JPH0635640B2 - 耐摩耗性及び耐焼付性に優れた圧延用ロ−ル - Google Patents

耐摩耗性及び耐焼付性に優れた圧延用ロ−ル

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JPH0635640B2
JPH0635640B2 JP62162082A JP16208287A JPH0635640B2 JP H0635640 B2 JPH0635640 B2 JP H0635640B2 JP 62162082 A JP62162082 A JP 62162082A JP 16208287 A JP16208287 A JP 16208287A JP H0635640 B2 JPH0635640 B2 JP H0635640B2
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俊朗 間瀬
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、例えば熱間圧延の仕上ワークロールとして
使用するのに好適な、耐摩耗性及び耐焼付性に優れた圧
延用ロールに関するものである。
<従来技術> 近年、目を見張るばかりの著しい産業技術の発展を背景
として、新しい特性を備えた様々な素材が開発されてお
り、金属の圧延材料も用途に応じて種々のものが使用さ
れるようになった。このため、金属材料圧延用ロールに
も使用目的に応じた種々の厳しい特性が要求されるよう
になり、従来からその材質等を中心に様々な工夫が凝ら
されてきた。そして、現在では、特に苛酷な条件下で使
用されがちな鉄鋼の熱間圧延用仕上ワークロール等で
は、外層剤にアダマイト材,高クロム材或いは高合金グ
レン材等の耐摩耗性強靭鋳鉄を適用したものが主流を占
めるようになった。
なお、これらロール材のうち、アダマイト材は特に強靭
性に富むと言う特徴を有することから仕上圧延の前段用
ワークロール外層材として広く使用されており、また、
高クロム材は組織中に存在する高硬度炭化物(Cr73,F
e73等)の故に耐摩耗性に優れるとの特徴を、そして高
合金グレン材は組織中に存在する黒鉛の故に熱伝導率が
高いことに加えて、黒鉛自身の潤滑作用によって耐焼付
性に優れているとの特徴をそれぞれ有していることか
ら、これらの特徴が生かされる条件下での使用が心掛け
られてきた。
一方、最近になって、ニハード(商品名:構造用Ni−Cr
チル鋳鉄で4種類の成分組成が規定されている)と称さ
れる周知材料のSi含有量を増加させ、通常では現われな
い黒鉛を組織中に晶出させて熱伝導率を改善し、これに
よって耐焼付性の向上を図った圧延ロール外層材も提案
された(特公昭61−16336号,特公昭61−16
415号)。
<従来技術の問題点> しかしながら、前記アダマイト材には使用条件が過酷に
なると耐摩耗性や耐肌荒性の点で性能不足が認められる
ようになるとの問題点があり、また前記高クロム材は、
他のロール材に比べて熱伝導率が低いため使用条件が過
酷になった場合の耐焼付性不足が目立つ上、全面にささ
くれ状の肌荒れを生ずると言う欠点を有していた。そし
て、前記高合金グレン材には、使用条件が苛酷になると
組織中の黒鉛が逆に作用し、この黒鉛を起点とした摩耗
や肌荒れが顕著になって耐肌荒性や耐摩耗性を劣化させ
ると言う問題が指摘されていたのである。
更に、前記特公昭61−16336号や特公昭61−1
6415号として提案されたロール外層材は、実作業を
通じての詳細な検討の結果、組織中への黒鉛晶出のため
に多量のSiを含有させたことからロール材として必要な
機械的性質が著しく低いものとなる上、その成分組成故
に鋳造のままで晶出する黒鉛量が多過ぎ、特に苛酷な条
