JPH11502206A - 10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デアセチル 14β−ヒドロキシバッカチンIII誘導体類、それらの調製方法およびそれらを含む医薬製剤 - Google Patents

10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デアセチル 14β−ヒドロキシバッカチンIII誘導体類、それらの調製方法およびそれらを含む医薬製剤

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞毒性と抗腫瘍活性をもつ10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIIIの新規誘導体に関する。それらは、いわゆるシントンまたは天然起源の他のタキサンから出発して、位置10におけるヒドロキシルのケト官能基への選択的酸化、そして必要ならば、種々に置換されたイソセリン鎖による位置13における続いてのエステル化によって調製される。本発明の生成物は、適切に製剤化された場合、注射または経口的に投与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デアセチル 14β−ヒドロ キシバッカチンIII誘導体類、それらの調製方法およびそれらを含む医薬製剤 パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(taxol))、そ れは既に周知であって、種々の形態のヒトの腫瘍に対して抗がん形成活性をもつ イチイ属(Taxus)の植物から抽出されたジテルペノイドである。その臨床 使用は、その投与を複雑にする低い水への溶解性、ならびに重い副作用の発生の 原因になる若干の弱点をまだ伴っている。さらに、パクリタキセルは、耐性を速 やかに誘導する。これらの理由により、親分子と較べて悪影響をより少なくさせ る新規パクリタキセル同族体を合成することを目的として、ここ数年、研究が続 けられてきた。本発明は、顕著な抗腫瘍活性を付与されたタキサン(taxan e)骨格をもつ新規誘導体に関する。新規誘導体は、一般構造1をもつ。 式中、 R1およびR2は、水素原子であるか、またはR1が、水素原子であり、そして R2が、ヒドロキシルもしくはアセチルオキシ基であるか、またはOR1とR2が 、一緒になって、式: の環状炭酸エステル基を形成し; R3は、αまたはβ配向することができて、水素原子もしくはアルキルシリル 基、好ましくはトリエチルシリル(TES)であり; R4は、水素、または残基 か、または式[式中、R1’は、炭素原子1〜5個をもつ直鎖または分枝アルキルもしくはア ルケニル基か、またはアリール残基であり:R2’は、炭素原子1〜5個をもつ 直鎖または分枝アルキルもしくはアルケニル基、またはアリール残基、またはt ert−ブトキシ基である]のイソセリン残基である。 一般式()の新規誘導体は、天然のシントン(synton)10−デアセ チルバッカチン(baccatine)III()および10−デアセチル− 14β−ヒドロキシバッカチンIII()から出発して、半合成によって調製 される。この目的のために、それらは、位置10において選択的に酸化され、次 いで、位置13において、適切なアシル化剤を用いてエステル化されて、基R4 が導入される。 既に、位置13に所望のイソセリン鎖を含有している天然または合成起源のタ キサンの場合には、構造の分子は、該タキサンから位置10における選択的酸 化によって得ることができる。本明細書で以下に記されるように、の、そ して既に位置13にイソセリン鎖を含有しているタキサンの、位置10における 選択的酸化は、銅(II)塩による処理によって得ることができる。 10−デアセチルバッカチンIII()およびその14β−ヒドロキシ( )同族体は。適切に選択された植物材料から回収することがで きる(Indena Patent US-5,269,591、参照)。 しかしながら、そして本発明の目的の1つであるが、位置14に酸素化された 官能基を含有しているタキサンシントンを合成することは、可能であって、それ 故、10−デアセチルバッカチンIII()から出発する、位置14に酸素化 された官能基を含有している構造の化合物の調製のために有用である。事実、 驚くべきことに、化合物の位置7におけるヒドロキシルをシリルエーテルとし て保護した後、13の炭素のケトンへの酸化、そして14の炭素におけるβ−配 向されたアルコール官能基の導入が、二酸化マンガンによる処理によって起きる ことが発見された。10と14のヒドロキシルを、例えば酢酸エステルとして保 護した後、水素化物を用いる処理によって、13−ケト官能基は、13α−ヒド ロキシに還元される。 以下に図で示される方法は、構造をもつ化合物の調製のために有用なシント ンの形成へと導く。 シントン4から、文献記載の既知の方法で、例えば、塩酸を用いてシリル基を 除去し、そして塩基を用いて酢酸エステル基を除去するような保護基除去の後、 10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII()が得られる。