JP4031059B2 - ミシンの糸調子迅速設定装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はミシンの糸調子迅速設定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の縁かがり縫ミシンの糸調子の調節は殊に通常縫状態から巻き縫状態に切換えた際又はその逆に切換えた際に下ルーパの糸調子は著しく条件が変わる為良好にするのにダイヤル操作に時間を要していた。即ち図1に示す如くミシン針への糸及び下ルーパ及び上ルーパへの各糸に対し夫々糸調子装置1,2,3,4が設けられており、縫製に先立って夫々の操作ダイヤル5,6,7,8を指先で回動し糸調子を良好にしておくことが必須的に行われる。
従って縁かがり縫ミシンでの縁かがり縫の通常縫(縫糸の構成は図2及び図3に示す如くまであり、図2は3本糸での通常縫、図3は2本糸での通常縫の構成図である。)時の下ルーパ糸の張力と巻き縫(縫糸の構成は図4及び図5に示す如きであり、図4は3本糸での巻き縫、図5は2本糸での巻き縫の構成図である)時の下ルーパ糸の張力とは著しく相違するため通常縫から巻き縫への切換時には適切な糸張力に調節するまでダイヤル操作に時間がかかっていた。
尚、図2ー図5においてT1は針糸、T2は下ルーパ糸、T3は上ルーパ糸を示し2本糸で縫う場合は上ルーパ糸T3を不要とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は縁かがり縫ミシンにおいて縁かがり縫の通常縫状態から巻き縫状態への切換える際(糸の本数は同数)又はその逆への切換えの際、又は通常縫でも3本糸から2本糸へ切換える際、又はその逆への切換えの際下ルーパ糸の糸調子即ち糸張力を3本糸では通常縫では約25グラム、巻き縫では約100グラム、2本糸では通常縫では約100グラム巻き縫では約25グラムにする必要があり、従ってその切換時にダイヤル操作に時間を要し操作者にとっては心理的苦痛を伴うので操作時間の短縮化が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ミシン機枠に上下動可能に支持され下端に針糸を担持するミシン針を装着する針棒と、該針棒の上下動運動と協動するルーパの担持する糸により布地の縁をかがる縁かがり縫ミシンにおいて、前記針及びルーパへ導かれる各糸に夫々張力を付与する複数の第1の糸調子装置を設け、前記ルーパの内の下ルーパへ導かれる糸に対し下ルーパの糸調子調節装置と協働して下ルーパ糸に張力を付与するための第2の糸調子装置を設け、3本糸縫いと2本糸縫いの糸数が異なる各縁かがり縫いに適した下ルーパ糸の張力の設定を切換える第1の操作部と、該第1の操作部とは独立して、通常縫と巻き縫の各縁かがり縫いに適した下ルーパ糸の張力の設定を切換える第2の操作部とを設け、前記第1の操作部の切替え操作と前記第2の操作部の切換え操作に連動して前記第2の糸調子装置に作用して糸調子を設定するようにしたことを特徴とするミシンの糸調子迅速設定装置とすることにより課題を解決した。
【0005】
【作用】
本発明はミシン機枠に上下動可能に支持され下端にミシン針を装着する針棒と、該針棒の上下動運動と適時に揺動する下糸ルーパと、前記針棒の上下動運動及び前記下ルーパの揺動運動と適時的に揺動する上ルーパとを備えて前記針及び下ルーパ、上ルーパの夫々が担持する糸により布地の縁をかがる縁かがり縫ミシンによって、前記ミシン針及び下ルーパ、上ルーパへ導かれる各糸に張力を付与する複数の糸調子装置を設け、前記下ルーパへ導かれる糸に対し前記糸調子装置と下ルーパとの間の位置で通常縫と巻き縫との切換時及び3本糸と2本糸との切換時に操作される操作部と該操作部の操作に連動し糸張力が段階的に調節される糸調子設定装置とを設けることにより、通常縫と巻き縫の切換時や3本糸と2本糸の切換時に簡単で迅速に為し得る糸調子設定装置を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】
本発明の一実施例の構造について図により以下に述べる。ミシン機枠11には機枠内の支持機構に支持される駆動軸(図示せず)の回転に連動して上下動せしめられる針棒12と、該針棒の先端に装着されるミシン針13と適時的に揺動せしめられる下ルーパ14及び上ルーパ15(図6参照)が設けられている。
【0007】
前記針13及び下ルーパ14、上ルーパ15の各々には夫々の経路を経て導かれる複数の糸が備えられている。各糸を支持する糸立装置16は前記ミシン機枠11の背面側に設けられ、糸は背面上方に配設の糸案内部17の各案内を経て、次に糸案内穴18を通り、ミシン機枠11の前面壁に設けられるスリット部19、19…内を通り第1の糸調子装置1、2、3、4に導かれる。
