JP2007008172A - 熱可塑性樹脂成形用の金型組立体 - Google Patents

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久志 田原
Toshiaki Izumida
敏明 泉田
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Abstract

【課題】入れ子の保守が容易であり、成形時に入れ子に破損が発生せず、成形品にバリを発生させず、長期間の使用に耐え得る、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型組立体を提供する。
【解決手段】金型組立体は、(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型10,20と、(ロ)金型の内部に配設され、キャビティ40の一部を構成し、厚さが0.5mm乃至10mmの入れ子30と、(ハ)金型の内部に配設され、キャビティ40の一部を構成し、入れ子30の端部を抑える抑えプレート32から成り、入れ子と抑えプレートとの間のクリアランス(C)は、0.03mm以下であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)は0.1mm以上であり、入れ子30を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・deg以下であり、入れ子は、セラミック、又は、結晶化ガラスから作製されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型組立体、及びかかる金型組立体に用いられる入れ子に関し、更に詳しくは、射出成形法、射出圧縮成形法、ブロー成形法等によって成形される成形品の表面転写性を向上させ、鏡面性を有する成形品を確実に成形し得る金型組立体、及びかかる金型組立体に用いられる入れ子に関する。
熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型(以下、単に金型と呼ぶ)は、通常、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料から作製されている。そして、金型に形成された中空部分であるキャビティ内に溶融樹脂を射出あるいは注入することで、所望の形状を有し、しかもキャビティの金型面が転写された成形品を得ている。
このような金属製の金型を用いて成形を行なう場合、成形品の表面状態をキャビティの金型面の状態に近づけることは容易でない。通常、金型は、射出された樹脂に起因した圧力等の高い応力によっても変形しない金属材料から作製されているが、これらの金属材料は、また、熱伝導性に優れている。それ故、キャビティ内に射出あるいは注入された溶融樹脂はキャビティの金型面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、キャビティの金型面と接触した溶融樹脂の部分に固化層が形成され、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が成形品に生じ易いし、キャビティの金型面の成形品表面への転写不良といった問題も生じる。
これらの問題点を解決するために、一般的には、溶融樹脂を高圧射出することでキャビティの金型面を無理矢理、成形品の表面に転写させる方法、あるいは又、金型温度を高温にして溶融樹脂の固化層の発達を遅らせてウエルドマークやフローマークの発生を防止し、且つ、キャビティの金型面の成形品表面への転写不良の発生を防止する方法がある。しかし前者の方法においては、成形装置の大型化、金型自体の大型化・肉厚化によるコストアップにつながると共に、溶融樹脂の高圧充填により成形品内部に応力が残留し、その結果、成形品の品質が低下するといった問題が発生する。後者の方法においては、金型温度を成形に用いる樹脂の荷重撓み温度よりもやや低めに設定して固化層の発達を遅らせるために、キャビティ内の樹脂の冷却時間が長くなる結果、成形サイクルが長くなり、生産性が低下するといった問題がある。
特開昭55−55839号公報 特開昭61−100425号公報 特開昭62−208919号公報 特開平5−111937号公報 特開平5−200789号公報 特公平6−35134号公報 特開平6−218769号公報
これらの問題を解決するために、例えば、特開昭55−55839号公報、特開昭61−100425号公報、特開昭62−208919号公報、特開平5−111937号公報、特開平5−200789号公報、特公平6−35134号公報、特開平6−218769号公報には、低熱伝導材を金型のキャビティ面に設け若しくは取り付けることで、キャビティ内に充填された樹脂の固化層の発達を遅延させ、ウエルドマークやフローマーク等の成形不良を防止する方法が提案されている。
低熱伝導材を金型のキャビティ面に接着剤を用いて単に接着する場合、以下のような問題が生じる。
(A)金型と低熱伝導材との間のクリアランスが小さい場合、金型の温度上昇及び温度降下によって、金型を構成する材料と低熱伝導材の線膨張係数の相違に起因して低熱伝導材が破損する。
(B)金型と低熱伝導材との間の接着剤は樹脂等の熱で溶融されるが、金型と低熱伝導材のクリアランスが大きい場合、長期間の成形を行うと金型と低熱伝導材との間に溶融樹脂が侵入し、成形品にバリが発生する。
また、低熱伝導材の外周部に発生した微細なクラックと溶融樹脂とが接触することによって、クラックの部分に圧力及び熱による歪みが加わるため、低熱伝導材の外周部から低熱伝導材が破損するといった問題が発生する。そのため、金型全体としての耐久性が乏しく、成形品の量産が困難である。
低熱伝導材を耐熱性プラスチックから作製する場合もあるが、かかる低熱伝導材の剛性は低く、更には、表面硬度が劣るために、長期間使用すると低熱伝導材が歪んだり、低熱伝導材に傷が付き易い等の問題がある。あるいは又、金属表面にセラミックから成る薄膜を化学蒸着等で形成させて成る低熱伝導材もあるが、薄膜の耐久性が悪く、金属表面から剥離するといった問題がある。それ故、一般的に、試験用金型若しくは簡易金型として用いられるだけであり、長期使用には耐えられない。
