JP3802434B2 - 熱間圧延用複合チルドロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱間圧延用複合チルドロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、線材や棒鋼等の仕上げ用ロールには、高合金チルド鋳鉄材を外層部とした複合ロールが使用されてきた。この高合金チルド鋳鉄材は、一般的に、極めて耐摩耗性及び耐肌荒れ性に優れているという長所をもっている。
一方、耐摩耗性の向上に応える材質として、Cr、Mo、V、W、Co等の合金を数重量%含有するハイス系ロール材の適用が進んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ハイス系ロール材を熱間圧延用ロールの材層部として適用した場合には、耐摩耗性の向上に大きな効果がある反面、ロール表面の肌が荒れ易く、製品を傷付け易いという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、高合金チルド鋳鉄ロールの特性を生かしつつ、更に耐摩耗性を大幅に向上させることができる熱間圧延用複合チルドロールの提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の熱間圧延用複合チルドロールは、外層部と内層部とからなり、ロール外層部を構成する材料の成分組成が、重量%で、C:3.2〜3.7%、Si:0.3〜0.6%、Mn:0.5〜1.2%、Ni:1.1〜2.3%、Cr:0.3〜1.2%、及びW、V、Nbの1種又は2種以上をW+V+Nb:0.5〜3.0%含有すると共に、残部がFeからなり、外層部を構成する材料の溶湯と内層部を構成する材料の溶湯とを遠心鋳造法により溶着一体化するようにして鋳造し、更に鋳造後に残留オーステナイトの変態と残留応力除去のための歪取り調質熱処理を行うことを第1の特徴としている。
また本発明の熱間圧延用複合チルドロールは、上記第1の特徴に加えて、W+V+Nbの合計が重量%で1.0〜2.5%であることを第2の特徴としている。
また本発明の熱間圧延用複合チルドロールは、上記第1の特徴又は第2の特徴に加えて、内層部を構成する材料がダクタイル鋳鉄であることを第3の特徴としている。
【0006】
上記第1の特徴によれば、そこに示された成分組成の材料をロール外層部とした熱間圧延用複合ロールとすることで、良好な耐肌荒れ性を保持しつつ、耐摩耗性を一層向上させることができる。
また上記第2の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、内層部を構成する材料がダクタイル鋳鉄であることにより、耐摩耗性と耐肌荒れ性に優れ、且つ靭性に優れた熱間圧延用複合チルドロールを提供することが可能となる。
また上記第3の特徴によれば、上記第1の特徴又は第2の特徴による作用効果に加えて、外層部を構成する材料の溶湯と内層部を構成する材料の溶湯とを遠心鋳造法により一体化して鋳造し、更に鋳造後に残留オーステナイトの変態と残留応力除去のための歪取り調質熱処理を行うことにより、層状のセメンタイトと他の微細に分散した金属炭化物とを晶・析出させた外層部を持ち、且つ残留オーステナイト、残留応力の少ない熱間圧延用複合チルドロールを提供することができる。
【0007】
本発明の熱間圧延用複合チルドロールについて、外層部を構成する材料の各成分元素の含有範囲について、その限定理由を以下に説明する。尚、成分組成は全て重量%で示す。
Cの含有量は3.2〜3.7%とする。CはFeと結合してセメンタイトを構成する他、Cr、W、V、Nbと結合して高硬度の金属炭化物を構成し、ロールの耐摩耗性を高める。3.2%未満では炭化物の生成量が不足し、熱間での耐摩耗性が不足する。一方、3.7%を超えると、炭化物量が多すぎて靭性、耐熱亀裂性が低下する。
【0008】
Siの含有量は0.3〜0.6%とする。Siは黒鉛化促進元素であると共に、鋳造性を改善する効果がある。0.3%未満では上記効果が十分でなく、一方、0.6%を超えるとロールの外層部に黒鉛を晶出してしまうおそれがある。