【0008】
該第1の糸調子装置は複数個配設されており、夫々の構造はミシン機枠に固着される糸調子軸に装着の糸調子ばねにて押圧されて圧接せしめられて皿部が向き合っている一対の糸調子皿と前記糸調子軸の軸上を回転且つ軸方向に移動可能に支持され前記糸調子ばねの作用を制御する操作ダイヤル5、6、7、8にて構成される。
【0009】
各糸T1、T2、T3は夫々前記スリット19、19…内を通り前記第1の糸調子装置1、2、3、4内の一対の糸調子皿の間を通過せしめられて適宜な張力を付与される。
【0010】
下ルーパ糸T2及び上ルーパ糸T3はミシン機枠11の前壁の下方に設けられる糸案内20の各案内溝57、57を通り、次に夫々の糸T2、T3の為に設けられる糸掛部を経て下ルーパ14及び上ルーパの各糸穴部に導かれる。
図6は前記糸T2及びT3が各ルーパに導かれる状態をルーパカバー21を開放して示すものである。
【0011】
糸調子設定装置30の第2の操作部22(図1及び図6)は前記ミシン機枠11の前壁を左右(X矢方向)に摺動可能に装着されており、糸調子設定装置30の機構台31はミシン機枠11の前壁の内側に取り外し可能にネジ止めされており、該機構台には前記第2の操作部22を上端に固着の短軸32に装着の操作レバー33の下端が枢着されており、該操作レバーの中間部には左右の方向に揺動する揺動レバー34の一端が枢着されており、該揺動レバーの他端には軸端に接触部35が形成のカム接触軸36が設けられている。
【0012】
該カム接触軸の接触部35は前記機構台31の下端にて垂直に折り曲げられた支持部37に固着の支持軸38にカム支持板39の下端40が枢着支持されており、前記カム支持板39の上端部には第1段階部41が形成されるカム板42が設けられており、カム支持板39に装着のばね43の作用によりカム板42が前記揺動レバー34の端部のカム接触軸36の接触部35に常に圧接せしめられており、更にカム支持板39の適宜の位置に先端がL字形に折り曲げられた作用部44を形成の作用レバー45が固着されている。
【0013】
前記糸案内20の内部には第2の糸調子装置46が設けられており、該糸調子設定装置は前記糸案内20の台に固着される支持板47上にて軸部48と、該軸部上に装着される糸調子皿49と、ばね50と、支持台47の一部を折り曲げた圧接部51とで構成されている。
【0014】
更に糸案内20には2つの案内溝57、57が形成され、一方の案内溝は導入される糸を前記糸調子皿49と圧接部51との間に挟持される如くに案内する。
【0015】
前記第2の糸調子装置46に支持される圧接部51と糸調子皿49との間には前記糸調子設定装置30の作用レバー45の作用部44が臨ましめられている。
【0016】
前記糸調子設定装置30には機構台31に枢着の操作レバー33と同軸上に切換レバー52の一端が枢着されており、更に該切換レバーの適宜の位置に伝達桿53の一端が枢着されており、該伝達桿の他端には前記カム接触軸36が設けられる如くに前記揺動レバー34の端部と連結しており、更に前記切換レバー52の他端には摺動用案内駒54を介してアーム機枠の上下方向(Y矢方向)に可動なる如く第1の操作部55が設けられており、更に前記カム支持板39の上端には前記カム板42の平坦面に対して第2陥没部56が形成されている。
【0017】
本発明は以上の如く構成されているので、前記第1の操作部55をY方向の上げた状態において前記第2の操作部22をX方向の左に移動させた状態では接触軸36の先端の接触部35がカム板42の平坦面に接触しているのでカム支持板39に固着されている作用レバー45の作用部44は図11に示すSの位置にあり、この状態から前記第2の操作部22をX方向の右に移動させた状態では接触部35がカム板42の平坦面より凹んだ第1陥没部41に接触しカム支持板39が手前に回動して前記作用レバー45の作用部44が図11に示すEの位置にある。
【0018】
又、前記第1の操作部55をY方向の下げた状態において、前記第2の操作部22をX方向の左に移動させた状態では接触部35はカム板42の第2陥没部56の凹んだ部分に接触するので作用レバー45の作用部44は図11に示すEの位置にあり、この状態から前記第2の操作部22をX方向の右に移動させた状態では接触部35がカム板42の平坦部に接触することになるのでカム支持板39と作用レバー45とは後方に回動し作用部44は図11に示すSとなる。
【0019】
縁かがり縫の通常縫と巻き縫の下糸ルーパーの糸張力、それぞれにおける2本糸と3本糸の下糸ルーパーの糸張力は図13の関係にあることが解ったので、前記第2の糸調子装置46の糸調子皿49に対し前記作用レバー44を作用せしめてSの位置では0g、Eの位置では75gの張力が作用するように設定させておくことにより下ルーパー用糸に対する第1の糸調子装置との協働により、前記図13の関係に設定しておくことが容易に可能となる。
