JP3575927B2 - 熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法及び熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法及び熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーやリフレクターといった光反射部品を作製するための熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法、及び熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載する光反射部品である車載用ミラーにおいては、車両の走行時の振動による像の歪み、及び温度変化による像の歪みを出来る限り小さくする必要がある。また、夏場の高温下(車内温度は、80゜C近くに達する)に曝されても、熱で変形しない耐熱性が要求される。更には、像を鮮明に写すことが最重要であるために、優れた表面平滑性が要求される。従って、これらの要求性能を満足するための車載用ミラーには、高い弾性率、低線膨張係数、高い荷重撓み温度(耐熱温度)、高い写像性(鏡面性)が要求される。ここで、要求性能値として、曲げ弾性率(ASTM D790)5.0GPa以上、線膨張係数(ASTM D696)3.0×10−5/deg以下、荷重撓み温度(ASTM D648 荷重455kPa)100゜C以上を挙げることができる。また、ミラーを構成する部材(ミラー部材)の表面平滑性として写像性(鏡面性)85%以上を挙げることができる。
【0003】
そこで、これらの要求を満たす車載用ミラーを構成する材料として、従来、ソーダガラス、耐熱ガラス等のガラス材料が使用されている。車載用ミラーをこれらのガラス材料から作製する場合、所望の形状を有する治具の上にガラス材料を載置し、700〜1000゜Cの高温の炉内でこれらのガラス材料を数十分間加熱して、自然に賦形し、ミラー部材を作製する。その後、ミラー部材の表面に対して、例えばアルミニウムの真空蒸着処理を行い、車載用ミラーを完成させる。車載用ミラーはこのような工程を経て作製されるため、要求性能を満足するものの、量産性に乏しく、1枚当たりの製造コストが高いという問題を有する。尚、ミラー部材とは、表面にアルミニウム等の真空蒸着処理を行う前の部材を指し、ミラーとは、ミラー部材の表面にアルミニウム等の真空蒸着処理を行った後の部品を指す。
【0004】
また、スピードメーター等に内蔵される車載用ミラーに関しては、このようにして作製された車載用ミラーと樹脂製のスピードメーター部品等とを種々の部品を用いて組み立てた後に、車両に組み込む必要があり、作業工程が増加するという問題もある。
【0005】
リフレクターは、光源から発せられた光を効率よく反射させる光反射部品である。例えば、自動車用ヘッドランプ用のリフレクターに対しては、夜間走行時に走路前方を照射するために、極めて優れた写像性及び反射性が要求される。こうしたリフレクターに用いられる原料樹脂として、例えば、充填材入りの不飽和ポリエステル樹脂から成るシート・モールディング・コンパウンド(SMC)あるいはバルク・モールディング・コンパウンド(BMC)を挙げることができる。通常、SMCやBMCを成形してリフレクター部材を得た後、かかるリフレクター部材の表面に金属薄膜を成膜することによって、リフレクターは作製される。尚、リフレクター部材もリフレクターも成形品であるが、これらを峻別するために、表面に金属薄膜を成膜する前の光反射部材をリフレクター部材と呼び、かかるリフレクター部材の表面に金属薄膜を成膜した後の光反射部品をリフレクターと呼ぶこともある。
【0006】
これらのSMC若しくはBMCは、成形時に多量のガスが発生するため、リフレクター部材の表面に凹凸ができ易い。従って、後加工でリフレクター部材の表面をパテで埋める作業を行い、リフレクター部材に優れた外観特性を付与している。また、SMCやBMCは熱硬化性樹脂であるため、成形サイクルが長く、量産性に乏く、更には、成形時にバリが発生するために、後加工でバリ取り作業が必要とされ、コストアップにつながっている。しかも、成形装置は、射出成形装置の10倍程度と、非常に高価である。
【0007】
上記のミラーやリフレクターといった光反射部品への要求性能を満たす材料として、ガラス材料やSMC、BMC以外にも、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を挙げることができる。しかしながら、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂からミラー部材やリフレクター部材(以下、光反射部材と総称する)を成形すると、光反射部材の表面に無機繊維が析出するために、外観が悪くなり、あるいは又、写像性(鏡面性)が劣化するという問題がある。それ故、優れた外観特性や写像性が要求されるミラーやリフレクター(以下、光反射部品と総称する)には使用できない。尚、光反射部材の表面への無機繊維の析出という現象は、光反射部材の表面に無機繊維が浮き出ることなどで認識することができる。
【0008】
このような問題を解決するために、現状では、熱可塑性樹脂の粘度を低下させ、溶融熱可塑性樹脂の流動性を良くすることで対応している。しかしながら、無機繊維の含有率が増えると、無機繊維が光反射部材の表面から析出することを防止することは難しくなる。それ故、優れた外観特性や写像性(鏡面性)が必要とされる光反射部品には、優れた性能を有しているにも拘らず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用することは困難である。
【0009】
無機繊維の含有率が増えると無機繊維が光反射部材の表面から析出する原因は、熱可塑性樹脂から成る光反射部材を成形するための金型が、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料から作製されていることにある。通常、金型は、金型に設けられたキャビティ内に射出あるいは導入された溶融した熱可塑性樹脂(以下、溶融樹脂と呼ぶ場合もある)に起因した高い圧力によっても変形しない金属材料から作製されているが、これらの金属材料は熱伝導性に優れている。それ故、キャビティ内に射出あるいは導入された溶融樹脂は、キャビティの金型面と接触した時、瞬時に冷却され始める。その結果、キャビティの金型面と接触した溶融樹脂の表層部分に固化層が形成され、無機繊維が析出し、更には、キャビティの金型面の光反射部材表面への転写性が不足するという問題を生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するために、一般的には、溶融樹脂を高圧にてキャビティ内に射出することで、キャビティの金型面を無理矢理、光反射部材の表面に転写させる方法、あるいは又、金型温度を高温にして溶融樹脂の固化層の発達を遅らせる方法が取られている。しかしながら、前者の方法においては、成形装置の大型化、金型自体の大型化・肉厚化によるコストアップにつながると共に、溶融樹脂の高圧充填により光反射部材の内部に応力が残留し、その結果、光反射部品の品質が低下するといった問題が発生する。後者の方法においては、金型温度を成形に用いる樹脂の荷重撓み温度に近づけて設定するために、キャビティ内の樹脂の冷却時間が長くなる。その結果、成形サイクルが長くなり、生産性が低下するといった問題がある。更には、これらの成形方法を用いても、光反射部材の表面への無機繊維の析出を完全に防止することは困難である。
【0011】
無機繊維が添加されていない、即ち非強化の熱可塑性樹脂を使用して、キャビティ内に充填された樹脂の固化層の発達を遅延させることによってウェルドマークやフローマーク等の成形不良を防止することを目的として、低熱伝導材を金型のキャビティ面に設け、若しくは取り付ける技術が、例えば、特開昭55−55839号公報、特開昭61−100425号公報、特開昭62−208919号公報、特開平5−111937号公報、特開平5−200789号公報、特公平6−35134号公報、特開平6−218769号公報に提案されている。
【0012】
しかしながら、金型のキャビティ面に低熱伝導性の入れ子を、例えば接着剤を用いて単に装着する場合、以下のような問題が生じ、実用化は困難である。
(1)金型と低熱伝導性の入れ子との間のクリアランスが小さい場合、金型の温度上昇及び温度下降を繰り返すと、金型を構成する材料と入れ子を構成する材料との線膨張係数の差に起因して入れ子が破損する。
(2)金型と低熱伝導性の入れ子のクリアランスが大きい場合、長期間の成形を行なうと、金型と入れ子との間に溶融樹脂が浸入し、成形品にバリが発生する。そして、このバリが、離型時に入れ子を破損させるといった問題が生じる。
【0013】
また、低熱伝導性の入れ子の外周部には切削加工時に発生した微細なクレーズが残っているため、高温高圧の溶融樹脂との接触によって、入れ子の外周部にクラックが生じ、入れ子が破損するといった問題が生じる。そのため、金型全体としての耐久性が問題となるし、成形品の量産が困難となる。
【0014】
耐熱性プラスチック製の入れ子を用いることによって固化層の発達を遅らせようとした場合、かかる入れ子は剛性が小さく、更には、表面硬度が劣るため、長期間使用すると、入れ子が変形したり、入れ子に傷が付くといった問題がある。あるいは又、セラミックなどの薄膜を蒸着等によって金属表面に形成させて成る入れ子もあるが、薄膜の耐久性が劣り、金属表面から剥離するといった問題がある。それ故、このような入れ子は、試験用金型や簡易金型に用いられるだけであり、長期使用には耐えられない。また、これらの入れ子が組み込まれた金型を用いて無機繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物から光反射部材を成形する場合、溶融樹脂の流動性が劣ることから、入れ子に対して高い応力が加わる。その結果、入れ子の寿命の短縮が避けられない。更には、無機繊維と入れ子とが接触するので、入れ子の表面に耐摩耗性を付与する必要がある。以上の理由により、これらの入れ子を組み込んだ金型を使用して、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物に基づき光反射部材を成形することは、極めて困難である。
