JPH11299449A

JPH11299449A - 液状甘味料組成物

Info

Publication number: JPH11299449A
Application number: JP10251698A
Authority: JP
Inventors: Akira Hamada; 晃浜田; Takako Ozawa; 香子小澤; Chikanori Takahashi; 親法高橋
Original assignee: Nikken Chemicals Co Ltd
Current assignee: Nikken Chemicals Co Ltd
Priority date: 1998-02-20
Filing date: 1998-09-07
Publication date: 1999-11-02

Abstract

(57)【要約】【課題】カロリーが低く、非う蝕性で、低粘度の透明
な液状甘味料組成物を提供する。【解決手段】エリスリトール１重量部に対してエリス
リトール以外の糖アルコールを４重量部以上含み、固形
分濃度が６０〜８０（ｗ／ｗ）％である低カロリー液状
甘味料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、非う蝕性の透明な液状
甘味料組成物に関し、更に詳しくは、マルチトール等の
糖アルコールとエリスリトールからなる低カロリーかつ
非う蝕性の液状甘味料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、わが国では糖類、特に蔗糖の過剰
摂取による種々の弊害、例えば虫歯患者の増加、肥満
者、更には糖尿病患者の増加等が問題視されており、か
かる問題に対する消費者の関心が高まり、これら糖類の
摂取が控えられる傾向にある。このため、食品業界では
多年に瓦り蔗糖を使用しない低カロリー性で非う蝕性の
甘味料の開発に多大の努力がはらわれてきた。こうした
努力の結果、現在は糖アルコール及び／又は高甘味度甘
味料等を使用した低カロリーかつ非う蝕化を図った甘味
料、更にはこれらの甘味料を使用した低カロリーの食品
が多数開発され、既に市販されているものも多い。

【０００３】このような既存の低カロリーで非う蝕性の
食品には糖質の甘味原料として、糖アルコールが多く使
用されており、特にソルビトール、マルチトール、マル
トオリゴ糖還元物、イソマルトオリゴ糖還元物などは、
その甘味度、味質及び低カロリー性に優れていることか
ら、種々の食品に広く使用されている。とりわけ、マル
チトールや還元麦芽糖水飴（マルチトールを主成分とす
る混合物）は、その甘味度及び味質が蔗糖に極めて近
く、カロリー量も低いことから、少量の高甘味度甘味料
等を配合して肥満症、糖尿病患者、エネルギー摂取をコ
ントロールしたい人の低カロリー食品として調理用、卓
上甘味料に利用されており、その需要も多い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、前記
糖アルコール類についての吸収・代謝に関する研究が進
んだ結果、これらの糖アルコール類のエネルギー値は当
初言われていた程低くはないものが多数含まれることが
判明した（厚生省通達衛新第４７号、平成８年５月２
３日：難消化性糖質のエネルギー換算係数）。特にマル
チトールを主成分とする還元麦芽糖液を用いた従来の低
カロリー甘味料は、同濃度の蔗糖液を用いた甘味料と比
較すると５０％以上のエネルギー値を有する事が明らか
となった。更にこの甘味料は、保存条件等によってはマ
ルチトール結晶が析出する事があり透明な液状の状態の
維持が困難な場合や、粘度が高いために取扱いにくい場
合があった。

【０００５】このような状況下において、四炭糖の糖ア
ルコールであるエリスリトールが最近商品化され、一般
に入手できるようになった。このエリスリトールは極め
て低カロリーでかつ非う蝕性であるため、種々の食品
（例えばキャンディー、チョコレート、錠菓等）に利用
されている。また、前記した卓上タイプの液状甘味料に
ついてもエリスリトールと糖又は糖アルコールを配合し
て味質の改善と低カロリー化を図り、主にフォンダン等
への利用を目的としたメソ−エリスリトール微結晶含有
甘味料組成物（特開平１−２２５４５８号公報）、ある
いはエリスリトールと糖アルコールとを１：１〜１：４
の比率で含む固形分濃度が７０〜８５％の甘味料組成物
において、該組成物中に寒天又はファーセレランを０．
０１〜０．２％含有させることにより長期間安定な微結
晶含有流動甘味料組成物としたもの（特開平５−１３７
５３５号公報）が提案されている。しかしながら、これ
らの甘味料組成物は、いずれもエリスリトールの微結晶
が析出した状態でその安定化を図ったものであり、透明
な液状ではない。