し たがって、既に述べたように、式の化合物を調製するためには、10−デアセ チルバッカチンIII()、10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチ ンIII()、天然または半合成か、または10にヒドロキシル官能基をもち 、そして位置13に基R4で表されるイソセリン鎖を既に含有している他のタキ サンが、利用されるに違いない。 驚くべきことに、すべてこれらのシントンが、銅(II)塩、好ましくは酢酸銅 による処理によって、他のヒドロキシル官能基の保護を必要とせずに、位置10 における選択的酸化を受けることが発見された。例えば、10−デアセチルバッ カチンIII()、10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII ()および天然タキサン10−デアセチル−セファロマンニン(cephal omannine)は、そ れぞれの10−ケト誘導体を、75〜85%の収率で生成する。酸化は、 一般に、長い時間(100〜140時間)と過剰量の酸化剤を必要とし、そして 室温においてアルコール系溶媒中で実施される。 調製されるべき式の化合物において、位置1と14の間に環状炭酸エステル 基の存在が要求される場合は、シントンは、予めピリジン中ホスゲンで処理さ れ、次いで、得られる炭酸エステルが、位置10において酢酸銅(II)で酸化さ れて炭酸エステルシントンを生成する。 塩基による処理によって、ジケトン5〜8は、位置7における反転を受ける、 すなわち、位置7のヒドロキシルがα配向になる。したがって、シントン および、または場合によってはそれらの位置7におけるエピマーは、存在する アルコール官能基の保護の後、構造のタキサンの調製に使用される。13のア ルコール官能基は、他のヒドロキシアルコール官能基とは反対に、シリル化に対 する反応性は低く、それ故、誘導体化を受けない。 位置13におけるエステル化では、適切に活性化されたイソセリン鎖が、パク リタキセルおよびその同族体の半合成に関する文献に報告された方法にしたがっ て、使用される(例えば、欧州特許出願第400,971号,1992;Fr.Dem.86,1040 0;E.Didier et alTetrahedron Letters 35,2349,1994; E.Didier et al. ,ibid35,3063、1994、参照)。好ましくは、イソセリン鎖は、オキサゾリジ ンカルボン酸の活性化型9および9において使用される。 式9および9において、R1’およびR2’は、先に記された意味をもつ。 タキサンシントンによるオキサゾリジンカルボン酸のエステル化、そして続く保 護基の除去は、パクリタキセルおよびその同族体の合成に関する文献に記載され ているように実施される。 式の化合物の中で、化合物1011および12が、特に活性があることが 分かった。化合物1は、13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカ ルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]−10−デ アセチル−10−デヒドロ−バッカチンII Iである。したがって、一般式に関して、化合物10は、R1=R2=H、OR3 =β−OH、R1’=iso−But、R2’=t−BuOをもつ。化合物11 は、13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2− ヒドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]−10−デヒドロ−10−デアセ チル−14β−ヒドロキシ−バッカチンIII 1,14−炭酸エステルである 。したがって、11は、一般式に関して、R1,R2=−CO−O、OR3=β −OH、R1’=iso−But、R2’=t−BuOをもつ。 化合物12は、13−[(2R,3S)−3−カプロイルアミノ−2−ヒドロ キシ−3−イソブチル−プロパノイル]−10−デヒドロ−10−デアセチル− 14β−ヒドロキシ−バッカチンIII 1,14−炭酸エステルである。した がって、12は、一般式に関して、R1、R2=−CO−O、OR3=β−OH 、R1’=iso−But、R2’=C511をもつ。 パクリタキセルと較べられた化合物10および11の細胞毒性データが、次の 表において報告される。 の化合物は、他の抗腫瘍性物質、例えばアドリアマイシンもしくはシス− プラチナに対して耐性な細胞系において、パクリタキセルに較べて驚くべき優位 性を示す。パクリタキセルとこれらの生成物の差異は、イン・ビボのモデル、例 えば、ヒト腫瘍を移植された無胸腺ヌードマウスにおいて、一層明白である。さ らにまた、R2’が、アルキルもしくはアルケニル基である本発明の化合物は、 驚くべきことに、タキソール (taxol)およびその既知誘導体とは異なって、心毒活性を消失しており、 それ故、タキソール(taxol)およびその既知誘導体によっては治療できな い心臓病患者における腫瘍の治療において有利に使用できることが見出された。 本発明の目的生成物は、生成物の非経口および経口投与の両方に適切な医薬製 剤中に組み入れることができる。