JPH0745619B2

JPH0745619B2 - ポリアミド樹脂組成物

Info

Publication number: JPH0745619B2
Application number: JP61054177A
Authority: JP
Inventors: 勝義村林; 盛之横山
Original assignee: Daicel Huels Ltd
Current assignee: Daicel Evonik Ltd
Priority date: 1986-03-12
Filing date: 1986-03-12
Publication date: 1995-05-17
Anticipated expiration: 2010-05-17
Also published as: JPS62212457A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は金属粉を含むポリアミド樹脂組成物に関するも
のである。更に詳しくは、良好な成形性を有する金属
粉、特に鉄粉が配合された高比重ポリアミド樹脂組成物
に関するものである。

〔従来の技術及び問題点〕

ポリアミド樹脂にガラス繊維、或いはカーボン繊維等を
配合した樹脂組成物は従来高剛性材料として多用されて
いる。また、こうした繊維ばかりでなく、タルク、炭酸
カルシウム等の無機粉末も充填剤として使用され、ポリ
アミドの弾性率の向上効果を示している。

更に近年、金属繊維をポリアミド樹脂に配合した電磁波
遮蔽材料、或いはフェライト等をポリアミド樹脂に配合
したプラスチックマグネット材料としてのポリアミド樹
脂の使用もなされている。

このようにポリアミド樹脂をマトリックス材料として強
化剤或いは充填剤を配合した材料の使用は増加してい
る。こうした材料は現在一般に行われている射出成形法
或いは押出成形法を用いて形状を現出し、それぞれの用
途に用いられている。

こうした用途分野の一つに高比重な材料を要求されるは
ずみ車や慣性歯車がある。これらは何れも物体の有する
慣性力を利用して、滑らかな回転を与えるものである。
従って慣性力を大きく保ちうる、即ち比重の大きな材料
で形成されたものの方が小さくとも大きな慣性力を得る
ことが出来るため、小さな空間で使用するのに有利であ
る。また、これらの材料はバランスがとれていることも
必要である。バランスを欠いたものでは、慣性力が不均
一となり、軸の振れ、回転ムラとなってあらわれる。

併しながら、従来知られているポリアミド樹脂をマトリ
ックス材料とする樹脂組成物では、上記の様な要求を満
足し得ない。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明者等はこうした要求を満足すべく鋭意検討を重ね
た結果、１）優れた成形性を有し、２）成形品の均一性
が充分であり、３）比重が高く、外力に対して強いとい
う高比重ポリアミド樹脂成形材料組成物を見出し、本発
明に到ったものである。

即ち本発明は、メルト・インデックス（MI値）（温度23
0℃、荷重2.16kg）が35〜100g/10分以上のナイロン610,
612,11,12及びそれらの共重合物から選ばれた１種又は
２種以上のポリアミド５〜50重量％と、金属粉95〜50重
量％とよりなるポリアミド樹脂組成物に係るものであ
る。

以下、本発明のポリアミド樹脂組成物について詳細に説
明する。

本発明の組成物に使用されるポリアミドは、ナイロン1
1,12,610,612又はこれらのモノマーを主成分とした共重
合ナイロン又はこれらの混合物であるが、好ましくはナ
イロン11、ナイロン12である。特にMI値が35〜100g/10
分のもので、20℃の水中飽和吸水率が５％以下のものが
好ましく、特に３％以下のものが好ましい。MI値が上記
範囲より小さいものでは、混練トルクが大きすぎて、均
一な成形物を得るのが困難である。

また、金属粉としてはFe、Zn、Sn、Pb、Cu及びその合
金、酸化物等の粉末が用いられるが、価格の点から鉄粉
が最も好ましく、更に、樹脂、金属粉のほかに、これら
の性質に対応するシランカップリング剤等を添加するこ
ともできる。

本発明に用いる金属粉はどのような手法で得られた金属
粉でも良い。金属粉の形状はいかなる形状でも良いが、
角張った金属粉よりも球形に近いものが望ましい。角張
った金属粉は材料の流動性を悪化させるばかりでなく、
樹脂組成物を得る時、或いは成形品を得る時の装置を摩
耗させやすい。

金属粉の粒度は0.1〜300μのものを用いることができる
が、望ましくは0.1〜200μ、さらに望ましくは0.1〜50
μの粒径を有するものが良い。粒径が0.1μより小さい
と取り扱いに不便であり、300μより大きいと成形性が
阻害される。

