JPS6037604B2 - 永久磁石の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はストロンチウムフェライトあるいはバリウムフ
ェライトなどの強磁性粉末とポリアミド樹脂およびトル
ェンスルホン酸アミドを含めてなる混合物を使用した永
久磁石の製造方法に関するものである。

塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、合成ゴムまたは
天然ゴムなどに強磁性粉末を混合して熱間ロール機によ
るシート化、押出成形あるいは射出成形によってゴム磁
石および樹脂磁石を製造することは周知である。

この場合、その磁気特性は、含有する樹脂またはゴムの
体積分だけ低下するという欠点がある。磁気特性を向上
する方法として、磁性粉末の含有量を多くすること、お
よび強磁性粉末粒子を一定方向に配向して異方性を与え
ることが必要である。

一般に強磁性粉末の含有量を多くするにしたがって、濃
練物の熔融粘度が高くなり、射出成形機を用いて成形す
る場合に、金型内での濠練物の流れが悪く、成形不可能
になるという欠点がある。

磁性粒子を配向させる方法として、ロール圧延によって
機械的に配向させる方法と、磁界を印加しながら磁化容
易軸方向に配向させる方法が知られている。前者のロー
ル圧延による方法は、塩素化ポリエチレンあるいはゴム
のような非常に可榛性を有する材料の場合にのみ適用で
き、硬質材料には不適当で、シート状の成形物の製造に
しか適用できないという欠点がある。また、後者の磁界
の印加によって磁性粒子を配向させる方法は硬質材料に
も適用でき、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチ
レン、低分子量ポリプロピレンあるいはポリァミド等を
使用した永久磁石の製造法が知られているが、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンあるいは低分子量
ポリプロピレン等を使用した場合には、成形物を１００
℃以上の温度中に放置した場合に、強磁性粉末の配向が
乱れ、磁気特性が低下し、形状が変化するなど耐熱性に
劣り、また、割れやすい等の機械的強度に劣る欠点があ
る。バリウムフェライトのような強磁性粉末とポリアミ
ド樹脂とよりなる永久磁石は−般に機械的強度が強く、
また１７０ｏｏ以上の耐熱性を有することが知られてい
るが、強磁性粉末の含有割合を多くしていくと強磁性粉
末の配何度は低下し、磁気特性が低下する欠点があり、
従釆の焼結型等方性フェライト磁石の磁気特性（最大エ
ネルギー積１．０ＭＧ○ｅ以上）を得ることが困難であ
った。また量産性のよい射出成形機を用いて成形する場
合に、成形組成物の流動性が悪くなり、成形不可能にな
る欠点があった。さらに、流動性を向上するために可塑
剤が添加された場合に、可塑剤の種類および添加量によ
って、流動性向上効果が全く認められなかったり、又１
００℃以上の高温において可塑剤がブリードしたり、機
械的強度の劣化、および磁気特性の劣化が生じる等の欠
点があった。本発明は上述のような欠点を除去し、１７
０００以上の高温においても磁気的および形状が不変で
耐熱性に優れ、かつ機械的強度が強く、嘘絹型等方性フ
ェライト磁石と同等以上の磁気特性（最大エネルギー積
１．０ＭＧ戊以上）を有する永久磁石を量産性良く安価
に製造しうる方法を提供するものである。

以下、本発明について説明する。

本発明の特徴とするところは、バリウムフェライトまた
はストロンチウムフェライトのような強磁性粉末８６〜
９の重量％とポリアミド樹脂９〜１４重量％とトルェン
スルホン酸アミド０．３〜１重量％とを含有する組成物
を、加熱熔融した状態で磁界を印力ｏして前記強磁性粉
末を所定の方向に配向させて成形固化することにある。

更に他の特徴は、前記組成物を、磁界印加装置を具備し
た金型および射出成形機を用いて、磁界印加状態下で前
記組成物を形成することにある。本発明は、０．３〜１
重量％のトルェンスルホン酸アミドを含有する強磁性粉
末とポリアミド樹脂との組成物を使用することにより、
より多量の強磁性粉末を含有する組成物の成形を可能に
させ、更に、磁界印加状態下で成形することにより、強
磁性粉末の配向性を向上させて、良好な磁気特性を有す
る永久磁石の製造方法を見し、出したものである。特に
射出成形機を用いて成形する場合に、トルェンスルホン
酸アミドを含有する組成物を使用することにより成形物
の耐熱性及び機械的強度を劣化させることなく組成物の
流動性が向上し、より多量の強磁性粉末を含有する組成
物の成形が可能となり、更に強磁性粉末の配向性が向上
し、焼結型等方性フェライト磁石と同等以上の磁気特性
の良好な永久磁石を得ることができる。トルヱンスルホ
ン酸アミドの含有量が０．３重量％より少ない場合は強
磁性粉末の配向度を向上する効果が小さく又、１重量％
より多い場合には、成形磁石の耐熱性、機械的強度を劣
化させるため不適当である。周知のように、バリウムフ
ェライトやストロンチウムフェライト粉末は六方晶形を
なしており、磁気異方性を有し、磁界を印加することに
よりＣ軸方向に粉末が配向する特質がある。