従って、本発明の目的は、入れ子の保守が容易であり、成形時、セラミックやガラスといった非常に脆い材料から成る入れ子に破損が発生せず、成形品にバリを発生させず、長期間の使用に耐え、キャビティ面を構成する入れ子の面の状態を確実に成形品の表面に転写することができる、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型組立体、及びかかる金型組立体に用いられあるいは組み込まれる入れ子を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の入れ子は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型の内部に配設され、そして、キャビティの一部を構成する入れ子であって、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・deg以下である、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2から成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型と、
(ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.5mm乃至10mm、より好ましくは1mm乃至7mm、更に好ましくは2mm乃至5mmの入れ子と、
(ハ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
から成り、
入れ子と抑えプレートとの間のクリアランス(C)は、0.03mm以下(C≦0.03mm)であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)は0.1mm以上(ΔS≧0.1mm)であり、
入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・deg以下であることを特徴とする。
入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、入れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に充填された溶融樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生する確率が高くなる。また、金型の内部に入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用いて入れ子を金型の内部に接着すればよいが、入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると入れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうねる現象が生じたり、射出された溶融樹脂の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が発生することがある。
入れ子と抑えプレートとの間のクリアランス(C)を、0.03mm以下、実用的には、0.003mm以上0.03mm以下(0.003mm≦C≦0.03mm)とする。クリアランスの下限は、抑えプレートを取り付ける際に、入れ子の外周部に微細なクラックが発生したり、金型温度上昇時に入れ子が熱膨張することによって、入れ子と抑えプレートが接触し、入れ子の外周部の微細クラックに応力がかかる結果、入れ子が破損するといった問題が生じないような値とすればよい。また、クリアランス(C)が0.03mmを越えると、溶融樹脂が入れ子と抑えプレートとの間に侵入し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、成形品にバリが発生するといった問題も生じる。
抑え代(ΔS)が0.1mm未満の場合、入れ子の外周部に発生した微細なクラックと溶融樹脂とが接触することによって、入れ子に生成したクラックが成長し、入れ子が破損する場合がある。
研削加工等によって所定形状に加工した後、入れ子の装着時に入れ子が金型内部に設けられた入れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型内部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができる。あるいは又、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。但し、接着剤の厚さむらの影響で入れ子に歪みが発生することを防止するために、仮り止めに用いる接着剤の厚さを出来る限り薄く且つ均一にすることが望ましい。
金型の入れ子装着部と入れ子のクリアランス(D)は、限りなく0に近い値であってよいが、実用的には、0.005mm以上であることが好ましい。ここで、クリアランス(D)は、入れ子のキャビティを構成する面(以下、入れ子のキャビティ面とも呼ぶ)に沿った、金型の入れ子装着部と入れ子のクリアランスを指す。入れ子を構成する材料の線膨張係数に依存するが、クリアランス(D)が余りに小さい場合、金型を構成する材料と入れ子を構成する材料の線膨張係数の差による入れ子の破損を防止することができなくなる場合があるので、入れ子のクリアランス(D)は、このような問題が生じないような値とすればよい。尚、クリアランス(D)を大きくし過ぎると、入れ子の位置ズレ及び位置安定性が不足するために、入れ子が破損する虞がある。従って、クリアランス(D)は、2mm程度以下であることが好ましい。
入れ子を構成する材料の熱伝導率は、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を防止する目的で、2×10-2cal/cm・sec・deg以下であることが必要とされる。この値を越える熱伝導率を有する材料を用いて入れ子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が入れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていない通常の炭素鋼等から作製された金型にて成形された成形品と同程度の外観しか得られない。
本発明の入れ子若しくは本発明の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体にて用いられる入れ子は、広く、ジルコニア系材料、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製することができるが、中でも、ZrO2又はZrO2−Y23から成るセラミック、若しくは、結晶化ガラスから作製することが好ましい。
