JPH1148290A - 成形品及びその成形方法、並びに金型組立体 - Google Patents

成形品及びその成形方法、並びに金型組立体

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JPH1148290A
JPH1148290A JP20898797A JP20898797A JPH1148290A JP H1148290 A JPH1148290 A JP H1148290A JP 20898797 A JP20898797 A JP 20898797A JP 20898797 A JP20898797 A JP 20898797A JP H1148290 A JPH1148290 A JP H1148290A
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久志 田原
Takayuki Ito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】通常の熱可塑性樹脂を用いても成形不良を発生
し得る、0.1〜1mm厚の薄肉成形品の成形方法を提供す
る。 【解決手段】(イ)第1及び第2の金型部10,11、
(ロ)キャビティ15内に溶融樹脂を射出するための溶融
樹脂射出部14、並びに、(ハ)該金型部の少なくとも一
方に配設され、厚さ0.5〜10mm、弾性率0.8×106kg/cm
2以上、熱伝導率0.2〜2×10-2cal/cm・sec・degの無機
材料から作製された入れ子16を備え、金型部を型締めし
たときのキャビティ15の距離をt0(単位:mm)、ki
流動係数(但し、1.5≦ki≦10)、αを熱可塑性樹脂の
流動指数(但し、40≦α≦800)とし、溶融樹脂射出部1
4から最も遠い所に位置するキャビティ15の部分から溶
融樹脂射出部14までの距離をL(単位:mm)としたと
き、L≦kiαt0 2 (但しL≧3)を満足する金型組立
体を用い、溶融樹脂射出部14からキャビティ15内に溶融
熱可塑性樹脂を射出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂によ
り得られる厚さが0.1mm乃至1mmの成形品及びそ
の成形方法、並びに係る成形品の成形に適した金型組立
体に関する。更に詳しくは、射出成形法あるいは射出圧
縮成形法によって成形品を成形する際に、金型部に設け
られたキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流
動距離を向上させ得る、熱可塑性樹脂に基づき成形され
た厚さが0.1mm乃至1mmの成形品及びその成形方
法、並びに係る成形品の成形に適した金型組立体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形する
ための金型(以下、単に金型と呼ぶ)は、通常、金型に
設けられた中空部分であるキャビティ内に溶融熱可塑性
樹脂(以下、単に溶融樹脂と呼ぶ場合がある)を射出す
る際の高い圧力によっても変形しない金属材料、例え
ば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金
から作製されている。そして、金型に設けられたキャビ
ティ内に溶融樹脂を射出することで、所望の形状を有
し、しかも金型のキャビティを構成する面(以下、便宜
上、金型のキャビティ面と呼ぶ)が転写された成形品を
得ている。
【0003】このような金属材料から作製された金型を
用いて成形を行なう場合、厚さが1mm以下の薄肉成形
品を成形することは容易ではない。通常、金型は、射出
された樹脂に起因した圧力等の高い応力によっても変形
しない上述の金属材料から作製されているが、これらの
金属材料は、また、熱伝導性に優れている。それ故、キ
ャビティ内に射出された溶融樹脂は金型のキャビティ面
と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金
型のキャビティ面と接触した溶融樹脂の部分に固化層が
形成される。そして、その固化層の間に形成された空間
内を溶融樹脂が流れるため(図43の(A)の模式的な
断面図参照)、溶融樹脂が流動し得る空間はキャビティ
の断面空間よりも狭くなる。その結果、キャビティ内で
の溶融樹脂の流れが阻害され、キャビティ内における溶
融樹脂の流動距離が短くなり、キャビティ内を溶融樹脂
で完全に充填できなくなる(図43の(B)の模式的な
断面図参照)。また、固化層が発達し易いために、フロ
ーマーク、転写不良、ウェルドライン等の成形不良が成
形品に発生し易く、繊維強化成形材料を用いた場合、成
形品表面に繊維が析出し易いという問題もある。
【0004】これらの問題点を解決するために、第1の
方法として、溶融樹脂を高速射出成形機を用いてキャビ
ティ内に高速射出することによって、溶融樹脂をキャビ
ティ内で無理矢理流動させる方法がある。あるいは又、
第2の方法として、金型温度を高温にして溶融樹脂の固
化層の発達を遅らせて、キャビティ内における溶融樹脂
の流動距離を延ばす方法がある。更には、第3の方法と
して、低分子量の熱可塑性樹脂を用いることによって溶
融樹脂の粘度を低くして成形することで、キャビティ内
における溶融樹脂の流動距離を延ばす方法がある。
【0005】しかしながら、第1の方法においては、成
形装置が特殊になったり、成形装置を大型化する必要が
あるため、金型自体の大型化・肉厚化による成形品の製
造コストアップにつながる。しかも、キャビティ内への
溶融樹脂の高速充填により薄肉成形品内部に応力が残留
し、その結果、薄肉成形品に反りが発生し、薄肉成形品
の品質が低下するといった問題も発生し易い。第2の方
法においては、金型温度を成形に用いる熱可塑性樹脂の
荷重撓み温度よりもやや低めに設定して固化層の発達を
遅らせるために、キャビティ内の樹脂の冷却時間が長く
なる結果、成形サイクルが長くなり、生産性が低下する
といった問題がある。第3の方法においては、低分子量
の熱可塑性樹脂を低くするため、得られた薄肉成形品の
靱性が劣り、薄肉成形品が得られても使用中に割れ等の
損傷が生じるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るため、ポリイミド樹脂等の耐熱プラスチックを低熱伝
導材として金型のキャビティ面に配設し、キャビティ内
に射出された溶融樹脂における固化層の発達を抑えるこ
とで、成形品の外観を改良する方法が提案されている。
更に、このような方法と高速射出成形機とを組み合わせ
ることによって薄肉成形品を成形することも考えられる
が、キャビティ内への熱可塑性樹脂の高速射出によって
低熱伝導材が変形したり、傷が付き易い等の問題があ
る。
【0007】あるいは又、耐熱性プラスチックの表面に
金属あるいはセラミックスから成る薄膜を化学的気相成
長法(CVD法)等で形成させて成る低熱伝導材も知ら
れているが、プラスチックへの薄膜の密着性が悪く、表
面から薄膜が剥離したりクラックが発生したりするとい
った問題がある。それ故、一般に、試験用金型若しくは
簡易金型として用いられるだけであり、長期使用には耐
えられない。
【0008】従って、本発明の目的は、成形時、金型部
のキャビティを構成する面の状態を確実に成形品の表面
に転写することができ、通常の熱可塑性樹脂を用いても
成形品に成形不良が発生することのない、熱可塑性樹脂
に基づき成形される厚さが0.1mm乃至1mmの薄肉
の成形品及びその成形方法、並びに係る成形品の成形に
適した金型組立体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る金型組立体は、厚さが
0.1mm乃至1mmの熱可塑性樹脂製の成形品を成形
するための金型組立体であって、(イ)キャビティが設
けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための
第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若しくは
第2の金型部に配置され、該第1の金型部と該第2の金
型部とを型締めした状態において形成される該キャビテ
ィ内に溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹脂射出
部、並びに、(ハ)該金型部の少なくとも一方に配設さ
れ、厚さ0.5mm乃至10mm、弾性率0.8×10
6kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/c
m・sec・deg乃至2×10-2cal/cm・se
c・degの無機材料から作製され、キャビティの一部
を構成する入れ子、を備え、第1の金型部と第2の金型
部とを型締めしたときの金型部の開閉方向に沿ったキャ
ビティの距離をt0(単位:mm)、kiを流動係数(但
し、1.5≦ki≦10)、αを使用する熱可塑性樹脂
の流動指数(但し、40≦α≦800)とし、溶融樹脂
射出部から最も遠い所に位置するキャビティの部分から
溶融樹脂射出部までの距離をL(単位:mm)としたと
き、 L≦kiαt0 2 (但しL≧3) を満足することを特徴とする。
【0010】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る成形品の成形方法は、厚さが0.1mm乃
至1mmの熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であっ
て、上記の本発明の第1の態様に係る金型組立体を用
い、溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹
脂を射出することを特徴とする。即ち、(イ)キャビテ
ィが設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形する
ための第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若
しくは第2の金型部に配置され、該第1の金型部と該第
2の金型部とを型締めした状態において形成される該キ
ャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹
脂射出部、並びに、(ハ)該金型部の少なくとも一方に
配設され、厚さ0.5mm乃至10mm、弾性率0.8
×106kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2ca
l/cm・sec・deg乃至2×10-2cal/cm
・sec・degの無機材料から作製され、キャビティ
の一部を構成する入れ子、を備え、第1の金型部と第2
の金型部とを型締めしたときの金型部の開閉方向に沿っ
たキャビティの距離をt0(単位:mm)、kiを流動係
数(但し、1.5≦ki≦10)、αを使用する熱可塑
性樹脂の流動指数(但し、40≦α≦800)とし、溶
融樹脂射出部から最も遠い所に位置するキャビティの部
分から溶融樹脂射出部までの距離をL(単位:mm)と
したとき、 L≦kiαt0 2 (但しL≧3) を満足する金型組立体を用い、溶融樹脂射出部からキャ
ビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出することを特徴とす
る。
【0011】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る金型組立体は、厚さが0.1mm乃至1m
mの熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型組立
体であって、(イ)容積を可変とし得るキャビティが設
けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための
第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若しくは
第2の金型部に配置され、該第1の金型部と該第2の金
型部とを型締めした状態において形成される該キャビテ
ィ内に溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹脂射出
部、並びに、(ハ)該金型部の少なくとも一方に配設さ
れ、厚さ0.5mm乃至10mm、弾性率0.8×10
6kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/c
m・sec・deg乃至2×10-2cal/cm・se
c・degの無機材料から作製され、キャビティの一部
を構成する入れ子、を備え、キャビティの容積が成形す
べき成形品の容積と等しくなる状態に第1の金型部と第
2の金型部とを配置したときの金型部の開閉方向に沿っ
たキャビティの距離をt0(単位:mm)、kCを流動係
数(但し、2≦kC≦20)、αを使用する熱可塑性樹
脂の流動指数(但し、40≦α≦800)とし、溶融樹
脂射出部から最も遠い所に位置するキャビティの部分か
ら溶融樹脂射出部までの距離をL(単位:mm)とした
とき、 L≦kCαt0 2 (但しL≧3) を満足することを特徴とする。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る成形品の成形方法は、厚さが0.1mm乃
至1mmの熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であっ
て、上記の本発明の第2の態様に係る金型組立体を用い
る成形方法である。即ち、(イ)容積を可変とし得るキ
ャビティが設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成
形するための第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該
第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1の金型部
と該第2の金型部とを型締めした状態において形成され
る該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出するための
溶融樹脂射出部、並びに、(ハ)該金型部の少なくとも
一方に配設され、厚さ0.5mm乃至10mm、弾性率
0.8×106kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10
-2cal/cm・sec・deg乃至2×10-2cal
/cm・sec・degの無機材料から作製され、キャ
ビティの一部を構成する入れ子、を備え、キャビティの
容積が成形すべき成形品の容積と等しくなる状態に第1
の金型部と第2の金型部とを配置したときの金型部の開
閉方向に沿ったキャビティの距離をt0(単位:m
m)、第1の金型部と第2の金型部とを型締めしたとき
の金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt(単
位はmmであり、t>t0)、kCを流動係数(但し、2
≦kC≦20)、αを使用する熱可塑性樹脂の流動指数
(但し、40≦α≦800)とし、溶融樹脂射出部から
最も遠い所に位置するキャビティの部分から溶融樹脂射
出部までの距離をL(単位:mm)としたとき、 L≦kCαt0 2 (但しL≧3) を満足する金型組立体を用い、金型部の開閉方向に沿っ
たキャビティの距離がtとなるように第1の金型部と第
2の金型部とを型締めし、溶融樹脂射出部から該キャビ
ティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、射出中あるいは射
出完了後、金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離
をt0とすることを特徴とする。換言すれば、成形すべ
き成形品の容積(VM)よりもキャビティの容積(VC
が大きくなるように第1の金型部と第2の金型部とを型
締めし、溶融樹脂射出部から該キャビティ(容積:
C)内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、熱可塑性樹脂の
射出中あるいは射出完了後、キャビティの容積を成形す
べき成形品の容積(容積:VM)まで減少させることを
特徴とする。尚、このような成形方法は、一般には、射
出圧縮成形法と呼ばれる。ここで、金型部の開閉方向に
沿ってキャビティの距離tを減少させ始める時点、ある
いは、キャビティの容積(VC)を減少させ始める時点
は、熱可塑性樹脂の射出中あるいは射出完了後(射出完
了と同時を含める)である。一方、金型部の開閉方向に
沿ったキャビティの距離がt0となる時点、あるいは、
キャビティの容積が成形すべき成形品の容積(VM)と
なる時点は、射出完了後(射出完了と同時を含む)とす
ることが好ましい。
【0013】本発明の第2の態様に係る金型組立体若し
くは成形品の成形方法においては、1.05t0≦t≦
3t0の関係を満足することが好ましい。t>3t0にな
ると、キャビティ内に射出された溶融樹脂内に空気が巻
き込まれたり、圧縮が困難になる。一方、t<1.05
0では、距離Lの延長を図り難くなる。以下、便宜
上、この距離Lを流動距離Lと呼ぶ場合がある。尚、第
1の金型部と第2の金型部とによって印篭構造が形成さ
れ、あるいは又、キャビティの容積を可変とし得る中子
が備えられていることが好ましい。中子の移動の制御
は、例えば油圧シリンダーで行うことができる。
【0014】本発明によっても、厚さ0.1mm未満の
厚さを有する成形品を確実に成形することは困難であ
る。一方、厚さが1mmを越える成形品は、従来の入れ
子を備えていない金属材料から作製された金型組立体を
用いて成形することができる。
【0015】入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、入
れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に射出
された溶融樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフロー
マーク等の外観不良が成形品に発生し易くなることに加
え、流動距離Lを延ばすことができなくなる。また、金
型組立体を構成する金属材料から作製された金型部に入
れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用いて
入れ子を金型部に接着すればよいが、入れ子の厚さが
0.5mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると
入れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうね
る現象が生じたり、キャビティ内に射出された溶融樹脂
の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入
れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱
効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間
を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形する
ことがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題
が発生することがある。尚、入れ子の厚さは、0.5m
m乃至10mm、好ましくは1mm乃至7mm、一層好
ましくは2mm乃至5mmである。
【0016】入れ子を構成する無機材料の弾性率は、
0.8×106kg/cm2以上、好ましくは1.5×1
6kg/cm2以上、更に好ましくは2.0×106
g/cm2以上であることが必要とされる。入れ子を構
成する無機材料の弾性率が0.8×106kg/cm2
満の場合、キャビティ内に射出された溶融樹脂の圧力に
よって入れ子が変形を起こす虞がある。弾性率として
は、一般に用いられるヤング率の値を用いることができ
る。例えば、高弾性率のフィラーが添加された熱硬化性
プラスチックを用いることによって上記の弾性率を上回
る弾性率を有する入れ子を作製することも可能である。
しかしながら、フィラーを取り巻く材料が樹脂であるが
故に、キャビティ内に射出された溶融樹脂の圧力によっ
て入れ子に部分的に凹凸が発生する。従って、無機材料
から作製された入れ子とする必要がある。
【0017】入れ子を構成する無機材料の熱伝導率は、
キャビティ内の溶融樹脂の急冷を防止する目的で、0.
2×10-2cal/cm・sec・deg乃至2×10
-2cal/cm・sec・degであることが必要とさ
れる。この範囲を越える熱伝導率を有する無機材料を用
いて入れ子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が
入れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていな
い通常の金属材料から作製された金型組立体を用いて成
形された成形品と同程度の外観しか得られない。また、
流動距離Lが、通常の金属材料から作製された金型組立
体の流動距離程度の値となってしまう。一方、この範囲
未満の場合、固化層の発達は防止できるものの、キャビ
ティ内の樹脂の冷却が遅くなり、成形サイクルの延長と
いった問題が発生する虞がある。
【0018】熱可塑性樹脂の流動性(流動指数α)は種
類によって様々の値をとる。流動性の悪い高分子量のポ
リカーボネートの流動指数αは例えば約40であり、流
動性の良いポリプロピレンや液晶ポリマー材料における
流動指数αは例えば約800であり、使用する熱可塑性
樹脂に依り流動指数には相当の相違がある。流動指数α
は、使用する熱可塑性樹脂や成形条件(例えば、金型温
度;溶融熱可塑性樹脂の温度、射出圧力、射出速度等)
に依存する。尚、同じ熱可塑性樹脂を使用する場合にあ
っても、これらの金型温度、溶融熱可塑性樹脂の温度や
射出圧力、射出速度等の成形条件が異なれば、流動指数
αは変化する。本発明においては、40≦α≦800の
範囲の流動指数の値を有する熱可塑性樹脂を使用する。
α<40の流動指数の値を有する熱可塑性樹脂を使用し
たのでは、厚さが0.1mm乃至1mmの熱可塑性樹脂
製の成形品を成形することは困難となる。一方、800
<αの流動指数の値を有する熱可塑性樹脂は、コンパウ
ンドの製造が困難であるし、また、樹脂材料の強度が低
下する虞がある。
【0019】流動指数αを求める場合、従来の金属材料
(例えば、炭素鋼材)から作製されキャビティが設けら
れた金型部(入れ子は配設されていない)を備えた試験
用金型組立体を準備する。尚、溶融樹脂射出部から最も
遠い所に位置するキャビティの部分から溶融樹脂射出部
までの距離が十分長い距離を有するキャビティを試験用
金型組立体に設ける。そして、成形品の成形に使用する
熱可塑性樹脂において、このキャビティに各種の成形条
件にて溶融樹脂を射出し、溶融樹脂射出部からのキャビ
ティ内における樹脂の最大到達距離Lmaxを求める。そ
して、t0とLmax(Lmax=αt0 2)の関係から、所望
の成形条件における流動指数αを求める。
【0020】無機材料から作製された入れ子を備えてい
ない従来の金型部、即ち、金型部のキャビティ面が金属
材料から構成されている場合には、流動係数の値は1で
ある。本発明の第1の態様に係る金型組立体若しくは成
形品の成形方法においては、無機材料から作製された入
れ子で金型部のキャビティ面を構成することによって、
流動係数kiの値を1.5以上10以下とすることがで
きる。言い換えれば、使用する熱可塑性樹脂に対して、
1.5≦ki≦10となるような入れ子を構成する材料
を適宜選択すればよい。本発明においては、従来の金型
部におけるよりも流動距離Lを1.5倍以上10倍以下
の範囲で延ばすことができる。尚、流動係数kiは使用
する入れ子の熱伝導率、厚さ、温度に依存する。一般の
成形機(射出速度150mm/秒程度)を使用する場
合、流動係数kiの値は1.5乃至5程度の値となる。
それ故、このような射出速度を有する成形機を用いる場
合には、厚さが0.5〜1mmの成形品を成形すること
が望ましい。一方、射出速度が300mm/秒を越える
超高速射出成形機を使用する場合、流動係数kiの値は
5乃至10程度の値となり、厚さが0.5mm未満の成
形品を成形できる。尚、本発明においては、成形品の大
きさ、厚さ、及び要求される特性に応じて使用する熱可
塑性樹脂及び成形条件を選択するが、流動距離Lが3m
m未満となる場合には、本発明を適用することができな
い。
【0021】一方、本発明の第2の態様に係る金型組立
体若しくは成形品の成形方法においては、無機材料から
作製された入れ子で金型部のキャビティ面を構成するこ
とによって、流動係数kcの値は2以上20以下とな
る。言い換えれば、使用する熱可塑性樹脂に対して、2
≦kc≦20となるような入れ子を構成する材料を適宜
選択すればよい。本発明の第1の態様に係る金型組立体
若しくは成形品の成形方法と比較して、射出圧縮成形法
にあっては、流動距離Lを約1.3倍から2倍、延長す
ることができる。尚、この1.3倍という値は各種の試
験を行って求められた値である。それ故、例えば高速射
出成形機との併用により、従来の成形法では得られなか
った長い流動距離Lを容易に得ることが可能となる。従
来の金属材料から作製された金型部を使用しても射出圧
縮成形法を採用することで流動距離Lを延ばすことは可
能であるが、無機材料から作製された入れ子を備えた本
発明の第2の態様に係る金型組立体を使用することによ
り、流動距離Lの一層の延長を容易に達成することがで
きる。
【0022】流動係数ki,kcは、以下の方法にて求め
ることができる。即ち、本発明の第1若しくは第2の金
型組立体を準備する。但し、この金型組立体は、従来の
金属材料(例えば、炭素鋼材)から作製されキャビティ
が設けられた金型部(入れ子は配設されていない)を備
えた金型組立体とする。尚、溶融樹脂射出部から最も遠
い所に位置するキャビティの部分から溶融樹脂射出部ま
での距離が十分長い距離を有するキャビティを試験用金
型組立体に設ける。そして、成形品の成形に使用する熱
可塑性樹脂において、このキャビティに所定の成形条件
にて溶融樹脂を射出し、溶融樹脂射出部からのキャビテ
ィ内における樹脂の最大到達距離Lmaxを求める。そし
て、Lmax=αt0 2の関係から、流動指数αを求める。
次いで、入れ子が配設された本発明の第1若しくは第2
の金型組立体を準備する。そして、同一の成形条件にて
最大到達距離L’maxを求め、L’max=α’t0 2の関係
からα’を求める。そして、求められたα及びα’か
ら、所望の成形条件における流動係数ki=α’/α又
は、kc=α’/αを得ることができる。
【0023】本発明においては、所定の特性を有する入
れ子を備えた金型組立体を用いることによって固化層が
発達し難くなるため、キャビティ内において固化層によ
る溶融樹脂の流動阻害が無くなる。その結果、金型部の
開閉方向に沿ったキャビティの全ての断面空間内におい
て溶融樹脂が流動することが可能となり、金属材料から
作製された従来の金型部と比較して、容易に流動距離L
を延ばすことが可能となる。従って、使用する熱可塑性
樹脂の種類を問わず、特に0.5mm以下の非常に薄肉
の成形品を確実に成形することができる。また、従来の
技術においては、薄肉の成形品を得るために、例えば低
分子量の熱可塑性樹脂を使用せざるを得ないため、非常
に脆い成形品しか成形することができなかった。然る
に、本発明においては、分子量の高い通常の熱可塑性樹
脂を用いることができるため、成形品に高い靱性を付与
することが可能となり、成形品の使用時、破損すること
が無くなる。
【0024】しかも、本発明においては、入れ子を用い
ることによってキャビティ内の溶融樹脂の急冷を防ぐこ
とができる結果、金型部のキャビティ面と接触した溶融
樹脂に固化層が形成されることを回避でき、ウエルドマ
ークやフローマーク等の外観不良が成形品に発生するこ
とを防止することができる。また、例えば無機繊維を含
有した熱可塑性樹脂を使用した場合であっても、成形品
の表面に無機繊維が析出することを防止することがで
き、加えて、高い剛性を有する薄肉の成形品を成形する
ことができる。
【0025】更には、溶融樹脂の流動性が向上するが故
に、溶融樹脂のキャビティ内への射出圧力を低く設定で
き、成形品に残留する応力を緩和できる。その結果、成
形品の品質が向上する。また、射出圧力を低減できるた
めに、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能とな
り、成形品のコストダウンも可能になる。
【0026】また、本発明における入れ子は、低熱伝導
性の無機材料から作製されており、しかも、金型部とは
独立して作製され、金型部の内部に配設されるので、入
れ子による断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が
容易である。しかも、熱衝撃に対しても強く、破損やク
ラックが発生し難い入れ子を作製することができる。更
には、その表面に薄膜を形成すれば、入れ子の耐久性の
向上を図ることができる。その結果、長期間の使用に耐
え、しかも、成形品にウエルドライン等が発生し難い。
【0027】本発明の第1若しくは第2の態様に係る金
型組立体若しくは成形品の成形方法(以下、総称して、
単に、本発明と呼ぶ場合がある)においては、溶融樹脂
射出部として、例えば、ダイレクトゲート構造、サイド
ゲート構造やオーバーラップゲート構造を挙げることが
できる。
【0028】本発明においては、入れ子を第1の金型部
及び第2の金型部に配設し、第1の金型部に配設された
入れ子を第1の入れ子、第2の金型部に配設された入れ
子を第2の入れ子としたとき、第1の金型部と第2の金
型部とを型締めした状態において、第1の入れ子の表面
と、該第1の入れ子の表面と対向する第2の入れ子の表
面との間のクリアランス(C11)を0.03mm以下
(C11≦0.03mm)とする形態とすることができ
る。尚、係る形態を第1の形態と呼ぶ場合がある。
【0029】尚、第1の形態において、第1の入れ子と
第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の
金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けら
れた被覆プレートを金型組立体は更に備えていてもよ
い。この場合、第1の金型部と第2の金型部とを型締め
した状態において、第1の入れ子の第2の入れ子と対向
する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面と
の間のクリアランスC11を0.03mm(C11≦0.0
3mm)以下とし、第1の入れ子の第2の入れ子と対向
する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面と
の重なり量ΔS11を0.5mm以上(ΔS11≧0.5m
m)とし、第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリア
ランスC12、及び第2の入れ子と被覆プレートとの間の
クリアランスC13を0.03mm以下(C12,C13
0.03mm)とし、第1の入れ子に対する被覆プレー
トの重なり量ΔS12、及び第2の入れ子に対する被覆プ
レートの重なり量ΔS13を0.5mm以上(ΔS12,Δ
13≧0.5mm)とし、被覆プレートは第1及び第2
の入れ子の一部分とのみ重なり合っている形態とするこ
とが好ましい。尚、被覆プレートには溶融樹脂射出部が
設けられていてもよい。
【0030】あるいは又、本発明においては、成形すべ
き成形品の形状等に依存するが、入れ子を第1の金型部
に配設し、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした
状態において、入れ子の表面と、該入れ子の表面と対向
する第2の金型部の面との間のクリアランス(C21)を
0.03mm以下(C21≦0.03mm)とする形態と
することもできる。尚、係る形態を第2の形態と呼ぶ場
合がある。
【0031】あるいは又、本発明においては、成形すべ
き成形品の形状等に依存するが、入れ子を第1の金型部
に配設し、第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられ
ており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状
態において、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアラン
ス(C31)を0.03mm以下(C31≦0.03mm)
とし、且つ、入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量
(ΔS31)を0.5mm以上(ΔS31≧0.5)とする
形態とすることもできる。尚、係る形態を第3の形態と
呼ぶ場合がある。このような構造の金型部における入れ
子被覆部の構造は、入れ子と対向する第2の金型部の面
に設けられた一種の切り込み(切り欠き)や、第2の金
型部のパーティング面の延在部等、成形すべき成形品の
形状や金型組立体の構造に依存して適宜設計すればよ
い、ここで、このような構造の金型組立体における溶融
樹脂射出部としては、例えば、ダイレクトゲート構造を
挙げることができる。
【0032】あるいは又、本発明においては、成形すべ
き成形品の形状等に依存するが、入れ子を第1の金型部
に配設し、第1若しくは第2の金型部に取り付けられ、
キャビティの一部を構成し、入れ子の端部を被覆する被
覆プレートを更に備え、第1の金型部と第2の金型部と
を型締めした状態において、入れ子と被覆プレートとの
間のクリアランス(C41)を0.03mm以下(C41
0.03mm)とし、且つ、入れ子に対する被覆プレー
トの重なり量ΔS41を0.5mm以上(ΔS41≧0.
