JP2004060813A - 作業車のエンジン搭載構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン5が、そのシリンダヘッド6を上方にクランクケース7を下方に位置させて、作業車の車体2に防振部材9を介して搭載されている作業車のエンジン搭載構造であって、エンジン5の震動を抑制する防震用ウエイトWが、シリンダヘッド6の近傍に位置されてエンジン5に保持されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンが、そのシリンダヘッドを上方にクランクケースを下方に位置させて、作業車の車体に防振部材を介して搭載されている作業車のエンジン搭載構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、作業車の一例である農用トラクタを例にとると、エンジンは、通常、防振ゴムなどの防振部材を介して車体に搭載されており、それによって、エンジンからの振動が車体側へ伝達されるのが抑制されている。
しかし、エンジンそのものは依然として震動するが、従来、このエンジン自体の震動に関し、特別な配慮が払われていなかったのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来のエンジン搭載構造では、エンジン自体が震動して騒音発生の原因となり、場合によっては、そのエンジン自体の震動が防振部材の弾性力により増長される可能性もあり、特に、小型の農用トラクタのように気筒数の少ないディーゼルエンジンを搭載する場合には、エンジンの震動やそれに起因する騒音の発生も顕著となる欠点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえエンジンが気筒数の少ないディーゼルエンジンであっても、エンジン自体の震動を効果的に減少させて、騒音の発生を抑制することのできる作業車のエンジン搭載構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の発明の特徴構成は、エンジンが、そのシリンダヘッドを上方にクランクケースを下方に位置させて、作業車の車体に防振部材を介して搭載されている作業車のエンジン搭載構造であって、前記エンジンの震動を抑制する防震用ウエイトが、前記シリンダヘッドの近傍に位置されて前記エンジンに保持されているところにある。
【0006】
〔作用効果〕
請求項1の発明の特徴構成によれば、エンジンが、そのシリンダヘッドを上方にクランクケースを下方に位置させて、作業車の車体に防振部材を介して搭載されているので、エンジンからの振動の伝達は、防振部材により緩和されて車体側への伝達が抑制される。
それに加えて、エンジンの震動を抑制する防震用ウエイト、つまり、エンジンの質量および重心位置を調整することによって、エンジンの慣性および慣性モーメントを変更してエンジン自体の震動を抑制する防震用ウエイトが、シリンダヘッドの近傍に位置されてエンジンに保持されているので、防振部材の弾性力により増長される可能性のあるエンジン自体の震動も、シリンダヘッドの近傍に位置する防震用ウエイトにより効果的に減少されて騒音の発生が抑制され、たとえエンジンが気筒数の少ないディーゼルエンジンであっても、騒音の発生を確実に抑えることができる。
【0007】
〔構成〕
請求項2の発明の特徴構成は、前記防震用ウエイトが、ウエイト支持具を介して前記エンジンのクランクケースにより保持されているところにある。
【0008】
〔作用効果〕
請求項2の発明の特徴構成によれば、防震用ウエイトが、ウエイト支持具を介してエンジンのクランクケースにより保持されているので、つまり、シリンダヘッドやオイルパンなどに較べて頑丈な構造で、しかも、オイル漏れなどを引き起こす可能性の少ないクランクケースに保持されているので、エンジンに対する悪影響も少なく、かつ、防震用ウエイトを確実に保持することができ、長年月にわたって防震用ウエイトの機能を十分に発揮することができる。
【0009】
〔構成〕
請求項3の発明の特徴構成は、前記ウエイト支持具が、前記防振部材用の取り付け部を備えているところにある。
【0010】
〔作用効果〕
請求項3の発明の特徴構成によれば、ウエイト支持具が、防振部材用の取り付け部を備えているので、防震用ウエイトを保持するためのウエイト支持具が、エンジンを車体に搭載する防振部材用の取り付け部を兼用することになり、部品点数の減少による構造の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【0011】