静脈内投与では、クレモホルムLとエタノール の混合物、天然または合成ホスファチジルコリンを用いて調製されるポリソルベ ートもしくはリポソーム製剤、またはコレステロール存在下の天然リン脂質混合 物が、主として使用される。 次の実施例は、本発明をさらに具体的に説明する。 実施例1 10−デアセチル−10−デヒドロバッカチンIII()の調 製。 10−デアセチルバッカチンIII()(G.Chauviere et al.,C.R.Acad .Sci.Ser.II 293.591.1981記載のように単離された)10gを、メタノー ル350ml中に懸濁し、そしてCu(OAc)265gを添加する。その懸濁 液を、室温で120時間撹拌する。その塩を濾別し、そして溶液を、ヘキサン/ 酢酸エチル6:4混合液を用いて溶出するシリカゲル100gでクロマトグラフ ィーを行う。リグロインから結晶化して、()の9.5gを得る、M+a m /z 542。 実施例2 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカ チンIII 1,14−炭酸エステル()の調製。 G.Appendino et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans I,2925.1992記載のよ うに単離された10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII() 10gを、無水ピリジン50ml中に溶解し、そして トルエン中5%ホスゲンの1.5当量を用いて1時間,−10℃で処理する。反 応混合液を氷上に注ぎ、そして水性懸濁液を酢酸エチルで抽出し、その有機相を 、希HClで徹底的に洗浄する。Na2SO4上で乾燥後、有機相を濃縮乾固する 。1,14−炭酸エステル9gを得るが、それを、メタノール350mlに懸濁 し、そしてCu(OAc)250gを用いて、室温で120時間撹拌下で処理す る。その懸濁液を濾過し、そして溶液を蒸発乾固する。残渣を、ヘキサン/酢酸 エチル1:1混合液を用いて溶出するシリカゲル100gでのクロマトグラフィ ーを行う。()の8gを得る、M+a m/z 584。 実施例3 13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルア ミノ−2−ヒドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]10−デアセチル−1 0−デヒドロバッカチンIII(10)の調製。 J.Denis et al.,J.Am.Chem.Soc.100.5917.1988に記載の方法を用いる 位置7におけるシリル化によって、化合物()(実施例1)から得られた7− O−トリエチルシリル−10−デアセチル−10−デヒドロバッカチンIIIの トルエン60ml中300mg(1.84mmol)溶液に、(4S,5R)− N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチル−4−イソブチル− 5−オキサゾリジンカルボン酸500mg、ジシクロヘキシルカルボジイミド2 40mg(1.2当量)およびN,N−ジメチルアミノピリジン24mg(0. 2当量)を添加する。反応混合液を、80℃で2時間保ち、次いで、濾過し、水 で洗浄する;その有機相を濃縮乾固する。残渣を、10℃において、H2SO40 .1%を含有するメタノールで処理する。メタノール溶液を、水で希釈し、そし て生成物を、酢酸エチルで抽出する;有機相を濃縮乾 固し、そして残渣を、アセトン/ヘキサン4:6を用いて溶出するシリカゲルで のクロマトグラフィーを行う。(10)の350mgを得る、M+a m/z 785。 実施例4 13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニル− アミノ−2−ヒドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]10−デアセチル− 10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステ ル(11)の調製。 J.Denis et al.,J.Am.Chem.Soc.100.5917.1988に記載の方法にしたが って、位置7におけるシリル化によって化合物(8)(実施例2)から得られた 7−O−トリエチルシリル−10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒド ロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル0.5gを、トルエン60m l中に溶解する。その溶液に、(4S,5R)−N−(tert−ブトキシカル ボニル)−2,2−ジメチル−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸 800mg、シクロヘキシルカルボジイミド400mgおよびN,N−ジメチル アミノピリジン40mgを添加する。反応混合液を、80℃で2時間保ち、次い で、濾過し、水で洗浄し、そしてその有機相を濃縮乾固する。