5)とする形態とすることもできる。尚、係る形態を第
4の形態と呼ぶ場合がある。ここで、このような構造の
金型組立体における溶融樹脂射出部としては、例えば、
ダイレクトゲート構造、サイドゲート構造やオーバーラ
ップゲート構造を挙げることができる。尚、被覆プレー
トは、入れ子の一部分とのみ重なり合っていてもよい
し、入れ子の全周囲と重なり合っていてもよい。また、
被覆プレートは、作製すべき成形品の形状に依存して、
第1の金型部に配設されていてもよいし、第2の金型部
に配設されていてもよい。
【0033】あるいは又、本発明においては、成形すべ
き成形品の形状等に依存するが、入れ子を第1の金型部
に配設し、第1の金型部に取り付けられ、溶融樹脂導入
部が設けられた被覆プレートを更に備え、第2の金型部
には、入れ子被覆部が設けられており、第1の金型部と
第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と入
れ子被覆部との間のクリアランス(C51)を0.03m
m以下(C51≦0.03mm)とし、入れ子に対する入
れ子被覆部の重なり量(ΔS51)を0.5mm以上(Δ
51≧0.5)とし、入れ子と被覆プレートとの間のク
リアランス(C52)を0.03mm以下(C52≦0.0
3mm)とし、入れ子に対する被覆プレートの重なり量
(ΔS52)を0.5mm以上(ΔS52≧0.5)とし、
被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っている
形態とすることもできる。尚、係る形態を第5の形態と
呼ぶ場合がある。ここで、このような構造の金型組立体
における溶融樹脂射出部としては、例えば、サイドゲー
ト構造やオーバーラップゲート構造を挙げることができ
る。
【0034】特に、本発明の金型組立体において、圧力
の高い溶融樹脂射出部近傍における入れ子の部分に破損
が生じ易いが、この部分を上述したクリアランスや重な
り量にて被覆プレートによって入れ子を被覆すること
で、破損し易い無機材料から作製された入れ子の破損を
確実に防止することができる。しかも、成形品端部の外
観を損なうことがなくなり、成形品端部にバリが発生し
なくなり、更には、入れ子外周部に発生した微細なクラ
ックと溶融樹脂が接触しなくなるために入れ子が破損し
ない。
【0035】本発明の入れ子は、広く、ジルコニア系材
料、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る群から選
択されたセラミックス、若しくは、ソーダガラス、石英
ガラス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選
択されたガラスから作製することが望ましい。より具体
的には、入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO
2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2
O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti
32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2M
gO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニ
アから成る群から選択されたセラミックスから作製され
ていることが好ましく、中でも、ZrO2又はZrO2
23から成るセラミックスから作製されていることが
一層好ましい。あるいは又、ソーダガラス、石英ガラ
ス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択さ
れたガラスから作製されていることが好ましく、中で
も、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択さ
れたガラスから作製されていることが一層好ましい。
【0036】入れ子を結晶化ガラスから作製する場合、
入れ子を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶
化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜1
00%の結晶化ガラスから作製することが好ましい。1
0%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に
分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向
上するため、成形品の成形時における入れ子の破損発生
を著しく低下させることができる。結晶化度が10%未
満では、成形時にその表面から界面剥離を起こし易いと
いった欠点がある。尚、入れ子を構成する結晶化ガラス
の線膨張係数が1×10-6/deg以下、熱衝撃強度が
400゜C以上であることが好ましい。
【0037】熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した1
00mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水
中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの
温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が4
00゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×
100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込
んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。
この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前
後の値しか得られない。従って、それ以上の温度(例え
ば、約300゜C)で溶融された樹脂が入れ子と接触し
たとき、入れ子に歪みが生じ、入れ子が破損する場合が
ある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、1
0%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子を
作製すれば、成形時に入れ子が割れることを確実に防止
し得る。
【0038】ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少
量のTiO2及びZrO2の核剤を添加し、1600゜C
以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、
キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱
処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−SiO2
結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結
晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例示する
ことができる。あるいは又、CaO−Al23−SiO
2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ
移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッタ
ー上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラ
ストナイト結晶相が生成したものを例示することができ
る。更には、SiO2−B23−Al23−MgO−K2
O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたもの
や、核剤を含むMgO−Al23−SiO2系ガラスを
熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例
示することができる。
【0039】これら結晶化ガラスにおいては、ガラス基
材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で
表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器
を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化
度を測定することができる。
【0040】入れ子を構成する無機材料に対して、通常
の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、かなり
複雑な形状以外は任意の形状の入れ子を製作できる。セ
ラミックス粉末若しくは溶融ガラスを成形用金型に入れ
てプレス成形した後に熱処理することで、入れ子を作製
することができる。また、ガラスから成る板状物を治具
上に置いたまま炉内で自然に賦形させることによって、
入れ子を作製することもできる。曲面を有する成形品を
成形する場合、入れ子の裏面(入れ子のキャビティを構
成する面と反対側の面であり金型部と対向する面)の曲
率に合わせて、金型部の入れ子装着部を加工すればよ
い。
【0041】成形品に鏡面性が要求される場合、入れ子
のキャビティを構成する面(入れ子のキャビティ面と呼
ぶ)の表面粗さRmaxを0.03μm以下とすることが
望ましい。表面粗さRmaxが0.03μmを越えると、
鏡面性が不足し、成形品に要求される特性、例えば表面
平滑性(写像性)を満足しない場合がある。そのために
は、作製された入れ子のキャビティ面に対して、表面粗
さRmaxが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤ
モンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、ポリッ
シングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン
等を用いて行うことができる。尚、ラッピングは入れ子
加工の最終工程で行うことが望ましい。通常の炭素鋼等
の磨きと比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1
/2のコストで鏡面が得られるために、金型組立体の製
作費を低減させることが可能である。尚、表面粗さR
maxの測定は、JIS B0601に準じた。つや消し
若しくはヘラーラインの状態の表面を有する成形品を成
形する場合には、入れ子のキャビティ面をサンドブラス
ト処理やエッチングを行うことによって、入れ子のキャ
ビティ面に細かい凹凸やラインを形成すればよい。
【0042】また、入れ子に凹凸形状を設ける場合に
は、凹凸部のエッジに発生した微細なクラックが溶融樹
脂と接触して破損することを防止するために、ダイヤモ
ンド砥石で凹凸部の縁部を研磨して応力が集中しないよ
うにすべきである。あるいは又、場合によっては、半径
0.3mm以下の曲率面やC面カットを設け、応力集中
を避けることが好ましい。
【0043】本発明において、入れ子の金型組立体への
配置は、特に破損及びバリ等が発生し難い場合には、接
着剤で単に金型部のキャビティを構成する面(金型部の
キャビティ面)に接着することによって行うことができ
る。この場合、入れ子が型締めによる応力によって金型
部のキャビティ面に接触しないように金型部内に配置す
る。あるいは又、入れ子をボルトを用いて固定できる場
合には、ボルトを用いて固定してもよい。
【0044】あるいは又、本発明においては、入れ子の
装着時に入れ子が金型部に設けられた入れ子装着部から
落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を
用いることなく入れ子を入れ子装着部に装着可能な場合
には、接着剤を用いずに入れ子を金型部に設けられた入
れ子装着部に直接装着することが好ましい。更には、エ
ポキシ系、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の中
から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子を入れ
子装着部に接着してもよい。尚、入れ子装着部が設けら
れた入れ子装着用中子を金型部に取り付け、かかる入れ
子装着用中子の入れ子装着部に入れ子を装着してもよ
い。あるいは又、場合によっては、入れ子をボルトを用
いて固定できる場合には、ボルトを用いて固定してもよ
い。金型部の入れ子装着部と入れ子のクリアランス
(D)は、限りなく0に近い値であってよいが、実用的
には、0.005mm以上であることが好ましい。入れ
子を構成する無機材料の線膨張係数に依存するが、クリ
アランス(D)が余りに小さい場合、金型部を構成する
金属若しくは合金材料と入れ子を構成する無機材料の線
膨張係数の差による入れ子の破損を防止することができ
なくなる場合があるので、入れ子のクリアランス(D)
は、このような問題が生じないような値とすればよい。
尚、クリアランス(D)を大きくし過ぎると、入れ子の
位置ズレ及び位置安定性が不足するために、入れ子が破
損する虞がある。従って、クリアランス(D)は、2m
m程度以下であることが好ましい。
【0045】使用する熱可塑性樹脂に依っては、溶融樹
脂の入れ子に対する濡れ性が向上する結果、成形品と入
れ子との密着性が向上し、金型組立体からの成形品の離
型が困難となり、成形品表面に剥離マークが残り、最悪
の場合、成形品に入れ子が貼り付いたまま取れなくなる
といった問題が発生する場合がある。このような問題を
回避するためには、本発明において、入れ子の表面に薄
膜を形成し、該薄膜を、0.01μm乃至20μmの厚
さを有し、ビッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係
数が0.5以下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が
1kgf/cm以下のセラミックス化合物、金属、金属
化合物及び炭素化合物から成る群から選択された少なく
とも1種類の材料から構成することが望ましい。これに
よって、入れ子からの成形品の離型性を飛躍的に向上さ
せることができる。即ち、このような薄膜を入れ子表面
に形成することによって、金型組立体からの成形品の離
型時に剥離マークが消失し、例えば離型剤が混合された
成形用材料や離型剤を金型部に塗布した金型組立体を使
用しなくとも、容易に成形品を金型組立体から離型する
ことが可能となり、離型剤による成形品の外観不良も無
くなる。
【0046】尚、薄膜を構成する材料は、TiN、Ti
AlN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモ
ンド、CrN、Cr及びNiから成る群から選択された
材料であることが好ましく、特に、アモルファスダイヤ
モンド又はTiN、CrNが成形品の離型性の一層の改
善のために好ましい。また、薄膜は、少なくとも一層形
成されていればよく、多層であってもよい、例えば、T
iNから成る薄膜を入れ子の表面に形成し、その上にア
モルファスダイヤモンドやCrN等の薄膜を形成しても
よい。あるいは又、下地層としてSiO2層を入れ子の
表面に形成し、その上にアモルファスダイヤモンドやT
iN、CrN等の薄膜を形成してもよい。
【0047】入れ子の表面に薄膜を形成する方法として
は、常圧CVD法や減圧CVD、熱CVD法、プラズマ
CVD法、光CVD法、レーザーCVD法等の化学的気
相成長法(CVD法)、真空蒸着法やスパッタ法、イオ
ンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、IVD法
(イオン・ベーパー・デポジション法)等の物理的気相
成長法(PVD法)を挙げることができる。
【0048】入れ子の表面に形成された薄膜の厚さは、
0.01μm乃至20μm、好ましくは0.1μm乃至
15μm、更に好ましくは0.3μm乃至10μmとす
る必要がある。薄膜の厚さが0.01μm未満では、薄
膜の耐久性が乏しくなるし、成形を連続して行うと離型
性が悪くなるといった問題が発生する虞がある。一方、
薄膜の厚さが20μmを越えると、入れ子の断熱効果が
小さくなり、溶融樹脂の固化層の発達を招くため、成形
品に外観不良が発生し、あるいは又、薄膜にクラックが
発生し易くなるといった問題が生じる。
【0049】入れ子の表面に形成された薄膜のビッカー
ス硬度は、600Hv以上、好ましくは800Hv以
上、更に好ましくは1000Hv以上であることが要求
される。ビッカース硬度が600Hv未満では、使用す
る熱可塑性樹脂が繊維を含有していない場合には特に摩
耗の虞も無く入れ子を使用することができるが、繊維強
化の熱可塑性樹脂を用いる場合、薄膜が摩耗する虞があ
る。ビッカース硬度の測定は、JIS 7725に基づ
く。
【0050】入れ子の表面に形成された薄膜の動摩擦係
数(μ)は、0.5以下、好ましくは0.3以下、更に
好ましくは0.1以下であることが必要とされる。動摩
擦係数(μ)が0.5以下の場合、摺動抵抗が小さくな
るし、溶融樹脂との密着性も低くすることができる。
【0051】動摩擦係数(μ)の測定は、スラスト式摺
動試験を用いて行うことができる。この試験において
は、鈴木式試験機及び試験方法を採用した。鈴木式試験
機の概要を図42に示す。リング状の入れ子を作製し、
その表面に薄膜を形成して、入れ子試料を得る。一方、
内径20mm、外径25.6mm、高さ15mmのリン
グをSUJ2(ステンレス鋼)から作製する。試験にお
いては、リング状の入れ子試料を下方の試料ホルダーに
取り付ける。一方、SUJ2製のリングを上方の試料ホ
ルダーに取り付ける。尚、入れ子試料の表面に形成され
た薄膜とSUJ2製のリングとを接触させる。そして、
試料ホルダーに取り付けられたリング状の入れ子試料に
所定の面圧(5N/cm2)の荷重を加え、リング状の
入れ子試料を所定の線速度でモータ(図示せず)によっ
て回転させる。そして、所定の測定時間(20時間)が
経過した後の平衡状態になった動摩擦係数(μ)を、以
下の式から求める。 μ=(f・r)/(N・R) ここで、fは、リング状の入れ子に取り付けられたロー
ドセルにて測定された摩擦力であり、rは回転軸の中心
からロードセルまでの距離であり、Nは荷重であり、R
はSUJ2製のリングの平均半径である。尚、荷重は、
(面圧)×(摺動面積)から求めることができる。
【0052】入れ子の表面に形成された薄膜と熱可塑性
樹脂との剥離強度は、1kgf/cm以下、好ましくは
0.5kgf/cm以下、更に好ましくは0.3kgf
/cm以下であることが必要とされる。剥離強度は、J
IS K 6854に準拠して測定する。非晶性の熱可
塑性樹脂を使用する場合には熱可塑性樹脂のTg(ガラ
ス転移温度)より10゜C低く雰囲気温度を保持した高
温炉内で、また、結晶性の熱可塑性樹脂を使用する場合
には熱可塑性樹脂のTc(結晶化開始温度)より10゜
C低く雰囲気温度を保持した高温炉内で、表面に薄膜が
形成された入れ子を熱可塑性樹脂で挟み、1分間、その
状態を保持した後に、剥離強度を測定する。入れ子の表
面に形成された薄膜と熱可塑性樹脂との剥離強度が1k
gf/cm以下の場合、成形の際に剥離マークの発生を
回避することができるが、剥離強度が1kgf/cmを
越える場合、入れ子に起因した成形品の離型不良による
剥離マークの発生が回避できなくなる虞がある。尚、T
gあるいはTcより10゜C低い温度で剥離強度の測定を
行う理由は、高温の場合、より一層、熱可塑性樹脂と薄
膜との間の密着性が高くなるためである。
【0053】本発明において、成形品に穴(貫通穴ある
いは非貫通穴や凹部)を形成する場合には、入れ子に突
起部(凸部)を設けてもよい。あるいは又、第1の金型
部及び/又は第2の金型部に取り付けられ、キャビティ
内を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピン
(ピン、あるいはモールドピンとも呼ばれる)が金型組
立体に更に備えられていることが好ましい。尚、コアピ
ンの断面形状は、所望の穴の断面形状に合わせて設計す
ればよい。また、コアピンは先端に向かって先細りとし
てもよいし、コアピンの側面に段差を付けてもよい。
【0054】穴空き成形品を成形するとき、キャビティ
内に射出された溶融樹脂の流れは、コアピンで分岐さ
れ、再び合流する。この過程で溶融樹脂は冷却され、固
化しかけた樹脂が合流するために、ウエルドラインが発
生し易い。ウエルドラインが発生した成形品において
は、強度の低下が著しい。従って、応力の加わる成形品
の部分にウエルドラインが発生しないような金型設計を
行う必要があり、成形品の設計自由度が低くなるという
問題がある。また、ウエルドラインが発生した成形品の
外観は醜いものとなる。
【0055】コアピンは、金属、合金、ガラス、セラミ
ックスから作製すればよいが、金属製や合金製のコアピ
ンの場合、コアピンで分岐されそしてキャビティ内で冷
却しかけた溶融樹脂が合流する結果、ウエルドマークが
発生し、成形品の強度が低下する虞がある。このような
場合には、コアピンをセラミックス若しくはガラスから
構成すればよい。これによって、キャビティ内の溶融樹
脂が合流する際の樹脂の冷却を抑制できるために、成形
品内部にウエルドマークが発生することを効果的に防止
することができ、成形品の強度低下を防ぐことができ
る。尚、この場合、コアピンの径(コアピンが円筒径の
場合には直径、多角柱の場合には外接円の直径)が10
mmを越えないことが好ましい。コアピンの径が10m
mを越えると、コアピンによる断熱効果が大きくなり過
ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、金
型からの成形品取り出し後に成形品が変形することがあ
る。それ故、成形サイクルの延長といった問題が生じる
虞がある。但し、断熱性の良好な入れ子を第1及び第2
の金型部の両方に配設する場合には、コアピンで分岐さ
れそして合流する溶融樹脂が冷却され難いので、コアピ
ンを金属製や合金製としても問題が生じない場合が多
い。
【0056】本発明において、コアピンの径が10mm
以下の場合には、コアピンは、弾性率0.8×106
g/cm2以上、好ましくは1.5×106kg/cm2
以上、更に好ましくは2.0×106kg/cm2以上、
熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・deg
乃至2×10-2cal/cm・sec・degの無機材
料から作製されていることが好ましい。更に、コアピン
の表面には薄膜が形成され、該薄膜は、0.01μm乃
至20μm、好ましくは0.1μm乃至15μm、更に
好ましくは0.3μm乃至10μmの厚さを有し、ビッ
カース硬度が600Hv以上、好ましくは800Hv以
上、更に好ましくは1000Hv以上、動摩擦係数
(μ)が0.5以下、好ましくは0.3以下、更に好ま
しくは0.1以下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度
が1kgf/cm以下、好ましくは0.5kgf/cm
以下、更に好ましくは0.3kgf/cm以下のセラミ
ックス化合物、金属、金属化合物及び炭素化合物から成
る群から選択された少なくとも1種類の材料から成るこ
とが望ましい。コアピンと入れ子のキャビティ面との間
のクリアランスCc1は0.03mm以下(Cc1≦0.0
3mm)であることが好ましい。
【0057】コアピンを構成する材料は入れ子を構成す
る材料群の中から選択すればよく、コアピンを構成する
材料は、入れ子を構成する無機材料と同じであっても異
なっていてもよい。具体的には、コアピンを構成する材
料は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23
ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2O−Ti
2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al2
3−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−Si
2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る
群から選択されたセラミックスから作製されていること
が好ましく、中でも、ZrO2又はZrO2−Y23から
成るセラミックスから作製されていることが一層好まし
い。あるいは又、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラ
ス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスか
ら作製されていることが好ましく、中でも、石英ガラス
及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから
作製されていることが一層好ましい。また、コアピンの
表面に形成された薄膜を構成する材料は、TiN、Ti
AlN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモ
ンド、CrN、Cr及びNiから成る群から選択された
材料であることが好ましく、特に、アモルファスダイヤ
モンド又はTiN、CrNが成形品の離型性の一層の改
善のために好ましい。薄膜は、少なくとも一層形成され
ていればよく、多層であってもよい、更には、例えばT
iN層をコアピンの表面に形成し、その上にアモルファ
スダイヤモンドやCrN等の薄膜を形成してもよい。あ
るいは又、下地層としてSiO2層をコアピンの表面に
形成し、その上にアモルファスダイヤモンドやTiN、
CrN等の薄膜を形成してもよい。コアピンの表面に薄
膜を形成する方法としては、常圧CVD法や減圧CV
D、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、レー
ザーCVD法等のCVD法、真空蒸着法やスパッタ法、
イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、IVD
法等のPVD法を挙げることができる。
【0058】この場合、入れ子を配設した金型部とは異
