JP3056703B2 - 圧延用ロール外層材とそれを用いた圧延用ロール - Google Patents
圧延用ロール外層材とそれを用いた圧延用ロールInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は圧延用ロール外層材
とそれを用いた圧延用ロールに関する。
とそれを用いた圧延用ロールに関する。
【０００２】
【従来の技術】熱間圧延用ロール材には、耐摩耗性、耐
肌荒れ性、耐事故性（耐亀裂性）が要求され、この要求
に応える材料として、例えば特開平２−88745 号公報、
或いは特開平１−96355 号公報に開示されているような
Cr、Mo、Ｗ、Ｖ、Co等を各数重量％含有するハイス系ロ
ール材が知られている。このハイス系ロール材は高温に
おいて良好な耐摩耗性を有しているため、複合ロールの
使用層を形成する外層材として好適である。
肌荒れ性、耐事故性（耐亀裂性）が要求され、この要求
に応える材料として、例えば特開平２−88745 号公報、
或いは特開平１−96355 号公報に開示されているような
Cr、Mo、Ｗ、Ｖ、Co等を各数重量％含有するハイス系ロ
ール材が知られている。このハイス系ロール材は高温に
おいて良好な耐摩耗性を有しているため、複合ロールの
使用層を形成する外層材として好適である。
【０００３】ところが、従来のハイス系ロール材は耐摩
耗性を向上させるために非常に硬質なMC型炭化物を主体
とする組織としたため、使用中にMC型炭化物と基地との
硬度差が大きいことにより、基地が優先的に摩耗し、そ
の結果、炭化物が突出して、摩耗係数の上昇、耐焼き付
き性の劣化、或いは突出した炭化物の欠落により、肌荒
れが発生しやすい問題があった。
耗性を向上させるために非常に硬質なMC型炭化物を主体
とする組織としたため、使用中にMC型炭化物と基地との
硬度差が大きいことにより、基地が優先的に摩耗し、そ
の結果、炭化物が突出して、摩耗係数の上昇、耐焼き付
き性の劣化、或いは突出した炭化物の欠落により、肌荒
れが発生しやすい問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記
従来のハイス系ロール材における問題点を解消し、熱間
圧延用として、耐摩耗性を良好に維持しつつ、摩擦係数
が低く、耐熱亀裂性、耐焼き付き性、耐肌荒れ性に優
れ、圧延製品の品質向上及び圧延作業の高生産性を実現
することができる圧延用ロール外層材とそれを用いた圧
延用ロールの提供を課題とする。
従来のハイス系ロール材における問題点を解消し、熱間
圧延用として、耐摩耗性を良好に維持しつつ、摩擦係数
が低く、耐熱亀裂性、耐焼き付き性、耐肌荒れ性に優
れ、圧延製品の品質向上及び圧延作業の高生産性を実現
することができる圧延用ロール外層材とそれを用いた圧
延用ロールの提供を課題とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明の圧延用ロール外層材は、Ｃを１．５〜３．
０重量％、Ｓｉを０．２〜３．０重量％、Ｍｎを０．２
〜２．０重量％、Ｃｒを１２．１〜１８．２重量％、Ｍ
ｏを６．０重量％以下、Ｗを６．０重量％以下、Ｖを
６．０重量％以下含有し、残部が実質的にＦｅ及び不可
不純物からなる化学組成とし、主としてＭ７Ｃ３型の共
晶炭化物を有すると共に、組織中の炭化物面積がＭ７Ｃ
３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３となることを第１の
特徴としている。一方、本発明の圧延用ロールは、上記
第１の特徴に示す化学組成を有し且つ組織構成となる外
層材の溶湯と、鋼系芯材とを溶着一体化させてなること
を第２の特徴としている。 また本発明の圧延用ロール
は、上記第１の特徴に示す化学組成を有し且つ組織構成
となる外層材の溶湯と、ダクタイル鋳鉄或いは黒鉛鋼か
らなる内層材溶湯とを、遠心鋳造法により溶着一体化さ
せてなることを第３の特徴としている。
め、本発明の圧延用ロール外層材は、Ｃを１．５〜３．
０重量％、Ｓｉを０．２〜３．０重量％、Ｍｎを０．２
〜２．０重量％、Ｃｒを１２．１〜１８．２重量％、Ｍ
