JPS6116336B2 - - Google Patents

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JPS6116336B2
JPS6116336B2 JP7394682A JP7394682A JPS6116336B2 JP S6116336 B2 JPS6116336 B2 JP S6116336B2 JP 7394682 A JP7394682 A JP 7394682A JP 7394682 A JP7394682 A JP 7394682A JP S6116336 B2 JPS6116336 B2 JP S6116336B2
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Yoshihiro Nakagawa
Takashi Hashimoto
Hiroaki Katayama
Takeru Morikawa
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Kubota Corp
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  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は外殻高クロム材質中に黒鉛を晶出せし
めた三重構造の複合高クロムロールに関する。 高クロムロールは治金学的にはその基地組織中
に微細なクロム炭化物を含んで成立しており、耐
摩耗性等に優れるのが特長であるが、反面熱伝導
率が低く、同一圧延条件で熱間圧延に使用した場
合、他の熱伝導率の良いロールよりも圧延材と接
する胴最表面の温度上昇が大きいのが難点であ
る。これはロール胴表面の温度差に起因してロー
ルの耐肌荒性、耐摩耗性、耐クラツク性に悪影響
を及ぼすためである。 この欠点を改良する一つの方法として、可能な
限りクロムの含有量を少なくする方策も案出され
るが、炭素含有量との関係でカーバイドが減少
し、高クロムロール本来の優れた耐摩耗性を維持
できなくなるため限度がある。 高クロムロールについては、上記の如く組織中
に硬い炭化物のみを有し、黒鉛は全く晶出しない
とするのが技術通念であり、又実際黒鉛を有する
もの従来全く見当らないのであるが、上記問題に
直面して本発明者が鋭意研究したところによる
と、もしその組織中に黒鉛を晶出することが可能
ならば、高クロムロールの熱伝導性を改善するこ
とができ、これによつて上記圧延使用特性の劣化
を有効に防止できると考えるに到つた。 本発明はかかる独自の技術的見地から鋳造のま
まで外殻高クロム材質中に黒鉛を晶出する複合高
クロムロールを提供することを一つの目的とする
ものである。 ところで、複合高クロムロールにおける今一つ
の問題点は、外殻層の高クロム材質からこれと溶
着一体化される内殻層へCrが拡散混入されるこ
とによる内殻層(軸芯部)の強靭性の劣化の問題
である。すなわち、外内殻層を直接溶着せしめる
場合では、内殻層へのある程度のCrの拡散は避
けられず、これによつて軸芯部材質の靭性を劣化
せしめることである。そしてこのCrの拡散によ
る影響は、内殻層をダクタイル鋳鉄で形成する場
合には特に深刻な問題となる。 本発明は内殻層を特にダクタイル鋳鉄で形成す
る場合におけるかかる不都合な問題点を解消する
ことを他の一つの目的とするものである。 しかして本発明は上記のような目的を達成する
ため、外殻層を形成する高クロム鋳鉄の化学成
分、組成を改良工夫すると同時に、内殻層を形成
するダクタイル鋳鉄へのCrの拡散を抑制すべく
外内殻層の間に適宜の成分組成を有する中間層を
介在せしめてなるものである。 すなわち、本発明の高クロムロールは、C