また、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm以下、入れ子を構成する材料の線膨張係数を12×10-6/deg以下とすることが好ましい。ここで、線膨張係数は、50゜Cから300゜Cにおける平均値である。入れ子を構成するセラミック又はガラスは、研削加工によって加工することができるが、用途により(例えば自動車用ミラー等の鏡面部分を成形するために、溶融樹脂を入れ子のキャビティ面と接触させる場合)、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm以下とすることが望ましい。表面粗さRmaxが0.03μmを越えると、鏡面性が不足し、成形品に要求される特性を満足しない場合がある。尚、表面粗さRmaxの測定は、JIS B0601に準じた。
入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm以下とするためには、作製された入れ子のキャビティ面に対して、表面粗さRmaxが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤモンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、酸化セリウムによるラッピングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン等を用いて行うことができる。通常の炭素鋼等の磨きと比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1/2のコストで鏡面が得られるために、金型組立体の製作費を低減させることが可能である。
つや消し若しくはヘラーラインの状態の表面を有する成形品を成形する場合には、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm以下とする必要はない。
また線膨張係数が12×10-6/deg以下のセラミック若しくはガラスから作製すれば、金型と入れ子といった異材質同志の膨張収縮による入れ子の変形及び破損を効果的に防止することができる。例えば炭素鋼から成る金型(場合によっては中子)に入れ子を装着して成形品の成形を行う場合、溶融樹脂の熱及び金型温調機の水やオイル等の熱によって金型及び入れ子は共に熱膨張する。そこで、線膨張係数が上記の値を越える場合、入れ子装着部と入れ子との間のクリアランス(D)をかなり大きくしないと、線膨張係数の差によって入れ子に破損が発生する場合がある。尚、入れ子を結晶化ガラスから構成する場合は、線膨張係数を1×10-6/deg以下とすることが可能である。
あるいは又、入れ子を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜90%の結晶化ガラスから作製することが好ましい。10%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向上するため、成形品の成形時の入れ子の破損を著しく低下させることができる。結晶化度が10%未満では、非晶質ガラスと性能が殆ど同等であるために、成形時にその表面から界面剥離を起こし易いといった欠点がある。この場合、入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxが0.03μm以下であり、入れ子を構成する結晶化ガラスの線膨張係数が1×10-6/deg以下、熱衝撃強度が400゜C以上であることが好ましい。
所定の高温に加熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かを測定することによって、熱衝撃強度の測定を行う。熱衝撃強度が400゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生しないことを指す。この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前後の値しか得られない。従って、それ以上の温度で溶融された樹脂が冷えた入れ子と接触したとき、入れ子に歪みを生じ、入れ子が破損する場合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子を作製すれば、成形時に入れ子が割れることを確実に防止し得る。
入れ子がセラミックから成る場合、入れ子の表面に、イオンプレーティング等の表面処理技術によって、上述した材料から成る薄膜層を少なくとも1層設けてもよく、これによって、セラミックの空孔を充填することができ、成形品の表面特性を一層向上させることができる。
入れ子が、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラス等の非晶質ガラスから成る場合、これらの材料と親和性及び接着性に優れた熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミドMXD6樹脂等のポリアミド系樹脂や、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエステル樹脂)を用いて成形を行うと、入れ子と樹脂が強固に密着し、成形品の金型からの離型時に、入れ子がその表面から界面剥離を起こすという問題が発生する場合がある。このような場合には、入れ子を結晶化ガラスから作製すればよい。結晶化ガラスは結晶粒子間強度が大きいために、その表面から界面剥離が起こらず、長期間成形を行っても入れ子が破損するといった問題が無くなる。
ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少量のTiO2及びZrO2の核剤を添加した後、1600゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−SiO2系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例示することができる。あるいは又、CaO−Al23−SiO2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示することができる。更には、SiO2−B23−Al23−MgO−K2O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたものや、核剤を含むMgO−Al23−SiO2系ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例示することができる。