これら金属粉の配合量はポリアミド樹脂成分５〜50重量
％に対し95〜50重量％である。

〔作用〕本発明の組成物の製法は金属粉にポリアミドを溶融混合
する方法であり、通常一軸又は二軸押出機を用いて混合
される。また、ニーダーを用いて混練する場合もある。
このときに少量の滑剤を用いることも可能である。具体
的には、本発明に係るポリアミド成分と金属粉が一体と
なって配合されるものであり、ポリアミドの粒状体或い
は粉末状のものと金属粉を混合したものを押出機ホッパ
ーに投入して加熱溶融混合して造粒する方法、或いは予
備混合したものをニーダーに入れ混練し、混練完了時に
吐出口より排出されるものをカッティング或いは粉砕に
より造粒する方法、或いは押出機を用い、ポリアミドを
ホッパー部分より仕込み、加熱溶融しておき、押出機の
シリンダー中間部に設けた開穴部を通して金属粉を添加
し、混合する方法等がある。

このようにして得られたペレットを更に射出成形、押出
成形等により成形して樹脂成形品を得ることができる。

また、このような二段成形に代え、金属粉とポリアミド
の混合物を成形機に仕込むことにより、一度で成形品を
得ることもできる。

本発明に於いては金属粉を含む組成物のベースレジンと
して上記の如きMI値の高いナイロン610,612,11,12及び
それらの共重合物から選ばれたポリアミドを用い、必要
に応じて安定剤、潤滑剤、着色剤或いは分散剤を配合
し、金属粉を充填した条件下においてのみ発現される良
好な流動性を有する金属粉入り高比重ポリアミド組成物
を得ることができる。

以上のように、本発明によれば、均一に分散した金属粉
末を含む成形性良好な高比重組成物材料を得ることがで
き、成形材料としてはずみ車、慣性歯車等の高比重材料
の要求される用途に使用し得る。

〔実施例〕

次に本発明を実施例について説明する。

実施例１〜２ポリアミドとしては、ナイロン12を選定し、ダイセルヒ
ュルス（株）の商品名「ダイアミド」Ｌ−1600及び1700
を用いた。これらのものの数平均分子量は夫々20,200及
び22,000であった。

数平均分子量の測定は相対粘度測定法によった。即ち、
試料をメタクレゾールに溶解して0.5％メタクレゾール
溶液となし、このものの相対粘度を測定することによ
り、それぞれのη_relを求め、求められたη_relを次式に
代入して数平均分子量として算出した。

▲▼＝10300〔η_rel〕^1.43 ▲▼：数平均分子量 η_rel：相対粘度 MI値を測定した結果も表−１に併せて記す。MI値の測定
はMelt Indexerを用い測定を行った。測定条件としては
230℃で、荷重2.16kgを採用した（ASTMD−1238）。鉄粉
としては（株）神戸製鋼所のアトマイズ鉄粉（商品名
「アトメル300M−200」）を使用した。

鉄粉100重量部に対し、チッソ（株）のシラン系カップ
リング剤「サイラエースＡ−320」１重量部で予め表面
処理を施したものを準備しておき、以下の試験に併し
た。

即ち以上のような手順でポリアミド及び鉄粉を用いて、
混練トルクの検討に当たっては、鉄粉含量が82.5重量％
となるようにした。

この鉄粉とポリアミドとの混合物（鉄粉含量82.5重量
％）を50ccの容積となるように計量し、加熱混練時の混
練トルクを調べた。混練トルクの調査にはRheocord Typ
e M（Haake Inc.）を用い、混練温度220℃、回転速度10
0rpmとして、混練開始より15分目の混練トルクを観察し
た。

同様に鉄粉含量82.5重量％となるように混合し、KCK混
練押出機を用い、温度180℃〜240℃で混練造粒を行っ
た。こうして得られたペレットを成形して物性測定用試
験片を得た。成形は日精TS−100射出成形機を用い、成
形温度220℃〜240℃、射出圧力100kg/cm²Ｇ、型温85℃
で行った。

物性の測定はASTM D−638,D−790,D−256の方法によっ
て行った。

結果を表−１に示した。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】メルト・インデックス（MI値）（温度230
℃、荷重2.16kg）が35〜100g/10分のナイロン610,612,1
1,12及びそれらの共重合物から選ばれた１種又は２種以
上のポリアミド５〜50重量％と、金属粉95〜50重量％と
よりなるポリアミド樹脂組成物。