JPH1161050A - 板状材料の補強方法及び部材のシール方法 - Google Patents

板状材料の補強方法及び部材のシール方法

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JPH1161050A
JPH1161050A JP9167117A JP16711797A JPH1161050A JP H1161050 A JPH1161050 A JP H1161050A JP 9167117 A JP9167117 A JP 9167117A JP 16711797 A JP16711797 A JP 16711797A JP H1161050 A JPH1161050 A JP H1161050A
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Japan
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adhesive sheet
curable
light
reinforcing
sheet
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JP9167117A
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Masaru Nakayama
勝 中山
Akira Nakasuga
章 中寿賀
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れ、熱に弱い板状材料や薄い
板状材料の補強に好適に用いることができ、板状材料を
簡便に補強し得る補強方法を提供する。 【解決手段】 アクリル系ポリマーと、エポキシ基を有
する化合物と、光カチオン重合開始剤とを含む硬化型補
強用粘接着シートを用いて板状材料を補強するにあた
り、硬化型補強用粘接着シートを板状材料に貼付する際
に、硬化型補強用粘接着シートに300〜370nmの
波長の光を照射する、板状材料の補強方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板状材料の補強方
法及び部材のシール方法に関し、より詳細には、貯蔵安
定性に優れかつ熱に弱い板状材料にも適用が可能な硬化
型粘接着シートを用いた板状材料の補強方法及び部材の
シール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、板状部材等を補強するために、板
状部材に貼付・固定される補強用接着シートが用いられ
ている。この種の補強用接着シートでは、シート基材の
一面に接着層が設けられており、該接着層を構成する接
着剤としては、硬化剤であるジシアンジアミドを単独で
用いたもの、あるいは尿素系もしくはイミダゾール系化
合物とジシアンジアミドとを併用した潜在性硬化剤を用
いたエポキシ樹脂組成物が利用されている。この種のエ
ポキシ樹脂組成物は、長期間にわたる貯蔵安定性に優れ
ていることが知られている。
【0003】上記エポキシ樹脂組成物では、硬化剤や硬
化促進剤の融点が高いため、並びにこれらとエポキシ樹
脂との相溶性が低いため、常温では反応し難く、従って
貯蔵安定性に優れている。
【0004】しかしながら、上記エポキシ樹脂組成物が
40〜60℃程度の比較的高温にさらされると、反応が
起こり、数日〜2週間程度で貯蔵安定性が損なわれるこ
とがあった。また、貯蔵安定性に劣るエポキシ樹脂組成
物は、貯蔵時のゲル化により、作業性が低下するだけで
なく、接着強度も低下するという問題があった。さら
に、エポキシ樹脂組成物は、加熱により溶融もしくは溶
解され、硬化剤及び硬化促進剤とエポキシ樹脂との両者
を反応させるものであるため、プラスチックのような耐
熱性の低い被着体に対して用いることが困難であり、適
用できる材料に制限があった。
【0005】他方、住宅、建材及び車両用部材の組立工
程においては、部材間に隙間が生じることが多かった。
例えば、車両分野においては、このような隙間から水や
湿気が内部に侵入すると、部材や内部に配置されている
部品等に錆が発生し、車両駆体強度が低下するという問
題があった。同様に、住宅・建材分野において、木質部
材間に隙間が生じた場合には、木質部材が腐って駆体強
度が低下したり、かび等の発生により人の健康を害した
りするおそれがあった。
【0006】上記のような問題を解決するために、従
来、部材間の隙間をシール材によってシールする方法が
一般的に用いられている。従来のシール法としては、
発泡体シートからなる支持体の両面に粘着剤層を形成し
てなる発泡体両面粘着テープを用いたシール方法、硬
化性のゲル状接着剤からなる弾性シーリング材を部材間
に充填する方法などがある。
【0007】発泡体両面粘着テープを用いるシール方
法では、部材間に発泡体両面粘着テープを挟み混んだ際
に発泡体に加わる歪みにより、経時によって部分的な剥
離が生じたり、粘着剤の被着体側への流動性が十分でな
いために界面にミクロ的な隙間が生じ、そこから湿気や
水分が侵入し、部材の強度を低下させたりするという問
題があった。
【0008】また、弾性シーリング材を用いるシール
方法では、例えば、住宅の壁などの接合部分のシールを
行おうとすると、ダレが生じ、シーリング材が充填され
ていない隙間が残るという問題があった。さらに、弾性
シーリング材には、1液型のものと、室温硬化性の2液
型のものとが存在するが、1液型の弾性シーリング材で
は硬化までの時間が長く、固定治具を用いて仮止めしな
ければならなかった。従って、部材の組立ラインの生産
性を低下させるという問題があった。
【0009】他方、2液型の弾性シーリング材は室温に
て短時間で硬化するものの、配合した後にゲル化するま
での時間が短いため、接合作業可能な時間が短かった。
そのため、弾性シーリング材が部材間に貼付する前に硬
化し、部材に弾性シーリング材を接合できないことがあ
った。
【0010】また、弾性シーリング材一般の問題とし
