JP2000243158A - Nb3Al超電導線及びその製造方法 - Google Patents
Nb3Al超電導線及びその製造方法Info
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Abstract
せて優れた成形加工性や電気電導性を発揮できる新規な
Nb3 Al超電導線およびその製造方法の提供。 【解決手段】 Nb3 Al超電導芯線1の外周に金属N
b層2を有すると共に、その金属Nb層2の外周に安定
化層3を有するNb3 Al超電導線において、上記金属
Nb層2と安定化層3との間に、Ni,Sn,Ag,A
u,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金よりなる中間
膜4を備える。これにより、相互に密着性の低い金属N
b層2と安定化層3と密着性が向上するため、成形加工
性やクエンチ現象に伴う電気電導性の低下等といった不
都合を未然に回避することができる。
Description
ば、核融合炉の強磁界発生用電磁石の巻線材等として用
いられるNb3 Al超電導線及びその製造方法に関する
ものである。
れている超電導線の一つとしてNb3Alを線材として
用いた超電導線が提案されている(岩城源三,他:大電
流容量急熱急冷Nb3 Al線材の高磁界特性,平成8年
度東北大学金属材料研究所年次報告書[1996]
等)。
示すようにNb3 Al超電導素線を数十本〜百数十本程
度束ねたトータル外径が1.0mm前後のNb3 Al超
電導芯線1の外周に、厚さ0.2mm前後の金属Nb層
2が被覆されると共に、この金属Nb層2の外周に、高
電気電導性を有するCuあるいはAg製の安定化層3を
通常のめっき技術或いは金属テープの巻き付けによって
0.05mm前後の厚さで被覆形成したものである。
Al超電導線の最外周に位置する安定化層3は、クエン
チ時点における過大電流を効果的に外部に電導流出させ
る等のために必要不可欠なものであるが、金属Nbとの
密着性が低く、かつCuあるいはAg以外の第三金属成
分の浸入によって汚染されやすいといった欠点がある。
b層2上に通常のめっき技術或いは金属テープの巻き付
け等によって付与形成した場合、この安定化層3が下地
(金属Nb層2)に確実に密着しなくなり、その結果、
金属Nb層2と安定化層3間の機械的,電気的接続性が
弱くなって成形加工性やクエンチ現象に伴う電気電導性
の低下を招くといった問題が発生する。尚、この現象
は、安定化層3を形成した後に、さらに拡散熱処理を施
しても基本的に改善されないことが実験的に確認されて
いる。
解決するために案出されたものであり、その目的は、金
属Nb層に対する安定化層の密着性を向上させて優れた
成形加工性や電気電導性を発揮できる新規なNb3 Al
超電導線およびその製造方法を提供するものである。
に本発明は、Nb3 Al超電導芯線の外周に金属Nb層
を有すると共に、その金属Nb層の外周にCuあるいは
Agの安定化層を有するNb3 Al超電導線において、
上記金属Nb層と安定化層との間に、Ni,Sn,A
g,Au,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金よりな
る中間膜を備えたものである。
と、CuあるいはAg製の安定化層との間に、Ni,S
n,Ag,Au,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金
よりなる中間膜を備えることにより、この中間膜が両者
の接着剤のような働きを成して金属Nb層と安定化層と
の密着性を大幅に向上させることになる。
態を添付図面を参照しながら説明する。
の実施の一形態を示したものであり、図中1は、φ数十
μmのNb3 Al超電導素線を数十本〜百数十本程度束
ねてなるNb3 Al超電導芯線、2は、このNb3 Al
超電導芯線1の外周に被覆形成された金属Nb層、3
は、この金属Nb層2上に被覆形成された高電気電導性
を有するCuあるいはAg製の安定化層である。
l超電導線にあっては、この金属Nb層2と安定化層3
との間に、電気的・機械的性質に優れた金属成分からな
る中間膜4を備えたものであり、これによって、金属N
b層2と安定化層3との密着性が大幅に向上するため、