2.4〜3.4、Si 2.0〜3.4、Mn 0.5〜1.5、P 0.1以
下、S 0.08以下、Ni 4.5〜10、Cr 5〜10、Mo
0.4〜1.5を各重量%含み、残部実質的にFeからな
り、かつ組織中に黒鉛を晶出している外殻層と、
C 1.0〜2.5、Si 0.5〜1.5、Mn 0.5〜1.5、P
0.1以下、S 0.1以下、Ni 1.5以下、Cr 2〜
5、Mo 0.5以下、Ti 0.1以下を各重量%含み、
残部実質的にFeからなる中間層と、C 3.0〜
3.8、Si 1.8〜3.0、Mn 0.3〜1.0、P 0.1以下、
S 0.02以下、Ni 2.0以下、Cr 1.0以下、Mo 1.0
以下、Mg 0.02〜0.1を各重量%含み、残部実質
的にFeからなる内殻層を溶着一体化せしめてな
ることを特徴とするものである。なお、上記成分
範囲は溶着一体化後の製品成分を示す。 一般にクロムは炭化物形成に大きく寄与し、炭
素含有量の増加につれて黒鉛の晶出を抑えるため
通常高クロム鋳鉄の基地組織には硬い炭化物のみ
が存在しているが、上記成分組成範囲にある本発
明の複合高クロムロールでは、その外殻組織中に
微細な黒鉛の均一分布が認められる。 また本ロールの内殻層を形成するダクタイル鋳
鉄は、上記特定成分の中間層を介在せしめて外殻
層に一体化されるため、外内殻層を直接溶着せし
める場合に比較するとCrの拡散量を大幅に減じ
ることができ、靭性を損なうことなく本来の強靭
性を充分に発揮できるものとなる。 本ロールの製造方法については、まず上記特定
成分の高クロム鋳鉄を遠心力鋳造した後、公知の
複合化技術により中間層及び内殻層(軸芯材)を
溶着一体化せしめて鋳造することができる。 第1図は本発明に係る三層構造の複合高クロム
ロールの構造例を概略的に現わし、1は高クロム
鋳鉄からなる外殻層、2は特定成分の鋳鉄からな
る中間層、(3)はダクタイル鋳鉄からなる内殻層
(軸芯材)を示している。 以下本発明に係る複合高クロムロールの各層に
ついて、その成分範囲の限定理由について述べ
る。 〔外殻層〕 C 2.4〜3.4% CはCrと結合してクロムカーバイドを形成す
る他、後述するSi、Niの黒鉛化生成元素により微
細な黒鉛を晶出するものである。しかしてC
2.4%以下ではクロムカーバイドが減少すると共
に黒鉛の晶出もなくなり、目的とする高クロム鋳
鉄が得られなくなるためである。一方C 3.4%
以上ではCr含有量との関係にもよるが、本発明
の場合ではCr 10%以下に抑えられるため、過飽
和の炭素が高いSi、Ni含有量のため黒鉛化し、黒
鉛晶出量が過剰となつて耐摩耗性の点で劣化する
ためである。 Si 2.0〜3.4% Siは高クロム材質に黒鉛を晶出させるために必
要で、2.0%以下ではこの効果がなく、3.4%以上
では黒鉛晶出が過多となり耐摩耗性の点で劣化す
るためである。なおSiについては鋳込前のSi量を
上記成分範囲よりも低目にしておいて、鋳込時に
接種を行ない、最終製品の成分で上記範囲内に調
整する方が黒鉛の晶出に有効である。 Mn 0.5〜1.5% Mnは溶湯の脱酸のためにSiと共に積極的に添
加される。Mn 0.5%以下ではこの効果が不足
し、1.5%以上では機械的性質特に靭性の点で劣
化が著しくなるためである。 P 0.1%以下 Pはロール材質においては少ない程望ましく、
材質を脆くするという点から0.1%以下とする。 S 0.08%以下 SもPと同様に少ない程望ましく、やはり材質
も脆くすることから0.08%以下とする。 Ni 4.5〜10% Niは基地組織の改良と黒鉛晶出の目的で積極
的に含有される。しかしてNi 4.5%以下では黒鉛
の晶出がみられず、一方10%以上になるとSiの場
合と同様黒鉛過多となり、同時に残留オーステナ
