JP4198149B2 - 熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型組立体、及びかかる金型組立体を使用した成形品の製造方法に関し、更に詳しくは、射出成形法、射出圧縮成形法、ブロー成形法等によって成形される成形品の表面転写性を向上させ、外観不良のない成形品を成形し得る金型組立体、及びかかる金型組立体を使用した成形品の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型(以下、単に金型と呼ぶ)は、通常、金型に設けられた中空部分であるキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂(以下、単に溶融樹脂と呼ぶ場合がある)を射出、注入あるいは充填する際の高い圧力によっても変形しない金属材料、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金から作製されている。そして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出、注入あるいは充填することで、所望の形状を有し、しかも金型のキャビティを構成する面(以下、便宜上、金型のキャビティ面と呼ぶ)が転写された成形品を得ている。尚、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出、注入あるいは充填することを、以下、総称して、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を導入するという。
このような金属製の金型を用いて成形を行なう場合、成形品の表面状態を金型のキャビティ面の状態に近づけることは容易でない。通常、金型は、導入された溶融樹脂に起因した圧力等の高い応力によっても変形しない金属材料から作製されているが、これらの金属材料は、また、熱伝導性に優れている。それ故、キャビティ内に導入された溶融樹脂は金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金型のキャビティ面と接触した溶融樹脂の部分に固化層が形成され、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が成形品に生じ易いし、金型のキャビティ面の成形品表面への転写不良といった問題も生じる。
これらの問題点を解決するために、一般的には、溶融樹脂を高圧導入することで金型のキャビティ面を無理矢理、成形品の表面に転写させる方法、あるいは又、金型温度を高温にして溶融樹脂の固化層の発達を遅らせてウエルドマークやフローマークの発生を防止し、且つ、金型のキャビティ面の成形品表面への転写不良の発生を防止する方法がある。しかし前者の方法においては、成形装置の大型化、金型自体の大型化・肉厚化によるコストアップにつながると共に、溶融樹脂の高圧導入により成形品内部に応力が残留し、その結果、成形品の品質が低下するといった問題が発生する。後者の方法においては、金型温度を成形に用いる樹脂の荷重撓み温度よりもやや低めに設定して固化層の発達を遅らせるために、キャビティ内の樹脂の冷却時間が長くなる結果、成形サイクルが長くなり、生産性が低下するといった問題がある。
これらの問題を解決するために、例えば、特開昭55−55839号公報、特開昭61−100425号公報、特開昭62−208919号公報、特開平5−111937号公報、特開平5−200789号公報、特公平6−35134号公報、特開平6−218769号公報には、低熱伝導材を金型のキャビティ面に設け若しくは取り付けることで、キャビティ内に導入された樹脂の固化層の発達を遅延させ、ウエルドマークやフローマーク等の成形不良を防止する方法が提案されている。
低熱伝導材を金型の一部分に接着剤を用いて単に接着する場合、以下のような問題が生じるため、金型全体としての耐久性が乏しく、成形品の量産が困難である。
(1)金型の低熱伝導材装着部と低熱伝導材との間に隙間がない場合、金型の温度上昇及び温度降下によって、金型を構成する材料と低熱伝導材の線膨張係数の相違に起因して低熱伝導材が破損したり、射出圧力によって応力を受けた低熱伝導材が破損する。
(2)一方、金型の低熱伝導材装着部と低熱伝導材との間に大きな隙間がある場合、かかる隙間に溶融樹脂が侵入して成形品にバリが発生したり、金型から成形品を取り出す際、低熱伝導材の外周部が抵抗を受ける結果、低熱伝導材が破損するといった問題がある。
低熱伝導材を耐熱性プラスチックから作製する場合もあるが、かかる低熱伝導材の剛性は低く、更には、表面硬度が劣るために、長期間使用すると低熱伝導材が歪んだり、低熱伝導材に傷が付き易い等の問題がある。あるいは又、金属表面にセラミックから成る薄膜を化学蒸着等で形成させて成る低熱伝導材もあるが、薄膜の耐久性が悪く、金属表面から剥離するといった問題がある。それ故、一般的には、試験用金型若しくは簡易金型として用いられるだけであり、長期使用には耐えられない。
本出願人は、特願平7−152519号(特開平8−318534号公報)にて、金型と、入れ子と、抑えプレートから構成された金型組立体を提案した。この金型組立体は、上述の問題点を解決するための極めて優れた金型組立体である。しかしながら、成形品の形状によっては、抑えプレートを金型内部に配設することができず、入れ子の配設位置に制約を受ける場合がある。即ち、優れた表面特性を付与すべき成形品の部分に対応した金型の部分に入れ子を取り付けることができない場合がある。例えば、成形品にアンダーカット部を設けた場合、かかるアンダーカット部を有する成形品を金型組立体から取り出すためにスライドコアを金型組立体に設ける必要がある。然るに、このような構造を有する金型組立体においては、抑えプレートを金型組立体に配設することが困難である。
従って、本発明の目的は、成形時、セラミックやガラスといった非常に脆い材料から成る入れ子に破損が発生せず、長期間の使用に耐え、キャビティ面を構成する入れ子の面の状態を確実に成形品の表面に転写することができ、しかも、金型部における入れ子の配設位置の自由度が高い、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型組立体、及びかかる金型組立体を使用した成形品の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
(ハ)第2の金型部に設けられた溶融熱可塑性樹脂導入部、
を備えており、
第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C11)は0.03mm以下(C11≦0.03mm)であり、
(B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS11)は0.5mm以上(ΔS11≧0.5mm)であり、
入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることを特徴とする。尚、このような構造の金型組立体における入れ子被覆部の構造は、入れ子と対向する第2の金型部の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
(ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
を備えており、
第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C21)は0.03mm以下(C21≦0.03mm)であり、
(B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS21)は0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)であり、
(C)入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C22)は0.03mm以下(C22≦0.03mm)であり、
(D)入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS22)は0.5mm以上(ΔS22≧0.5mm)であり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることを特徴とする。尚、このような構造の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部としては、例えば、ダイレクトゲート構造を挙げることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第1の入れ子、
(ハ)第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第2の入れ子、及び、
(ニ)第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
を備えており、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間のクリアランス(C30)は0.03mm以下(C30≦0.03mm)であり、
(B)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との重なり量(ΔS30)は0.5mm以上(ΔS30≧0.5mm)であり、
(C)第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C31)、及び第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C32)は0.03mm以下(C31≦0.03mm且つC32≦0.03mm)であり、
(D)第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS31)、及び第2の入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS32)は0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm且つΔS32≧0.5mm)であり、被覆プレートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
第1及び第2の入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることを特徴とする。尚、このような構造の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部としては、例えば、サイドゲート構造を挙げることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る成形品の製造方法は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
(ハ)第2の金型部に設けられた溶融熱可塑性樹脂導入部、
を備え、
第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C11)は0.03mm以下(C11≦0.03mm)であり、
(B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS11)は0.5mm以上(ΔS11≧0.5mm)であり、