強磁性粉末を磁界鼓向させるためには、使用する樹脂の
熔融粘度が小さく、強磁性粉末が磁界方向に回転するた
めの抵抗が小さいことが必要である。また、強磁性粉末
が樹脂中で回転するためには、樹脂と強磁性粉末との摩
擦係数が小さいことが必要である。更に磁界を印加した
状態で射出成形を行なう場合には組成物の流動性も重要
である。

本発明の特徴の一つは、トルェンスルホン酸アミドを含
有する組成物を使用して製造することにある。

トルェンスルホン酸アミドを含有せしめることにより、
強磁性粉末間の摩擦抵抗が減少し、外部磁界を印加した
場合に、磁界方向に配向しやすくなり、磁気特性が向上
するという効果が得られる。

更に、トルヱンスルホン酸アミドを含有することにより
、射出成形機を使用して成形する場合に、強磁性粉末と
ポリアミド樹脂との濠練熔融物の流動性が向上し、より
多量の強磁性粉末を含有した状態での強磁性粉末の配向
が可能となり、磁気特性が向上するという効果が得られ
る。

本発明によって得られた成形物は、１７０℃以上の高温
中に長時間放置した後においても、磁気特性および形状
などが不変で更に亀裂や割れが生じることなく耐熱性が
ある。

また、機械的強度も良好である。以下に本発明を、更に
具体例をもって説明する。

ただし、強磁性粉末の配向度（Ｐ）は配向方向の残留磁
束密度Ｂｒａと、配向方向に直向する方向の残留磁束密
度Ｂｒｂとで次式によって算出した。Ｐ＝王苦；Ｘｍｏ また、射出成形機は日本製鋼製Ｎ‐１４船Ｄを使用した
。

実施例 １ 表１に示すような平均粒子径１．３Ａのストロンチウム
フェライト粉末、ポリアミドー６（平均分子量３万）お
よびトルェンスルホン酸アミドの種々の組成物を調整し
、加圧ニーダーを用いて熔融混練後、１〜３側の大きさ
に粉砕して成形用試料を得た。

それぞれの成形試料を第１図に示す金型に投与して２７
０００に加熱熔融し、２６０ｑｏを保ちながらプレスを
行ない、図示の矢印Ａ−Ｂ方向に１００００ェルステッ
ドの磁界を印加した。金型が冷却した後、磁場を切断し
て直方体の成形物を得た。なお、第１図において、１は
側壁金型で、これは磁性体製側壁ｌａ，ｌａ′および非
磁性体製側壁ｌｂ，ｌｂ′をもって構成されている。

また、２は非磁性体製の上面プレス金型、３は非磁性体
製の下面金型である。以上のようにして得たそれぞれの
成形物について、図示のＡ−Ｂ方向の磁気特性を表２及
び第２図、第３図に示した。

なお、第２図及び第３図において、実線Ａはトルェンス
ルホン酸アミドを添加した場合を示し、又破線８はそれ
を添加しなかった場合を示している。表２及び第２図か
ら明らかなようにトルェンスルホン酸アミドを含有する
組成（実験ＮＯ．２、４、６、８、１０）の場合の最大
ェネルギ−積（ＢＨ）ｍａｘはいずれも１．０ＭＧＯｅ
であり、他方トルェンスルホン酸アミドを含有しない組
成（実験Ｎｏ．１、３、５、７）の場合に比べて優れて
おり、また、第３図より、強磁性粉末の配向度も向上す
ること明らかである。

また、成形物を１７び０の高温中に２４独特間放置した
後の磁気特性（Ｂ−日曲線）を測定した結果、初期値と
全く同じであり、耐熱性は良好であった。

また、実験番号７の組成物を磁界を印加することないこ
成形した場合の磁気特性は、最大エネルギー積（ＢＨ）
ｍａｘ＝０．５印ＭＯＯｅ、残留磁束密度Ｂｔ＝１４０
に、保持力ｉＨｃこ３５０のｅ、Ｐ＝５０％であり、磁
気特性が劣る。

実施例 ２ 前記実施例１と同じ組成の成形用試料を用いて、磁界印
加装置を具備した金型および射出成形機を使用して、射
出成形機ノズル温度２６浮０、金型温度９０ｑｏで放射
状に７０００ェルステッドの磁界を印加して、外径９仇
舷、内径８仇舷、高さ１７側のりング形状物を成形した
。

