JPH02129340A

JPH02129340A - 耐摩耗性に優れた黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材

Info

Publication number: JPH02129340A
Application number: JP28431788A
Authority: JP
Inventors: Takeru Morikawa; 長森川; Takashi Hashimoto; 隆橋本; Hiroaki Kataue; 片上　博彰; Noburou Maeya; 前家　信朗
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1988-11-09
Filing date: 1988-11-09
Publication date: 1990-05-17

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は主として熱間圧延に供される圧延用複合ロール
の圧延使用層に適用されるロール材であって、耐焼付性
と優れた耐摩耗性とを兼備したものに関する。

（従来の技術）高クロム鋳鉄ロール材は、冶金学的にはその基地組織中
に微細な高硬度炭化物を含んでおり、耐摩耗性に優れる
のが特長である。かかる高クロムロール材によって圧延
用ロールの外層（圧延使用層）が形成された複合ロール
は、熱間圧延用ロール特にホットストリップミル仕上列
前段ワークロールとして用いられている。

しかし、高クロムロール材は熱伝導性に劣り、耐焼付性
に難があった。

そこで、本発明者は、特公昭６１−１６４１５号におい
て開示した通り、高クロム鋳鉄組織中に黒鉛を晶出せし
めたロール材を提案した。このロール材は、耐摩耗性と
耐焼付性とを兼備しており、圧延性能の向上に寄与する
ことができた。

（発明が解決しようとする課題）しかしながら、前記黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材は、
炭素原子が多量の黒鉛として過剰に晶出するため、共晶
カーバイドが細かく、かつその量も少ないため、耐摩耗
性の点で改善すべき余地があった。

本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、優れた耐
摩耗性を有する黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段）前記目的を達成するためになされた本発明のロール材は
、化学組成が重量％でＣ：２．０〜３．６％、　Ｎｉ：４．５〜１０％Ｓｉ　
：　　１．０〜１．９％、　Ｃｒ：　３〜１０％Ｍｎ　
：　　０．５〜１．５％、　Ｍｏ　：　　０．３〜３．
０％残部実質的にＦｅからなり、組織中に黒鉛が晶出し
ていることを発明の構成とするものである。

（作　用）本発明の黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材の化学組成は以
下の理由により限定される。単位は重量％である。

Ｃ：２．０〜３．６％ＣはＣｒあるいはＦｅ、　Ｍｏと結びついてカーバイド
を形成する他に、後述するようにＳｉやＮｉの黒鉛晶出
作用によって微細な黒鉛として晶出する。２．０％未満
になるとカーバイド量が減少し、耐摩耗性、耐塑性流動
性が劣化すると共に黒鉛の晶出も少なくなるので耐焼付
き性が低下する。一方、３．６％を越えると黒鉛晶出量
が過多となって耐摩耗性が劣化する。

Ｓｉ：１．０〜１．９％Ｓｉは高クロム鋳鉄の組織中に黒鉛を晶出させるために
必要であり、Ｃと結びついてカーバイドを形成する傾向
の強いＣｒ、　Ｍｏとの兼ね合いでその量は決定される
。Ｓｉについては鋳込前のＳｉｌを上記成分範囲よりも
低目にしておいて、鋳込時に接種を行ない、最終製品の
成分で上記範囲内に調整する方が黒鉛の晶出に有効であ
る。１．０％未満では接種を行っても黒鉛が晶出しなく
なり、逆に１．９％を越えると黒鉛の晶出が容易になり
、耐焼付き性は、より良くなるが、カーバイド量が減少
するので耐摩耗性が悪くなる。

Ｍｎ　：　　０．５〜１．５％溶湯の脱酸としてＳｉと共に積極的に添加し、その含有
量は少なくとも０．５％以上必要であるが、１．５％を
越えると機械的性質、特に靭性の劣化が著しい。

Ｎｉ：４．５〜１０％Ｎｉは基地組織の改良と黒鉛の晶出のために積極的に添
加するもので、４．５％未満では黒鉛の晶出が困難にな
る。一方、１０％を越えると黒鉛の晶出が多（なり過ぎ
て機械的性質の劣化、あるいは耐摩耗性の劣化を招来す
る。かつ、オーステナイトが安定になり、後の熱処理に
おいても変態しなくなり、耐肌荒れ性が劣化する。

Ｃｒ：３〜１０％ＣｒはＦｅ、　Ｍｏなどと同じくＣ原子と結びついてカ
ーバイドを形成するため、その量は黒鉛化を促進する元
素のＳｔ、　Ｎｉとの兼ね甘いで決められる。３％未満
の場合、クロムカーバイドの晶出が困難となり、本発明
の目的である耐摩耗性の改善を阻害する。一方、１０％
を越えて含有されると黒鉛の晶出が困難になる。