なる金型部にコアピンが取り付けられている形態として
もよいし、入れ子に貫通孔を設け、コアピンをこの貫通
孔を通して金型部に取り付る形態としてもよい。
【0059】本発明において、コアピンの径が10mm
を越える場合には、コアピンは、(a)第1の金型部及
び/又は第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部
と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞
しそして他端が開口した形状、若しくは、両端が開口し
た形状を有する環状部材とから成り、該環状部材は、キ
ャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成し、該
コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の内
部に延在しており、該環状部材は、弾性率0.8×10
6kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/c
m・sec・deg乃至2×10-2cal/cm・se
c・degの無機材料から作製された形態とすることが
好ましい。
【0060】この場合、環状部材の表面には薄膜が形成
され、該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有
し、ビッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数
(μ)が0.5以下であって、熱可塑性樹脂との剥離強
度が1kgf/cm以下のセラミックス化合物、金属、
金属化合物及び炭素化合物から成る群から選択された少
なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。
【0061】この場合の環状部材を構成する材料は入れ
子を構成する材料群の中から選択すればよく、環状部材
を構成する材料は、入れ子を構成する無機材料と同じで
あっても異なっていてもよい。具体的には、環状部材を
構成する材料は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2
−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2
−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32
3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−
SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから
成る群から選択されたセラミックスから作製されている
ことが好ましく、中でも、ZrO2又はZrO2−Y23
から成るセラミックスから作製されていることが一層好
ましい。あるいは又、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱
ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラ
スから作製されていることが好ましく、中でも、石英ガ
ラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラス
から作製されていることが一層好ましい。また、環状部
材の表面に形成された薄膜を構成する材料は、TiN、
TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイ
ヤモンド、CrN、Cr及びNiから成る群から選択さ
れた材料であることが好ましく、特に、アモルファスダ
イヤモンド又はTiN、CrNが成形品の離型性の一層
の改善のために好ましい。薄膜は、少なくとも一層形成
されていればよく、多層であってもよい、更には、例え
ばTiN層を環状部材の表面に形成し、その上にアモル
ファスダイヤモンドやCrN等の薄膜を形成してもよ
い。あるいは又、下地層としてSiO2層を環状部材の
表面に形成し、その上にアモルファスダイヤモンドやT
iN、CrN等の薄膜を形成してもよい。環状部材の表
面に薄膜を形成する方法としては、常圧CVD法や減圧
CVD、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、
レーザーCVD法等のCVD法、真空蒸着法やスパッタ
法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、I
VD法等のPVD法を挙げることができる。尚、コアピ
ン取付部に取り付けられた環状部材と入れ子のキャビテ
ィ面との間のクリアランスCc1は0.03mm以下(C
c1≦0.03mm)であることが好ましい。尚、コアピ
ン取付部は金属から作製すればよく、環状部材のコアピ
ン取付部への取り付けは、例えば接着剤を用いて行うこ
とができる。
【0062】環状部材の厚さが0.1mm未満の場合、
環状部材による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に
射出された溶融樹脂の急冷を招き、外観不良が成形品に
発生し易くなる。一方、環状部材の厚さが5mmを越え
る場合、環状部材による断熱効果が大きくなり過ぎ、キ
ャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取
り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形
サイクルの延長といった問題が発生することがある。
尚、環状部材の厚さは、0.1mm乃至5mm、好まし
くは、0.5mm乃至5mm、より好ましくは1mm乃
至5mm、一層好ましくは2mm乃至5mmとすること
が望ましい。
【0063】環状部材を構成する材料の弾性率は、0.
8×106kg/cm2以上、好ましくは1.5×106
kg/cm2以上、更に好ましくは2.0×106kg/
cm2以上であることが必要とされる。環状部材を構成
する材料の弾性率が0.8×106kg/cm2未満の場
合、キャビティ内に射出された溶融樹脂の圧力によって
環状部材が変形を起こす虞がある。弾性率として、一般
に用いられるヤング率の値を用いることができる。環状
部材を構成する無機材料の熱伝導率は、キャビティ内の
溶融樹脂の急冷を防止する目的で、0.2×10-2ca
l/cm・sec・deg乃至2×10-2cal/cm
・sec・degであることが必要とされる。この範囲
を越える熱伝導率を有する材料を用いて環状部材を作製
した場合、キャビティ内の溶融樹脂が環状部材によって
急冷され、成形品の外観不良が発生し易い。また、この
範囲未満の場合、固化層の発達は防止できるものの、キ
ャビティ内の樹脂の冷却が遅くなり、成形サイクルの延
長といった問題が発生する虞がある。
【0064】環状部材の表面に形成された薄膜の厚さ
は、0.01μm乃至20μm、好ましくは0.1μm
乃至15μm、更に好ましくは0.3μm乃至10μm
とする必要がある。薄膜の厚さが0.01μm未満で
は、薄膜の耐久性が乏しくなるし、成形を連続して行う
と離型性が悪くなるといった問題が発生する虞がある。
一方、薄膜の厚さが20μmを越えると、溶融樹脂の固
化層の発達を招くため、成形品に外観不良が発生し、あ
るいは又、薄膜にクラックが発生し易くなるといった問
題が生じる。
【0065】環状部材の表面に形成された薄膜のビッカ
ース硬度は、600Hv以上、好ましくは800Hv以
上、更に好ましくは1000Hv以上であることが要求
される。ビッカース硬度が600Hv未満では、使用す
る熱可塑性樹脂が繊維を含有していない場合には特に摩
耗の虞もなく環状部材を使用することができるが、繊維
強化の熱可塑性樹脂を用いる場合、薄膜が摩耗する虞が
ある。環状部材の表面に形成された薄膜の動摩擦係数
(μ)は、0.5以下、好ましくは0.3以下、更に好
ましくは0.1以下であることが必要とされる。動摩擦
係数(μ)が0.5以下の場合、摺動抵抗が小さくなる
し、溶融樹脂との密着性も低くすることができる。環状
部材の表面に形成された薄膜と熱可塑性樹脂との剥離強
度は、1kgf/cm以下、好ましくは0.5kgf/
cm以下、更に好ましくは0.3kgf/cm以下であ
ることが必要とされる。環状部材の表面に形成された薄
膜と熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/cm以下の
場合、成形の際に剥離マークの発生を回避することがで
きるが、剥離強度が1kgf/cmを越える場合、成形
品の離型不良による剥離マークの発生が回避できなくな
る虞がある。
【0066】場合によっては、コアピンの径が10mm
を越える場合、コアピンを上述のセラミックス若しくは
ガラスから作製する代わりに、少なくともキャビティ内
を占めるコアピンの部分の表面に、セラミックス若しく
はガラスを溶射して成る溶射層が形成されている形態と
することもできる。この場合、溶射層は、弾性率0.8
×106kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2ca
l/cm・sec・deg乃至2×10-2cal/cm
・sec・degの無機材料から構成されていることが
好ましい。更には、この溶射層の表面には薄膜が形成さ
れ、この薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有
し、ビッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数
(μ)が0.5以下であって、熱可塑性樹脂との剥離強
度が1kgf/cm以下のセラミックス化合物、金属、
金属化合物及び炭素化合物から成る群から選択された少
なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。溶射層
を構成する材料及び薄膜を構成する材料は、上述の環状
部材及びその表面に形成された薄膜を構成する材料から
適宜選択すればよい。
【0067】尚、本発明にあっては、キャビティ内を占
めるコアピンと入れ子のキャビティ面との間のクリアラ
ンス(Cc1)、あるいは、環状部材と入れ子のキャビテ
ィ面との間のクリアランス(Cc1)は0.03mm以下
(Cc1≦0.03mm)とする必要がある。クリアラン
ス(Cc1)の下限は、金型組立体の昇温時に入れ子の熱
膨張に起因して、入れ子のキャビティ面とコアピンや環
状部材とが接触して入れ子やコアピン、環状部材が破損
することがないような値とすればよい。尚、クリアラン
ス(Cc1)が0.03mmを超えると、溶融樹脂がコア
ピンや環状部材と入れ子のキャビティ面との間に侵入す
るために、入れ子にクラックが生じたり、成形品にバリ
が発生する虞がある。クリアランス(Cc1)を0.03
mm以下とすることで、コアピンや環状部材と入れ子の
キャビティ面との間に溶融樹脂が侵入することを確実に
防止することができ、しかも、成形品に穴を確実に形成
することができる。
【0068】以上に説明した本発明の金型組立体におけ
るコアピンとしては、広くは、少なくともキャビティ内
を占めるコアピンの部分の少なくとも表面は、セラミッ
クス若しくはガラスから成ると言い換えることができ
る。即ち、コアピン全体の表面をセラミックス若しくは
ガラスから構成してもよいし、キャビティ内を占めるコ
アピンの部分の表面を、セラミックス若しくはガラスか
ら構成してもよいし、コアピン全体の表面から一定の深
さまでをセラミックス若しくはガラスから構成してもよ
いし、キャビティ内を占めるコアピンの部分の表面から
一定の深さまでを、セラミックス若しくはガラスから構
成してもよいし、コアピン全体をセラミックス若しくは
ガラスから構成してもよい。尚、この場合、キャビティ
内を占めるコアピンの部分は、入れ子のキャビティ面と
対向する対向面を有し、この対向面と入れ子のキャビテ
ィ面との間のクリアランス(Cc1)は0.03mm以下
(Cc1≦0.03mm)であることが好ましい。
【0069】コアピンをセラミックスやガラスから作製
し、あるいは又、少なくともキャビティ内を占めるコア
ピンの部分の少なくとも表面をセラミックス若しくはガ
ラスから構成することによって、コアピンで分岐され再
び合流する溶融樹脂は余り冷却されることがないので、
成形品にウエルドライン等が発生し難い。更には、キャ
ビティ内を占めるコアピンの部分における対向面と入れ
子のキャビティ面との間のクリアランスを規定すること
で、コアピンと入れ子が接触することが無くなり、コア
ピンや入れ子を長期間に亙って使用することが可能とな
る。しかも、コアピンや環状部材の表面に薄膜を形成す
ることによって、成形品の離型性の向上を図れるだけで
なく、コアピンや環状部材の耐久性を向上させることが
できる。
【0070】クリアランス(C11,C12,C13,C21
31,C41,C51,C52,Cc1)は0.03mm以下、
実用的には、0.001mm以上0.03mm以下
(0.001mm≦C11,C12,C13,C21,C31,C
41,C51,C52,Cc1≦0.03mm)、好ましくは
0.003mm以上0.03mm以下(0.003mm
≦C11,C12,C13,C21,C31,C41,C51,C52
c1≦0.03mm)とする。クリアランスの下限は、
入れ子の外周部に微細なクラックが発生したり、金型温
度上昇時に入れ子が熱膨張することによって、入れ子が
金型部の入れ子被覆部や被覆プレート、コアピンと接触
し、入れ子の外周部の微細クラックに応力がかかる結
果、入れ子等が破損するといった問題が生じないような
値とすればよい。クリアランス(C11,C12,C13,C
21,C31,C41,C51,C52,Cc1)が0.03mmを
越えると、溶融樹脂が、入れ子と金型部の入れ子被覆部
や被覆プレート、コアピンとの間に侵入し、入れ子等に
クラックが生じる場合があるし、成形品にバリが発生し
たり、金型部から成形品を取り出す際に入れ子等が損傷
するといった問題も生じる。尚、本発明においては、入
れ子やコアピン、環状部材の表面に薄膜を形成すれば、
入れ子やコアピン、環状部材等の端部に発生し易い微細
なクラックが薄膜によって被覆されるため、入れ子やコ
アピン、環状部材が破損することを格段に低下させるこ
とができる。
【0071】重なり量(ΔS11,ΔS12,ΔS13,ΔS
31,ΔS41,ΔS51,ΔS52)の値が0.5mm未満の
場合、入れ子の外周部に発生した微細なクラックと溶融
樹脂とが接触する結果、入れ子に生成したクラックが成
長し、入れ子が破損する場合がある。
【0072】ここで、キャビティの一部を構成すると
は、成形品の外形を規定するキャビティ面を構成するこ
とを意味する。より具体的には、キャビティは、例え
ば、金型部、第1の金型部あるいは第2の金型部に形成
されたキャビティを構成する面(金型部のキャビティ
面)と、入れ子に形成されたキャビティを構成する面
(入れ子のキャビティ面)と、場合によっては、被覆プ
レートに形成されたキャビティを構成する面(被覆プレ
ートのキャビティ面)とから構成されている。
【0073】本発明における熱可塑性樹脂としては、通
常使用されている熱可塑性樹脂の全てを用いることがで
きる。具体的には、非晶性の熱可塑性樹脂として、ポリ
スチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂とい
ったスチレン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネー
ト樹脂;変性PPE樹脂;ポリアリレート樹脂を挙げる
ことができる。また、結晶性の熱可塑性樹脂として、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィ
ン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド
MXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン
(ポリアセタール)樹脂;ポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート
(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレ
ンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテル
スルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイ
ミド樹脂;液晶ポリマーを挙げることができる。
【0074】結晶性の熱可塑性樹脂は、結晶化によって
密度及び融点が高くなり、成形品の硬度や弾性率が向上
する。また、結晶性の熱可塑性樹脂は、水分や染料、可
塑剤等が結晶組織へ入り込み難いといった特徴を有して
いるため、耐薬品性に優れている。通常、結晶性の熱可
塑性樹脂を用いた成形品の成形においては、金型温度を
結晶性の熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりもかなり低く
設定しておき、キャビティ内に射出された溶融した結晶
性の熱可塑性樹脂の冷却、固化を促進させる方法が採ら
れている。従来の技術においては、金型部は金属材料か
ら作製されているので、熱伝導性が良く、しかも、金型
温度を結晶性の熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりもかな
り低く設定した場合、キャビティ内に射出された溶融し
た結晶性の熱可塑性樹脂は、金型部のキャビティ面と接
触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、成形品
の表面には、非晶質層あるいは結晶化度の低い微細な結
晶層(スキン層)が形成される。このようなスキン層が
形成された成形品においては、成形品の表面に関連する
物性が著しく低下するという問題が生じる。例えば結晶
性の熱可塑性樹脂としてポリオキシメチレン(ポリアセ
タール)樹脂から成形された成形品の耐摩擦摩耗性や耐
候性が著しく低下する。また、金型部のキャビティ面の
成形品表面への転写性も劣化する。
【0075】本発明においては、キャビティ内に射出さ
れた溶融した結晶性の熱可塑性樹脂が急冷されることが
ないために、結晶性の熱可塑性樹脂を用いた場合にも、
樹脂の結晶化度の低下を招くことがなく、成形品の樹脂
表面の結晶化度が高く、樹脂の劣化による割れ等、樹脂
表面に関連する物性の低下を防止することができる。
【0076】特にエンジニアリングプラスチックス、ス
ーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や
強度に優れる反面、流動性が悪いプラスチックを使用す
る場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行
なう必要があるが、本発明の金型組立体を使用すること
で断熱効果が得られるために、金型温度を80゜C以下
としても外観特性が良好な成形品を得ることができる。
また、例えば無機繊維が添加された熱可塑性樹脂であっ
てもよく、この場合、無機繊維が成形品の表面に析出す
る現象が生ぜず、外観特性に優れた成形品を得ることが
できる。これは射出された溶融樹脂の冷却・固化を入れ
子によって遅延することが可能となる結果、溶融樹脂の
流動性及び転写性を向上できるからである。
【0077】更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可
塑性樹脂を用いることもできる。ここで、ポリマーアロ
イ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンド
したもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化
学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共
重合体から成る。ここで、少なくとも2種類の熱可塑性
樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可
塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AE
S樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹
脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミ
ド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリア
ミド系樹脂、変性PPE樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエ
ステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスルホン樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリマー、
エラストマーを挙げることができる。2種類の熱可塑性
樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカ
ーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を
例示することができる。尚、このような樹脂の組合せ
を、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以
下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱
可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、
ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート
樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド
系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹
脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/
ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PE
T樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポ
リオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂
/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/液晶ポリマーを
例示することができる。また、少なくとも2種類の熱可
塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しく
はグラフト共重合体から成るポリマーアロイ材料とし
て、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹
脂を例示することができる。
【0078】ポリマーアロイ材料に基づき成形された成
形品においては、一般に、成形品の外観(特に、光沢
性)が悪くなり、特に、成形品の厚さが変わる部分やウ
ェルド部分において外観不良が生じ易いという問題があ
る。この原因は、通常、金型部は熱伝導性が良い金属材
料から作製されているので、キャビティ内に射出された
溶融したポリマーアロイ材料は、金型部のキャビティ面
と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、溶
融したポリマーアロイ材料に固化層が形成され、転写性
不良や光沢不良が生じる。本発明においては、キャビテ
ィ内に射出された溶融したポリマーアロイ材料が急冷さ
れることがないために、成形品の光沢性が極めて向上
し、鏡面性に優れた成形品を容易に得ることができる。
【0079】尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂
に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加す
ることができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、
炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材を
添加することもできる。
【0080】本発明の成形品の成形方法においては、無
機繊維を5重量%乃至80重量%含有する熱可塑性樹脂
を用いることもできる。尚、成形品の強度を重視する場
合には、無機繊維の平均長さを、5μm乃至5mm、好
ましくは10μm乃至0.4mmとし、成形品の写像性
(鏡面性)を重視する場合には、5μm乃至0.4m
m、より好ましくは5μm乃至0.2mm、一層好まし
くは5μm乃至0.1mmとすることが望ましい。ま
た、これらの場合、無機繊維の平均直径を、0.01μ
m乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至13μ
m、一層好ましくは0.1μm乃至10μmとすること
が望ましい。
【0081】従来の技術において、無機繊維を含有した
熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形した場合、成形品の
表面に無機繊維が析出する結果、成形品の外観が悪くな
り、あるいは又、写像性(鏡面性)が劣化するという問
題が生じ易い。それ故、優れた外観特性や写像性が要求
される成形品に対しては、無機繊維を含有する熱可塑性
樹脂を使用することは困難であった。尚、成形品の表面
への無機繊維の析出という現象は、成形品の表面に無機
繊維が浮き出ることなどで認識することができる。それ
故、成形品の表面への無機繊維の析出といった問題を解
決するために、従来の技術においては、熱可塑性樹脂の
粘度を低下させ、溶融樹脂の流動性を良くすることで対
応していた。しかしながら、無機繊維の含有率を増加さ
せた場合、無機繊維が成形品の表面から析出することを
防止することは難しくなる。そのため、優れた外観特性
が必要とされる成形品には、優れた性能を有しているに
も拘らず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用する