残渣を、10℃に おいてH2SO40.1%を含有するメタノールで処理する。メタノール溶液を、 水で希釈し、そして生成物を、酢酸エチルで抽出する;有機相を濃縮乾固し、そ して残渣を、アセトン/ヘキサン4:6を用いて溶出するシリカゲルでのクロマ トグラフィーを行う。(11)の580mgを得る、M+a m/z 827。 実施例5 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカ チンIII()の調製。 10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII()10gを、メ タノール350ml中に懸濁し、そしてCu(OAc)265gを添加する。そ の懸濁液を、室温で120時間撹拌下で維持する。その塩を濾別し、溶液を蒸発 乾固し、そして残渣を、ヘキサン/酢酸エチル6:4混合液を用いて溶出するシ リカゲル100gでのクロマトグラフィーを行う。リグロインから結晶化して、 ()の9.3gを得る、M+a m/z 558。 実施例6 10−デアセチル−10−デヒドロ−セファロマンニン()の 調製。 10−デアセチルセファロマンニン(J.L.Laughlin et al.,J.Nat.Prod .44.312.1981)0.4gを、MeOH5ml中に溶解し、そしてCu(OA c)2600mgを添加する。反応混合液を、室温で54時間撹拌下で放置する 。 塩を濾別し、溶液を蒸発乾固し、そして、溶出液としてヘキサン/酢酸エチル 1:1混合液を用いるシリカゲル(10g)でのクロマトグラフィーを行う。( )の220mgを得る、M+a m/z 829。 実施例7 7−トリエチルシリル−14β−ヒドロキシバッカチンIII( )の調製。 J.Denis et al.,J.Am.Chem.Soc.100.5917.1988による方法にしたがっ て調製された7−トリエチルシリル−10−デアセチルバッカチンIII 50 0mgを、酢酸エチル−塩化メチレン9:1混合液15mlに溶解する。その溶 液に、MnO2 10gを添加し、懸濁液を、室温で24時間撹拌下で放置する 。濾過後、溶液を蒸発乾固し、残渣を、ヘキサン−酢酸エチル8:2混合液を用 いて溶出するシリカゲル(20 g)でのクロマトグラフィーを行う。7−トリエチルシリル−10−デアセチル −13−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIIIの310mgを得る( M+a m/z 672)。 この生成物300mgを、ピリジン2mlに溶解する。その溶液に、Ac2O 910mgを添加する。16時間後、反応混合液を氷上に注ぎ、次いで、酢酸 エチルで抽出する。その有機相を、希HClで、次に水で洗浄して、中性にする 。溶媒を蒸発後、残渣を、エーテルから結晶化する(220mg、M+a m/ z 756)。その固形物を、無水THF10mlに溶解し;その溶液に、水素 化ナトリウムビス(2−メトキシ−エトキシ)アルミニウム(65%溶液)16 0μlを添加する。約10分後、飽和NH4Cl溶液10mlを添加し、次いで 、酢酸エチルで抽出する。有機相を蒸発乾固する。残渣を、ヘキサン/酢酸エチ ル7:3混合液を用いて溶出するシリカゲル(15g)で精製する。(4)の8 0mgを得る、M+a 716。 実施例8 (4S,5R)−N−カプロイル−2−(2,4−ジメトキシフ ェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸メチルエステルの調 製。 N−カプロイル−β−イソブチル−イソセリン メチルエステル5gを、無水 THFおよびベンゼン混合液200ml中に溶解し、そして溶液を、p−トルエ ンスルホン酸ピリジニウム120mg存在下で、2,4−ジメトキシベンズアル デヒド ジメチルアセタールの2当量を用いて処理する。その溶液を1時間還流 する。溶媒を蒸留し、そして残渣を、酢酸エチル/ヘキサン8:2混合液を用い て主化合物を溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーを行う。所望の異性体 を含む画分から溶媒 を真空下で除去した後、残渣を、ヘキサン/イソプロピルエーテルから結晶化す る。m.p.98℃をもつ化合物2.5gを得る。 実施例9 (4S,5R)−N−カプロイル−2−(2,4−ジメトキシフ ェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジン カルボン酸の調製。 実施例8の化合物2gを、K2CO35gを含有しているメタノール、水(8: 2)混合液50ml中に懸濁する。反応混合液を、イソセリン誘導体の完全溶解 まで撹拌下で放置する。反応混合液を、酢酸エチルの存在下撹拌しつつ、注意し てpH5まで酸性化する。水相を捨て、一方、有機相を、硫酸ナトリウム上で乾 燥し、そして低温で真空下、濃縮乾固する。残渣を、トルエン/塩化メチレン混 合液に溶解し、そして選らばれたタキサンとの反応に使われる。 実施例10 13−[(2R,3S)−3−カプロイルアミノ−2−ヒドロキ シ−3−イソブチル−プロパノイル]−10−デヒドロ−10−デアセチル−1 4β−ヒドロキシ−バッカチンIII 1,14−炭酸エステル(12)の調製 。 