JPH051352A - 複合ロールおよびその製造法 - Google Patents
複合ロールおよびその製造法Info
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- JPH051352A JPH051352A JP15185591A JP15185591A JPH051352A JP H051352 A JPH051352 A JP H051352A JP 15185591 A JP15185591 A JP 15185591A JP 15185591 A JP15185591 A JP 15185591A JP H051352 A JPH051352 A JP H051352A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐摩耗性に優れ、かつ内層および境界部の強
度低下が防止された複合ロールおよびその製造法を提供
する。 【構成】 外層1 は化学組成が重量％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ：10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなり、中間層はＣ含有量が 1.0〜
2.5 ｗｔ％のアダマイト材で形成されると共に外層内面
に溶着した第１中間層2 と該第１中間層内面に溶着した
第２中間層3 とからなり、外層から溶着の際に混入した
合金元素が第１中間層より第２中間層の方が少ない。
度低下が防止された複合ロールおよびその製造法を提供
する。 【構成】 外層1 は化学組成が重量％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ：10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなり、中間層はＣ含有量が 1.0〜
2.5 ｗｔ％のアダマイト材で形成されると共に外層内面
に溶着した第１中間層2 と該第１中間層内面に溶着した
第２中間層3 とからなり、外層から溶着の際に混入した
合金元素が第１中間層より第２中間層の方が少ない。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性に優れた圧延用
複合ロールおよびその製造法に関する。
複合ロールおよびその製造法に関する。
【０００２】
【従来の技術】熱間圧延用ロールの中で、薄板圧延 (ホ
ットストリップミル) に用いられるロールは、従来、Ｎ
ｉグレン材質、高Ｃｒ鋳鉄、黒鉛晶出高Ｃｒ鋳鉄、アダ
マイト材質等によって圧延使用層が形成されている。
又、ロール構造面では、圧延使用層たる外層を高合金ロ
ール材で形成し、内層を強靭材で形成した複合ロールも
提供されている。
ットストリップミル) に用いられるロールは、従来、Ｎ
ｉグレン材質、高Ｃｒ鋳鉄、黒鉛晶出高Ｃｒ鋳鉄、アダ
マイト材質等によって圧延使用層が形成されている。
又、ロール構造面では、圧延使用層たる外層を高合金ロ
ール材で形成し、内層を強靭材で形成した複合ロールも
提供されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の圧延材
品質の高度化や省力化の要求からより耐摩耗性のある材
質が求められている。又、外層の内面に内層を鋳造形成
して複合化しても、外層の高合金成分が内層に混入し
て、内層の靭性を劣化させ、また境界部にチル層が形成
されて境界強度が低下するという問題がある。この場
合、外層と内層との間に中間層を介在させることも行わ
れているが、外層が高合金材の場合、必ずしも十分な効
果があるとはいえないのが実情である。
品質の高度化や省力化の要求からより耐摩耗性のある材
質が求められている。又、外層の内面に内層を鋳造形成
して複合化しても、外層の高合金成分が内層に混入し
て、内層の靭性を劣化させ、また境界部にチル層が形成
されて境界強度が低下するという問題がある。この場
合、外層と内層との間に中間層を介在させることも行わ
れているが、外層が高合金材の場合、必ずしも十分な効
果があるとはいえないのが実情である。