て、接合部分からのシーリング材のはみ出しにより、美
観を損なうこと、あるいは被着体によってはシーリング
材の低分子成分によって軟化したり、変形したりするこ
となどの問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の欠点を解消し、より一層貯蔵安定性に優
れた補強用シートを用いて、作業性及び強度を高めるこ
とができ、かつ熱に弱い板状材料にも適用し得る板状材
料の補強方法を提供することにある。
【0012】本願発明の他の目的は、上述した従来のシ
ール方法の欠点を解消し、作業性及び部材間のシール性
に優れ、かつシール部分の外観を損ない難い、部材のシ
ール方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係る板状材料の補強方法は、アクリル系ポリマーと、エ
ポキシ基を有する化合物と、光カチオン重合開始剤とを
含み、光の照射により硬化され得る組成物を成形してな
る硬化型補強用粘接着シートを用いて板状材料を補強す
るにあたり、硬化型補強用粘接着シートを板状材料に貼
り合わせる際に、硬化型補強用粘接着シートに300〜
370nmの波長の光を照射することを特徴とする。
【0014】請求項2に記載の発明は、部材のシール方
法であって、アクリル系ポリマーと、エポキシ基を有す
る化合物と、光カチオン重合開始剤とを含み、光の照射
により硬化され得る組成物を成形してなる硬化型粘接着
シートを用いて2つの部材間をシールする方法であっ
て、硬化型粘接着シートを用いて2つの部材を貼り合わ
せるに際し、硬化型粘接着シートに300〜370nm
の波長の光を照射することを特徴とする。
【0015】以下、本発明(請求項1,2に記載の発
明)の詳細を説明する。 (アクリル系ポリマー)本発明において、上記アクリル
系ポリマーは、硬化型補強用粘接着シートもしくは硬化
型粘接着シートに感圧接着性を与えるために用いられて
いる。この場合、感圧接着性を与えるために、硬化型補
強用粘接着シートもしくは硬化型粘接着シートは、12
0℃の雰囲気下でボールタックが1以上あるように構成
されることが好ましく、より好ましくは室温で3以上と
なるように構成される。
【0016】感圧接着性を得るには、被着体に対する濡
れ性と凝集力とのバランスが適切であることが必要であ
る。そこで、凝集力を得るために、上記アクリル系ポリ
マーが用いられる。
【0017】特に、本発明においては、ガラス転移点が
低いアルキル(メタ)アクリレートを主成分とするアク
リル系ポリマーが、該ポリマー単体で適度な感圧接着性
を発揮し得るため好適に用いることができる。上記アク
リル系ポリマーは、複数種併用してもよい。
【0018】上記アクリル系ポリマーとしては、例え
ば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)ア
クリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレ
ート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、2−〔(メタ)アクリロイルオキ
シ〕エチル、2−ヒドロキシエチルフタル酸等の−OH
基を持った化合物や、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブ
チル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル
(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレー
ト、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ
ート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのモ
ノマーの単独重合体や共重合体を例示することができ
る。
【0019】アクリル系共重合体をアクリル系ポリマー
として用いる場合には、上記(メタ)アクリレートモノ
マーと、これに共重合可能な不飽和結合を有するモノマ
ーとの共重合体が用いられる。
【0020】もっとも、後述のエポキシ基を有する化合
物と非反応性であるアクリル系ポリマーが、貯蔵安定性
を高める点から好ましい。従って、上記アクリル系ポリ
マーとして、(メタ)アクリレートモノマーと、該(メ
タ)アクリレートモノマーと共重合可能な不飽和結合を
有するモノマーとの共重合体を用いる場合、不飽和結合
を有するモノマーとして、アクリル酸やメタクリル酸の
ようなカルボキシル基を有する化合物や酸無水骨格を有
する無水マレイン酸等の化合物を用いることは好ましく
ない。
【0021】上記アクリル系ポリマーの分子量について
は、特に限定されるわけでないが、硬化型補強用粘接着
シートもしくは硬化型粘接着シートの形状を保持するた
めには、重量平均分子量が40万以上であることが望ま
しい。
【0022】上記アクリル系ポリマーの製造方法につい
ても特に限定されるわけではないが、モノマー種が限定
されないため、ラジカル重合により得られるアクリル系
ポリマーを用いることが望ましい。
【0023】上記ラジカル重合によりアクリル系ポリマ
ーを生成させる場合には、アクリル系ポリマーを構成す
るためのラジカル重合されるモノマー成分と、ラジカル
重合開始剤と、後述のエポキシ基を有する化合物と、光
カチオン重合開始剤とを含む組成物をシート成形した
後、ラジカル重合を行うことにより、シート中にアクリ
ル系ポリマーを生成させることができる。
【0024】他方、上記アクリル系ポリマーを構成する
ためのモノマー成分をラジカル重合開始剤を用いてラジ
カル重合し、予めアクリル系ポリマーを得た後に、該ア
クリル系ポリマーと、エポキシ基を有する化合物と、光
カチオン重合開始剤とを含む組成物を調製し、シート形
成することにより、硬化型補強用粘接着シートもしくは
硬化型粘接着シートを得てもよい。