〔構成〕
請求項4の発明の特徴構成は、前記ウエイト支持具が、前記シリンダヘッドの互いに対向する両側方を通って前記クランクケースから上方へ延出されて、前記防震用ウエイトが、前記シリンダヘッドの上方で保持されているところにある。
【0012】
〔作用効果〕
請求項4の発明の特徴構成によれば、ウエイト支持具が、シリンダヘッドの互いに対向する両側方を通ってクランクケースから上方へ延出されて、防震用ウエイトをシリンダヘッドの上方で保持するので、防震用ウエイトは、シリンダヘッドの両側方を通るウエイト支持具により安定良く保持されることになり、しかも、シリンダヘッドの上方で保持されるので、防震用ウエイトによるエンジン自体の震動抑制も一層効果的となる。
【0013】
〔構成〕
請求項5の発明の特徴構成は、前記防震用ウエイトの重心が、前記クランクケース内に位置するクランク軸の軸心方向視において、そのクランク軸の軸心を通る鉛直線上の近傍に位置されているところにある。
【0014】
〔作用効果〕
請求項5の発明の特徴構成によれば、防震用ウエイトの重心が、クランクケース内に位置するクランク軸の軸心方向視において、そのクランク軸の軸心を通る鉛直線上の近傍に位置されているので、主としてエンジンの爆発に起因する起震力に対し、防震用ウエイトが効果的に作用して、エンジン自体の震動をバランス良く効果的に抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による作業車のエンジン搭載構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
作業車の一例である農用トラクタは、図1および図6に示すように、主フレーム1などで構成される車体2を備え、車体2の前部下方には、左右一対の前輪3が、また、車体2の後部下方には、左右一対の図外後輪が設けられ、車体2の上部には、操縦ハンドル4と図外運転座席などが配設されている。
車体2前方のエンジンルームには、例えば、2気筒のディーゼルエンジン5が、そのシリンダヘッド6を上方にクランクケース7を下方に位置させた垂直姿勢で収納配置され、クランクケース7の下方には、オイルパン8が取り付けられている。そのエンジン5は、クランクケース7内に位置する図外クランク軸の軸心Lが、前後方向を向いて水平に位置するように配置されて、クランクケース7部分において、防振部材としての合計4個の防振ゴム9を介して主フレーム1に搭載保持されている。
【0016】
第1の実施形態では、図1〜図5に示すように、運転座席から見てエンジン5の左側面に配置される板金製の左側ウエイト支持具10と、エンジン5の右側面に配置される右側ウエイト支持具11が設けられ、左側ウエイト支持具10は、複数のボルト12によりクランクケース7の左側面に取り付けられ、右側ウエイト支持具11は、複数のボルト12によりクランクケース7の右側面に取り付けられている。
左側ウエイト支持具10は、クランクケース7の左側面からほぼ垂直に上方へ延出してシリンダヘッド6の上方に至るように構成され、右側ウエイト支持具11は、クランクケース7の右側面から外方へ折曲し、外側へ膨出する状態でほぼ垂直に上方へ延出してシリンダヘッド6の上方に至るように構成されている。
そして、防震用ウエイトWが、両ウエイト支持具10,11の上端間に配置されてウエイト用ボルト13によりそれぞれ固定され、その防震用ウエイトWが、両ウエイト支持具10,11を介してエンジン5のクランクケース7により保持されて、シリンダヘッド6の直上方に位置するように構成されている。
【0017】
すなわち、左側ウエイト支持具10がシリンダヘッド6の左側方を通って、右側ウエイト支持具11がシリンダヘッド6の右側方を通って、それぞれクランクケース7から上方へ延出されて、換言すると、左右のウエイト支持具10,11がシリンダヘッド6の互いに対向する両側方を通ってクランクケース7から上方へ延出されて、防震用ウエイトWをシリンダヘッド6の直上方で、かつ、シリンダヘッド6に対して無接触状態に保持するように構成されている。
そして、右側ウエイト支持具11は、上述したように外側へ膨出するように形成され、その膨出する右側ウエイト支持具11の内側にエキゾーストマニホールド14やスタータモータ15が配置されている。
【0018】