【0009】
Mnの含有量は0.5〜1.2%とする。Mnは脱酸効果があり、0.5%未満ではその効果が十分に得られず、1.2%を超えると靭性が低下する。
【0010】
Niの含有量は1.1〜2.3%とする。Niは固溶して基地を強化し、靭性を高める。1.1%未満ではその効果が十分に得られず、2.3%を超えると熱膨張率が大きくなり、好ましくない。
Niの含有量は、好ましくは1.8〜2.3%とする。
【0011】
Crの含有量は0.3〜1.2%とする。Crは耐摩耗性を高めることに不可欠な元素である。炭化物を安定化し、高温強度の向上に効果がある。0.3%未満では炭化物の生成が不足となり、硬度低下の要因となる。1.2%を超えると靭性、耐熱亀裂性の低下につながる。
Crの含有量は、好ましくは0.5〜1.2%とする。
【0012】
W、V、Nbの含有量は、それらの1種又は2種以上を合計で0.5〜3.0%とする。WはM2C型炭化物、M6C型炭化物を、V、NbはMC型炭化物を晶・析出させる。また一次晶出のセメンタイト中に固溶し、セメンタイトを硬くする効果があり、耐摩耗性の向上に不可欠な元素である。合計の含有量が0.5%未満ではその効果が得られず、3.0%を超えると粗大な一次炭化物(主としてセメンタイト)が晶出し、靭性、耐熱亀裂性に著しく悪影響を及ぼす。
W、V、Nbの合計含有量は、好ましくは1.0〜2.5%とする。
【0013】
本発明の熱間圧延用複合チルドロールは、上記の外層材で構成される外層部と、内層部からなる複合ロールである。内層部を構成する材料としては、ダクタイル鋳鉄材を用いることができる。ダクタイル鋳鉄を内層部に用いることで、熱間圧延用ロールとして、内層部が靭性に優れ且つ外層部が耐摩耗性と耐肌荒れ性に優れたロールを提供することができる。
前記複合ロールは、外層部を構成する材料の溶湯と内層部を構成する材料の溶湯とを、遠心鋳造法により溶着一体化するようにして鋳造して構成することができる。遠心鋳造法を用いることで、内層部と外層部とが確実に一体化された複合ロールを容易に得ることができる。勿論、他の方法で外層部と内層部とを一体化するようにしてもよい。
更に前記複合ロールは、鋳造された後に、残留オーステナイトの変態と残留応力除去のための歪取り調質熱処理を行うことができる。これによって残留オーステナイトを減少させてロール組織を安定させることができると共に、残留応力の除去によるロール性状の安定化をはかることができる。
前記歪取り調質熱処理は鋳放しの状態から、例えば400〜600℃に加熱・保持後、徐冷することで行うことができる。
【0014】
以上のような構成のロールとすることにより、外層部の組織中に面積率で25〜40%の一次炭化物としてのセメンタイトを晶出させることができると共に、他の微細に分散された金属炭化物を晶・析出させることができ、耐肌荒れ性に優れた特性を保持して、耐摩耗性の一層の向上を図ることができる。
【0015】
【実施例】
実施例1〜5と比較例1〜4の各成分を有する外層材の溶湯を鋳込んで中空外層部を形成した後、内層材であるダクタイル鋳鉄溶湯を鋳込んで、胴直径320mm、胴長600mmの複合ロールを形成した。鋳造後に残留オーステナイトの変態と残留応力除去のために歪取り調質熱処理を施した。
実施例1〜5と比較例1〜4の各成分組成を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
実施例1〜5のロールと比較例1〜4のロールについて、外層部のショア硬度を測定し、また外層部の組織をEPMA面分析と画像解析により炭化物形態毎に面積率を算出した。また摩擦摩耗試験は下記条件で摩擦係数、摩耗減量を測定した。これらの結果を表2に示す。
[摩擦摩耗試験条件]
試験方法 :ピンオンディスク法
試験片温度 :300℃
荷重 :5kg/cm2
回転速度 :100m/min
距離 :20000m
【0018】
【表2】
【0019】
表において、実施例1〜5と比較例1〜4においては、C、Si、Mn、Ni、Crの含有量をほぼ同様に調整しており、その一方、W、V、Nbの量を変化させている。