入れ子をセラミックから作製した場合、入れ子の素材が多孔質であるために、成形品の表面に凸状の突起物が転写する場合がある。しかしながら、結晶化ガラスは、結晶粒子が微細であり、しかも粒子間の接着力が優れており、多孔質でないために、成形品の表面が鏡面になり易いといった利点がある。
これら結晶化ガラスは、ガラス基材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で表すことができる。そして、X線回折等の分析機器を用いることで結晶化度を測定できる。
入れ子を構成する材料は、通常の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、かなり複雑な形状以外は任意の形状に製作できる。セラミック粉末若しくは溶融ガラスを金型に入れてプレス成形した後に熱処理することで、入れ子を作製することができる。また、ガラスから成る板状物を金型上に置いたまま炉内で自然賦形させることによって、入れ子を作製することもできる。尚、最終工程でラッピング処理を容易に行うことができる。
立体形状あるいは曲面を有する成形品を成形する場合、入れ子の裏面(入れ子のキャビティ面と反対側の面であり金型と対向する面)の曲率に合わせて金型の入れ子装着部を加工し、且つ、抑えプレートも入れ子のキャビティ面の曲率に合わせて研削加工を行えばよい。この場合にも、ΔS≧0.1mm、C≦0.03mmの関係を保ったまま、入れ子を金型の入れ子装着部に装着し、入れ子を抑えプレートで抑える。
またガラスの熱曲げによって作製された入れ子を金型に装着する場合、必然的に入れ子の端部は金型の入れ子装着部と平行ではなくなるが、入れ子と金型の入れ子装着部との間のクリアランス(D)を2mm以下の範囲で、入れ子の端部の破損発生に注意しながら入れ子を金型に装着すればよい。また、ガラスから成る入れ子の熱曲げ後にその端部を研削加工して金型の入れ子装着部と平行にすることも考えられるが、かなり鋭角に加工された部分が入れ子に生じるために、金型への装着時に入れ子が破損する可能性がある。従って、金型の入れ子装着部を入れ子の端部の角度に合わせて研削してから、入れ子を金型の入れ子装着部に装着することが望ましい。
金型は可動金型部と固定金型部から構成されている。固定金型部及び/又は可動金型部の少なくとも一方に、入れ子を装着する入れ子装着部を設ける。本発明の金型組立体においては、入れ子を装着する金型の部分を、金型に装着された中子を介して構成することもできる。尚、成形後の樹脂の収縮による成形品の反りが起こり難くするために、固定金型部、可動金型部及び入れ子の熱伝導率や厚さを考慮して、成形品取り出し時の固定金型部と可動金型部の温度差をできるだけ近づけることが望ましい。
本発明の金型組立体を用いて成形するための樹脂として、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の汎用プラスチック、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等のエンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアリングプラスチックといった熱可塑性樹脂を挙げることができる。
特にエンジニアリングプラスチックス、スーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や強度に優れる反面、成形性が悪いプラスチックを使用する場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行なうが、フローマーク等の外観不良が多発している。然るに、本発明の金型組立体を使用することで断熱効果が得られるために、金型温度を80゜C以下としても外観特性が良好な成形品を得ることができる。また充填材が添加された樹脂であってもよく、この場合、充填材が成形品の表面に析出する現象が生ぜず、鏡面性等の外観特性に優れた成形品を得ることができる。これは射出された溶融樹脂の冷却・固化を入れ子によって遅延することが可能となる結果、溶融樹脂の流動性及び転写性を向上できるからである。
しかも、溶融樹脂の流動性が向上するが故に、溶融樹脂の射出圧力を低く設定でき、成形品に残留する応力を緩和できる。その結果、成形品の品質が向上する。また、射出圧力を低減できるために、金型の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
本発明の金型組立体を用いた成形方法としては、熱可塑性樹脂を成形するために一般的に用いられる射出成形法、射出圧縮成形法、多色成形法、ガスアシスト成形法、ブロー成形法を例示することができる。
本発明の入れ子は、低熱膨張率を有する材料から作製されており、しかも、金型とは独立して作製され、金型の内部に配設されるので、入れ子による断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、線膨張係数が低く、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難い入れ子を作製することができる。
本発明の金型組立体においては、入れ子による断熱効果が大きく、キャビティ内に充填された溶融樹脂の急冷を抑制することができ、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止することができる。しかも、入れ子を、所定のクリアランス(C)及び抑え代(ΔS)の範囲内で抑えプレートによって抑えることで、成形品端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部にバリが発生しなくなり、更には、入れ子外周部に発生した微細なクラックと溶融樹脂が接触しなくなるために入れ子が破損しない。
本発明の入れ子は、断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。また、本発明の金型組立体においては、キャビティ内に充填された溶融樹脂の急冷を抑制することができ、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止することができる。しかも、本発明の金型組立体においては、入れ子を、所定のクリアランス(C)及び抑え代(ΔS)の範囲内で抑えプレートによって抑えることにより、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることがなく、容易且つ安価に鏡面性を有する金型組立体を製作できる。また、成形品端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部のバリ発生を防止でき、成形品の不良率低減及び成形品の均質化、高品質化を達成することができ、成形品の製造コストの削減を図ることができる。