イトが増加して後の熱処理によつてもオーステナ
イトが安定で使用時に耐肌荒性の面で問題となる
ためである。 Cr 5〜10% CrはCと結合してCr炭化物を形成するが、5
%以下では炭化物が少なく耐摩耗性の点で劣り、
一方10%以上では上記Ni、Siの成分範囲によつて
も黒鉛の晶出が得られないためである。 Mo 0.4〜1.5% Moは焼入焼戻し抵抗を高めると共に炭化物中
に入り、炭化物硬度を高めると同時に焼戻し軟化
抵抗を向上させるのに有効であるが、その含有量
が0.4%以下ではこのような効果が少なく、一方
1.5%以上では白銑化傾向が強くなつて黒鉛の晶
出が得られなくなるためである。本発明の外殻層
は以上の成分のほか残部実質的にFeで形成され
るが、その材質特性を向上させるためにFeに代
えて、下記のNb、Vを必要に応じて含有するこ
とができる。 Nb、V 1.0%以下 Nb、Vは共に鋳造組織の微細化に効果があ
り、必要に応じ単独又は複合で1.0%以下含有さ
れる。すなわち、それらが合計量で1.0%以上含
まれると、炭素と結びついてVC、NbC、Nb2Cを
形成し黒鉛の晶出を妨げると共にコスト高となる
ためである。 〔中間層〕 中間層は外殻層の高クロム材質から内殻層(軸
芯部)にCrが拡散し、軸芯部材質がCrにより強
靭性を劣化するのを防止することを目的とする。 C 1.0〜2.5% Cの含有量は次のような理由から1.0〜2.5%の
範囲とされる。つまり中間層には外殻層のCrが
溶解されて後述する如くそのCr含有量が2〜5
%と高められるが、このさいC 1.0%以下では
中間層の鋳込温度が高くなり、これによつて外殻
層の溶解が促進されるとますます中間層へのCr
の拡散量が増加し、ひいては内殻層へのCrの拡
散を防止せんとする中間層の存在意義がなくなる
ためである。一方C 2.5%以上では、炭化物が
多くなり中間層自身その靭性が損なわれるものと
なり、中間層を鋳込む意義がやはり没却されるた
めである。 Si 0.5〜1.5% Siは溶湯の脱酸効果の上で0.5%以上は必要で
あるが、1.5%以上では材質的に脆くなり、中間
層の機械的性質の劣化を来たすためである。 Mn 0.5〜1.5% MnもSiと同様の作用を果しかつ又MnSとして
Sの悪影響を除去する上でも0.5%以上必要であ
るが、1.5%以上ではその効果も飽和し、却つて
機械的性質の劣化を来たすためである。 P 0.1%以下 Pについては溶湯の流動性を高めるが、ロール
材質においては靭性を低下するので0.1%以下と
する。 S 0.1%以下 SもPと同様にロール材質を脆弱にするため、
実害のない0.1%以下とする。 Ni 1.5%以下 Niについては別段添加しなくとも外殻層から
の混入で0.3%以上は含まれるが、1.5%以下まで
の合有は妨げない。しかしそれ以上含まれると、
焼入性が良く基地が硬くなり過ぎ、靭性の面及び
残留応力の面から望ましくない。 Cr 2〜5% Crについては中間層を鋳込む目的から低い方
が望ましく、溶湯成分では工業的に制御し易い
1.0%以下に抑える。この場合1.0%を越えて含ま
れると、外殻層から拡散されるCr量との和でCr
含有量が増大し、ひいては内殻層へのCr拡散量
も許容範囲を超えることになるためである。なお
中間層元湯のCr含有量を1.0%以下とした場合、
外殻層からのCrが中間層に完全に均一混合した
とすると、中間層には最終的に2〜5%のCrが
含有される。 Mo 0.5%以下 MoについてもNiと同様の作用を有するが、0.5
%以上含まれると中間層が硬くなりすぎ、実害の
ない0.5%以下とする。 Ti 0.1%以下 Tiは脱酸に寄与するが、0.1%以上含まれると
溶湯が過酸化状態となり、かつ溶湯の流動性を低
下し好ましくないためである。 〔内殻層〕 内殻層を形成するダクタイル鋳鉄については、