入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下である熱可塑性樹脂成形用の金型組立体を用い、
溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部からキャビティ内に導入した後、該熱可塑性樹脂を冷却、固化することによって成形品を成形することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る成形品の製造方法は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
(ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
を備え、
第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C21)は0.03mm以下(C21≦0.03mm)であり、
(B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS21)は0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)であり、
(C)入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C22)は0.03mm以下(C22≦0.03mm)であり、
(D)入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS22)は0.5mm以上(ΔS22≧0.5mm)であり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下である熱可塑性樹脂成形用の金型組立体を用い、
溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部からキャビティ内に導入した後、該熱可塑性樹脂を冷却、固化することによって成形品を成形することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る成形品の製造方法は、
(イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
(ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第1の入れ子、
(ハ)第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第2の入れ子、及び、
(ニ)第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
を備え、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
(A)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間のクリアランス(C30)は0.03mm以下(C30≦0.03mm)であり、
(B)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との重なり量(ΔS30)は0.5mm以上(ΔS30≧0.5mm)であり、
(C)第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C31)、及び第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C32)は0.03mm以下(C31≦0.03mm且つC32≦0.03mm)であり、
(D)第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS31)、及び第2の入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS32)は0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm且つΔS32≧0.5mm)であり、被覆プレートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
第1及び第2の入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下である熱可塑性樹脂成形用の金型組立体を用い、
溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部からキャビティ内に導入した後、該熱可塑性樹脂を冷却、固化することによって成形品を成形することを特徴とする。
通常、成形品を金型組立体から取り足すために突き出しピンを金型組立体に配設する。ところが、成形品の形状に依っては突き出しピンの先端の跡が成形品の表面に残るために、突き出しピンを金型組立体に配設することが困難となる場合がある。このような場合、本発明の第2又は第3の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体、若しくは第2又は第3の態様に係る成形品の製造方法においては、成形品を金型組立体から取り出すために、被覆プレートにはキャビティに連通したタブ形成部が設けられている構造とすることもできる。これによって、成形品にはタブ部が形成される。かかるタブ部に突き出しピンを当てて、成形品を金型組立体から取り出せばよい。尚、成形品に形成されたタブ部は、後の工程で削除すればよい。
ここで、キャビティの一部を構成するとは、成形品の外形を規定するキャビティ面を構成することを意味する。より具体的には、キャビティは、例えば、第1の金型部及び第2の金型部に形成されたキャビティを構成する面と、入れ子に形成されたキャビティを構成する面と、場合によっては、被覆プレートに形成されたキャビティを構成する面とから構成されている。尚、これらのキャビティを構成する面を、以下、金型部のキャビティ面、入れ子のキャビティ面、及び被覆プレートのキャビティ面と呼ぶ。
入れ子、第1の入れ子あるいは第2の入れ子(以下、総称して、単に入れ子と呼ぶ場合がある)の厚さが0.1mm未満の場合、入れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入された溶融樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生し易くなる。また、金型部に入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用いて入れ子を金型部に接着すればよいが、入れ子の厚さが0.1mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると入れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうねる現象が生じたり、キャビティ内に導入された溶融樹脂の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が発生することがある。尚、入れ子の厚さは、0.1mm乃至10mm、好ましくは、0.5mm乃至10mm、より好ましくは1mm乃至7mm、一層好ましくは2mm乃至5mmである。
型締め状態において、クリアランス(C11,C21,C22,C30,C31,C32)を、0.03mm以下、実用的には、0.001mm以上0.03mm以下(0.001mm≦C11,C21,C22,C30,C31,C32≦0.03mm)、好ましくは0.003mm以上0.03mm以下(0.003mm≦C11,C21,C22,C30,C31,C32≦0.03mm)とする。クリアランスの下限は、入れ子の外周部に微細なクラックが発生したり、金型温度上昇時に入れ子が熱膨張することによって、入れ子が金型部の入れ子被覆部、被覆プレートや他の入れ子と接触し、入れ子の外周部の微細クラックに応力がかかる結果、入れ子が破損するといった問題が生じないような値とすればよい。クリアランス(C11,C21,C22,C30,C31,C32)が0.03mmを越えると、溶融樹脂が、入れ子と金型部入れ子被覆部や被覆プレートとの間、あるいは第1の入れ子と第2の入れ子との間に侵入し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、成形品にバリが発生したり、金型部から成形品を取り出す際に入れ子が損傷するといった問題も生じる。
重なり量(ΔS11,ΔS21,ΔS22,ΔS30,ΔS31,ΔS32)の値が0.5mm未満の場合、入れ子の外周部に発生した微細なクラックと溶融樹脂とが接触する結果、入れ子に生成したクラックが成長し、入れ子が破損する場合がある。
本発明においては、入れ子を構成する材料に対して、通常の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、かなり複雑な形状以外は任意の形状の入れ子を製作できる。セラミック粉末若しくは溶融ガラスを成形用金型に入れてプレス成形した後に熱処理することで、入れ子を作製することができる。また、ガラスから成る板状物を治具上に置いたまま炉内で自然に賦形させることによって、入れ子を作製することもできる。
また、入れ子に凹凸形状を設ける場合には、凹凸部のエッジに発生した微細なクラックが溶融樹脂と接触して破損することを防止するために、ダイヤモンド砥石で凹凸部の縁部を研磨して応力が集中しないようにすべきである。あるいは又、場合によっては、半径0.3mm以下の曲率面やC面カットを設け、応力集中を避けることが好ましい。
研削加工等によって所定形状に加工した後、入れ子の装着時に入れ子が金型部に設けられた入れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができる。あるいは又、エポキシ系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。尚、入れ子装着部が設けられた入れ子装着用中子を金型部に取り付け、かかる入れ子装着用中子の入れ子装着部に入れ子を装着してもよい。
金型部の入れ子装着部と入れ子のクリアランス(D)は、限りなく0に近い値であってよいが、実用的には、0.005mm以上であることが好ましい。ここで、クリアランス(D)は、入れ子のキャビティ面に沿った、金型部の入れ子装着部と入れ子との間のクリアランスを指す。入れ子を構成する材料の線膨張係数に依存するが、クリアランス(D)が余りに小さい場合、金型部を構成する材料と入れ子を構成する材料の線膨張係数の差による入れ子の破損を防止することができなくなる場合があるので、入れ子のクリアランス(D)は、このような問題が生じないような値とすればよい。尚、クリアランス(D)を大きくし過ぎると、入れ子の位置ズレ及び位置安定性が不足するために、入れ子が破損する虞がある。従って、クリアランス(D)は、2mm程度以下であることが好ましい。
入れ子を構成する材料の熱伝導率は、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を防止する目的で、2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることが必要とされる。この値を越える熱伝導率を有する材料を用いて入れ子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が入れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていない通常の炭素鋼等から作製された金型にて成形された成形品と同程度の外観しか得られない。