ことは困難であった。無機繊維の含有率が増えると無機
繊維が成形品の表面から析出する原因も、金型部の材質
と関係している。通常、金型部は熱伝導性が良い金属材
料から作製されているので、キャビティ内に射出された
無機繊維を含有する溶融樹脂は、金型部のキャビティ面
と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金
型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成
され、無機繊維が析出する。加えて、金型部のキャビテ
ィ面の成形品表面への転写性が不足するという問題を生
じる。本発明においては、キャビティ内に射出された溶
融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、金
型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成
されることが無く、無機繊維が析出することを確実に防
止することができる。
【0082】この場合、熱可塑性樹脂が含有する無機繊
維の割合(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無
機繊維の割合)は、要求される曲げ弾性率(例えば、A
STM D790に準拠して測定したときの値が3.0
GPa以上)を満足し得る成形品を成形できる範囲であ
ればよく、その上限は、キャビティ内の溶融熱可塑性樹
脂の流動性が低下するため成形が困難となり、あるいは
又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくなると
きの値とすればよい。具体的には、結晶性の熱可塑性樹
脂を用いる場合には上限は概ね80重量%である。非晶
性の熱可塑性樹脂を用いる場合には、結晶性の熱可塑性
樹脂よりも流動性が劣るために、場合によっては上限は
概ね50重量%となる。含有率が5重量%未満では成形
品に要求される曲げ弾性率、弾性率や線膨張係数が得ら
れず、また、80重量%を越えると溶融熱可塑性樹脂の
流動性が低下するため成形品の成形が困難となり、ある
いは又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくな
る虞がある。
【0083】また、無機繊維の平均長さが5μm未満で
あったり、平均直径が0.01μm未満では、成形品に
要求される曲げ弾性率が得られない。一方、無機繊維の
平均長さが5mmを越えたり、平均直径が15μmを越
えると、成形品の表面が鏡面にならないといった問題が
生じる。
【0084】上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有す
る無機繊維を、好ましくはシランカップリング剤等を用
いて表面処理した後、熱可塑性樹脂とコンパウンドし
て、ペレット化して成形用材料とする。このような成形
用材料、及び所定の特性を有する入れ子が組み込まれた
金型組立体を用いて成形品の成形を行うことで、高剛
性、高弾性率、低線膨張係数、高荷重撓み温度(耐熱
性)を有し且つ鏡面性(写像性)に優れた成形品を得る
ことができるし、表面に薄膜が形成された入れ子を用い
れば、金型組立体からの成形品の離型性が飛躍的に向上
する。
【0085】無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、
ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊
維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグ
ネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊
維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選
択された少なくとも1種の材料から構成することが好ま
しい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類
に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に
含有させてもよい。
【0086】無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意
味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂
成分を溶解する液体に無機繊維を含有する成形用ペレッ
ト若しくは成形品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガ
ラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃
焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定
することができる。通常、無機繊維を写真撮影して人が
測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維
の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維
の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用すること
が好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまりに
小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無
機繊維の公称直径の2倍よりも長さが短くなると測定が
難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有
する無機繊維を測定の対象とする。
【0087】本発明の成形品の成形方法においては、成
形品の表面の少なくとも一部分に塗膜を形成する工程を
更に含むことができる。この場合、塗膜は、アクリル系
塗料皮膜、ウレタン系塗料皮膜及びエポキシ系塗料皮膜
から成る群から選択された少なくとも1種の塗料皮膜で
あることが好ましい。即ち、成形された成形品の表面か
ら埃等を除去した後、成形品の表面に塗料を刷毛塗り、
スプレー、静電塗装、浸漬法等の方法により塗布し、そ
の後、乾燥することによって、成形品の表面の少なくと
も一部分に塗膜を形成することができる。本発明によっ
て得られた成形品に残留する歪みが小さいために、塗料
溶液による成形品へのクラックが発生し難い。また、本
発明によって得られた成形品の表面は写像性に優れてお
り、塗装後も写像性に優れた外観を有する成形品を得る
ことができる。尚、原料樹脂の荷重撓み温度以下の硬化
温度を有する塗料を使用することが好ましい。
【0088】あるいは又、本発明の成形品の成形方法に
おいては、成形品の表面の少なくとも一部分にハードコ
ート層を形成する工程を更に含むことができる。この場
合、ハードコート層は、アクリル系ハードコート層、ウ
レタン系ハードコート層及びシリコーン系ハードコート
層から構成された群から選択された少なくとも1種のハ
ードコート層から成ることが好ましい。即ち、成形され
た成形品の表面から埃等を除去した後、アクリル系、ウ
レタン系又はシリコーン系のハードコート溶液から選択
された溶液を、成形品の表面にディップ法、フローコー
ト法、スプレー法等の方法により塗布し、その後、乾
燥、硬化させることによって、成形品の表面の少なくと
も一部分にハードコート層を形成することができる。成
形品の表面のハードコート層の厚さは1μm乃至30μ
m、好ましくは3μm乃至15μmであることが望まし
い。1μm未満ではハードコート層の耐久性が不足し、
30μmを越えるとハードコート層にクラックが発生し
易くなる。ハードコート層と成形品との間の密着性が十
分でない場合には、プライマーコートを成形品に塗布し
た後にトップコートを塗布することで、密着力を向上さ
せることができる。成形品に残留する歪みが小さいため
に、ハードコート層の形成に起因した成形品へのクラッ
クの発生は生じ難い。また、本発明によって得られた成
形品の表面は写像性に優れており、ハードコート層形成
後も写像性に優れた外観を有する成形品を得ることがで
きる。
【0089】あるいは又、本発明の成形品の成形方法に
おいては、金属粉末又は金属フレークを、0.01重量
%乃至80重量%、好ましくは0.1重量%乃至50重
量%、より好ましくは1重量%乃至30重量%含有する
熱可塑性樹脂を用いることもできる。尚、金属粉末の平
均粒子径あるいは金属フレークの平均厚さは、t0の値
に応じて、溶融樹脂の流動性が阻害されないような値を
適宜選択する必要がある。即ち、t0の値が小さい場合
には、金属粉末の平均粒子径あるいは金属フレークの平
均厚さを小さいものを適宜選択する。具体的には、金属
粉末の平均粒子径は、0.1μm乃至0.8t0mm、
好ましくは0.2μm乃至0.5t0mmとすることが
望ましい。また、金属フレークの平均厚さは、0.1μ
m乃至200μm、好ましくは1乃至150μmで平均
外径が平均厚さより大きいことが望ましい。
【0090】メタリック色調を有する熱可塑性樹脂製の
成形品は、金属部品に比べ軽量であり、しかも、金属感
を有しており、各種の産業分野において使用されてい
る。通常、成形品にメタリック色調を付与するために
は、メタリック色調を与える金属粒子を含んだ塗料を成
形品に塗装したり、メタリック色調を与える金属粒子を
成形品の原料樹脂に練り込む。成形品を塗装することに
よって、塗料に含有された金属粒子の大きさに関係な
く、比較的容易に金属感を成形品の表面に付与すること
ができる。しかしながら、成形品に深み感を与えようと
した場合、クリヤーコートを重ね塗りしなければなら
ず、成形品の製造工数が増加するという問題がある。一
方、原料樹脂に金属粒子を練り込む方法においては、例
えば、粒子径の小さい金属粒子を用いると成形品が濁っ
た灰色になり易く、成形品に金属感を付与することが困
難となる。また、粒子径の大きい金属粒子を用いると、
金属粒子が成形品表面に析出するために、ギラギラした
金属感が成形品表面に強く現れるという問題がある。そ
れ故、金属粒子の粒子径を規定する必要があるが、そう
した場合でも、クリヤーコートを施した場合の深み感の
ある色調を成形品の表面に付与することができない。そ
のため、現状では、成形品の原料樹脂に金属粒子を練り
込む場合であっても、成形品の表面にクリアーコートを
施し、成形品の表面に深み感のある色調を付与してい
る。従来の技術において、成形品の表面に深み感が得ら
れない理由は、成形品の表面に金属粒子が析出し、成形
品の表面に凹凸が生じることにある。この現象は、金型
部の材質と関係している。従来の技術においては、金型
部は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、
キャビティ内に射出された溶融樹脂は、金型部のキャビ
ティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結
果、金属粒子を含む溶融樹脂に固化層が形成され、成形
品の表面に金属粒子が析出し、光沢不良を生じる。本発
明においては、キャビティ内に射出された溶融した熱可
塑性樹脂が急冷されることがないために、金型部のキャ
ビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成されること
が無く、成形品の表面に金属粒子が析出することが無
く、光沢不良を生じることを確実に防止することができ
る。
【0091】金属粉末又は金属フレークの含有率が0.
01重量%未満では、成形品にはメタリック色調が不足
する。一方、80重量%を越えると、成形品の外観にぎ
らついた感じしか得られず、あるいは又、金属粉末若し
くは金属フレークが成形品の表面に析出する結果、成形
品の表面に深み感を付与することが困難となる。金属粉
末の平均粒子径が0.1μm未満では、深みのある金属
感を得られない。一方、0.8t0mmを越えると、成
形が困難となりやすい。また、金属フレークを用いる場
合、平均厚さが0.1μm未満では、樹脂と混練する
際、金属フレークに亀裂が生じるため、成形品のメタリ
ック色調が低減する。一方、平均厚さが200μmを越
えると、成形が困難となりやすい。
【0092】金属粉末の平均粒子径、金属フレークの平
均厚さや平均外径は、画像解析装置を用いて測定するこ
とができる。金属粉末、金属フレークが樹脂に含有され
ている場合、樹脂を炭化するか、溶剤で樹脂を溶解した
後、金属粉末の平均粒子径、金属フレークの平均厚さや
平均外径を測定すればよい。
【0093】金属粉末若しくは金属フレークを構成する
金属としては、金、銀、白金、銅、アルミニウム、クロ
ム、鉄、ニッケル、又はこれらの化合物、合金を挙げる
ことができる。中でも、金属粉末を酸化クロム粉末又は
アルミニウム粉末から構成し、あるいは又、金属フレー
クをアルミニウムフレークから構成することが、深み感
のあるメタリック色調を得るために、コストあるいは外
観的な観点から好ましい。
【0094】尚、この場合、熱可塑性樹脂には、無機繊
維を1乃至50重量%、好ましくは5乃至40重量%含
有させることができる。尚、この場合、金属粉末若しく
は金属フィラーと無機繊維の合計重量%を50重量%以
下とすることが好ましい。無機繊維として、ガラス繊
維、ガラスビーズ、カーボン繊維、ウォラストナイト、
ほう酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウム
ウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊
維、珪酸カルシウムウィスカー繊維、硫酸カルシウムウ
ィスカー繊維を挙げることができる。無機繊維の含有率
が少なすぎると成形品の強度が不十分となる場合があ
る。一方、無機繊維の含有率が50重量%を越えると、
成形品表面に無機繊維が析出する虞がある。
【0095】本発明の各種の態様、形態を含む上述の成
形品の成形方法によって成形された成形品として、IC
カード用のカード、携帯電話用のハウジング、携帯用O
A(携帯用カセットレコーダー、携帯用コンパクトディ
スクプレーヤ、携帯用パーソナルコンピュータ)用のハ
ウジング、情報記憶媒体(フロッピーディスクFDやミ
ニディスクMD、MO等、あるいはPCMCIA)用の
ハウジングあるいはケース(例えばアッパーシェルやロ
アーシェル)、曲面形状を有する成形品(例えばスピー
カーコーン等)を挙げることができる。本発明の各種の
態様、形態を含む上述の成形品の成形方法によって成形
された成形品の外形として、板状、箱形状を例示するこ
とができる。尚、成形品の厚さとは、成形品の形状が板
状の場合には係る板状成形品の厚さを意味し、成形品の
形状が箱形状の場合には係る箱形状成形品の底面の厚さ
を意味する。
【0096】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を具体的に説明する。
【0097】(実施例1)実施例1は、本発明の第1の
態様に係る金型組立体及び第1の態様に係る成形品の成
形方法に関し、更には、第1の形態に関する。実施例1
における金型組立体を、図1に模式的な端面図で示す。
また、金型組立体の作製中の金型部等の模式的な端面図
を図2及び図3に示す。
【0098】実施例1の金型組立体は、(イ)キャビテ
ィ15が設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形
するための第1の金型部(可動金型部)10及び第2の
金型部(固定金型部)11と、(ロ)第2の金型部11
に配置され、第1の金型部10と第2の金型部11とを
型締めした状態において形成されるキャビティ15内に
溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹脂射出部14
と、(ハ)第1の金型部10に配設された第1の入れ子
16と、第2の金型部11に配設された第2の入れ子1
7とを備えている。
【0099】実施例1の金型組立体におけるキャビティ
15の大きさを、400mm×150mm×0.3mm
とした。即ち、第1の金型部10と第2の金型部11と
を型締めしたときの金型部の開閉方向に沿ったキャビテ
ィの距離t0は0.3mmである。従って、金型部の開
閉方向に沿った成形品の厚さは0.3mmであり、t0
と等しい。言い換えれば、成形品の形状は、板厚0.3
mmの板状(カード状)である。実施例1においては、
第1の入れ子16及び第2の入れ子17をZrO2−Y2
3から作製した。使用したZrO2−Y23の弾性率は
2×106kgf/cm2であり、熱伝導率は0.8×1
-2cal/cm・sec・degである。
【0100】第1の入れ子16、第2の入れ子17をZ
rO2−Y23を研削加工することによって作製した。
そして、入れ子16,17のキャビティ面16A,17
Aに対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げ
を行ない、入れ子16,17のキャビティ面16A,1
7Aの表面粗さRmaxを0.02μmとした。尚、第1
の入れ子16は、厚さ3.00mmの板状とした。ま
た、第2の入れ子17の形状を箱形とした。この箱形の
第2の入れ子17の底面の厚さを3.00mmとし、第
2の入れ子17の周辺に設けられた側壁の高さを0.3
0mmとした。尚、第2の入れ子17の中央部には、溶
融樹脂射出部14の先端部分を通すための円形の貫通孔
を設けた。
【0101】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。第1の金型部10には、切削加
工によって深さ3.00mmの入れ子装着部10Aを設
けた(図2の(A)参照)。そして、第1の入れ子16
を入れ子装着部10Aにボルト18Aを用いて固定した
(図2の(B)参照)。
【0102】一方、第2の金型部(固定金型部)11を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部11には、
切削加工によって深さ3.32mmの入れ子装着部11
Aを設けた(図3の(A)参照)。また、第2の金型部
11の中央部には、直径0.5mmのダイレクトゲート
(ピンゲート)構造を有する溶融樹脂射出部14を設け
た。尚、参照番号13はスプルー部である。そして、第
2の入れ子17を入れ子装着部11Aにボルト18Bを
用いて固定した。この状態を、図3の(B)及び(C)
に示す。溶融樹脂射出部14から最も遠い所に位置する
キャビティ15の部分から溶融樹脂射出部14までの距
離Lは約214mmである。尚、図3の(B)は、溶融
樹脂射出部14を含む垂直面で第2の金型部11を切断
したときの模式的な端面図であり、図3の(C)は、溶
融樹脂射出部14を含まない垂直面で第2の金型部11
を切断したときの模式的な端面図である。
【0103】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10と第2の金型部(固定金型部)11を組み付
けて実施例1の金型組立体を得た。第1の金型部10と
第2の金型部11とを型締めした状態において、第1の
入れ子16の表面(キャビティ面16A)と、第1の入
れ子16の表面(キャビティ面16A)と対向する第2
の入れ子17の表面17Bとの間のクリアランス
(C11)は0.02mmであった。また、第2の入れ子
17の中央部に設けられた貫通孔と第2の金型部11と
の間のクリアランスC0は0.005mmであった。
尚、このクリアランスC0は、0.03mm以下、好ま
しくは0.001mm≦C0≦0.03mm、一層好ま
しくは0.003mm≦C0≦0.03mmとすること
が望ましい。
【0104】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−Y23
ら作製された入れ子16,17に割れ等の損傷は発生し
なかった。
【0105】成形装置として三菱重工業株式会社製、5
50MM射出成形機を用い、金型組立体を70゜Cに加
熱した。熱可塑性樹脂として、平均長さ200μm、平
均直径13μmのガラス繊維が30重量%添加された液
晶ポリマー樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス
株式会社製、ノバキュレート E322G30)を用い
て、本発明の第1の態様に係る成形品の成形を行なっ
た。成形条件を、以下の表1のとおりとした。
【0106】
【表1】 金型温度: 70゜C 樹脂温度:260゜C 射出速度:150mm/秒
【0107】この熱可塑性樹脂の流動指数αは、上記の
成形条件においては、試験の結果、800であった。従
って、従来の金属材料から作製された金型部を備えた金
型組立体においては、流動係数は1であり、最大到達距
離Lmaxは800t0 2であるが故に、t0=0.3mmと
した場合、溶融樹脂射出部から72mmの範囲までのキ
ャビティ内にしか溶融樹脂を充填することができないこ
とになる。
【0108】実施例1の金型組立体においては、試験の
結果、流動係数kiは5であった。従って、 kiαt0 2 =5×800×0.32 =360 となり、この値はL(=214)よりも大きく、 L≦kiαt0 2 (但しL≧3) を満足している。
【0109】所定量の溶融樹脂を溶融樹脂射出部14を
介してキャビティ15内に射出した後、20秒後に金型
組立体の型開きを行い、次いで、成形品を金型組立体か
ら取り出した。
【0110】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品表面はガラス繊
維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に綺麗な外観を
有していた。更には、成形品には、フローマーク、反り
等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回
行ったが、入れ子16,17に割れ等の損傷は発生しな
かった。
【0111】(実施例2)実施例2においては、第1の
入れ子16及び第2の入れ子17の表面(キャビティ面
16A,17A)に、薄膜を形成した。薄膜の厚さを
0.5μmとし、薄膜を構成する材料をアモルファスダ
イヤモンドとした。この薄膜のビッカース硬度は150
0Hvであり、動摩擦係数(μ)は0.2であった。第
1及び第2の入れ子16,17の表面16A,17Aに
おける薄膜の形成は、以下の表2の条件に基づくプラズ
マCVD法にて行った。尚、キャビティ15の寸法、第
1及び第2の入れ子16,17の寸法、流動距離L等
は、実施例1と同様とした。
【0112】
【表2】 使用ガス:CH4/H2 圧力 :10-3〜10-2Pa 温度 :約400゜C
【0113】そして、実施例1と同じ成形装置及び熱可
塑性樹脂を用いて、実施例1と同じ成形条件にて成形を
行った。尚、実施例2の金型組立体においては、流動係
数kiの値は4であり、流動指数αの値は800であ
り、kiαt2の値は288であり、L≦kiαt0 2を満
足している。薄膜と熱可塑性樹脂との剥離強度は0.2
kgf/cmであった。
【0114】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品表面はガラス繊
維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に綺麗な外観を
有していた。更には、成形品には、フローマーク、反り
等の成形不良もなかった。また、金型組立体からの成形
品の取り出しは極めてスムーズであった。連続して成形
を10000回行ったが、入れ子16,17に割れ等の
損傷は発生しなかった。尚、入れ子16,17の表面1
6A,17Aに形成された薄膜にも損傷は認められなか
った。
【0115】(実施例3)実施例3における金型組立体
は、本発明の第2の態様に係る金型組立体に関し、更に
は、第1の形態に関する。実施例1における金型組立体
を、図4及び図5に模式的な端面図で示す。また、金型
組立体の作製中の金型部等の模式的な端面図を図6及び
図7に示す。更には、成形品を成形中の金型組立体の模
式的な端面図を図8及び図9に示す。
【0116】実施例3の金型組立体も、(イ)キャビテ
ィ15が設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形
するための第1の金型部(可動金型部)10及び第2の
金型部(固定金型部)11と、(ロ)第2の金型部11
に配置され、第1の金型部10と第2の金型部11とを
型締めした状態において形成されるキャビティ15内に
溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹脂射出部14
と、(ハ)第1の金型部10に配設された第1の入れ子
16と、第2の金型部11に配設された第2の入れ子1
7とを備えている。実施例3の金型組立体が実施例1の
金型組立体と相違する点は、キャビティ15の容積を可
変とし得る構造(実施例3においては印篭構造)を有す
る点にある。
【0117】実施例3の金型組立体においては、第1の
金型部10に配設された第1の入れ子16の表面の一部
分16Bと第2の金型部11に配設された第2の入れ子
17の表面の一部分17Bとが対向しており、金型組立
体が完全に型締めされていなくともキャビティ15が形
成されるように、僅かなクリアランスC11(実施例3に
おいては0.01mm)をもって第1の金型部10に配
設された入れ子16の表面の一部分16Bと第2の金型
部11に配設された第2の入れ子17の表面の一部分1
7Bが嵌合する構造とした。金型部の開閉方向に沿った
キャビティの距離がtとなるように第1の金型部と第2
の金型部とを型締めした状態を図4の模式的な端面図に
示す。尚、型締めした状態とは、第1の金型部10と第
2の金型部11とが、溶融樹脂をキャビティ15内に射
出できる状態に配置されたことを意味する。一方、金型
部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt0とした状
態を図5の模式的な端面図に示す。
【0118】実施例3においては、大きさ80mm×8
0mm、厚さ0.2mm(=t0)の板状の成形品(I
Cカード用のカード)を成形した。
【0119】第1の入れ子16、第2の入れ子17を、
実施例1と同様に、ZrO2−Y23を研削加工するこ
とによって作製した。そして、入れ子16,17のキャ
ビティ面16A,17Aに対して、ダイヤモンド砥石を