【0020】
【効果】
本発明の実施例は以上の如き構成と作用をなすものであるから縁かがり縫の通常縫から巻き縫へ又はその逆に切換えた場合、3本糸では通常縫の下ルーパー糸張力が25gが適切であるのに対し巻き縫では通常縫よりも強く100gにする必要があり、その際下ルーパー糸の張力を操作ダイヤルを指先で廻して調節することは甚だ時間を要すると共に然も初心者の場合には試縫をして見ないと糸調子が良好かは分からないしなかなか困難であったり、又、上記と同様に同じ通常縫でも3本糸から2本糸に切換える場合、3本糸では下ルーパー糸の張力が25g位が適切であるのに対し2本糸では張力を強く約100gにしなければならないので、その都度下ルーパー糸の糸調子装置の操作ダイヤルを指先で回動して調節しなければならなかったことは時間がかかり然も煩雑さにつきまとわれていたが、通常縫から巻き縫の場合は前記第2の操作部22を左右に移動させれば適宜糸調子が得られ、又、3本糸から2本糸に切換える場合は前記第1の操作部55を上下に移動させれば適宜、糸調子が得られるので従来の縁かがり縫ミシンでは為し得ることが出来なかった切換時の時間の短縮化と操作の煩雑さを解消するものとして作業の能率化の向上と共に操作の容易化を図ることが出来る実用上効果大なるものである。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すものにして図1は本発明の一実施例を装着して縁かがり縫ミシンの外観斜視図、図2は3本糸での縁かがり縫の通常縫の糸の構成図、図3は2本糸での縁かがり縫の通常縫の糸の構成図、図4は3本糸での縁かがり縫の巻き縫の糸の構成図、図5は2本糸での縁かがり縫の巻き縫の糸の構成図、図6は本発明の一実施例でルーパーカバーを開放した状態を示すミシンの外観斜視図、図7は本発明の一実施例を装着した状態の要部を示すミシン正面図、図8は本発明の一実施例の要部機構の正面図、図9は本発明の一実施例の要部機構の側面図、図10は本発明の一実施例の要部断面側面図、図11は本発明の一実施例の要部の平面図、図12は本発明の一実施例の要部機構の分解斜視図、図13は各縫い方と下ルーパー糸張力の関係説明図である。
1,2,3,4…第 1 の糸調子装置
11…ミシン機枠
12…針棒
13…ミシン針
14…下ルーパー
15…上ルーパー
22…第2の操作部
30…糸調子設定装置
46…第2の糸調子装置
Claims (1)
- ミシン機枠に上下動可能に支持され下端に針糸を担持するミシン針を装着する針棒と、該針棒の上下動運動と協動するルーパの担持する糸により布地の縁をかがる縁かがり縫ミシンにおいて、前記針及びルーパへ導かれる各糸に夫々張力を付与する複数の第1の糸調子装置を設け、前記ルーパの内の下ルーパへ導かれる糸に対し下ルーパの糸調子調節装置と協働して下ルーパ糸に張力を付与するための第2の糸調子装置を設け、3本糸縫いと2本糸縫いの糸数が異なる各縁かがり縫いに適した下ルーパ糸の張力の設定を切換える第1の操作部と、該第1の操作部とは独立して、通常縫と巻き縫の各縁かがり縫いに適した下ルーパ糸の張力の設定を切換える第2の操作部とを設け、前記第1の操作部の切替え操作と前記第2の操作部の切換え操作に連動して前記第2の糸調子装置に作用して糸調子を設定するようにしたことを特徴とするミシンの糸調子迅速設定装置。
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---|---|---|---|
JP26823694A JP4031059B2 (ja) | 1994-10-06 | 1994-10-06 | ミシンの糸調子迅速設定装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH08103587A JPH08103587A (ja) | 1996-04-23 |
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ID=17455803
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JP (1) | JP4031059B2 (ja) |
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1994
- 1994-10-06 JP JP26823694A patent/JP4031059B2/ja not_active Expired - Fee Related
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