【０００４】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、耐摩耗性に優れ、かつ内層および境界部の強度低下
が防止された複合ロールおよびその製造法を提供するこ
とを目的とする。
で、耐摩耗性に優れ、かつ内層および境界部の強度低下
が防止された複合ロールおよびその製造法を提供するこ
とを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の圧延用複合ロー
ルは、使用層たる外層の内面に中間層を介して内層を溶
着した複合ロールにおいて、前記外層は化学組成が重量
％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ： 10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなり、前記中間層はＣ含有量が
1.0〜2.5 ｗｔ％のアダマイト材で形成されると共に外
層内面に溶着した第１中間層と該第１中間層内面に溶着
した第２中間層とからなり、外層から溶着の際に混入し
た合金元素が第１中間層より第２中間層の方が少ないこ
とを発明の構成とする。
ルは、使用層たる外層の内面に中間層を介して内層を溶
着した複合ロールにおいて、前記外層は化学組成が重量
％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ： 10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなり、前記中間層はＣ含有量が
1.0〜2.5 ｗｔ％のアダマイト材で形成されると共に外
層内面に溶着した第１中間層と該第１中間層内面に溶着
した第２中間層とからなり、外層から溶着の際に混入し
た合金元素が第１中間層より第２中間層の方が少ないこ
とを発明の構成とする。
【０００６】また、本発明の製造法は、前記高Ｃハイス
鋳造材の外層を遠心力鋳造し、中間層鋳造用溶湯として
Ｃ含有量が 1.0〜2.5 ｗｔ％のアダマイト材を用い、外
層を遠心力鋳造後、外層の内面に前記中間層鋳造用溶湯
により第１中間層を遠心力鋳造し、更に第１中間層の内
面に前記中間層鋳造用溶湯により第２中間層を遠心力鋳
造して第１中間層と第２中間層とからなる中間層を鋳造
することを発明の構成とする。
鋳造材の外層を遠心力鋳造し、中間層鋳造用溶湯として
Ｃ含有量が 1.0〜2.5 ｗｔ％のアダマイト材を用い、外
層を遠心力鋳造後、外層の内面に前記中間層鋳造用溶湯
により第１中間層を遠心力鋳造し、更に第１中間層の内
面に前記中間層鋳造用溶湯により第２中間層を遠心力鋳
造して第１中間層と第２中間層とからなる中間層を鋳造
することを発明の構成とする。
【０００７】
【作用】本発明の複合ロールに係る外層の高Ｃハイス鋳
造材の化学組成 (単位ｗｔ％、残部実質的にＦｅ) は以
下の理由により限定される。 Ｃ： 1.5〜2.5 ％ Ｃは、Ｃｒ, Ｍｏ, Ｗ, Ｖと結びついて、高硬度の各種
カーバイドを形成し、耐摩耗性を向上する。 1.5％未満
ではカーバイド量が過少となり、耐摩耗性が不足する。
2.5％を越えると、溶融状態から直接晶出する１次カー
バイドが多くなり、耐クラック性が低下する。
造材の化学組成 (単位ｗｔ％、残部実質的にＦｅ) は以
下の理由により限定される。 Ｃ： 1.5〜2.5 ％ Ｃは、Ｃｒ, Ｍｏ, Ｗ, Ｖと結びついて、高硬度の各種
カーバイドを形成し、耐摩耗性を向上する。 1.5％未満
ではカーバイド量が過少となり、耐摩耗性が不足する。
2.5％を越えると、溶融状態から直接晶出する１次カー
バイドが多くなり、耐クラック性が低下する。
【０００８】Ｓｉ： 0.2〜1.0 ％
Ｓｉは溶湯の脱酸のために必要な元素であり、また、湯
流れを良くするので、0.2 ％以上添加する。一方、 1.0
％を越えると、材質を脆くする。 Ｍｎ： 1.5％以下 Ｍｎは溶湯の脱酸および脱硫のために添加する。また、
焼入れ性を向上させ、耐摩耗性を向上するが、 1.5％を
越えるとオーステナイト結晶粒が粗大化し焼入れ時の割
れの原因となるので好ましくない。前記効果を得るため
には、0.1％以上の含有が望ましい。