機械的,電気的接続性の低下を招くことなく、良好な成
形加工性及びクエンチ現象に伴う電気電導性の低下を回
避することが可能となる。
は、Ni,Sn,Ag,Au,Pd,Pt単体あるいは
これらの合金が用いられる。すなわち、これら金属にあ
っては、金属Nb層2を構成する金属Nbと安定化層3
を構成する純CuあるいはAgの両者に対して数%以上
の固溶限を発生して両者の機械的・電気的接合性を向上
させるからである。
セスにおいて、中間膜4を形成する金属成分が金属Nb
層2及び安定化層3側に熱拡散して電気電導度の低下を
招くことを回避するために、後述するような製造方法に
より、その金属成分の拡散距離と濃度とを正確にコント
ロールする必要がある。具体的には、安定化層3に対す
る中間膜成分の拡散距離を安定化層3の厚さの1/2に
抑えると共に、金属Nb層2に対する中間膜成分の拡散
距離を安定化層3に対する拡散距離の20%以下に抑
え、かつ、上記安定化層3に対する中間膜成分の拡散濃
度を0.001〜1%の範囲に抑えることで電気電導度
の低下を効果的に回避することができる。ここで、本発
明においては、中間膜成分の原子がある物質中に熱拡散
するときに、L=√(D・t)、(ここで、Dは拡散係
数,tは熱処理時間である)を拡散距離と定義する。ま
た、熱拡散によって安定化層3中に含まれる中間膜成分
の濃度分布は、安定化層3と中間膜との界面から安定化
層側へ(径方向外方へ)いくほど減少するように変化す
るが、その安定化層の厚さで平均した濃度を拡散濃度と
定義する。
に金属Nb層2と安定化層3との密着性を高めるだけの
ものであることから、その厚さはできるだけ薄い方が好
ましが、例えば、金属Nb層2の厚さが0.1〜1.0
mm、安定化層3の厚さが5〜1000μmの範囲であ
る場合、十分な密着性を得るためには、その中間膜4の
膜厚は0.01〜5.0μm程度は必要である。
b3 Al超電導線を製造する方法としては、上述したよ
うに、φ数十μmのNb3 Al超電導素線を数十本〜百
数十本程度束ねてなるNb3 Al超電導芯線1上に、電
気めっき法,無電解めっき法,蒸着法等によって金属N
b層2を被覆した後、その金属Nb層2上にNi,S
n,Ag,Au,Pd,Ptのいずれか1種、あるいは
これらの合金を同じく電気めっき法等によって均一に被
覆して中間膜4を被覆し、さらにこの中間膜4上に、電
気めっき法,無電解めっき法,蒸着法に加えて金属テー
プに巻き付けあるいは塑性加工のいずれかを用いてCu
あるいはAgの安定化層3を同じく被覆する。その後、
これらを真空中でNb3 Al超電導芯線1の機能喪失温
度以下で熱処理して中間膜を構成する金属成分をその上
下の金属Nb層及び安定化層側に拡散させることで、本
発明のNb3 Al超電導線を得ることができる。
距離,濃度が上述したような範囲に収まらない場合に
は、この安定化層3の一部を機械的に除去してさらに新
たな安定化層3を被覆形成した後、再び同様な熱処理を
施して上記中間膜成分を新たな安定化層側に拡散させる
操作を複数回繰り返したり、あるいは、金属成分が拡散
した安定化層3の外周に、この安定化層3以上の厚さを
有し且つ金属Nb層で汚染されていない新たな安定化層
をさらに被覆することで、上記金属成分の拡散距離,拡
散濃度を所定の範囲内に収めることができる。
クス比0.8,素線径76μm,素線数150本,線径
1.25mmのNb3 Al超電導芯線を急熱急冷法を用
いて製作した後、このNb3 Al超電導芯線の表面に厚
さ0.3mmの金属Nb層を被覆形成し、この金属Nb
層に対して、以下の表1に示した手法を用いて、Ni,
Sn,Ag,Au,Pd,Ptのいずれかあるいはこれ
らの合金からなる中間層を電気めっき法によって被覆形
成した。その後、さらに中間層上に同じく電気めっき法
によって安定化層を被覆形成してから真空中で600℃
×4時間の拡散熱処理を加えて複数種の試料を形成し
た。
生成のために800℃×10時間の加熱処理を行い、N
b3 Al超電導材とした後、以下の表1に示す手法でク
エンチ発生磁界を測定すると共に、180度曲げ強制剥
離試験による安定化層の剥離試験を行い、その結果を表
1に示す。
での通電による臨海電流値測定において超電導状態から
常電導状態への遷移が急激に起こるクエンチが発生する