上記中間層を介在させることにより外穀層からの
Crの混入を非常に低くすることができるが、Cr
の混入を完全に無くすることはできない。従つ
て、この若干のCr増量分、即ち通常0.5〜1.0%程
度を考慮してその成分組成を選定する必要があ
る。 C 3.0〜3.8% まずCについては、3.0%以下では材質のチル
化が進行し、内殻層としての靭性低下が著しいた
めである。またC 3.8%を超える場合では、黒
鉛化が過剰となり、内殻材として強度不足となる
と同時にネツク部の硬度が低下し、ネツク部が使
用中に肌荒れを起こし易くなるためである。 Si 1.8〜3.0% Si 1.8%以下では黒鉛化が悪く、セメトタイト
を多く析出して内殻層の強度劣化を来たし、また
残留応力により鋳造時に割れ易い欠陥があり、一
方3.0%を超えると黒鉛化が促進され過ぎて強度
の劣化を来たすためである。 Mn 0.3〜1.0% MnはSと結合しMnSとしてSの悪影響を除く
が、0.3%以下ではこの効果がなく、一方1.0%以
上ではむしろ材質の劣化作用が著しくなるためで
ある。 P 0.1%以下 Pは溶湯の流動性を高めるが材質を脆弱にする
ため低い程望ましく、0.1%以下とする。 S 0.02%以下 SはPと同様に材質を脆弱にするため低い程望
ましく、かつ又内殻材質は特にダクタイル鋳鉄で
あるため黒鉛球状化に必要なMgをMgSとして減
少するSは可及的に低く抑えることが必要であ
り、0.02%以下とする。 Ni 2.0%以下 Niは黒鉛の安定化剤として添加されるが、2.0
%を超えても顕著な効果はなく、かつコスト高と
なるため2.0%以下とする。 Cr 1.0%以下 Crは外殻層が高クロム材であるため中間層の
介在によつてもある程度の混入は避けられない
が、最終的には、1.0%以下のできるだけ低い含
有量に抑えることが必要である。このためにはそ
の鋳込み溶湯成分で、SiとバランスしつつCr含
有量を0.5%以下に抑えるのが望ましい。すなわ
ち、元湯に0.5%以上含有されると外殻層からの
混合分との和で1.0%以上含有され、これによつ
て材質中にセメンタイトが多くなり、内殻層の強
靭性が劣化するためである。 Mo 1.0%以下 Moは実害のない1.0%以下とする。 Mg 0.02〜0.1% Mgは黒鉛の球状化のために添加されるが、Mg
0.02%以下では球状化不良を起こし内殻層を強靭
なダクタイル鋳鉄材に形成することができない。
しかし、Mgが0.1%以上含有されるとMgのチル
化作用及びドロスの点で好ましくないためであ
る。 次に本発明の実施例及び従来例を掲げて説明す
る。 実施例 製品胴径570φ、胴長1400の三層複合高クロ
ムロールを下記の如く製造した。 (a) 外殻層として下表に示す化学成分の高クロム
鋳鉄溶湯を用い、これを遠心力鋳造機上で回転
する金型に1410℃の鋳込温度で肉厚80mm(鋳込
重量1T200Kg)鋳込んだ。 (b) 外穀層の鋳込み開始後18分後に、下表に示す
中間層溶湯を回転金型中に1470℃の鋳込温度で
肉厚35mm(鋳込重量400Kg)鋳込んだ。 (c) 外殻層の鋳込み開始後30分後に外殻層及び中
間層は完全に凝固した。 (d) その後金型を垂直に立てて上部から下表に示
すダクタイル鋳鉄溶湯を1380℃で鋳込み鋳型内
を完全に満たした後、上端を押湯保温材でカバ
ーした。 (e) しかして完全に冷却後、ロールを鋳型から取
出し、歪取り熱処理(500℃×10Hr)及び組織
安定化熱処理(550℃×15Hr)並びに機械加工
を行なつて最終製品ロールを得た。 下表に各層の溶湯成分と製造後の製品ロール成
分を示す。
【表】
【表】 この複合高クロムロールの胴部について硬度測
定した結果では、シヨア硬度Hs81であつた。 また、外殻層組織の顕著鏡写真(倍率50倍)を