流れを良くするので、0.2 ％以上添加する。一方、 1.0
％を越えると、材質を脆くする。 Ｍｎ： 1.5％以下 Ｍｎは溶湯の脱酸および脱硫のために添加する。また、
焼入れ性を向上させ、耐摩耗性を向上するが、 1.5％を
越えるとオーステナイト結晶粒が粗大化し焼入れ時の割
れの原因となるので好ましくない。前記効果を得るため
には、0.1％以上の含有が望ましい。
【０００９】Ｃｒ： 3〜10％
Ｃｒは一部基地組織中に固溶して基地の焼入性を改善
し、耐摩耗性を向上する。また、Ｃと結合して高硬度の
炭化物を形成し、耐摩耗性をさらに向上する。3％未満
では炭化物量が少なく耐摩耗性が劣り、10％を越える
と、炭化物量が過多となるので靭性が低下する。
し、耐摩耗性を向上する。また、Ｃと結合して高硬度の
炭化物を形成し、耐摩耗性をさらに向上する。3％未満
では炭化物量が少なく耐摩耗性が劣り、10％を越える
と、炭化物量が過多となるので靭性が低下する。
【００１０】Ｍｏ： 0.1〜9 ％
Ｍｏは基地組織の焼入性を向上すると共にＣと結合して
Ｍｏ2 Ｃ型の微細な炭化物を生成して耐摩耗性を向上す
る。 0.1％未満では焼入性向上の効果が顕著に現われ
ず、生成炭化物量も少ないため、耐摩耗性が劣り、 9％
を超えると炭化物量が飽和するので、コスト的に不利に
なる。さらに、過飽和に溶け込んだＭｏは、基地の残留
オーステナイトを安定化し、耐肌荒性を劣化させる。
Ｍｏ2 Ｃ型の微細な炭化物を生成して耐摩耗性を向上す
る。 0.1％未満では焼入性向上の効果が顕著に現われ
ず、生成炭化物量も少ないため、耐摩耗性が劣り、 9％
を超えると炭化物量が飽和するので、コスト的に不利に
なる。さらに、過飽和に溶け込んだＭｏは、基地の残留
オーステナイトを安定化し、耐肌荒性を劣化させる。
【００１１】Ｗ： 2〜8 ％
Ｗは強力な炭化物形成元素であり、焼もどし処理によ
り、ＭＣ型炭化物として微細析出し、顕著な２次硬化を
もたらす。その効果を得るためには 2％以上必要である
が、 8％を越えると晶出炭化物を増し、耐クラック性を
劣化する。 Ｖ： 2〜10％ Ｖは鋳造組織を微細緻密化して基地を強靭化する。ま
た、Ｃと結合して高硬度のＶカーバイドを形成する。該
カーバイドは組織中に微細分散して形成されるので耐摩
耗性を向上する。本発明のＣ含有量の範囲 (1.5 〜2.5
％) においてＶの上記効果を得るには、 2％以上の添加
が望ましい。一方、10％を越えるとその効果は飽和し、
材質も脆くする。
り、ＭＣ型炭化物として微細析出し、顕著な２次硬化を
もたらす。その効果を得るためには 2％以上必要である
が、 8％を越えると晶出炭化物を増し、耐クラック性を
劣化する。 Ｖ： 2〜10％ Ｖは鋳造組織を微細緻密化して基地を強靭化する。ま
た、Ｃと結合して高硬度のＶカーバイドを形成する。該
カーバイドは組織中に微細分散して形成されるので耐摩
耗性を向上する。本発明のＣ含有量の範囲 (1.5 〜2.5
％) においてＶの上記効果を得るには、 2％以上の添加
が望ましい。一方、10％を越えるとその効果は飽和し、
材質も脆くする。
【００１２】Ｃｏ：10％以下
Ｃｏは高温における組織の安定性を向上する効果があ
り、10％以下添加すれば、高温での耐摩耗性をより向上
する。10％を越えてもその効果は飽和するため、10％以
下で良い。上記外層材は、Ｃｒ，Ｍｏ，Ｖ，Ｗによっ
て、高硬度の各種形態の複炭化物を基地組織中に生成さ
せることにより、耐摩耗性を向上させ、一方、基地組織
もＣ含有量が低いため、靭性が向上し、前記複炭化物の
生成と相まって、組織の欠け落ちの発生が防止され、優
れた耐摩耗性が確保される。
り、10％以下添加すれば、高温での耐摩耗性をより向上
する。10％を越えてもその効果は飽和するため、10％以
下で良い。上記外層材は、Ｃｒ，Ｍｏ，Ｖ，Ｗによっ
て、高硬度の各種形態の複炭化物を基地組織中に生成さ
せることにより、耐摩耗性を向上させ、一方、基地組織
もＣ含有量が低いため、靭性が向上し、前記複炭化物の
生成と相まって、組織の欠け落ちの発生が防止され、優
れた耐摩耗性が確保される。
【００１３】中間層は外層の高合金成分が溶け込んでく
るため靭性が劣化し易い。しかし、ある程度の強度 (35