件下で使用する場合には耐摩耗性の点で十分に満足でき
るものではないとの結論を出さざるを得なかった。しか
も、上記提案に係るロール外層材ではCr量が5.0〜10.0
%(以下、成分割合を示す%は重量%とする)と一般的な
高クロム材に比べて非常に低いため、例えM73型高硬
度炭化物(Cr73,Fe73等)が存在したとしても僅かで
しかなく、一般的な高クロム材が有するような高温高耐
摩耗性を実現することもできなかった。
このように、従来知られていたロール材には何れも一長
一短があり、特に“特殊鋼圧延”,“低温圧延”或いは
“薄物圧延”の如き、ロールに対して殊更に過酷さが要
求される条件下での圧延(高負荷圧延等)においても十
分対処できるような、より優れた耐摩耗性と耐焼付性と
を兼ね備えたロール材が待望されているのが現状であっ
た。
<問題点を解決するための手段> 本発明者等は、従来の圧延用ロールに指摘される上記問
題点を踏まえた上で、比較的良好とされている従来の高
クロム材を上回る耐摩耗性と、高合金グレン材に優ると
も劣らない耐焼付性とを兼ね備え、高負荷圧延の増加
等、益々苛酷の度合を深めつつある使用条件下でも十分
に満足し得る圧延用ロールを提供すべく、特に、 「ロール材に十分な耐摩耗性を確保すると共に、この耐
摩耗性とは必ずしも相容れない耐焼付性を向上させるた
めには、ロール材として十分な耐摩耗性を発揮する成分
系の鋳鉄材料を選択した上で、該成分系を乱さない手段
にてその組織中に潤滑作用を有する黒鉛を存在させるこ
とがどうしても必要であり、しかも、上記したように必
ずしも相容れない“耐摩耗性”と、“耐焼付性”とを両
者が共に満足できる程度にバランスさせて調整するか、
或いはそのようなバランス点が見出せなければ一方をそ
の段階にまで引き上げてバランスさせることが肝要であ
る」 との観点に立って鋭意研究を重ねた結果、以下(a)乃至
(c)に示す如き知見を得るに至ったのである。
即ち、 (a) 圧延用ロール材として十分に満足できる耐摩耗性
や機械的性質を備えた特定組成の高炭素高クロム鋳鉄に
おいては、機械的性質の劣化を招くSi含有量の増加や耐
摩耗性に悪影響を及ぼすCr含有量の抑制を必要とするこ
となく、鋳込み時の凝固速度や接種条件を調整するのみ
で組織中に黒鉛を晶出させることが可能である上、該鋳
込み時の凝固速度や接種条件を調整することで晶出黒鉛
量を自在に制御することができること。
(b) そして、このように制御できる晶出黒鉛量の範囲
内には、耐摩耗性と耐焼付性とが好適バランスをなして
共に満足される領域が存在すること。
(c) その上、上記組成の高炭素高クロム鋳鉄に比較的
高い量のMoを添加した場合には、その添加量さえ特定範
囲内に調整すれば、黒鉛の晶出現象に格別な悪影響を及
ぼすことなく耐摩耗製を飛躍的に向上させること。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、
圧延用ロールを、少なくとも外層が C:2.7超〜3.7%,Si:1.0%以上2.0%未満, Mn:0.5〜1.5%,P:0.08%以下, S:0.08%以下,Ni:5.0超〜15.0%, Cr:5.0〜15.0%,Mo:2.0超〜8.0%, Fe及び不可避的不純物:残り なる成分組成を有し、かつ面積率にて3.0〜5.0%の晶出
黒鉛相を断面組織中に含む材料で構成されて成るものと
することにより、優れた耐摩耗性と耐焼付性とを兼備
し、高負荷圧延等の苛酷な条件での圧延においても十分
に満足できる性能を発揮し得るようにした点に特徴を有
するものである。
なお、本発明に係る圧延用ロールでは、軸芯材をも前記
外層と同一成分組成にして良いことは言うまでもない
が、第1図に示される如く外層1と軸芯2とを別材質と