用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子16,17のキ
ャビティ面16A,17Aの表面粗さRmaxを0.02
μmとした。尚、第2の入れ子17の中央部には、溶融
樹脂射出部14の先端部分を通すための円形の貫通孔を
設けた。
【0120】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
HPM1から作製した。第1の金型部10には、切削加
工によって入れ子装着部10Aを設けた(図6の(A)
参照)。そして、第1の入れ子16を入れ子装着部10
Aにボルト18Aを用いて固定した(図6の(B)参
照)。
【0121】一方、第2の金型部(固定金型部)11を
炭素鋼HPM1から作製した。第2の金型部11には、
切削加工によって入れ子装着部11Aを設けた(図7の
(A)参照)。また、第2の金型部11の中央部には、
直径3mmのダイレクトゲート構造を有する溶融樹脂射
出部14を設けた。そして、第2の入れ子17を入れ子
装着部11Aにボルト18Bを用いて固定した。この状
態を、図7の(B)及び(C)に示す。溶融樹脂射出部
14から最も遠い所に位置するキャビティ15の部分か
ら溶融樹脂射出部14までの距離Lは約57mmであ
る。尚、図7の(B)は、溶融樹脂射出部14を含む垂
直面で第2の金型部11を切断したときの模式的な端面
図であり、図7の(C)は、溶融樹脂射出部14を含ま
ない垂直面で第2の金型部11を切断したときの模式的
な端面図である。
【0122】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10と第2の金型部(固定金型部)11を組み付
けて実施例3の金型組立体を得た。第1の金型部10と
第2の金型部11とを型締めした状態において(図4参
照)、第1の入れ子16の表面16Bと、第1の入れ子
16の表面16Bと対向する第2の入れ子17の表面1
7Bとの間のクリアランス(C11)は0.01mmであ
った。また、第2の入れ子17の中央部に設けられた貫
通孔と第2の金型部11との間のクリアランスC0
0.01mmであった。
【0123】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−Y23
ら作製された入れ子16,17に割れ等の損傷は発生し
なかった。
【0124】成形装置として射出圧縮成形可能な東芝機
械株式会社製、IS75プレストロール射出成形機を用
い、金型組立体を80゜Cに加熱した。尚、この射出成
形機は、通常の射出成形を行うこともできる。熱可塑性
樹脂として、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリ
ングプラスチックス株式会社製、ユーピロン H400
0)を用いて、本発明の第2の態様に係る成形品の成形
を行なった。成形条件は、以下の表3のとおりとした。
【0125】尚、第1の金型部10と第2の金型部11
とを型締めしたときの金型部の開閉方向に沿ったキャビ
ティ15の距離tが0.5mmとなるように第1の金型
部10と第2の金型部11とを型締めし、溶融樹脂射出
部14からキャビティ15内に溶融熱可塑性樹脂を射出
し(図8参照)、射出完了後に、金型部の開閉方向に沿
ったキャビティ15の距離をt0とした。即ち、第1の
金型部10を第2の金型部11に向かって移動させ、キ
ャビティ15の容積が、成形すべき成形品の容積と等し
くなる状態に第1の金型部10と第2の金型部11とを
配置した。このときの金型部の開閉方向に沿ったキャビ
ティ15の距離t0を0.2mmとした。具体的には、
所定量の80%の溶融樹脂を溶融樹脂射出部14を介し
てキャビティ15内に射出した時点で、射出を続けなが
ら、第1の金型部(可動金型部)10を第2の金型部
(固定金型部)11に向かって0.3mm移動させた。
移動の完了は、溶融樹脂の射出完了後とした。この状態
を図9に示す。その後、20秒後に金型組立体の型開き
を行い、次いで、成形品を金型組立体から取り出した。
【0126】
【表3】 金型温度: 80゜C 樹脂温度:280゜C 射出速度:100mm/秒 t :0.5mm t0 :0.2mm
【0127】この熱可塑性樹脂の流動指数αは、上記の
成形条件においては、試験の結果、150であった。従
って、従来の金属材料から作製された金型部を備えた金
型組立体においては、最大到達距離Lmaxは150t0 2
であるが故に、t0=0.2mmとした場合、溶融樹脂
射出部から6mmの範囲までのキャビティ内にしか溶融
樹脂を充填することができないことになる。
【0128】実施例3の金型組立体においては、試験の
結果、流動係数kcは13であった。従って、 kcαt0 2 =13×150×0.22 =78 となり、この値はL(=57)よりも大きく、 L≦kcαt0 2 (但しL≧3) を満足している。
【0129】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、フローマーク、反り等
の成形不良もなかった。更には、高分子量成形材料を使
用したので、0.2mmの薄さとはいえ、成形品を折り
曲げても割れは生じなかった。連続して成形を1000
0回行ったが、入れ子16,17に割れ等の損傷は発生
しなかった。
【0130】(実施例4)実施例4においては、第1の
入れ子16及び第2の入れ子17の表面(キャビティ面
16A,17A)に、薄膜を形成した。薄膜の厚さを
0.5μmとし、薄膜を構成する材料をアモルファスダ
イヤモンドとした。第1及び第2の入れ子16,17の
表面16A,17Aにおける薄膜の形成は、実施例2と
同様とした。
【0131】そして、実施例3と同じ成形装置及び熱可
塑性樹脂を用いて、実施例3と同じ成形条件にて成形を
行った。尚、実施例4の金型組立体においては、流動係
数kiの値は12.6であり、薄膜と熱可塑性樹脂との
剥離強度は0.3kgf/cmであった。
【0132】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品は非常に綺麗な
外観を有していた。更には、フローマーク、反り等の成
形不良もなかった。また、金型組立体からの成形品の取
り出しは極めてスムーズであった。連続して成形を10
000回行ったが、入れ子16,17に割れ等の損傷は
発生しなかった。尚、入れ子16,17の表面16A,
17Aに形成された薄膜にも損傷は認められなかった。
【0133】(比較例1)金型組立体として実施例1で
用いた第1及び第2の入れ子を、Rmax0.02μmま
で鏡面仕上げをした炭素鋼(熱伝導率11×10-2ca
l/cm・sec・deg)から作製した入れ子に取り
替えて成形を行った。実施例1と同じ成形装置及び熱可
塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形
を行った。
【0134】成形の結果、キャビティ15内での溶融樹
脂の流動性が悪く、キャビティ15内を完全に溶融樹脂
で充填することができなかった。そこで、射出圧力及び
射出速度を増加させたが、溶融樹脂射出部から約70m
mの範囲までのキャビティ内にしか溶融樹脂を充填する
ことができず、キャビティ15の半分も樹脂で充填され
ていなかった。また、得られた成形品は反りがひどく、
フローマーク及びジェッテイング等の成形不良が生じて
いた。しかも、成形品の表面にはガラス繊維が析出して
おり、実施例1と比較すると成形品の鏡面性が著しく劣
っていた。
【0135】(比較例2)金型組立体として実施例3で
用いた第1及び第2の入れ子を、Rmax0.02μmま
で鏡面仕上げをした炭素鋼(熱伝導率11×10-2ca
l/cm・sec・deg)から作製した第1及び第2
の入れ子に取り替えて成形を行った。実施例3と同じ成
形装置及び熱可塑性樹脂を使用し、実施例3と同様の成
形条件にて成形を行った。
【0136】成形の結果、キャビティ15内での溶融樹
脂の流動性が悪く、キャビティ15内を完全に溶融樹脂
で充填することができなかった。そこで、射出圧力及び
射出速度を増加させ、且つ、t=0.6mmとしたが、
溶融樹脂射出部から約5mmの範囲までのキャビティ内
にしか溶融樹脂を充填することができず、キャビティ1
5の殆どが樹脂で充填されていなかった。また、成形品
にはフローマーク及びジェッテイング等の成形不良が生
じていた。しかも、成形品の厚さは0.8mmと厚く、
溶融樹脂の充填圧で金型組立体が若干開き、第2の金型
部に圧力を加えてキャビティ15内の樹脂を圧縮して
も、既に固化層が発達していたため、キャビティ内の樹
脂を圧縮することができなかった。
【0137】(実施例5)実施例1の金型組立体も、本
発明の金型組立体の第1の態様に関し、更には、第2の
形態に関する。図10に模式的な端面図を示す実施例5
の金型組立体が実施例1の金型組立体と相違する点は、
入れ子16を第1の金型部(可動金型部)10にのみ配
設した点にある。また、第2の金型部11の中央に設け
られた溶融樹脂射出部14を、ダイレクトゲート構造と
した。
【0138】即ち、実施例5の金型組立体は、(イ)キ
ャビティ15が設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成形品
を成形するための第1の金型部(可動金型部)10及び
第2の金型部(固定金型部)11、(ロ)第2の金型部
11に配置され、第1の金型部10と第2の金型部11
とを型締めした状態において形成されるキャビティ15
内に溶融熱可塑性樹脂を射出するための溶融樹脂射出部
14、並びに、(ハ)第1の金型部10に配設され、キ
ャビティ15の一部を構成する入れ子16を備えてい
る。第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めし
た状態において、入れ子16の表面16Aと、入れ子1
6の表面16Aと対向する第2の金型部11の面(実施
例5においてはパーティング面PL2)との間のクリア
ランスC21は0.03mm以下(C21≦0.03mm)
である。尚、図10の(A)は金型組立体を型締めした
状態を示し、図10の(B)は金型組立体を型開きした
状態を示す。
【0139】尚、成形品をパーソナルコンピュータ用の
ハウジングとし、成形品の形状を箱形とした。成形品の
底面の寸法を300×200mmとし、厚さを0.5m
mとした。また、側面の高さを15mm、厚さを0.5
mmとした。溶融樹脂射出部14から最も遠い所に位置
するキャビティ15の部分から溶融樹脂射出部14まで
の距離Lは180mmであった。また、第1の金型部1
0と第2の金型部11とを型締めしたときの金型部の開
閉方向に沿ったキャビティ15の距離t0を0.5mm
とした。
【0140】実施例5においては、入れ子16をZrO
2−SiO2から作製した。尚、ZrO2−SiO2の弾性
率は2×106kgf/cm2であり、熱伝導率は0.8
×10-2cal/cm・sec・degである。入れ子
16は、厚さ3.0mmとなるように、ZrO2−Si
2をプレス成形した後、焼成して作製した。そして、
入れ子16のキャビティ面16Aに対してダイヤモンド
砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子16のキ
ャビティ面16Aの表面粗さRmaxを0.02μmとし
た。
【0141】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製し、切削加工を行い、第1の金型部1
0に入れ子装着部10Aを設けた(図11の(A)参
照)。そして、入れ子装着部10Aに入れ子16をボル
ト18を用いて固定した(図11の(B)参照)。尚、
ボルト18は図11の(B)に2カ所のみ図示したが、
必要とされる本数のボルト18を用いて、入れ子16を
固定すればよい。また、第2の金型部(固定金型部)1
1を炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部11の
中央部には、直径5mmのダイレクトゲート構造を有す
る溶融樹脂射出部14を設けた(図11の(C)参
照)。
【0142】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを組み
付けて実施例5の金型組立体を得た。第1の金型部10
と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ
子16の表面16Aと、入れ子16の表面16Aと対向
する第2の金型部11の面(実施例5においてはパーテ
ィング面PL2)との間のクリアランスC21は0.02
mm(C21=0.02mm)であった。このような構造
にすることで、入れ子16の外周部は、第2の金型部1
1、及びキャビティ15内に射出された溶融樹脂と接触
しなくなる。
【0143】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−SiO2
ら作製された入れ子16に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0144】そして、成形装置として実施例1と同じ射
出成形機を用い、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を用い
て、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。キャビ
ティ15内への溶融樹脂の射出完了時点の状態を図12
の模式的な端面図に示す。尚、実施例5の金型組立体に
おいては、流動係数kiの値は3であり、流動指数αは
800であった。
【0145】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品表面はガラス繊
維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に綺麗な外観を
有していた。更には、成形品には、フローマーク、反り
等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回
行ったが、入れ子16に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0146】尚、図13に模式的な端面図を示すよう
に、入れ子16の表面に、例えば厚さ0.5μmのアモ
ルファスダイヤモンドから成る薄膜16Cを形成すれ
ば、金型部からの成形品の取り出しを極めてスムーズに
行うことができる。ここで、図13の(A)は金型組立
体を型締めした状態を示し、図13の(B)は金型組立
体を型開きした状態を示す。
【0147】(実施例6)実施例6の金型組立体は、本
発明の金型組立体の第2の態様に関し、更には、第2の
形態に関する。即ち、実施例2の金型組立体は、キャビ
ティの容積を可変とし得る構造(実施例6においては印
篭構造)を有する点にある。実施例6の金型組立体を図
14に示すが、第1の金型部10と第2の金型部11と
を型締めしたときの金型部の開閉方向に沿ったキャビテ
ィ15の距離がtとなるように第1の金型部10と第2
の金型部11とを型締めした状態を、図14の(A)の
模式的な端面図に示す。また、キャビティ15の容積が
成形すべき成形品の容積と等しくなる状態に第1の金型
部10と第2の金型部11とを配置したときの、金型部
の開閉方向に沿ったキャビティ15の距離がt0となっ
た状態を図14の(B)の模式的な端面図に示す。
【0148】この実施例6の金型組立体を構成する要素
は、基本的には、実施例5の金型組立体を構成する要素
と同じであるので詳細な説明は省略する。また、成形品
の大きさも実施例5と同様とした。
【0149】実施例6においても、入れ子16をZrO
2−Y23から作製した。入れ子16の厚さを3.0m
mとした。入れ子16は、厚さ3.0mmとなるように
ZrO2−Y23をプレス成形した後、焼成して作製し
た。そして、入れ子16のキャビティ面16Aに対し
て、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行な
い、入れ子16のキャビティ面16Aの表面粗さRmax
を0.02μmとした。
【0150】一方、第1の金型部(可動金型部)10を
炭素鋼HPM1から作製し、切削加工を行い、第1の金
型部10に入れ子装着部を設けた。そして、入れ子装着
部に入れ子16をボルト18を用いて固定した。また、
第2の金型部(固定金型部)11を炭素鋼HPM1から
作製した。尚、第2の金型部の中央部には、直径5mm
のダイレクトゲート構造を有する溶融樹脂射出部14を
設けた。
【0151】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを組み
付けて本発明の金型組立体を得た。第1の金型部10と
第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子
16の表面の一部分16Bと、入れ子16の表面の一部
分16Bと対向する第2の金型部11の面(実施例6に
おいてはパーティング面PL2)との間のクリアランス
21は0.01mm(C2 1=0.01mm)であった。
このような構造にすることで、入れ子16の外周部は、
第2の金型部11、及びキャビティ15内に射出された
溶融樹脂と接触しなくなる。
【0152】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−Y23
ら作製された入れ子16に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0153】実施例5と同じ成形装置(但し、射出圧縮
成形可能に改造)を用いた。また、熱可塑性樹脂とし
て、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラ
スチックス株式会社製、ユーピロン S2000)を用
いた。そして、実施例3と同じ成形条件にて成形を行っ
た。尚、実施例6の金型組立体においては、流動係数k
cの値は13であり、流動指数αは80であった。金型
部の開閉方向に沿ったキャビティの距離がt(=0.5
mm)となるように第1の金型部10と第2の金型部1
1とを型締めし、溶融樹脂射出部14からキャビティ1
5内に溶融熱可塑性樹脂を射出した状態を図15の
(A)に示す。射出後に、金型部の開閉方向に沿ったキ
ャビティ15の距離をt0(=0.2mm)とした。こ
の状態を図15の(B)に示す。
【0154】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品は非常に綺麗な
外観を有していた。更には、成形品には、フローマー
ク、反り等の成形不良もなかった。連続して成形を10
000回行ったが、入れ子16に割れ等の損傷は発生し
なかった。
【0155】尚、図16の(A)及び(B)に模式的な
端面図を示すように、入れ子16の表面に薄膜16Cを
形成すれば、金型部からの成形品の取り出しを極めてス
ムーズに行うことができる。例えば、薄膜16Cの厚さ
3μmをとし、薄膜16Cを構成する材料をTiNとす
ることができる。この薄膜16Cのビッカース硬度は2
000Hvであり、動摩擦係数(μ)は0.3である。
入れ子16の表面における薄膜16Cの形成を、以下の
表4の条件に基づくプラズマCVD法にて行うことがで
きる。ここで、図16の(A)は、第1の金型部10と
第2の金型部11とを型締めしたときの金型部の開閉方
向に沿ったキャビティ15の距離がtとなるように、第
1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態
を示す模式的な端面図である。また、図16の(B)
は、キャビティ15の容積が成形すべき成形品の容積と
等しくなる状態に第1の金型部10と第2の金型部11
とを配置したときの、金型部の開閉方向に沿ったキャビ
ティ15の距離がt0となった状態を示す模式的な端面
図である。
【0156】
【表4】 使用ガス:TiCl4/N2/H2 圧力 :約10-3Pa 温度 :約500゜C
【0157】(実施例7)実施例7は、本発明の第1の
態様に係る金型組立体に関し、更には、第3の形態に関
する。実施例7の金型組立体を型締めしたときの模式的
な端面図を図17の(A)に示し、型開きしたときの模
式的な端面図を図18の(A)に示す。また、組み立て
中の金型組立体の模式的な端面図を、図17の(B)及
び(C)に示す。
【0158】実施例7の金型組立体は、(イ)熱可塑性
樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部(可
動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)11
と、(ロ)第1の金型部10に配設され、キャビティ1
5の一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ子16
と、(ハ)第2の金型部11に設けられた溶融樹脂射出
部14とを備えている。そして、第2の金型部11に
は、入れ子被覆部12が設けられている。具体的には、
入れ子被覆部12は、入れ子16のキャビティ面16A
と対向する第2の金型部11の面に設けられた一種の切
り込み(切り欠き)である。
【0159】図17の(A)に示すように、第1の金型
部10と第2の金型部11とを型締めした状態におい
て、入れ子16と入れ子被覆部12との間のクリアラン
ス(C31)を0.03mm以下(C31≦0.03mm)
とする。また、入れ子16に対する入れ子被覆部12の
重なり量(ΔS31)を0.5mm以上(ΔS31≧0.5
mm)とする。実施例7においては、入れ子16を構成
する材料として、ZrO2−Y23を用いた。
【0160】実施例7の金型組立体におけるキャビティ
15の大きさは、100mm×100mm×0.3mm
であり、形状は板状である。尚、溶融樹脂射出部14か
ら最も遠い所に位置するキャビティ15の部分から溶融
樹脂射出部14までの距離Lは71mmである。また、
第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めしたと
きの金型部の開閉方向に沿ったキャビティ15の距離t
0は0.3mmである。入れ子16の大きさは、10
2.00mm×102.00mm×3.00mmであ
る。尚、入れ子16を研削加工にて作製し、入れ子16
のキャビティ面16Aに対して、ダイヤモンド砥石を用
いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子16のキャビティ
面16Aの表面粗さRmaxを0.02μmとした。
【0161】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子16のための入れ子装着
部10Aの内寸法が102.20mm×102.20m
m、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入
れ子装着部10Aを設け(図17の(B)参照)、次い
で、入れ子16をシリコン系接着剤(図示せず)を用い
て入れ子装着部10A内に接着した(図17の(C)参
照)。隙間ゲージを用いて入れ子16と入れ子装着部1
0Aとの間のクリアランス(D)を測定したところ、最
低クリアランスは0.05mmであった。
【0162】一方、第2の金型部(固定金型部)11を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部(固定金型
部)11の中央部には、直径5mmのダイレクトゲート
から成る溶融樹脂射出部14を設けた。
【0163】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10及び第2の金型部(固定金型部)11を組み
付けて実施例7の金型組立体を得た。この金型組立体に
おいて、入れ子16と入れ子被覆部12との間のクリア
ランス(C31)は0.02mm(C31=0.02mm)
であった。また、入れ子16に対する入れ子被覆部12
の重なり量(ΔS31)は1.0mm(ΔS31=1.0m
m)であった。以上のとおり、入れ子16の端部とキャ
ビティ15に射出された溶融樹脂との間には接触がない
構造とした。
【0164】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−Y23
ら作製された入れ子16に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0165】実施例3と同じ成形装置(但し、通常の射
出成形を実施)を使用した。また、熱可塑性樹脂とし
て、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニア
リングプラスチックス株式会社製、ノバドゥール 50
10R5)を用いた。そして、金型温度:80゜C、樹
脂温度:250゜C、射出圧力:700kgf/cm2
−G、射出速度:100mm/秒にて成形を行った。キ
ャビティ15内への溶融樹脂の射出完了時点の状態を図
18の(B)の模式的な端面図に示す。尚、実施例7の
金型組立体においては、流動係数kiの値は5、流動指
数αの値は200であった。
【0166】成形の結果、キャビティ15内は溶融樹脂
で完全に充填されていた。また、成形品は非常に綺麗な
外観を有していた。更には、成形品には、フローマー
ク、反り等の成形不良もなかった。連続して成形を10
000回行ったが、入れ子16に割れ等の損傷は発生し
なかった。
【0167】尚、図19の(A)及び(B)に模式的な
端面図を示すように、入れ子16の表面に薄膜16Cを
形成すれば、金型部からの成形品の取り出しを極めてス
ムーズに行うことができる。尚、この金型組立体を型締
めしたときの模式的な端面図を図19(A)に示し、型
開きしたときの模式的な端面図を図19の(B)に示
す。
【0168】(実施例8)図20の(A)に模式的な一
部端面図を示す実施例8の金型組立体は、本発明の金型
組立体の第1の態様に関し、更には、第4の形態に関す
る。実施例8の金型組立体においては、入れ子16は第
1の金型部(可動金型部)10に配設されており、キャ
ビティ15の一部を構成し、入れ子16の端部を被覆す
る被覆プレート19を更に備えている。入れ子16は第
1の金型部10に配設され、第1の金型部(可動金型
部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを型締め
した状態において、入れ子16と被覆プレート19との
間のクリアランスC41は0.03mm以下(C41≦0.