【0025】上記ラジカル重合によりアクリル系ポリマ
ーを生成させる方法については、熱を利用してもよく、
あるいは光を利用してもよい。熱を利用してラジカル重
合を起こさせる場合には、重合開始剤として、AIBN
(2,2´−アゾビス−イソブチロニトリル)、AMB
N(2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル)
などのアゾ化合物;BPO(過酸化ベンゾイル)、LP
O(過酸化ラウロイル)などのパーオキサイド化合物な
どの汎用の熱ラジカル重合開始剤を用いることができ
る。
【0026】また、光ラジカル重合を行う場合には、重
合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケト
ン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノ
ン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2
−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体
化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピ
ルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジ
ルジメチルケタールなどのケタール誘導体化合物;ハロ
ゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフ
ォスフォナート;ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシド類などを例示することができる。
【0027】(エポキシ基を有する化合物)本発明で
は、硬化型補強用粘接着シートもしくは硬化型粘接着シ
ートに光を照射して硬化させるために、上記エポキシ基
を有する化合物が配合されている。すなわち、エポキシ
基を有する化合物が、光カチオン重合開始剤に光を照射
して生成したカチオン生成種により開環重合し、硬化型
補強用粘接着シートもしくは硬化型粘接着シートが硬化
する。
【0028】上記エポキシ基を有する化合物としては、
エポキシ樹脂が好適に用いられる。このエポキシ樹脂と
しては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フ
ェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、グリ
シジルエーテル型、グリシジルアミン型等のエポキシ樹
脂を挙げることができる。
【0029】また、エポキシ基含有オリゴマーも好適に
用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキ
シオリゴマー(例えば、油化シェルエポキシ社製、エピ
コート1001、1002等)を挙げることができる。
【0030】さらに、上記エポキシ基含有モノマーやオ
リゴマーの付加重合体を用いてもよく、例えば、グリシ
ジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリ
シジル化アクリルなどを挙げることができる。
【0031】さらに、これらに他の樹脂成分などを配合
したり、付加したりして可撓性を高めたり、接着力や屈
曲力の向上は図ってもよく、このような変性体として
は、CTBN(末端カルボキシル基含有ブタジエン−ア
クリロニトリルゴム)変性エポキシ樹脂;アクリルゴ
ム、NBR、SBR、ブチルゴム、もしくはイソプレン
ゴムなどの各種ゴムを樹脂分散させたエポキシ樹脂;上
記のような液状ゴムで変性されたエポキシ樹脂;アクリ
ル、ウレタン、尿素、ポリエステル、スチレンなどの各
種樹脂を添加してなるエポキシ樹脂;キレート変性エポ
キシ樹脂;ポリオール変性エポキシ樹脂などを用いるこ
とができる。
【0032】(光カチオン重合開始剤)本発明におい
て、上記光カチオン重合開始剤は、光を照射されること
により活性化され、光カチオン重合開始物質を発生する
ものであり、光の照射により重合を開始し得るので、比
較的低エネルギーで重合を開始することができる。
【0033】上記光としては、紫外線や可視光など適宜
の光を用いることができるが、300nm以上、370
nm以下の波長の光が用いられる。上記光カチオン重合
開始剤としては、使用する波長の光によりエポキシ基の
開環反応を誘発し得る限り、特に限定されるわけではな
いが、300〜370nmの波長の光によりエポキシ基
の開環反応を誘発し、かつ370nmを超える波長領域
で非活性な化合物が好ましく用いられ、このような化合
物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハ
ロニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩類
を挙げることができる。このようなオニウム塩類の具体
的な例としては、例えば、オプトマーSP−150(旭
電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業
社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス
社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイ
ドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI
−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−10
0L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達
社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−26
