JPH1176686A - 遠心脱水装置 - Google Patents

遠心脱水装置

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JPH1176686A
JPH1176686A JP9264872A JP26487297A JPH1176686A JP H1176686 A JPH1176686 A JP H1176686A JP 9264872 A JP9264872 A JP 9264872A JP 26487297 A JP26487297 A JP 26487297A JP H1176686 A JPH1176686 A JP H1176686A
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drum
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laundry
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智也 川口
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    • D06FLAUNDERING, DRYING, IRONING, PRESSING OR FOLDING TEXTILE ARTICLES
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    • D06F34/14Arrangements for detecting or measuring specific parameters
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    • DTEXTILES; PAPER
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    • D06FLAUNDERING, DRYING, IRONING, PRESSING OR FOLDING TEXTILE ARTICLES
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  • Accessory Of Washing/Drying Machine, Commercial Washing/Drying Machine, Other Washing/Drying Machine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗濯物をドラム内周上で均一に分散させる。 【解決手段】 ドラム10起動時には、モータに適当な
固定電圧を印加する。トルクは略一定であるので、洗濯
物が固まって負荷が大きいときには((b)参照)ドラ
ム10はゆっくりと回る。洗濯物がバッフル10bを乗
り越えることにより分散すると((d)参照)、負荷が
軽くなって急速にドラム10の回転速度が上昇する。こ
のため、ドラム10内周上に適度に洗濯物が分散した状
態で、洗濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度に
することができる((e)参照)。ドラム10の回転速
度が上昇したならば、位相制御に切り替えてモータの回
転速度を一定に保ち、モータ電流の変動に基づき偏心量
を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、籠状のドラム内に
洗濯物を収容し、そのドラムを水平軸を中心に高速で回
転させることによって洗濯物の脱水を実行する遠心脱水
装置(ここでは、溶剤を脱液する「遠心脱液装置」も含
む)に関する。なお当然のことながら、本発明は、洗濯
から脱水まで、更には乾燥までを連続的に行なう洗濯機
又は洗濯乾燥機に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】ドラム式の遠心脱水装置は、洗浄後の洗
濯物を籠状のドラム内に収容し、そのドラムを水平軸を
中心に高速で回転する構造となっている。この種の遠心
脱水装置における大きな問題点の一つは、洗濯物がドラ
ム内周壁面上で均等に分散していない状態でドラムを高
速回転させると、回転軸回りの質量分布のアンバランス
によって異常振動や異常騒音が発生することである。こ
のような遠心脱水装置を搭載した市販のドラム式洗濯乾
燥機では、上記異常振動を抑制するためにドラムを内装
する外槽の周囲に重錘を取り付けるようにしている。こ
のため、従来のこの種の洗濯乾燥機は重量が非常に重く
なり、設置場所が限られると共に移動や運搬も困難であ
った。
【0003】上記振動を解決することを目的としたドラ
ム式遠心脱水装置は、従来より幾つか提案されている。