し、従来ロールと同様に該軸芯2の材料として強靭鋳
鉄,ダクタイル鋳鉄その他の各種高級鋳鉄や普通鋳鉄を
適用するのが実用的である。
また、本発明に係る圧延用ロールの製造には格別に特殊
な手段を必要とすることがなく、従来から知られていた
方法、例えば前記成分組成のロール外層を遠心力鋳造し
た後その内部に軸芯材を鋳込んで溶着一体化せしめる方
法等を採用すれば十分である。しかし、外層の晶出黒鉛
相が断面組織の面積率にて3.0〜5.0%の範囲となるよう
にするためには鋳込み時の凝固速度を調整したり、Fe−
Si添加等による接種条件の調整を行うことが肝要であ
る。
具体的には、外相の鋳造に際して遠心力鋳造用鋳型等を
予熱しておくことのほか、接種処理を溶湯温度が141
0〜1480℃の範囲内で施すことが必要不可欠であ
る。
このように、本発明に係る圧延用ロールは、少なくとも
その外層を高C高Cr高Mo系鋳鉄の組織中に断面面積率で
3.0%〜5.0%の黒鉛を晶出させた材質で構成したことを
骨子とするものであり、外層の成分組成のみを取り出せ
ばニハード鋳鉄(商品名)のそれと類似するも、晶出黒
鉛相を有する組織において全く相違していて、特定割合
の晶出黒鉛相の存在と調整された成分組成とが相俟って
後述の如き顕著な作用を発揮し圧延用ロールに優れた性
能を付与するものである。
次に、本発明の圧延用ロールにおいて、少なくともその
外層材のの成分割合並びに外層材組織中の晶出黒鉛相割
合を前記の如くに数値限定した理由を説明する。
A)成分割合 (a) C C成分は、CrやMoと結合して高硬度炭化物を形成し、ロ
ール材として必要な硬度や耐摩耗性等の特性を確保する
作用を有しており、また後述するSiやNiの黒鉛化促進元
素によって組織中に黒鉛を晶出し、耐焼付性を向上させ
る作用をも有するものであるが、その含有量が2.7%以
下ではモリブデン炭化物が存在しなくなって耐摩耗性の
劣化を招く上、黒鉛の晶出もなくなって耐焼付性の点で
も所望の性能が得られなくなる。一方、 3.7%を超えて
含有させると黒鉛が断面面積率で5.0%を超えて晶出す
るようになり、目的の組織が得られずに所望の耐摩耗性
を確保できなくなる。従って、C含有量は2.7超〜3.7%
と定めたが、好ましくは2.8〜3.3%に調整するのが良
い。
(b) Si Siは黒鉛化促進元素であり、黒鉛を晶出させるために不
可欠な成分である。しかしながら、その含有量が 1.0%
未満では黒鉛晶出効果が不十分であり、一方、 2.0%以
上含有させると黒鉛晶出量が断面組織の面積率で5.0%
を超え所望の耐摩耗性を確保できない上、焼入性が阻害
されて不完全焼入れ状態となり易く、基地硬度の低下か
ら機械的性質の劣化、更にはこの点からの耐摩耗性劣化
を招くこととなる。つまり、耐摩耗性を高いレベルに維
持するために1.0〜2.0%未満に限定することが重要なの
である。従って、Si含有量は 1.0%以上で、かつ2.0%
未満と定めた。
なお、Si成分については、鋳込前のSi量を上記成分範囲
よりも低目にしておき、鋳込時に接種を行なって最終成
分が上記範囲内となるように調整することが、黒鉛晶出
の点で好ましい。
(c) Mn Mnは、溶湯の脱酸のためSiと共に積極的に添加される成
分である。そして、その含有量が 0.5%未満では前記脱
酸効果が不十分となり、一方1.5%を超えて含有させる
と機械的性質、特に靭性の劣化を招くことから、Mn含有
量は0.5〜1.5%と定めた。
(d) P Pは、鋳鉄中へ不可避的に随伴される不純物元素であ
り、材質の脆化を招くことからロール材としては少ない
程望ましいが、実際上は0.08%以下に抑制すれば前記不
都合を許容できることから、P含有量は0.08%以下と定
めた。
(e) S Sも、Pと同様に材質の脆化を招くことから少ない程望
