JPS5815220Y2 - 車両用エンジンの支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用エンジンを車体に支持するに当り、緩
衝部材を介して車体フレーム部材に取付ける支持装置の
ほかに、エンジンと車体との間に鋼索を張設して車輪駆
動トルクの反力によるエンジンの揺動を制限し、加速運
転時の振動音の発生を防止するようにした支持装置に関
するものである。

この車両用エンジンはたとえば自動車の動力伝達系統に
おいて、前置エンジン前輪駆動方式によるもの、あるい
は後置エンジン後輪駆動方式によるものに実施されてい
る構造である。

まずこの構造を図面に示す実施例について説明する。

第１図は前置エンジン前輪駆動方式の車両用エンジンを
示し、左方が車両の進行方向になる。

その伝動室１には変速装置と差動装置とを内蔵し、差動
装置から車輪駆動軸２が左右（図面では手前側と向う側
）にそれぞれ延出している。

伝動室１の上方にはダイナモ３を装備し、右方には変速
操作室４を取付ける。

伝動室１の左側にはエンジン本体５を直結して取付け、
その下方にオイルパン６を設ける。

車体フレーム部材に対するこの車両用エンジンの支持方
式は３点支持構造になっている。

前方の支持装置はフロントエンジンマウント７であって
、オイルパン６を挾んでその両側（図面では手前側と向
う側）に計２個所に設置する。

後方の支持装置はリヤマウント８であって、変速操作室
４に固設したブラケット９に１個所のみ設置する。

第２図および第３図はリヤマウント８の詳細を示すもの
で、変速操作室４に固設したコ形のブラケット９に支軸
１０をかけ渡す。

一方、車体フレーム部材の一部をなしているクロスメン
バ１１に緩衝部材１２を固設する。

緩衝部材１２の構造は、鋼製の枠体１３の中にこれを横
断するようにして強靭な緩衝ゴム帯１４を焼付により固
着し、また緩衝ゴム帯１４の中央部を貫通して鋼製の軸
受筒１５を焼付により固着しである。

そしてブラケット９にかけ渡した支軸１０を軸受筒１５
に嵌挿する。

従ってクロスメンバ１１に固設した緩衝部材１２の枠体
１３と、車両用エンジンの変速操作室４に固設したブラ
ケット９の支軸１０とは、緩衝ゴム帯１４を介して連結
される。

すなわち車両用エンジンの振動は、緩衝ゴム帯１４が主
として上下に振れ動き支軸１０と軸受筒１５とが軸受作
用をすることにより吸収されるようになっている。

さて第１図に示すように車両が左方に進行し車輪駆動軸
２が左方向に回転するとき、車輪駆動軸２を中心として
車輪駆動トルクに対する反力Ｔが車両用エンジン自体を
右方向に揺動しようとし、反力Ｔの大きさは運転状況に
応じて変化する。

またこの車両用エンジンは往復動機関であるから、シリ
ンダ内の燃焼は回転数に応じて間欠的に行われ、従って
機構の各部分に振動が発生する。

各支持装置は変化する反力Ｔや間欠燃焼にもとずく振動
を受けとめるものであるが、リヤマウント８については
次のような問題がある。

すなわち間欠燃焼とクランク機構の特性とによって高次
数の振動が発生し、特に加速運転時においては２．５次
、３次の振動がリヤマウント８からクロスメンバ１１に
伝達され、さらに車体フロアに広がっていわゆるゴロゴ
ロという異音を発生する。

この異音が乗員に不快感を与えるので、本考案はこの異
音の発生を防止するために案出したものである。

すなわちこの異音は特に加速運転時にリヤマウント８か
らクロスメンバ１１に伝達される振動により発生するも
のであるから、本考案においては車輪駆動トルクの反力
Ｔによる揺動を制限して、車両用エンジン側と車体側と
がこの揺動により直接に当接しないようにして、リヤマ
ウント８からクロスメンバ１１に振動が伝達されるのを
遮断または大巾に軽減するように構成してあり、第１図
に示すように車両用エンジンルーム内の車体部材１６と
伝動室１の上面に設けたブラケット１７との間に鋼索１
８を張設して揺動制限案としたものである。

第４図は鋼索１８の張設構造の実施例を示し、車両用エ
ンジンルーム内の車体部材１６の取付孔部には、上下に
緩衝ゴム１９，１９とそれを抑える座金２０．２０とを
配置し、鋼索１８の上端に結合した取付ネジ棒２１を挿
通して、上下からナツト２２，２２で締めて取付けるよ
うにしである。

また伝動室１に設けたブラケット１７に対しても、同様
にして緩衝ゴム１９．１９と座金２０ 、２０を配置し
、鋼索１８の下端に結合して取付ネジ棒２１を挿通し、
ナツト２２，２２で締めて取付ける。

鋼索１８は伸長して揺動制限案となるが、その張設方向
は反力Ｔによる揺動を制限するような適宜の位置に設け
ればよい。

またリヤマウント８のバネ定数を下げるなどして総合的
に設計すれば、３点支持の支持構造と相まって、普通の
振動に対して防振効果を発揮するとともに、上述のよう
に加速運転時においてリヤマウント８からクロスメバ１
１に伝達される振動を遮断し、あるいは大巾に軽減して
、車体フロアを介して伝揺する異音の発生を防止するこ
とができる。

なお鋼索１８は引っばり方向のみを制限するようになっ
ていて、弛み方向には力が働らかないから、この車両用
エンジンを車体に搭載するときあるいは整備点検の際に
鋼索１８が車体をつき上げることがなく、作業が容易に
行われる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は全体の構造を示
す側面図、第２図は第１図Ａ部の拡大側面図、第３図は
第２図Ｂ−Ｂ線断面図、第４図は鋼索の取付構造を示す
拡大断面図である。 １・・・・・・伝動室、２・・・・・・車輪駆動軸、３
・・・・・・ダイナモ、４・・・・・・変速操作室、５
・・・・・・エンジン本体、６・・・・・・オイルパン
、７・・曲フロントエンジンマウント、８・・・・・・
リヤマウント、９・・・・・・ブラケット、１０・・・
・・・支軸、１１・・・・・・クロスメンバ １２・・
・・・・緩衝部材、１３・・・・・・枠体、１４・・・
・・・緩衝ゴム帯、１５・・・・・・軸受筒、１６・・
・・・・車体部材、１７・・・・・・ブラケット、１８
・・・・・・鋼索、１９・・・・・・緩衝ゴム、２０・
・・・・・座金、２１・・・・・・取付ネジ棒、２２・
・・・・・すン ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変速装置および差動装置を内蔵するとともに左右に延出
   する車輌駆動軸を支承する伝動室とエンジン本体とを直
   結してなる車両用エンジンを車体に支持するに当り、該
   車両用エンジンを緩衝部材を介して車体フレーム部材に
   取付けるとともに、車輪駆動トルクの反力によるエンジ
   ンの揺動を制限するように車両用エンジンルーム内の車
   体部材と前記伝動室に設けたブラケットとの間にさらに
   鋼索を張設してなることを特徴とする支持装置。