24(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社
製)などを例示することができる。
【0034】なお、上記光カチオン重合開始剤は、単独
で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さら
に、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤
を用い、2段階硬化させてもよい。
【0035】なお、本発明において用いられる硬化型補
強用粘接着シートもしくは硬化型粘接着シートには、本
発明の目的を阻害しない範囲で、公知の増粘剤、充填
剤、着色剤及び難燃剤等を含有させてもよい。
【0036】(配合割合)本発明に係る硬化型補強用粘
接着シートもしくは硬化型粘接着シートでは、上記アク
リル系ポリマーと、エポキシ基を有する化合物との配合
割合については、目的とする初期接着力、硬化後の接着
強度などに応じて適宜定められ、特に限定されるもので
はないが、好ましくは、アクリル系ポリマー100重量
部に対し、エポキシ基を有する化合物は10〜300重
量部の割合で配合される。
【0037】エポキシ基を有する化合物の配合割合が1
0重量部未満の場合には、光を照射して硬化させたとし
ても十分な接着強度を得ることができないことがあり、
300重量部を超えると、アクリル系ポリマーの相対的
な配合割合が低下し、十分な初期接着力を得ることがで
きないことがある。
【0038】また、上記光カチオン重合開始剤の配合割
合についても、その種類によって異なるため、特に限定
されるものではないが、好ましくは、エポキシ基を有す
る化合物100重量部に対し、光カチオン重合開始剤は
0.01〜5重量部の範囲とされる。光カチオン重合開
始剤の割合が0.01重量部未満の場合には、光を照射
してもエポキシ基の開環反応を十分に進行させることが
できないことがあり、接着強度の高い接着硬化物を得る
ことができないことがあり、5重量部を超えて配合した
としても、硬化を進行させる作用がそれ以上に高まら
ず、逆に初期粘着力が低下することがある。
【0039】(硬化型補強用粘接着シートもしくは硬化
型粘接着シートの成形)上記アクリル系ポリマー、エポ
キシ基を有する化合物及び光カチオン重合開始剤を含む
シートを成形する方法については、特に限定されず、従
来から用いられている一般的な塗工技術を採用すること
ができる。例えば、上記各成分を含む組成物を溶剤に
溶かし、塗工し、乾燥させることにより硬化型粘接着シ
ートを得る方法や、アクリル系ポリマーの原料となる
モノマーとエポキシ基を有する化合物と光カチオン重合
開始剤と光ラジカル重合開始剤とを含む組成物を塗工し
た後、光カチオン重合開始剤へのエネルギー移動を起こ
さないが、光ラジカル重合反応を引き起こす長波長の紫
外線を照射し、バルク重合させる方法などを挙げること
ができる。
【0040】光ラジカル重合及び光カチオン重合を開始
させる際に用いられる光源としては、特に限定されず、
例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧
水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイ
クロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを
用いることができる。この場合、表層部分のみの硬化を
防止し、内部硬化を促進するには、320nm以下の波
長の光をカットして照射することが望ましい。
【0041】(基材シート)請求項1に記載の発明に係
る板状材料の補強方法において用いられる上記硬化型補
強用粘接着シートは、補強効果を高めるために、片面に
基材シートが積層されているものであってもよい。言い
換えれば、基材シートの片面に上記硬化型補強用粘接着
剤層が設けられているものであってもよい。
【0042】上記基材シートについては、従来より補強
用接着テープなどにおいて用いられている公知の材料を
用いることができる。例えば、ガラス繊維からなるガラ
スクロス、プラスチックフィルム、金属シート、剥離性
フィルム、プラスチックフォームなどを挙げることがで
き、これらは単層で用いてもよく、複数層積層して用い
てもよい。
【0043】さらに、各種熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹
脂に、ガラス繊維、セルロース系繊維、レーヨンなどの
プラスチック繊維または金属繊維などを含浸処理した各
種繊維補強材を用いてもよい。
【0044】上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂など
を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、エチレン
−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニ
ル−塩化ビニル共重合体樹脂などを挙げることができ
る。
【0045】上記のように基材シートの片面に硬化型粘
接着剤層を形成してなる硬化型補強用粘接着シートの場
合には、硬化型粘接着剤層の厚みは、0.5〜4mm程
度に設定することが好ましく、より好ましくは0.8〜
3mm程度である。
【0046】同様に、請求項2に記載の発明に係る部材
のシール方法において用いられる上記硬化型粘接着シー
トは、合成フィルムや布などの適宜の基材の両面に粘接
着剤層を形成した形態のものであってもよい。この場合
の基材としては、レーヨン系もしくはセルロース系など
の各種不織布;ポリエチレン、ポリエステル、セロハ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ナイ
ロン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネートなどの各種合成樹脂よりなるフィ
ルムもしくはシート;発泡ポリエチレン、発泡ウレタ