例えば特開平6−254294号公報記載の遠心脱水装
置では、ドラム高速回転による脱水運転を行なう前に、
ドラム低速回転によって洗濯物をドラム内周壁面上で均
等に分散配置する方法が開示されている。より詳しく
は、まず極く短時間ドラムを低速で回転させ、次いで該
回転速度よりは若干速いが脱水運転時の回転速度よりは
充分に遅い回転速度でドラムを回転させる、という二段
階の回転制御の組合せにより洗濯物の分散を図ってい
る。
【0004】また上記従来技術では、ドラム内部の洗濯
物の偏在を検出する手段として装置の台座の部分に振動
監視センサを設置し、ドラムの回転速度を脱水運転を行
なうための高速回転速度迄上昇させたときに該振動監視
センサが異常振動を検知すると回転速度を落とすように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のようなドラムの回転制御方法を用いても、実際
には洗濯物がドラム内周上で均等に分散配置される確率
はあまり高くない。このため、ドラム低速回転によりバ
ランス調整を試みた後にドラムを高速回転させ、異常振
動が発生した結果、再びドラムの回転速度を落としてバ
ランス調整をやり直す、ということを複数回繰り返すこ
とになる。これにより、脱水所要時間はかなり長引く恐
れがある。
【0006】また、従来提案されているバランス調整方
法では、例えばシーツのような広い面積を有する洗濯物
が1枚(又は少数)だけドラムに収容されていると、吸
水して固まっている洗濯物をほぐすことが困難で、バラ
ンス調整がうまく行なえないという問題もあった。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、その主たる目的とするところは、洗濯物の均
等分散の確実性を高めることによりバランス調整を短時
間のうちに終了することができる遠心脱水装置を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る第1の遠心脱水装置は、籠状の
ドラム内に洗濯物を収容し該ドラムを水平軸を中心に回
転させることにより該洗濯物の脱水を行なう遠心脱水装
置において、 a)ドラムを回転駆動するモータと、 b)該モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、 c)ドラムが停止した状態から所定の回転速度に到達する
までは略一定のトルクが得られるように前記モータに一
定電圧を印加し、該所定の回転速度に到達した後は前記
回転速度検出手段により検出された実際の回転速度が目
標回転速度となるように前記モータを制御する回転速度
制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】また、本発明に係る第2の遠心脱水装置
は、上記第1の遠心脱水装置において、ドラム内の洗濯
物に作用する遠心力が重力に勝るような一定回転速度で
該ドラムを回転させているときに前記モータに供給され
る駆動電流の変動に基づいて洗濯物の偏在に起因する偏
心量を検出する偏心量検出手段と、該偏心量が規定値を
越えているか否かを判定する偏心量判定手段とを更に備
え、前記回転速度制御手段は、偏心量が規定値を越えて
いると判定された場合にドラムを一旦停止させて再起動
を行なうことを特徴としている。
【0010】また、本発明に係る第3の遠心脱水装置
は、上記第2の遠心脱水装置において、前記回転速度制
御手段がモータに第1の所定電圧を印加したときドラム
が或る一定の回転速度に到達するまでの所要時間を計測
する時間計測手段を更に備え、前記回転速度制御手段
は、該所要時間が所定時間より短いときには、モータに
前記第1の所定電圧よりも低い一定電圧を印加してドラ
ムの再起動を行なうことを特徴としている。
【0011】また、本発明に係る第4の遠心脱水装置
は、上記第3の遠心脱水装置において、前記回転速度制
御手段は、モータに所定電圧を印加したときドラムが所
定時間内に所定の回転速度に到達しない場合、該モータ
への印加電圧を増加することを特徴としている。
【0012】また、本発明に係る第5の遠心脱水装置
は、上記第3又は第4の遠心脱水装置において、前記回
転速度制御手段は、モータに所定電圧を印加したとき前
記回転速度検出手段により該モータが回転していないこ
とを検知すると、該モータへの印加電圧を増加すること
を特徴としている。
【0013】更に、本発明に係る第6の遠心脱水装置
は、上記第1〜5の遠心脱水装置において、前記回転速
度制御手段は、制御角に基づくタイミングに応じて交流
電流を断続して切り出した電流をモータに供給する構成
を有し、所定の回転速度に到達するまでは制御角を一定
に維持し、該所定の回転速度に到達した後は実際の回転
速度と目標回転速度との差により制御角を決定すること
