JP3655965B2 - 結晶ケストース含有キャンデー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶ケストースを含有するハードキャンデーに関し、砂糖と水飴を使用した通常のハードキャンデーと比較して同等の吸湿性であり、結晶が生成しにくく、カリッとした食感を有し、且つフラクトオリゴ糖の機能性をも有するシュガーレスタイプキャンデーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードキャンデーは砂糖と水飴を主な配合原料としており、これに着色料、油脂、酸味料、香料等の各種副原料を配合して製造されたもので、代表的な食品の一つである。しかし通常のハードキャンデーは砂糖と水飴が主原料であるため、非常に高カロリーの食品でもある。さらに砂糖の配合量を多くすると組織が硬くなってひびわれを起こしたりハードキャンデー中に結晶が生成して、その食感を悪化させ商品価値を下げるという問題があった。
【0003】
一方、近年のダイエット志向に基づく摂取カロリーの低減、あるいは嗜好の多様化に伴う甘さ離れ、さらにはう蝕性等の見地から、キャンデーの分野においても砂糖の使用量をどのように減らすか、あるいは砂糖に替わる他の甘味料をいかに使用するかが課題となってきている。すなわち砂糖に替わる甘味料を用いたシュガーレスタイプキャンデーの開発が行われつつある。
【0004】
そこで砂糖に替わる甘味料として、例えばマルチトールやエリスリトール等の糖アルコールを使用することが考えられる。例えばマルチトールを使用した例があるが(特公昭62−6580号公報)、マルチトールを多く含有させると吸湿性が高くなり且つ保形性も悪くなるため、包装材料の制約がありまた製造上の工夫も必要になる。またエリスリトールを使用した例もあるが(特開平1−47348号公報、特開平4−320647号公報)、エリスリトールを多く含有させるとキャンデーが脆くなり、製造工程や流通過程等において破損しやすくなるため、前記出願はこれらの欠点を改良したものである。さらにソルビトールとポリオール等を使用した例もあるが(特開平4−304846号公報)、重合度20以上のポリオールを含有するため生地の粘度が高くなるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、オリゴ糖は腸内でのビフィズス菌増殖促進作用、整腸作用、低カロリー、難う蝕性等の優れた生理効果を有することから、食品分野における新しい機能性甘味料の1つとして注目されている。現在商品化されているオリゴ糖は、原料の糖や複数のオリゴ糖の混合物であり、シロップ状もしくは非結晶の粉末のものが多い。一般にキャンデーの配合原料として用いる場合には、粉末状のものが有利である。しかしオリゴ糖の粉末は吸湿性が強いため、これをそのままキャンデーの配合原料として用いると、先に述べた糖アルコール等と同様に吸湿による固結を起こしたり、あるいは保存中の品質劣化を来す等の問題点があった。
【0006】
そこで、砂糖と水飴を使用した通常のハードキャンデーと比較して同等の吸湿性であり、結晶が生成しにくく、食感に優れ、且つオリゴ糖の機能性をも有するシュガーレスタイプキャンデーの開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、甘味料としてフラクトオリゴ糖の一成分である結晶ケストースを用いることにより、砂糖と水飴を使用した通常のハードキャンデーと比較して同等の吸湿性であり、結晶が生成しにくく、しかもカリッとした食感を有し、且つフラクトオリゴ糖の機能性をも有するシュガーレスタイプキャンデーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、結晶ケストースを含有することを特徴とするハードキャンデーに関するものである。
【0009】
フラクトオリゴ糖はショ糖のフラクトース残基に1〜3分子のフラクトースが結合した糖の混合物である。ケストースはこの中で1分子のフラクトースが結合した3糖類であり、いわゆる1−ケストースのことをいう。2分子のフラクトースが結合したニストース、3分子のフラクトースが結合した1F−フラクトフラノシルニストースと共に、ケストースはビフィズス菌増殖促進作用、整腸作用、難う蝕性等の優れた生理効果を有し、且つ低カロリー、低甘味であることが知られている。
【0010】
本発明者らは、フラクトオリゴ糖の新たな用途、中でも結晶ケストースの新たな用途についてかねてより研究してきたが、この結晶ケストースを用いたハードキャンデーに関する報告は今までにはなく、しかも吸湿性、結晶生成、食感、物性等の課題を解決したことにおいては、本発明を最初とする。
【0011】
フラクトオリゴ糖の粉末は吸湿性があるため、本発明の目的のためには適さない。そこで本発明においては吸湿性がなく砂糖に近い物性を有する結晶ケストースを用いる。結晶ケストースの純度は90%以上であればよく、特に94%以上が好ましい。90%未満であると、ニストースや1F−フラクトフラノシルニストース等の割合が多くなり、砂糖と同じ物性が保てなくなる。