最も高い磁界と設定した。超電導線材の臨界電流値は、
磁界が高くなるほど低下する傾向にあるが、逆に磁界を
低くすると、臨界電流値は増加し、線材の安定化が図ら
れていない場合、クエンチが発生しやすくなる。本測定
においては臨界電流値測定を高磁界側から低下させなが
ら行い、23Tから22,21というように各地場中で
測定を実施した。
囲内、すなわち、中間膜としてNi,Sn,Ag,A
u,Pd,Ptのいずれかを使用すると共に、その膜厚
を0.01〜5.0μmの範囲内に設定した試料1〜8
の場合は、いずれもクエンチ発生磁界が18Tでクエン
チ現象に伴う電気電導性の低下が抑制されると共に、強
制剥離試験においても安定化層が剥離することがなく、
優れた密着性を発揮した。
値以下(0.001μm)である参考試料−1及び中間
膜を形成しなかった参考資料−2にあっては、クエンチ
発生磁界が19Tと性能が低下し、また、強制剥離試験
においても安定化層の剥離が生じてしまった。
を安定化層の膜厚の5/1(10μm)とした参考資料
−3、及び最終段階における熱処理温度を900℃×2
時間とした参考資料−4の場合にあっては、いずれも膜
剥離は生じなかったが、クエンチ発生時間がそれぞれ2
0T,19Tであり、電気的性能が低下してしまった。
この原因は参考資料−3の場合にあっては、安定化層の
膜圧に対する中間膜の膜厚比が大きすぎて拡散熱処理時
にNiが安定化層内に高濃度に拡散するためと考えら
れ、また、参考資料−4の場合にあっては、熱処理温度
が高すぎるために、中間膜層が金属Nb層及び安定化層
側に拡散しすぎて、それらの電気電導度を低下させた結
果と考えられる。
一部を除去し、さらにその上に電解めっきにより新たな
安定化層を形成する工程を3回繰り返すことで安定化層
内に拡散した中間膜成分を実質的に除去したものであ
り、また、試料11は、熱処理後の安定化層の上にさら
に新たな安定化層を重ねるように形成し、最終的に安定
化層全体の厚さを200μmとしたものである。そし
て、いずれの試料10,11の場合でも、安定化層の電
気電導度が回復するため、クエンチ特性が大きく改善さ
れた。
い、その膜厚を30μmとした本発明範囲内である試料
12にあっては、上記試料1〜11と同様にクエンチ現
象に伴う電気電導性の低下が抑制されると共に、強制剥
離試験においても安定化層が剥離することがなく、優れ
た密着性を発揮した。
層と安定化層との密着性が向上するため、金属Nb層と
安定化層間の機械的,電気的接続性が向上し、成形加工
性やクエンチ現象に伴う電気電導性の低下等といった不
都合を未然に回避することができる。
態を示す拡大側面図である。
面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 Nb3 Al超電導芯線の外周に金属Nb
層を有すると共に、その金属Nb層の外周にCuあるい
はAgの安定化層を有するNb3 Al超電導線におい
て、上記金属Nb層と安定化層との間に、Ni,Sn,
Ag,Au,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金より
なる中間膜を備えたことを特徴とするNb3 Al超電導
線。 - 【請求項2】 上記金属Nb層厚が0.1〜1.0m
m、中間膜厚が0.01〜5.0μm、安定化層厚が5
〜1000μmであることを特徴とする請求項1に記載
のNb3 Al超電導線。 - 【請求項3】 上記安定化層側に対する中間膜成分の拡
散距離がその安定化層厚の1/2以下であると共に、上
記金属Nb層側に対する中間膜成分の拡散距離が上記安
定化層に対する拡散距離の20%以下であり、かつ上記
安定化層側に対する中間膜成分の拡散濃度が0.001
〜1%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
Nb3 Al超電導線。 - 【請求項4】 Nb3 Al超電導芯線上に金属Nb層を
被覆した後、その金属Nb層上にNi,Sn,Ag,A
u,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金よりなる中間
膜を被覆し、さらにその中間膜上にCuあるいはAgの
安定化層を被覆し、その後、これらを上記Nb3 Al超