尚、結晶化ガラスから入れ子を作製することで、鏡面性、転写性に優れた成形品を容易に得られる。しかも、入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、線膨張係数が低く、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難い入れ子を作製することができる。
更には、溶融樹脂の流動性が向上するが故に、溶融樹脂の射出圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩和でき、成形品の品質が向上する。また射出圧力を低減できるために、金型の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
本発明の金型組立体の一具体例を、図1の(A)に模式的な一部端面図で示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図1の(B)及び(C)に示す。
実施例1の金型組立体におけるキャビティ40の大きさは1000.00mm×100.00mm×2.00mmであり、形状は直方体である。実施例1においては、入れ子30を石英ガラスから研削加工にて作製した。入れ子30の大きさは、101.00mm×101.00mm×3.00mmである。入れ子30のキャビティ面31に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子のキャビティ面31の表面粗さRmaxを0.02μmとした。使用した石英ガラスの熱伝導率は0.32×10-2cal/cm・sec・degであり、線膨張係数は0.58×10-6/degである。
固定金型部10を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子装着部11の内寸法が、101.20mm×101.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工を行い、固定金型部10に入れ子装着部11を設けた。次いで、入れ子30を、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部11内に仮り止めした(図1の(B)参照)。仮り止め後、隙間ゲージを用いて入れ子30と入れ子装着部11のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。
炭素鋼S55Cから抑えプレート32を作製した。抑えプレート32の内寸法を100.00mm×100.00mmとした。抑えプレート32を切削加工した後、固定金型部10にビス(図示せず)を用いて固定した(図1の(C)参照)。入れ子30と抑えプレート32との間のクリアランス(C)は、平均で0.0192mmであった。また、入れ子30に対する抑えプレート32の抑え代(ΔS)は、1.00mmであった。尚、図1の(C)にはゲート部の図示を省略した。
一方、可動金型部20を炭素鋼S55Cから作製した。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、石英ガラスから作製された入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
成形装置として日精樹脂工業株式会社製、PS−80射出成形機を用い、金型組立体を60゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス繊維添加ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、GS2020MKR、ガラス繊維20重量%添加)を用いて、射出成形を行なった。成形条件は、金型温度60゜C、樹脂温度310゜C、射出圧力500kgf/cm2−Gとした。所定量の溶融樹脂をゲート部13を介してキャビティ40内に射出した後、20秒後に成形品を金型組立体から取り出した。
成形品の表面は、金型温度が低いにも拘らず、成形品端部に至るまで鏡面性を有しており、表面写像性測定機(スガ試験機製:ICM−2DP)にて成形品の表面特性の測定を行った結果、完全鏡面100%に対し、90%と非常に高い鏡面性を有していた。尚、入れ子を用いない場合の金型温度は、120〜140゜Cに設定する必要があった。
尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
(比較例1)
比較例1にて用いた金型組立体の模式的な一部端面図を図3の(A)に示す。2000番のペーパーで磨いた鏡面仕上げをしたキャビティ面を有する炭素鋼S55Cから作製した固定金型部10、及び実施例1と同様の構造を有する可動金型部20から構成された金型組立体を用いて、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。然るに、キャビティ40内での溶融樹脂の流動性が悪く、キャビティ40内を完全に溶融樹脂で充填することができなかった。そこで、射出圧力を200kgf/cm2−G増加させ、700kgf/cm2−Gとして成形を行なった。得られた成形品には、フローマーク及び湯じわ等の成形不良が生じていた。表面写像性測定機にて成形品の表面特性を測定した結果、完全鏡面100%に対し、5%であり、実施例1と比較すると鏡面性が著しく劣化していた。
(比較例2)
比較例2においては、実施例1と同様の入れ子30を使用した。また、可動金型部20の構造も、実施例1と同様とした。固定金型部10を炭素鋼S55Cから作製した。実施例1と異なり、入れ子装着部11の内寸法が、101.20mm×101.20mm、深さが5.02mmとになるように切削加工を行い、固定金型部10に入れ子装着部11を設けた。次いで、厚さ3.00mmの入れ子30を、2液硬化型エポキシ系接着剤を用いて、入れ子装着部11内に仮り止めした。図3の(B)に模式的な一部端面図で示すように、比較例2では、実施例1とは異なり、入れ子30を抑えプレートで抑えていない。
そして、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、成形品端部の外観は醜く、また、成形5サイクル目にして、石英ガラスから成る入れ子30の外周部に破損が生じた。
(比較例3)
