。然し乍
ら1.5％以上では材質的に脆くなり好ましくない。 Ni：1.5〜5.0％ Niは靭性を改善すると共に硬度上昇に寄与し、
同時に又黒鉛化の助長にも有効な元素であり、
1.5〜5.0％の含有が適当である。即ち、Niが1.5％
以下では、充分な硬度が得られず、又黒鉛の晶出
量も少いため不適であり、5.0％以上では、黒鉛
の晶出量が多くなり、又残留オーステナイトも増
加し、加えて製造コストも高価となり好ましくな
い。 Cr：0.6〜2.0％ Crは0.6％以下では、共晶セメンタイト量が減
少し、又材質的にも脆くなり、一方2.0％以上で
は、黒鉛が皆無となり、0.6〜2.0％がその範囲と
して適当である。 Mo：0.3〜1.2％ Moは基地を硬くするのに有効な元素である
が、0.3％以下ではその効果が少なく、一方1.2％
以上では残留オーステナイトの増加及び製造コス
トの上昇を招き問題となる。接種剤：0.05〜1.0％接種は黒鉛の晶出を助長すると共に、組織を微
細化する効果が得られる。本発明では上記組成の
外層材質に、その鋳込み溶湯でSi系接種剤を適切
な添加量として0.05〜1.0％接種するものである。尚、上記外層材質の残部成分は、不純物を除き
実質的Feから成ることは云うまでもない。次に内層材について説明すると、本発明では複
合スリーブの内層材として、アダマイト材質では
なく、前記特定組成の黒鉛鋳鋼材である。また、
その鋳込溶湯に、Ca−Si接種剤を0.2〜2.0％添加
することは、組織中に黒鉛の晶出乃至析出を助長
するので好ましい。即ち、黒鉛鋳鋼により形成さ
れた内層では、強度面で優れていることは勿論の
こと、湯流れ性が良く、鋳造後の残留応力が少な
いという利点を備えたものである。そこで、この内層に用いる黒鉛鋳鋼材質の各成
分範囲及びその限定理由について説明する。Ｃ：1.0〜1.8％凝固温度の関係から、Ｃ含有量は出来る丈高い
方が良く、本材質ではその下限を1.0％以上とす
る。然し乍ら、Ｃ量が余り高く1.8％以上になる
と、黒鉛形状が片状となり、強靭性の劣化を来た
し問題となる。 Si：0.5〜2.0％ Siは0.5％以下では、黒鉛の晶出が皆無となり
一方2.0％以上では材質的に脆くなり、0.5〜2.0％
が適切である。 Cr：0.1〜1.0％ Crは材質の靭性を確保するために0.1％以上は
必要であり、逆に黒鉛の晶出には1.0％以下とす
る必要がある。 Mn：0.2〜1.0％、Ni：0.1〜1.0％、Mo：0.1〜1.0
％ Mn、Ni及びMoは、材質に適度な強靭性を保
持せしめるための適当な含有量として、各々上記
範囲に規定されるものである。接種剤：0.2〜2.0％接種は矢張り黒鉛の晶出を助長する効果が得ら
れるものであり、本発明では上記組成の内層材質
に、その鋳込み溶湯でCa−Si接種剤を適切な添
加量として0.2〜2.0％接種するものである。尚、上記内層材質の残部成分は、不純物を除き
実質的Feから成ることは云うまでもない。今、本発明の具体的実施例１〜３を挙げて説明
する。 (1) 製品ロール径について、実施例１…1060φ、
実施例２…1090φ、実施例３…940φの複合スリ
ーブロールを製作するに当り、複合スリーブを各外層鋳込み厚さ（片側）：200mm 各内層鋳込み厚さ（片側）：150mm で、外層・内層を各々下記第１表に記載の材質
に、遠心力鋳造により形成した。鋳込みに際し
て、外層及び内層溶湯に接種を施した。外層溶
湯の接種はCa−Si（Si50％）を用いて、溶湯に
対しSi分として下記の添加量を接種した。実施例１…0.1％実施例２…0.2％実施例３…0.5％

【表】注１化学組成は接種後の組成（重量％）を
示す。
２残部実質的にFe
(2) 実施例１〜３より、JIS4号引張試験片を採取
し、機械的性質及び黒鉛組織を調べた。その結
果を第２表に、並びに実施例１につき外層の金
属組織顕微鏡写真を第２図に、内層の同写真を
第３図に示す。

【表】 (3) 実施例2.3の複合スリーブを軸嵌して複合ス
リーブロールとして実機において使用した。実
施例２では従来焼付発生率が40％であつたが本
ロールでは12回使用して焼付は皆無であつた。
一方、実施例３では従来焼付発生率が60％であ
つたが、本ロールでは78回使用して12％に激減
した。このように、本発明で使用する複合スリーブ
では、外層は組織中に接種により晶出した黒鉛
とセメンタイトとを共に含む高硬度アダマイト
材質で形成され、一方内層は強度、靭性に富む
黒鉛鋳鋼材質で形成されたものであるため、使
用層に当る外層には耐焼付性の改善（主に黒鉛
による）と耐摩耗性の確保（主にセメンタイト
による）とが共に達成されるのであり、一方内
層には、焼嵌め応力、圧延圧力等に対し容易に
破損しないこと、つまり使用時における耐事故
性が改善され、同時に又、鋳造時や熱処理時に
おける熱応力による破損等、スリーブ製造時の
破損に対しても、よくこれを防止し得るものと
なる。従つて、このような複合スリーブを焼嵌めな
どで軸体に外嵌してなる、本発明のＨ型鋼圧延
用複合スリーブロールによれば、耐摩耗性、耐
焼付性が改善され、更に寿命の著しく改善され
たものが提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る複合スリーブの製造法を
示す遠心力鋳造装置説明図であり、第２図、第３
図は、本発明の実施例１における外層及び内層の
組織を示す顕微鏡写真である。

Claims

【特許請求の範囲】１化学組成が、重量比で、Ｃ：1.8〜3.0％ Si：0.6〜1.5％ Mn：0.6〜1.5％ Ni：1.5〜5.0％ Cr：0.6〜2.0％ Mo：0.3〜1.2％残部実質的Feの高硬度アダマイト材の外層と、
化学組成が、重量比で、Ｃ：1.0〜1.8％ Si：0.5〜2.0％ Mn：0.2〜1.0％ Ni：0.1〜1.0％ Cr：0.1〜1.0％ Mo：0.1〜1.0％残部実質的Feの黒鉛鋳鋼材の内層とが、遠心
力鋳造で溶着一体化して形成された複合スリーブ
を、軸体に外嵌してなるＨ型鋼圧延用スリーブロ
ールにおいて、前記外層組織は高硬度アダマイト
基地中に接種により黒鉛が晶出してなることを特
徴とするＨ型鋼圧延用複合スリーブロール。