1,14−炭酸−7−TES−10−デヒドロ−バッカチンIII5gを、( 4S,5R)−N−カプロイル−2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4−イ ソブチル−5−オキサゾリジン カルボン酸6gとともに、トルエンと塩化メチ レン8.2比の混合液100ml中に溶解する。その反応混合液に、4−ジメチ ルアミノピリジン500mgと1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド2.5 gを添加し、次いで、試薬が消失するまで、弱い還流下で2時間加熱する。その 媒体に不溶の化合物を濾別し、そして溶液を濃縮乾固する。残渣を、メタノール /HCl (0.01%)50mlを用いて採取し、そして反応混合液を、室温で1時間放 置する。溶液を、pH5までアルカリ化し、そして真空下で濃縮乾固する。残渣 を、塩化メチレン/メタノール98:2混合液を用いて溶出するシリカゲルでの クロマトグラフィーを行う。酢酸エチルから結晶化して、化合物(12)の1. 2gを得る。 実施例11 非経口投与のための化合物(10)の液剤 化合物 10 2 mg クレモフォル(Cremophor)EL 175 mg 無水アルコール 十分量を加えて 0.4 ml 実施例12 非経口投与のための化合物(11)の液剤 化合物 11 2 mg クレモフォルEL 175 mg 無水アルコール 十分量を加えて 0.4 ml 実施例13 化合物(10)を含有する錠剤 化合物 10 10 mg 架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース 15 mg ラクトース(噴霧乾燥) 41.5mg 微結晶セルロース 40 mg コロイド状二酸化ケイ素 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg 実施例14 化合物(11)を含有する錠剤 化合物 11 10 mg 架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース 15 mg ラクトース(噴霧乾燥) 41.5mg 微結晶セルロース 40 mg コロイド状二酸化ケイ素 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg 実施例15 化合物(10)を含有するカプセル剤 化合物 10 10 mg ラクトース(噴霧乾燥) 30 mg 微結晶セルロース 48.5mg 予めゲル化された澱粉 10 mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg コロイド状二酸化ケイ素 0.5mg 実施例16 化合物(11)を含有するカプセル剤 化合物 11 10 mg ラクトース(噴霧乾燥) 30 mg 微結晶セルロース 48.5mg 予めゲル化された澱粉 10 mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg コロイド状二酸化ケイ素 0.5mg
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年2月11日 【補正内容】 明細書 10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デアセチル 14β−ヒドロ キシバッカチンIII誘導体類、それらの調製方法およびそれらを含む医薬製剤 パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(taxol))、そ れは既に周知であって、種々の形態のヒトの腫瘍に対して抗がん形成活性をもつ イチイ属(Taxus)の植物から抽出されたジテルペノイドである。その臨床 使用は、その投与を複雑にする低い水への溶解性、ならびに重い副作用の発生の 原因になる若干の弱点をまだ伴っている。さらに、パクリタキセルは、耐性を速 やかに誘導する。これらの理由により、親分子と較べて悪影響をより少なくさせ る新規パクリタキセル同族体を合成することを目的として、ここ数年、研究が続 けられてきた。WO−A−9501969は、位置10において酸化され、そして7お よび13において種々置換されたタキソイド(taxoid)を記載している。 欧州特許出願公開第577 083号は、位置10および13において種々置換された シクロプロパンタキサン(cyclopropantaxane))を記載して いる。 ”Gazzetta Chimica Italiana”,124,1994は、10−デアセチルバッカチン IIIのヒドロキシルを酸化する方法を記載している。”Heterocycles”,Vol .38 No.5,1994は、タキサス・ユンナネンシス(Taxus Yunnane nsis)の根から単離された新規なタキソール関連のジテルペン(タキシユン ナニンA(TaxiyunnanineA))を記載している。本発明は、顕著 な抗腫瘍活性を付与されたタ キサン(taxane)骨格をもつ新規誘導体に関する。新規誘導体は、一般構 造1をもつ。 チレン8.2比の混合液100ml中に溶解する。