本発明にて用いられる入れ子は、広く、ジルコニア系材料、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製することができる。より具体的には、入れ子、第1の入れ子、又は第2の入れ子を構成する材料は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミックであることが好ましく、中でも、ZrO2、ZrO2−Y23又はZrO2−CeO2であることが一層好ましい。あるいは又、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることが好ましく、中でも、結晶化ガラスから作製されていることが一層好ましい。
入れ子を結晶化ガラスから作製する場合、入れ子を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜100%の結晶化ガラスから作製することが好ましい。10%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向上するため、成形品の成形時における入れ子の破損発生を著しく低下させることができる。結晶化度が10%未満では、成形時にその表面から界面剥離を起こし易いといった欠点がある。尚、入れ子を構成する結晶化ガラスの線膨張係数が1×10-6/K以下、熱衝撃強度が400゜C以上であることが好ましい。
熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が400゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前後の値しか得られない。従って、それ以上の温度(例えば、約300゜C)で溶融された樹脂が入れ子と接触したとき、入れ子に歪みが生じ、入れ子が破損する場合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子を作製すれば、成形時に入れ子が割れることを確実に防止し得る。
ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少量のTiO2及びZrO2の核剤を添加し、1600゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−SiO2系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例示することができる。あるいは又、CaO−Al23−SiO2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示することができる。更には、SiO2−B23−Al23−MgO−K2O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたものや、核剤を含むMgO−Al23−SiO2系ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例示することができる。
これら結晶化ガラスにおいては、ガラス基材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化度を測定することができる。
入れ子をセラミックから作製した場合、入れ子の素材が多孔質であるために、成形品の表面に凸状の突起物が転写される場合がある。しかしながら、結晶化ガラスは、結晶粒子が微細であり、しかも粒子間の接着力が優れており、多孔質でないために、成形品の表面が鏡面になり易いといった利点がある。
入れ子の表面に、イオンプレーティング等の表面処理技術によって、上述した材料または金属化合物から成る薄膜層を少なくとも1層設けてもよく、これによって、セラミックの空孔を充填することができ、成形品の表面特性を一層向上させることができる。 但し、膜厚としては、20μm以下が好ましく、この厚さを越えると断熱効果の低下及び薄膜層の入れ子表面への密着性の低下、薄膜層の表面のうねり発生が生じる虞がある。
成形品に鏡面性が要求される場合、入れ子のキャビティ面の表面粗さRyを0.03μm以下とすることが望ましい。表面粗さRyが0.03μmを越えると、鏡面性が不足し、成形品に要求される特性、例えば表面平滑性(写像性)を満足しない場合がある。そのためには、作製された入れ子のキャビティ面に対して、表面粗さRyが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤモンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、酸化セリウムによるラッピングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン等を用いて行うことができる。尚、ラッピングは入れ子加工の最終工程で行うことが望ましい。通常の炭素鋼等の磨きと比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1/2のコストで鏡面が得られるために、金型組立体の製作費を低減させることが可能である。尚、表面粗さRyの測定は、JIS B0601に準じた。つや消し若しくはヘラーラインの状態の表面を有する成形品を成形する場合には、入れ子のキャビティ面をサンドブラスト処理やエッチングを行うことによって、入れ子のキャビティ面に細かい凹凸やラインを形成すればよい。
本発明の成形品の製造方法において、成形品を成形する方法としては、熱可塑性樹脂を成形するために一般的に用いられる射出成形法やブロー成形法、多色成形法を挙げることができるが、最も好ましい方法は射出成形法である。
場合によっては、本発明における金型組立体を、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造とすることができる。この場合、例えば油圧シリンダーで可動させることができる中子を金型組立体に配設すればよい。
かかる構造の金型組立体を使用し、本発明の成形品の製造方法において、
型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティの容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、且つ、キャビティ内における中子の配置位置を制御し、
該キャビティ(容積:VC)内に溶融した熱可塑性樹脂を導入し、
熱可塑性樹脂の導入開始前、開始と同時に、導入中に、あるいは導入完了後(導入完了と同時を含む)、中子を移動させて、キャビティの容積を成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させてもよい。尚、キャビティの容積が成形すべき成形品の容積(VM)となる時点を、熱可塑性樹脂の導入中、あるいは導入完了後(導入完了と同時を含む)とすることができる。
上記の型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)とキャビティの容積(VC)の関係は、成形すべき成形品の厚さをt0とし、型締め時における成形品の厚さ方向のキャビティの距離をt1とし、Δt=t1−t0としたとき、0.1mm≦Δt≦6mmとなるような関係であることが好ましい。Δt<0.1mmでは、流動性の悪い溶融熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形することが困難となる場合があり、成形品に残留する応力を小さくすることができない。Δt>6mmでは、成形品中に空気が巻き込まれ、成形品の品質が劣化する虞がある。
あるいは又、本発明の成形品の製造方法においては、金型組立体に加圧流体注入装置を更に備え、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂内に、加圧流体注入装置から加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成することもできる。加圧流体注入装置の取り付け位置は、成形すべき成形品の形状等に依存して、射出成形装置の溶融樹脂射出ノズル内、金型部に配設された溶融熱可塑性樹脂導入部内(例えば、ゲート部内)、あるいは、金型部に配設されそしてキャビティに開口する加圧流体注入装置取付部から適宜選択すればよい。キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂内への加圧流体の注入開始の時点は、溶融熱可塑性樹脂の導入中、導入完了と同時、あるいは導入完了後とすることができる。キャビティ内の樹脂内への加圧流体の注入は、キャビティ内の樹脂が冷却、固化した後も続けることが好ましい。キャビティ内へ導入する溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に充填するために必要な量であってもよいし、成形品に依っては、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に充填するには不十分な量であってもよい。
本発明において使用に適した加圧流体としては、常温・常圧下でガス状あるいは液状の流体であって、溶融熱可塑性樹脂内への注入時、溶融熱可塑性樹脂と反応したり混合しないものが望ましい。具体的には、窒素ガス、炭酸ガス、空気、ヘリウムガス等、常温でガス状の物質、水等の液体、高圧下で液化したガスを使用することができるが、中でも、窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが好ましい。尚、注入する加圧流体は、成形品の中空部に断熱圧縮による焼けが生じないような不活性な加圧流体であることが、一層好ましく、窒素ガスを用いる場合、純度90%以上のものを使用することが望ましい。更には、加圧流体として、発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等を使用することもできる。尚、この場合には、中空部に発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等が充填されるが、このような構造も、本発明においては中空部という概念に含める。
本発明での使用に適した熱可塑性樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性PPE樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
