JPS5949082B2 - Ｈ型鋼圧延用複合スリ−ブロ−ル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はＨ型鋼圧延用複合スリーブロールに係り、特に
そのスリーブの改良に関する。

Ｈ型鋼の圧延においては、その生産性並びに品質確保の
面から、ユニバーサルミルの使用が一般的トなっている
が、このユニバーサルミルで使用されるロール、つマリ
水平ロール、堅ロール、エツジヤ−ロールでは、その殆
んどのものにスリーブロール方式が採用されている。

この種ロール（特に水平ロール）では、圧延材との擦り
摩耗に対する抵抗性が重要で、圧延材と接触しその使用
部に当るスリーブには優れた耐摩耗性が必要とされ、同
時に又耐焼付性も備えたものであることが必要とされる
。

そこで、従来このスリーブには、高硬度高Ｃ量のアダマ
イト材質が用いられているのであるが、この材質のもの
では耐摩耗性の要求には合致するものの、耐焼付性の点
では充分なものとは云えず、スリーブ材質として耐摩耗
性、耐焼付性を兼備したものが望まれており、加えてそ
の使用層における一層の耐摩耗性向上皿ひに使用層厚さ
の増大化に伴う強靭化も要望されているのが現状である
。

このような要望に応えるべく、最近本発明者等は、遠心
力鋳造により外層を高硬度アダマイト材、内層を黒鉛鋳
鋼で、両者を一体に溶着してなる複合スリーブを用いる
ものを開発し、これにより多大の成果を収めたのである
が、この複合スリーブを用いる場合でも、同次のような
問題点を抱えるものとなった。

即ち、外層を高硬度アダマイト材、内層を黒鉛鋳鋼に形
成した複合スリーブを用いる場合では、両者のＣ含有量
差異が太き過ぎると（外層材質のＣ含有量〉内層材質の
Ｃ含有量）、遠心力鋳造によるその鋳造時に、外層内面
側近傍部よりも後に鋳込まれた内層外面側が先に凝固し
、その結果境界部に引巣を発生して不良品を生じるとい
う問題がみられた。

このような実情に鑑み、本発明はＨ型鋼圧延用スリーブ
ロールとして、その性能並びに寿命を向上することがで
き、同時に上記問題点も確実に解消される新しい三層複
合スリーブを用いるものを提供するものであり、本発明
の特徴とするところは、遠心力鋳造で、外層、中間層及
び内層を溶着して形成された複合スリーブを、軸体に外
嵌してなるＨ型鋼圧延用複合スリーブロールであって、
前記複合スリーブの外層を、高硬度アダマイト材で形成
し、一方前記複合スリーブの内層を、黒鉛鋳鋼で形成し
、更に前記複合スリーブの外層と内層さに介在される中
間層を、外層と内層との略中間的Ｃ含有量から成るアダ
マイト材若しくは黒鉛鋳鋼で形成した点にある。

以下本発明について詳述する古、上記の如く本発明では
、遠心力鋳造により外層、中間層及び内層を夫々溶着し
て形成された三層複合スリーブを用いるものである。

そこで、この複合スリーブの製造法について説明してお
くと、第１図に示すように、所定の複合スリーブ鋳造キ
ャビティを形成した遠心力鋳造鋳型（図中、１は金型、
２は砂型又は耐熱レンガ、６は回転ローラ）には、先ず
外層３を形成する溶湯が鋳込まれ、その凝固未完了時乃
至完了後に、引き続き中間層４を形成する溶湯が鋳込ま
れ、更にはこの中間層溶湯の凝固未完了時乃至完了後に
、引き続き内層５を形成する溶湯を鋳込み、これにより
外層３、中間層４及び内層５を夫々一体に溶着せしめて
なる三層複合スリーブが形成さ！するのである。

而して、先ずこの複合スリーブの外層については、圧延
材と接し使用層となる部分であるため、充分な耐摩耗性
、耐熱疲労性を有することが必要であり、本発明ではこ
の外層材として高硬度アダマイト材を用いる。

即ち、外層は、Ｃ１，８〜２．８％、Ｓｉ Ｏ，３〜２
．０％、Ｍｎ ０．５〜１．５％、Ｎｉ１．０〜４．０
％、Ｃｒ １． Ｏ〜３．０％、Ｍｏ０．５〜１．５％
、残部不純物を除き実質的Ｆｅで、更に必要に応じては
黒鉛の晶出を助長するために、ＣａＳｉ等を適量溶湯接
種してなる材質で形成される。

ここで、上記アダマイト材質において、特にそのＣ含有
量を０１．８〜２，８％に規制するのは、多量のセメン
タイトを晶出させて耐摩耗性を向上させると共に、特に
耐焼付性が要求される場合等必要に応じて黒鉛の晶出を
図るためである。