kg／mm2 以上)は必要とされる。そこで、外層からの白
銑化元素が混入しても、脆化しにくいアダマイト材で形
成する。Ｃ含有量が 2.5％を越えると外層から溶け込ん
できた合金元素によって生成する炭化物量が多くなり、
材質が脆くなる。一方、 1.0％未満では湯流れ性が悪く
なり、又高温で凝固するため、外層内に最終凝固部が形
成され、欠陥の原因となる。
るため靭性が劣化し易い。しかし、ある程度の強度 (35
kg／mm2 以上)は必要とされる。そこで、外層からの白
銑化元素が混入しても、脆化しにくいアダマイト材で形
成する。Ｃ含有量が 2.5％を越えると外層から溶け込ん
できた合金元素によって生成する炭化物量が多くなり、
材質が脆くなる。一方、 1.0％未満では湯流れ性が悪く
なり、又高温で凝固するため、外層内に最終凝固部が形
成され、欠陥の原因となる。
【００１４】外層鋳造後、その内面が未凝固もしくは凝
固直後に中間層溶湯を遠心力鋳造により鋳込むと、外層
内表面部が中間層溶湯に溶け込み希釈され、第１中間層
の合金成分は外層の大略 1/2程度となる。更に、第１中
間層内面が未凝固もしくは凝固直後に中間層溶湯を遠心
力鋳造により鋳込むと、第１中間層の合金成分は更に大
略 1/2程度となり、結局、外層の 1/4程度となる。従っ
て、第２中間層の内面に内層溶湯を鋳込むことにより、
溶着境界部および内層の強度低下を低減することができ
る。
固直後に中間層溶湯を遠心力鋳造により鋳込むと、外層
内表面部が中間層溶湯に溶け込み希釈され、第１中間層
の合金成分は外層の大略 1/2程度となる。更に、第１中
間層内面が未凝固もしくは凝固直後に中間層溶湯を遠心
力鋳造により鋳込むと、第１中間層の合金成分は更に大
略 1/2程度となり、結局、外層の 1/4程度となる。従っ
て、第２中間層の内面に内層溶湯を鋳込むことにより、
溶着境界部および内層の強度低下を低減することができ
る。
【００１５】
【実施例】図１は本発明に係る複合ロールの構造を示し
ており、圧延使用層たる外層1 の内面に第１中間層2 が
溶着され、その内面に第２中間層3 が溶着され、更にそ
の内面に内層 (軸芯部) 4 が溶着形成されている。前記
組成は既述の通りである。一方、第１および第２中間層
に用いるＣ：1.5〜2.5 ％のアダマイト材の好ましい組
成例をその溶湯組成と共に下記に示す。内層としては、
高級鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の強靭性のある鋳鉄材又は
黒鉛鋳鋼等の鋳鋼材が使用される。 ・中間層鋳造用溶湯組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜 1.5％、 Ｍｎ：
0.2 〜 1.5％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：2.0 ％以
下、 Ｍｏ：2.0 ％以下、残部Ｆｅおよび不純物 ・第１中間層組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜 1.5％、 Ｍｎ：
0.2 〜 1.5％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：7.0 ％以
下、 Ｍｏ：7.0％以下、Ｗ ：4.0 ％以下、 Ｖ
：5.0 ％以下、Ｃｏ：5.0 ％以下、残部Ｆｅおよび不
純物 ・第２中間層組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.5 ％、 Ｍｎ：
0.2 〜1.5 ％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：5.5 ％以
下、 Ｍｏ：5.5％以下、Ｗ ：2.0 ％以下、 Ｖ
：2.5 ％以下、Ｃｏ：2.5 ％以下、残部Ｆｅおよび不
純物 また、本発明の複合ロールの製造法としては、中実ロー
ルの場合、遠心力鋳造により、外層、第１中間層、第２
中間層を鋳造した後、通常、これらの各層を内有した遠
心力鋳造用金型を起立させて静置鋳型を構成し、その内
部に内層溶湯を注湯し、第２中間層と内層とを溶着一体
化する。一方、円筒状 (スリーブ) ロールの場合、第２