ｏを６．０重量％以下、Ｗを６．０重量％以下、Ｖを
６．０重量％以下含有し、残部が実質的にＦｅ及び不可
不純物からなる化学組成とし、主としてＭ７Ｃ３型の共
晶炭化物を有すると共に、組織中の炭化物面積がＭ７Ｃ
３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３となることを第１の
特徴としている。一方、本発明の圧延用ロールは、上記
第１の特徴に示す化学組成を有し且つ組織構成となる外
層材の溶湯と、鋼系芯材とを溶着一体化させてなること
を第２の特徴としている。 また本発明の圧延用ロール
は、上記第１の特徴に示す化学組成を有し且つ組織構成
となる外層材の溶湯と、ダクタイル鋳鉄或いは黒鉛鋼か
らなる内層材溶湯とを、遠心鋳造法により溶着一体化さ
せてなることを第３の特徴としている。
【０００６】上記第１の特徴を有する圧延用ロール外層
材において、Ｃの含有量は1.5 〜3.0 重量％とする。Ｃ
はCr、Mo、Ｗ、Ｖと化合して、高硬度の炭化物（M7C
3型、M2C 型、M6C 型、MC型等）を形成して、ロールの
耐摩耗性を高める。その含有量が1.5 重量％未満では炭
化物の生成量が不足して、熱間での耐摩耗性が不足す
る。一方、3.0 重量％を超えると炭化物量が多すぎて、
靱性、耐熱亀裂性が低下する。
材において、Ｃの含有量は1.5 〜3.0 重量％とする。Ｃ
はCr、Mo、Ｗ、Ｖと化合して、高硬度の炭化物（M7C
3型、M2C 型、M6C 型、MC型等）を形成して、ロールの
耐摩耗性を高める。その含有量が1.5 重量％未満では炭
化物の生成量が不足して、熱間での耐摩耗性が不足す
る。一方、3.0 重量％を超えると炭化物量が多すぎて、
靱性、耐熱亀裂性が低下する。
【０００７】Siの含有量は0.2 〜3.0 重量％とする。Si
は溶湯の脱酸と鋳造性を改善する効果がある。0.2 重量
％未満ではその効果が不足し、一方、3.0 重量％を超え
ると靱性、機械的性質が劣化する。
は溶湯の脱酸と鋳造性を改善する効果がある。0.2 重量
％未満ではその効果が不足し、一方、3.0 重量％を超え
ると靱性、機械的性質が劣化する。
【０００８】Mnの含有量は0.2 〜2.0 重量％とする。Mn
は溶湯の脱酸の効果があり、その含有量が0.2 重量％未
満では十分な効果が得られず、また2.0 重量％を超える
と材料の靱性が低下し、好ましくない。
は溶湯の脱酸の効果があり、その含有量が0.2 重量％未
満では十分な効果が得られず、また2.0 重量％を超える
と材料の靱性が低下し、好ましくない。
【０００９】Ｃｒの含有量は７．０〜２０．０重量％と
する。ＣｒはＣと結合して、高硬度のＭ７Ｃ３型共晶炭
化物を形成し、耐摩耗性、靭性を高める効果がある。ま
た一部は基地中に固溶して基地を強化する。一方、これ
までのハイス系ロール材では、ＭＣ型炭化物が主体であ
るのに対し、Ｍ７Ｃ３型炭化物を主体とすることによ
り、摩擦係数の低減、耐肌荒れ性の改善に効果がある。
しかし、Ｃｒ含有量が７．０重量％未満ではこれらの効
果が不足し、また２０．０重量％を超えると炭化物が粗
大化すると共にその量も過剰となり、靭性、耐熱亀裂性
が低下する。なお後述の実施例１、２に示すように、Ｃ
ｒ含有量は、１２．１〜１８．２重量％において確実に
好ましい。そして組織内における炭化物面積率をＭ７Ｃ
３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３とすることが、熱間
圧延用ロールとして、摩擦係数が低く、耐熱亀裂性、耐
焼き付き性、耐肌荒れ性を向上させる上で重要である。
する。ＣｒはＣと結合して、高硬度のＭ７Ｃ３型共晶炭
化物を形成し、耐摩耗性、靭性を高める効果がある。ま
た一部は基地中に固溶して基地を強化する。一方、これ
までのハイス系ロール材では、ＭＣ型炭化物が主体であ
るのに対し、Ｍ７Ｃ３型炭化物を主体とすることによ
り、摩擦係数の低減、耐肌荒れ性の改善に効果がある。
しかし、Ｃｒ含有量が７．０重量％未満ではこれらの効
果が不足し、また２０．０重量％を超えると炭化物が粗
大化すると共にその量も過剰となり、靭性、耐熱亀裂性
が低下する。なお後述の実施例１、２に示すように、Ｃ