ン、発泡ネオプレン、発泡塩化ビニルなどの各種発泡
体;天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、フッ化エチ
レンゴムなどの各種ゴムよりなるシート;鋼、ステンレ
ス、銅、アルミニウムなどの各種金属からなるシートな
どを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0047】(請求項1に記載の発明における板状材料
への接着)上記硬化型補強用粘接着シートは、好ましく
は、硬化型粘接着剤層面に、表面が離型処理された剥離
シートを貼付した積層体として保管される。
【0048】板状材料を補強する際の付着に際しては、
通常、上記剥離シートを硬化型粘接着剤層から剥離し、
板状材料に貼付する際、すなわち貼付する前に、もしく
は貼付後に、光カチオン重合を起こすのに十分な光を照
射する。すなわち、板状材料に貼付する前に、硬化型
粘接着剤層表面に光カチオン重合を開始し得るのに十分
な光を照射してから、板状材料に貼付してもよく、ある
いは板状材料に硬化型粘接着シートを貼付した後に、
光を照射してもよい。もっとも、硬化型補強用粘接着シ
ートが基材シートを有するように構成されている場合に
は、基材シートにおいて光が吸収されるため、後者の方
法では硬化速度が遅くなる。従って、基材シートを有す
る硬化型補強用粘接着シートの場合には、の方法に従
って、貼付前に光を照射することが望ましい。
【0049】光の照射に際しては、300nm〜370
nmの波長の光が用いられる。300nm未満では、内
部未硬化のため、十分な粘着力が発現しないことがあ
り、370nmを超えると、光のエネルギーを吸収せ
ず、硬化しないことがある。
【0050】また、好ましくは、光照射後に、暗反応に
おける硬化の進行が25℃において7日後のエポキシ基
の転化率が50〜100%の範囲となるように硬化させ
る。エポキシ基転化率が50%未満の場合には、接着強
度が十分に大きくならないことがある。
【0051】なお、エポキシ転化率は、下記の要領で測
定される。 (エポキシ基の転化率)エポキシ基の含有量は、塩酸−
ジオキサン法と呼ばれる方法により定量できる。すなわ
ち、所定量の硬化型補強用粘接着シートに対して、塩化
水素ジオキサン溶液、エタノールを1対1の割合で加
え、室温で5時間程度攪拌した後、未反応の塩化水素を
水酸化カリウムで逆滴定を行い求める。エポキシ基含有
量Z(mol/g)を求める計算式は次のようになる。
【0052】Z(mol/g)=(S1 −S2 )×C×
f/(Ws ×1000) S1 (mL):本試験に要した水酸化カリウムのエタノ
ール溶液の滴定量 S2 (mL):空試験に要した水酸化カリウムのエタノ
ール溶液の滴定量 C(mol/L):滴定に用いた水酸化カリウムのエタ
ノール溶液の濃度 f:滴定に用いた水酸化カリウムのエタノール溶液のフ
ァクター WS (c):滴定試料の採取量 但し、滴定試料にカルボキシル基等の酸を有するとき
は、予め酸の濃度を求めておき、その値をZから減じた
値が、エポキシ基含有量となる。
【0053】上記エポキシ基の転化率(Conv
(%))は以下の式により求めた。 Conv(%)=(Z0 −Z1 )/Z0 ×100 Z0 (mol/g):光を照射する前の硬化型補強用粘
接着シートのエポキシ基含有量 Z1 (mol/g):光を照射した後のある時間の硬化
型補強用粘接着シートのエポキシ基含有量 但し、Z0 及びZ1 は上記で示した塩酸−ジオキサン法
により求める。
【0054】(板状材料)請求項1に記載の発明の板状
材料の補強方法が適用される板状材料については特に限
定されず、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニ
ル樹脂等の合成樹脂、銅、ステンレス、鉄などの金属、
木または紙など適宜の材料からなる板状材料を補強する
のに用いることができる。
【0055】さらに、300nm〜370nmの波長の
光を用いるので、開始剤が十分にエネルギーを吸収でき
るため、光カチオン重合開始剤を確実に活性化させるこ
とができると共に、全体が均一に硬化できる。
【0056】(請求項2に記載の発明における部材のシ
ール)請求項2に記載の発明における部材のシール方法
では、上記のようにして得られる硬化型粘接着シートを
用いて部材間のシールを施す。通常、上記硬化型粘接着
シートは、粘接着剤層表面に剥離シートを貼り合わせて
なる積層体として保管されており、次のようにして用い
られる。
【0057】すなわち、使用に先立ち、一方の剥離シー
トを粘接着剤層から剥離し、剥離シートの剥離により露
出された粘接着剤層表面に光を照射し、しかる後、部材
に貼付し、2つの部材を接合させる。あるいは、硬化型
粘接着シートを一方の部材に貼付した後、新しく露出さ
れた粘接着剤層表面に光を照射した後、他方の部材を貼
付し、2つの部材を接合してもよい。
【0058】光の照射に際しては、300〜370nm
の波長の光が用いられる。この範囲の波長の光を用いる
のは、請求項1に記載の発明と同様の理由による。ま
た、請求項2に記載の発明においても、好ましくは、光
照射後に、暗反応における硬化の進行が25℃において
7日後のエポキシ基の転化率が50〜100%の範囲と
なるように硬化させる。エポキシ基転化率が50%未満
の場合には、接着強度が十分に大きくならないことがあ
る。
【0059】(請求項2に記載の発明が適用される部
材)請求項2に記載の発明に係る部材のシール方法が適
用される部材についても特に限定されず、例えば、化粧
鋼板、各種金属材、各種プラスチックよりなる部材、木
材など任意である。また、請求項2に記載の部材のシー
ル方法は、異種の部材間のシールにも好適に用いられ
る。
【0060】作用 請求項1に記載の発明では、上記硬化型補強用粘接着シ
ートを板状材料に貼付し、硬化させることにより板状材
料を補強するが、硬化型補強用粘接着シートは上記特定
の組成を有し、アクリル系ポリマーが十分な凝集力及び