中間層を鋳造後、内層を引き続いて遠心力鋳造すればよ
い。尚、遠心力鋳造法として、立型、横型、傾斜型があ
るが、いずれの方式でも適用可能である。
ており、圧延使用層たる外層1 の内面に第１中間層2 が
溶着され、その内面に第２中間層3 が溶着され、更にそ
の内面に内層 (軸芯部) 4 が溶着形成されている。前記
組成は既述の通りである。一方、第１および第２中間層
に用いるＣ：1.5〜2.5 ％のアダマイト材の好ましい組
成例をその溶湯組成と共に下記に示す。内層としては、
高級鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の強靭性のある鋳鉄材又は
黒鉛鋳鋼等の鋳鋼材が使用される。 ・中間層鋳造用溶湯組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜 1.5％、 Ｍｎ：
0.2 〜 1.5％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：2.0 ％以
下、 Ｍｏ：2.0 ％以下、残部Ｆｅおよび不純物 ・第１中間層組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜 1.5％、 Ｍｎ：
0.2 〜 1.5％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：7.0 ％以
下、 Ｍｏ：7.0％以下、Ｗ ：4.0 ％以下、 Ｖ
：5.0 ％以下、Ｃｏ：5.0 ％以下、残部Ｆｅおよび不
純物 ・第２中間層組成 (ｗｔ％) Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.5 ％、 Ｍｎ：
0.2 〜1.5 ％、Ｎｉ：1.5 ％以下、 Ｃｒ：5.5 ％以
下、 Ｍｏ：5.5％以下、Ｗ ：2.0 ％以下、 Ｖ
：2.5 ％以下、Ｃｏ：2.5 ％以下、残部Ｆｅおよび不
純物 また、本発明の複合ロールの製造法としては、中実ロー
ルの場合、遠心力鋳造により、外層、第１中間層、第２
中間層を鋳造した後、通常、これらの各層を内有した遠
心力鋳造用金型を起立させて静置鋳型を構成し、その内
部に内層溶湯を注湯し、第２中間層と内層とを溶着一体
化する。一方、円筒状 (スリーブ) ロールの場合、第２
中間層を鋳造後、内層を引き続いて遠心力鋳造すればよ
い。尚、遠心力鋳造法として、立型、横型、傾斜型があ
るが、いずれの方式でも適用可能である。
【００１６】複合ロールの鋳造後は、鋳造素材を粗加工
後、外層材の高硬度化のため、950〜1150℃にてオース
テナイト化し、噴霧水冷等によって急冷して焼入れ、そ
の後500〜650 ℃で 2〜20Hr 保持する焼戻しが数回行わ
れる。本発明の複合ロールは、熱間圧延ロールのみなら
ず、冷間圧延用ロール、バックアップロール等にも適用
可能である。
後、外層材の高硬度化のため、950〜1150℃にてオース
テナイト化し、噴霧水冷等によって急冷して焼入れ、そ
の後500〜650 ℃で 2〜20Hr 保持する焼戻しが数回行わ
れる。本発明の複合ロールは、熱間圧延ロールのみなら
ず、冷間圧延用ロール、バックアップロール等にも適用
可能である。
【００１７】次に、胴径 770mmの複合ロールの具体的製
造実施例を掲げる。 (1) 表１に示す化学組成の溶湯を横型遠心力鋳造機上
で回転する円筒状金型に鋳込んで、外層、第１中間層、
第２中間層を鋳造した。尚、比較のため中間層が一層の
ものも同条件で遠心力鋳造した。
造実施例を掲げる。 (1) 表１に示す化学組成の溶湯を横型遠心力鋳造機上
で回転する円筒状金型に鋳込んで、外層、第１中間層、
第２中間層を鋳造した。尚、比較のため中間層が一層の
ものも同条件で遠心力鋳造した。
【００１８】
【表１】
【００１９】(2) 中間層が凝固した後、外層，中間層
を内有した金型を起立させて静置鋳型を構成し、その内
部に表１に示した内層溶湯を鋳込んだ。 (3) 内層溶湯が凝固し、冷却後、ロールを鋳型から取
出して粗加工した後、焼入れ、焼戻し熱処理を施し、仕
上加工を行って製品ロールを得た。 (4) 該ロールを切断して各層の肉厚寸法を測定したと