その反応混合液に、4−ジメ チルアミノピリジン500mgと1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド2. 5gを添加し、次いで、試薬が消失するまで、弱い還流下で2時間加熱する。そ の媒体に不溶の化合物を濾別し、そして溶液を濃縮乾固する。残渣を、メタノー ル/HCl(0.01%)50mlを用いて採取し、そして反応混合液を、室温 で1時間放置する。溶液を、pH5までアルカリ化し、そして真空下で濃縮乾固 する。残渣を、塩化メチレン/メタノール98:2混合液を用いて溶出するシリ カゲルでのクロマトグラフィーを行う。酢酸エチルから結晶化して、化合物( )の1.2gを得る。 実施例11 非経口投与のための化合物(10)の液剤 化合物 10 2 mg クレモフォル(Cremophor)EL 175 mg 無水アルコール 十分量を加えて 0.4 ml 実施例12 非経口投与のための化合物(11)の液剤 実施例13 化合物(10)を含有する錠剤 化合物 10 10 mg 架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース 15 mg ラクトース(噴霧乾燥) 41.5mg 微結晶セルロース 40 mg コロイド状二酸化ケイ素 0.5mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg 実施例14 化合物(11)を含有する錠剤 化合物 11 10 mg 請求の範囲 1. 式()の10−デアセチルバッカチン(baccatine)III および10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII誘導体。 式中、 R1およびR2は、水素原子であるか、またはR1が、水素原子であり、そして R2が、ヒドロキシルもしくはアセチルオキシ基であるか、またはOR1とR2が 、一緒になって、式: の環状炭酸エステル基を形成し; R3は、αまたはβ配向することができて、水素原子もしくはアルキルシリル 基、好ましくはトリエチルシリル(TES)であり; R4は、水素、または残基 か、または、R2がHである場合には、R4はHおよび式のイソセリン残基とは 異なるという仮定のもとに、式[式中、R1’は、炭素原子1〜5個をもつ直鎖または分枝アルキルもしくはア ルケニル基か、またはアリール残基であり;R2’は、炭素原子1〜5個をもつ 直鎖または分枝アルキルもしくはアルケニル基、またはアリール残基、またはt ert−ブトキシ基である]のイソセリン残基である。 2. 次のものからなる群より選ばれる請求の範囲1記載の化合物: 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII; 10−デアセチル−10−デヒドロセファロマンニン(cephaloman nine); 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル; 13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒ ドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]10−デアセチル−10−デヒドロ −14β−ヒドロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル; 13−[(2R,3S)−3−カプロイルアミノ−2−ヒドロキシ−3−イソ ブチル−プロパノイル]−10−デヒドロ−10−デアセチル−14β−ヒドロ キシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル。 3. 請求の範囲1記載の10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチン III誘導体の調製方法であって、式[式中、R1、R2、R3およびR4は、先に定義された意味をもつ]の化合物が、 R2=OHか、またはOR1およびR2が一緒になって炭酸基であり、そしてR4= Hの場合に、銅(II)塩による処理によって位置10において酸化され;そして 場合によっては位置7において脱保護されることを特徴とする方法。 4. R2=OHおよびR4=Hである請求の範囲3記載の式の化合物の調製 方法であって、その7−トリアルキルシリル−10−デアセチルバッカチンII I(または7−エピマー)が、二酸化マンガンを用いる処理によって位置13に おける選択的酸化、そして位置14における 同時β−ヒドロキシル化にかけられ、得られる7−トリアルキルシリル−10− デアセチル−13−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII(またはそ の7−エピマー)が、10および14においてアセチル化され、そして7−トリ アルキルシリル−13−デヒドロ−14β−ヒドロキシ−14−アセチルバッカ チンIII(またはその7−エピマー)が、水素化物による還元にかけられて、 対応する13α−ヒドロキシ誘導体を得ることを特徴とする方法。 5. 請求の範囲3記載の式の化合物。 6. 