を特徴としている。
【0014】また、本発明に係る第7の遠心脱水装置
は、上記第1〜5の遠心脱水装置において、前記回転速
度制御手段は、周期一定のパルス信号のパルス幅を変え
ることによりモータの回転速度を制御する構成を有し、
所定の回転速度に到達するまではパルス幅を一定に維持
し、該所定の回転速度に到達した後は実際の回転速度と
目標回転速度との差によりパルス幅を決定することを特
徴としている。
【0015】なお、本発明に係る第8の遠心脱水装置で
は、上記第1〜7の遠心脱水装置において、ドラムの内
周壁面に略均等な回転角度を保って6個以上のバッフル
を設けることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1の遠心脱水装置
では、回転速度制御手段は、モータに一定の電圧を印加
することによりモータを起動させ、洗濯物の収容された
ドラムを回転駆動する。ドラムの回転初期においては、
ドラムに収容されている洗濯物がドラム内周に突出して
設けられているバッフルによりドラム上方に持ち上げら
れる際には負荷が大きくなり、そのバッフルから下方に
落下した直後には負荷は軽くなる。従って、適切な一定
のトルクが与えられていると、始め洗濯物が固まって負
荷が大きいときには、ドラムの回転速度は或る回転速度
以上には上昇しない。そして、洗濯物がバッフルを乗り
越えて徐々にほぐれて分散するに伴い負荷が軽くなり、
或る程度負荷が軽くなった時点でドラムの回転速度は急
速に上昇する。洗濯物に作用する遠心力が重力に勝る回
転速度まで上昇すると、洗濯物はドラム内周壁面に張り
付いて回転する。そこで、その回転速度以上に設定され
た所定の回転速度に到達したならば、回転速度を一定に
維持する(つまり目標回転速度になるように保つ)よう
な制御に切り替える。このような、ドラムの起動方法に
よれば、洗濯物の固まりがバッフルによりほぐされて分
散し易くなるので、ドラム内周上に均一に分散して偏心
荷重が小さくなる。
【0017】また、ドラムに収容された洗濯物が遠心力
によりドラム内周壁面に張り付いて回転するとき、モー
タに流れる駆動電流は負荷トルクの変動に応じた成分を
有するから、主としてドラム内周上での洗濯物の偏在に
起因する偏心荷重により略周期的に変動する。そこで、
本発明に係る第2の遠心脱水装置では、偏心量検知手段
は、その駆動電流の変動振幅に基づいて偏心量を検出す
る。この偏心量が規定値より小さい場合には高速脱水回
転時にもドラムや外槽の振動が小さい。一方、偏心量が
規定値を越えている場合にはバランス調整のために洗濯
物の再配置を行なう必要があるから、回転速度制御手段
はドラムを一旦停止させて再起動を実行する。
【0018】また、ドラム起動時にモータに印加する電
圧が高過ぎる(つまりトルクが大き過ぎる)と、固まっ
た洗濯物が分散する間もなく遠心力によりドラム内周壁
面に張り付いてしまう。そこで、本発明に係る第3の遠
心脱水装置では、時間計測手段は、モータに一定電圧を
印加したときにドラムが或る一定の回転速度に到達する
までの所要時間を計測することにより、洗濯物の負荷に
対するトルクの大小を判断する指標値を得る。そして、
回転速度制御手段は、その所要時間が短過ぎる場合には
トルクが大き過ぎると判断し、ドラム再起動時にモータ
に印加する電圧を減少させてトルクを小さくする。これ
により、ドラム再起動時に洗濯物の分散が適切に実行さ
れる可能性が高まる。
【0019】また逆に、ドラム起動時にモータに印加す
る電圧が低過ぎる(つまりトルクが小さ過ぎる)と、ド
ラムが回転しなかったり一旦回転し始めても途中で停止
したりする。そこで、本発明に係る第4の遠心脱水装置
では、モータに一定電圧を印加した後にドラムが或る一
定時間内に所定の回転速度に到達しない場合には、トル
クが不足していると判断する。また、本発明に係る第5
の遠心脱水装置では、回転速度検出手段より、例えばモ
ータの回転時に発生するパルス信号が得らていないこと
検知すると、トルクが不足していると判断する。そし
て、いずれも場合にも、回転速度制御手段はモータに印
加する電圧を増加させてトルクを大きくする。
【0020】また、本発明に係る第6の遠心脱水装置
は、いわゆる位相制御方式によりモータの回転速度を一
定に保つ構成を有しており、この構成では制御角を所定
値に設定することによりモータの印加電圧を一定とする
ことができる。
【0021】また、本発明に係る第7の遠心脱水装置
は、いわゆるパルス幅変調(PWM)によりモータに供
給する駆動電力を制御しモータの回転速度を一定に保つ
構成を有しており、この構成ではパルス幅を所定値に設
定することによりモータの印加電圧を一定とすることが
できる。
【0022】なお、本発明に係る遠心脱水装置では、洗
濯物がバッフルを乗り越えるときに洗濯物の分散が進行