結晶性熱可塑性樹脂は、結晶化により密度及び融点が高くなり、成形品の硬度や弾性率が向上する。また、結晶性熱可塑性樹脂は、水分や染料、可塑剤等が結晶組織へ入り込み難いといった特徴を有しているため、耐薬品性に優れている。通常、結晶性熱可塑性樹脂を用いた成形品の成形においては、金型温度を結晶性熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりかなり低く設定しておき、キャビティ内に導入された溶融した結晶性熱可塑性樹脂の冷却、固化を促進させる方法が採られている。従来の技術においては、金型は金属材料から作製されているので、熱伝導性が良く、しかも、金型温度を結晶性熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりかなり低く設定した場合、キャビティ内に導入された溶融した結晶性熱可塑性樹脂は、金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、成形品の表面には、非晶質層あるいは結晶化度の低い微細な結晶層が形成される。尚、これらの層は、一般にはスキン層と呼ばれる。このようなスキン層が形成された成形品においては、成形品の表面に係わる物性が著しく低下するという問題が生じる。例えば結晶性熱可塑性樹脂としてポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂から成形された成形品の耐摩擦摩耗性や耐候性が著しく低下する。また、金型のキャビティ面の成形品表面への転写性も劣化する。
本発明においては、キャビティ内に導入された溶融した結晶性熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、結晶性熱可塑性樹脂を用いた場合にも、樹脂の結晶化度の低下を招くことがなく、成形品の樹脂表面の結晶化度が高く、樹脂の劣化による割れ等、樹脂表面に係わる物性の低下が防止できる。
更には、本発明においては、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマー;エラストマーを挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/液晶ポリマーを例示することができる。また、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成るポリマーアロイ材料として、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂を例示することができる。
ポリマーアロイ材料に基づき成形された成形品においては、一般に、成形品の外観(特に、光沢性)が悪くなり、特に、成形品の厚さが変わる部分やウェルド部分において外観不良が生じ易いという問題がある。この原因は、通常、金型は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、キャビティ内に導入された溶融したポリマーアロイ材料は、金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、溶融したポリマーアロイ材料に固化層が形成され、転写性不良や光沢不良が生じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶融したポリマーアロイ材料が急冷されることがないために、成形品の光沢性が極めて向上し、鏡面性に優れた成形品を容易に得ることができる。
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加することができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機繊維や無機充填材、あるいは有機充填材を添加することもできる。
本発明の成形品の製造方法においては、無機繊維を5重量%乃至80重量%含有する熱可塑性樹脂を用いることもできる。尚、成形品の強度を重視する場合には、無機繊維の平均長さを、5μm乃至5mm、好ましくは10μm乃至400μmとし、成形品の写像性(鏡面性)を重視する場合には、5μm乃至400μm、より好ましくは5μm乃至200μm、一層好ましくは5μm乃至100μmとすることが望ましい。また、これらの場合、無機繊維の平均直径を、0.01μm乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至13μm、一層好ましくは0.1μm乃至10μmとすることが望ましい。
従来の技術において、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形した場合、成形品の表面に無機繊維が析出する結果、成形品の外観が悪くなり、あるいは又、写像性(鏡面性)が劣化するという問題が生じ易い。それ故、優れた外観特性や写像性が要求される成形品に対しては、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を使用することは困難であった。尚、成形品の表面への無機繊維の析出という現象は、成形品の表面に無機繊維が浮き出ることなどで認識することができる。それ故、成形品の表面への無機繊維の析出といった問題を解決するために、従来の技術においては、熱可塑性樹脂の粘度を低下させ、溶融樹脂の流動性を良くすることで対応していた。しかしながら、無機繊維の含有率を増加させた場合、無機繊維が成形品の表面から析出することを防止することは難しくなる。そのため、優れた外観特性が必要とされる成形品には、優れた性能を有しているにも拘らず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用することは困難であった。無機繊維の含有率が増えると無機繊維が成形品の表面から析出する原因も、金型の材質と関係している。通常、金型は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、キャビティ内に導入された無機繊維を含有する溶融樹脂は、金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金型のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成され、無機繊維が析出する。加えて、金型のキャビティ面の成形品表面への転写性が不足するという問題を生じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、金型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成されることがなく、無機繊維が析出することを確実に防止することができる。
この場合、熱可塑性樹脂が含有する無機繊維の割合(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無機繊維の割合)は、要求される曲げ弾性率(例えば、ASTM D790に準拠して測定したときの値が3.0GPa以上)を満足し得る成形品を成形できる範囲であればよく、その上限は、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の流動性が低下するため成形が困難となり、あるいは又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくなるときの値とすればよい。具体的には、結晶性熱可塑性樹脂を用いる場合には上限は概ね80重量%である。非晶性熱可塑性樹脂を用いる場合には、結晶性熱可塑性樹脂よりも流動性が劣るために、場合によっては上限は概ね50重量%となる。含有率が5重量%未満では要求される曲げ弾性率、弾性率や線膨張係数が得られず、また、80重量%を越えると溶融熱可塑性樹脂の流動性が低下するため成形品の成形が困難となり、あるいは又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくなる虞がある。
また、無機繊維の平均長さが5μm未満であったり、平均直径が0.01μm未満では、成形品に要求される曲げ弾性率が得られない。一方、無機繊維の平均長さが400μmを越えたり、平均直径が15μmを越えると、成形品の表面が鏡面にならないといった問題が生じる。
上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有する無機繊維を、好ましくはシランカップリング剤等を用いて表面処理した後、熱可塑性樹脂とコンパウンドして、ペレット化して成形用材料とする。このような成形用材料、及び入れ子が組み込まれた金型組立体を用いて成形品の成形を行うことで、高剛性、高弾性率、低線膨張係数、高荷重撓み温度(耐熱性)を有し且つ鏡面性(写像性)に優れた成形品を得ることができる。
無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選択された少なくとも1種の材料から構成することが好ましい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に含有させてもよい。
無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂成分を溶解する液体に無機繊維を含有する成形用ペレット若しくは成形品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定することができる。通常、無機繊維を写真撮影して人が測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用することが好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまりに小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無機繊維の公称直径の2倍よりも長さが短くなると測定が難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有する無機繊維を測定の対象とする。
無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いた本発明の成形品の製造方法において得られる成形品として、自動車用ドアハンドルを挙げることもできる。自動車用ドアハンドルから成る成形品に要求される物性値を例示すると、以下の表1のとおりである。これらの特性を満足するためには、以下の表2に示す諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。尚、自動車用ドアハンドルは、ドアに固定される本体部品、及び、バネあるいは固定部品によって本体部品と連結される取っ手部品から構成されており、外ヒンジタイプ又は内ヒンジタイプの引手式(プルアップ式)あるいはプッシュボタン式のアウトサイド・ドアハンドル、ドアトリムに埋め込まれた引手式のインサイド・ドアハンドルを例示することができる。
[表1]
曲げ弾性率 :5.0GPa以上
好ましくは、5〜25GPa
線膨張係数 :3.0×10-5/K以下
好ましくは
0.5〜3.0×10-5/K
荷重撓み温度:140゜C以上
写像性 :85%以上
[表2]
平均長さ:5μm〜400μm
好ましくは5μm乃至70μm
平均直径:0.01μm〜15μm
好ましくは0.1μm〜10μm
含有率 :15〜80重量%
好ましくは20〜60重量%
また、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いた本発明の成形品の製造方法においては、成形品の表面の少なくとも一部分に光反射薄膜を成膜する工程を更に含むことができる。この場合、光反射薄膜の厚さは、光を効果的に反射できる厚さであればよく、例えば、少なくとも50nm、好ましくは50nm乃至500nm、一層好ましくは100nm乃至300nmとすることが望ましい。尚、50nm未満では、反射率が十分でなくなる場合があり、一方、500nmを越えると成形品の表面平滑性が低下し反射率に問題を生じる場合がある。光反射薄膜を構成する材料として、例えば、金、白金、銀、クロム、ニッケル、リンニッケル、アルミニウム、銅、ベリリウム、ベリリウム銅、亜鉛等の金属又はこれらの金属化合物、合金を挙げることができる。成膜方法として、