【０００６】従って、本発明の目的は、前記した公知の
エリスリトール微結晶含有流動性甘味料組成物とは違っ
た状態の甘味料組成物、即ち、マルチトールなどの糖ア
ルコールの含有率や固形分濃度が比較的高い状態でも結
晶析出のない透明で低粘度の低カロリー液状甘味料組成
物を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく、配合組成や添加物等について広範な検討を
行った結果、マルチトール等の糖アルコールにエリスリ
トールを含有させることにより、当該主成分の糖アルコ
ールの含量を低下させ、しかも結晶析出の心配のない、
長期間透明な液状甘味料が得られるという新知見を得、
更に種々検討を重ねて本発明に到達したものである。本
発明は、エリスリトール１重量部に対してエリスリトー
ル以外の糖アルコールを４重量部以上、好ましくはエリ
スリトールとエリスリトール以外の糖アルコールとを
１：４〜１：２０、更に好ましくは１：７〜１：１２の
重量比で含み、固形分濃度が６０〜８０（Ｗ／Ｗ）％、
好ましくは６５〜７５（Ｗ／Ｗ）％である液状甘味料組
成物、好ましくは透明で低粘度で低カロリーの液状甘味
料組成物である。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物に配合されるエリスリトールは公知の市
販物質であり、四炭糖の糖アルコールで、水によく溶
け、結晶は白色であり、グラニュー糖様の外観を呈して
いる。甘味の強さは蔗糖の７５〜８０％程度であり、味
質は蔗糖に近く、更に非う蝕性で、緩下作用が弱く、糖
代謝に影響を与えず非消化性であるという生理的特徴を
有する。市販品には結晶性粉末品と顆粒品とがあるが、
本発明においてはいずれの形状のものでもそのまま使用
することができる。

【０００９】本発明の組成物に配合される糖アルコール
としては、非う蝕性の糖アルコールであるマルチトー
ル、マルトオリゴ糖還元物、イソマルトオリゴ糖還元
物、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、ソル
ビトール、グリセロール、ポリデキストロース還元物等
が用いられる。マルチトールとしては、現在、種々の品
質のものが市販されているが、本発明に於いては純度の
高い結晶品の他、ソルビトール、マルトトリイトール、
マルトテトライトール等を少量含む還元麦芽糖水飴（例
えば、「マルビット」日研化学株式会社製）等も使用す
ることができる。また、液状品イソマルトオリゴ糖還元
物としては、イソマルトース、イソマルトトリオース、
パノース等の還元物を含む液状製品（例えば、「エスイ
ー５００」日研化学株式会社製）等を使用することがで
きる。また、これらの糖アルコールは単独でも２種以上
の混合物としても使用できる。本発明では、これらの糖
アルコールのうち、二糖類アルコールであるマルチトー
ル又はマルチトールを主成分として含む還元麦芽糖水
飴、ソルビトール、キシリトール、イソマルチトール、
パラチニット、ラクチトール、ポリデキストロース還元
物等、特に好ましくはマルチトール、ラクチトール、還
元麦芽糖水飴又はポリデキストロース還元物を使用する
ことができる。

【００１０】また、本発明の甘味料組成物は、エリスリ
トールを含有しない固形分濃度が同一の従来の液状甘味
料組成物より粘性が低下するため、取り扱いが容易にな
るという特長を有する。しかしながら、所望により、従
来より使用されている増粘剤を更に配合することにより
目的とする粘性を有する液状品を得ることもできる。本
発明では、増粘剤を添加することにより、更に結晶の析
出し難いより安定な液状甘味料組成物を得ることができ
る。増粘剤としては、例えば、ローカストビーンガム、
カラヤガム、グルコマンナン、グァーガム、ペクチン、
アルギン酸、カラギーナン、ファーセレラン、寒天、オ
オバコ種子粘質物及びそれらの部分分解物等を使用する
ことができる。また、増粘剤は本発明に係る液状甘味料
組成物に対し、目的とする粘性が得られる量、例えば寒
天の場合には、０．００５〜０．５重量％程度添加使用
される。

【００１１】また本発明では、係る透明液状甘味料組成
物の味覚を増強または調整するために、必要に応じてレ
バウディオサイド、ステビオサイド、アスパルテーム、
アセスルファームＫ、サッカリンナトリウム（サッカリ
ン）、グリチルリチン、ソーマチン、甘草、ラカンカ等
の植物性又は合成の高甘味度甘味料を適宜配合すること
ができる。更に、本発明液状甘味料組成物の低カロリー
化のため、あるいは整腸効果を目的として、必要に応じ
てポリデキストロース、難消化性デキストリン、サイリ
ウム種皮、グアガム酵素分解物、低分子アルギン酸等の
食物繊維、又はフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、
乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、ゲン
チオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖類を適宜配合すること
ができる。