03mm)であり、且つ、入れ子16に対する被覆プレ
ート19の重なり量ΔS41は0.5mm以上(ΔS41
0.5mm)である。尚、図20の(A)に示した金型
組立体の組み立て中の模式的な端面図を、図20の
(B)及び(C)に示す。
【0169】入れ子16を、ジルコニア(ZrO2)か
ら研削加工にて作製した。そして、入れ子16のキャビ
ティ面16Aに対してダイヤモンド砥石及び酸化セリウ
ム砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子16の
キャビティ面16Aの表面粗さRmaxを0.02μmと
した。
【0170】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。炭素鋼S55Cを切削加工し
て、入れ子装着部10Aを設けた。次いで、入れ子16
を、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用い
て、入れ子装着部10A内に仮り止めした(図20の
(B)参照)。尚、仮り止め後、隙間ゲージを用いて入
れ子16と入れ子装着部10Aのクリアランス(D)を
測定し、最低クリアランスが0.005mm以上となる
ように、入れ子装着部10Aの切削加工を行った。一
方、第2の金型部(固定金型部)11を炭素鋼S55C
から作製した。第2の金型部11の中央部には、ダイレ
クトゲートから成る溶融樹脂射出部14を設けた。
【0171】炭素鋼S55Cから被覆プレート19を作
製した。被覆プレート19を切削加工した後、第1の金
型部10にビス(図示せず)を用いて固定した(図20
の(C)参照)。被覆プレート19はキャビティ15の
一部を構成し、しかも、被覆プレート19は入れ子16
の全周囲を覆っている。入れ子16と被覆プレート19
との間のクリアランス(C41)が0.03mm以下とな
るように、また、入れ子16に対する被覆プレート19
の重なり量(ΔS41)が0.5mm以上となるように、
被覆プレート19を切削加工した。
【0172】あるいは又、金型組立体の模式的な一部端
面図を図21の(A)に示すように、成形すべき成形品
の形状に依り、曲面を有する入れ子16を用いることも
できる。この場合には、第1の金型部10を炭素鋼S5
5Cから作製し、入れ子装着部10Aの切削加工を行
い、第1の金型部10に設けられた入れ子装着部10A
の底部の曲率半径を、入れ子装着部と対向する入れ子1
6の裏面(キャビティ面と反対の面)の曲率半径に合わ
せることが好ましい。被覆プレート19は炭素鋼S55
Cから作製することができる。被覆プレート19の入れ
子16に対向する面の曲率半径を入れ子16のキャビテ
ィ面16Aの曲率半径と一致させることが好ましい。被
覆プレート19を切削加工した後、第1の金型部10に
ビス(図示せず)を用いて固定することができる。ま
た、第2の金型部11は炭素鋼S55Cから作製すれば
よい。あるいは又、図21の(B)に模式的な一部端面
図を示すように、入れ子16を装着する第1の金型部1
0の部分を、第1の金型部10に装着された入れ子装着
用中子10Bから構成することもできる。この場合、入
れ子装着用中子10Bに入れ子装着部を設ける。
【0173】実施例8の金型組立体を用いた成形品の製
造方法は、実質的には実施例1にて説明した成形品の製
造方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省
略する。また、入れ子16の表面16Aに薄膜を形成す
れば、金型部からの成形品の取り出しを極めてスムーズ
に行うことができる。
【0174】(実施例9)実施例9は、本発明の第1の
態様に係る金型組立体及び成形品の成形方法に関し、更
には、第5の形態に関する。実施例9の金型組立体を型
締めしたときの模式的な端面図を図22の(A)及び
(B)に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図2
4に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端
面図を、図23の(A)、(B)及び(C)に示す。
尚、図22の(A)、図23の(A)〜(C)及び図2
4は、垂直面で被覆プレートを含む金型組立体の領域を
切断したときの図であり、図22の(B)はかかる垂直
面と平行な垂直面で被覆プレートを含まない金型組立体
の領域を切断したときの図である。
【0175】実施例9の金型組立体は、(イ)熱可塑性
樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部(固
定金型部)20及び第2の金型部(可動金型部)21
と、(ロ)第1の金型部20に配設され、キャビティの
25一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ子26
と、(ハ)入れ子26と第2の金型部21との間に配設
され、第1の金型部20に取り付けられ、溶融樹脂射出
部24が設けられた被覆プレート23とを備えている。
そして、第2の金型部21には、入れ子被覆部22が設
けられている。入れ子被覆部22は、入れ子26のキャ
ビティ面26Aと対向する第2の金型部11の面に設け
られた一種の切り込み(切り欠き)である。
【0176】第1の金型部20と第2の金型部21とを
型締めした状態において(図22の(A)参照)、入れ
子26と入れ子被覆部22との間のクリアランス
(C51)を0.03mm以下(C51≦0.03mm)と
し、入れ子26に対する入れ子被覆部22の重なり量
(ΔS51)を0.5mm以上(ΔS51≧0.5mm)と
する。また、被覆プレート23の入れ子と対向する面2
3Aと、入れ子26との間のクリアランス(C52)を
0.03mm以下(C52≦0.03mm)とし、入れ子
26に対する被覆プレート23の重なり量(ΔS52)を
0.5mm以上(ΔS52≧0.5mm)とする。図22
の(A)及び(B)に示すように、被覆プレート23は
入れ子26の一部分と一部分とのみ重なり合っている。
実施例9においても、入れ子26を構成する材料として
ZrO2−Y23を用いた。尚、実施例9の金型組立体
において、被覆プレート23に設けられた溶融樹脂射出
部24は、サイドゲート構造である。
【0177】実施例9の金型組立体におけるキャビティ
25の大きさは、100mm×100mm×0.3mm
であり、形状は板状である。溶融樹脂射出部24から最
も遠い所に位置するキャビティ25の部分から溶融樹脂
射出部24までの距離Lは112mmである。また、第
1の金型部20と第2の金型部21とを型締めしたとき
の金型部の開閉方向に沿ったキャビティ25の距離t0
は0.3mmである。入れ子26の大きさは、102.
00mm×102.00mm×3.00mmである。
尚、入れ子26を研削加工にて作製し、入れ子26のキ
ャビティ面26Aに対して、ダイヤモンド砥石を用いた
研磨及び仕上げを行ない、入れ子26のキャビティ面2
6Aの表面粗さRmaxを0.02μmとした。
【0178】第1の金型部(固定金型部)20を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子26のための入れ子装着
部20Aの内寸法が102.20mm×102.20m
m、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入
れ子装着部20Aを設け(図23の(A)参照)、次い
で、入れ子26をシリコン系接着剤(図示せず)を用い
て入れ子装着部20A内に接着した(図23の(B)参
照)。隙間ゲージを用いて入れ子26と入れ子装着部2
0Aとの間のクリアランス(D)を測定したところ、最
低クリアランスは0.05mmであった。
【0179】炭素鋼にて被覆プレート23を作製し、所
定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部20に取
り付けた(図23の(C)参照)。尚、被覆プレート2
3には溶融樹脂射出部(ゲート部)24が設けられてい
る。被覆プレート23の入れ子と対向する面23Aと、
入れ子26との間のクリアランス(C52)は0.02m
m(C52=0.02mm)であり、入れ子26に対する
被覆プレート23の重なり量(ΔS52)は1.0mm
(ΔS52=1.0mm)であった。
【0180】一方、第2の金型部(可動金型部)21を
炭素鋼S55Cから作製した。
【0181】このように作製した第1の金型部(固定金
型部)20及び第2の金型部(可動金型部)21を組み
付けて実施例9の金型組立体を得た。この金型組立体に
おいて、入れ子26と入れ子被覆部22との間のクリア
ランス(C51)は0.02mm(C51=0.02mm)
であった。また、入れ子26に対する入れ子被覆部22
の重なり量(ΔS51)は1.0mm(ΔS51=1.0m
m)であった。以上のとおり、入れ子26の端部とキャ
ビティ25に導入された溶融樹脂との間には接触がない
構造とした。
【0182】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ZrO2−Y23
ら作製された入れ子16に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0183】成形装置として実施例3と同じ射出成形機
(但し、通常の射出成形を実施)を用い、実施例7と同
じ熱可塑性樹脂を用いて、実施例7と同じ条件(但し、
射出圧力を500kgf/cm2増加させた)にて射出
成形を行なった。尚、実施例9の金型組立体において
は、流動係数kiの値は5であり、流動指数αは260
であった。入れ子26と接していた成形品の表面は非常
に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェ
ッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形
を10000サイクル行ったが、入れ子26に割れ等の
損傷は発生しなかった。
【0184】尚、図25に示すように、入れ子26の表
面に薄膜26Cを形成することによって、金型部からの
成形品の取り出しを極めてスムーズに行うことができ
る。尚、図25は金型組立体を型締めしたときの模式的
な端面図であり、図25の(A)は、垂直面で被覆プレ
ートを含む金型組立体の領域を切断したときの図であ
り、図25の(B)はかかる垂直面と平行な垂直面で被
覆プレートを含まない金型組立体の領域を切断したとき
の図である。
【0185】(実施例10)実施例10は、本発明の第
2の態様に係る金型組立体及び成形品の成形方法に関
し、更には、第5の形態に関する。図26の(A)は、
第1の金型部20と第2の金型部21とを型締めしたと
きの金型部の開閉方向に沿ったキャビティ25の距離が
tとなるように第1の金型部20と第2の金型部21と
を型締めした状態を示す模式的な端面図であり、図26
の(B)は、キャビティ25の容積が成形すべき成形品
の容積と等しくなる状態に第1の金型部20と第2の金
型部21とを配置したときの金型部の開閉方向に沿った
キャビティ25の距離がt0となった状態を示す模式的
な端面図である。
【0186】実施例10の金型組立体は、キャビティ2
5の容積を可変とし得る構造を有する金型組立体であ
り、例えば油圧シリンダー(図示せず)で可動させるこ
とができる中子が金型組立体のキャビティ25内に配設
されている。尚、実施例10においては、中子を実施例
9にて説明した金型組立体に組み込んだ。そして、成形
品の成形においては、金型部の開閉方向に沿ったキャビ
ティの距離がtとなるように第1の金型部20と第2の
金型部21とを型締めし、且つ、キャビティ25内にお
ける中子の配置位置を制御する。そして、溶融樹脂射出
部24からキャビティ25内に溶融熱樹脂を射出し、射
出中に、図示しない油圧シリンダーの作動によって中子
を第1の金型部20に向かって移動を開始させ、射出完
了後、金型部の開閉方向に沿ったキャビティ25の距離
をt0とする。
【0187】実施例10においては、キャビティ25の
寸法、入れ子26の寸法、入れ子26の材料を実施例9
と同様とした。そして、成形装置として実施例3と同じ
射出成形機(但し、射出圧縮形を実施)を用い、実施例
7と同じ熱可塑性樹脂を用いて、実施例7と同じ条件
(但し、t=0.5mm,t0=0.2mmとした)に
て射出成形を行なった。尚、実施例10の金型組立体に
おいては、流動係数kcの値は13であり、流動指数α
は200であった。入れ子26と接していた成形品の表
面は非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク
及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続
して成形を10000サイクル行ったが、入れ子26に
割れ等の損傷は発生しなかった。尚、実施例10におい
ても、入れ子26の表面に薄膜を形成することによっ
て、金型部からの成形品の取り出しを極めてスムーズに
行うことができる。
【0188】(実施例11)実施例11は、成形品に穴
を形成するために、第1の金型部及び/又は第2の金型
部に取り付けられ、キャビティ内を占める部分がキャビ
ティの一部を構成するコアピンを更に備えている金型組
立体に関する。以下、種々のコアピンの形態を図面を参
照して説明する。尚、実施例11においては、入れ子の
表面及びコアピンや環状部材の表面に薄膜16C,16
D,16Eが形成された形態を説明するが、使用する熱
可塑性樹脂によっては、これらの薄膜の形成は省略する
こともできる。
【0189】図27の(A)及び(B)に模式的な一部
断面図を示す金型組立体においては、コアピン101は
例えばジルコニアから作製されており、第2の金型部1
1に公知の方法で取り付けられている。コアピン101
の表面には、例えばアモルファスダイヤモンドから成る
薄膜16Dが形成されている。図27の(A)に示す構
造においては、コアピン101の先端面103と入れ子
16のキャビティ面16Aとの間のクリアランスは十分
大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成するこ
とができる。一方、図27の(B)におけるコアピン1
01の先端面は対向面102に相当し、先端面(対向面
102)と入れ子16のキャビティ面16Aとの間のク
リアランス(Cc1)は0.03mm以下(Cc1≦0.0
3mm)、好ましくは0.001mm乃至0.03mm
(0.001mm≦Cc1≦0.03mm)、より好まし
くは0.003mm乃至0.03mm(0.003mm
≦Cc1≦0.03mm)であることが望ましい。これに
よって、対向面102と入れ子16のキャビティ面16
Aとの間に溶融樹脂が侵入することなく、成形品に貫通
穴を形成することができる。尚、図27の(A)及び
(B)に示した構造においては、集中応力によるコアピ
ンの対向面102あるいは先端面103の破損を防止す
るために、ダイヤモンド砥石で、又は、コアピンの対向
面102あるいは先端面103の外側コーナー部に0.
2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理(コー
ナー部を45度の角度に面取りする処理)を行うことが
好ましい。
【0190】あるいは又、図28の(A)に模式的な一
部断面図を示すように、入れ子16には貫通孔が設けら
れており、金型組立体の型締め時、コアピン101の先
端部104は貫通孔内へ延びる。この場合、コアピンの
先端部104と入れ子16に設けられた貫通孔との間の
クリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好
ましい。クリアランス(Cc2)が0.1mm未満の場
合、熱による膨張・収縮でコアピンと入れ子が接触し
て、入れ子やコアピンが破損する虞がある。また、コア
ピン101のキャビティ15内を占める部分には段差が
付けられ、入れ子16のキャビティ面16Aと対向する
対向面102が設けられている。入れ子16のキャビテ
ィ面16Aと対向する対向面102との間のクリアラン
ス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。こ
のような構造にすることで、対向面102と入れ子のキ
ャビティ面16Aとの間に溶融樹脂が侵入することな
く、成形品に貫通穴を正確な位置へ確実に形成すること
ができ、しかも、コアピンの先端部104や入れ子16
の損傷発生を防止することができる。
【0191】あるいは又、図28の(B)及び図29の
(A)に模式的な一部断面図を示すように、コアピン1
11は例えばジルコニアから作製されており、入れ子1
6には貫通孔が設けられており、コアピン111は、こ
の貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部10に取り
付けられている。コアピン111の表面には、例えばア
モルファスダイヤモンドから成る薄膜16Dが形成され
ている。これらの場合、キャビティ15内を占めるコア
ピン111の部分は、入れ子16のキャビティ面16A
と対向する対向面112を有し、対向面112と入れ子
16のキャビティ面16Aとの間のクリアランス
(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。ま
た、コアピン111と入れ子16に設けられた貫通孔と
の間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であるこ
とが好ましい。
【0192】図28の(B)に示す構造においては、コ
アピン111の先端面113と第2の金型部11のキャ
ビティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。こ
れによって、成形品に非貫通穴を形成することができ
る。一方、図29の(A)におけるコアピン111の先
端面113と第2の金型部11のキャビティ面11Bと
の間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面11Bが
金属から構成されている場合、0mmとすることができ
る。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配設する
場合には、かかる入れ子のキャビティ面とコアピン11
1の先端面113との間のクリアランス(Cc3)は0.
03mm以下(Cc3≦0.03mm)、好ましくは0.
001mm乃至0.03mm(0.001mm≦Cc3
0.03mm)、より好ましくは0.003mm乃至
0.03mm(0.003mm≦Cc3≦0.03mm)
であることが望ましい。これによって、コアピン111
の先端面113と第2の金型部11のキャビティ面(入
れ子のキャビティ面)との間に溶融樹脂が侵入すること
なく、成形品に貫通穴を形成することができる。尚、図
28の(B)及び図29の(A)に示した構造において
は、集中応力によるコアピンの破損を防止するために、
ダイヤモンド砥石で、コアピンの先端面113の外側コ
ーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又は
C面処理を行うことが好ましい。
【0193】図29の(B)に模式的な一部断面図を示
す例においては、入れ子16には貫通孔が設けられてお
り、コアピン111は貫通孔を通して第1の金型部10
に公知の方法で取り付けられている。第2の金型部11
には孔部11Cが設けられており、金型組立体の型締め
時、コアピン111の先端部114は孔部11C内へ延
びる。コアピン111の先端部114と孔部11Cとの
間のクリアランス(Cc4)は0.01乃至0.03mm
であることが好ましい。このような構造にすることで、
成形品に貫通穴を確実に形成することができる。尚、図
28の(B)、図29の(A)及び(B)に示した構造
においては、集中応力によるコアピンの破損を防止する
ために、ダイヤモンド砥石で、コアピンの対向面112
の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与する
か、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0194】図30の(A)に模式的な一部断面図を示
す例においては、コアピンは、第2の金型部11に公知
の方法で取り付けられたコアピン取付部120と、コア
ピン取付部120に取り付けられ、一端が閉塞しそして
他端が開口した環状部材121とから成る。環状部材1
21はキャップ状である。環状部材121は例えばジル
コニアから作製されており、その表面には、例えばアモ
ルファスダイヤモンドから成る薄膜16Dが形成されて
いる。環状部材121は、キャビティ15内を占めるコ
アピンの部分の表面を構成する。コアピン取付部120
は、環状部材121の他端から環状部材の内部に延在し
ている。環状部材121の肉厚(断面形状が環状の場
合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmと
することが好ましい。コアピン取付部120は金属から
作製すればよい。図30の(A)に示す構造において
は、環状部材121の先端面123と入れ子のキャビテ
ィ面16Aとの間のクリアランスは十分大きい。これに
よって、成形品に非貫通穴を形成することができる。図
30の(B)に模式的な一部断面図を示す例において
は、環状部材121の対向面122に相当する先端面と
入れ子16のキャビティ面16Aとの間のクリアランス
(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。これ
によって、環状部材121の対向面122に相当する先
端面と入れ子のキャビティ面16Aとの間に溶融樹脂が
侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することがで
きる。尚、図30の(A)及び(B)に示した構造にお
いては、集中応力による環状部材の破損を防止するため
に、ダイヤモンド砥石で、環状部材121の外側コーナ
ー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面
処理を行うことが好ましい。
【0195】図31の(A)及び(B)に模式的な一部
断面図を示す例においては、コアピンは、第1の金型部
10に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部13
0と、コアピン取付部130に取り付けられ、一端が開
口しそして他端が閉塞した環状部材131とから成る。
環状部材131はキャップ状である。環状部材131は
例えばジルコニアから作製されており、その表面には、
例えばアモルファスダイヤモンドから成る薄膜16Dが
形成されている。環状部材131は、キャビティ15内
を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材1
31の一端を構成する面は対向面132に相当し、コア
ピン取付部130は、入れ子16に設けられた貫通孔を
貫通し、そして環状部材131の一端から環状部材の内
部に延在している。環状部材131の肉厚(断面形状が
環状の場合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至
4mmとすることが好ましい。コアピン取付部130は
金属から作製すればよい。尚、コアピン取付部130
と、入れ子16に設けられた貫通孔との間のクリアラン
ス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。ク
リアランス(Cc2)が0.1mm未満の場合、熱による
膨張・収縮でコアピンと入れ子が接触して、入れ子やコ
アピンが破損する虞がある。
【0196】図31の(A)に示す構造においては、環
状部材131の先端面133と第2の金型部11のキャ
ビティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。こ
れによって、成形品に非貫通穴を形成することができ
る。一方、図31の(B)における環状部材の他端の面
(先端面)133と第2の金型部11のキャビティ面1
1Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面1
1Bが金属から構成されている場合、0mmとすること
ができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配
設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面と環状部
材の他端の面(先端面)133との間のクリアランス
(Cc3)は前述したとおりとすることが望ましい。これ
によって、環状部材の他端の面(先端面)133と第2
の金型部11のキャビティ面11Bとの間に溶融樹脂が
侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することがで
きる。尚、環状部材131の対向面132と入れ子のキ
ャビティ面16Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述
したとおりとすることが望ましい。図31の(A)及び
(B)に示した構造においては、集中応力による環状部
材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、環状
部材131の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率
を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0197】図32の(A)に模式的な一部断面図を示
す例においては、コアピンは、第2の金型部11に公知
の方法で取り付けられたコアピン取付部120Aと、コ
アピン取付部120Aに取り付けられ、両端が開口した
環状部材121Aとから成る。環状部材121Aはリン
グ状である。環状部材121Aは例えばジルコニアから
作製されており、その表面には、例えばアモルファスダ
イヤモンドから成る薄膜16Dが形成されている。環状
部材121Aは、キャビティ15内を占めるコアピンの
部分の表面を構成する。環状部材121Aの一端を構成
する面は対向面122Aに相当し、コアピン取付部12
0Aは、環状部材121Aの他端から環状部材121A
の内部に延在している。この例においては、コアピン取
付部120Aの先端面123Aは、対向面122Aの占
める平面内に位置する。環状部材121Aの肉厚(断面
形状が環状の場合、外径と内径の差の1/2)は、0.
