JPS5920223Y2 - ミシンのための上糸張力付与装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は一対の調子皿間に挿入された上糸に対し張力を
付与するミシンのための上糸張力付与装置に関する。

従来技術 従来、ミシンの上糸に対する張力付与装置としては、ミ
シン機枠内の支持板に支持軸が取付けられ、該支持軸に
一対の調子皿、押え上げレバーに連繋された解除板、調
子皿に対し挟持圧力を付与する糸調子ばね、並びに上糸
の張力調整ダイヤルに連繋され、かつ糸調子ばねを押圧
する作動板が順次、挿嵌されてなる装置が一般に知られ
ている。

然し乍ら、上記した装置において、解除板により調子皿
に対する糸調子ばねの挟持圧力を解除させる場合、その
解除板は糸調子ばねの作用に抗して挟持圧力を受承し、
調子皿に対する挟持圧力の付与を阻止するように構成さ
れているが、挟持面が精密研磨仕上げされた調子皿は、
夫々密着し合う傾向が強く、積極的には離間しない。

それ故に、縫製開始時、若しくは糸切れ時において上糸
を密着し合った調子皿間へ挿入する際、上糸に対し張力
を付与して、密着した調子皿を互いに離間させ、調子皿
間に上糸を挿入しなければならない。

然し乍ら、作業者が上記操作上の注意を怠った場合、上
糸は調子皿間に確実に挿入されず、その後に上糸挾持圧
力が調子皿に付与された時、その上糸は両調子皿により
挟圧されず、従って上糸に対し所望の張力が付与されな
い状態でミシンが運転されることにな１）、所望の締っ
た縫目が形成されない欠点を有していた。

目 的 本考案は、上述した従来の欠点を解決するため考案され
たものであり、その目的とする処は、上糸の糸掛時にお
いて、一対の調子皿間に上糸を確実に挿入し、上糸に対
し両調子皿による張力付与を確実に行いうるミシンのた
めの上糸張力付与装置を提供することにある。

実施例 以下、本考案の一実施例に従って、その構成を説明する
。

図中１は公知のミシン機枠であり、該ミシン機枠は基台
、脚柱（何れも図示せず）、並びに端部に頭部が形成さ
れた上方アーム２等からなり、上方アーム２は上蓋３、
頭部を構成する面板４とがら構成されている。

前記面板４の右方には支持板５がミシン機枠１に固着さ
れ、該支持板５には支持軸６が取付けられている。

その支持軸６には外縁が互いに離間するように湾曲され
てなる円板状の一対の調子皿７．８、並びに後述する押
え上げレバーに連繋された解除板９、ばね受板１０、前
記下方の調子皿８に対し上糸挾持圧力を付与する糸調子
ばねとしてのつるまきばね１１．該ばね１１に係合され
該ばね１１を押圧する作動板１２が夫々挿嵌されている
。

また、第３図に示すように、調子皿７，８の外縁で、上
糸Ｓの挿入側とは反対側（ミシン機枠の内方側）には夫
々切欠き１３．１４が形成され、前記支持板５には切欠
き１３．１４を挿通して軸ピン１５が取付けられ、該軸
ピン１５にはばね受板１６、並びに前記つるまきばね１
１より弱いは゛ね力をもつコイルばね１７が夫々挿嵌さ
れている。

尚、前記軸ピン１５はその軸線が前記支持の軸線と平行
するように取付けられている。

一方、前記解除板９、並びに作動板１２の図示右方にお
けるミシン機枠１には起立部をもつブラケツ１−１８が
固着され、ブラケット１８の起立部には手動操作ダイヤ
ル１９が支持ピン２０により回転可能に取付けられ、該
手動操作ダイヤル１９には一側面に開口されたカム溝２
１．並びにボス部２２が設けられている。

前記支持軸６に一端部が挿嵌された作動板１２は略中間
部において折曲され、前記ダイヤル１９の一側面に相対
されると共に、他端部に穿設された開口２３を介してボ
ス部２２に嵌合され、作動板１２はボス部２２、並びに
支持軸６に案内され、該支持軸６の軸線方向へ移動可能
である。

また、該作動板１２には係合ピン２４が植設され、保合
ピン２４はダイヤル１９に設けられたカム溝２１に嵌合
されている。

更に、前記調子皿８とばね受板１０との間において一端
部が支持軸６に挿嵌された解除板９は前記作動板１２と
同様に折曲され、開口２５を介して前記ボス部２２に嵌
合され、前記支持軸６の軸線方向へ移動可能である。

一方、前記ブラケット１８には二腕レバー２６が枢着さ
れ、該レバー２６の一腕は前記解除板９の他端部下側縁
に形成された切欠き２７に嵌合されると共に、該レバー
２６の他腕は後述する解除レバーに連繋されている。

即ち、解除レバー２８は段ばね２９によりミシン機枠１
に回動可能に取付けられ、該レバー２８の一端に形成さ
れたスロット３０は前記二腕レバー２６の他腕に嵌合さ
れている。

そして、前記解除レバー２８の他端３１は下端に布押え
足を有する公知の押え棒３２に固着されたブロック３３
に対し、保合可能に相対されている。

また、ミシン機枠１に段ねじ３４により回動可能に取付
けられた押え上げレバー３５は、そのカム部３６が前記
ブロック３３に対し下方より保合可能に相対して取付け
られている。

尚、前記手動操作ダイヤル１９は上蓋３に設けられた開
口を通して一部が外部へ突出され、ミシン機枠１外部よ
り回動操作し得るものであり、ダイヤル１９前面側に符
記された表示と、上蓋３に設けられた指針との協働によ
りその操作位置が指示されるものである。