【００１２】本発明に係る液状甘味料組成物は、例え
ば、エリスリトールと糖アルコールとを前述の比率にな
るように配合した原料混合物に、所要量の水を加え、加
熱・混合して固形分濃度６０〜８０（Ｗ／Ｗ）％、好ま
しくは６５〜７５（Ｗ／Ｗ）％の糖液を調製し、次いで
この糖液に所望により適当量の高甘味度甘味料、増粘剤
及び／又は食物繊維を加えて均一に溶解したのち冷却
し、所望の容器に適宜分注し、必要に応じ密封すること
により製造することができる。本発明に係る液状甘味料
組成物を製造する際に於ける原料混合物の混合、溶解等
の操作は、いずれも従来から甘味料組成物の製造に使用
されている通常の方法をそのまま用いればよく、特に難
しい点はない。

【００１３】

【実施例】次に本発明の実施例及び試験例を示し、本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
及び試験例に限定されるものでないことはいうまでもな
い。実施例１エリスリトール（日研化学株式会社製、以下同様）１０
０ｇ、マルビット（日研化学株式会社製、固形分７５重
量％液状製品、以下同様）９３３ｇ及び水３３ｇを混合
し、６０℃で加熱溶解した後冷却し固形分濃度７５（Ｗ
／Ｗ）％の液状甘味料組成物を得た。この甘味料組成物
の甘味は同濃度の蔗糖液の約０．８倍であり、エネルギ
ー値は１４１ｋｃａｌ／１００ｇであった。このエネル
ギー値は同濃度の蔗糖液の３００ｋｃａｌ／１００ｇに
対して１／２以下であり厚生省通達の低カロリー食品に
適合している。また、粘度５５７ｃｐ、浸透性１．３２
倍（マルビット７５％液と比較）であり、エリスリトー
ルを混合することにより低粘化、高浸透圧化が図られた
（試験例３参照）。

【００１４】実施例２エリスリトール１００ｇに対し、マルビット１３３３ｇ
及び水３３ｇを用い、実施例１と同様にして固形分濃度
７５（Ｗ／Ｗ）％の液状甘味料組成物を得た。この甘味
組成物の甘味は同濃度の蔗糖液の約０．８倍であり、エ
ネルギー値は１４７ｋｃａｌ／１００ｇであった。この
組成物は、長期低温保存においてもエリスリトール及び
マルチトール結晶の析出は認められず安定であった（試
験例１参照）。

【００１５】実施例３エリスリトール１００ｇ、ラクチトール（無水物）４０
０ｇ（日研化学株式会社製）、レバウディオサイド６．
７ｇ（守田化学工業株式会社製）、及び水１６７ｇを混
合し、８０℃で加熱溶解した後冷却し固形分濃度７５
（Ｗ／Ｗ）％の液状甘味料組成物を得た。この甘味料組
成物の甘味は蔗糖の約２倍であり、エネルギー値は１２
３ｋｃａｌ／１００ｇであった。

【００１６】実施例４エリスリトール１００ｇ、ソルビトール２０ｇ、マルビ
ット８００ｇ、サッカリンナトリウム５．３ｇ、及び水
４０ｇを混合し、８０℃で加熱溶解した後冷却し固形分
濃度７５（Ｗ／Ｗ）％の液状甘味料組成物を得た。この
甘味料組成物の甘味は蔗糖の約２倍であり、エネルギー
値は１４２ｋｃａｌ／１００ｇであった。また、粘度は
５２２ｃｐであった。このエリスリトール、マルビッ
ト、ソルビトールの配合比では低温においても結晶の析
出は認められなかった（試験例２参照）。

【００１７】実施例５エリスリトール１００ｇ、マルビット９３２ｇ、寒天
０．４３ｇ及び水３３．５ｇを混合し、１００℃で加熱
溶解した後冷却し固形分濃度７０（Ｗ／Ｗ）％の液状甘
味料を得た。この甘味料組成物の甘味は同濃度の蔗糖液
の約０．８倍であり、エネルギー値は１３２ｋｃａｌ／
１００ｇであった。また、粘度は２２９ｃｐであった。

【００１８】実施例６エリスリトール１００ｇ、還元麦芽糖水飴８２０ｇ（固
形分当たり６２０ｇ）、ステビックス−Ｈ９．７ｇ（タ
マ生化学株式会社製）及び水４０ｇを混合し、１００℃
で加熱溶解した後冷却し固形分濃度７５（Ｗ／Ｗ）％の
液状甘味料組成物を得た。この甘味料組成物の甘味は蔗
糖の約２倍であり、同濃度の蔗糖液のエネルギー値３０
０ｋｃａｌ／１００ｇに対して１／２以下であり、エネ
ルギー値は１４３ｋｃａｌ／１００ｇであった。