するから、バッフルの数が少ないと分散の効果が小さ
い。このため、適度な数のバッフルを備える必要がある
が、6個以上のバッフルを設けることが好ましい。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る遠心脱水装置を備えたド
ラム式洗濯機の実施例を図1〜図9により説明する。ま
ず、図1及び図2により本実施例の洗濯機の全体構造を
説明する。図1はこの洗濯機の一部断面側面透視図、図
2はこの洗濯機の背面透視図である。
【0024】フレーム1、天板2、前面板3、後面カバ
ー4及び脚部5により構成される外箱の内部には、前面
が開口した外槽6が防振バネ7及びダンパ8により吊支
されている。前面板3には外槽6の前面開口を開閉する
ドア9が設けられ、洗濯物はドア9を開放して外槽6内
に配置されたドラム10内へと収容される。ドラム10
の後面には固定軸受11が堅固に取り付けられ、その固
定軸受11には太径の主軸12が固着されている。外槽
6の後面には軸受13が固定され、その軸受13はベア
リング14を介して主軸12を回転自在に支持してい
る。外槽6の後方に突出した主軸12の先端には大プー
リ15が取り付けられており、外槽6の下面に取り付け
られたモータ16の回転駆動力は小プーリ17、Vベル
ト18を介して大プーリ15に伝達される。
【0025】外部の水道栓等から給水ホース19を通し
て供給された水は、バルブ等を備えた注水口20を介し
て外槽6内へ注水される。注水口20には洗剤収納ボッ
クスが設けられており、給水された水がこの洗剤ボック
ス内を通過することによって洗剤が溶け出して洗剤水が
作られる。ドラム10の周壁には多数の通水孔10aが
設けられており、外槽6内に給水された水はその通水孔
10aを通してドラム10内へ流入し、また逆にドラム
10内で洗濯物から脱水された水は通水孔10aを通し
て外槽6へと飛散される。ドラム10の内周壁には、所
定の間隔で洗濯物をかき上げるためのバッフル10bが
設けられている。なお、本実施例では後述(図8参照)
のように6個のバッフル10bを設けているが、バッフ
ル10bの数はこれに限定されない。外槽6内に溜まっ
た水は、排水ポンプ21の駆動力により、前方から引き
出し可能なリントフィルタ22を通って排水ホース23
を通して外部に排出される。
【0026】次に、上記洗濯機の要部の電気系構成及び
動作を図3により説明する。マイクロコンピュータを中
心に構成される制御部30は、機能的に、中央制御部3
1、位相制御部32、偏心荷重検出部33等から構成さ
れる。中央制御部31は脱水運転を含む洗濯行程を進め
るための運転プログラムが予め記憶されたメモリを備え
ており、脱水行程時には、偏心荷重検出部33より偏心
量及び偏心位置に関する情報を受け取り、後述のように
処理して所望のドラム回転速度に対応したモータの目標
回転速度Npを位相制御部32に指示する。
【0027】モータ駆動部40は交流電源41とスイッ
チ部42とから構成され、位相制御部32とともにモー
タ16の回転速度制御部として機能する。モータ16に
はパルス発生器等から成る回転速度検出器51が付設さ
れ、実際のモータ16の回転速度に応じた数の回転パル
ス信号が実回転速度Nrとして位相制御部32にフィー
ドバックされる。
【0028】電流検出部50は、モータ駆動部40から
モータ16に供給される駆動電流を検出し、電圧値に変
換して偏心荷重検出部33に与える。図5は、モータ電
流中のトルク電流成分の時間変動の一例を示す波形図で
ある。図中、回転マーカーは、ドラム10に付設された
回転センサ52により得られるドラム10の一回転周期
を示すマーカー信号である。ドラム10に偏心荷重が存
在していると、図5に示すようにトルク電流成分はその
偏心荷重に応じて周期的に変動する。この変動は負荷ト
ルクの変動に対応したものであり、その最大値Vmaxは
ドラム一回転期間内で負荷トルクが最大になるときに現
われる。また、最大値Vmaxと最小値Vminの差(変動振
幅)は偏心量に対応している。そこで、予めこの変動振
幅と偏心量との対応関係を調べて記憶しておくことによ
り、変動振幅から偏心量を得ることができる。
【0029】具体的には、偏心荷重検出部33は、図5
に示すような電流波形が入力されると、回転マーカーの
間隔毎つまりドラム一回転期間毎に最大値Vmax及び最
小値Vminを検出する。そして、その最大値Vmaxと最小
値Vminとの差を算出し、記憶している上記対応関係を
参照して偏心量を得る。また、最大値Vmaxの出現する
タイミング(例えば直前の回転マーカーからの遅延時間
又は角度)によりドラム10内周壁面上での偏心位置を
検知することもできる。
【0030】次に、位相制御部32及びモータ駆動部4
0を中心とするモータ16の回転制御の動作を図4を参