ｒ含有量は、１２．１〜１８．２重量％において確実に
好ましい。そして組織内における炭化物面積率をＭ７Ｃ
３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３とすることが、熱間
圧延用ロールとして、摩擦係数が低く、耐熱亀裂性、耐
焼き付き性、耐肌荒れ性を向上させる上で重要である。
【００１０】Moの含有量はゼロを含めて6.0 重量％以下
とする。Moは基地に固溶して、焼き入れ性を向上させ、
高温軟化抵抗を改善するほか、Ｃと結合して、M2C 型炭
化物、M6C 型炭化物等の高硬度の複炭化物を形成し、熱
間で耐摩耗性を向上させる効果がある。しかし6.0 重量
％を超えると粗大なM2C 型炭化物が増加し靱性の低下を
招く。
とする。Moは基地に固溶して、焼き入れ性を向上させ、
高温軟化抵抗を改善するほか、Ｃと結合して、M2C 型炭
化物、M6C 型炭化物等の高硬度の複炭化物を形成し、熱
間で耐摩耗性を向上させる効果がある。しかし6.0 重量
％を超えると粗大なM2C 型炭化物が増加し靱性の低下を
招く。
【００１１】Ｗの含有量はゼロを含めて6.0 重量％以下
とする。Ｗは基地に固溶して、焼き戻し軟化抵抗や耐熱
性を高めるほか、Ｃと結合して、M2C 型やM6C 型等の高
硬度の複炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。しか
し6.0 重量％を超えると炭化物が粗大化すると共に、製
造時に偏析が発生しやすくなる。
とする。Ｗは基地に固溶して、焼き戻し軟化抵抗や耐熱
性を高めるほか、Ｃと結合して、M2C 型やM6C 型等の高
硬度の複炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。しか
し6.0 重量％を超えると炭化物が粗大化すると共に、製
造時に偏析が発生しやすくなる。
【００１２】Ｖの含有量はゼロを含めて6.0 重量％以下
とする。ＶはＣと結合して、耐摩耗性の向上に最も有効
な高硬度のMC型炭化物を形成する。しかし6.0 重量％を
超えると、耐摩耗性は向上するが、本発明の目的である
耐肌荒れ性の改善が図れない。
とする。ＶはＣと結合して、耐摩耗性の向上に最も有効
な高硬度のMC型炭化物を形成する。しかし6.0 重量％を
超えると、耐摩耗性は向上するが、本発明の目的である
耐肌荒れ性の改善が図れない。
【００１３】上記本発明の第２の特徴を有する圧延用ロ
ールは、圧延用ロールの鋼系芯材に対して第１の特徴を
有する外層材の溶湯を鋼系芯材の外周に溶着一体化させ
て得ることができる。
ールは、圧延用ロールの鋼系芯材に対して第１の特徴を
有する外層材の溶湯を鋼系芯材の外周に溶着一体化させ
て得ることができる。
【００１４】上記本発明の第３の特徴を有する圧延用ロ
ールは、第１の特徴を有する外層材の溶湯を先ず遠心鋳
造し、さらにダクタイル鋳鉄或いは黒鉛鋼からなる、靭
性の大きい内層材の溶湯を外層材の内側に入れて遠心鋳
造し、両者を溶着一体化させて得ることができる。 さら
に上記のようにして製造されたロール素材に、組織及び
硬度調整のための焼き入れ、焼き戻し処理や、残留応力
除去と組織安定化のための焼鈍処理を施し、要求特性に
応じた圧延用ロールとする。 本発明の圧延用ロール外層
材及び圧延用ロールは、線材圧延用ロールの他に、熱間
圧延用仕上げワークロール、条鋼圧延用ロール、鋼管用
ロール等、熱間で使用されるあらゆるロールに適用する
ことができる。
ールは、第１の特徴を有する外層材の溶湯を先ず遠心鋳
造し、さらにダクタイル鋳鉄或いは黒鉛鋼からなる、靭
性の大きい内層材の溶湯を外層材の内側に入れて遠心鋳
造し、両者を溶着一体化させて得ることができる。 さら
に上記のようにして製造されたロール素材に、組織及び
硬度調整のための焼き入れ、焼き戻し処理や、残留応力
除去と組織安定化のための焼鈍処理を施し、要求特性に
応じた圧延用ロールとする。 本発明の圧延用ロール外層
材及び圧延用ロールは、線材圧延用ロールの他に、熱間
圧延用仕上げワークロール、条鋼圧延用ロール、鋼管用
ロール等、熱間で使用されるあらゆるロールに適用する