実施例1の金型組立体において、抑えプレート32と入れ子30との間のクリアランス(C)を、0.003mm、0.02mm、0.04mmに変えて、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、クリアランス(C)が0.04mmの場合、溶融樹脂が、入れ子30と抑えプレート32との間に侵入し、離型時に成形品を金型組立体から取り出すことができなかった。クリアランス(C)が0.003mm及び0.02mmの場合、これらの問題は全く発生しなかった。
(比較例4)
実施例1の金型組立体において、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)を、0.05mmとした。実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、入れ子の外周部からクラックが成長し、成形10サイクル後には、入れ子の全面に割れが発生した。
実施例2においては、入れ子30をスポジュメン系結晶からなる結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製、商品名ネオセラム N−11、結晶化度:90%、密度:2.50g/cm3)を使用した。入れ子30のキャビティ面31に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いて研磨及び仕上げを行ない、表面粗さRmaxを0.02μmとした。金型組立体の構造や、各要素の大きさ、寸法は、実施例1と同様とした。また、クリアランス(C)、クリアランス(D)及び抑え代(ΔS)の測定結果は、実施例1と同じであった。尚、使用した結晶化ガラスの熱伝導率は0.4×10-2cal/cm・sec・degであり、線膨張係数は0.8×10-6/degであり、熱衝撃温度は800゜Cである。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作製された入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例1と成形装置を用い、金型組立体を60゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス繊維添加ポリアミドMXD6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、レニー1002F、ガラス繊維30重量%添加)を用いて、射出成形を行なった。成形条件は、金型温度60゜C、樹脂温度280゜C、射出圧力400kgf/cm2−Gとした。所定量の溶融樹脂をキャビティ40内に射出した後、20秒後に成形品を金型組立体から取り出した。
成形品の表面は、金型温度が低いにも拘らず、成形品端部に至るまで鏡面性を有しており、表面写像性測定機にて成形品の表面特性の測定を行った結果、完全鏡面100%に対し、95%と非常に高い鏡面性を有していた。尚、入れ子を用いない場合の金型温度は、約100゜Cに設定する必要があった。
尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
(比較例5)
実施例2と同様の結晶化ガラスから成る入れ子を使用し、比較例2と同様の構造を有する固定金型部に入れ子を装着した。尚、入れ子と入れ子装着部のクリアランス(D)を0mm及び0.5mmとした。また、抑えプレートは装着しなかった。そして、実施例2と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例2と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、クリアランス(D)が0mmの場合、成形時に入れ子の外周部からクラックが発生し、また、クリアランス(D)が0.5mmの場合、成形品端部の外観が醜く、成形20サイクル目には成形品の外周部にバリが発生していた。
(比較例6)
実施例2の金型組立体において、抑えプレートと入れ子の間のクリアランス(C)を0.003mm、0.02mm、0.04mmに変えて、実施例2と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例2と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、クリアランス(C)が0.04mmの場合、溶融樹脂が、入れ子と抑えプレートの間に侵入し、離型時に成形品を金型組立体から取り出すことができなかった。クリアランス(C)が0.003mm及び0.02mmの場合、これらの問題は全く発生しなかった。
(比較例7)
入れ子を石英ガラスに代え、抑えプレートと入れ子の間のクリアランス(C)を0.02mm、0.04mmとした以外は、比較例6と同様にして成形を行った。その結果、クリアランス(C)が0.04mmの場合、溶融樹脂が、入れ子と抑えプレートの間に侵入し、離型時に成形品を金型組立体から取り出すことができなかった。クリアランス(C)が0.02mmの場合、成形20サイクルまで問題なく成形できたものの、石英ガラスの層間強度が、石英ガラスとポリアミドMXD6樹脂との密着力よりも低いために、石英ガラスから成る入れ子に界面剥離が生じ、入れ子は破損した。
(比較例8)
実施例2の金型組立体において、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(ΔS)を、0.05mmにし、実施例2と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例2と同様の成形条件にて成形を行った。その結果、結晶化ガラスから成る入れ子の外周部からクラックが成長し、成形10サイクル後には、入れ子の全面に割れが発生した。
実施例3の金型組立体の模式的な一部端面図を、図2の(A)に示す。キャビティ40の大きさを、200.00mm×50.00mm、キャビティ厚さを2.00mm、入れ子30のキャビティ面31の曲率半径を500mmとした。入れ子30は、厚さ3.00mm、大きさが201.00mm×51.00mm、曲率半径500mmに加工された結晶化ガラスから成る。尚、入れ子30のキャビティ面31に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いて表面研磨を行ない、表面粗さRmaxを0.02μmとした。尚、実施例3にて用いた結晶化ガラスの特性及び物性は、実施例2にて用いた結晶化ガラスと同じである。