電導芯線の機能喪失温度以下で熱処理して上記中間膜成
分をその上下の金属Nb層及び安定化層側に拡散させる
ようにしたことを特徴とするNb3 Al超電導線の製造
方法。 - 【請求項5】 Nb3 Al超電導芯線上に金属Nb層を
被覆した後、その金属Nb層上にNi,Sn,Ag,A
u,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金よりなる中間
膜を被覆すると共にその中間膜上にCuあるいはAgの
安定化層を被覆し、その後、これらを上記Nb3 Al超
電導芯線の機能喪失温度以下で熱処理して上記中間膜成
分を金属Nb層及び安定化層側に拡散させた後に、この
安定化層の一部を除去してさらに新たな安定化層を被覆
形成し、その後、これらを上記Nb3 Al超電導芯線の
機能喪失温度以下で熱処理して上記中間膜成分を新たな
安定化層側に拡散させ、これらの操作を最終的な安定化
層に対する中間膜成分の拡散濃度が0.0001〜0.
1%となるまで複数回繰り返すようにしたことを特徴と
するNb3 Al超電導線の製造方法。 - 【請求項6】 Nb3 Al超電導芯線上に金属Nb層を
被覆した後、その金属Nb層上にNi,Sn,Ag,A
u,Pd,Pt単体あるいはこれらの合金よりなる中間
膜を被覆し、さらにその中間膜上にCuあるいはAgの
安定化層を被覆し、その後、これらを上記Nb3 Al超
電導芯線の機能喪失温度以下で熱処理して上記中間膜成
分を金属Nb層及び安定化層側に拡散させ、しかる後
に、この安定化層の外周に、この安定化層以上の厚さ有
し且つ金属Nb層で汚染されていない新たな安定化層を
さらに被覆するようにしたことを特徴とするNb3 Al
超電導線の製造方法。 - 【請求項7】 上記請求項4〜6のNb3 Al超電導線
の製造方法において、上記中間膜又は安定化層あるいは
その双方の形成方法として、電気めっき法,無電解めっ
き法,蒸着、金属テープに巻き付けあるいは塑性加工の
いずれかによることを特徴とするNb3 Al超電導線の
製造方法。
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---|---|---|---|
JP04020399A JP3724242B2 (ja) | 1999-02-18 | 1999-02-18 | Nb3Al超電導線及びその製造方法 |
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005093235A (ja) * | 2003-09-17 | 2005-04-07 | Kobe Steel Ltd | Nb3Sn超電導線材およびその製造方法 |
WO2006129540A1 (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | High Energy Accelerator Research Organization | 強固に付着した銅めっき安定化材を有するNb-Al系超伝導線材とその製造方法 |
JP2010244745A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Hitachi Cable Ltd | Nb3Al超電導線材、及びNb3Al超電導線材の製造方法 |
-
1999
- 1999-02-18 JP JP04020399A patent/JP3724242B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2006129540A1 (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | High Energy Accelerator Research Organization | 強固に付着した銅めっき安定化材を有するNb-Al系超伝導線材とその製造方法 |
JP2010244745A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Hitachi Cable Ltd | Nb3Al超電導線材、及びNb3Al超電導線材の製造方法 |
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