照して詳述する。位相制御部32は、目標回転速度Np
と実回転速度Nrとの差に基づき制御角αを算出しスイ
ッチ部42に与える。スイッチ部42はトライアック等
のゲート制御式半導体スイッチ等から成り、交流電源4
1より入力された、図4(a)に示すような正弦波状の
単相交流電流を制御角αに応じてオン/オフする。すな
わち、図4(b)に示すように基準となる位相角0°の
位置から制御角αだけ遅延した位置にパルス信号を生成
し、0°〜αの期間は電流を遮断し、α〜180°の期
間のみ電流を導通させる。これにより、図4(c)に斜
線で示す範囲の断続的な電流がモータ16に駆動電流と
して供給される。従って、位相制御部32が制御角αを
小さくするとモータ16にはより大きな駆動電力が供給
され、逆に制御角αを大きくするとモータ16に供給さ
れる駆動電力は減少する。
【0031】次に、上記構成のドラム式洗濯機における
脱水の立上げ時の制御を図6及び図7のフローチャート
に沿って説明する。以下の説明では、ドラムの径を47
0mmとしたときの数値を例に挙げているが、ドラム径
が相違する場合には各回転速度の数値を適宜変更するこ
とにより対応可能であることは明白である。
【0032】洗い又はすすぎ行程が終了し脱水行程が開
始されるとき、ドラム10内部の洗濯物はその底部に絡
み合って重積した状態にある。そこで、まず中央制御部
31はほぐし運転を行なうべく位相制御部32に指示信
号を送る(ステップS10)。このほぐし運転では、例
えばドラム10は約55rpmの回転速度で左右方向に
揺動される。これにより、絡み合っていた洗濯物がほぐ
れ、一枚一枚の洗濯物が互いに剥がれ易くなる。
【0033】所定時間だけほぐし運転を行なった後、ド
ラム10が完全に停止するまでの余裕をみてモータ16
をOFFして8秒間待機する(ステップS11)。その
後、次のようにして初期位相角の決定処理を行なう。す
なわち、まず中央制御部31は位相制御部32に指示す
る制御角αを110°に設定する。これにより、制御角
αに対応した固定電圧がモータ16に印加される(ステ
ップS12)。このときの電圧はドラム10にごく僅か
の洗濯物が収容されている場合にドラム10が回転し始
める程度の比較的小さなトルクを生成する電圧である。
【0034】次に、中央制御部31は、0.5秒以内に
回転速度検出器51より回転パルス信号が得られたか否
かを判定する(ステップS13)。回転パルス信号が得
られないということはモータ16が回転していないこと
を意味しており、つまり収容されている洗濯物の負荷に
打ち勝つトルク(起動トルク)が不足していることを意
味する。そこで、回転パルス信号が得られない場合には
制御角αを50μ秒(約1°)だけ小さくする(ステッ
プS14)。これにより、モータ16に印加される電圧
は上昇し、トルクは増加する。従って、ステップS1
3、S14により、モータ16が回転し始めるまで制御
角αは50μ秒ずつ減らされ、トルクは少しずつ増加す
る。
【0035】ステップS13にて0.5秒以内に回転パ
ルス信号が得られたと判定されると、タイマにより時間
t1の計測を開始し(ステップS15)、その後にドラ
ム10の回転速度が100rpmに到達したか否かを判
定する(ステップS16)。本実施例のドラム式洗濯機
では、ドラム10の回転速度が70〜80rpm程度で
ドラム10内の洗濯物に作用する遠心力と重力とが均衡
するので、100rpmの回転速度では洗濯物は遠心力
によってドラム10の内周壁面に押し付けられて回転し
ている状態になっている。
【0036】ステップS16にてドラム10の回転速度
が100rpmに到達していない場合には、途中でモー
タ16が停止していないか否かを調べるために、0.5
秒以内に回転パルス信号が得られたか否かを判定する
(ステップS17)。ここで0.5秒以上回転パルス信
号が得られないと判定されると、回転途中でドラム10
が停止したと判断し、ステップS14へ進み制御角αを
50μ秒小さくする。一方、ステップS17にて0.5
秒以内に回転パルス信号が得られたと判定されると、次
いでt1が6秒を越えたか否かを判定する(ステップS
18)。ドラム10の回転速度が100rpmに達する
前にt1が6秒を経過してしまった場合には、トルクが
不足していると判断し、ステップS14へ進み制御角α
を50μ秒小さくする。
【0037】ステップS16にてドラム10の回転速度
が100rpmに到達したと判定されると、そのときの
制御角αを初期位相角IKとして決定する(ステップS
19)。そして、モータ16の回転制御を位相制御、つ
まり位相制御部32にモータ16の目標回転速度Npを
与え、実回転速度Nrと目標回転速度Npとの差に応じ
て制御角αを指示する方法に切り替えて、ドラム10の
回転速度を130rpmまで上昇させる(ステップS2
