JPH1175762A - 甘味料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】取り扱いが容易で、低カロリー、低う蝕性で、
かつ、冷感作用が少ないため、チョコレート等の油性菓
子やクッキー等の小麦粉製品などの各種食品へ応用する
ことが出来、また、卓上甘味料としても応用することが
出来る、新規な甘味料組成物を提供する。 【解決手段】糖アルコールと天然食物繊維を含有する甘
味料組成物。糖アルコールと天然食物繊維の割合は、好
ましくは重量比で２／３〜２／１であり、糖アルコール
の含有量は、好ましくは４０〜８０重量％である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、甘味料組成物に関
し、詳しくは、低カロリー、低う蝕性で、かつ、冷感作
用が少なく、砂糖に代わり得る甘味料として、チョコレ
ート等の油性菓子やクッキー等の小麦粉製品などの各種
食品へ応用することが出来る甘味料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、甘味料として慣用される砂糖（蔗
糖）は、そのカロリーが約４０Ｋｃａｌ／１００ｇと高
いこともあり、肥満防止や成人病予防の観点から、特に
近年、問題になっており、蔗糖を含まない低カロリー化
を図った食品が多数開発され、既に市販されているもの
もある。

【０００３】しかしながら、高甘味度甘味料、例えばア
スパルテームやステビアを主体に用いた甘味料は、後味
に長く甘味が残存し、嗜好的に好ましくないといった欠
点がある。また、高甘味度甘味料は、その甘味度が砂糖
の数倍にもなるため、使用の際に正確に計量しないと甘
すぎたりして一定の甘味が得られ難い。

【０００４】これに対し、エリスリトールやマルチトー
ル等の糖アルコールは、低カロリー性や非う蝕性を活か
して特徴のある甘味料として販売されており、これらの
特性に合わせた種々の甘味食品への利用が試みられてい
る。

【０００５】しかしながら、エリスリトールは、溶解熱
量が大きいために清涼作用を有し、さわやかな風味を付
与したチューインガム、キャンデー、粉末飲料などには
好ましいが、温かいコーヒーや紅茶飲料に溶解すると液
温を低下させるために好ましくないとされている（特開
平１ー１７１４５５号公報参照）。また、特開平０３ー
４７４６号、特開平０４ー２８７６４０号公報には、エ
リスリトールを用いたチョコレートが記載されている
が、食した際の冷感がチョコレートの風味とマッチしな
いとの理由から、マルチトールの併用によりエリスリト
ールの清涼作用を覆い隠したチョコレートも提案されて
いる（特開平８ー２４２７６９号公報）。

【０００６】また、マルチトールは、その甘味質が良好
なこと、蔗糖の約０．８５倍の甘味が感じられることか
ら、低カロリー甘味料としては優れているが、マルチト
ール全体で甘味を付与した食品を大量に（２０〜３０ｇ
以上）摂取した場合は下痢を起こし易い欠点があると言
われている。さらに、マルチトールは、その状態が結晶
状であるため、溶解する際に僅かではあるがエネルギー
を要する。

【０００７】一方、特開平４ー２８７６５９号公報に
は、マルチトールとポリデキストロース及び高甘味度甘
味料を含有する低カロリー甘味料が、食物繊維の摂取量
の低下に伴う肥満−成人病の予防の観点から提案されて
いる。ポリデキストロースも下痢を起こし易い欠点があ
ると言われており摂取量の制限（１５ｇ以下）がある。

【０００８】さらに、ポリデキストロースは、ぶどう糖
とソルビトールとクエン酸とを高温かつ高圧下で処理し
て得られるものであり、溶解の際に容易にまま粉を生
じ、分散溶解が非常に困難である。一般に、とうもろこ
し種皮から抽出されるセルエース等の食物繊維も水に添
加した場合にまま粉になるため取り扱い難いという欠点
がある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、取り扱いが容易
で、低カロリー、低う蝕性で、かつ、冷感作用が少ない
ため、チョコレート等の油性菓子やクッキー等の小麦粉
製品などの各種食品へ応用することが出来、また、卓上
甘味料としても応用することが出来る、新規な甘味料組
成物を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、糖アルコール
と天然食物繊維を含有することを特徴とし、必要に応じ
高甘味度甘味料を含有してなる、上記課題を解決した新
規な低カロリー甘味料組成物に関するものである。本発
明の甘味料組成物は、高甘味度甘味料を併用する際、甘
味倍率が少ないために計量し易いという特徴をも有す
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、糖アルコールとしては、エリスリトー
ル、マンニトール、キシリトール、マルチトール、粉末
還元麦芽糖水飴などが挙げられる。低う蝕性の見地か
ら、例えば、ソルビトール、ラクチトールの様に従来か
ら食品用に使用されている糖アルコールが用いられる
他、デキストリン還元物やオリゴ糖還元物を含む還元澱
粉分解物なども用いてよい。