5乃至4mmとすることが好ましい。コアピン取付部1
20Aは金属から作製すればよい。尚、図32の(A)
における環状部材121Aの一端の面(対向面)122
Aと入れ子のキャビティ面16Aとの間のクリアランス
(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。これ
によって、環状部材121Aの一端の面(対向面)12
2Aと入れ子のキャビティ面16Aとの間に溶融樹脂が
侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することがで
きる。
【0198】図32の(B)に模式的な一部断面図を示
す例においては、入れ子16には貫通孔が設けられてお
り、金型組立体の型締め時、コアピン取付部120Aの
先端部124Aは環状部材121Aの一端から貫通孔内
へと延びる。コアピン取付部120Aの先端部124A
と貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以
上である。このような構造とすることで、成形品に確実
に貫通穴を形成することができる。
【0199】図33の(A)に模式的な一部断面図を示
す例においては、コアピン取付部120Aの先端部12
5Aは環状部材121の内部に止まる。入れ子16には
貫通孔が設けられており、第1の金型部10には貫通孔
から突出した突出部10Cが設けられている。そして、
突出部10Cと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は
0.1mm以上である。金型組立体の型締め時、突出部
10Cは環状部材121Aの内部に嵌合する。より具体
的には、金型組立体の型締め時、突出部10Cはコアピ
ン取付部120Aの先端部125Aと嵌合する。このよ
うな構造とすることでも、成形品に確実に貫通穴を形成
することができる。また、嵌合精度を高めることができ
る。尚、コアピン取付部120Aの先端部125A及び
突出部10Cの先端面は平滑であってもよい。金型組立
体の型締め時、突出部10Cの先端部側壁と環状部材1
21Aの内側表面とが接触しないように、突出部10C
の先端部側壁と環状部材121Aの内側表面との間のク
リアランスは0.1mm以上あることが好ましい。
【0200】図32の(A)及び(B)並びに図33の
(A)に示した構造においては、集中応力による環状部
材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、環状
部材121Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲
率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0201】図33の(B)に模式的な一部断面図を示
す例においては、コアピンは、第1の金型部10に公知
の方法で取り付けられたコアピン取付部130Aと、コ
アピン取付部130Aに取り付けられ、両端が開口した
環状部材131Aとから成る。環状部材131Aはリン
グ状である。環状部材131Aは例えばジルコニアから
作製されており、その表面には、例えばアモルファスダ
イヤモンドから成る薄膜16Dが形成されている。環状
部材131Aは、キャビティ15内を占めるコアピンの
部分の表面を構成する。環状部材131Aの一端を構成
する面は対向面132Aに相当し、入れ子16には貫通
孔が設けられており、コアピン取付部130Aは、貫通
孔を貫通し、そして環状部材131Aの一端から環状部
材の内部に延在している。この場合、コアピン取付部1
30Aと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1
mm以上であることが好ましい。尚、環状部材131A
の対向面132Aに相当する面と入れ子のキャビティ面
16Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおり
とすることが望ましい。更には、環状部材131Aの他
端を構成する面136Aと第2の金型部11のキャビテ
ィ面11Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビテ
ィ面11Bが金属から構成されている場合、0mmとす
ることができる。第2の金型部11に入れ子(図示せ
ず)を配設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面
と環状部材131Aの他端を構成する面136Aとの間
のクリアランス(Cc3)は前述したとおりとすることが
望ましい。この例においては、コアピン取付部130A
の先端面133Aは、面136Aの占める平面内に位置
するが、キャビティ面11Bが金属から構成されている
場合には、コアピン取付部130Aの先端面133A
は、面136Aの占める平面から突出していてもよい。
【0202】図34の(A)に模式的な一部断面図を示
す例においては、第2の金型部11には孔部11Cが設
けられており、金型組立体の型締め時、コアピン取付部
130Aの先端部134Aは孔部11C内へ延びる。コ
アピン取付部130Aの先端部134Aにおける環状部
材131Aと孔部11Cとの間のクリアランス(Cc4
は0.01乃至0.03mmであることが好ましい。
【0203】図34の(B)に模式的な一部断面図を示
す例においては、コアピン取付部130Aの先端部13
5Aは環状部材131Aの内部に止まり、第2の金型部
11には突出部11Dが設けられており、金型組立体の
型締め時、突出部11Dは環状部材131Aの内部に嵌
合する形態とすることができる。より具体的には、金型
組立体の型締め時、突出部11Dはコアピン取付部13
0Aの先端部135Aと嵌合する。このような構造とす
ることでも、成形品に確実に貫通穴を形成することがで
きる。また、嵌合精度を高めることができる。尚、コア
ピン取付部130Aの先端部135A及び突出部11D
の先端面は平滑であってもよい。金型組立体の型締め
時、突出部11Dの先端部側壁と環状部材131Aの内
側表面とが接触しないように、突出部11Dの先端部側
壁と環状部材131Aの内側表面との間のクリアランス
は0.1mm以上あることが好ましい。
【0204】尚、図33の(B)、図34の(A)及び
(B)に示した構造においては、集中応力による環状部
材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で環状部
材131Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率
を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0205】図35の(A)及び図36の(A)に模式
的な一部断面図を示す例においては、コアピンを例えば
ジルコニアから作製する代わりに、少なくともキャビテ
ィ15内を占めるコアピン140,150の部分の表面
に、例えばジルコニアを溶射して成る溶射層141,1
51が形成されている。溶射層141,151の表面に
は、例えばアモルファスダイヤモンドから成る薄膜16
Eが形成されている。尚、コアピン140,150は金
属から作製すればよい。
【0206】図35の(A)に示した構造においては、
コアピン140は第2の金型部11に取り付けられてお
り、コアピン140の先端面143と入れ子16のキャ
ビティ面16Aとの間のクリアランスは十分大きい。図
36の(A)に示した構造においては、入れ子16には
貫通孔が設けられており、コアピン150はこの貫通孔
を通して第1の金型部10に取り付けられており、コア
ピン150の先端面153と第2の金型部11のキャビ
ティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。これ
によって、成形品に非貫通穴を形成することができる。
尚、図36の(A)に示した例においては、キャビティ
15内を占めるコアピン150の部分は、入れ子16の
キャビティ面16Aと対向する対向面152を有し、対
向面152と入れ子16のキャビティ面16Aとの間の
クリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望
ましい。対向面152には、溶射層が形成されていて
も、形成されていなくともよい。
【0207】あるいは又、図35の(B)に模式的な一
部断面図を示す例においては、コアピン140は第2の
金型部11に取り付けられており、キャビティ15内を
占めるコアピン140の部分は、入れ子16のキャビテ
ィ面16Aと対向する対向面142を有する。対向面1
42と入れ子16のキャビティ面16Aとの間のクリア
ランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望まし
い。対向面142には、溶射層が形成されていても、形
成されていなくともよい。図35の(B)に示す構造に
おいては、成形品に貫通穴を形成することができる。
【0208】更には、図36の(B)に模式的な一部断
面図を示す例においては、入れ子16には貫通孔が設け
られており、コアピン150はこの貫通孔を通して第1
の金型部10に取り付けられており、キャビティ15内
を占めるコアピン150の部分は、入れ子16のキャビ
ティ面16Aと対向する対向面152を有し、対向面1
52と入れ子16のキャビティ面16Aとの間のクリア
ランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望まし
い。尚、対向面152には、溶射層が形成されていて
も、形成されていなくともよい。しかも、コアピン15
0の先端面153と第2の金型部11のキャビティ面1
1Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面1
1Bが金属から構成されている場合、0mmとすること
ができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配
設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面とコアピ
ン150の先端面153との間のクリアランス(Cc3
は前述したとおりとすることが望ましい。先端面153
には、溶射層が形成されていても、形成されていなくと
もよい。これによって、成形品に貫通穴を形成すること
ができる。尚、図36の(A)及び(B)において、コ
アピン150と入れ子16に設けられた貫通孔との間の
クリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好
ましい。
【0209】あるいは又、図37の(A)に模式的な一
部断面図を示す例においては、コアピン140は第2の
金型部11に取り付けられており、入れ子16には貫通
孔が設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン
140の先端部144は貫通孔内へと延びる。コアピン
140の先端部144と貫通孔との間のクリアランス
(Cc2)は0.1mm以上である形態を挙げることがで
きる。尚、図37の(A)においては、溶射層141
は、対向面142上及び先端部144の表面にも形成さ
れているが、これらの部分に溶射層を形成しなくともよ
い。
【0210】一方、図37の(B)に模式的な一部断面
図を示すように、入れ子16には貫通孔が設けられてお
り、コアピン150は貫通孔を通して第1の金型部10
に取り付けられている態様を挙げることができる。この
場合、第2の金型部11には孔部11Cが設けられてお
り、金型組立体の型締め時、コアピン150の先端部1
54は孔部11C内へ延びる。コアピン150の先端部
154における溶射層151と孔部11Cとの間のクリ
アランス(Cc4)は0.01乃至0.03mmであるこ
とが好ましい。
【0211】図38の(A)に示す構造は、図27の
(B)及び図28の(B)に示したコアピンの例を実質
的に組み合わせた構造である。即ち、第1のコアピン1
10はジルコニア製であり、入れ子16には貫通孔が設
けられており、第1のコアピン110は、この貫通孔を
通して公知の方法で第1の金型部10に取り付けられて
いる。また、第2のコアピン100もジルコニア製であ
り、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられてい
る。第1のコアピン110と第2のコアピン100の先
端面は相互に嵌合し得る構造となっている。第1のコア
ピン110は対向面112を有する。
【0212】図38の(B)に示す構造は、図32の
(A)及び図33の(B)に示したコアピンの例を組み
合わせた構造である。即ち、第1のコアピンは、第1の
金型部10に公知の方法で取り付けられたコアピン取付
部130Bと、コアピン取付部130Bに取り付けら
れ、両端が開口した環状部材131Bとから成る。環状
部材131Bはリング状であり、その構成は、環状部材
131と同様とすることができる。コアピン取付部13
0Bは、環状部材131Bの他端から環状部材131B
の内部に延在している。一方、第2のコアピンは、第2
の金型部11に公知の方法で取り付けられたコアピン取
付部120Bと、コアピン取付部120Bに取り付けら
れ、両端が開口した環状部材121Bとから成る。環状
部材121Bはリング状であり、その構成は、環状部材
121と同様とすることができる。コアピン取付部12
0Bは、環状部材121Bの他端から環状部材121B
の内部に延在している。これらの環状部材121B,1
31Bは、キャビティ15内を占めるコアピンの部分の
表面を構成する。環状部材131Bの一端を構成する面
は対向面132Bに相当し、入れ子16には貫通孔が設
けられており、コアピン取付部130Bは、貫通孔を貫
通し、そして環状部材131Bの一端から環状部材の内
部に延在している。この場合、コアピン取付部130B
と貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以
上であることが好ましい。コアピン取付部120B,1
30Bは相互に嵌合し得る構造となっている。環状部材
121Bの一端面(先端面)と環状部材131Bの他端
面(先端面)との間には、0.003乃至0.03mm
のクリアランスがあることが、環状部材121Bや環状
部材131Bの破損を防止する上で好ましい。
【0213】図39の(A)に示す構造は、図35の
(B)及び図36の(B)に示したコアピンの例を組み
合わせた構造である。即ち、入れ子16には貫通孔が設
けられており、コアピンは、入れ子16に設けられた貫
通孔を通して第1の金型部10に取り付けられた第1の
コアピン150と、第2の金型部11に取り付けられた
第2のコアピン140とから成り、金型組立体の型締め
時、第1のコアピン150の先端部154と第2のコア
ピン140の先端部144とが嵌合する。第1のコアピ
ン150に形成された溶射層151の先端面と第2のコ
アピン140に形成された溶射層141の先端面との間
には、0.003乃至0.03mmのクリアランスがあ
ることが、溶射層141,151の破損を防止する上で
好ましい。
【0214】図39の(B)に示す構造は、図38の
(A)に示した構造の変形であり、第1の金型部10に
入れ子161が取り付けられ、第2の金型部11に入れ
子162が取り付けられている。入れ子161には貫通孔
が設けられており、ジルコニア製の第1のコアピン11
0は、この貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部1
0に取り付けられている。第1のコアピン110は対向
面112を有する。第2のコアピン100もジルコニア
製であり、入れ子162には貫通孔が設けられており、
第2のコアピン100は、この貫通孔を通して公知の方
法で第2の金型部11に取り付けられている。第2のコ
アピン100は対向面102を有する。第1のコアピン
110と第2のコアピン100の先端面は相互に嵌合し
得る構造となっている。第1のコアピン110における
対向面112と入れ子161のキャビティ面16A1との
間のクリアランス(Cc1)、及び第2のコアピン100
における対向面102と入れ子162のキャビティ面1
6A2との間のクリアランス(Cc1)は、前述したとお
りとすることが望ましい。また、第1のコアピン110
と入れ子161の貫通孔との間のクリアランス
(Cc2)、及び第2のコアピン100と入れ子162
貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は、0.1mm以
上であることが好ましい。
【0215】(実施例12)実施例12における穴空き
成形品製造用の金型組立体として、図32の(B)に示
したコアピンを備えた金型組立体を使用した。尚、金型
組立体の基本的な構造は、実施例7にて説明した金型組
立体と同様とした。尚、実施例12及び実施例13にお
いては、入れ子の表面及びコアピンや環状部材の表面に
薄膜16C,16Dが形成された形態を説明するが、使
用する熱可塑性樹脂によっては、これらの薄膜の形成は
省略することもできる。また、金型組立体において、溶
融樹脂射出部の図示は省略した。
【0216】実施例12においては、成形品の形状を、
外径99mm、内径32mmの厚さ0.3mmのドーナ
ツ型(リング状)とした。
【0217】実施例12においては、入れ子16とし
て、中心部に直径27.00mmの貫通孔16Fが設け
られた厚さ3.00mm、直径100.00mmの円盤
状のZrO2-Y23から成る入れ子を用いた。入れ子1
6のキャビティ面16Aには薄膜16Cが形成されてい
る。薄膜16Cの厚さを0.5μmとし、薄膜を構成す
る材料をアモルファスダイヤモンドとした。この薄膜1
6Cのビッカース硬度は1500Hvであり、動摩擦係
数(μ)は0.2であった。尚、薄膜16Cの形成は、
実施例2と同様とすることができる。第1の金型部(可
動金型部)10の入れ子装着部10Aの内法寸法を外径
100.2mm、深さを3.02mmとし、炭素鋼S5
5Cを切削加工して入れ子装着部10Aを第1の金型部
(可動金型部)10に形成した。そして、シリコン系接
着剤(図示せず)を用いて、第1の金型部(可動金型
部)10内の入れ子装着部10Aに入れ子16を装着し
た。
【0218】第2の金型部(固定金型部)11には、入
れ子被覆部12が設けられている。具体的には、入れ子
被覆部12は、入れ子16のキャビティ面16Aと対向
する第2の金型部11の面に設けられた一種の切り込み
(切り欠き)である。第2の金型部11におけるキャビ
ティ面の内法寸法を99.00mmとした。図40の
(A)に示すように、第1の金型部10と第2の金型部
11とを型締めした状態において、入れ子16と入れ子
被覆部12との間のクリアランス(C31)を0.03m
m以下(C31≦0.03mm)とする。また、入れ子1
6に対する入れ子被覆部12の重なり量(ΔS31)を
0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm)とする。
【0219】実施例12の穴空き成形品製造用の金型組
立体の組み立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時
の状態を、図40の(A)及び(B)にそれぞれ示す。
成形品に穴を形成するためのコアピンは、第2の金型部
(固定金型部)11に公知の方法で取り付けられた金属
製のコアピン取付部120Aと、コアピン取付部120
Aに接着剤(図示せず)を用いて取り付けられた環状部
材121Aから成る。環状部材121Aの両端は開口し
ている。環状部材121Aは切削加工にて作製されたZ
rO2から成り、内径を26.00mm、外径を32.
00mmとした。環状部材121Aの外側コーナー部は
0.5mmRに研磨してある。環状部材121Aの表面
には薄膜16Dが形成されている。薄膜16Dの厚さを
0.5μmとし、薄膜を構成する材料をアモルファスダ
イヤモンドとした。この薄膜16Dのビッカース硬度は
1500Hvであり、動摩擦係数(μ)は0.2であっ
た。尚、薄膜16Dの形成は、実施例2と同様とするこ
とができる。炭素鋼S55Cから作製したコアピン取付
部120Aの環状部材121Aを取り付ける部分の直径
を25.90mmとした。環状部材121Aの一端を構
成する面は対向面122Aに相当し、コアピン取付部1
20Aは、環状部材121Aの他端から環状部材の内部
に延在している。入れ子16のキャビティ面16Aと、
環状部材121Aの対向面122Aとは面接触していな
い。金型の型締め時、入れ子16のキャビティ面16A
と、環状部材121Aの対向面122Aとの間のクリア
ランス(Cc1)は、0.01mmであった。金型の型締
め時、コアピン取付部120Aの先端部124Aは環状
部材121Aの一端から貫通孔16F内へと延びる。コ
アピン取付部120Aの先端部124Aと貫通孔16F
との間のクリアランス(Cc2)は0.55mmであっ
た。このような構造とすることで、入れ子16及びコア
ピンの破損、あるいは、成形品のバリ発生を防止するこ
とができる。
【0220】そして、実施例3と同じ成形装置(但し、
通常の射出成形を実施)を使用し、実施例7と同じ熱可
塑性樹脂を用いて、実施例7と同じ成形条件にて成形を
行った。尚、実施例12の金型組立体においては、流動
係数kiの値は5、流動指数αの値は200であった。
成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、成形品
には、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も
認められず、成形品には貫通孔が形成されていた。ま
た、成形品の離型もスムースであり、剥離マークの発生
もなかった。連続して成形を10000回行ったが、入
れ子16に割れ等の損傷は発生せず、薄膜16Cにも損
傷は発生しなかった。しかも、環状部材121Aや薄膜
16Dにも損傷は発生しなかった。
【0221】(実施例13)実施例13における穴空き
成形品製造用の金型組立体として、図33の(A)に示
したコアピンを備えた金型組立体を使用した。また、金
型組立体の基本的な構造は、実施例7にて説明した金型
組立体と同様とした。
【0222】実施例13においては、成形品の形状を、
外径99mm、内径32mmの厚さ0.3mmのドーナ
ツ型(リング状)とした。
【0223】入れ子16を結晶化度70%の結晶化ガラ
スから作製した。そして、入れ子16のキャビティ面1
6Aに対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石
を用いた研磨及び仕上げを行い、表面粗さRmaxを0.
02μmとした。入れ子16の寸法を、厚さ4.00m
m、外径100.00mm、内径30.00mmとし
た。入れ子16のキャビティ面16Aには薄膜16Cが
形成されている。尚、この結晶化ガラスの弾性率は0.