第2図に示す。同図より、所期目的とする微細な
黒鉛、クロムカーバイド及び基地からなる組織が
得られていることが確認された。また、内殻層の
機械的性質を調べたところ、引張強さ52.1Kg/
mm2、伸び0.57%であつた。 参考例 1 実施例と同様の製造方法に従い、下表の化学成
分を有する材料を用いて複合高クロムロールを製
造した。下表に各層の溶湯成分と製造後の製品ロ
ール成分を各々示す。
【表】
【表】 この複合高クロムロールの胴部について硬度測
定した結果では、シヨア硬度Hs85であつた。こ
の場合実施例のものに比較すると硬度Hs4の上昇
が認められるが、これはNb添加により外殻高ク
ロム材質における基地の微細化及び基地の硬化が
生じたためである。 参考例 2 実施例と同様の製造方法に従い、下表の化学成
分を有する材料を用いて複合高クロムロールを製
造した。下表に各層の溶湯成分と製造後の製品ロ
ール成分を各々示す。
【表】
【表】 この複合高クロムロールの胴部について硬度測
定した結果では、シヨア硬度Hs86であつた。こ
の場合実施例のものに比較すると硬度Hs5の上昇
が認められるが、これはやはりV添加により外殻
高クロム材質における基地の微細化及び硬化が生
じたためである。 なお上記の各実施例で製造されたロールの胴部
について超音波探傷を行なつた結果では、いずれ
もその外殻層の厚さは中間層によつて洗われて60
mm前後となつていた。一方中間層の厚さはいずれ
も30〜35mmで、その成分のCr含有量は3〜4%
であつた。また外穀層と中間層、中間層と内殻層
とは各々完全に結合しており、組織的な連続性も
認められた。 従来例 (a) 外殻層として第7表に示す化学成分の高クロ
ム鋳鉄溶湯を用いて、1410℃の鋳込温度で肉厚
80mm分を遠心力鋳造用鋳型に鋳込んで凝固させ
た後、外殻層を内有した遠心力鋳造用鋳型を起
立させ、上部から同表の内殻層溶湯を1380℃で
鋳込み鋳型内を完全に満たした後、上端を押湯
保温材でカバーした。 (b) 完全に冷却した後、ロールを鋳型から取り出
し、実施例と同様の熱処理を施して、製品胴径
φ680、胴長1800の複合ロールを製造した。
【表】 (c) 得られたロールの内殻層の成分(重量%)は
下記の通りであつた。外殻層については溶湯成
分と殆ど同様であるので記載省略した。 C:3.65%、Si:2.81%、Mn:0.30%、 P:0.036%、S:0.009%、Ni:1.02%、 Cr:0.96、Mo:0.35%、Mg:0.071%、 また内殻層の機械的性質は、引張強さ45.5
Kg/mm2、伸び0.49%であつた。外殻層硬度は
Hs72〜75であつた。 前記実施例及び従来例の複合ロールに孔型を形
成し、条鋼丸棒仕上スタンドに使用した。圧延材
はS45C、φ56丸棒で、1000TUN圧延した。その
結果、本発明ロールでは焼付の発生もなく製品肌
も粗度2μm以下の梨地状であり問題はなかつ
た。これに対し従来ロールでは肌荒れが著しく焼
付の発生が明らかに看取された。耐クラツク性に
ついては両者とも問題はなかつた。 尚、実施例と従来例の外殻層について熱伝導率
を測定した結果 実施例……5.3×10-2cal/cm.sec.℃ 従来例……5.4×10-2cal/cm.sec.℃ で両者は殆ど変わらなかつた。これは、黒鉛の有
無よりも成分の相違が大きかつたためと考えられ
る。尤も、硬度測定の結果より本発明の外殻層の
方が耐摩耗性に優れていることは明らかである
し、また前記圧延結果から本発明の外殻層は耐肌
荒性、耐焼付性に優れていることが実証された。
耐肌荒性は、耐摩耗性と耐焼付性との総合的結果
として把握されるが、前記圧延結果において、本
発明の外殻層が耐肌荒性に優れたいたのも当然の