ことができる。
【００１５】その他、請求項として掲げていないが、他
の特徴を有する圧延用ロール外層材として、Ｃを１．５
〜４．０重量％、Ｓｉを０．２〜３．０重量％、Ｍｎを
０．２〜２．０重量％、Ｃｒを７．０〜２０．０重量
％、Ｎｉを１．５〜６．０重量％、Ｍｏを６．０重量％
以下、Ｗを６．０重量％以下、Ｖを６．０重量％以下含
有し、残部が実質的にＦｅ及び不可不純物からなり、且
つ黒鉛の球状化促進元素を添加してなる化学組成とし、
組織中の炭化物面積がＭ ７ Ｃ ３ ≧（Ｍ ２ Ｃ＋Ｍ ６ Ｃ＋Ｍ
Ｃ）×３となり且つ組織中に球状黒鉛が晶出されている
ものもある。 前記他の特徴を有する圧延用ロール外層材
は、組織中に黒鉛を晶出させることで焼き付き性に優れ
た材料であるが、 Ｃの含有量は１．５〜４．０重量％と
する。ＣはＣｒ、Ｍｏ、Ｗ、Ｖと結合して、高硬度の炭
化物（Ｍ ７ Ｃ ３ 型、Ｍ ２ Ｃ型、Ｍ ６ Ｃ型、ＭＣ型等）或
いは単独で黒鉛を形成してロールの耐摩耗性、耐焼き付
き性を高める。その含有量が１．５重量％未満では炭化
物、黒鉛の生成量が不足して、熱間での耐摩耗性が不足
し、且つ焼き付き性が改善されない。一方、４．０重量
％を超えると炭化物量の増大、靭性の低下を招く。
の特徴を有する圧延用ロール外層材として、Ｃを１．５
〜４．０重量％、Ｓｉを０．２〜３．０重量％、Ｍｎを
０．２〜２．０重量％、Ｃｒを７．０〜２０．０重量
％、Ｎｉを１．５〜６．０重量％、Ｍｏを６．０重量％
以下、Ｗを６．０重量％以下、Ｖを６．０重量％以下含
有し、残部が実質的にＦｅ及び不可不純物からなり、且
つ黒鉛の球状化促進元素を添加してなる化学組成とし、
組織中の炭化物面積がＭ ７ Ｃ ３ ≧（Ｍ ２ Ｃ＋Ｍ ６ Ｃ＋Ｍ
Ｃ）×３となり且つ組織中に球状黒鉛が晶出されている
ものもある。 前記他の特徴を有する圧延用ロール外層材
は、組織中に黒鉛を晶出させることで焼き付き性に優れ
た材料であるが、 Ｃの含有量は１．５〜４．０重量％と
する。ＣはＣｒ、Ｍｏ、Ｗ、Ｖと結合して、高硬度の炭
化物（Ｍ ７ Ｃ ３ 型、Ｍ ２ Ｃ型、Ｍ ６ Ｃ型、ＭＣ型等）或
いは単独で黒鉛を形成してロールの耐摩耗性、耐焼き付
き性を高める。その含有量が１．５重量％未満では炭化
物、黒鉛の生成量が不足して、熱間での耐摩耗性が不足
し、且つ焼き付き性が改善されない。一方、４．０重量
％を超えると炭化物量の増大、靭性の低下を招く。
【００１６】Ｎｉの含有量は１．５〜６．０重量％とす
る。Ｎｉは組織中に黒鉛を晶出させるために必要な元素
である他、焼き入れ性を向上させる効果がある。その含
有量が１．５重量％未満では、これらの効果が不足し、
一方、６．０重量％を超えると残留オーステナイトの存
在等、不安定組織を形成する。
る。Ｎｉは組織中に黒鉛を晶出させるために必要な元素
である他、焼き入れ性を向上させる効果がある。その含
有量が１．５重量％未満では、これらの効果が不足し、
一方、６．０重量％を超えると残留オーステナイトの存
在等、不安定組織を形成する。
【００１７】Ｓｉ、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｍｏ、Ｗ、Ｖの各成分
については、上記第１の特徴におけるそれらの成分条件
と同じである。 また、上記その他の特徴における圧延用
ロール外層材においては、組織中における炭化物面積率
がＭ ７ Ｃ ３ ≧（Ｍ ２ Ｃ＋Ｍ ６ Ｃ＋ＭＣ）×３となり、且
つ組織中に球状黒鉛鋳鉄が晶出されていることが条件と
なる。球状黒鉛が組織中に適当に晶出することで、より
摩擦係数が低く、耐焼き付き性に優れた圧延用ロール外
層材となる。
については、上記第１の特徴におけるそれらの成分条件
と同じである。 また、上記その他の特徴における圧延用
ロール外層材においては、組織中における炭化物面積率
がＭ ７ Ｃ ３ ≧（Ｍ ２ Ｃ＋Ｍ ６ Ｃ＋ＭＣ）×３となり、且
つ組織中に球状黒鉛鋳鉄が晶出されていることが条件と
なる。球状黒鉛が組織中に適当に晶出することで、より
摩擦係数が低く、耐焼き付き性に優れた圧延用ロール外
層材となる。
【００１８】上記その他の特徴における圧延用ロール外