0)。そして、偏心荷重検出部33は、その回転速度に
おいて前述のようにモータ16に流れる駆動電流を用い
て偏心荷重を検出する(ステップS21)。このとき、
ドラム10内の洗濯物に作用する遠心力は重力を上回る
ので、洗濯物はドラム10の内周壁面に張り付いて回転
する。
【0038】上記ステップS21の偏心荷重検出処理に
より偏心量と偏心位置とが得られると、中央制御部31
は偏心量が規定値以下であるか否かを判定する(ステッ
プS22)。ステップS22にて偏心量が規定値以下で
あると判定されたときには、その状態のまま脱水運転を
実行しても振動が小さいと判断する。そこで、ステップ
S23へ進み、所定の高速回転速度(例えば1000r
pm程度)までドラム10の回転速度を立ち上げる。
【0039】上記ステップS22にて偏心量が規定値よ
り大きいと判定されると、次に洗濯物の分散化運転を実
行する。すなわち、まずステップS10と同様のほぐし
運転を実行する(ステップS24)。その後、ドラム1
0が完全に停止するように8秒間モータ16への通電を
停止する(ステップS25)。そして、位相制御部32
は、先に決定された初期位相角IKを制御角αとしてモ
ータ駆動部40に指示することにより、この位相角IK
に対応した固定電圧をモータ16に印加する(ステップ
S26)。それと同時に、中央制御部31は、タイマに
より時間t2の計測を開始する(ステップS27)。
【0040】計時開始後、1.5秒以内に回転パルス信
号が得られたか否かを判定し(ステップS28)、得ら
れていない場合にはトルクが不足しておりモータ16が
ロックしていると判断する。そして、位相制御部32は
制御角αを50μ秒だけ小さくし(ステップS30)、
これを新たな位相角IKとして(ステップS40)再び
ステップS24のほぐし運転から処理を繰り返す。これ
により、次の起動時にモータ16への印加電圧は先の値
よりも上昇し、これに応じてトルクは増加する。
【0041】ステップS28にて1.5秒以内に回転パ
ルス信号が得られたと判定されると、モータ16はロッ
クしていないと判断できるから、次いでドラム10の回
転速度が100rpmに到達したか否かを判定する(ス
テップS29)。ここで100rpmに到達していない
場合には、t2が7秒を越えたか否かを判定する(ステ
ップS31)。t2が7秒になるまではステップS28
へ戻る。ドラム10の回転速度が100rpmに達する
前にt2が7秒を経過してしまった場合には、トルクが
不足していると判断し、先のステップS30へ進み制御
角αを50μ秒だけ小さくする。例えば、一旦動き始め
たドラム10の内部で、始め分散していた洗濯物が固ま
ってバッフル10bを乗り越えるのが困難になると、回
転速度が上がらないまま7秒が経過してしまう可能性が
ある。
【0042】ステップS29にてドラム10の回転速度
が100rpmに到達したと判定されると、その時点で
t2の計時は終了され、このときのt2の値が中央制御部
31内のRAMに一旦記憶される(ステップS32)。
その後、上記ステップS20の処理と同様にモータ16
の回転制御を位相制御に切り替えて、ドラム10の回転
速度を130rpmまで上昇させる(ステップS3
3)。そして、ドラム10の回転速度が130rpmに
なったならば、偏心荷重検出部33は、上記ステップS
21と同様に偏心荷重を検出する(ステップS34)。
【0043】中央制御部31は、このときの偏心量が規
定値以下であるか否かを判定し(ステップS35)、偏
心量が規定値以下である場合には、脱水を行なうために
所定の高速回転速度までドラム10の回転速度を立ち上
げる(ステップS23)。一方、ステップS35にて偏
心量が規定値を越えている場合には、RAMに記憶して
いる時間t2を読み出し、t2が2.5秒未満であるか否
かを判定する(ステップS36)。t2が2.5秒未満
である場合にはドラム10のトルクが大き過ぎ、後記の
ような洗濯物の分散に適していないと判断する。そこ
で、制御角αを250μ秒増やして(ステップS37)
上記ステップS40へと進む。
【0044】ステップS36にてt2が2.5秒以上で
あると判定されると、次に3秒未満であるか否かを判定
する(ステップS38)。t2が2.5〜3秒である場
合にはドラム10のトルクが若干大き過ぎ、やはり洗濯
物の分散に適していないと判断する。そこで、制御角α
を50μ秒だけ増やして(ステップS39)上記ステッ
プS40へと進む。また、ステップS38にてt2が3
秒以上であると判定されると、制御角αはその値を維持
したまま上記ステップS40へと戻る。
【0045】すなわち、上記処理によれば、ドラム10
が停止した状態から、あまり速過ぎない適度な回転速度
でドラム10が回転し始め、数秒程度以内で100rp
mに達する。このような回転制御を行なったときのドラ