粘着性能を発揮するため、板状材料に対して容易に貼付
することができ、過酷な温度条件等を必要としない。
【0061】また、300〜370nmの波長の光を照
射することにより、光カチオン重合開始剤が活性化し、
エポキシ基を有する化合物の開環重合が進行し、硬化が
進行する。もっとも、この硬化反応は急速に進行しない
ため、光を照射してから硬化型補強用粘接着シートを板
状材料に貼付する場合であっても、該シートの粘着力を
利用して、上記のとおり容易にかつ確実に板状材料に貼
り合わせることができる。
【0062】上記硬化が進行し、硬化が完了すると、板
状材料に対して硬化型補強用粘接着シートが強固に接合
されると共に、硬化型補強用粘接着シートの物性により
板状材料が確実に補強される。
【0063】同様に、請求項2に記載の発明において
は、上記硬化型粘接着シートが初期状態では十分な粘着
性を有するため、シールすべき部材に対して容易に貼付
することができる。さらに、光の照射により、光カチオ
ン重合開始剤が活性化し、エポキシ基を有する化合物の
開環重合が進行し、硬化が進行する。従って、部材間を
確実に接合し、部材間の隙間をシールする。
【0064】もっとも、硬化が急速に進行しないため、
硬化型粘接着シートの貼付は、光照射後でも容易に行う
ことができ、貼り直しも容易である。さらに、硬化が急
速に進行しないため、硬化型粘接着シートの接着剤成分
が部材の表面の凹凸に容易に進入するため、部材間の隙
間が確実に硬化型粘接着剤により充填され、十分なシー
ル性を発現する。
【0065】また、硬化が完了すると、部材間が強固に
接合されるため、シール部分の機械的強度も十分な大き
さとなる。
【0066】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。
【0067】〔請求項1に記載の発明の実施例〕 (実施例1)2Lのセパラブルフラスコ内で、n−ブチ
ルアクリレート5重量部と、グリシジルメタクリレート
25重量部と、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社
製、商品名:エピコート828)75重量部と、光ラジ
カル重合開始剤としてビス(2,6−ジメトキシベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィン
オキシド0.1重量部と、光カチオン重合開始剤として
オプトマーSP−170(旭電化工業社製)0.5重量
部とを均一になるまで攪拌混合し、しかる後、窒素ガス
を用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を
除去し、光重合性組成物を得た。
【0068】上記光重合性組成物を、表面が離型処理さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PE
Tフィルム)に厚み2.0mmとなるように塗工し、さ
らに、塗工された膜に、同様に表面が離型処理されたP
ETフィルムを被覆し、積層フィルムを得た。このよう
にして得られた積層フィルムに、400nmに最大発光
波長を有する蛍光灯を用いて、かつ360nm以下の波
長領域の光を実質的に含まない近紫外線を、光強度が1
mW/cm2 となるように照射し、PETフィルム間に
おいて挟持された粘接着シートを得た。
【0069】次に、一方のPETフィルムを剥離し、上
記粘接着シートを、基材シートとしての厚み0.1mm
のガラスクロスに貼り合わせて硬化型補強用粘接着シー
ト(厚み2.0mm×50mm×150mm)を得た。
【0070】さらに、上記硬化型補強用粘接着シートの
PETフィルムを剥離し、300nm〜370nmの光
を、光強度25mW/cm2 以上で、照射時間30秒と
して照射し、しかる後、板状材料としての銅板(厚み
0.3mm×50mm×150mm)及びABS板(厚
み2.0mm×50mm×150mm)にそれぞれ貼付
し、25℃で7日養生することにより、試験片を作製し
た。
【0071】(実施例2)n−ブチルアクリレート、グ
リシジルメタクリレートに代えて、2−エチルヘキシル
アクリレート20重量部及びN−ビニルピロリドン15
重量部を用い、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社
製、商品名:エピコート828)の配合割合を65重量
部としたことを除いては実施例1と同様にして硬化型補
強用粘接着シートを得、かつ実施例1と同様にして試験
片を作製した。
【0072】(比較例1)実施例1で用いたエポキシ樹
脂100重量部と、ジシアンジアミド5重量部と、イミ
ダゾール化合物として2,4−ジアミノ−6〔2’−メ
チルイミダゾリル−(1)’〕エチル−s−トリアジン
イソシアヌル酸付加物2重量部とを配合し、2本ロール
で混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
【0073】上記エポキシ樹脂組成物をプレス機を用い
て厚み2.0mmとなるようにシート状に圧延し、得ら
れたシートの片面に厚み0.1mmのガラスクロスを基
材シートとして貼り合わせることにより、補強用接着シ
ート(厚み2.0mm×50mm×150mm)を作製
した。
【0074】上記補強用接着シートを実施例1で用いた
板状材料としての銅板及びABS板にそれぞれ貼付し、
しかる後180℃及び30分の条件で加熱することによ
り、接着剤層を硬化させ、試験片を作製した。
【0075】(実施例1,2及び比較例1の評価)実施
例1,2及び比較例1で得られた上記試験片について、
以下の要領で曲げ強度及び被着体の変形を評価し
た。結果を下記の表1に示す。なお、表1においては、
参考のために、補強されていない上記銅板及びABS板
の曲げ強度を併せて記載した。
【0076】曲げ強度 図1に示すように、長さL=100mmのピッチで半径
5mm×長さ50mmの円柱1,1を配置し、円柱1,
1上に、板状材料2aに硬化型補強用粘接着シート2b