層材においては、Ｃ、Ｓｉ、Ｎｉの含有量の調整で、そ
の組織中に黒鉛を晶出させるが、さらに黒鉛の球状化促
進元素を添加することで、晶出する黒鉛を球状黒鉛とし
ている。前記添加する黒鉛の球状化促進元素としては、
例えばＣａ、Ｍｇの２種或いは１種とし、これを例えば
溶湯に添加することにより、組織に球状黒鉛を晶出させ
る。このＣａ、Ｍｇの添加量はわずかな量でよいが、晶
出黒鉛を球状化するのに適当で、且つ他の好ましくない
影響を与えない量を予め実験にて得ておく。
層材においては、Ｃ、Ｓｉ、Ｎｉの含有量の調整で、そ
の組織中に黒鉛を晶出させるが、さらに黒鉛の球状化促
進元素を添加することで、晶出する黒鉛を球状黒鉛とし
ている。前記添加する黒鉛の球状化促進元素としては、
例えばＣａ、Ｍｇの２種或いは１種とし、これを例えば
溶湯に添加することにより、組織に球状黒鉛を晶出させ
る。このＣａ、Ｍｇの添加量はわずかな量でよいが、晶
出黒鉛を球状化するのに適当で、且つ他の好ましくない
影響を与えない量を予め実験にて得ておく。
【００１９】
【実施例】本発明の第１の特徴に係る圧延用ロール外層
材の実施例を、Ｎｏ．１、Ｎｏ．２として溶製した。そ
の化学組成を表１に示す。また第１の特徴に係る化学組
成条件には合致するが、炭化物面積がＭ７Ｃ３≧（Ｍ２
Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３の条件外となっているものを、
比較例Ｎｏ．３〜Ｎｏ．５として溶製した。その化学組
成を表１に示す。更に、従来のハイス系材料を従来例Ｎ
ｏ．６〜Ｎｏ．９として溶製した。その化学組成を表１
に示す。同様に請求項から除去したその他の特徴に係る
圧延用ロール外層材の例をＮｏ．１０、Ｎｏ．１１とし
て溶製した。その化学組成を表２に示す。また前記その
他の特徴に係る圧延用ロール外層材に係る化学組成条件
には合致するが、炭化物面積がＭ７Ｃ３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ
６Ｃ＋ＭＣ）×３の条件外となっているものを、比較例
Ｎｏ．１２〜Ｎｏ．１４として溶製した。その化学組成
を表２に示す。更に、従来のハイス系材料を従来例Ｎ
ｏ．１５〜Ｎｏ．１７として溶製した。その化学組成を
表２に示す。尚、表１、表２において成分値等に下線を
引いているものは、成分範囲から外れていることを示
す。
材の実施例を、Ｎｏ．１、Ｎｏ．２として溶製した。そ
の化学組成を表１に示す。また第１の特徴に係る化学組
成条件には合致するが、炭化物面積がＭ７Ｃ３≧（Ｍ２
Ｃ＋Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３の条件外となっているものを、
比較例Ｎｏ．３〜Ｎｏ．５として溶製した。その化学組
成を表１に示す。更に、従来のハイス系材料を従来例Ｎ
ｏ．６〜Ｎｏ．９として溶製した。その化学組成を表１
に示す。同様に請求項から除去したその他の特徴に係る
圧延用ロール外層材の例をＮｏ．１０、Ｎｏ．１１とし
て溶製した。その化学組成を表２に示す。また前記その
他の特徴に係る圧延用ロール外層材に係る化学組成条件
には合致するが、炭化物面積がＭ７Ｃ３≧（Ｍ２Ｃ＋Ｍ
６Ｃ＋ＭＣ）×３の条件外となっているものを、比較例
Ｎｏ．１２〜Ｎｏ．１４として溶製した。その化学組成
を表２に示す。更に、従来のハイス系材料を従来例Ｎ
ｏ．１５〜Ｎｏ．１７として溶製した。その化学組成を
表２に示す。尚、表１、表２において成分値等に下線を
引いているものは、成分範囲から外れていることを示
す。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【表２】
【００２２】各圧延用ロール外層材には、組織調整及び
硬度調整、残留応力除去のための熱処理（1000〜1200℃
からの焼き入れ、及び500 〜600 ℃での焼き戻し処理）
を施した。
硬度調整、残留応力除去のための熱処理（1000〜1200℃
からの焼き入れ、及び500 〜600 ℃での焼き戻し処理）
を施した。
【００２３】これらの各外層材の評価として、ショア硬
度の測定、炭化物の面積率の測定、摩擦摩耗試験、焼き