ましい不可避的不純物元素であるが、やはり0.08%以下
に抑制することで実際上の不都合を許容できることか
ら、S含有量は0.08%以下と定めた。
(f) Ni Ni成分には基地組織の改良作用と黒鉛を晶出させる作用
があるが、その含有量が 5.0%以下では黒鉛の晶出がみ
られずに所望の耐焼付性並びに耐摩耗性を確保できず、
一方、15.0%を超えて含有させると、Siを過剰添加した
場合と同様に黒鉛過多となって耐摩耗性の劣化を招く
上、残留オーステナイトが増加してロール材として必要
な硬度が得られず、またこの点からも耐摩耗性を劣化し
てしまう。従って、Ni含有量は5.0超〜15.0%と定め
た。
(g) Cr Cr成分にはCと結合してクロム炭化物を形成し耐摩耗性
や靭性を向上する作用があるが、その含有量が 5.0%未
満では形成されるクロム炭化物量が十分でなくて所望の
耐摩耗性が確保できず、一方、15.0%を超えるて含有さ
せると白銑化傾向が強くなって黒鉛が晶出しなくなり、
所望の耐焼付性、更には耐摩耗性をも得ることができな
くなる。従って、Cr含有量は 5.0〜15.0%と定めた。
(h) Mo Moは本発明に係る圧延用ロールの外層材成分として極め
て重要な元素であり、外層材の高温軟化抵抗を高めると
共に、高強度モリブデン炭化物を形成して耐摩耗性を飛
躍的に向上させる作用を有している。しかしながら、そ
の含有量が 2.0%以下では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方、8.0%を超えて含有させると、白銑化傾向
が強くなって黒鉛が晶出しなくなり、所望の耐焼付性並
びに耐摩耗性を確保できなくなることから、Mo含有量は
2.0%を超え8.0%以下の量と定めたが、好ましくは 3.0
〜5.0%に調整するのが良い。
本発明に係る圧延用ロールの外層材は以上に説明した成
分組成に構成されるものであるが、上記以外にそれぞれ
1.0%以下の含有量でNb,V或いはTiの1種以上が含有
されていたとしても、前記所望性能に悪影響を及ぼすこ
とがない。むしろ、鋳造組織の微細化に役立つので積極
添加しても良い。
B)断面組織中に占める晶出黒鉛相の面積率 外層の断面組織中に占める晶出黒鉛層の面積率が3.0%
未満では、所望の耐焼付性が得られないばかりか耐摩耗
性も不十分となり、また、晶出黒鉛層の面積率が5.0%
を超えても耐摩耗性が急激に劣化することから、断面組
織中に占める晶出黒鉛層の面積率を3.0〜5.0%と限定し
た。
なお、耐摩耗性及び耐焼付性が共に優れた材質であるた
めには断面組織中に占める晶出黒鉛相の面積率を3.0〜
5.0%とする必要のあることは、後述の第2図からも明
らかである。
<作用> 上述のように、本発明に係る圧延用ロールは、少なくと
もその外相を“特定成分組成の高C高Cr高Mo鋳鉄であっ
て、かつ断面組織が特定割合の晶出黒鉛相を有する材
料”で構成した点を特徴とするものであるが、外層材を
前記特定成分組成とすることにより、各構成成分がそれ
ぞれ前述の如き作用を発揮して優れた耐摩耗性や機械的
性質を醸し出す他、好適量の黒鉛晶出に最適な条件を作
り出す。特に2.0超〜8.0%と言う高い割合でMoを含有さ
せることによって特筆すべき耐摩耗性が実現され、また
1.0%以上2.0%未満と言う、黒鉛の晶出を狙ったにして
は従来常識からすれば低い割合にSi含有量を設定したこ
とで十分に満足できる機械的性質の確保が可能となる。
そして、前記特定成分組成の高C高Cr高Mo鋳鉄基地に特
定割合の黒鉛を晶出させると、基地中の高硬度のクロム
炭化物やモリブデン炭化物による優れた耐摩耗性と潤滑
作用に優れた黒鉛相の優れた耐焼付性とが相俟って、苛
酷な圧延条件下での要求に十分応え得る優れた耐摩耗性