それぞれの組成物についての成形性および成形物の磁気
特性、耐熱性などを測定した結果を表３に示した。

表３より明らかなように、強磁性粉末含有量が８箱重量
％以上で、トルェンスルホン酸アミドを含有しない組成
の場合（Ｎｏ．ふ ７、９）には、成形材料の流動性が
悪く、金型内への成形材料の充填が不完全で、成形不可
能であるが、トルェンスルホン酸アミドを含有した組成
の場合（Ｎｏ．６、８、１０）には成形性が良好になり
、磁気特性も優れている。

また、強磁性粉末８０重量％以下の場合には、トルェン
スルホン酸アミドを含有した組成の場合の成形物（Ｎｏ
．２、４）がトルェンスルホン酸アミドを含まない組成
の成形物（Ｎｏ．１、３）よりも配向性が向上し、磁気
特性は良好であった。

このように、トルェンスルホン酸アミドを含有すること
により、より多量の強磁性粉末を含有した状態での射出
成形が可能となり、更に、強磁性粉末の配向性が向上す
るなどの効果により、磁気鱗結型等方性フェライト磁石
と同等以上の磁気特性の優れた永久磁石を得ることがで
きる。また、成形物を１７０ｏｏの高温中に２４ｍ時間
放置した後の磁気特性（Ｂ−日曲線）を測定した結果、
初期値と全く同じであり、耐熱性は良好であった。

「実施例 ３ ． 表４１こ示すようなストロンチウムフェライト、バリウ
ムフェライト、ポリアミド樹脂およびトルェンスルホン
酸アミドの種々の組成物を調整し、加圧ニーダーを用い
て熔融濃練後、１〜３側の大きさに粉砕して成形用試料
を得た。

それぞれの試料について、前記実施例２と同じ方法で磁
界印加中射出成形を行ない、リング形状物を得た。

それぞれの組成についての成形性および成形物の磁気特
性、耐熱性などを測定した結果を表５に示した。

表５から明らかなように、トルェンスルホン酸アミドを
含有しない組成（Ｎｏ．１１、１３１５）の場合には、
成形材料の流動性が悪く、金型内への成形材料の充填が
不完全で成形不可能であった。

これに対し、トルェンスルホン酸アミドを含有した組成
の場合には成形性が良好で、強磁性粉末の配向性も優れ
、（ＢＨ）ｍａｘ等の磁気特性が良好であった。又、得
られたりング形状成形物を１７０００の高温中に２４畑
時間放置した後の磁気特性は初期値と同じであった。

しかし、トルェンスルホン酸アミドの含有量が２重量％
の場合（Ｎｏ．１８）、１７０００で２４加時間放置後
に亀裂が生じ、手で触れると簡単に割れるなど、機械的
強度の劣化が認められた。以上のように本発明はバリウ
ムフェライトまたはストロンチウムフェライトのごとき
強磁性粉末８６〜９の重量％と、ポリアミド樹脂９〜１
４重量％およびトルェンスルホン酸アミド０．３〜１重
量％よりなる組成物を加熱熔融した状態で磁界を印加し
て、強磁性粉末を所定の方向に効率よく配向ごせて成形
固化するようにしたことを特徴とする永久磁石の製造法
であり、またその成形を射出成形機を用いて行なうこと
を特徴とするものであり、暁縞型等方性フェライト磁石
と同等以上の磁気特性（最大エネルギー積１．０ＭＱお
以上）を有し、１７０℃以上の高温においても磁気的お
よび機械的強度が劣化しない耐熱性を有する永久磁石を
量産性良く製造しうるものである。表 Ｉ 表 ２ 表 ３ 表 ４ 表 ５

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明において使用し得る金型の一例の要部分
解斜視図である。 第２図は本発明実施例によって得られた永久磁石の磁気
特性を示し、第３図は強磁性粉末の配向度を示す曲線図
である。１・・・・・・側壁金型、ｌａ，ｌａ′・…・
・磁性体製の側壁、ｌｂ，１け・・・・・・非磁性体製
の側壁、２・・・・・・非磁性体製の上面プレス金型、
３・・・・・・非磁性体製の下面金型。 第１図 第２図 第３図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 強磁性粉末８６〜９０重量％と、ポリアミド樹脂９
   〜１４重量％と、トルエンスルホン酸アミド０．３〜１
   ．０重量％よりなる組成物を加熱熔融した状態で前記組
   成物に磁界を印加して、前記強磁性粉末を所定の方向に
   配向させて成形固化させることを特徴とする永久磁石の
   製造方法。 ２ 組成物の成形を、磁界印加装置を具備した金型およ
   び射出成形機を用いて行なうことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載の永久磁石の製造方法。