付き試験を行った。結果を表３に示す。尚、上記の炭化
物の面積率の測定は、ＥＰＭＡ面分析と画像解析によ
り、炭化物形態ごとの面積率を測定した（黒鉛晶出の場
合は黒鉛の面積率も同時測定した）。また摩擦摩耗試験
は次に示す条件で、摩擦係数、摩耗減量を測定した。ま
た焼き付き試験は次に示すファレックス法により焼き付
き荷重、焼き付きトルクを測定した。 [摩擦摩耗試験] 試験方式 ： ピンオンディスク法 試験片温度 ： 300 ℃ 荷重 ： ５kg／cm2 回転速度 ： 100 ｍ／min 摺動距離 ： 20000 ｍ [焼き付き試験] 試験方式 ： ファレックス法（Ｋ−Ｆ型焼
き付き試験機） 試験片サイズ ： φ10（φ6.5 ）×32Ｌ 相手材（Ｖブロック）： SUS304 回転速度 ： 284rpm
度の測定、炭化物の面積率の測定、摩擦摩耗試験、焼き
付き試験を行った。結果を表３に示す。尚、上記の炭化
物の面積率の測定は、ＥＰＭＡ面分析と画像解析によ
り、炭化物形態ごとの面積率を測定した（黒鉛晶出の場
合は黒鉛の面積率も同時測定した）。また摩擦摩耗試験
は次に示す条件で、摩擦係数、摩耗減量を測定した。ま
た焼き付き試験は次に示すファレックス法により焼き付
き荷重、焼き付きトルクを測定した。 [摩擦摩耗試験] 試験方式 ： ピンオンディスク法 試験片温度 ： 300 ℃ 荷重 ： ５kg／cm2 回転速度 ： 100 ｍ／min 摺動距離 ： 20000 ｍ [焼き付き試験] 試験方式 ： ファレックス法（Ｋ−Ｆ型焼
き付き試験機） 試験片サイズ ： φ10（φ6.5 ）×32Ｌ 相手材（Ｖブロック）： SUS304 回転速度 ： 284rpm
【００２４】
【表３】
【００２５】本発明の第１の特徴に係る圧延用ロール外
層材の実施例No.1、No.2においては、表３からも明らか
なように、比較例No.3〜No.5及び従来例No.6〜No.9と比
較して、M7C3型炭化物が増加すると共にやや摩耗減量が
多くなる傾向が見られるが、摩擦係数は低くなる傾向に
あり、且つ耐焼き付き性が向上するという結果が得られ
る。表３の結果から、実施例No.1、No.2は、従来のハイ
ス系ロール材（従来例No.6〜No.9）における耐肌荒れ
性、耐焼き付き性の問題をかなり改善できる効果がある
と期待できる。尚、実施例No.1、No.2の圧延用ロール外
層材のうち最適と思われる材料を用いて、実機ロールを
製作し、これを線材中間スタンド用として圧延試験を行
った。結果として、目的とする梨地状の圧延肌を得るこ
とに成功した。
層材の実施例No.1、No.2においては、表３からも明らか
なように、比較例No.3〜No.5及び従来例No.6〜No.9と比
較して、M7C3型炭化物が増加すると共にやや摩耗減量が
多くなる傾向が見られるが、摩擦係数は低くなる傾向に
あり、且つ耐焼き付き性が向上するという結果が得られ
る。表３の結果から、実施例No.1、No.2は、従来のハイ
ス系ロール材（従来例No.6〜No.9）における耐肌荒れ
性、耐焼き付き性の問題をかなり改善できる効果がある
と期待できる。尚、実施例No.1、No.2の圧延用ロール外
層材のうち最適と思われる材料を用いて、実機ロールを
製作し、これを線材中間スタンド用として圧延試験を行
った。結果として、目的とする梨地状の圧延肌を得るこ
とに成功した。
【００２６】その他の特徴に係る圧延用ロール外層材の
例Ｎｏ．１０、Ｎｏ．１１においては、表３からも明ら
かなように、比較例Ｎｏ．１２〜Ｎｏ．１４及び従来例
Ｎｏ．１５〜Ｎｏ．１７と比較して、Ｎｉ含有量の増加
に比例（Ｓｉ含有量との関係もあるが）して黒鉛量が増
加し、且つＣａやＭｇの添加により黒鉛の球状化がなさ
れている。そしてその晶出量に伴い、摩擦係数が低くな
る傾向にあり、且つ耐焼き付き性が向上することが明ら
かになった。尚、例Ｎｏ．１０、Ｎｏ．１１の圧延用ロ
ール外層材の中から最適と思われる材料を用いて、実機
ロールを製作し、これをＨ型鋼用竪ロールとして実際に
圧延試験を行った。結果として、従来のハイス系ロール
に比べて、焼き付きもなく、良好な成績を発揮した。
例Ｎｏ．１０、Ｎｏ．１１においては、表３からも明ら
