JP2562903B2 - 超電導体 - Google Patents

超電導体

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英元 鈴木
政光 市原
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は絶縁された多数の超電導素線を冷媒通路の金
属管内に収容してなる超電導体に関する。
(従来の技術) 現在、超電導マグネットとして、核融合炉用大型マグ
ネット、加速器用マグネット等の大型マグネットや特殊
形状のマグネットに強制冷却方式を適用することが種々
検討されている。
このような方式に適用される超電導体として、超電導
素線の多数本を撚合せ、これを冷媒通路となるステンレ
ス管に収容してなる強制冷却型超電導体は、冷却効率に
優れ、かつ機械的強度が大きいことから多用されつつあ
る。
この強制冷却型超電導中空導体は、例えばNb3Sn形成
用の多フィラメント構造の超電導線の多数本を撚合せて
その外周をステンレステープで押え巻きし、さらにその
外周にステンレスシートを縦添えして突き合せ部を溶接
し矩形状にロール成形した後、Nb3Sn形成のための熱処
理を行って製造される。
ところでこの超電導体は、交流磁場が印加された場合
に素線間のカップリングにより交流損失が発生し、これ
によって超電導状態を維持する冷媒のヘリウムの損失が
大きくなり、場合によっては常電導状態に転移する事故
につながるおそれがある。また超電導線が化合物系、例
えばNb3Snからなる超電導線の場合には、成形加工後のN
b3Sn形成の熱処理時に超電導線間が融着してヘリウムが
流れにくくなり、冷却効率を低下させるという問題があ
る。このためこの種の超電導体では超電導素線の表面に
素線の段階で酸化皮膜や無機ポリマー塗膜等の絶縁被覆
を施すことが提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながらこのような絶縁被覆は、その後の撚線工
程で、またはステンレス管内に収容後全体を矩形状に平
角加工する際に、剥離し易いという問題があった。特に
超電導素線が化合物系、例えば、Nb3Snからなる超電導
素線の場合には、Nb3Sn形成のための熱処理が600〜800
℃で長時間行われるため酸化皮膜が熱分解して絶縁不良
を生じやすく、その結果交流損失の増大を招くという難
点があった。
本発明者等はこのような従来の問題を解決するため
に、高温長時間の熱処理や外力によって絶縁被覆が剥離
することなく、高い絶縁性能を有する、即ち交流損失の
小さい超電導体を出願した(特願昭61−227799号)。こ
れは超電導素線の表面に、絶縁被覆として電気メッキに
よるCr皮膜層を形成したものであるが、その後鋭意研究
の結果、Cr皮膜層の状態によってその絶縁性能が著しく
改善されることを見出した。本発明はこのように改善さ
れたCr絶縁層を有する超電導体を提供することを目的と
する。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) すなわち本発明の超電導体は、多数本の超電導素線が
撚合されて金属管内に挿入されている強制冷却型あるい
は浸漬冷却型の超電導体において、前記超電導素線の表
面に絶縁被覆としてCrの酸化皮膜層を1〜5μm形成し
てなることを特徴としている。
本発明においては、撚合せ前の超電導素線の表面に、
Crが付着され、ついで従来法と同様に撚合せ、ステンレ
ス管の被覆、ロール成形および熱処理の各工程を経て超
電導体が得られる。この熱処理の際に管内を酸化性雰囲
気に維持することによりCrの酸化皮膜層が同時に形成さ
れる。
本発明において、絶縁被膜の厚さを1〜5μmとした
のは、1μm未満では絶縁耐力が不十分でかつ外力によ
り摩耗し易く、逆に5μmを越えると可撓性が乏しくな
って撚合せ工程において絶縁被膜が剥離したり、素線導
体内で発生した熱を冷媒に速やかに伝えることができな
くなるためである。
さらに超電導素線としては、Nb3SnのほかにV3GaやNb3
Al等の化合物系の超電導素線を使用し得る。
なお本発明の超電導体は、強制冷却型に限らず浸漬冷
却型の超電導体にも適用できる。浸漬冷却型の場合には
壁面に多数の孔が形成された金属管が使用される。
(作 用) 本発明において、熱処理前にはCrの薄膜が電気メッキ
により超電導素線上に強固に付着しているので、素線に
曲げや外力が加えられても容易に剥離することはない。
このCr層はNb3Sn等の生成のための熱処理温度で酸化物
層に変化する。またCrメッキはNb3Sn生成のための熱処
理温度でもCrのCuへの拡散がないので、残留抵抗比(RR
R;Residual Resistance Ratio)の低下もなく純銅並み
のレベルの値を保つことができる。
さらに絶縁被膜の厚さが1〜5μmと薄いので、金属
管内の空間を冷媒が流れる時、素線導体内で発生した熱
を冷媒に速やかに伝えることができる。
(実施例) 次に本発明の実施例について説明する。
第1図は本発明の一実施例の断面図である。この超電
導体1では、第2図に示すように、0.61mmφの超電導線
2の外周に電気メッキにより厚さ1.5μmのCr絶縁皮膜
3を形成する。そしてこのNb3Sn超電導素線2が3×3
×3×4=108本撚合わされて、その外周にステンレス
テープ4の押え巻きが施され、さらにその外周にステン
レスシートの縦添え、溶接による矩形状のステンレス管
5が被覆されている。
上記の矩形状のステンレス管5の代わりに円筒状のス
テンレス管を用い、ボイド率32.3%になるように外径8.
82mm、内径7.70mmまで伸線加工を施して、700℃、2時
間の熱処理を施した後、垂直比抵抗を求めた。その結果
を第3図のグラフに示す。
なお、図中クロムコーティングとあるのは管内を非酸
化性雰囲気にしてCr皮膜層を形成した場合を示す。
第3図からわかるように、実施例の絶縁被覆は他の絶
縁材より垂直比抵抗が高いレベルの値を示し、絶縁材と
して優れている。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の超電導体は、超電導素
線上に厚さ1〜5μmのCrの酸化皮膜層を形成したの
で、これによって絶縁被覆の絶縁性能を高め、超電導体
の交流損失を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図はNb3Sn超
電導素線の拡大断面図、第3図は実施例の超電導体を含
む熱処理後の皮膜の種類と垂直比抵抗の関係を表すグラ
フである。 1……超電導体 2……Nb3Sn超電導素線 3……Cr絶縁皮膜 4……ステンレステープ 5……ステンレス管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 英元 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 市原 政光 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 神定 良昌 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 熊野 智幸 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 野口 一朗 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者 青木 伸夫 神奈川県川崎市川崎区小田栄2丁目1番 1号 昭和電線電纜株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−81709(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数本の超電導素線が撚合されて金属管内
    に挿入されている強制冷却型あるいは浸漬冷却型の超電
    導体において、前記超電導素線の表面に絶縁被膜として
    Crの酸化皮膜層を1〜5μm形成してなることを特徴と
    する超電導体。
  2. 【請求項2】超電導素線が、Nb3Sn、Nb3Al等の化合物系
    超電導素線である特許請求範囲第1項記載の超電導体。
  3. 【請求項3】金属管が、ステンレス管である特許請求の
    範囲第1項または第2項記載の超電導体。
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