【0012】
ハードキャンデーは砂糖と水飴を主な配合原料としており、これに着色料、油脂、酸味料、香料等の各種副原料を配合したものであるが、本発明においては配合する糖類の一部を結晶ケストースに代替したものをいう。
【0013】
【発明の実施の形態】
結晶ケストースの含有量は、ハードキャンデーの種類、甘味度等を考慮して適宜選択し得るが、糖類の全配合量に対し30〜90重量%とすることが好ましい。30重量%未満であると、本発明としての効果が得られにくくなる。90重量%を越えると、結晶が生成し嗜好性が著しく低下する。なお本発明の目的から逸脱しない範囲であれば、低カロリー、難う蝕性等の性質を有するその他の甘味料の1種又は2種以上を併用してもよい。例えばアスパルテーム等の非糖類甘味料あるいはマルチトール等の糖アルコールを適宜併用してもよい。
【0014】
本発明のハードキャンデーの製造は従来の方法、設備等をそのまま適用できる。すなわち結晶ケストースは砂糖に近い物性を有するため、通常のハードキャンデーと同様の製造方法、設備等を適用できる。
【0015】
このようにして得られた本発明の結晶ケストースを含有するハードキャンデーは、以下の実施例に示す如く、通常の原料以外の特定の他の原料を特に使用しなくても砂糖と水飴を使用した通常のハードキャンデーと比較して同等の吸湿性であり、結晶が生成しにくく、しかもカリッとした食感を有し、且つフラクトオリゴ糖の機能性をも有するものである。
【0016】
【実施例】
以下、実施例をあげて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0017】
実施例1 キャンデーの調製及び結晶生成試験
糖類98.7%とハーブエキス1.3%を加え混合し、常法に従いハードキャンデーを調製し、評価試料とした。なお糖類としては、結晶ケストースと砂糖(ショ糖)を使用し、結晶ケストースと砂糖(ショ糖)の配合割合を変えて表1に示す如く7種類の試料を作成した。保存条件はプラスチックフィルム包装で30℃、相対湿度80%で1ケ月保存し、キャンデー表面を外観検査し、結晶の有無を観察した。
【0018】
結果を表1に示す。糖類の全配合量に対し、結晶ケストース90重量%までは結晶の生成は認められず、結晶ケストース高含有キャンデーの優れた性質が確認された。糖類の全配合量に対してショ糖の割合が77重量%以上ではキャンデー中に結晶が生成し、食感の低下が見られた。
【0019】
【表1】
Figure 0003655965
【0020】
実施例2 キャンデーの調製及び吸湿試験
実施例1と同様にハードキャンデーを調製し、評価試料とした。なお糖類としては結晶ケストース、ショ糖、マビット(林原商事)、水飴(ハイマル(参松工業)を使用した。)の配合割合を変えて表2に示す如く4種類の試料を作成した。保存条件は裸品で25℃、相対湿度51%で28日間保存し、キャンデーの重量変化を測定した。
【0021】
結果を表2に示す。本発明の結晶ケストース高含有キャンデーの試料1および2は、一般タイプのハードキャンデーである試料3とほぼ同等の吸湿性を示した。マルチトール高含有キャンデーの試料4は他の試料と比較して高い吸湿性を示した。
【0022】
【表2】
Figure 0003655965
【0023】
実施例3 キャンデーの調製及び硬度・たわみ試験
実施例2と同様に糖類の配合割合を変えてハードキャンデーを調製し、表3に示す如く4種類の試料を作成した。硬度・たわみはレオダイナコーダ(アイテクノ・エンジニアリング製)により測定した。
【0024】
結果を表3に示す。本発明の結晶ケストース高含有ハードキャンデーの試料1および2は、ともに適度な硬度とたわみを有し、カリッとした食感(ブリットルネス)が優れ、粘りが少ないものであった。一方、試料3および4は粘りが強く歯に付きやすい欠点があった。
【0025】
【表3】
Figure 0003655965
【0026】
【発明の効果】
本発明に従えば、甘味料として結晶ケストースを用いることにより、特定の他の原料を使用したりあるいは特定の処理をすることなく、砂糖と水飴を使用した通常のハードキャンデーと比較して同等の吸湿性であり、結晶が生成しにくく、しかもカリッとした食感を有し、且つフラクトオリゴ糖の機能性をも有するシュガーレスタイプキャンデーを、簡便に提供することができる。本発明のキャンデーであれば難う蝕性であり、しかも無理なく摂取カロリーの低減をはかることができる。さらにビフィズス菌の増殖促進、便通の改善等をはかることもでき、健康促進に大いに貢献するものである。

Claims (2)

  1. 純度90%以上である結晶1−ケストースを、糖類の全配合量の30〜90重量%添加したことを特徴とするキャンデー。
  2. 純度90%以上である結晶1−ケストース以外に添加される糖類が、ショ糖またはマルチトールである請求項1に記載のキャンデー。
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