【0015】
固化層の発達を遅らせる別の方法として、高周波、電気、蒸気等を用いて、キャビティ内への溶融樹脂の充填前に金型温度を高温にしておき、冷却工程では水等を用いて低温まで金型温度を下げる方法も知られている。しかしながら、この方法には、過大な設備が必要とされ、高コストを招き、成形サイクルが長くなるなどの問題が多く、現状では、実用化された実績が無い。
【0016】
従って、本発明の目的は、キャビティの金型面の状態を忠実に光反射部材の表面に転写することができ、写像性(鏡面性)に優れた光反射部材を成形することができ、しかも、入れ子の保守が容易であり、成形時、セラミックやガラス等の低熱伝導材から成る入れ子に破損が発生せず、光反射部材にバリが発生することのない、熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法、並びに、かかる熱可塑性樹脂製光反射部材に基づき熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いてもキャビティの金型面の状態を忠実に光反射部材の表面に転写することができ、写像性(鏡面性)に優れた光反射部材を成形することができる、熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法、並びに、かかる熱可塑性樹脂製光反射部材に基づき熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法は、
(イ)キャビティが設けられた、光反射部材を成形するための金型と、
(ロ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ子と、
(ハ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
から成り、
入れ子と抑えプレートとの間のクリアランス(C)は0.001mm乃至0.03mm(0.001mm≦C≦0.03mm)であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)が0.1mm以上(ΔS≧0.1mm)である金型組立体を用いて、熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填することによって熱可塑性樹脂製光反射部材を成形することを特徴とする。
【0018】
入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、入れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入された溶融樹脂の急冷を招く結果、固化層の発達を抑制できなくなり、光反射部材の表面に無機繊維が析出する。また、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生する確率が高くなる。更には、光反射部材表面への入れ子のキャビティ面の転写性が劣化したり、光反射部材の表面の鏡面性が劣化する。また、金型に入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用いて入れ子を金型に接着すればよいが、入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると入れ子に不均一な応力が残るために、光反射部材の表面がうねる現象が生じたり、充填された溶融樹脂の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、金型からの光反射部材の取り出し後に光反射部材が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が発生することがある。尚、このような入れ子を用いることで、一定の金型温度で光反射部材を成形することができ、また、特殊な設備が不要であり、成形サイクルも通常の成形と同等となる。尚、入れ子の厚さは、好ましくは1mm乃至7mm、より好ましくは2mm乃至5mmであることが望ましい。
【0019】
本発明の成形方法においては、入れ子と抑えプレートとの間のクリアランス(C)は、0.001mm以上0.03mm以下(0.001mm≦C≦0.03mm)、より好ましくは0.003mm乃至0.03mm(0.003mm≦C≦0.03mm)である。ここで、かかるクリアランス(C)は、入れ子の厚さ方向(入れ子のキャビティ面と垂直な方向)に沿って測った入れ子と抑えプレートとの間の隙間である。より具体的なクリアランス(C)の最小値は、抑えプレートを取り付ける際に入れ子の外周部に微細なクラックが発生したり、金型の昇温時に入れ子が熱膨張することによって入れ子と抑えプレートが接触し、入れ子の外周部の微細クラックに応力が加わる結果、入れ子が破損するといった問題が生じたり、型締め時の衝撃で入れ子に損傷が発生しないような値とすればよい。一方、クリアランス(C)が0.03mmを越えると、溶融樹脂が入れ子と抑えプレートとの間に侵入し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、光反射部材にバリが発生するといった問題も生じる。
【0020】
抑え代(ΔS)が0.1mm未満の場合、入れ子の作製時に入れ子の端部に発生したクレーズが溶融樹脂と接触する結果、クレーズがクラックに成長し、入れ子が破損する場合がある。抑え代(ΔS)の上限は特に規定されないが、2mm程度とすることが好ましい。ここで、抑え代(ΔS)は、入れ子のキャビティ面と平行な方向に沿って測った、抑えプレートの端面(側面)から入れ子の端部(側面)までの距離である。
【0021】
金型に設けられた入れ子装着部と入れ子とのクリアランス(D)は、限りなく0に近い値であってよいが、実用的には、0.005mm以上であることが好ましい。ここで、クリアランス(D)は、入れ子のキャビティ面と平行な方向に沿って測った、金型の入れ子装着部と入れ子の端面(側面)との間のクリアランスを指す。入れ子を構成する材料の線膨張係数に依存するが、クリアランス(D)が余りに小さい場合、金型の入れ子装着部を構成する材料と入れ子を構成する材料の線膨張係数の差による入れ子の破損を防止することができなくなる場合がある。従って、クリアランス(D)は、このような問題が生じないような値とすればよい。尚、クリアランス(D)を大きくし過ぎると、入れ子の位置ズレ及び位置安定性が不足するために、入れ子が破損する虞がある。従って、クリアランス(D)は、2mm程度以下であることが好ましい。
【0022】
通常、金型は固定金型部と可動金型部とから構成されている。成形すべき光反射部材の形状、要求される表面特性等に依存して、入れ子を、可動金型部のみに配設してもよいし、固定金型部のみに配設してもよいし、可動金型部及び固定金型部の両方に配設してもよい。入れ子を装着する金型の部分を、金型に装着された中子から構成することもできる。尚、入れ子は、例えば優れた平滑性(鏡面性)が要求される光反射部材の表面の部分に対向して金型内に配設することが好ましい。
【0023】
尚、キャビティの一部を構成するとは、光反射部材の外形を規定するキャビティ面を構成することを意味する。より具体的には、キャビティは、例えば、可動金型部及び固定金型部に形成されたキャビティを構成する面と、入れ子に形成されたキャビティを構成する面と、抑えプレートに形成されたキャビティを構成する面とから構成されている。尚、これらのキャビティを構成する面を、以下、キャビティ面と呼ぶ。
【0024】
入れ子の熱伝導率は、2×10−2cal/cm・sec・deg以下であることが好ましい。入れ子は、広く、ジルコニア系材料、アルミナ系材料、KO−TiOから成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製することができ、より具体的には、ZrO、ZrO−CaO、ZrO−Y、ZrO−MgO、KO−TiO、Al、Al−TiC、Ti及び3Al−2SiOから成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製することができるが、中でも、熱伝導率が2×10−2cal/cm・sec・deg以下である、ZrO−Y又は3Al−2SiOから成るセラミックから作製されていることが好ましい。尚、2×10−2cal/cm・sec・degを越える熱伝導率を有する材料を用いて入れ子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が入れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていない通常の炭素鋼等から作製された金型にて成形された光反射部材と同程度の外観しか得られない場合があるし、固化層の発達を抑制できなくなる虞がある。
【0025】
あるいは又、入れ子を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜100%の結晶化ガラスから作製することが好ましい。10%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向上するため、光反射部材の成形時における入れ子の破損発生を著しく低下させることができる。結晶化度が10%未満では、成形時にその表面から界面剥離を起こし易いといった欠点がある。尚、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxが0.03μm以下であり、入れ子を構成する結晶化ガラスの線膨張係数が1×10−6/deg以下、熱衝撃強度が400゜C以上であることが好ましい。
【0026】
熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が400゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前後の値しか得られない。従って、それ以上の温度(例えば、約300゜C)で溶融された樹脂が入れ子と接触したとき、入れ子に歪みが生じ、入れ子が破損する場合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子を作製すれば、成形時に入れ子が割れることを確実に防止し得る。
【0027】
ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少量のTiO及びZrOの核剤を添加し、1600゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱処理を行い、ガラス中にLiO−Al−SiO系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結晶及びβ−スポジュメン系結晶が生成したものを例示することができる。あるいは又、CaO−Al−SiO系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示することができる。更には、SiO−B−Al−MgO−KO−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたものや、核剤を含むMgO−Al−SiO系ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例示することができる。尚、本発明における入れ子として、強度及び熱特性に優れたβ−ユークリプタイト系結晶又はβ−スポジュメン系結晶を有する結晶化ガラスを用いることが好ましい。
【0028】
これら結晶化ガラスにおいては、ガラス基材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化度を測定することができる。
【0029】
入れ子がセラミックから成る場合、入れ子の表面に、イオンプレーティング等の表面処理技術によって、上述した入れ子を構成する材料から成る薄膜層を少なくとも1層設けてもよく、これによって、セラミックの空孔を充填することができ、光反射部材の表面特性を一層向上させることができる。
【0030】
入れ子をセラミックから作製した場合、入れ子の素材が多孔質であるために、光反射部材の表面に凸状の突起物が転写される場合がある。しかしながら、結晶化ガラスは、結晶粒子が微細であり、しかも粒子間の接着力が優れており、多孔質でないために、光反射部材の表面が鏡面になり易いといった利点がある。
【0031】
入れ子が、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラス等の非晶質ガラスから成る場合、これらの材料と親和性及び接着性に優れた熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミドMXD6樹脂等のポリアミド系樹脂や、PBT樹脂やPET樹脂等のポリエステル樹脂)を用いて成形を行うと、入れ子と樹脂が強固に密着し、光反射部材の金型からの離型時に、入れ子がその表面から界面剥離を起こすという問題が発生する場合がある。このような場合には、入れ子を結晶化ガラスから作製すればよい。結晶化ガラスは結晶粒子間強度が大きいために、その表面から界面剥離が起こらず、長期間成形を行っても入れ子が破損するといった問題が無くなる。
【0032】
光反射部材に鏡面性が要求される場合、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm以下とすることが望ましい。表面粗さRmaxが0.03μmを越えると、鏡面性が不足し、光反射部材に要求される特性、例えば表面平滑性(写像性)を満足しない場合がある。そのためには、作製された入れ子のキャビティ面に対して、表面粗さRmaxが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤモンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、酸化セリウムによるラッピングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン等を用いて行うことができる。通常の炭素鋼等の磨きと比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1/2のコストで鏡面が得られるために、金型組立体の製作費を低減させることが可能である。尚、表面粗さRmaxの測定は、JIS B0601に準じた。つや消し若しくはヘラーラインの状態の表面を有する光反射部材を成形する場合には、入れ子のキャビティ面をサンドブラスト処理やエッチングを行うことによって、入れ子のキャビティ面に細かい凹凸やラインを形成すればよい。
【0033】
また、入れ子を、線膨張係数が12×10−6/deg以下のセラミック若しくはガラスから作製することが好ましい。ここで、線膨張係数は、50゜Cから300゜Cにおける平均値である。これによって、金型と入れ子といった異材質同志の膨張収縮による入れ子の変形及び破損を効果的に防止することができる。例えば炭素鋼から成る金型(場合によっては中子)に入れ子を装着して光反射部材の成形を行う場合、溶融樹脂の熱及び金型温調機の水やオイル等の熱によって金型及び入れ子は共に熱膨張する。そこで、線膨張係数が上記の値を越える場合、金型に設けられた入れ子装着部と入れ子との間のクリアランス(D)をかなり大きくしないと、線膨張係数の差によって入れ子に破損が発生する場合がある。尚、入れ子を結晶化ガラスから構成する場合は、線膨張係数を1×10−6/deg以下とすることが可能である。
【0034】
本発明の成形方法においては、入れ子を構成する材料に対して、通常の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、かなり複雑な形状以外は任意の形状の入れ子を製作できる。セラミック粉末若しくは溶融ガラスを成形用金型に入れてプレス成形した後に熱処理することで、入れ子を作製することができる。また、ガラスから成る板状物を治具上に置いたまま炉内で自然に賦形させることによって、入れ子を作製することもできる。尚、最終工程でラッピング処理を容易に行うことができる。
【0035】
曲面を有する光反射部材を成形する場合、入れ子の裏面(入れ子のキャビティ面と反対側の面であり金型と対向する面)の曲率に合わせて金型の入れ子装着部を加工し、且つ、抑えプレートも入れ子のキャビティ面の曲率に合わせて研削加工を行えばよい。このような加工をしない場合、キャビティ内に充填された溶融樹脂の圧力で入れ子が変形し、破損する場合がある。この場合にも、ΔS≧0.1mm、及び、0.001mm≦C≦0.03mmの関係を保ったまま、入れ子を金型の入れ子装着部に装着し、入れ子を抑えプレートで抑える。
【0036】
研削加工等によって所定形状に加工した後、入れ子の装着時に入れ子が金型内部に設けられた入れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型内部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができる。あるいは又、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シリコン系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。但し、接着剤の厚さむらの影響で入れ子に歪みが発生することを防止するために、接着剤の厚さを出来る限り薄く且つ均一にすることが望ましい。
【0037】
また、ガラスの熱曲げによって作製された入れ子を金型に装着する場合、必然的に入れ子の端面は金型の入れ子装着部の側壁と平行ではなくなるが、入れ子と金型の入れ子装着部との間のクリアランス(D)を2mm以下の範囲で、入れ子の端部の破損発生に注意しながら入れ子を金型に装着すればよい。また、ガラスから成る入れ子の熱曲げ後にその端面を研削加工して金型の入れ子装着部の側壁と平行にすることも考えられるが、かなり鋭角に加工された縁部分が入れ子に生じるために、金型への装着時に入れ子が破損する可能性がある。従って、入れ子の端面と平行になるように金型の入れ子装着部の側壁に切削加工を施すことが望ましい。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法においては、高い弾性率、低線膨張係数、高い荷重撓み温度(耐熱温度)、高い写像性(鏡面性)を熱可塑性樹脂製光反射部品に付与するために、熱可塑性樹脂には無機繊維が含有されていることが好ましい。
【0039】
この場合、無機繊維は、平均長さ5μm乃至100μm、より好ましくは5μm乃至70μm、平均直径0.01μm乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至10μmのガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から構成された群から選択された少なくとも1種の材料から成ることが好ましい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に含有させてもよい。尚、無機繊維の平均長さが5μm未満であり且つ平均直径が0.01μm未満では、要求される高い曲げ弾性率を熱可塑性樹脂製光反射部材に付与することができない。一方、無機繊維の平均長さが100μmを越えたり、平均直径が15μmを越えると、熱可塑性樹脂製光反射部材の表面が鏡面にならないといった問題が生じる。
【0040】