比較例1、2はW、V、Nbが含有されておらず(含有合計が0.5重量%未満)、ショア硬度が実施例のものに較べて低く、摩耗減量が多く、耐摩耗性の増加が見込めない。
一方、比較例3、4はW、V、Nbの含有量の合計が3.0%を超えて、かなり多くなっており、実施例のものに較べて、ショア硬度が高くて摩耗減量が少なく、耐摩耗性の大きな増加が見込まれる。しかしロール表面に晶出した一次炭化物のセメンタイトの面積率が飛躍的に増大し、耐肌荒れ性の低下、耐靭性、耐熱亀裂性の低下が懸念される。
実施例1〜5は、一次炭化物(主としてセメンタイト)の面積率が比較例1、2(W、V、Nbが含有されていない)と同程度で、良好な耐肌荒れ性の維持が期待できる。加えて比較例1、2に較べて、ショア硬度が高くて摩耗減量が少なく、耐摩耗性の向上が期待できる。また実施例1〜5において、W、V、Nbの含有量の合計を多くすることで、或いはW、VにNbを加えることで、ショア硬度が高くなり、摩耗減量が少なくなることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上の構成、作用よりなり、請求項1に記載の熱間圧延用複合チルドロールによれば、外層部と内層部とからなり、ロール外層部を構成する材料の成分組成が、重量%で、C:3.2〜3.7%、Si:0.3〜0.6%、Mn:0.5〜1.2%、Ni:1.1〜2.3%、Cr:0.3〜1.2%、及びW、V、Nbの1種又は2種以上をW+V+Nb:0.5〜3.0%含有すると共に、残部がFeからなるので、
熱間圧延用ロールとして、従来の高合金チルドロールが保有する良好な耐肌荒れ性と同等の良好な耐肌荒れ性を発揮すると共に、耐摩耗性を一層向上させることができる。よって熱間圧延仕上げ用ロールとして好適に用いることができ、また熱間圧延作業の高生産性に寄与することができる。
加えて、外層部を構成する材料の溶湯と内層部を構成する材料の溶湯とを遠心鋳造法により溶着一体化するようにして鋳造し、更に鋳造後に残留オーステナイトの変態と残留応力除去のための歪取り調質熱処理を行うこととしたので、
層状のセメンタイトと他の微細に分散した金属炭化物とを晶・析出させた外層部を持ち、且つ残留オーステナイト、残留応力の少ない熱間圧延用ロールを提供することができる。
また請求項2に記載の熱間圧延用複合チルドロールによれば、上記請求項1に記載の構成による効果に加えて、W+V+Nbの合計が重量%で1.0〜2.5%であるので、上記請求項1の構成による効果をより好ましく得ることができる。
また請求項3に記載の熱間圧延用複合チルドロールによれば、請求項1又は請求項2に記載の構成による効果に加えて、内層部を構成する材料がダクタイル鋳鉄であるので、
耐摩耗性と耐肌荒れ性に優れ、且つ靭性に優れた熱間圧延用ロールを提供することが可能となる。
Claims (3)
- 外層部と内層部とからなり、ロール外層部を構成する材料の成分組成が、重量%で、
C : 3.2〜3.7%
Si : 0.3〜0.6%
Mn : 0.5〜1.2%
Ni : 1.1〜2.3%
Cr : 0.3〜1.2%
及びW、V、Nbの1種又は2種以上を
W+V+Nb: 0.5〜3.0%
含有すると共に、残部がFeからなり、
外層部を構成する材料の溶湯と内層部を構成する材料の溶湯とを遠心鋳造法により溶着一体化するようにして鋳造し、更に鋳造後に残留オーステナイトの変態と残留応力除去のための歪取り調質熱処理を行うことを特徴とする熱間圧延用複合チルドロール。 - W+V+Nbの合計が重量%で1.0〜2.5%であることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延用複合チルドロール。
- 内層部を構成する材料がダクタイル鋳鉄であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間圧延用複合チルドロール。
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