ム10内の洗濯物の移動状況を図8及び図9を参照して
説明する。図8はドラム10内に比較的小さな洗濯物が
複数収容されている場合の例、図9はドラム10内にシ
ーツ等の広い面積を有する洗濯物が1枚収容されている
場合の例である。
【0046】図8(a)のように停止状態にあるドラム
10が回転し始めると、洗濯物に作用する遠心力が重力
よりも小さいときには、図8(b)に示すように洗濯物
はドラム10下部を通過するバッフル10bにより回転
途中まで持ち上げられ、その後、図8(c)に示すよう
にドラム10底部に落下する、という動作を繰り返す。
図8(b)に示すように洗濯物の大多数がバッフル10
bの上に乗って持ち上げられつつあるとき、洗濯物に作
用する重力はドラム10の回転と逆方向に作用するから
大きな負荷となり、回転のためには大きなトルクを要す
る。また、図8(c)に示すようにドラム10が更に回
転し洗濯物がバッフル10b上から落下すると(つまり
バッフル10bを乗り越えると)、負荷は急に軽くなり
回転のためのトルクは小さくて済む。
【0047】このため、本実施例のドラム式洗濯機のよ
うに、ドラムの起動時に一定の電圧がモータ16に印加
されていると、図8(b)に示すように負荷が大きい状
態ではドラム10はごくゆっくりと回転し、図8(c)
に示すように洗濯物の一部がばらけて負荷が少し軽くな
るとドラム10の回転速度はやや速まる。そして、図8
(d)に示すように、洗濯物がドラム10内周壁上で更
に分散するに伴いドラム10の回転速度は徐々に上昇し
てゆく。
【0048】初期的にモータ16に印加される固定電圧
が適当であると、ドラム10の回転に伴いバッフル10
bを乗り越える毎に洗濯物の固まりが分解されてドラム
10の内周上で分散し、負荷が或る程度軽くなったとき
に急速にドラム10の回転速度が上昇する。すなわち、
洗濯物が適度に分散した状態で遠心力が重力より大きく
なるような回転速度に到達し、図8(e)に示すように
洗濯物はドラム10の内周壁面に張り付いて回転する。
しかしながら、初期的にモータ16に印加される固定電
圧が大き過ぎると、図8(b)に示すように洗濯物が固
まった状態のまま回転速度が上昇し、洗濯物が一固まり
となってドラム10の内周壁面に張り付いて回転してし
まう。
【0049】そこで、上記実施例では、まずステップS
13〜S19の処理によりモータ16の印加電圧の初期
値を与える制御角α(つまり初期位相角)を決定し、ス
テップS26以降の処理により、実際にその制御角αを
もってモータ16を起動したときのドラム10の回転の
状況に応じて、適当な印加電圧を与えるように制御角α
を修正している。これにより、洗濯物を適当に分散させ
た状態でドラム10の回転速度を上昇させることができ
る。
【0050】また、例えばシーツ等の大きな洗濯物の場
合、図9(a)に示すように、始め洗濯物は固まった状
態にあるが、図9(b)及び図9(c)に示すように、
ドラム10の回転に伴いバッフル10bを乗り越える毎
に徐々にほぐれて広がる。そして、負荷が軽くなった或
る時点でドラム10の回転速度は急速に上昇し、図9
(d)に示すように、洗濯物は大きく広がった状態で遠
心力によりドラム10の内周壁面に張り付いて回転す
る。このような状態では、回転軸周りのバランスが良好
で、偏心量は小さなものとなる。
【0051】なお、上記実施例はドラム式洗濯機につい
て説明したが、本発明が石油系溶剤等を使用したドライ
クリーナに適用できることも明らかである。
【0052】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明に係る遠心
脱水装置によれば、ドラム起動時にはモータが略一定の
トルクを有して回転駆動され、ドラムの回転速度が所定
の回転速度に到達すると回転速度が一定になるように制
御される。このため、ドラム起動時には洗濯物がドラム
内を移動する際の負荷の変動(主としてバッフルの影響
に依る)に応じて回転速度が変動し、洗濯物がバッフル
を乗り越えて分散し負荷が或る程度軽くなると急速に回
転速度が上昇して、洗濯物は遠心力によりドラム内周壁
面に張り付いて回る。従って、洗濯物がドラム内周上に
適度に分散し易く、短時間でバランス調整を終了し高速
脱水回転に移行することができる。これにより、脱水所
要時間ひいては洗濯所要時間が長引くことを防止するこ
とができる。
【0053】また、本発明に係る遠心脱水装置によれ
ば、ドラム起動時に比較的ゆっくりした速度で洗濯物が
バッフルを乗り越えつつ転がるので、シーツが固まった
ような洗濯物もほぐれ易く、偏心量が小さくなるように
適切にバランス調整を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による遠心脱水装置を備えた
ドラム式洗濯機の一部断面側面透視図。