尚、熱可塑性樹脂が含有する無機繊維の割合(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無機繊維の割合)は、光反射部材に要求される高い曲げ弾性率を熱可塑性樹脂製光反射部材に付与できる範囲であればよく、その上限は、キャビティ内の溶融樹脂の流動性が低下するため成形が困難となり、あるいは又、優れた写像性(鏡面性)を有する熱可塑性樹脂製光反射部材を成形できなくなるときの値とすればよい。具体的には、無機繊維の含有率は15重量%乃至80重量%であることが好ましい。含有率が15重量%未満では上述の特性が得られず、また、80重量%を越えると溶融樹脂の流動性が低下するため熱可塑性樹脂製光反射部材の成形が困難となり、あるいは又、優れた写像性(鏡面性)を有する熱可塑性樹脂製光反射部材を成形できなくなる虞がある。尚、非晶質の熱可塑性樹脂を用いる場合には、結晶性の熱可塑性樹脂よりも流動性が劣るために、無機繊維の含有率の上限は50重量%となる場合がある。
【0041】
本発明における無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂成分を溶解する液体に無機繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物ペレット、熱可塑性樹脂製光反射部材若しくは熱可塑性樹脂製光反射部品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定することができる。通常は、無機繊維を写真撮影して人が測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用することが好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまり小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無機繊維の公称直径に対して長さが2倍よりも小さくなると測定が難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有する無機繊維を測定の対象とする。
【0042】
上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有する無機繊維は、シランカップリング剤等を用いて表面処理された後、熱可塑性樹脂とコンパウンドされ、ペレット化されて成形用材料とされる。このような成形用材料、及び入れ子と抑えプレートが組み込まれた金型組立体を用いて熱可塑性樹脂製光反射部材の成形を行うことで、高剛性を有し且つ写像性(鏡面性)に優れた熱可塑性樹脂製光反射部材を得ることができる。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法あるいは熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法において使用に適した熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂、又は、これらの熱可塑性樹脂の少なくとも2種類以上の樹脂から成るポリマーアロイ樹脂組成物を挙げることができるが、中でも、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリカーボネート樹脂/ポリエステル系樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物から構成された群から選択された熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。熱可塑性樹脂には、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等が添加されていてもよし、場合によっては、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材が添加されていてもよい。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法における成形方法としては、熱可塑性樹脂を成形するために一般的に用いられるブロー成形法や射出成形法が挙げられるが、射出成形法を採用することが好ましい。
【0045】
一般的には、成形後の樹脂の収縮による光反射部材の反りを起こり難くするために、固定金型部及び可動金型部並びに入れ子の熱伝導率や厚さを考慮して、光反射部材の取り出し時の固定金型部と可動金型部の温度差を出来るだけ無くすことが望ましい。
【0046】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法は、上述した本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法に基づき成形された熱可塑性樹脂製光反射部材の表面の少なくとも一部分に光反射薄膜を成膜することを特徴とする。
【0047】
光反射薄膜の厚さは、光を効果的に反射できる厚さであればよく、少なくとも50nm、好ましくは50nm乃至500nm、一層好ましくは100nm乃至300nmとすることが望ましい。尚、50nm未満では、反射率が十分でなくなる場合があり、一方、500nmを越えると熱可塑性樹脂製光反射部品の表面平滑性が低下し反射率に問題を生じる場合がある。
【0048】
光反射薄膜を構成する材料として、例えば、金、白金、銀、クロム、ニッケル、リンニッケル、アルミニウム、銅、ベリリウム、ベリリウム銅、亜鉛等の金属又はこれらの金属化合物、合金を挙げることができる。成膜方法として、
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着法等の各種真空蒸着法、
(b)プラズマ蒸着法
(c)2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等の各種スパッタ法
(d)DC(Direct Current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、HCD(Hollow Cathode Discharge)法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法
等のPVD(Physical Vapor Deposition)法を挙げることができる。反射率とコストの観点からは、アルミニウムを真空蒸着することによって得られるアルミニウム蒸着膜から光反射薄膜を構成することが最も好ましい。
【0049】
こうして得られた熱可塑性樹脂製光反射部品の一形態としてミラーを挙げることができる。より具体的には、ルームミラー、ドアミラー、フェンダーミラー、スピードメーターに内蔵されるミラー等の車両車載ミラー、カメラ用ダハミラー、複写機用光学系ミラー、レーザービームプリンター用ポリゴンミラー等の光学系ミラーを例示することができる。ミラー部材から成る熱可塑性樹脂製光反射部材、あるいはミラーから成る熱可塑性樹脂製光反射部品に要求される物性値は、以下の表1のとおりである。尚、曲げ弾性率はASTM D790に基づいており、線膨張係数はASTM D696に基づいており、荷重撓み温度はASTMD648 荷重455kPaに基づいており、写像性(鏡面性)は、スガ試験機製、ICM−2DP表面写像性測定機での測定結果に基づいている。以下の説明においても同様である。
【0050】
【表1】
曲げ弾性率 :5.0GPa以上
線膨張係数 :3.0×10−5/deg以下
荷重撓み温度:100゜C以上
写像性 :85%以上(ミラー部材に対して)
【0051】
これらの特性を満足するためのミラー部材を成形するためには、以下の表2の諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0052】
【表2】
平均長さ:5〜100μm、より好ましくは5〜70μm
平均直径:0.01〜15μm、より好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
【0053】
あるいは又、こうして得られた熱可塑性樹脂製光反射部品の別の形態としてリフレクターを挙げることができる。より具体的には、ヘッドランプ、ターンランプ、サーチライト、回転灯、非常灯等に組み込まれたリフレクターを例示することができる。リフレクター部材から成る熱可塑性樹脂製光反射部材、あるいはリフレクターから成る熱可塑性樹脂製光反射部品に要求される物性値は、以下の表3のとおりである。
【0054】
【表3】
線膨張係数 :3.0×10−5/deg以下
荷重撓み温度:140゜C以上
写像性 :80%以上(リフレクター部材に対して)
【0055】
これらの特性を満足するためのリフレクター部材を成形するためには、以下の表4の諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0056】
【表4】
平均長さ:5〜100μm、より好ましくは5〜70μm
平均直径:0.01〜15μm、より好ましくは0.05〜13μm、
更に好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
【0057】
尚、上記の物性値を満足するために、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂の有する物性値は、以下の表5のとおりであることが望ましい。
【0058】
【表5】
線膨張係数 :3.0×10−5/deg以下、好ましくは、
0.5〜3.0×10−5/deg
荷重撓み温度:140゜C以上、好ましくは、140〜260゜C
【0059】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法においては、断熱性を有する入れ子と抑えプレートを備えた金型組立体を用いるので、キャビティ内に充填、射出あるいは導入された溶融樹脂の急冷を緩和することができる。それ故、低い金型温度でも、確実に且つ容易に優れた写像性(鏡面性)を有し、しかも要求性能を満足する熱可塑性樹脂製光反射部材を成形することができる。しかも、溶融樹脂の固化が遅くなる結果、樹脂の流動性が向上するために、熱可塑性樹脂中の無機繊維含有率が高い場合でも光反射部材の成形が可能となり、熱可塑性樹脂製光反射部材の表面に無機繊維が析出することを確実に防止することができる。