と耐焼付性とを兼ね備えた圧延用ロール材が実現される
のである。
さて、第2図は、本発明ロールに係り成分組成(一部Mo
外れを含む)の外層材における晶出黒鉛含有割合(断面
組織の面積率)と耐摩耗性及び耐焼付性との関係を示し
たグラフである。
ここで、試験材としては、鋳込時の凝固速度や接種条件
をかえて溶製した黒鉛含有量の異なる高C高Cr高Mo鋳鉄
(C:3.4,Si:1.8%, Mn0.7%,P:0.04%,S:0.02%, Ni:
7.6%, Cr:8.1%,Mo:1.6〜80%,残部:実質的にFe)を使
用し、それらの耐摩耗性並びに耐焼付性は、それぞれ第
3図及び第4図で略示される摩耗試験,耐焼付試験によ
って調べた。なお、第3図は、高周波コイル3にて加熱
されつつ回転する円板状被加工材加熱片(材質:SUS 3
04)4に、円板状試験材5を円周面の水冷(6)を行い
ながら押し付けて回転させ、2時間経過後の摩耗体積を
測定する摩耗試験を略示したものであり、また第4図
は、高周波コイル7にて加熱された角棒状被加工材加熱
片(材質:SUS304)8端部に、円板状試験材9を円周面の
水冷(6)を行いながら押し付け、その際の摩擦係数(両
金属間の凝着の程度を表わす)を測定する焼付試験を略
示したものである。そして、このときの試験条件は第1
表に示す通りであった。
また、第2図には、比較として従来の一般的な高クロム
材と高合金グレン材についての試験結果を示した。
前記第2図からも、本発明ロールに係る成分組成の外層
材においては、断面組織中の黒鉛相面積率が3.0〜5.0%
のときに耐摩耗性向上作用及び耐焼付性改善作用が同時
に発揮され、優れた耐摩耗性と十分に満足できる耐焼付
性が兼ね備わることが分かる。
更に、Mo含有量が本発明で規定する範囲内の値にまで高
くなると、摩耗体積が減少すると共に摩擦係数も低い
(後者は耐焼付性工場に関与する)という、従来ロール
(高クロム材,高合金グレン材)が併せ持つことのできな
かった特性がより際立つことを確認できる。
また、本発明に係る圧延用ロールの外層材は、従来材の
それと比較すると、耐摩耗性で高クロム材の2.5倍程度
の、そして耐焼付性でも高合金グレン材を上回る性能を
有していることが分かる。
次いで、実施例により、本発明を比較例と対比しながら
具体的に説明する。
<実施例> まず、次の乃至に示す製造工程にて、第2表に示さ
れる成分組成の各外層材と第3表に示される成分組成の
軸芯材とから成るところの、製品の胴径が750mmφ,
胴長が1800mm,全長が3800mmの第1図に示され
る如き遠心力鋳造複合ロールをそれぞれ製造した。
第2表に示した成分組成の12種類の溶湯を、それ
ぞれ、遠心力鋳造機上で回転する鋳型へ1410〜14
30℃の鋳込温度で肉厚90mmに鋳込んでロール外層を
鋳造する。
上記円筒外層が完全に凝固した後、この外層を内装
したままの遠心力鋳造用鋳型を直立させて軸芯鋳造鋳型
に配置し、その上部から第3表に示した成分組成の軸芯
材溶湯を1370℃で鋳 込んで鋳型内を完全に満たしてから、上端を押湯保温材
でカバーする。
このように複合鋳造されたロールが完全に冷却した
後鋳型から取り出し、500℃に10時間加熱保持する
歪取り熱処理と、これに引き続いて550℃に20時間
加熱保持する組織調整熱処理とを施す。
このようにして製造された各複合ロールについて、外層
材の黒鉛相面積率並びに表面硬度を測定した結果を第4
表に示す。
また、第5図には、本発明に係るロールの代表的例とし
て第4表における“本発明ロール2”の外層材の顕微鏡
組織を示したが、この第5図からも明らかなように、上
述の如く製造された本発明複合ロールの外層材は、所期
目的とするところの面積率で3.0%〜5.0%の晶出黒鉛