が貼り合わされている試験片2を硬化型補強用粘接着シ
ート2b側から試験片2が水平方向に位置するように配
置し、上方から先端が半径10mmのU字型断面を有す
る板材(幅50mm)3を矢印で示すように下方に曲げ
速度10m/分で移動させて荷重を加えたときの曲げ応
力(kg/50mm)を測定した。この曲げ応力の測定
に際しては、試験片が下方に1mm撓んだ際に、すなわ
ち変位量1mmの際の曲げ応力と、破断に至るまでの最
大曲げ応力とを測定した。このようにして測定された1
mm変位時の曲げ応力及び最大曲げ応力を曲げ強度とし
て、下記の表1に示した。
【0077】被着体の変形 曲げ強度測定前における試験片の変形の有無を目視によ
り確認した。
【0078】
【表1】
【0079】表1から明らかなように、比較例1では、
接着シートを加熱硬化しているためか、試験片に変形が
見られた。これに対して、実施例1,2では、硬化に熱
を必要としないため、試験片の変形は全く認められなか
った。加えて、曲げ強度においては、実施例1,2の試
験片は、比較例1の試験片と同等の曲げ強度を有し、補
強していない銅板及びABS板に比べて曲げ強度が高め
られていることがわかる。すなわち、実施例1,2によ
れば、板状材料を補強した場合であっても、補強後に変
形を引き起こすことなく、板状材料を確実に補強し得る
ことがわかる。
【0080】〔請求項2に記載の発明の実施例〕 (実施例3)2Lのセパラブルフラスコ内で、n−ブチ
ルアクリレート5重量部と、グリシジルメタクリレート
25重量部と、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社
製、商品名:エピコート828)40重量部と、エポキ
シ樹脂(新日本理化社製、商品名:BEO−60E)3
0重量部と、光ラジカル重合開始剤としてビス(2,6
−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペ
ンチルフォスフィンオキシド(チバガイギー社製、商品
名:イルガキュア1700)0.1重量部と、光カチオ
ン重合開始剤(旭電化工業社製、商品名:オプトマーS
P−170)0.5重量部とを均一になるまで攪拌混合
し、しかる後、窒素ガスを用いて20分間バブリングす
ることにより溶存酸素を除去し、光重合性組成物を得
た。
【0081】上記光重合性組成物を、表面が離型処理さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PE
Tフィルム)に厚み300μmとなるように塗工し、さ
らに、塗工された膜に、同様に表面が離型処理されたP
ETフィルムを被覆し、積層フィルムを得た。このよう
にして得られた積層フィルムに、400nmに最大発光
波長を有する蛍光灯を用いて、かつ360nm以下の波
長領域の光を実質的に含まない近紫外線を、光強度が1
mW/cm2 となるように5分間照射し、PETフィル
ム間において挟持された硬化型粘接着シートを得た。
【0082】次に、一方のPETフィルムを剥離し、上
記硬化型粘接着シートの一方面を被着体である銅板(厚
み0.3mm×50mm×150mm)及びABS板
(厚み2.0mm×50mm×150mm)に接着面積
が25mm×15mmとなるように貼り付けた後、硬化
型粘接着シートに300nm〜370nmの光を、光強
度25mW/cm2 以上で、照射時間30秒として照射
し、しかる後、別の銅板及びABS板を硬化型粘接着シ
ートの他面に貼り合わせ、7日養生することにより、試
験片を作製した。このときのエポキシの転化率は97.
9%であった。
【0083】(実施例4)n−ブチルアクリレート、グ
リシジルメタクリレートに代えて、2−エチルヘキシル
アクリレート45重量部及びN−ビニルピロリドン15
重量部を用い、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社
製、商品名:エピコート828)の配合割合を40重量
部としたことを除いては実施例3と同様にして硬化型粘
接着シートを得、かつ実施例3と同様にして試験片を作
製した。このときのエポキシの転化率は96.7%であ
った。
【0084】(比較例2)実施例3で用いたエポキシ樹
脂100重量部と、ジシアンジアミド5重量部と、イミ
ダゾール化合物として2,4−ジアミノ−6〔2’−メ
チルイミダゾリル−(1)’〕エチル−s−トリアジン
イソシアヌル酸付加物2重量部とを配合し、2本ロール
で混合することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
【0085】上記エポキシ樹脂組成物をプレス機を用い
て厚み300μmとなるようにシート状に圧延し、接着
シートを作製した。上記接着シートを実施例3で用いた
板状材料としての銅板及びABS板に接着シートを接着
面積が25mm×15mmとなるようにそれぞれ貼付
し、別の銅板及びABS板を接着シートの他面に貼り合
わせ、しかる後180℃及び30分の条件で加熱するこ
とにより、接着剤層を硬化させ、7日養生することによ
り、試験片を作製した。
【0086】(実施例3,4及び比較例2の評価)実施
例3,4及び比較例2で得られた上記試験片について、
以下の要領で、引張り剪断接着力、被着体の変形及
びシール性を評価した。
【0087】引張り剪断接着力…JIS K 685
0に基づき、引張り剪断接着力を23℃で測定した。 被着体の変形…上記引張り剪断接着力測定前における
被着体(試験片)の変形の有無を目視により確認した。
【0088】シール性…上記のようにして作製された
硬化型粘接着シートを外径100mm、内径90mmの
円形となるように打ち抜き、300〜370nmの波長
の光を25mW/cm2 の強度で30秒照射した。光照
射後直ちにアクリル板よりなる第1,第2の被着体を円
形の硬化型粘接着シートを介して貼り合わせ、25℃で
7日養生した後、水中に常温で7日間浸漬した。7日間
浸漬後、第1,第2の被着体を剥離し、円形の硬化物内