ころ、外層30〜40mm、第１中間層20〜30mm、第２中間層
20〜35mm、比較例中間層30〜40mmであった。又各層の中
央部の組成を分析した結果を表２に示す。尚、外層は溶
湯とほぼ同一のため省略した。
を内有した金型を起立させて静置鋳型を構成し、その内
部に表１に示した内層溶湯を鋳込んだ。 (3) 内層溶湯が凝固し、冷却後、ロールを鋳型から取
出して粗加工した後、焼入れ、焼戻し熱処理を施し、仕
上加工を行って製品ロールを得た。 (4) 該ロールを切断して各層の肉厚寸法を測定したと
ころ、外層30〜40mm、第１中間層20〜30mm、第２中間層
20〜35mm、比較例中間層30〜40mmであった。又各層の中
央部の組成を分析した結果を表２に示す。尚、外層は溶
湯とほぼ同一のため省略した。
【００２０】
【表２】
【００２１】(5) 外層表面硬度および第２中間層（比
較例では中間層）と内層との境界強度、内層強度を測定
した結果を表３に示す。
較例では中間層）と内層との境界強度、内層強度を測定
した結果を表３に示す。
【００２２】
【表３】
【００２３】(6) 表３より、実施例は硬度が Hs80 以
上と高く、又比較例に比べて境界強度および内層強度が
向上していることが分かる。
上と高く、又比較例に比べて境界強度および内層強度が
向上していることが分かる。
【００２４】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の外層はＣを
低く抑えると共に基地組織の焼入性の改善および高硬度
炭化物の形成のためにＭｏ, Ｃｒ, Ｖ, Ｗを積極的に添
加した高合金鋳鉄で形成されているので、各種高硬度炭
化物の生成と基地の靭性との確保により優れた耐摩耗性
を有する。又、中間層を第１中間層と第２中間層とで構
成し、両層を順次遠心力鋳造することにより、第２中間
層の高合金成分を少なくしたので、内層の溶着に際し、
外層の高合金成分の移行を著しく抑制することができ、
外層が高合金材であるにも拘らず、境界部および内層の
強度向上を図ることができる。
低く抑えると共に基地組織の焼入性の改善および高硬度
炭化物の形成のためにＭｏ, Ｃｒ, Ｖ, Ｗを積極的に添
加した高合金鋳鉄で形成されているので、各種高硬度炭
化物の生成と基地の靭性との確保により優れた耐摩耗性
を有する。又、中間層を第１中間層と第２中間層とで構
成し、両層を順次遠心力鋳造することにより、第２中間
層の高合金成分を少なくしたので、内層の溶着に際し、
外層の高合金成分の移行を著しく抑制することができ、
外層が高合金材であるにも拘らず、境界部および内層の
強度向上を図ることができる。
【図１】本発明に係る複合ロールの断面図である。
１ 外層
２ 第１中間層
３ 第２中間層
４ 内層
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所
Ｃ２２Ｃ 38/00 ３０２ Ｅ 7217−4Ｋ
38/30
(72)発明者 木村 広之
兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク
ボタ尼崎工場内
(72)発明者 志方 敬
兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク
ボタ尼崎工場内
Claims (2)
- 【請求項１】 使用層たる外層の内面に中間層を介して
内層を溶着した複合ロールにおいて、前記外層は化学組
成が重量％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ： 10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなり、前記中間層はＣ含有量が
1.0〜2.5 ｗｔ％のアダマイト材で形成されると共に外
層内面に溶着した第１中間層と該第１中間層内面に溶着
した第２中間層とからなり、外層から溶着の際に混入し
た合金元素が第１中間層より第２中間層の方が少ないこ
とを特徴とする複合ロール。 - 【請求項２】 使用層たる外層を遠心力鋳造し、該外層
の内面に中間層を遠心力鋳造し、該中間層の内面に内層