帰結といえよう。 また、前記圧延結果において、耐クラツク性に
ついては両者の相違が現れなかつたが、これは圧
延屯数が限られた範囲でしかロールを使用しなか
つたためと考えられる。本発明の外殻層には、第
2図より明らかな通り、微細な黒鉛が晶出してお
り、この黒鉛によつてクラツクの進展を有効に阻
止できるため、耐クラツク性も従来の高クロムロ
ールに比べて優れていることは明白である。 更にまた、内殻層の強度を比較しても、本発明
は従来に比べて大幅な向上が達成されており、強
靭性に優れることが容易に理解される。 以上詳細に述べた通り、本発明は外殻高クロム
鋳鉄の成分組成を調整すると共に、外殻高クロム
材と内殻ダクタイル鋳鉄との間にCrの拡散を防
止する特定成分の中間層を介在せしめて三層構造
の複合高クロムロールに構成したものであるか
ら、外殻層を形成する高クロム鋳鉄材質には鋳造
のままで微細な黒鉛を晶出せしめることができる
一方、内穀層(軸芯部)を形成するダクタイル鋳
鉄にはCrの混入による強靭性の劣化をこうむら
ないのが特長である。すなわち、本発明の外殻層
は、Ni含有量の多いクロム材質中に鋳造のまま
で微細な黒鉛が晶出したものであるから、耐摩耗
性、耐クラツク性及び特に耐焼付性が優れたもの
となり、延いては耐肌荒性の向上にも大きく寄与
することができる。一方上記特定成分の中間層の
介在は内殻層(軸芯部)へのCrの拡散混入現象
を有効に防止し、特に軸芯部材料としてダクタイ
ル鋳鉄を用いる場合の強靭性劣化の問題点を確実
に回避することができる。このように本発明の複
合高クロムロールは胴部表面の使用特性並びに軸
芯部の強靭性確保の両面からその使用価値を倍加
するものである。 なお本発明の複合高クロムロールにおける外殻
層材の改良並びに中間層介在の技術内容は内殻層
(軸芯部)材料が高級鋳鉄や黒鉛鋳鋼のようにCr
の悪影響を余りこうむらない材料を使用する場合
にも必要に応じ適用され得る。また本発明におけ
る技術内容の要旨は中空複合ローラーの類にも同
様に適用できることを付言する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る複合高クロムロールの構
造例を概略的に現わす側面及び正面断面図、第2
図は本発明の外殻層に係る金属組織写真(倍率50
倍)である。 1……外殻層、2……中間層、3……内殻層
(軸芯部)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 C 2.4〜3.4、Si 2.0〜3.4、Mn 0.5〜1.5、
    P 0.1以下、S 0.08以下、Ni 4.5〜10、Cr 5
    〜10、Mo 0.4〜1.5を各重量%含み、残部実質的
    にFeからなり、かつ組織中に黒鉛を晶出してい
    る外殻層と、C 1.0〜2.5、Si 0.5〜1.5、Mn 0.5
    〜1.5、P 0.1以下、S 0.1以下、Ni 1.5以下、
    Cr 2〜5、Mo 0.5以下、Ti 0.1以下を各重量%
    含み、残部実質的にFeからなる中間層と、C
    3.0〜3.8、Si 1.8〜3.0、Mn 0.3〜1.0、P 0.1以
    下、S 0.02以下、Ni 2.0以下、Cr 1.0以下、
    Mo 1.0以下、Mg 0.02〜0.1を各重量%含み、残
    部実質的にFeからなる内殻層を溶着一体化せし
    めてなることを特徴とする黒鉛を有する高クロム
    ロール。
JP7394682A 1982-04-30 1982-04-30 黒鉛を有する高クロムロ−ル Granted JPS58193342A (ja)

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