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着法等の各種真空蒸着法、
(b)プラズマ蒸着法
(c)2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等の各種スパッタ法
(d)DC(Direct Current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、HCD(Hollow Cathode Discharge)法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法
等のPVD(Physical Vapor Deposition)法を挙げることができる。反射率とコストの観点からは、アルミニウムを真空蒸着することによって光反射薄膜を成膜することが最も好ましい。
こうして得られた成形品の一形態としてミラーを挙げることができる。より具体的には、ルームミラー、ドアミラー、フェンダーミラー、スピードメーターに内蔵されるミラー等の車両車載ミラー、カメラ用ダハミラー、複写機用光学系ミラー、レーザービームプリンター用ポリゴンミラー等の光学系ミラーを例示することができる。ミラー部材(光反射薄膜を成膜する前の成形品)あるいはミラーから成る成形品に要求される物性値は、以下の表3のとおりである。尚、表3中、写像性は、光反射薄膜形成前の成形品に対する値である。これらの特性を満足するためには、以下の表4に示す諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。本発明の成形品の製造方法によってミラーから成る成形品を製造すれば、ガラスから製造する従来のミラー作製方法よりも量産性に優れ、且つ、アセンブリー部分までも成形によって一体化できることから、部品の低減及びミラーの製造コストダウンが期待できる。
[表3]
曲げ弾性率 :5.0GPa以上
線膨張係数 :3.0×10-5/K以下
荷重撓み温度:100゜C以上
写像性 :85%以上
[表4]
平均長さ:5〜100μm
好ましくは5〜70μm
平均直径:0.01〜15μm
好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
あるいは又、こうして得られた成形品の別の形態としてリフレクターを挙げることができる。より具体的には、ヘッドランプ、ターンランプ、サーチライト、回転灯、非常灯等に組み込まれたリフレクターを例示することができる。リフレクター部材(光反射薄膜を成膜する前の成形品)に要求される物性値を、以下の表5に例示する。これらの特性を満足するためには、以下の表6に示す諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。本発明の成形品の製造方法によってリフレクターから成る成形品を製造すれば、ガラスから製造する従来のリフレクター作製方法よりも量産性に優れ、且つ、アセンブリー部分までも成形によって一体化できることから、部品の低減及びミラーの製造コストダウンが期待できるし、光源からの熱によってもリフレクターは変形せず、しかも熱による膨張量も極めて少ない。
[表5]
線膨張係数 :3.0×10-5/K以下
好ましくは
0.5〜3.0×10-5/K
荷重撓み温度:140゜C以上
好ましくは140〜260゜C
[表6]
平均長さ:5〜100μm
好ましくは5〜70μm
平均直径:0.01〜15μm
好ましくは0.05〜13μm、
更に好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
あるいは又、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いた本発明の成形品の製造方法においては、成形品の表面の少なくとも一部分に塗膜を形成する工程を更に含むことができる。この場合、塗膜は、アクリル系塗料皮膜、ウレタン系塗料皮膜及びエポキシ系塗料皮膜から成る群から選択された少なくとも1種の塗料皮膜であることが好ましい。即ち、成形された成形品の表面から埃等を除去した後、成形品の表面に塗料を刷毛塗り、スプレー、静電塗装、浸漬法等の方法により塗布し、その後、乾燥することによって、成形品(例えば、自動車用外装部材)の表面の少なくとも一部分に塗膜を形成することができる。本発明によって得られた成形品に残留する歪みが小さいために、塗料溶液による成形品へのクラックが発生し難い。また、本発明によって得られた成形品の表面は写像性に優れており、塗装後も写像性に優れた外観を有する成形品を得ることができる。尚、原料樹脂の荷重撓み温度以下の硬化温度を有する塗料を使用することが好ましい。こうして得られた成形品の一形態である自動車用外装部材として、フロントフェンダー、リアフェンダー、ドア、ボンネット、ルーフ又はトランクフェードを例示することができる。このような自動車用外装部材としての成形品に要求される物性値を例示すると、以下の表7のとおりである。これらの特性を満足するためには、以下の表8の諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。尚、先に説明した自動車用ドアハンドルの少なくとも一部分に塗膜を形成することもできる。
[表7]
曲げ弾性率 :4.0GPa以上
好ましくは4.5GPa以上
線膨張係数 :4.0×10-5/K以下
好ましくは
3.5×10-5/K以下
荷重撓み温度:100゜C以上
好ましくは110゜C以上
[表8]
平均長さ:5〜400μm
好ましくは5〜200μm
平均直径:0.01〜15μm
好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
好ましくは20〜60重量%
あるいは又、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いた本発明の成形品の製造方法においては、成形品の表面の少なくとも一部分にハードコート層を形成する工程を更に含むことができる。この場合、ハードコート層は、アクリル系ハードコート層、ウレタン系ハードコート層及びシリコーン系ハードコート層から構成された群から選択された少なくとも1種のハードコート層から成ることが好ましい。即ち、成形された成形品の表面から埃等を除去した後、アクリル系、ウレタン系又はシリコーン系のハードコート溶液から選択された溶液を、成形品の表面にディップ法、フローコート法、スプレー法等の方法により塗布し、その後、乾燥、硬化させることによって、成形品の表面の少なくとも一部分にハードコート層を形成することができる。成形品の表面のハードコート層の厚さは1μm乃至30μm、好ましくは3μm乃至15μmであることが望ましい。1μm未満ではハードコート層の耐久性が不足し、30μmを越えるとハードコート層にクラックが発生し易くなる。ハードコート層と成形品との間の密着性が十分でない場合には、プライマーコートを成形品に塗布した後にトップコートを塗布することで、密着力を向上させることができる。成形品に残留する歪みが小さいために、ハードコート層の形成に起因した成形品へのクラックの発生は生じ難い。また、本発明によって得られた成形品の表面は写像性に優れており、ハードコート層形成後も写像性に優れた外観を有する成形品を得ることができる。こうして得られた成形品の一形態として、フロント・ピラー、センター・ピラーあるいはリア・ピラーといった自動車用ピラーを挙げることができる。ハードコート層を形成する前の成形品に要求される物性値を例示すると、以下の表9のとおりである。これらの特性を満足するためには、以下の表10に示す諸元を満足する無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
[表9]
曲げ弾性率 :4.0GPa以上
線膨張係数 :4.0×10-5/K以下
荷重撓み温度:100゜C以上
[表10]
平均長さ:5〜400μm
好ましくは5〜200μm
平均直径:0.01〜15μm
好ましくは0.1〜10μm
含有率 :15〜80重量%
好ましくは20〜60重量%
あるいは又、本発明の成形品の製造方法において、平均粒子径0.1μm乃至1mm、好ましくは0.2μm乃至0.5mmの金属粉末、又は、平均厚さ0.1μm乃至200μm、好ましくは1乃至150μmで平均外径が平均厚さより大きい金属フレークを、0.01重量%乃至80重量%、好ましくは0.1重量%乃至60重量%、より好ましくは1重量%乃至50重量%含有する熱可塑性樹脂を用いることもできる。
メタリック色調を有する熱可塑性樹脂製の成形品は、金属部品に比べ軽量であり、しかも、金属感を有しており、各種の自動車部品や工業製品の部品等に使用されている。通常、成形品にメタリック色調を付与するためには、メタリック色調を与える金属粒子を含んだ塗料を成形品に塗装したり、メタリック色調を与える金属粒子を成形品の原料樹脂に練り込む。成形品を塗装することによって、塗料に含有された金属粒子の大きさに関係なく、比較的容易に金属感を成形品の表面に付与することができる。しかしながら、成形品に深み感を与えようとした場合、クリヤーコートを重ね塗りしなければならず、成形品の製造工数が増加するという問題がある。一方、原料樹脂に金属粒子を練り込む方法においては、例えば、粒子径の小さい金属粒子を用いると成形品が濁った灰色になり易く、成形品に金属感を付与することが困難となる。また、粒子径の大きい金属粒子を用いると、金属粒子が成形品表面に析出するために、ギラギラした金属感が成形品表面に強く現れるという問題がある。それ故、金属粒子の粒子径を規定する必要があるが、そうした場合でも、クリヤーコートを施した場合の深み感のある色調を成形品の表面に付与することができない。そのため、現状では、成形品の原料樹脂に金属粒子を練り込む場合であっても、成形品の表面にクリアーコートを施し、成形品の表面に深み感のある色調を付与している。従来の技術において、成形品の表面に深み感が得られない理由は、成形品の表面に金属粒子が析出し、成形品の表面に凹凸が生じることにある。この現象は、金型の材質と関係している。従来の技術においては、金型は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、キャビティ内に充填された溶融樹脂は、金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金属粒子を含む溶融樹脂に固化層が形成され、成形品の表面に金属粒子が析出し、光沢不良を生じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、金型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成されることがなく、成形品の表面に金属粒子が析出することがなく、光沢不良を生じることを確実に防止することができる。