部の空間への水の侵入の有無を目視により確認した。な
お、比較例2の接着シートについては、上記光を照射す
ることなく、第1,第2の被着体を貼り合わせ、同じく
120℃で1時間硬化養生した後、水中に常温で7日間
浸漬し、評価した。
【0089】上記評価結果を下記の表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】比較例2では、加熱により硬化させている
ため、被着体が銅板の場合、僅かに変形し、ABS板の
場合にはかなりの変形を生じた。これに対して、実施例
3,4では、硬化に際して熱を必要としないため、変形
が生じなかった。
【0092】また、引張り剪断接着力については、実施
例3,4の試験片は、加熱により硬化させた比較例2の
試験片とほぼ同等の接着力を示していることがわかる。
さらに、比較例2では、シール性評価において接着硬化
物内部への水の侵入が見られ、シール性が十分でなかっ
たのに対し、実施例3,4では、接着硬化物で囲まれた
空間への水の侵入がみられず、良好なシール性を示すこ
とが確かめられた。
【0093】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、硬化型
補強用粘接着シートがアクリル系ポリマーを主成分とす
るため、その粘着力により板状材料に容易に貼付するこ
とができる。また、硬化は、300〜370nmの波長
の光の照射により進行するが、硬化反応は急速に進行し
ないため、上記アクリル系ポリマーの粘着力を利用して
板状材料に容易に貼付することができる。
【0094】加えて、板状材料に硬化型補強用粘接着シ
ートを貼付する前または貼付後に光を照射することによ
り硬化が進行し、板状材料に対して硬化型補強用粘接着
シートが強固に接合されると共に、硬化型補強用粘接着
シートの硬化物により板状材料が確実に補強される。従
って、光照射前の硬化型補強用粘接着シートは、高温に
さらされたとしても硬化反応が進行しないので、従来の
熱硬化型接着シートに比べ、貯蔵安定性においても優れ
ている。
【0095】さらに、硬化が光の照射により進行するた
め、熱に弱い材料、例えば耐熱性が十分でないプラスチ
ック材料や、厚みの薄い板状材料の補強も確実に行うこ
とができ、従って広範な板状材料の補強に用いることが
できる。さらに、硬化に際し熱を必要としないため、エ
ネルギーコストの低減も果たし得る。
【0096】また、請求項2に記載の発明によれば、硬
化型粘接着シートが、アクリル系ポリマーを主成分とす
るため、その粘着力によりシールを施すべき2つの部材
に容易に貼付することができる。また、硬化は、300
〜370nmの波長の光の照射により進行するが、急速
に進行しないため、アクリル系ポリマーの粘着力を利用
して2つの部材の何れにも容易に貼付することができ、
かつ部材表面に凹凸が存在する場合であっても、凹凸に
追随して確実に硬化型粘接着シートが貼付される。
【0097】加えて、光の照射により硬化型粘接着シー
トの硬化が進行し、2つの部材間が強固に接合され、従
って、2つの部材間が確実にシールされる。この場合、
加熱による硬化を必要としないため、耐熱性が十分でな
い部材にも好適に用いることができ、すなわち部材の変
形などを引き起こすことなく、確実に部材間をシールす
ることができる。
【0098】さらに、硬化型粘接着シートは、加熱され
たとしても硬化反応が進行し難いため、従来の熱硬化型
粘接着シートに比べ、貯蔵安定性においても優れてい
る。しかも、硬化型粘接着シートは2つの部材に容易に
貼付することができるため、弾性シーリング剤を用いた
場合のような接合部分の外観の劣化も生じ難く、従っ
て、シール部分の美観も高めれる。
【0099】よって、請求項2に記載の発明に係る部材
のシール方法によれば、様々な部材間のシールを確実に
かつ容易に行い得るため、部材の腐食、結露、かびの繁
殖といった問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例の評価に際し曲げ強度を測定
する方法を説明するための断面図。
【符号の説明】
2…試験片 2a…板状材料 2b…硬化型補強用粘接着シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系ポリマーと、エポキシ基を有
    する化合物と、光カチオン重合開始剤とを含み、光の照
    射により硬化され得る組成物を成形してなる硬化型補強
    用粘接着シートを用いて板状材料を補強するにあたり、
    硬化型補強用粘接着シートを板状材料に貼り合わせる
    際、硬化型補強用粘接着シートに300〜370nmの
    波長の光を照射することを特徴とする板状材料の補強方
    法。
  2. 【請求項2】 アクリル系ポリマーと、エポキシ基を有
    する化合物と、光カチオン重合開始剤とを含み、光の照
    射により硬化され得る組成物を成形してなる硬化型粘接
    着シートを用いて2つの部材間をシールする方法であっ
    て、硬化型粘接着シートを用いて2つの部材を貼り合わ
    せるに際し、硬化型粘接着シートに300〜370nm
    の波長の光を照射することを特徴とする部材のシール方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100406873C (zh) * 2002-02-25 2008-07-30 索尼化学&信息部件株式会社 固化性粘合剂组合物的固化物固化水平的非破坏测试方法和电子装置的制造方法
JP2012052083A (ja) * 2010-08-06 2012-03-15 Dainippon Printing Co Ltd 粘接着シートおよびそれを用いた接着方法
WO2021132485A1 (ja) * 2019-12-25 2021-07-01 日東電工株式会社 シーリング方法

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