【0060】
更には、溶融樹脂の流動性が向上するが故に、溶融樹脂の射出圧力を低く設定でき、熱可塑性樹脂製光反射部材に残留する応力を緩和できる。その結果、熱可塑性樹脂製光反射部品の品質が向上する。また、溶融樹脂の射出圧力を低減できるために、金型の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、熱可塑性樹脂製光反射部品の製造コストダウンも可能になる。しかも、従来の技術では無機繊維を含有する熱可塑性樹脂では無し得ないとされていた光反射部材の薄肉化が達成できる。また、ガラスから製造する従来の光反射部品の作製方法よりも量産性に優れ、且つ、アセンブリー部分までも成形によって一体化できることから、部品点数の低減化及び光反射部品の製造コストダウンが期待できる。
【0061】
入れ子を低熱膨張率を有する材料から作製すれば、入れ子は、金型とは独立して作製され、金型の内部に配設されるので、入れ子による断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、線膨張係数が低く、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難い入れ子を作製することができる。かかる入れ子を用いることによって、入れ子による断熱効果が大きく、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を抑制することができ、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止することができる。しかも、入れ子を、所定のクリアランス(C)及び抑え代(ΔS)の範囲内で抑えプレートによって抑えることで、光反射部材の端部の外観を損なうことがなくなり、光反射部材の端部にバリが発生しなくなり、更には、入れ子外周部に残っている微細なクレーズと溶融樹脂が接触しなくなるために入れ子の破損を防止し得る。
【0062】
特にエンジニアリングプラスチックス、スーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や強度に優れる反面、成形性が悪いプラスチックを使用する場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行なうが、フローマーク等の外観不良が多発している。然るに、本発明における金型組立体を使用することで断熱効果が得られるために、金型温度を80゜C以下としても外観特性が良好な熱可塑性樹脂製光反射部材を得ることができる。また、無機繊維が添加された熱可塑性樹脂を使用した場合であっても、無機繊維が熱可塑性樹脂製光反射部材の表面に析出する現象が生ぜず、写像性(鏡面性)等の外観特性に優れた熱可塑性樹脂製光反射部材を得ることができる。これは、射出された溶融樹脂の冷却・固化を入れ子によって遅延することが可能となる結果、溶融樹脂の流動性及び転写性を向上できるからである。
【0063】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において成形された熱可塑性樹脂製光反射部材の写像性の測定は、表面写像性測定機(スガ試験機製:ICP−2DP)を用いて、次の表6に示す条件で行った。測定部位としては、曲率の大きい部位を選定して熱可塑性樹脂製光反射部材を切削し、測定した。また、測定時には、3kgの試料押えを用いて、出来る限り測定部位を平面に近づけて測定した。10点を測定して、平均値を求めた。更には、熱可塑性樹脂製光反射部材の物性については、線膨張係数はASTM D696に基づき、荷重撓み温度はASTM D648 荷重455kPaに基づき測定した。
【0064】
【表6】
測定範囲 :20mm直径
入射及び受光角度:60度
光学クシ幅 :0.5mm
【0065】
(実施例1)
実施例1〜実施例3においては、成形すべき熱可塑性樹脂製光反射部材を熱可塑性樹脂製ミラー部材とした。実施例1の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法の実施に適した金型組立体の一具体例を、図1の(A)に模式的な一部端面図で示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図1の(B)及び(C)に示す。ここで、金型組立体は、図1の(B)、図1の(C)、図1の(A)の順に組み立てられる。尚、成形すべき熱可塑性樹脂製ミラー部材の寸法を、長さ270mm、幅80mm、厚さ2mm、鏡面の曲率半径を500mmとした。
【0066】
実施例1においては、以下の表7に示す特性を有する結晶化ガラス(結晶化度70%)から入れ子30を研削加工にて作製した。入れ子30の作製においては、先ず、280.0mm×85.0mm×4.5mmの大きさの平板状の結晶化ガラスを、800゜Cの高温炉の中で曲率半径500mmのセラミック製の型の上に載置して自然に賦形させた後、研削加工を行い、入れ子30の大きさを、271.00mm×81.00mm×4.00mmとした。また、入れ子30のキャビティ面31の曲率半径を500mmとした。
【0067】
【表7】
材質:スポジュメン系結晶から成る結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名N−0)
結晶化度:70%
密度 :2.51g/cm
熱伝導率:0.4×10−2cal/cm・sec・deg
線膨張係数:−6.0×10−6/deg
熱衝撃温度:800゜C
【0068】
実施例1の金型組立体におけるキャビティ40の内法の寸法を、271.00mm×81.00mmとした。固定金型部10を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子30を装着する固定金型部10の部分を、炭素鋼S55Cから成る中子12から構成し、中子12に入れ子装着部11を設けた。入れ子装着部11の内寸法が271.20mm×81.20mm、深さが4.02mmとなるように中子12の切削加工を行った。尚、入れ子装着部11の曲率半径は、入れ子30のキャビティ面と反対側の面の曲率半径に合わせた。
【0069】
2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、賦形された入れ子30を中子12の入れ子装着部11内に固定した(図1の(B)参照)。その後、入れ子30のキャビティ面31に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子30のキャビティ面31の表面粗さRmaxを0.02μmとした。隙間ゲージを用いて入れ子30と入れ子装着部11との間のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。次いで、中子12を固定金型部10に装着した。
【0070】
炭素鋼S55Cから抑えプレート32を作製した。抑えプレート32の内法寸法を270.00mm×80.00mmとした。アセンブリー部分41を含む抑えプレート32の切削加工を行った後、固定金型部10にビス(図示せず)を用いて固定した(図1の(C)参照)。入れ子30と抑えプレート32との間のクリアランス(C)は、平均で0.019mmであった。また、入れ子30に対する抑えプレート32の抑え代(ΔS)は、0.5mmであった。尚、図1の(C)にはゲート部の図示を省略した。
【0071】
一方、可動金型部20を炭素鋼S55Cから作製した。可動金型部20には、熱可塑性樹脂製ミラー部材のアセンブリー部分41も成形されるようなキャビティ面を形成した。そして、可動金型部20と図1の(C)に示した固定金型部10を組み付けて金型組立体を完成させた(図1の(A)参照)。
【0072】
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作製された入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0073】
成形装置として三菱重工業株式会社製、150MST射出成形機を用い、金型組立体を80゜Cに加熱した。無機繊維としてホウ酸アルミニウムウィスカー繊維を20重量%含有するポリカーボネート樹脂から成る熱可塑性樹脂を用いて、射出成形を行なった。ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維の特性及び成形条件を、以下の表8に示す。キャビティ40内を完全に充填するのに十分な量の溶融樹脂をゲート部13を介してキャビティ40内に射出した後、20秒後に熱可塑性樹脂製ミラー部材を金型組立体から取り出した。
【0074】
【表8】
ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維
平均長さ:10μm
平均直径:0.1μm
成形条件
金型温度:80゜C
樹脂温度:310゜C
射出圧力:500kgf/cm−G
【0075】
熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面(入れ子30と接触していた部分)は、金型温度が低いにも拘らず、熱可塑性樹脂製ミラー部材の端部に至るまで優れた写像性を有していた。表面写像性測定機にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面特性の測定を行った結果、完全鏡面100%に対して95%と非常に高い写像性を有していた。また、熱可塑性樹脂製ミラー部材の曲げ弾性率を測定したところ、6.0GPaと高い曲げ弾性率を有していた。更には、線膨張係数は2.5×10−5/deg、荷重撓み温度は145゜Cであり、成形された熱可塑性樹脂製ミラー部材は所望の要求性能を有していることが分かった。
【0076】
尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0077】