【００１２】結晶の状態で存在する糖アルコールは、何
れも、溶解にエネルギーを必要とする。これらの中で、
エリスリトール及びキシリトールは、他の糖アルコール
に比し、溶解に多くのエネルギーを必要とする結果、清
涼作用が著しく大きい。マルチトールの清涼作用はエリ
スリトールに比して少ないが蔗糖より大きい。因に、エ
リスリトールの溶解熱は１８０（Ｊ／ｇ）であり（特開
昭６３ー２５８５６５号公報参照）、キシリトールの溶
解熱は１５３（Ｊ／ｇ）である（食品化学新聞社「糖ア
ルコールの新知識」参照）。

【００１３】室温（２８℃）雰囲気下、水８０ｇに糖ま
たは糖アルコール２０ｇを加え攪拌溶解１分後の溶液温
度を測定したときの温度変化は表１の通りである。

【００１４】

【表１】

【００１５】本発明において、天然食物繊維としては、
特に制限されずに各種のものを用いることが出来る。食
物繊維は、草食性の動物にとって主要な栄養素である
が、人にとっては長い間非栄養素であるとみなされてき
た。しかしながら、近年、食物繊維の種々の効果が見い
出され、各種の低カロリー天然食物繊維素材が提供され
ている。

【００１６】例えば、水溶性天然食物繊維としては、澱
粉由来の水溶性植物繊維（松谷化学工業（株）の商品名
「ファイバーソル」又は「パインファイバー」）、とう
もろこしの種皮から抽出した増粘多糖類含有水溶性コー
ンファイバー（日本食品化工（株）の商品名「日食セル
エース」又は「日食セルファー」）、大豆由来の水溶性
大豆多糖類（不二製油（株）の商品名「ソヤファイブー
ｓ」）、その他、グアーガム分解物、海藻を原料とした
アルギン酸などが挙げられる。水溶性天然食物繊維は特
に飲料用途に好適である。

【００１７】一部不溶性または不溶性の天然食物繊維と
しては、大豆、小麦ふすま、アップル、ビート、夕顔由
来のファイバー等が挙げられる。これらは、飲料以外の
菓子類に好適である。

【００１８】食物繊維は、糖や糖アルコールと異なり、
溶解の際、発熱して溶液温度を上昇させる。室温（２８
℃）雰囲気下、水８０ｇに天然食物繊維２０ｇを加え攪
拌溶解１分後の溶液温度を測定したときの温度変化は表
２の通りである。

【００１９】

【表２】

【００２０】本発明の甘味料組成物は、例えば、上記の
「セルエース」等、そのままでは水に添加するとまま粉
になり易い難分散性の天然食物繊維を含有するが、糖ア
ルコール結晶粉末との混合により、まま粉の発生が殆ど
無く且つ分散溶解性が極めて良好である。糖アルコール
の結晶粒径が小さい程まま粉を生じ難く分散溶解速度が
速い。特に、食物繊維粉末に結晶粒径７４μｍ篩下のエ
リスリトール粉末を混合することにより、分散溶解性を
顕著に高めることが出来る。

【００２１】また、食物繊維は溶解の際に液温度を上昇
させるため、結晶の状態で存在する糖アルコールの溶解
熱を低減する効果を有する。従って、糖アルコールの中
でも、溶解に多くのエネルギーを必要とするエリスリト
ールやキシリトールと組合せることにより、これらの好
ましくない清涼作用を緩和することが出来る。

【００２２】本発明の甘味料組成物において、糖アルコ
ールと天然食物繊維の割合は、特に制限されない。しか
しながら、天然食物繊維には、甘味が僅かか又は甘味を
有しないものもあるため、糖アルコールと天然食物繊維
の割合は、重量比で２／３〜２／１の範囲とするのが好
ましい。一方、本発明の甘味料組成物中の糖アルコール
の含有量は４０〜８０重量％の範囲が好ましい。

【００２３】また、本発明においては、低カロリー性を
損なわない範囲であれば、上記の糖アルコールの一部に
代え、ぶどう糖、マルトール、砂糖、パラチノース等の
糖類を併用することも可能である。

【００２４】本発明の甘味料組成物には、必要に応じ
て、甘味調整のめに高甘味度甘味料を添加することが出
来る。高甘味度甘味料としては、ステビアやアスパルテ
ームが挙げられ、ステビアとしては、ステビオサイド、
レバウデオサイドＡ、αーグリコシルステビオサイド等
が用いられる。また、サッカリン、サッカリンナトリウ
ム、グリチルリチン、アセスルファムカリウム等の１種
または２種以上を添加することも出来る。