かなように、比較例Ｎｏ．１２〜Ｎｏ．１４及び従来例
Ｎｏ．１５〜Ｎｏ．１７と比較して、Ｎｉ含有量の増加
に比例（Ｓｉ含有量との関係もあるが）して黒鉛量が増
加し、且つＣａやＭｇの添加により黒鉛の球状化がなさ
れている。そしてその晶出量に伴い、摩擦係数が低くな
る傾向にあり、且つ耐焼き付き性が向上することが明ら
かになった。尚、例Ｎｏ．１０、Ｎｏ．１１の圧延用ロ
ール外層材の中から最適と思われる材料を用いて、実機
ロールを製作し、これをＨ型鋼用竪ロールとして実際に
圧延試験を行った。結果として、従来のハイス系ロール
に比べて、焼き付きもなく、良好な成績を発揮した。
【００２７】
【発明の効果】請求項１に記載の熱間圧延用ロール外層
材によれば、熱間圧延における良好な耐摩耗性、耐熱亀
裂性を維持しつつ、且つ非常に良好な耐肌荒れ性を発揮
することができると共に、摩擦係数の低減、耐焼き付き
性の改善を図ることができる。従って、圧延製品の品質
の向上及び圧延作業の高生産性を実現することができ
る。また、請求項２に記載の圧延用ロールによれば、耐
摩耗性、耐熱亀裂性を維持しつつ、且つ非常に良好な耐
肌荒れ性を発揮することができると共に、摩擦係数の低
減、耐焼き付き性の改善を図ることができる。よってま
た、圧延製品の品質の向上及び圧延作業の高生産性を実
現することができる。また、請求項３に記載の圧延用ロ
ールによれば、熱間圧延における良好な耐摩耗性を維持
しつつ、且つ摩耗係数を低減し、耐焼き付き性、耐熱亀
裂性の改善を図ることができる。よってまた、圧延製品
の品質の向上及び圧延作業の高生産性を実現することが
できる。
材によれば、熱間圧延における良好な耐摩耗性、耐熱亀
裂性を維持しつつ、且つ非常に良好な耐肌荒れ性を発揮
することができると共に、摩擦係数の低減、耐焼き付き
性の改善を図ることができる。従って、圧延製品の品質
の向上及び圧延作業の高生産性を実現することができ
る。また、請求項２に記載の圧延用ロールによれば、耐
摩耗性、耐熱亀裂性を維持しつつ、且つ非常に良好な耐
肌荒れ性を発揮することができると共に、摩擦係数の低
減、耐焼き付き性の改善を図ることができる。よってま
た、圧延製品の品質の向上及び圧延作業の高生産性を実
現することができる。また、請求項３に記載の圧延用ロ
ールによれば、熱間圧延における良好な耐摩耗性を維持
しつつ、且つ摩耗係数を低減し、耐焼き付き性、耐熱亀
裂性の改善を図ることができる。よってまた、圧延製品
の品質の向上及び圧延作業の高生産性を実現することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神戸 隆 兵庫県姫路市大津区吉美403 虹技株式 会社 姫路西工場内 (56)参考文献 特開 平８−60289（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−100241（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−92698（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−41899（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−224356（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−116677（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−23957（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22C 37/00 B21B 27/00 C22C 37/06 C22C 37/08
Claims (3)
- 【請求項１】 Ｃ ：１．５〜３．０重量％ Ｓｉ：０．２〜３．０重量％ Ｍｎ：０．２〜２．０重量％Ｃｒ：１２．１〜１８．２重量％ Ｍｏ：６．０重量％以下 Ｗ ：６．０重量％以下 Ｖ ：６．０重量％以下 を含有し、残部が実質的にＦｅ及び不可不純物からなる