Ｍｏ　：　　０．３〜３．０％Ｍｏは基地に入り、基地を強化し、かつ、基地組織の焼
戻し軟化抵抗性を高めることによって耐塑性流動性、耐
摩耗性を向上させる。０．３％未満では基地組織改善の
効果がなく、一方、３．０％を越えて含有されると黒鉛
の晶出が困難になる。また、本発明の企図するところは
、共晶カーバイド量を増すことによって耐摩耗性を改善
するところにあり、基地を強化するＭｏは３．０％で充
分である。

本発明の黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材は以上の成分の
ばか残部実質的にＦｅで形成される。尚、Ｐ、Ｓは材質
を脆くするので少ない程望ましく、Ｐ：０．１％以下、
Ｓ：０．０８％以下に止めておくのがよい。また、材質
特性を向上させるためにＦｅの一部に代えてＮｂ、　Ｖ
を必要に応じて含有させることができる。すなわち、Ｎ
ｂ、　Ｖは共に鋳造組織の微細化に効果があり、各々単
独又は複合で１．０％以下含有することができる。１．
０％を越えると、炭素と結びついてＶＣ，ＮｂＣ，Ｎｂ
ＺＣ等の炭化物を形成し、黒鉛の晶出を妨げると共にコ
スト高となるためである。

本発明の黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材は、特にＳｉ含
有量を黒鉛が晶出する範囲で可及的に抑えて共晶カーバ
イド量を可能な限り増加させたところに特色があり、こ
れによって優れた耐摩耗性を確保したものである。

（実施例）以上説明した黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材は、主とし
て圧延用複合ロールの使用層である外層の鋳造材として
使用されるが、その内層（軸芯）材としては、高級鋳鉄
やダクタイル鋳鉄等の強靭性のある鋳鉄材又は黒鉛鋳鋼
等の鋳鋼材が適宜使用される。

また、前記複合ロールの製造方法としては、遠心力鋳造
法により外層を鋳造した後、外層を内有した遠心力鋳造
用鋳型を起立させて静置鋳型を構成し、その内部に内層
材溶湯を注湯し、外層と内層とを溶着一体化する方法が
あり、簡便であるので一般に適用されている。

尚、外層と内層との溶着に際して、外層から内層へのＣ
ｒの混入を防止するためには、外層と内層との間に中間
層を設けるとよい。

本発明でいうロール材とは、上記説明した圧延用ロール
のみならず圧延付帯設備におけるローラに適用可能な材
質であることを意味し、圧延用ロールの外層材に限らず
、例えばホットランチ−フルローラ等の中空円筒状ロー
ラの外層材として適用できる。

次に本発明の黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材を圧延使用
層たる外層に適用した複合ロールの具体的製造実施例に
ついて説明する。尚、比較のため、従来例として外層に
特公昭６１−１６４１５号のロール材を用いた複合ロー
ルも製造した。

（１）外層材溶湯として第１表に示す黒鉛晶出高クロム
鋳鉄を用い、これを遠心力鋳造機上で回転する円筒状金
型内に鋳込厚さで９０ｍｍ分鋳込んだ。

第１表（２）外層鋳造開始から１９分後に外層は完全に凝固し
た９その後、外層を内有した遠心力鋳造用金型を垂直に
立てて、その両端にロール軸部鋳造用の上型および下型
を連設して静置鋳造鋳型を構成した。その内部に軸心付
溶湯としてダクタイル鋳鉄溶湯を鋳込んで完全に満たし
た後、上部を押湯保温材でカバーした。

（３）後日、上記鋳型を解体し、ロール素材を取り出し
て機械加工した後、組織安定化および鋳造応力除去のた
め、５５０°Ｃで１０時間保持する熱処理を施した。

（４）仕上加工後、ロール外層表面硬度を測定したとこ
ろ下記の通りであった。

実施例１・・・Ｈｓ　８２〜８３実施例２・・・Ｈｓ　８０〜８３従来例　・・・Ｉｓ　７９〜８１（５）各ロールを実際にホットストリップミル仕上後段
スタンドに設置して圧延に供した。その結果、いずれの
ロールにも焼付の発生は皆無であったが、外層１閣当り
の圧延量につき、実施例１および２は従来例に対して１
．２５倍であり、耐摩耗性の改善が確認された。

（発明の効果）以上説明した通り、本発明の黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロー
ル材は、Ｓｉ：１．０〜１．９％とした特定組成の黒鉛
晶出高クロム鋳鉄材で組成したので、黒鉛を晶出させる
と共に多量の共晶カーバイドを晶出させることができ、
耐焼付性と優れた耐摩耗性とを兼備させることができた
。

Claims

【特許請求の範囲】

（１）化学組成が重量％でＣ：２．０〜３．６％、Ｎｉ：４．５〜１０％Ｓｉ：１
．０〜１．９％、Ｃｒ：３〜１０％Ｍｎ：０．５〜１．
５％、Ｍｏ：０．３〜３．０％残部実質的にＦｅからな
り、組織中に黒鉛が晶出していることを特徴とする耐摩
耗性に優れた黒鉛晶出高クロム鋳鉄ロール材。