【００２５】高甘味度甘味料による調整量は、砂糖の甘
味度（甘味度１／１重量部）に近似する量であることが
好ましい。例えば、アスパルテームの含有量は、低カロ
リー性および甘味質の向上および後味のしつこさの抑制
を図るため、甘味料組成物の０．３０〜０．１５重量％
の範囲とするのが好ましい。また、チョコレートやバタ
ークリーム等を多量に使用する食品の場合は、０．１３
〜０．０５重量％の範囲が好ましい。

【００２６】本発明の甘味料組成物の形態としては、粉
末、顆粒、錠などが挙げられる。天然食物繊維粉末に糖
アルコール粉末を混合する場合は、粉体混合で常用され
ているＶ型、水平円筒型、垂直スクリュー型などの混合
機を用いればよい。顆粒状の甘味料組成物の調製には流
動層造粒法を利用することが出来る。流動層造粒法は、
常法に準じて行うことが出来る。すなわち、糖アルコー
ル、食物繊維、高甘味度甘味料などを流動層造粒乾燥器
に仕込み、適当な温度の温風で吹き上げて流動させなが
ら、必要に応じ、水または糖、糖アルコール溶液、ゲル
化剤溶液を噴霧して造粒し、噴霧終了後、温風で吹き上
げて乾燥させ、篩分けして所定の粒径の顆粒を得る。

【００２７】本発明の甘味料組成物は各種の甘味食品に
用いることが出来る。特に、冷感作用が少ないため、温
かいコーヒーや紅茶飲料、油性菓子のチョコレートやホ
ワイトチョコレート、小麦粉製品のクッキー、スポンジ
ケーキ、カステラ等に好ましく用いられる。

【００２８】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に
限定されるものでない。

【００２９】実施例１ エリスリトールと水溶性コーンファイバー（「セルエー
ス」）とを表３の割合（重量部）で混合して甘味料組成
物を調製した。室温（２８℃）雰囲気下、水８０ｇに上
記の甘味料組成物２０ｇを加え攪拌溶解１分後の溶液温
度を測定したときの温度変化は表３の通りであった。

【００３０】

【表３】

【００３１】比較例１ エリスリトールとポリデキストロースとを表４の割合
（重量部）で混合して甘味料組成物を調製した。室温
（２８℃）雰囲気下、水８０ｇに上記の甘味料組成物２
０ｇを加え攪拌溶解１分後の溶液温度を測定したときの
温度変化は表４の通りであった。

【００３２】

【表４】

【００３３】表３及び表４に示す結果から明らかな様
に、エリスリトールと「セルエース」の混合物は、エリ
スリトール単独の場合に比し、溶液温度の低下が少な
く、且つ分散溶解性が極めて良好である。また、ポリデ
キストロースでも溶解温度の低下は少ないが、まま粉を
生じ易く、多量のエリスリトール微粉と混合してもまま
粉を生じた。

【００３４】実施例２〜３及び比較例２〜３ 表５に示す配合（重量部）に従い、原料を６０゜Cで良く
混合した後、リファイナリーに通し、コンチェングとテ
ンパリングを行い、次いで、型に流して冷却し、板チョ
コレートを製造した。表中、「ファイバーソル−２」は
天然食物繊維（松谷化学工業（株）商品名）である。

【００３５】

【表５】

【００３６】得られた板チョコレートを口に入れたとき
の冷感について、対照品との比較官能評価（パネラー３
名）を行い、その結果を表６に示した。

【００３７】

【表６】

【００３８】

【発明の効果】本発明の甘味料組成物は、従来のものに
比し、低カロリー、低う蝕性で、かつ、冷感作用が少な
いため、チョコレート等の油性菓子やクッキー等の小麦
粉製品などの各種食品へ応用することが出来、また、卓
上甘味料としても応用することが出来る。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 糖アルコールと天然食物繊維を含有する
   ことを特徴とする甘味料組成物。
2. 【請求項２】 糖アルコールと天然食物繊維の割合が重
   量比で２／３〜２／１である請求項１に記載の組成物。
3. 【請求項３】 糖アルコールの含有量が４０〜８０重量
   ％である請求項１に記載の組成物。
4. 【請求項４】 糖アルコールがエリスリトール又はキシ
   リトールである請求項１に記載の組成物。
5. 【請求項５】 天然食物繊維が水溶性食物繊維である請
   求項１に記載の組成物。
6. 【請求項６】 さらに、高甘味度甘味料を０．３２〜
   ０．０１ 重量％含有する請求項１に記載の甘味料組成
   物
7. 【請求項７】 高甘味度甘味料がアスパルテーム又はス
   テビアである請求項６に記載の組成物。