化学組成とし、主としてＭ７Ｃ３型の共晶炭化物を有す
ると共に、組織中の炭化物面積がＭ７Ｃ３≧（Ｍ２Ｃ＋
Ｍ６Ｃ＋ＭＣ）×３となることを特徴とする圧延用ロー
ル外層材。 - 【請求項２】 請求項１に示す化学組成を有し且つ組織
構成となる外層材の溶湯と、鋼系芯材とを溶着一体化さ
せてなる圧延用ロール。 - 【請求項３】 請求項１に示す化学組成を有し且つ組織
構成となる外層材の溶湯と、ダクタイル鋳鉄或いは黒鉛
鋼からなる内層材溶湯とを、遠心鋳造法により溶着一体
化させてなる圧延用ロール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9227376A JP3056703B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 圧延用ロール外層材とそれを用いた圧延用ロール |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9227376A JP3056703B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 圧延用ロール外層材とそれを用いた圧延用ロール |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1161322A JPH1161322A (ja) | 1999-03-05 |
| JP3056703B2 true JP3056703B2 (ja) | 2000-06-26 |
Family
ID=16859848
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9227376A Expired - Fee Related JP3056703B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 圧延用ロール外層材とそれを用いた圧延用ロール |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3056703B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102851598A (zh) * | 2012-08-30 | 2013-01-02 | 贵州安吉航空精密铸造有限责任公司 | 一种航空用耐磨铁合金及其离心铸造方法 |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6669790B1 (en) | 1997-05-16 | 2003-12-30 | Climax Research Services, Inc. | Iron-based casting alloy |
| JP2005169427A (ja) * | 2003-12-09 | 2005-06-30 | Hitachi Metals Ltd | 圧延用ロールの外層材および圧延用ロール |
| JP2005177809A (ja) * | 2003-12-19 | 2005-07-07 | Hitachi Metals Ltd | 圧延用ロールの外層材および圧延用ロール |
-
1997
- 1997-08-08 JP JP9227376A patent/JP3056703B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102851598A (zh) * | 2012-08-30 | 2013-01-02 | 贵州安吉航空精密铸造有限责任公司 | 一种航空用耐磨铁合金及其离心铸造方法 |
| CN102851598B (zh) * | 2012-08-30 | 2014-07-09 | 贵州安吉航空精密铸造有限责任公司 | 一种航空用耐磨铁合金及其离心铸造方法 |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1161322A (ja) | 1999-03-05 |
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