式9b[式中、R2’は、前記意味をもつ]の中間体。 7. R3=Hである請求の範囲1記載の1種以上の式1の化合物を、有効成 分として含有する医薬組成物。 8. 非経口または経口投与できる、請求の範囲7記載の医薬組成物。 9. 抗腫瘍剤としての請求の範囲1〜2の化合物。 10.心臓病患者における腫瘍の治療に有用な薬物の調製のための、R2’が アルキルもしくはアルケニル基である請求の範囲1の化合物の使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 式()の10−デアセチルバッカチン(baccatine)III および10−デアセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII誘導体。 式中、 R1およびR2は、水素原子であるか、またはR1が、水素原子であり、そして R2が、ヒドロキシルもしくはアセチルオキシ基であるか、またはOR1とR2が 、一緒になって、式: の環状炭酸エステル基を形成し; R3は、αまたはβ配向することができて、水素原子もしくはアルキルシリル 基、好ましくはトリエチルシリル(TES)であり; R4は、水素、または残基 か、または式[式中、R1’は、炭素原子1〜5個をもつ直鎖または分枝アルキルもしくはア ルケニル基か、またはアリール残基であり;R2’は、炭素原子1〜5個をもつ 直鎖または分枝アルキルもしくはアルケニル基、またはアリール残基、またはt ert−ブトキシ基である]のイソセリン残基である。 2. 次のものからなる群より選ばれる請求の範囲1記載の化合物: 10−デアセチル−10−デヒドロバッカチンIII; 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII; 10−デアセチル−10−デヒドロセファロマンニン(cephaloman nine); 10−デアセチル−10−デヒドロ−14β−ヒドロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル; 13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒ ドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]10−デアセチル−10−デヒドロ −バッカチンIII; 13−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒ ドロキシ−3−イソブチル−プロパノイル]10−デアセチル−10−デヒドロ −14β−ヒドロキシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル; 13−[(2R,3S)−3−カプロイルアミノ−2−ヒドロキシ−3−イソ ブチル−プロパノイル]−10−デヒドロ−10−デアセチル−14β−ヒドロ キシバッカチンIII 1,14−炭酸エステル。 3. 請求の範囲1記載の10−デアセチルバッカチンIIIおよび10−デ アセチル−14β−ヒドロキシバッカチンIII誘導体の調製方法であって、式[式中、R1、R2、R3およびR4は、先に定義された意味をもつ]のシントン( synton)が、a)R2=HもしくはOHか、またはOR1およびR2が一緒 になって炭酸基であり、そしてR4≠Hの場合には、銅(II)塩による処理によ って位置10において酸化され;そして場合に よっては位置7において脱保護され; b)R2=R4=Hの場合には、銅(II)塩による処理によって位置10において 酸化され、そして場合によっては(R3=Hの場合、7において予めシリル化さ れて)、基R4≠Hを導入させるアシル化剤によって位置13においてエステル 化されることを特徴とする方法。 4. R2=OHおよびR4=Hである請求の範囲3記載の式のシントンの調 製方法であって、その7−トリアルキルシリル−10−デアセチルバッカチンI II(または7−エピマー)が、二酸化マンガンを用いる処理によって位置13 における選択的酸化、そして位置14における同時β−ヒドロキシル化にかけら れ、得られる7−トリアルキルシリル−10−デアセチル−13−デヒドロ−1 4β−ヒドロキシバッカチンIII(またはその7−エピマー)が、10および 14においてアセチル化され、そして7−トリアルキルシリル−13−デヒドロ −14β−ヒドロキシ−14−アセチルバッカチンIII(またはその7−エピ マー)が、水素化物による還元にかけられて、対応する13β−ヒドロキシ誘導 体を得ることを特徴とする方法。 5. 請求の範囲3記載の式Bのシントン。 6. 式9b[式中、R2’は、前記意味をもつ]の中間体。 7. R3=Hである請求の範囲1記載の1種以上の式の化合物を、有効成 分として含有する医薬組成物。 8. 非経口または経口投与できる、請求の範囲7記載の医薬組成物。 9. 抗腫瘍剤としての請求の範囲1〜2の化合物。 10.心臓病患者における腫瘍の治療に有用な薬物の調製のための、R2’が アルキルもしくはアルケニル基である請求の範囲1のタキサン(taxane) の使用。
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