金属粉末又は金属フレークの含有率が0.01重量%未満では、成形品にはメタリック色調が不足する。一方、80重量%を越えると、成形品の外観にぎらついた感じしか得られず、あるいは又、金属粉末若しくは金属フレークが成形品の表面に析出する結果、成形品の表面に深み感を付与することが困難となる。金属粉末の平均粒子径が0.1μm未満では、深みのある金属感を得られない。一方、1mmを越えると、金属粉末が成形品表面に析出し易くなるために深み感が得られなくなる。また、金属フレークを用いる場合、平均厚さが0.1μm未満では、樹脂と混練する際、金属フレークに亀裂が生じるため、成形品のメタリック色調が低減する。一方、平均厚さが200μmを越えると、金属フレークが成形品の表面に析出し易くなり、成形品の表面に深み感を付与することが困難となる。また、平均外径が平均厚さより小さいと、成形品の表面に深み感を付与することが困難となる。
金属粉末の平均粒子径、金属フレークの平均厚さや平均外径は、画像解析装置を用いて測定することができる。金属粉末、金属フレークが樹脂に含有されている場合、樹脂を炭化するか、溶剤で樹脂を溶解した後、金属粉末の平均粒子径、金属フレークの平均厚さや平均外径を測定すればよい。
金属粉末若しくは金属フレークを構成する金属としては、金、銀、白金、銅、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、又はこれらの化合物、合金を挙げることができる。中でも、金属粉末を酸化クロム粉末又はアルミニウム粉末から構成し、あるいは又、金属フレークをアルミニウムフレークから構成することが、深み感のあるメタリック色調を得るために、コストあるいは外観的な観点から好ましい。
尚、この場合、熱可塑性樹脂には、無機繊維を1乃至50重量%、好ましくは5乃至40重量%含有させることができる。尚、この場合、金属粉末若しくは金属フィラーと無機繊維の合計重量%を50重量%以下とすることが好ましい。無機繊維として、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、ウォラストナイト、ほう酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、珪酸カルシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカーを挙げることができる。無機繊維の含有率が少なすぎると成形品の強度が不十分となる場合がある。一方、無機繊維の含有率が50重量%を越えると、成形品表面に無機繊維が析出する虞がある。
一般的には、成形後の樹脂の収縮による成形品の反りを起こり難くするために、第1及び第2の金型部並びに入れ子の熱伝導率や厚さを考慮して、成形品取り出し時の第1及び第2の金型部の温度差を出来るだけ無くすことが望ましい。特にエンジニアリングプラスチックス、スーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や強度に優れる反面、成形性が悪いプラスチックを使用する場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行なうが、フローマーク等の外観不良が多発している。然るに、本発明の金型組立体を使用することで断熱効果が得られるために、金型温度を80゜C以下としても外観特性が良好な成形品を得ることができる。また、無機繊維や金属粉末、金属フレークを含有する熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、これらの材料が成形品の表面に析出する現象が生ぜず、鏡面性等の外観特性に優れた成形品を得ることができる。これは、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の冷却・固化を入れ子によって遅延することが可能となる結果、溶融熱可塑性樹脂の流動性及び転写性を向上できるからである。また、例えば、結晶性熱可塑性樹脂としてポリオキシメチレン樹脂を用いた場合、炭素鋼から作製された金型を用いて、金型温度100゜Cにて成形した成形品においては、表面に約50μmの非晶質のスキン層が生成するのに対し、本発明の成形品の製造方法においては、同じ金型温度であっても成形品にスキン層が全く生成せず、成形品の摩擦摩耗特性及び耐候性が飛躍的に向上した。あるいは又、ポリマーアロイ材料を用い、金型として炭素鋼から作製された金型を用いて、金型温度80゜Cにて成形を行った場合、成形品表面には光沢不良が発生していたのに対し、本発明の成形品の製造方法においては、同じ金型温度であっても成形品表面は極めて優れた光沢性を有していた。
しかも、溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上するが故に、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への導入圧力を低く設定でき、成形品に残留する応力を緩和できる。その結果、成形品の品質が向上する。また、例えば導入圧力を低減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
また、本発明における入れ子は、低熱膨張率を有する材料から作製されており、しかも、金型部とは独立して作製され、金型部に配設されるので、入れ子による断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、線膨張係数が低く、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難い入れ子を作製することができる。
本発明の金型組立体によれば、入れ子による断熱効果が大きく、キャビティ内に充填された溶融熱可塑性樹脂の急冷を抑制することができ、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止することができる。しかも、入れ子を、所定のクリアランスや重なり量の範囲内で入れ子被覆部や被覆プレートによって抑えることで、成形品端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部にバリが発生しなくなり、更には、入れ子外周部に残っている微細なクレーズと溶融熱可塑性樹脂が接触しなくなるために入れ子の破損を防止し得る。
本発明の成形品の製造方法においては、断熱性を有する入れ子を備えた金型組立体を用いるので、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の急冷を緩和することができる。それ故、低い金型温度でも、確実に且つ容易に優れた鏡面性を有する成形品を成形することができるし、固化層やスキン層の生成を抑制することができる。更には、本発明の成形品の製造方法を採用することで、流動性の悪い溶融熱可塑性樹脂を用いた場合でも、成形品を成形することが可能となる。また、溶融熱可塑性樹脂の導入圧力を低減することができる結果、入れ子に負荷される圧力を低減することができるので、入れ子の変形や破損の発生を効果的に防止することができる。加えて、成形品に残留する応力を一層小さくすることができ、高い品質の成形品を成形することが可能となる。
更には、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体を用いれば、成形品の表面を均一に圧縮することが可能となることから、成形品の表面にヒケが発生することを抑制することができる。あるいは又、本発明の成形品の製造方法においてキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂中に加圧流体を注入すれば、キャビティ内の樹脂はキャビティ面に向かって加圧される。その結果、成形品にヒケが発生することを確実に防止し得る。しかも、入れ子と接触する溶融樹脂の冷却・固化が遅延されるので、入れ子のキャビティ面近傍の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混じり合うといった現象の発生を回避することができ、肉厚部近傍の成形品表面に色ムラや外観不良が発生することを防止し得る。
本発明における入れ子は、断熱効果が大きいばかりか、その保守が容易である。また、本発明においては、キャビティ内に充填された溶融樹脂の急冷を抑制することができ、ジェッテイングやフローマーク等の外観不良が成形品に発生することを効果的に防止することができる。また、無機繊維等を含有する熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、成形品表面に無機繊維等が析出することを確実に防止することができる。しかも、本発明においては、入れ子を、所定のクリアランスや重なり量の範囲内で金型部内に組み込むことによって、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることがなく、容易且つ安価に高い鏡面性を有する成形品を成形することができる。また、成形品の外観を損なうことがなくなり、成形品端部のバリ発生を防止でき、成形品の不良率低減及び成形品の均質化、高品質化を達成することができ、成形品の製造コストの削減を図ることができる。
更には、溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上するが故に、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への導入圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩和でき、成形品の品質が向上する。また導入圧力を低減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
しかも、本発明の金型組立体は、場合によっては、被覆プレートを金型の内部に配設する必要がなく、また、被覆プレートを金型部の内部に配設する場合にあっても、被覆プレートが溶融熱可塑性樹脂導入部を兼ねるので、入れ子の配設位置に制約を受けることが少なく、優れた表面特性を付与すべき成形品の部分に対応した金型部に入れ子を配設することが可能となる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法に関する。実施例1の金型組立体を型締めしたときの模式的な端面図を図1の(A)に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図2に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図1の(B)及び(C)に示す。
実施例1の金型組立体は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)12と、第1の金型部10に配設され、キャビティ16の一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ子17と、第2の金型部12に設けられた溶融熱可塑性樹脂導入部15とを備えている。そして、第2の金型部12には、入れ子被覆部14が設けられている。具体的には、入れ子被覆部14は、入れ子17のキャビティ面17Aと対向する第2の金型部12の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)13である。
図1の(A)に示すように、第1の金型部10と第2の金型部12とを型締めした状態において、入れ子17と入れ子被覆部14との間のクリアランス(C11)を0.03mm以下(C11≦0.03mm)とする。また、入れ子17に対する入れ子被覆部14の重なり量(ΔS11)を0.5mm以上(ΔS11≧0.5mm)とする。実施例1においては、入れ子17を構成する材料として、ジルコニア(ZrO2)を用いた。このジルコニアの熱伝導率は0.8×10-2cal/cm・sec・゜Cである。