次に複合スリーブの内層については、スリーブ−゛を補
強するため特に強靭性が必要であり、且つ又製造時での
鋳造性（湯流れ性）も重要であり、本発明ではこの内層
材として所謂黒鉛鋼を用いる。

即ち、内層は、Ｃ１，０〜２．０％、Ｓｉ０．３〜２．
０％、Ｍｎ ０．２〜１．０％、 Ｎｉ Ｏ，１〜１
．０％、ＣｒＯ，１〜１．０％、 Ｍｏ ０．１〜１．
０％、残部不純物を除き実質的Ｆｅで、好ましくはその
溶湯に接種剤を０．２〜２．０％接種してなる材質で形
成される。

ここで、上記黒鉛鋼材質では、そのＣ含有量を上記範囲
内で出来る丈低いものとするのが良好となる。

而して、本発明では複合スリーブ製造時における不良の
発生を防止するために、上記複合スリーブ外層と内層と
の間に、両者の中間的な材質からなる中間層を介在せし
めたものである。

即ち、中間層は外層と内層との略中間的Ｃ含有量、（外
層Ｃ％十内ｇＣ％）／２±０．３％のＣ含有量から成る
アダマイト材若しくは黒鉛鋼材質で形成されるものであ
り、黒鉛鋼材質の場合では、その溶湯に矢張りＣａＳｉ
接種剤を適量接種することも行われる。

この中間層の厚さは、余り薄いものでは効果がなく、逆
に厚過ぎるものではスリーブの特性を損い、通常規模の
ロールサイズで２０〜ｓｏｎｇ（片側鋳込厚さ）が良好
である。

以上のような本発明の具体的１実施例を挙げて説明する
。

実施例 ロール径（製品）１１３０φの複合スリーフ七−ルを製
作するに当り、複合スリーブを 外層鋳込み厚さく片側）：２１ＣＩＩｍ 中間層鋳込み厚さく片側）：５Ｑｍｍ 内層鋳込み厚さく片側）：１００朋 で、外層、中間層及び内層を各々下記表に記載の材質に
より形成した結果、外層及び内層には各々所要の満足す
べき特性が得られると共に、中間層の介在により、第２
図に示す如く引巣等の鋳造欠陥の発生がよく防止できる
ことが確認された。

このように、本発明で使用する複合スリーブでは、外層
は高硬度アダマイト材質で形成され、一方内層は黒鉛鋼
ｔオ質で形成され、更に外層と内層とに両者の中間的Ｃ
含有量を有するアダマイト材質若しくは黒鉛鋼材質の中
間層を介在せしめたものであるため、使用層に当る外層
には耐焼付性の改善、耐摩耗性の向−ヒとが共に達成さ
れるのであり、一方内層にはその強靭性によって、焼嵌
め応力、圧延負荷による応力、或いは熱処理時等におけ
る熱応力などに対しても破損し難いこと、つまり耐事故
性が増強されるのであり、しかも外層と内層との間に中
間層を介在せしめたことによって、遠心力鋳造による複
合スリーブ製造時には、外層と内層とのＣ含有量の差巽
が大きい場合でも、凝固がスリーブ外面側から内向側に
一方向的に進行し、引巣等の鋳造欠陥の発生が確実に防
庄、されるものとなる。

又このことは内層のＣ含有量を低く抑えることを可能と
し、内層をますます強靭なものとすることができて、ロ
ールの安全性に一層寄与することができる。

尚、中間層では、Ｃ含有量が比較的高いものであるため
、晶出した黒鉛が片状となり、幾分機械的性質の低いも
のとなるが、この部分ではスリーブ内面側に比べて発生
する応力が小さく、使用、侍には問題とならない。

以−に説明したように、本発明のＨ型鋼甲延用複合スリ
ーブロールでは、各々特定材質の外層、中間層及び内層
からなる三層複合スリーブを用い、これを焼嵌めなどで
軸体に外嵌してなるものであるため、従来品に比較して
その性能、■ひに使用１命の著しく改善されたもので、
且つその製造時に不良を発生する惧れのないものである
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る複合スリーブの製造法を示す遠心
力鋳造装置説明図、第２図は本発明の実施例における中
間層組織を示す顕微鏡写真である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 遠心力鋳造で、外層、中間層及び内層を溶着して形
   成された複合スリーブを、軸体に外嵌してなるＨ型鋼圧
   延用複合スリーブロールであって、前記複合スリーブの
   外層を、高硬度アダマイト材で形成し、一方前記複合ス
   リーブの内層を、黒鉛鋳鋼で形成し、更に前記複合スリ
   ーブの外層と内層とに介在される中間層を、外層と内層
   との略中間的Ｃ含有量から成るアダマイト材若しくは黒
   鉛鋳鋼で形成したことを特徴とするＨ型鋼圧延用複合ス
   リーブロール。