【図2】 図1のドラム式洗濯機の要部の背面透視図。
【図3】 本実施例のドラム式洗濯機の電気系構成図。
【図4】 本実施例のドラム式洗濯機におけるモータの
回転制御動作を説明するための波形図。
【図5】 偏心荷重の影響によるモータ電流の変動の一
例を示す波形図。
【図6】 本実施例における脱水運転のドラム起動時の
処理動作を示すフローチャート。
【図7】 本実施例における脱水運転のドラム起動時の
処理動作を示すフローチャート。
【図8】 本実施例における洗濯物の移動状況を説明す
るための模式図。
【図9】 本実施例における洗濯物の移動状況を説明す
るための模式図。
【符号の説明】
10…ドラム 10b…バッフル 16…モータ 30…制御部 31…中央制御部 32…位相制御部 33…偏心荷重検出部 40…モータ駆動部 41…交流電源 42…スイッチ部 50…電流検出部 51…回転速度検出器 52…回転センサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 籠状のドラム内に洗濯物を収容し該ドラ
    ムを水平軸を中心に回転させることにより該洗濯物の脱
    水を行なう遠心脱水装置において、 a)ドラムを回転駆動するモータと、 b)該モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、 c)ドラムが停止した状態から所定の回転速度に到達する
    までは略一定のトルクが得られるように前記モータに一
    定電圧を印加し、該所定の回転速度に到達した後は前記
    回転速度検出手段により検出された実際の回転速度が目
    標回転速度となるように前記モータを制御する回転速度
    制御手段と、 を備えることを特徴とする遠心脱水装置。
  2. 【請求項2】 ドラム内の洗濯物に作用する遠心力が重
    力に勝るような一定回転速度で該ドラムを回転させてい
    るときに、前記モータに供給される駆動電流の変動に基
    づいて洗濯物の偏在に起因する偏心量を検出する偏心量
    検出手段と、該偏心量が規定値を越えているか否かを判
    定する偏心量判定手段とを更に備え、前記回転速度制御
    手段は、偏心量が規定値を越えていると判定された場合
    にドラムを一旦停止させて再起動を行なうことを特徴と
    する請求項1に記載の遠心脱水装置。
  3. 【請求項3】 前記回転速度制御手段がモータに第1の
    所定電圧を印加したときドラムが或る一定の回転速度に
    到達するまでの所要時間を計測する時間計測手段を更に
    備え、前記回転速度制御手段は、該所要時間が所定時間
    より短いときには、モータに前記第1の所定電圧よりも
    低い一定電圧を印加してドラムの再起動を行なうことを
    特徴とする請求項2に記載の遠心脱水装置。
  4. 【請求項4】 前記回転速度制御手段は、モータに所定
    電圧を印加したときドラムが所定時間内に所定の回転速
    度に到達しない場合、モータへの印加電圧を増加するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の遠心脱水装置。
  5. 【請求項5】 前記回転速度制御手段は、モータに所定
    電圧を印加したとき前記回転速度検出手段によりモータ
    が回転していないことを検知すると、モータへの印加電
    圧を増加することを特徴とする請求項3又は4に記載の
    遠心脱水装置。
  6. 【請求項6】 前記回転速度制御手段は、制御角に基づ
    くタイミングに応じて交流電流を断続して切り出した電
    流をモータに供給する構成を有し、所定の回転速度に到
    達するまでは制御角を一定に維持し、該所定の回転速度
    に到達した後は実際の回転速度と目標回転速度との差に
    より制御角を決定することを特徴とする請求項1乃至5
    のいずれかに記載の遠心脱水装置。
  7. 【請求項7】 前記回転速度制御手段は、周期一定のパ
    ルス信号のパルス幅を変えることによりモータの回転速
    度を制御する構成を有し、所定の回転速度に到達するま
    ではパルス幅を一定に維持し、該所定の回転速度に到達
    した後は実際の回転速度と目標回転速度との差によりパ
    ルス幅を決定することを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれかに記載の遠心脱水装置。
  8. 【請求項8】 ドラムの内周壁面に略均等な回転角度を
    保って6個以上のバッフルを設けることを特徴とする請
    求項1乃至7に記載の遠心脱水装置。
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