JPS5858764B2 - 超電導ケ−ブル用素線 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は超電導ケーブル用素線の改良に関するものであ
る。

従来超電導マグネットの中でも特に交流的条件下におい
て使用されるものは、その巻線として変動磁界、変動電
流に対して安定であり且つ交流損失の少いもの即ち極細
多芯の超電導性を有する金属（以下超電導金属という）
を、高い電気型導度を有する金属（以下高電導金属とい
う）の中に埋込み、且つ超電導金属を低い電気型導度を
有する金属（以下低電導金属という）により、相互が隔
離されている３層構造からなるものである。

このような３層構造の複合超電導ケーブルを製造する際
使用される素線の例としては、第１図に示す如く超電導
金属１の外側（こ高電導金属２を設け、更にその外側に
低電導金属３の薄層を設けているもの、或は第２図に示
す如く超電導金属１の外側に高電導金属２を設け、更に
その外側に中心方向に対し多数の突起部を有する低電導
金属３を設ける等何れも最外層に低電導金属３を設けて
いるものである。

而してこれらの素線の多数本を高電導金属或は低電導金
属又はこれらの複合体からなるパイプ状物に収納し、冷
間或は熱間にて減面加工を繰返し行って第３図に示す如
く極細多芯の超電導素線が高電導金属の中に埋込まれ、
しかも低電導金属より互に隔離された構造の超電導ケー
ブルを得ているものである。

然しなから上記の如く異種金属の複合体からなる超電導
ケーブルにおいては、その製造面又は特性面から、これ
らの金属間の密着性が重大な要因をなしているものであ
り、該密着性の良いもの程優れた特性を有する超電導ケ
ーブルといわれている。

而して最外層を低電導金属例えば銅−ニッケル合金、ニ
ッケルー錫合金、ニッケルークロム合金とする超電導素
線同志の密着性は、最外層を高電導金属例えば銅、銀、
アルミニウム等とせる超電導素線同志の密着性或は高電
導金属と低電導金属との密着性よりも遥かに劣るもので
ある。

従来の構造の素線を使用した超電導線Ｇ密着不良に起因
する種々の欠点を改善せんとして、前記に示す如く減面
加工の途中に熱間押出工程を行い、その場合の加熱温度
並（こ加工率により界面相互の密着性を改善する方法が
考えられるが、かかる方法（こおいても例えば低電導金
属として銅−ニッケル合金を使用した場合（こは加熱温
度を７００℃以上にて行わないと密着性は改良されない
と共Ｏこその反面加熱温度が高すぎると超電導金属の周
面に金属間化合物を生成し高電導金属の電気伝導度を阻
害すると共に加工性を著しく困難にし、無理な加工を強
行すると、該化合物が超電導金属内Ｏこ混入する等の弊
害を生じ実用化にふみきれないものであった。

又、超電導ケーブルにおける低電導金属の占める割合を
最少限通常５〜１０％程にすることが望ましいものであ
るがかくの如く薄層にすることは超電導素線を製造する
場合、加工能率、加工歩留の点において不利であるばか
りでなく、口付工程、皮剥工程、整直工程等の表面加工
工程が著しく困難Ｑこするものであった。

本発明はかかる事故（こ鑑み鋭意研究を行った結果、最
外層を高電導金属とし、超電導金属の外周に高電導金属
を隣接せしめ更に低電導金属を高電導金属内に介在せし
めることにより、密着性に優れた超電導ケーブル素線を
見出したものである。

即ち本発明は１本又は複数本の超電導金属線の外周に隣
接して高電導金属を被覆し、該高電導金属中（こ低電導
金属層を連続的または不連続的に存在せしめたものであ
る。

本発明を第４図乃至第７図にもとづき詳細に説明する。

第４図は超電導金属線１の外側に高電導金属２を被覆し
、該高電導金属２の内部に低電導金属層３を連続的に設
けたものであり、第５図は第４図における低電導金属層
３を特殊な形状とし該高電導金属２内に低電導金属３を
強固に埋込んでいるものである。

又第６図は低電導金属３を連続的に介在せしめることな
く、不連続的に埋込んでいるものである。

更に第７図は複数本の超電導金属線１、ｉ’、ｉ“・・
・・・・の外周に高電導金属２，２１２〃・・・・・・
を被覆し、その外側に低電導金属層３゜３１．３“・・
・・・・を設けたものを集合し、更にその外側と高電導
金属２にて一括被覆しているものである。

而して本発明において超電導金属とは、例えばＮｂ−Ｔ
ｉ、Ｎｂ−Ｔｉ−ＺｒｙＮｂ−Ｔｉ−Ｔａの如きもので
あり、又高電導金属中に低電導金属とは（１）式Ｏこ示
す如き残留抵抗比Ｏこより、その値が８０以上のものを
高電導金属とし８０未満のものを低電導金属としたもの
である。