また、第３図中、Ｇは支持板５に取付けられ、上糸供給
源から繰り出される上糸Ｓの調子皿７゜８間への導入を
案内する案内ピンである。

本実施例は上記の様に構成される。

以下、上記構成からなる本実施例装置の作用を説明する
。

先ず、手動操作ダイヤル１９を例えば時計方向へ回動操
作すると、カム溝２１に嵌合された係合ピン２４を有す
る作動板１２はカム溝２１の形状に従って、その端部に
よりつるまきばね１１が圧縮され、該ばねの圧縮力はば
ね受板１０を介して調子皿７゜８に作用し、案内ピンＧ
を介して両調子皿７，８間に挿入され、糸掛けされた上
糸Ｓに対し付与される張力は増大される。

一方、反対に手動操作ダイヤル１９を反時計方向へ回動
操作すると、作動板１２は右方へ移動され、調子皿７，
８に作用されるつるまきばね１１の圧縮力が軽減され、
上糸に付与される張力が減少される。

尚、この際弱いば゛ね力を有するコイルばね１７は、ば
ね受板１６を介して調子皿８の外方縁部を押圧している
が、糸調子ばｈとしてのつるまきばね１１の強いばね力
により調子皿８を傾動させるまでに至らず、後述の如き
実質的な作用は無効化されている。

そして、縫製開始時、若しくは糸切れ時において、一対
の調子皿７，８間へ上糸を挿入する際、以下の作用が行
なわれる。

即ち、押え上げレバー３５が図示二点鎖線位置に上動さ
れると、そのカム部３６は押え棒３２に固着されたブロ
ック３３に、下方より係合され、該ブロック３３は図示
二点鎖線位置まで押え棒２９とともに上動され、該ブロ
ック３３は解除レバー２８の他端３１へ下方から当接さ
れ、解除レバー２８は回動される。

従って、二腕レバー２６が回動され、解除板９はつるま
きばね１１の作用に抗して、支持軸６の軸線右方向へ移
動され、調子皿７，８に対するつるまきばね１１の挾持
圧力が解除される。

それにより、今まで調子皿８に対するつるまきばね１１
の強いばね力の作用により打ち消されていた弱いばね力
を有するコイルばね１７は調子皿８に対して効力を生じ
、ばね受板１６を介して調子皿８への作用が有効化され
、該調子皿８は第５図に示す様に傾動され、両調子皿７
，８の上糸Ｓの挿入側は互いに離間され、両調子皿７，
８間への上糸の挿入が可能なすき間が形成される。

効果 本考案は、以上の実施例装置の説明がら明らがなように
、ミシン機枠に固定された支持軸に挿嵌された一対の調
子皿と、その調子皿に上糸挾持圧力を付与し、その調子
皿間を通過する上糸に張力を付与するための糸調子ばね
と、その糸調子ばねによる上糸挾持圧力を解除するため
に手動操作と関連して移動される解除板と、前記一対の
調子皿の一方の外方縁部を押圧するように装着され、前
記解除板の移動に基いて効力を生じ、その調子皿を上糸
挿入側において他方の調子皿より離間するように傾動さ
せる弱いばわ力を有するばね手段とを備えたもので、上
糸挾持圧力解除時には両調子皿が確実に離間される。

それ故に、上糸糸掛は時には両調子皿間への上糸の挿入
が確実に行なわれ得るので、調子皿間へ挿入された上糸
に対し確実に所望の張力を付与し、従って所望の締った
縫目を形成し得る実用的なミシンのための上糸張力付与
装置を提供し得るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はミシンの面板
側を示す略体側面図、第２図はミシン機枠を省略し、か
つ一部破断して示す上糸張力付与装置の路体正面図、第
３図は第２図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は第３図のＡ−
Ａ線断面図、第５図は第３図に対応して作動状態を示す
一部破断正面図である。 １・・・ミシン機枠、５・・・支持板、６・・・支持軸
、７゜８・・・調子皿、９・・・解除板、１０・・・ば
ね受板、１１・・・つるまきばｈ（糸調子ばね）、１２
・・・作動板、１３．１４・・・切欠き、１５・・・軸
ピン、１６・・・ばね受板、１７・・・コイルばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ミシン機枠１に固定された支持軸６に挿嵌された一
   対の調子皿７，８と、 その調子皿７，８に上糸挾持圧力を付与し、その調子皿
   ７，８間を通過する上糸に張力を付与するための糸張子
   ばね１１と、 その糸張子ばね１１による上糸挾持圧力を解除するため
   に手動操作と関連して移動させる解除板９と、 前記一対の調子皿７，８の一方の外方縁部を押圧するよ
   うに装着され、前記解除板９の移動に基いて効力を生じ
   、その調子皿８を上糸挿入側において他方の調子皿７よ
   り離間するように傾動させる弱いばね力を有するばね手
   段とを備え、両調子皿７，８間への上糸の挿入が確実に
   行なわれるようにしてなるミシンのための上糸張力付与
   装置。 ２ 前記支持軸６は、ミシン機枠１に固着された支持板
   ５に固定されており、前記ばね手段がそれの支持板５に
   固定された軸ピン１５に挿着されたコイルばね１７から
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載のミシンのため
   の上糸張力付与装置。 ３ 前記一対の調子皿７，８は、周縁が互いに離間する
   ように湾曲された円板状にそれぞれ形成されており、前
   記ばね手段が糸張子ばね１１のばね力よりも極めて弱い
   ばね力により常に一方の調子皿８の湾曲周縁を押圧して
   いる実用新案登録請求の範囲第１項、又は第２項記載の
   ミシンのための上糸張力付与装置。