実施例1の金型組立体におけるキャビティ16の大きさは、100mm×100mm×4mmであり、形状は直方体である。入れ子17の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。尚、入れ子17を研削加工にて作製し、入れ子17のキャビティ面17Aに対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子17のキャビティ面17Aの表面粗さRyを0.02μmとした。
第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子17のための入れ子装着部11の内寸法が102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入れ子装着部11を設け(図1の(B)参照)、次いで、入れ子17をシリコーン系接着剤(図示せず)を用いて入れ子装着部11内に接着した(図1の(C)参照)。隙間ゲージを用いて入れ子17と入れ子装着部11との間のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。
一方、第2の金型部(固定金型部)12を炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部(固定金型部)12の中央に直径5mmのダイレクトゲートから成る溶融熱可塑性樹脂導入部15を設けた。
このように作製した第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)12を組み付けて実施例1の金型組立体を得た。この金型組立体において、入れ子17と入れ子被覆部14との間のクリアランス(C11)は0.02mm(C11=0.02mm)であった。また、入れ子17に対する入れ子被覆部14の重なり量(ΔS11)は1.0mm(ΔS11=1.0mm)であった。以上のとおり、入れ子17の端部とキャビティ16に導入された溶融樹脂との間には接触がない構造とした。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
成形装置として住友重機械株式会社製、SH−100射出成形機を用い、金型組立体を90゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス繊維添加のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂からなるアロイ材料(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、GMB4030、ガラス繊維30重量%添加)を用いて、射出成形を行なった。成形条件は、金型温度90゜C、樹脂温度290゜C、射出圧力800kgf/cm2−Gとした。ガラス繊維の平均長さは400μm、平均直径は13μmであった。所定量の溶融樹脂18を溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)15を介してキャビティ16内に導入(射出)した後(図3参照)、熱可塑性樹脂を冷却、固化し、20秒後に金型組立体を型開きし、成形品を金型組立体から取り出した。
入れ子17と接していた成形品の表面にはガラス繊維の浮きもなく、非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例2においては、入れ子17を構成する材料として、ジルコニア(ZrO2)の代わりに部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)を用い、実施例1と同様の金型組立体を得た。尚、この部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)の熱伝導率は0.9×10-2cal/cm・sec・゜Cである。完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニアから作製された入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例1と同じ成形装置を用い、金型組立体を90゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、実施例1と同じガラス繊維添加のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂からなるアロイ材料を用いて、実施例1と同じ条件にて射出成形を行なった。入れ子17と接していた成形品の表面にはガラス繊維の浮きもなく、非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例3においては、入れ子17を構成する材料として、ジルコニア(ZrO2)の代わりに部分安定化ジルコニア(ZrO2−CeO2)を用い、実施例1と同様の金型組立体を得た。尚、この部分安定化ジルコニア(ZrO2−CeO2)の熱伝導率は1.0×10-2cal/cm・sec・゜Cである。完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニアから作製された入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例1と同じ成形装置を用い、金型組立体を90゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、実施例1と同じガラス繊維添加のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂からなるアロイ材料を用いて、実施例1と同じ条件にて射出成形を行なった。入れ子17と接していた成形品の表面にはガラス繊維の浮きもなく、非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
実施例4は、本発明の第2の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法に関する。実施例4の金型組立体を型締めしたときの模式的な端面図を図4の(A)及び(B)に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図6に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図5の(A)、(B)及び(C)に示す。尚、図4の(A)、図5の(A)〜(C)及び図6は、垂直面で被覆プレートを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図4の(B)はかかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレートを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。
実施例4の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部(固定金型部)20及び第2の金型部(可動金型部)25と、第1の金型部20に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ子29と、入れ子29と第2の金型部25との間に配設され、第1の金型部20に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部23が設けられた被覆プレート22とを備えている。そして、第2の金型部25には、入れ子被覆部27が設けられている。入れ子被覆部27は、入れ子29のキャビティ面29Aと対向する第2の金型部12の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)26である。
第1の金型部20と第2の金型部25とを型締めした状態において(図4の(A)参照)、入れ子29と入れ子被覆部27との間のクリアランス(C21)を0.03mm以下(C21≦0.03mm)とし、入れ子29に対する入れ子被覆部27の重なり量(ΔS21)を0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)とする。また、被覆プレート22の入れ子と対向する面24と、入れ子29との間のクリアランス(C22)を0.03mm以下(C22≦0.03mm)とし、入れ子29に対する被覆プレート22の重なり量(ΔS22)を0.5mm以上(ΔS22≧0.5mm)とする。図4の(A)及び(B)に示すように、被覆プレート22は入れ子29の一部分と一部分とのみ重なり合っている。実施例4においても、入れ子29を構成する材料としてジルコニア(ZrO2)を用いた。尚、実施例4の金型組立体において、被覆プレート22に設けられた溶融熱可塑性樹脂導入部23は、ダイレクトゲート構造である。
実施例4の金型組立体におけるキャビティ28の大きさは、100mm×100mm×4mmであり、形状は直方体である。入れ子29の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。尚、入れ子29を研削加工にて作製し、入れ子29のキャビティ面29Aに対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子29のキャビティ面29Aの表面粗さRyを0.02μmとした。
第1の金型部(固定金型部)20を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子29のための入れ子装着部21の内寸法が102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入れ子装着部21を設け(図5の(A)参照)、次いで、入れ子29をシリコーン系接着剤(図示せず)を用いて入れ子装着部21内に接着した(図5の(B)参照)。隙間ゲージを用いて入れ子29と入れ子装着部21との間のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。
炭素鋼にて被覆プレート22を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部20に取り付けた(図5の(C)参照)。尚、被覆プレート22には溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)23が設けられている。被覆プレート22の入れ子と対向する面24と、入れ子29との間のクリアランス(C22)は0.02mm(C22=0.02mm)であり、入れ子29に対する被覆プレート22の重なり量(ΔS22)は1.0mm(ΔS22=1.0mm)であった。
一方、第2の金型部(可動金型部)25を炭素鋼S55Cから作製した。
このように作製した第1の金型部(固定金型部)20及び第2の金型部(可動金型部)25を組み付けて実施例4の金型組立体を得た。この金型組立体において、入れ子29と入れ子被覆部27との間のクリアランス(C21)は0.02mm(C21=0.02mm)であった。また、入れ子29に対する入れ子被覆部27の重なり量(ΔS21)は1.0mm(ΔS21=1.0mm)であった。以上のとおり、入れ子29の端部とキャビティ28に導入された溶融樹脂との間には接触がない構造とした。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された入れ子17に割れ等の損傷は発生しなかった。