（但し式中Ｒは電気抵抗を示したものである。

）なお高電導金属として例えば銅、銀、アルミニウムで
あり、低電導金属としては例えば銅−ニッケル合金、銅
−スズ合金、ニッケルークロム合金などである。

本発明はこのように異種金属界面のうち低電導金属同志
が接触すことがなく、高電導金属同志或は高電導金属と
低電導金属との界面のみで超電導ケーブルが構成される
ため密着性を著しく向上せしめることができ、減面加工
に際し断熱事故等の発生することがない。

又、低電導金属の面積比率を小さくするとしても、該金
属が最外層にないため、容易に加工を行うことができる
と共にその形状に制約されることもない。

更（こ素線の製造工程、特に口付は工程、皮剥ぎ工程、
整直工程などが容易番こなり、加工歩留、加工能率等も
大巾に向上する。

次に本発明の実施例について説明する。

実施例 １ 外径１００ｆｆｉ７！Ｉφ、内径ｆ３６ｍｍφ、長さ２
００朋の高電導無酸素銅（ＯＦＨＣ）管と外径８３闘φ
、内径６８朋φ、長さ２００ａの０ＦＨＣ管との間（こ
巾２００闘、長さ２６７闘、厚さ１闘の銅−ニッケル合
金板を筒形にして挿入し、更に内側の０ＦＨＣ管内にＮ
ｂ−Ｔｉ棒を挿入した後、その両端をシールして押出用
ビユレットとした。

これを６００℃において３０分間加熱した後、外径３０
朋φに押出し、次いで減面加工を行い、皮剥、整直等の
工程を経て外径２．３ｍｍφの超電導ケーブル用素線を
得た。

次に外径１００ｆｆｆｆｉφ、内径１００朋φ、内径８
０闘φ、長さ２００醋の０ＦＨＣ管内に、長さ１８ｏｍ
ｍにした上記素線１０００本を挿着した後、熱間押出、
冷間減面力任、皮剥等の工程を経て外径０．５ ａｍφ
の３層構造の超電導ケーブルを得た。

比較例 １ 外径６７．４ｍｍφ、長さ１８０ｆｆｉ！１１のＮｂ−
Ｔｉ棒の外側Ｏこ外径ｇ６ｍｍφ、内径６８朋φ、長さ
２００ｍｍの０ＦＨＣ管を被覆し、更（こその外側に外
径１００闘φ、内径９６．６ａφ、長さ２ｏｏｍｍのＣ
ｕ−Ｎｉ合金管を被覆した後、その両端をシールして押
出ビユレットとした。

これを６００’ＣＪこおいて３０分間加熱した後、外径
３０ｍｍφ（こ押出し、次いで減面加工を行い、皮剥、
整直、切断等の工程を経て外径２．３闘φ、超電導用素
線を得た。

次に外径１００ａφ、内径８Ｑｍ７１１φ、長さ２００
ｍｍの０ＦＨＣ管内に、長さ１ｓ ｏｍｍｒｔｃした上
記素線１０００本を挿着した後、熱間押出、冷間減面加
工、皮剥等の工程を経て外径０．５ ｍｍφの３層構造
の超電導ケーブルを得た。

而して上記実施例（こよる超電導ケーブルＡ及び比較例
Ｏこよる従来の超電導ケーブルＢの製造過程において、
夫々渦流探傷法により該ケーブルの欠陥検査を行った。

即ち両ケーブルの両端の不良部分を除去したものの、欠
陥部を比較するとＡケーブルは１２個の欠陥をチェック
したが探傷レベルは倒れも低く、これを硝酸（こよって
Ｃｕ 、 Ｃｕ −Ｎｉを溶解してＮｂ−Ｔｉフィラメ
ントのみを増り出し、これを検査したが断線は全くなく
、表面のキズのみであった。

これ（こ対しＢケーブルは３５個の欠陥をチェックし、
その最も欠陥探傷レベルの高いものについて硝酸（こよ
りＣｕ 、 Ｃｕ−Ｎｉを溶解しＮｂ−Ｔｉフィラメン
ト（こついて検査したところ多いものでは３０％の断線
が見られた。

以上詳述した如く、本発明によれば界面相互の密着性が
著しく優れているため、破断等の事故を発生せしめるこ
とのない高性能の超電導ケーブルを得る等顕著な効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来における超電導ケーブル用素線
の１例を示す断面図、第３図は従来における超電導ケー
ブルの１例を示す断面図、第４図及至第７図は本発明に
よる超電導ケーブル用素線の１例を示す断面図である。 １．１’、１“・・・・・・超電導金属、２，２’、２
“・・・・・・高電導金属、３ 、３’ 、 ３“・・
・・・・低電導金属。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １１本又は複数本の超電導性を有する金属線又は棒の外
   周に隣接して、温度４２°Ｋにおける電気抵抗に対する
   温度２９３°Ｋにおける電気抵抗の比が８０以上の高電
   気型導度を有する金属を被覆し、該高電気型導度を有す
   る金属中に、上記比が８０未満の低電気電導度を有する
   金属層を連続的或は不連続Ｏこ存在せしめたことを特徴
   とする超電導ケーブル用素線。