固定金型部10を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子装着部11の内寸法が、201.20mm×51.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工を行い、固定金型部10に入れ子装着部11を設けた。尚、入れ子装着部11の底部の曲率半径は、入れ子装着部と対向する入れ子30のキャビティ面の曲率半径に合わせた。次いで、入れ子30を2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)で、入れ子装着部11内に仮り止めした。仮り止め後、隙間ゲージを用いて入れ子30と入れ子装着部11のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.07mmであった。
炭素鋼S55Cから抑えプレート32を作製した。抑えプレート32の入れ子30に対向する面の曲率半径を500mmとした。抑えプレート32を切削加工した後、固定金型部10にビス(図示せず)を用いて固定した。入れ子30と抑えプレート32との間のクリアランス(C)は、平均で0.019mmであった。また、入れ子30に対する抑えプレート32の抑え代(ΔS)は、1.00mmであった。
可動金型部20を炭素鋼S55Cから作製した。尚、キャビティを構成する面の曲率半径を500mmとした。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作製された入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例1と同じ成形装置を用い、金型組立体を60゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス繊維添加ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ユーピロンGS2020MR2、ガラス繊維20重量%添加)を用いて、射出成形を行なった。成形条件は、金型温度60゜C、樹脂温度300゜C、射出圧力500kgf/cm2−Gとした。所定量の溶融樹脂をキャビティ40内に射出した後、20秒後に成形品を金型組立体から取り出した。
成形品の表面は、金型温度が低いにも拘らず、成形品端部に至るまで鏡面性を有しており、表面写像性測定機にて成形品の表面特性の測定を行った結果、完全鏡面100%に対し、90%と非常に高い鏡面性を有していた。
尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子30に割れ等の損傷は発生しなかった。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した条件や使用した材料は例示であり、また、金型組立体の構造も例示であり、適宜変更することができる。入れ子や抑えプレートの形状や大きさも例示であり、成形すべき射出成形品の形状等に依存して、適宜設計変更することができる。入れ子や抑えプレートは、必要に応じて、可動金型部に設けてもよいし、固定金型部と可動金型部の両方に設けてもよい。あるいは又、図2の(B)に模式的な一部端面図を示すように、入れ子30を装着する固定金型部10の部分を、金型に装着された中子12から構成することもできる。この場合、中子12に入れ子装着部を設ける。
本発明の金型組立体の好ましい態様の模式的な一部端面図、及び金型組立体の組み立て中の模式的な一部端面図である。 本発明の金型組立体の好ましい別の態様の模式的な一部端面図である。 比較例における金型組立体の模式的な一部端面図である。
符号の説明
10 固定金型部
11 入れ子装着部
12 中子
20 可動金型部
21 中子装着部21
30 入れ子
31 入れ子のキャビティ面
32 抑えプレート
40 キャビティ

Claims (2)

  1. (イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型と、
    (ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.5mm乃至10mmの入れ子と、
    (ハ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
    から成る金型組立体であって、
    入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスは、0.03mm以下であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代は0.1mm以上であり、
    入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・deg以下であり、
    入れ子は、セラミック、又は、結晶化ガラスから作製されていることを特徴とする熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  2. (イ)ポリカーボネート樹脂に基づき成形品を成形するための金型と、
    (ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.5mm乃至10mmの入れ子と、
    (ハ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、該入れ子の端部を抑える抑えプレート、
    から成る金型組立体であって、
    入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスは、0.03mm以下であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代は0.1mm以上であり、
    入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・deg以下であり、
    入れ子は、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、及び、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることを特徴とする熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
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