成形した熱可塑性樹脂製ミラー部材の入れ子30と接触していた表面の部分に、真空蒸着法によってアルミニウム蒸着膜を120nm成膜して、熱可塑性樹脂製光反射部品であるミラーを作製した。その結果、通常のガラス製ミラーと同等の素晴らしい写像性(鏡面性)を有しており、被写体が鮮明に映し出された。
【0078】
尚、熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形サイクルは約40秒/個であり、量産性にもかなり優れていた。更に、熱可塑性樹脂製ミラー部材にはアセンブリー部分まで一体で成形されるために、車体等にミラーを容易に取り付けることができ、取り付け作業効率が改善できた。
【0079】
(比較例1A)
比較例1Aにて用いた金型組立体の模式的な一部端面図を図4の(A)に示す。2000番のペーパーで磨いた後、ダイヤモンドペーストで鏡面仕上げしたキャビティの金型面を有する、スタバックス鋼(ウッデホルム社製)から作製した固定金型部10、及び実施例1と同様の構造を有する可動金型部20から構成された金型組立体を用いた。そして、実施例1と同様の熱可塑性樹脂及び無機繊維を使用し、実施例1と同様の成形条件にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。然るに、キャビティ40内での溶融樹脂の流動が悪く、キャビティ40内を完全に溶融樹脂で充填することができなかった。そこで射出圧力を200kgf/cm−Gだけ増加させ、700kgf/cm−Gとして成形を行った。表面写像性測定機にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面平滑性を測定したところ、完全鏡面100%に対し7%であり、実施例1と比較すると写像性(鏡面性)が著しく低かった。
【0080】
(比較例1B)
比較例1Bにおいては、図4の(B)に示すように、実施例1における金型組立体から抑えプレートを取り外した。即ち、比較例1Bにおいては、実施例1とは異なり、入れ子30を抑えプレートで抑えていない。それ以外の金型組立体の構造は、実施例1と同様である。そして、実施例1と同様の熱可塑性樹脂及び無機繊維を使用し、実施例1と同様の成形条件で熱可塑性樹脂製ミラー部材を成形した。その結果、熱可塑性樹脂製ミラー部材の端部の外観が醜く、バリ等が発生していた。また、成形15サイクルで入れ子30の端部に割れが生じた。
【0081】
(比較例1C)
実施例1と同様の金型組立体を用い、抑えプレート32と入れ子30との間のクリアランス(C)を、0.003mm、0.02mm、0.04mmに変えて実施例1と同様の熱可塑性樹脂及び無機繊維を使用し、実施例1と同様の成形条件にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。その結果、クリアランス(C)が0.04mmの場合、溶融樹脂が、入れ子30と抑えプレート32との間に侵入し、離型時に熱可塑性樹脂製ミラー部材を金型組立体から取り出すことができなかった。クリアランス(C)が0.003mm及び0.02mmの場合、これらの問題は全く発生しなかった。
【0082】
(比較例1D)
実施例1と同様の金型組立体を用い、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)を0.05mmとした。実施例1と同様の熱可塑性樹脂及び無機繊維を使用し、実施例1と同様の成形条件にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。その結果、入れ子の外周部からクラックが成長し、成形5サイクル後には、入れ子の全面に割れが発生した。
【0083】
(実施例2及び比較例2)
実施例1と同様の金型組立体を用い、無機繊維としてシランカップリング処理したガラス繊維を10重量%及び50重量%含有したポリカーボネートから成る熱可塑性樹脂を用いて熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。無機繊維の平均長さを70μm及び300μmとし、平均直径を10μmとした。尚、成形条件としては、樹脂温度を330゜Cと高くした以外は実施例1と同様の条件で熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。
【0084】
表面写像性測定機による熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面の測定及び各種物性測定を行った結果を表9に示す。表9の「ケース1」においては、無機繊維の平均長さ及び平均半径は所定の範囲に入っているが、無機繊維含有率が10重量%であり所定の無機繊維含有率の範囲から逸脱している。表9の「ケース2」(実施例2)においては、無機繊維の平均長さ、平均半径及び無機繊維含有率は所定の範囲に入っている。表9の「ケース3」においては、無機繊維の平均半径は所定の範囲に入っているが、無機繊維の平均長さが300μm、無機繊維含有率が10重量%であり、所定の平均長さ及び無機繊維含有率の範囲から逸脱している。表9の「ケース4」においては、無機繊維の平均半径及び無機繊維含有率は所定の範囲に入っているが、無機繊維の平均長さが300μmであり、所定の平均長さの範囲から逸脱している。
【0085】
【表9】
Figure 0003575927
【0086】
実施例1と同様の金型組立体を用いて熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行ったが、「ケース1」、「ケース3」及び「ケース4」においては、写像性が向上せず、あるいは又、要求性能が所定の範囲を満たさなかった。
【0087】
(実施例3及び比較例6)
実施例1と同じ金型組立体を用いて、無機繊維としてガラス繊維(平均長さ70μm、平均直径10μm)を30重量%含有するポリカーボネートから成る熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同様の条件で熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。その結果、金型温度100゜Cであっても、表面に無機繊維の析出の無い非常に鏡面性に優れた熱可塑性樹脂製ミラー部材を得ることができた。写像性測定機にて熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面を測定したところ、90%と非常に高い鏡面性を有していた。尚、得られた熱可塑性樹脂製ミラー部材の曲げ弾性率は5.1GPa、線膨張係数は2.8×10−5/deg、荷重撓み温度は143゜Cであった。成形した熱可塑性樹脂製ミラー部材の入れ子30と接触していた表面の部分に、真空蒸着法によってアルミニウム蒸着膜を120nm成膜して熱可塑性樹脂製光反射部品であるミラーを作製した結果、通常のガラス製ミラーと同等の素晴らしい写像性(鏡面性)を有しており、被写体が鮮明に映し出された。
【0088】
一方、同じ無機繊維及び熱可塑性樹脂を使用し、比較例1Aと同様の金型組立体を用いて、実施例1と同様の条件で熱可塑性樹脂製ミラー部材の成形を行った。その結果、熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面に無機繊維が析出し、鏡面性は全くと言っていいほど得られなかった。金型温度120゜Cで成形しても、同様に、熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面に無機繊維が析出し、鏡面性は全くと言っていいほど得られなかった。写像性測定機にてこの熱可塑性樹脂製ミラー部材の表面を測定したところ、鏡面性としては5%でしかなかった。
【0089】
(実施例4)
実施例4及び実施例5においては、成形すべき熱可塑性樹脂製光反射部材を熱可塑性樹脂製リフレクター部材とした。実施例4の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法の実施に適した金型組立体の一具体例を、図2に模式的な一部端面図で示す。入れ子130は、溶融状態のガラスを金型内に流し込み、プレス成形によって賦形させた後、800゜Cの高温炉の中で結晶化処理して得られた結晶化ガラス(結晶化度70%)を用いた。尚、実施例4における結晶化ガラスの特性は、実施例1にて説明した結晶化ガラスと同様である。
【0090】
入れ子130の装着は次のようにして行った。中子112の入れ子装着部111を、入れ子130の凹面部(入れ子のキャビティ面131とは反対側の面)と同形状に切削加工した。尚、中子112を炭素鋼S55Cから作製した。次いで、入れ子130を入れ子装着部111内にエポキシ系接着剤で固定した。隙間ゲージを用いて入れ子130と入れ子装着部111のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは、0.05mmであった。入れ子130のキャビティ面131に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上げを行い、入れ子130のキャビティ面131の表面粗さRmaxを0.02μmとした。その後、入れ子130が装着された中子112を固定金型部110に組み付けた。
【0091】
抑えプレート132を炭素鋼S55Cから作製した後、固定金型部110にビス(図示せず)を用いて固定した。入れ子130と抑えプレート132との間のクリアランス(C)は、平均で0.019mmであった。また、入れ子130に対する抑えプレート132の抑え代(ΔS)は、0.5mmであった。
【0092】
一方、可動金型部120を炭素鋼S55Cから作製した。
【0093】
次に、可動金型部120と固定金型部110とを組み付けて金型組立体(図2参照)を完成させた。完成した金型組立体を射出成形装置に取り付けた。そして、金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作製された入れ子130に割れ等の問題は発生しなかった。