相、並びにモリブデン炭化物,クロム炭化物及び素地か
ら成る組織となっていることが分かる。
更に、前記第4表には、上記12種類の複合ロールを熱
間仕上ダンデムミルにおけるステンレス鋼板の圧延に供
し、耐摩耗性及び耐焼付性(耐肌荒性)を評価した結果
をも併せて示した。
なお、この場合の“耐摩耗性”は、式 によって、また“耐焼付性(耐肌荒性)”は「肌評点(4
段階評価,数字が小さいほど良好)」によってそれぞれ
評価した。
ところで、第4表中には、“従来例”として高クロムロ
ール(2.8C−18Cr)を使用したときのデータも併せて
示した。
第4表に示される結果からも、本発明の圧延用ロールは
従来ロールに比べて耐摩耗性並びに耐焼付性(耐肌荒性)
が極めて優れていることは明らかである。しかも、上記
実機試験により、本発明の圧延用ロールは耐ヒートクラ
ック性や耐熱衝撃性にも優れていることが実証された。
更に、第4表に示される結果からは、外層材組織中の晶
出黒鉛量が多すぎても少なすぎても耐摩耗性及び耐焼付
性(耐肌荒性)には良くないこと、また外層材Moの添加量
が少なすぎると耐摩耗性改善効果がなく、多すぎても該
改善効果が飽和してコスト高となるばかりか、根本的に
黒鉛の晶出が得られなくなることが再確認される。
<発明の効果> 以上に説明した如く、この発明によれば、優れた耐摩耗
性と耐焼付性とを兼ね備えた圧延用ロールを実現するこ
とができ、過酷な使用条件下での板材圧延作業,製管作
業,線材圧延作業,棒材圧延作業等におけるワークロー
ルに適用しても顕著な耐久性が発揮されるなど、産業上
有用な効果がもたらされるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、圧延用複合ロールの構造例を示す概略模式図
である。 第2図は、本発明ロールに係る成分組成の外層材におけ
る晶出黒鉛含有割合(断面組織の面積率)と耐摩耗性及び
耐焼付性との関係を示したグラフである。 第3図は、摩耗試験方法を説明した概念図であり、第3
図(a)はその正面図を、第3図(b)は平面図をそれぞれ示
す。 第4図は、焼付試験方法を説明した概念図であり、第4
図(a)はその正面図を、第4図(b)は平面図をそれぞれ示
す。 第5図は、本発明の実施例ロール外層の組織を示した金
属顕微鏡組織写真図である。 図面において、 1……外層、2……軸芯、 3,7……高周波コイル、 4,8……被加工材加熱片、 5,9……試験材、6……冷却スプレー。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも外層が、重量割合にて C:2.7超〜3.7%,Si:1.0%以上2.0%未満, Mn:0.5〜1.5%,P:0.08%以下, S:0.08%以下,Ni:5.0超〜15.0%, Cr:5.0〜15.0%,Mo:2.0超〜8.0%, Fe及び不可避的不純物:残り なる成分組成を有し、かつ面積率にて3.0〜5.0%の晶出
    黒鉛相を断面組織中に含む材料で構成されて成ることを
    特徴とする、耐摩耗性及び耐焼付性に優れた圧延用ロー
    ル。
JP62162082A 1987-06-29 1987-06-29 耐摩耗性及び耐焼付性に優れた圧延用ロ−ル Expired - Lifetime JPH0635640B2 (ja)

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JPS63174705A (ja) * 1987-01-10 1988-07-19 Kubota Ltd 黒鉛を有する高クロムロ−ルとその製造方法

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