を鋳造する複合ロールの製造法において、外層鋳造用溶
湯として化学組成が重量％で Ｃ ：1.5 〜 2.5％、 Ｓｉ：0.2 〜 1.0％、 Ｍｎ：
1.5 ％以下、Ｃｒ： 3 〜 10 ％、 Ｍｏ：0.1 〜 9
％、 Ｗ ： 2 〜 8 ％、Ｖ ： 2 〜 10 ％ Ｃ
ｏ： 10 ％以下および 残部実質的にＦｅからなる高Ｃハイス鋳造材を用い、中
間層鋳造用溶湯としてＣ含有量が 1.0〜2.5 ｗｔ％のア
ダマイト材を用い、外層を遠心力鋳造後、外層の内面に
前記中間層鋳造用溶湯により第１中間層を遠心力鋳造
し、更に第１中間層の内面に前記中間層鋳造用溶湯によ
り第２中間層を遠心力鋳造して第１中間層と第２中間層
とからなる中間層を鋳造することを特徴とする複合ロー
ルの鋳造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15185591A JPH051352A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 複合ロールおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15185591A JPH051352A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 複合ロールおよびその製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH051352A true JPH051352A (ja) | 1993-01-08 |
Family
ID=15527737
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15185591A Pending JPH051352A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 複合ロールおよびその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH051352A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH05287435A (ja) * | 1992-04-08 | 1993-11-02 | Nippon Steel Corp | 圧延用ロール材 |
| EP1975265A4 (en) * | 2005-12-28 | 2012-03-07 | Hitachi Metals Ltd | CENTRIFUGAL CASTING COMPOSITE ROLLER |
| CN113249658A (zh) * | 2021-07-06 | 2021-08-13 | 常州凯达重工科技有限公司 | 高速钢立辊环及其制备方法 |
-
1991
- 1991-06-24 JP JP15185591A patent/JPH051352A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH05287435A (ja) * | 1992-04-08 | 1993-11-02 | Nippon Steel Corp | 圧延用ロール材 |
| JP2702846B2 (ja) * | 1992-04-08 | 1998-01-26 | 新日本製鐵株式会社 | 圧延用ロール材 |
| EP1975265A4 (en) * | 2005-12-28 | 2012-03-07 | Hitachi Metals Ltd | CENTRIFUGAL CASTING COMPOSITE ROLLER |
| US8308622B2 (en) | 2005-12-28 | 2012-11-13 | Hitachi Metals, Ltd. | Centrifugally cast composit roll |
| CN113249658A (zh) * | 2021-07-06 | 2021-08-13 | 常州凯达重工科技有限公司 | 高速钢立辊环及其制备方法 |
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