【0094】
実施例1と同じ射出成形装置を用いて、金型組立体を80゜Cに加熱した。原料樹脂として、ポリカーボネート樹脂にホウ酸アルミニウムウィスカー繊維を20重量%を配合、混練して成る熱可塑性樹脂を用い、以下の表10に示す射出成形条件にて、キャビティ140内を完全に充填するのに十分な量の溶融樹脂をゲート部(図示せず)を介してキャビティ140内に射出した。そして、射出完了から20秒経過後、熱可塑性樹脂製のリフレクター部材を金型組立体から取り出した。
【0095】
【表10】
ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維
平均長さ:10μm
平均直径:0.1μm
成形条件
金型温度: 80゜C
樹脂温度:310゜C
射出圧力:500kgf/cm−G
【0096】
リフレクター部材の表面(入れ子130と接していた面)は、金型温度が低いにも拘らず、その端部に至るまで鏡面性を有していた。表面写像性測定機を用いてリフレクター部材表面の平滑性を測定した結果、完全鏡面100%に対して、95%と非常に高い鏡面性を有していた。また、リフレクター部材の物性測定を行ったところ、曲げ弾性率6.0GPa、線膨張係数2.5×10−5/deg、荷重撓み温度145゜Cであった。更に連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子130に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0097】
成形されたリフレクター部材に、真空蒸着法によってアルミニウム蒸着膜を120nmの厚さで成膜した結果、BMC製リフレクターと同等の素晴らしい鏡面性を有し、被写体が鮮明に映し出されたリフレクターから成る光反射部品を得ることができた。また、リフレクター部材の成形サイクルは約40秒/個であり、量産性にも優れていた。
【0098】
(比較例4A)
比較例4Aにおいては、金型をスタバックス鋼から作製し、金型のキャビティ面を鏡面研磨した金型組立体を用いた。尚、比較例4Aの金型組立体の構造は、入れ子及び抑えプレートを備えていないことを除き、実施例4の金型組立体と同様の構造を有する。この金型組立体のキャビティ内に実施例4と同様の溶融した熱可塑性樹脂を射出した。その結果、溶融樹脂の流動性が悪く、キャビティ内を完全に溶融樹脂で充填することができなかった。そこで、射出圧力を200kgf/cm−G増加させ、700kgf/cm−Gとして成形を行った。得られたリフレクター部材の表面には、無機繊維が析出して非常に醜いものであった。表面写像性測定機にてリフレクター部材の表面平滑性を測定したところ、完全鏡面100%に対し、7%であり、実施例4と比較すると鏡面性が著しく低かった。
【0099】
(比較例4B)
比較例4Bにおいては、実施例4における抑えプレートがない金型組立体を用いること以外は実施例4と同様の金型組立体を用いた。そして、この金型組立体のキャビティ内に実施例4と同様の溶融した熱可塑性樹脂を射出した。その結果、リフレクター部材の端部の外観は醜く、バリ等が発生していた。また、成形15サイクルで入れ子の端部に割れが生じた。
【0100】
(比較例4C)
比較例4Cでは、実施例4の金型組立体において、抑えプレート132と入れ子130との間のクリアランス(C)を0.04mmとした。そして、この金型組立体のキャビティ内に実施例4と同様の溶融した熱可塑性樹脂を射出した。その結果、抑えプレート132と入れ子130との間の隙間に溶融樹脂が侵入し、離型時にリフレクター部材を金型組立体から取り外すことができなかった。
【0101】
(比較例4D)
比較例4Dでは、実施例4の金型組立体において、入れ子130に対する抑えプレート132の抑え代(ΔS)を0.05mmとした。そして、この金型組立体のキャビティ内に実施例4と同様の溶融した熱可塑性樹脂を射出した。その結果、入れ子130の外周部からクラックが成長し、成形5サイクル目には入れ子の全面に割れが発生した。
【0102】
(実施例5)
実施例4と同様の金型組立体を用い、原料樹脂として、無機繊維の平均長さが70μm、平均直径が10μmのシランカップリング処理したガラス繊維を50重量%含有するポリカーボネート樹脂から成る熱可塑性樹脂を用いた。樹脂温度を330゜Cと高くした以外は実施例4と同様の成形条件にて成形を行った。リフレクター部材から成る成形品の表面を表面写像性測定機で測定した結果、及び物性測定結果を表11に示す。
【0103】
(比較例5A〜比較例5C)
比較例5A〜比較例5Cにおいては、実施例4と同様の金型組立体を用い、原料樹脂として、表11に示す無機繊維の平均長さ及び平均直径のシランカップリング処理したガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂から成る熱可塑性樹脂を用い、実施例5と同様の成形条件にて成形を行った。リフレクター部材の表面を表面写像性測定機で測定した結果、及び物性測定結果を表11に示す。尚、表11中、繊維長さ及び繊維直径は繊維の平均長さ及び平均直径を意味する。線膨張係数の単位は、10−5/degである。
【0104】
【表11】
Figure 0003575927
【0105】
比較例5B及び比較例5Cから明らかなように、無機繊維の平均長さが100μmを超えると、写像性が低下する。また、比較例5Aから明らかなように、無機繊維の含有率が15重量%未満では、リフレクター部材から成る光反射部材に要求される線膨張係数(3.0×10−5/deg以下)を満足しない。
【0106】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した条件や使用した材料は例示であり、また、金型組立体の構造も例示であり、適宜変更することができる。入れ子や抑えプレートの形状や大きさも例示であり、成形すべき熱可塑性樹脂製光反射部材の形状等に依存して、適宜設計変更することができる。入れ子は、鏡面性が要求される熱可塑性樹脂製光反射部材の表面の部分に対向して金型内に配設すればよく、必要に応じて、可動金型部に設けてもよいし、固定金型部と可動金型部の両方に設けてもよい。
【0107】
図3の(A)に示すように、固定金型部10に、直接、入れ子装着部11を設けることもできる。また、実施例においては、曲面を有する熱可塑性樹脂製光反射部材の作製を例にとり説明したが、図3の(B)に示すような金型組立体を用いれば、平面状の熱可塑性樹脂製光反射部材を作製することもできる。
【0108】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法においては、入れ子及び抑えプレートを備えた金型組立体を使用することによって、極めて優れた写像性(鏡面性)を有する熱可塑性樹脂製光反射部材の成形が可能である。また、熱可塑性樹脂が含有する無機繊維の平均長さ、平均直径及び含有率を規定することによって、且つ、入れ子及び抑えプレートを備えた金型組立体を使用することによって、高剛性、低線膨張係数、高耐熱性を有する無機繊維含有の熱可塑性樹脂を用いて成形を行っても、高弾性率を有し、しかも、極めて優れた写像性(鏡面性)を有する熱可塑性樹脂製光反射部材の成形が可能である。それ故、現状では優れた外観を得ることができないために、外観を重要視しない部品等でしか使用されていなかった無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を、光反射部材若しくは光反射部品の成形分野で活用できるようになる。
【0109】
また、アセンブリー部分までも成形によって一体化された熱可塑性樹脂製光反射部材若しくは光反射部品を成形できるので、部品点数の低減化及びコストダウンが期待できるし、高性能な熱可塑性樹脂製光反射部材若しくは熱可塑性樹脂製光反射部品を高い量産性で作製でき、しかも、部品点数の削減による作業性の向上が達成できる。
【0110】
更には、溶融樹脂の流動性が向上するが故に、溶融樹脂の射出圧力を低く設定できるので、熱可塑性樹脂製光反射部材に残留する応力を緩和でき、熱可塑性樹脂製光反射部品の品質が向上する。また、溶融樹脂の射出圧力を低減できるので、金型の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、光反射部材若しくは光反射部品の製造コストダウンも可能になる。
【0111】
本発明における入れ子は、断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。本発明における金型組立体においては、キャビティ内に充填された溶融樹脂の急冷を抑制することができ、無機繊維の熱可塑性樹脂製光反射部材の表面への析出を効果的に防止できる。しかも、本発明における金型組立体においては、入れ子を、所定のクリアランス(C)及び抑え代(ΔS)の範囲内で抑えプレートによって抑えることにより、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることがなく、容易且つ安価に鏡面性を有する熱可塑性樹脂製光反射部材若しくは光反射部品を製作できる。また、光反射部材の外観を損なうことがなくなり、光反射部材の端部のバリ発生を防止でき、光反射部品の不良率低減及び光反射部品の均質化、高品質化を達成することができ、光反射部品の製造コストの削減を図ることができる。尚、結晶化ガラスから入れ子を作製することで、鏡面性、転写性に優れた熱可塑性樹脂製ミラー部材を容易に得ることができる。しかも、入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難い入れ子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の実施に適した金型組立体の好ましい態様の模式的な一部端面図、及び金型組立体の組み立て中の模式的な一部端面図である。
【図2】実施例4の実施に適した金型組立体の好ましい態様の模式的な一部端面図ある。
【図3】本発明の実施に適した金型組立体の好ましい別の態様の模式的な一部端面図である。