つぎに、第2の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、第1の実施形態において説明した構成や同じ作用を有する構成については、同じ符号を付すことで説明を省略し、主として第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0019】
第2の実施形態では、図6〜図10に示すように、運転座席から見てエンジン5の左側面に配置される板金製の左側ウエイト支持具10と、エンジン5の前面に配置される前側ウエイト支持具16が設けられ、左側ウエイト支持具10は、複数のボルト12によりクランクケース7の左側面に取り付けられ、前側ウエイト支持具16は、複数のボルト12によりクランクケース7の前面に取り付けられている。
左側ウエイト支持具10は、第1の実施形態における左側ウエイト支持具と多少形状は異なるものの、機能的にはほとんど変わるところがなく、クランクケース7の左側面からほぼ垂直に上方へ延出してシリンダヘッド6の上方に至り、防震用ウエイトWを保持するように構成されている。
【0020】
それに対し、前側ウエイト支持具16は、図10に示すように、エンジン5の前面に位置する本体部17と、本体部17から上方へ延出してエンジン5の前面に位置する前側ウエイト支持部18と、本体部17から上方後方へ延出してエンジン5の右側面に位置するL字状の右側ウエイト支持部19を備えている。
この右側ウエイト支持部19は、第1の実施形態における右側ウエイト支持具11に相当するもので、この右側ウエイト支持部19と前側ウエイト支持部18が本体部17に対し溶接により接続されて一体化されて、前側ウエイト支持具16が構成されている。
【0021】
前側ウエイト支持具16の本体部17には、クランクケース7への取り付け用ボルト12を挿通するためのボルト挿通孔17a、ほぼ半円形の切欠き17b、および、円形開口部17cなどが設けられ、本体部17の左右前面側には、防振部材用の取り付け部として機能する左右一対の防振ゴム用ブラケット20が取り付けられている。
そして、前側ウエイト支持部18は、その上端が後方へ折曲され、その折曲部18bに防震用ウエイトWを取り付けるための複数のボルト挿通孔18aが穿設され、右側ウエイト支持部19の上端にも、防震用ウエイトWを取り付けるためのボルト挿通孔19aが穿設されている。
【0022】
エンジン5のクランクケース7において、その左右両側面の後方側には、防振ゴム用ブラケット21が取り付けられ、この左右一対の防振ゴム用ブラケット21と上述した左右一対の防振ゴム用ブラケット20とに対応して、車体2を構成する主フレーム1には、前方に位置する左右一対の車体側ブラケット22と、後方に位置する左右一対の車体側ブラケット23が取り付けられている。
すなわち、複数のボルト12によりクランクケース7に前側ウエイト支持具16を取り付けた状態において、前方に位置する車体側ブラケット22が、本体部17の前面側に位置する左右一対の防振ゴム用ブラケット20に対応し、後方に位置する車体側ブラケット23が、防振ゴム用ブラケット21に対応するように構成され、エンジン5側の防振ゴム用ブラケット20,21と車体側ブラケット22,23の間に防振ゴム9を介在させて、エンジン5が主フレーム1に搭載保持されるように構成されている。
【0023】
この第2の実施形態によれば、前側ウエイト支持具16における前側ウエイト支持部18のボルト挿通孔18aと右側ウエイト支持部19のボルト挿通孔19a、および、左側ウエイト支持具10上端のボルト挿通孔10aを使用し、複数のウエイト用ボルト13により防震用ウエイトWを取り付けると、防震用ウエイトWが、左側ウエイト支持具10と、前側ウエイト支持具16の前側ウエイト支持部18と右側ウエイト支持部19を介してエンジン5のクランクケース7により保持されて、シリンダヘッド6の直上方に位置するように構成されている。
【0024】
すなわち、第2の実施形態では、左側ウエイト支持具10と前側ウエイト支持具16の右側ウエイト支持部19が、シリンダヘッド6の互いに対向する両側方を通ってクランクケース7から上方へ延出されて、防震用ウエイトWをシリンダヘッド6の直上方に保持し、さらに、前側ウエイト支持具16の前側ウエイト支持部18もエンジン5の前方を通って上方に延出されて、防震用ウエイトWをシリンダヘッド6に対して無接触状態に保持し、その保持状態において、図7に示すように、防震用ウエイトWの重心Gが、クランク軸の軸心Lの方向視において、クランク軸の軸心Lを通る鉛直線Vの線上を含んでその近傍に位置するように構成されている。