【００１９】実施例７エリスリトール１００ｇ、還元麦芽糖水飴１１００ｇ、
ライテスIII（カルター社製ポリデキストロース）２０
０ｇ、サッカンナトリウム８．１ｇ及び水２０ｇを混合
し、１００℃で加熱溶解した後冷却し固形分濃度７５
（Ｗ／Ｗ）％の液状甘味料組成物を得た。この甘味料組
成物の甘味は蔗糖の約２倍で、エネルギー値は１３６ｋ
ｃａｌ／１００ｇであり、同濃度の蔗糖液のエネルギー
値３００ｋｃａｌ／１００ｇに対して１／２以下であっ
た。

【００２０】試験例１エリスリトールとマルビットを種々の割合で配合した７
５％液状甘味組成物について、１００ｍｌ容器に分注、
密封したうえ、５℃、２５℃に放置して、結晶析出の有
無を肉眼的に観察し、下記の基準により評価し、その結
果を表１に示した。結晶析出が認められないもの： − 結晶析出が微量に認められるもの（１〜１０個未満）：
± 結晶析出が少量に認められるもの（１０個以上〜容器の
底一面）：＋結晶析出が多量に認められるもの（容器半分以上）：
＋＋

【００２１】

【表１】

【００２２】試験例２エリスリトール、ソルビトール、マルビットを種々の割
合で配合した７５％液状甘味組成物について、２０ｍｌ
容器に分注、密封したうえ、５℃、２５℃に放置して、
結晶析出の有無を肉眼的に観察し、試験１と同様の基準
により評価し、その結果を表２に示した。

【００２３】

【表２】

【００２４】試験例３試験例１で調製した７５％液状甘味組成物と市販の液状
甘味料（マルビット，ハイマルビトー（日研化学株式会
社製））について３０℃における粘度を測定し、その結
果を表３にしめした。浸透性については、マルビット
（７５％液）を１とした場合の換算値を分子量比より算
出した。測定機種：ＶＩＳＣＯＭＩＣＥＬＤ（株式会社トキメ
ック製）

【００２５】

【表３】

【００２６】

【発明の効果】本発明の液状甘味料組成物は、低カロリ
ーでかつ非う蝕性である上に、糖アルコールやエリスリ
トールの結晶が析出せず一様に透明性が保持され、低粘
度で扱いやすく、浸透性が増強されることにより雑菌汚
染防止効果が増強される等の優れた性質を有し、更に厚
生省特別用途食品の中の病者用食品の基準に適合する低
カロリー食品である。また、本発明の液状甘味料組成物
は、長期間安定しており、流通、販売の過程で製品が変
質することが無いので商品価値が極めて高いものであ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エリスリトール１重量部に対してエリス
リトール以外の糖アルコールを４重量部以上含み、固形
分濃度が６０〜８０（ｗ／ｗ）％である液状甘味料組成
物。
【請求項２】エリスリトールとエリスリトール以外の
糖アルコールとを１：４〜１：２０の重量比で含み、固
形分濃度が６５〜７５（ｗ／ｗ）％である請求項１記載
の液状甘味料組成物。
【請求項３】エリスリトールとエリスリトール以外の
糖アルコールとを１：７〜１：１２の重量比で含む請求
項２記載の液状甘味料組成物。
【請求項４】エリスリトール以外の糖アルコールがマ
ルチトール、ソルビトール、イソマルチトール、キシリ
トール、パラチニット、ラクチトール、還元麦芽糖水飴
又はポリデキストロース還元物である請求項１ないし請
求項３記載の液状甘味料組成物。
【請求項５】エリスリトール以外の糖アルコールがマ
ルチトール、ラクチトール又は還元麦芽糖水飴である請
求項４記載の液状甘味料組成物。
【請求項６】エリスリトール以外の糖アルコールが還
元麦芽糖水飴とソルビトールの混合物である請求項４記
載の液状甘味料組成物。
【請求項７】エリスリトール以外の糖アルコールが還
元麦芽糖水飴とポリデキストロース還元物の混合物であ
る請求項４記載の液状甘味料組成物。
【請求項８】更に増粘剤を含むことを特徴とする請求
項１ないし請求項７記載の液状甘味料組成物。
【請求項９】更に高甘味度甘味料を含むことを特徴と
する請求項１ないし請求項８記載の液状甘味料組成物。
【請求項１０】更に食物繊維を含むことを特徴とする
請求項１ないし請求項９記載の液状甘味料組成物。
【請求項１１】液状甘味料組成物のエネルギー値が固
形分換算で２００ｋｃａｌ／１００ｇ以下であることを
特徴とする請求項１ないし請求項１０記載の低カロリー
の液状甘味料組成物。