【図4】比較例における金型組立体の模式的な一部端面図である。
【符号の説明】
10,110 固定金型部
11,111 入れ子装着部
12,112 中子
13 ゲート部
20,120 可動金型部
30,130 入れ子
31,131 入れ子のキャビティ面
32,132 抑えプレート
40,140 キャビティ
41 アセンブリー部分

Claims (21)

  1. 曲げ弾性率5.0GPa以上、線膨張係数3.0×10 -5 /deg以下、荷重撓み温度100゜C以上、写像性85%以上の特性を有するミラー部材から成る熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法であって、
    (イ)キャビティが設けられた、光反射部材を成形するための金型と、
    (ロ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ子と、
    (ハ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
    から成り、
    入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスが0.001mm乃至0.03mmであり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代が0.1mm以上である金型組立体を用いて、熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填することによって光反射部材を成形することを特徴とする熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  2. 線膨張係数3.0×10 -5 /deg以下、荷重撓み温度140゜C以上、写像性80%以上の特性を有するリフレクター部材から成る熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法であって、
    (イ)キャビティが設けられた、光反射部材を成形するための金型と、
    (ロ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ子と、
    (ハ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
    から成り、
    入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスが0.001mm乃至0.03mmであり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代が0.1mm以上である金型組立体を用いて、熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填することによって光反射部材を成形することを特徴とする熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  3. 熱可塑性樹脂には無機繊維が含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  4. 無機繊維の平均長さは5μm乃至100μmであり、平均直径は0.01μm乃至15μmであり、無機繊維の含有率は15重量%乃至80重量%であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  5. 無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から構成された群から選択された少なくとも1種の材料から成ることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  6. 入れ子のキャビティを構成する面の表面粗さRmaxは0.03μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  7. 入れ子の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・deg以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  8. 入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2から成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  9. 熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリカーボネート樹脂/ポリエステル系樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物から構成された群から選択された熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の成形方法。
  10. (イ)キャビティが設けられた、光反射部材を成形するための金型と、
    (ロ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ子と、
    (ハ)該金型の内部に配置され、キャビティの一部を構成する、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
    から成り、
    入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスが0.001mm乃至0.03mmであり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代が0.1mm以上である金型組立体を用いて、熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填することによって熱可塑性樹脂製光反射部材を成形した後、熱可塑性樹脂製光反射部材の表面の少なくとも一部分に光反射薄膜を成膜することを特徴とする熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法。
  11. 光反射薄膜の厚さは50nm乃至500nmであることを特徴とする請求項10に記載の熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法。
  12. 光反射薄膜はアルミニウム蒸着膜から成ることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法。
  13. 熱可塑性樹脂製光反射部品は、曲げ弾性率5.0GPa以上、線膨張係数3.0×10-5/deg以下、荷重撓み温度100゜C以上の特性を有するミラーであることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法。
  14. 熱可塑性樹脂製光反射部品は、線膨張係数3.0×10-5/deg以下、荷重撓み温度140゜C以上の特性を有するリフレクターであることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部品の作製方法。
  15. 熱可塑性樹脂には無機繊維が含有されていることを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  16. 無機繊維の平均長さは5μm乃至100μmであり、平均直径は0.01μm乃至15μmであり、無機繊維の含有率は15重量%乃至80重量%であることを特徴とする請求項15に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  17. 無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から構成された群から選択された少なくとも1種の材料から成ることを特徴とする請求項16に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  18. 入れ子のキャビティを構成する面の表面粗さR max は0.03μm以下であることを特徴とする請求項10乃至請求項17のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  19. 入れ子の熱伝導率は2×10 -2 cal/cm・sec・deg以下であることを特徴とする請求項10乃至請求項18のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  20. 入れ子は、ZrO 2 、ZrO 2 −CaO、ZrO 2 −Y 2 3 、ZrO 2 −MgO、K 2 O−TiO 2 、Al 2 3 、Al 2 3 −TiC、Ti 3 2 、3Al 2 3 −2SiO 2 から成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることを特徴とする請求項10乃至請求項19のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
  21. 熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリカーボネート樹脂/ポリエス テル系樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物から構成された群から選択された熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項10乃至請求項20のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製光反射部材の作製方法。
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