9×106kg/cm2であり、熱伝導率は0.4×10
-2cal/cm・sec・degである。薄膜16Cの
厚さを0.5μmとし、薄膜を構成する材料をアモルフ
ァスダイヤモンドとした。この薄膜16Cのビッカース
硬度は1500Hvであり、動摩擦係数(μ)は0.2
であった。尚、薄膜16Cの形成は、実施例2と同様と
することができる。第1の金型部(可動金型部)10の
入れ子装着部10Aの内法寸法を外径100.2mm、
深さを4.02mmとし、炭素鋼S55Cから切削加工
によって入れ子装着部10Aを作製した。また、入れ子
装着部10Aには、コアピン取付部120Aと嵌合する
円柱状の突出部10Cを設けた。次いで、入れ子16を
入れ子装着部10A内にシリコン系接着剤(図示せず)
を用いて装着した。
【0224】第2の金型部(固定金型部)11には、入
れ子被覆部12が設けられている。具体的には、入れ子
被覆部12は、入れ子16のキャビティ面16Aと対向
する第2の金型部11の面に設けられた一種の切り込み
(切り欠き)である。第2の金型部11におけるキャビ
ティ面の内法寸法を99.00mmとした。図41の
(A)に示すように、第1の金型部10と第2の金型部
11とを型締めした状態において、入れ子16と入れ子
被覆部12との間のクリアランス(C31)を0.03m
m以下(C31≦0.03mm)とする。また、入れ子1
6に対する入れ子被覆部12の重なり量(ΔS31)を
0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm)とする。
【0225】第2の金型部(固定金型部)11内にコア
ピン取付部120Aを取り付けた。炭素鋼S55Cから
作製したコアピン取付部120Aの環状部材121Aを
取り付ける部分の直径を25.9mmとした。環状部材
121AをZrO2から切削加工にて作製した。環状部
材121Aの外径を32.00mm、内径を26.00
mmとした。尚、環状部材の外側コーナー部をダイヤモ
ンド砥石にて0.5mmRに仕上げた。そして、コアピ
ン取付部120Aの環状部材を取り付ける部分に環状部
材121Aを接着剤を用いて固定した。尚、環状部材1
21Aの表面には薄膜16Dが形成されている。薄膜1
6Dの厚さを0.5μmとし、薄膜を構成する材料をア
モルファスダイヤモンドとした。この薄膜16Dのビッ
カース硬度は1500Hvであり、動摩擦係数(μ)は
0.2であった。尚、薄膜16Dの形成は、実施例2と
同様とすることができる。金型組立体の型締め時、入れ
子16のキャビティ面16Aと、環状部材121Aの対
向面122Aとの間のクリアランス(Cc1)は、0.0
1mmであった。突出部10Cと入れ子16に設けられ
た貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は2.1mmで
あった。また、突出部10Cの先端部側壁と環状部材1
21Aの内側表面との間のクリアランスは0.1mmで
あった。実施例13の穴空き成形品製造用の金型組立体
の組み立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時の状
態を、図41の(A)及び(B)にそれぞれ示す。
【0226】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、
40゜Cまで急冷しても、結晶化度70%の結晶化ガラ
スから作製された入れ子16に割れ等の問題は発生しな
かった。また、環状部材121Aや薄膜16C,16D
にも損傷は発生しなかった。
【0227】成形装置として三菱重工業(株)製、15
0MST射出成形機を用い、金型組立体を80゜C加熱
した。成形用材料として黒色のポリカーボネート樹脂
(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製:S3
000)を用い、樹脂温度300゜C、射出圧力150
0kgf/cm2−Gの条件でキャビティ15内に溶融
樹脂を溶融樹脂射出部14から射出した。その後、20
秒後に金型組立体の型開きを行い、次いで、成形品を金
型組立体から取り出した。尚、実施例13の金型組立体
においては、流動係数kiの値は7、流動指数αの値は
100であった。
【0228】入れ子16と接触した成形品表面は、成形
品の端部に至るまで優れた光沢を有しており、ウエルド
ラインは発生していなかった。成形品には、フローマー
ク及びジェッティング等の成形不良も認められず、成形
品には貫通孔が形成されていた。また、成形品の離型も
スムースであり、剥離マークの発生もなかった。尚、1
0000回の成形を行っても、入れ子16や環状部材1
21A、薄膜16C,16Dに破損は認められなかっ
た。
【0229】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例にて説明した金型組立体の構造、金型組立体の構
成要素の材料や構成、成形品の製造方法における各種条
件は例示であり、適宜変更することができる。成形品に
穴(貫通穴あるいは非貫通穴や凹部)を形成する場合に
は、コアピンを設ける代わりに、入れ子に突起部(凸
部)を設けてもよい。
【0230】
【発明の効果】本発明においては、特定の特性を有する
入れ子を金型組立体に備えることによって、大きな断熱
効果を得ることができ、キャビティ内に充填された溶融
熱可塑性樹脂の急冷を抑制することができる。その結
果、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に固化層が形成さ
れ難くなり、キャビティ内における溶融熱可塑性樹脂の
流動距離を延長することが可能となる。それ故、薄肉成
形品であっても確実に成形を行うことが可能となる。ま
た、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を使用した場合で
あっても、成形品の表面に無機繊維の析出を防止するこ
とができ、しかも、ジェッテイングやフローマーク等の
外観不良が成形品に発生することを効果的に防止するこ
とができる。
【0231】また、本発明の金型組立体において、入れ
子を所定のクリアランスや重なり量の範囲内で金型部内
に組み込めば、長期的な成形を実施しても、入れ子に破
損が生じることがなくなり、容易且つ安価に金型組立体
を作製できる。しかも、成形品の外観を損なうことがな
くなり、成形品端部のバリ発生を防止でき、成形品の不
良率低減及び成形品の均質化、高品質化を達成すること
ができ、成形品の製造コストの削減を図ることができ
る。
【0232】更には、キャビティ内での溶融樹脂の流動
性が向上するが故に、キャビティ内への溶融樹脂の導入
圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩
和でき、成形品の品質が向上する。また、導入圧力を低
減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が
可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
【0233】本発明において、コアピンを備えた金型組
立体を用いることによって、溶融樹脂の急速なる冷却に
起因した転写性の劣化、光沢性の劣化を防止することが
でき、更にはウエルドラインの発生を抑制することがで
きる。また、容易に且つ確実に穴空き成形品を成形する
ことができる。
【0234】尚、入れ子やコアピン、環状部材に薄膜を
形成すれば、金型組立体からの成形品の離型不良も併せ
て防止できるので、連続成形も容易であり、成形品の品
質も安定しており、長期に亙り成形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の金型組立体の模式的な端面図であ
る。
【図2】実施例1の金型組立体の組み立て中の模式的な
端面図である。
【図3】実施例1の金型組立体の組み立て中の模式的な
端面図である。
【図4】実施例3の金型組立体において、金型部の開閉
方向に沿ったキャビティの距離がtとなるように第1の
金型部と第2の金型部とを型締めした状態を示す模式的
な端面図である。
【図5】実施例3の金型組立体において、金型部の開閉
方向に沿ったキャビティの距離をt0とした状態を示す
模式的な端面図である。
【図6】実施例3の金型組立体の組み立て中の模式的な
端面図である。
【図7】実施例3の金型組立体の組み立て中の模式的な
端面図である。
【図8】実施例3の金型組立体において、キャビティ内
に溶融熱可塑性樹脂を射出中の状態を示す模式的な端面
図である。
【図9】実施例3の金型組立体において、キャビティ内
に溶融熱可塑性樹脂を射出した後の状態を示す模式的な
端面図である。
【図10】実施例5の金型組立体の模式的な端面図であ
る。
【図11】実施例5の金型組立体の組み立て中の模式的
な端面図である。
【図12】実施例5の金型組立体において、キャビティ
内への溶融樹脂の射出完了時点の状態を示す模式的な端
面図である。
【図13】実施例5の金型組立体の変形の模式的な端面
図である。
【図14】実施例6の金型組立体において、金型部の開
閉方向に沿ったキャビティの距離がtとなるように第1
の金型部と第2の金型部とを型締めした状態、及び、金
型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt0とした
状態示す模式的な端面である。
【図15】実施例6の金型組立体において、金型部の開
閉方向に沿ったキャビティの距離がtとなるように第1
の金型部と第2の金型部とを型締めし、溶融樹脂射出部
からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出した状態、
及び、金型部の開閉方向に沿ったキャビティ15の距離
をt0とした状態を示す模式的な端面図である。
【図16】実施例6の金型組立体の変形を示す模式的な
端面である。
【図17】実施例7の金型組立体を型締めしたときの模
式的な端面図、及び、組み立て中の金型組立体の模式的
な端面図である。
【図18】実施例7の金型組立体を型開きしたときの模
式的な端面図、及び、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂
を射出した後の状態を示す模式的な端面図である。
【図19】実施例7の金型組立体の変形を示す模式的な
端面である。
【図20】実施例8の金型組立体の模式的な端面図、及
び、金型組立体の組み立て中の模式的な端面図である。
【図21】実施例8の金型組立体の変形を示す模式的な
端面である。
【図22】実施例9の金型組立体を型締めしたときの模
式的な端面図である。
【図23】実施例9の金型組立体の組み立て中の模式的
な端面図である。
【図24】実施例9の金型組立体を型開きしたときの模
式的な端面図である。
【図25】実施例9の金型組立体の変形を示す模式的な
端面である。
【図26】実施例10における金型組立体の模式的な端
面図である。
【図27】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図28】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図29】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図30】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図31】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図32】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図33】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図34】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図35】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図36】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図37】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図38】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図39】コアピンを備えた本発明の金型組立体の模式
的な一部断面図である。
【図40】実施例12における穴空き成形品製造用の金
型組立体の模式的な一部端面図である。
【図41】実施例13における穴空き成形品製造用の金
型組立体の模式的な一部端面図である。
【図42】動摩擦係数(μ)の測定方法を説明するため
の鈴木式試験機の概念図である。
【図43】従来の技術における問題点を説明するための
金型等の模式的な断面図である。
【符号の説明】
10,20・・・第1の金型部 10A,11A・・・入れ子装着部 11,21・・・第2の金型部 12,22・・・入れ子被覆部 13・・・スプルー部 14,24・・・溶融樹脂射出部 15,25・・・キャビティ 16,17,26・・・入れ子 16A,16B,17A,17B,26A・・・入れ子
の表面 16C,16D,16E・・・薄膜 18,18A,18B・・・ボルト 19,23・・・被覆プレート 101,111,140,150・・・コアピン 102,112,122,122A,132,132
A,132B,142,152・・・対向面 103,113,123,123A,133,133
A,143,153・・・先端面 104,114,124A,125A,134A,13
5A,144,154・・・コアピンの先端部 120,120A,130,130A・・・コアピン取
付部 121,121A,131,131A・・・環状部材 141,151・・・溶射層

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さが0.1mm乃至1mmの熱可塑性樹
    脂製の成形品を成形するための金型組立体であって、 (イ)キャビティが設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成
    形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出す
    るための溶融樹脂射出部、並びに、 (ハ)該金型部の少なくとも一方に配設され、厚さ0.
    5mm乃至10mm、弾性率0.8×106kg/cm2
    以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・
    deg乃至2×10-2cal/cm・sec・degの
    無機材料から作製され、キャビティの一部を構成する入
    れ子、を備え、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めしたときの金型
    部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt0(単位:
    mm)、kiを流動係数(但し、1.5≦ki≦10)、
    αを使用する熱可塑性樹脂の流動指数(但し、40≦α
    ≦800)とし、溶融樹脂射出部から最も遠い所に位置
    するキャビティの部分から溶融樹脂射出部までの距離を
    L(単位:mm)としたとき、 L≦kiαt0 2 (但しL≧3) を満足することを特徴とする金型組立体。
  2. 【請求項2】厚さが0.1mm乃至1mmの熱可塑性樹
    脂製の成形品を成形するための金型組立体であって、 (イ)容積を可変とし得るキャビティが設けられ、熱可
    塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部
    及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出す
    るための溶融樹脂射出部、並びに、 (ハ)該金型部の少なくとも一方に配設され、厚さ0.
    5mm乃至10mm、弾性率0.8×106kg/cm2
    以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・
    deg乃至2×10-2cal/cm・sec・degの
    無機材料から作製され、キャビティの一部を構成する入
    れ子、を備え、 キャビティの容積が成形すべき成形品の容積と等しくな
    る状態に第1の金型部と第2の金型部とを配置したとき
    の金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt
    0(単位:mm)、kCを流動係数(但し、2≦kC≦2
    0)、αを使用する熱可塑性樹脂の流動指数(但し、4
    0≦α≦800)とし、溶融樹脂射出部から最も遠い所
    に位置するキャビティの部分から溶融樹脂射出部までの
    距離をL(単位:mm)としたとき、 L≦kCαt0 2 (但しL≧3) を満足することを特徴とする金型組立体。
  3. 【請求項3】第1の金型部と第2の金型部とを型締めし
    たときの金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離を
    t(単位:mm)としたとき、1.05t0≦t≦3t0
    の関係を満足することを特徴とする請求項2に記載の金
    型組立体。
  4. 【請求項4】第1の金型部と第2の金型部とによって印
    篭構造が形成されることを特徴とする請求項2又は請求
    項3に記載の金型組立体。
  5. 【請求項5】キャビティの容積を可変とし得る中子が備
    えられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に
    記載の金型組立体。
  6. 【請求項6】入れ子は第1の金型部及び第2の金型部に
    配設され、 第1の金型部に配設された入れ子を第1の入れ子、第2
    の金型部に配設された入れ子を第2の入れ子としたと
    き、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態に
    おいて、第1の入れ子の表面と、該第1の入れ子の表面
    と対向する第2の入れ子の表面との間のクリアランスは
    0.03mm以下であることを特徴とする請求項1乃至
    請求項5のいずれか1項に記載の金型組立体。
  7. 【請求項7】入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、Z
    rO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2
    2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti3
    2、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2M
    gO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニ
    アから成る群から選択されたセラミックス、若しくは、
    石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択された
    ガラスから作製されていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項6のいずれか1項に記載の金型組立体。
  8. 【請求項8】入れ子の表面には薄膜が形成されており、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7の
    いずれか1項に記載の金型組立体。
  9. 【請求項9】薄膜を構成する材料は、TiN、TiAl
    N、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモン
    ド、CrN、Cr及びNiから成る群から選択された材
    料であることを特徴とする請求項8に記載の金型組立
    体。
  10. 【請求項10】成形品に穴を形成するために、第1の金
    型部及び/又は第2の金型部に取り付けられ、キャビテ
    ィ内を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピ
    ンを更に備えていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項9のいずれか1項に記載の金型組立体。
  11. 【請求項11】コアピンは、弾性率0.8×106kg
    /cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・
    sec・deg乃至2×10-2cal/cm・sec・
    degの無機材料から作製されていることを特徴とする
    請求項10に記載の金型組立体。
  12. 【請求項12】コアピンの表面には薄膜が形成され、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項11に記載の金型
    組立体。
  13. 【請求項13】コアピンは、ZrO2、ZrO2−Ca
    O、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−S
    iO2、K2O−TiO2、Al23、Al23-TiC、Ti3
    2、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2M
    gO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニ
    アから成る群から選択されたセラミックス、若しくは、
    石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択された
    ガラスから作製されており、 該コアピンの表面に形成された薄膜を構成する材料は、
    TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルフ
    ァスダイヤモンド、CrN、Cr及びNiから成る群か
    ら選択された材料であることを特徴とする請求項12に
    記載の金型組立体。
  14. 【請求項14】コアピンは、 (a)第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り付け
    られたコアピン取付部と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞しそ
    して他端が開口した形状、若しくは、両端が開口した形
    状を有する環状部材、とから成り、 該環状部材は、キャビティ内を占めるコアピンの部分の
    表面を構成し、 該コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の
    内部に延在しており、該環状部材は、弾性率0.8×1
    6kg/cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/
    cm・sec・deg乃至2×10-2cal/cm・s
    ec・degの無機材料から作製されていることを特徴
    とする請求項10に記載の金型組立体。
  15. 【請求項15】環状部材の表面には薄膜が形成され、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項14に記載の金型
    組立体。
  16. 【請求項16】環状部材は、ZrO2、ZrO2−Ca
    O、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−S
    iO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−Ti
    C、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−Si
    2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2
    及びチタニアから成る群から選択されたセラミックス、
    若しくは、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から
    選択されたガラスから作製されており、 該環状部材の表面に形成された薄膜を構成する材料は、
    TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルフ
    ァスダイヤモンド、CrN、Cr及びNiから成る群か
    ら選択された材料であることを特徴とする請求項15に
    記載の金型組立体。
  17. 【請求項17】厚さが0.1mm乃至1mmの熱可塑性
    樹脂製の成形品の成形方法であって、 (イ)キャビティが設けられ、熱可塑性樹脂に基づき成
    形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出す
    るための溶融樹脂射出部、並びに、 (ハ)該金型部の少なくとも一方に配設され、厚さ0.
    5mm乃至10mm、弾性率0.8×106kg/cm2
    以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・
    deg乃至2×10-2cal/cm・sec・degの
    無機材料から作製され、キャビティの一部を構成する入
    れ子、を備え、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めしたときの金型
    部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt0(単位:
    mm)、kiを流動係数(但し、1.5≦ki≦10)、
    αを使用する熱可塑性樹脂の流動指数(但し、40≦α
    ≦800)とし、溶融樹脂射出部から最も遠い所に位置
    するキャビティの部分から溶融樹脂射出部までの距離を
    L(単位:mm)としたとき、 L≦kiαt0 2 (但しL≧3) を満足する金型組立体を用い、 溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を
    射出することを特徴とする成形品の成形方法。
  18. 【請求項18】厚さが0.1mm乃至1mmの熱可塑性
    樹脂製の成形品の成形方法であって、 (イ)容積を可変とし得るキャビティが設けられ、熱可
    塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部
    及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出す
    るための溶融樹脂射出部、並びに、 (ハ)該金型部の少なくとも一方に配設され、厚さ0.
    5mm乃至10mm、弾性率0.8×106kg/cm2
    以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・
    deg乃至2×10-2cal/cm・sec・degの
    無機材料から作製され、キャビティの一部を構成する入
    れ子、を備え、 キャビティの容積が成形すべき成形品の容積と等しくな
    る状態に第1の金型部と第2の金型部とを配置したとき
    の金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離をt
    0(単位:mm)、第1の金型部と第2の金型部とを型
    締めしたときの金型部の開閉方向に沿ったキャビティの
    距離をt(単位はmmであり、t>t0)、kCを流動係
    数(但し、2≦kC≦20)、αを使用する熱可塑性樹
    脂の流動指数(但し、40≦α≦800)とし、溶融樹
    脂射出部から最も遠い所に位置するキャビティの部分か
    ら溶融樹脂射出部までの距離をL(単位:mm)とした
    とき、 L≦kCαt0 2 (但しL≧3) を満足する金型組立体を用い、 金型部の開閉方向に沿ったキャビティの距離がtとなる
    ように第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、溶融
    樹脂射出部から該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射
    出し、射出中あるいは射出完了後、金型部の開閉方向に
    沿ったキャビティの距離をt0とすることを特徴とする
    成形品の成形方法。
  19. 【請求項19】1.05t0≦t≦3t0の関係を満足す
    ることを特徴とする請求項18に記載の成形品の成形方
    法。
  20. 【請求項20】第1の金型部と第2の金型部とによって
    印篭構造が形成されることを特徴とする請求項18又は
    請求項19に記載の成形品の成形方法。
  21. 【請求項21】キャビティの容積を可変とし得る中子が
    金型組立体には更に備えられていることを特徴とする請
    求項18又は請求項19に記載の成形品の成形方法。
  22. 【請求項22】入れ子は第1の金型部及び第2の金型部
    に配設され、 第1の金型部に配設された入れ子を第1の入れ子、第2
    の金型部に配設された入れ子を第2の入れ子としたと
    き、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態に
    おいて、第1の入れ子の表面と、該第1の入れ子の表面
    と対向する第2の入れ子の表面との間のクリアランスは
    0.03mm以下であることを特徴とする請求項17乃
    至請求項21のいずれか1項に記載の成形品の成形方
    法。
  23. 【請求項23】入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、
    ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−Si
    2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、
    Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2
    2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチ
    タニアから成る群から選択されたセラミックス、若しく
    は、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択さ
    れたガラスから作製されていることを特徴とする請求項
    17乃至請求項22のいずれか1項に記載の成形品の成
    形方法。
  24. 【請求項24】入れ子の表面には薄膜が形成されてお
    り、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項17乃至請求項2
    3のいずれか1項に記載の成形品の成形方法。
  25. 【請求項25】薄膜を構成する材料は、TiN、TiA
    lN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモン
    ド、CrN、Cr及びNiから成る群から選択された材
    料であることを特徴とする請求項24に記載の成形品の
    成形方法。
  26. 【請求項26】成形品に穴を形成するために、第1の金
    型部及び/又は第2の金型部に取り付けられ、キャビテ
    ィ内を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピ
    ンを更に備えていることを特徴とする請求項17乃至請
    求項25のいずれか1項に記載の成形品の成形方法。
  27. 【請求項27】コアピンは、弾性率0.8×106kg
    /cm2以上、熱伝導率0.2×10-2cal/cm・
    sec・deg乃至2×10-2cal/cm・sec・
    degの無機材料から作製されていることを特徴とする
    請求項26に記載の成形品の成形方法。
  28. 【請求項28】コアピンの表面には薄膜が形成され、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項27に記載の成形
    品の成形方法。
  29. 【請求項29】コアピンは、ZrO2、ZrO2−Ca
    O、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−S
    iO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−Ti
    C、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−Si
    2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2
    及びチタニアから成る群から選択されたセラミックス、
    若しくは、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から
    選択されたガラスから作製されており、 該コアピンの表面に形成された薄膜を構成する材料は、
    TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルフ
    ァスダイヤモンド、CrN、Cr及びNiから成る群か
    ら選択された材料であることを特徴とする請求項28に
    記載の成形品の成形方法。
  30. 【請求項30】コアピンは、 (a)第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り付け
    られたコアピン取付部と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞しそ
    して他端が開口した形状、若しくは、両端が開口した形
    状を有する環状部材、とから成り、 該環状部材は、キャビティ内を占めるコアピンの部分の
    表面を構成し、 該コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の
    内部に延在しており、 該環状部材は、弾性率0.8×106kg/cm2以上、
    熱伝導率0.2×10-2cal/cm・sec・deg
    乃至2×10-2cal/cm・sec・degの無機材
    料から作製されていることを特徴とする請求項26に記
    載の成形品の成形方法。
  31. 【請求項31】環状部材の表面には薄膜が形成され、 該薄膜は、0.01μm乃至20μmの厚さを有し、ビ
    ッカース硬度が600Hv以上、動摩擦係数が0.5以
    下であって、熱可塑性樹脂との剥離強度が1kgf/c
    m以下のセラミックス化合物、金属、金属化合物及び炭
    素化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の
    材料から成ることを特徴とする請求項30に記載の成形
    品の成形方法。
  32. 【請求項32】環状部材は、ZrO2、ZrO2−Ca
    O、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−S
    iO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−Ti
    C、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−Si
    2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2
    及びチタニアから成る群から選択されたセラミックス、
    若しくは、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から
    選択されたガラスから作製されており、 該環状部材の表面に形成された薄膜を構成する材料は、
    TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルフ
    ァスダイヤモンド、CrN、Cr及びNiから成る群か
    ら選択された材料であることを特徴とする請求項31に
    記載の成形品の成形方法。
  33. 【請求項33】前記請求項17乃至請求項32のいずれ
    か1項に記載された成形品の成形方法によって成形され
    たことを特徴とする成形品。
  34. 【請求項34】成形品はICカード用のカードであるこ
    とを特徴とする請求項33に記載の成形品。
  35. 【請求項35】成形品は、携帯電話用のハウジング、携
    帯用OA用のハウジング、情報記憶媒体用のハウジング
    あるいはケースであることを特徴とする請求項33に記
    載の成形品。
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