【0025】
前側ウエイト支持具16は、スタータモータ15の取り付けブラケットも兼用し、その本体部17に設けられた円形開口部17cには、スタータモータ15が取り付けられ、スタータモータ15のスタータギヤ15aが、フライホイール24の大径ギヤ24aに咬合されている。
そして、前側ウエイト支持具16の右側ウエイト支持部19は、上述したようにL字状に形成され、そのため、エンジン5の右側面が開放されており、そのエンジン5の右側面にエキゾーストマニホールド14が配置されている。
【0026】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、ウエイト支持具10,11,16によって防震用ウエイトWをシリンダヘッド6の直上方で保持する構成を示したが、防震用ウエイトWをシリンダヘッド6の前方や横側方で保持することもでき、要するに、シリンダヘッド6の近傍に位置させて保持すれば、所望の作用効果を期待することができる。
また、その防震ウエイトWをエンジン5のクランクケース7により保持する構成を示したが、シリンダヘッド6やオイルパン8により保持するように構成することもできる。
【0027】
(2)第1の実施形態では、ウエイト支持具を左側ウエイト支持具10と右側ウエイト支持具11の2つの支持具10,11により、また、第2の実施形態では、左側ウエイト支持具10と前側ウエイト支持具16の2つの支持具10,16により構成した例を示したが、これら2つの支持具を一体化してひとつの支持具で構成したり、あるいは、防震ウエイトWを片持ち状に保持するなど、ウエイト支持具10,11,16の具体的な構成については種々の変更が可能である。
【0028】
(3)先の実施形態では、作業車の一例として農用トラクタを示したが、土木や建設用のトラクタをはじめとして、各種作業用の車両に適用することができ、また、その車両に搭載するエンジンも、特にディーゼルエンジンに限るものではなく、その気筒数も2気筒に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による農用トラクタの要部側面図
【図2】第1の実施形態によるエンジン搭載構造の正面図
【図3】第1の実施形態によるエンジン搭載構造の側面図
【図4】第1の実施形態によるエンジン搭載構造の上面図
【図5】第1の実施形態によるエンジン搭載構造の要部の分解斜視図
【図6】第2の実施形態による農用トラクタの要部側面図
【図7】第2の実施形態によるエンジン搭載構造の正面図
【図8】第2の実施形態によるエンジン搭載構造の側面図
【図9】第2の実施形態によるエンジン搭載構造の上面図
【図10】第2の実施形態によるエンジン搭載構造の要部の分解斜視図
【符号の説明】
2 作業車の車体
5 エンジン
6 シリンダヘッド
7 クランクケース
9 防振部材
10,11,16 ウエイト支持具
20 防振部材用の取り付け部
G 防震用ウエイトの重心
L クランク軸の軸心
V クランク軸の軸心を通る鉛直線
W 防震用ウエイト
Claims (5)
- エンジンが、そのシリンダヘッドを上方にクランクケースを下方に位置させて、作業車の車体に防振部材を介して搭載されている作業車のエンジン搭載構造であって、
前記エンジンの震動を抑制する防震用ウエイトが、前記シリンダヘッドの近傍に位置されて前記エンジンに保持されている作業車のエンジン搭載構造。 - 前記防震用ウエイトが、ウエイト支持具を介して前記エンジンのクランクケースにより保持されている請求項1に記載の作業車のエンジン搭載構造。
- 前記ウエイト支持具が、前記防振部材用の取り付け部を備えている請求項2に記載の作業車のエンジン搭載構造。
- 前記ウエイト支持具が、前記シリンダヘッドの互いに対向する両側方を通って前記クランクケースから上方へ延出されて、前記防震用ウエイトが、前記シリンダヘッドの上方で保持されている請求項2または3に記載の作業車のエンジン搭載構造。
- 前記防震用ウエイトの重心が、前記クランクケース内に位置するクランク軸の軸心方向視において、そのクランク軸の軸心を通る鉛直線上の近傍に位置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車のエンジン搭載構造。
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