成形装置として実施例1と同じ射出成形機を用い、金型組立体を90゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、実施例1と同じガラス繊維添加のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂からなるアロイ材料を用いて、実施例1と同じ条件にて射出成形を行なった。所定量の溶融樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)23を介してキャビティ28内に導入(射出)した後、熱可塑性樹脂を冷却、固化し、20秒後に金型組立体を型開きし、成形品を金型組立体から取り出した。
入れ子29と接していた成形品の表面にはガラス繊維の浮きもなく、非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、入れ子29に割れ等の損傷は発生しなかった。
尚、実施例4においても、入れ子をZrO2から作製する代わりに、ZrO2−Y23又はZrO2−CeO2といった部分安定化ジルコニア、あるいは結晶化ガラスから作製してもよい。
実施例5は、本発明の第3の態様に係る熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法に関する。実施例5の金型組立体の模式的な端面図を、図7に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図8〜図10に示す。尚、図7の(A)、図8の(A),(C)、図9の(A),(C)及び図10の(A)は、垂直面で被覆プレートを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図7の(B)、図8の(B),(D)、図9の(B),(D)及び図10の(B)は、かかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレートを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。
実施例5の金型組立体は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部(固定金型部)30及び第2の金型部(可動金型部)40と、第1の金型部(固定金型部)30に配設され、キャビティ51の一部を構成し、厚さが3.00mmの第1の入れ子35と、第2の金型部(可動金型部)40に配設され、キャビティ51の一部を構成し、厚さが2.00mmの第2の入れ子45と、第1の入れ子35と第2の入れ子45との間に配設され、第1及び第2の金型部30,40に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)50が設けられた被覆プレート33,43とを備えている。
実施例5の金型組立体におけるキャビティ51の大きさは100mm×100mm×3mmであり、形状は直方体である。実施例5においては、第1の入れ子35及び第2の入れ子45をジルコニアから研削加工にて作製した。第1の入れ子35の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。第1の入れ子35のキャビティ面35Aに対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、第1の入れ子35のキャビティ面35Aの表面粗さRyを0.02μmとした。使用したジルコニアの熱伝導率は0.8×10-2cal/cm・sec・゜Cである。
第1の金型部(固定金型部)30を炭素鋼S55Cから作製した。第1の入れ子35のための入れ子装着部31の内寸法が、102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工を行い、第1の金型部30に入れ子装着部31を設けた(図8の(C)及び(D)参照)。尚、参照番号32は、第1の被覆プレート取付部である。次いで、第1の入れ子35を、シリコーン系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部31内に接着した(図9の(C)及び(D)参照)。隙間ゲージを用いて第1の入れ子35と入れ子装着部31との間のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。
ジルコニアをキャビティ面が凹形状になるようにプレス成形後、焼成することによって、第2の入れ子45を作製した。第2の入れ子45には凹部が設けられている。第2の入れ子45の外形寸法は106.00mm×106.00mmである。また、凹部の寸法は100.00mm×100.00mmであり、凹部の底面45Bの厚さは2.00mmであり、底面からの立ち上がり部45Cの厚さ(高さ)は5.00mmである。従って、キャビティ51を形成する部分の高さ(厚さ)は3.00mmである。第2の入れ子45の凹部の底面45B及び立ち上がり部45Cの内側面45A(これらの面はキャビティ面である)に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、これらの面の表面粗さRyを0.02μmとした。更には、第2の入れ子45の凹部の底面45Bと立ち上がり部45Cの境界部を、半径0.1mmの曲面とした。尚、第2の金型部40に第2の被覆プレート43を取り付けるために、第2の入れ子45の立ち上がり部45Cの一部は除去された形状となっている(図9の(A)及び(B)参照)。
第2の金型部(可動金型部)40を炭素鋼S55Cから作製した。そして、第2の入れ子45のための入れ子装着部41の内寸法が、106.20mm×106.20mm、深さが5.02mmとなるように切削加工を行い、第2の金型部40に入れ子装着部41を設けた(図8の(A)及び(B)参照)。尚、参照番号42は、第2の被覆プレート取付部である。次いで、第2の入れ子45を、シリコーン系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部41内に接着した(図9の(A)及び(B)参照)。隙間ゲージを用いて第2の入れ子45と入れ子装着部41との間のクリアランス(D)を測定したところ、最低クリアランスは0.05mmであった。
炭素鋼にて第1の被覆プレート33を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部30に固定した(図10の(B)参照)。尚、第1の被覆プレート33には、溶融熱可塑性樹脂導入部の一部50Aが形成されている。また、炭素鋼にて第2の被覆プレート43を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第2の金型部40に固定した(図10の(A)参照)。尚、第2の被覆プレート43には、溶融熱可塑性樹脂導入部の一部50Bが形成されている。第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第1の被覆プレート33及び第2の被覆プレート43によって、溶融熱可塑性樹脂導入部50が構成される。
このように作製した第1の金型部(固定金型部)30と第2の金型部(可動金型部)40を組み付けて実施例5の金型組立体を得た。この金型組立体において、第1の金型部30と第2の金型部40とを型締めした状態で、第1の入れ子35の第2の入れ子と対向する面35Aと、第2の入れ子45の第1の入れ子と対向する面45Dとの間のクリアランス(C30)は0.01mmであった。また、第1の被覆プレート33の第1の入れ子と対向する面34と、第1の入れ子35との間のクリアランス(C31)、第2の被覆プレート43の第2の入れ子と対向する面44と、第2の入れ子45との間のクリアランス(C32)は、それぞれ0.01mmであった。更には、第1の入れ子35の第2の入れ子と対向する面35Aと、第2の入れ子45の第1の入れ子と対向する面45Dとの重なり量(ΔS30)は1.0mmであり、第1の入れ子35に対する第1の被覆プレート33の重なり量(ΔS31)は1.0mmであった。一方、第2の入れ子45に対する第2の被覆プレート43の重なり量(ΔS32)は3.0mmであった。尚、第1及び第2の被覆プレート33,43は第1及び第2の入れ子35,45の一部分とのみ重なり合っている。
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された第1及び第2の入れ子35,45に割れ等の損傷は発生しなかった。
成形装置として実施例1と同じ射出成形機を用い、金型組立体を90゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス繊維添加ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、GS2020MKR、ガラス繊維20重量%添加)を用いて、射出成形を行なった。成形条件は、金型温度90゜C、樹脂温度310゜C、射出圧力800kgf/cm2−Gとした。ガラス繊維の平均長さは400μm、平均直径は13μmであった。所定量の溶融樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部(サイドゲート構造のゲート部)50を介してキャビティ51内に導入(射出)した後、熱可塑性樹脂を冷却、固化し、20秒後に金型組立体を型開きし、成形品を金型組立体から取り出した。
第1及び第2の入れ子35,45と接していた成形品の表面にはガラス繊維の浮きもなく、非常に高い鏡面性を有していた。またフローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、第1及び第2の入れ子35,45に割れ等の損傷は発生しなかった。
尚、実施例5においては、溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)50が設けられた被覆プレート33,43を、第1及び第2の金型部30,40に取り付けた構造としたが、被覆プレートを第1の金型部30若しくは第2の金型部40のいずれか一方に取り付ける構造とすることもできる。
尚、実施例5においても、入れ子をZrO2から作製する代わりに、ZrO2−Y23又はZrO2−CeO2といった部分安定化ジルコニア、あるいは結晶化ガラスから作製してもよい。
(比較例1)
比較例1にて用いた金型組立体の模式的な端面図を図17に示す。Ry0.02μmまで鏡面仕上げをした金型部のキャビティ面を有する炭素鋼(熱伝導率11×10-2cal/cm・sec・゜C)から作製した第1の金型部(固定金型部)100、及び第2の金型部(可動金型部)101から構成された金型組立体を用いて、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。尚、参照番号102は溶融熱可塑性樹脂導入部であり、参照番号103はキャビティである。然るに、キャビティ103内での溶融樹脂の流動性が悪く、キャビティ103内を完全に溶融樹脂で充填することができなかった。そこで、射出圧力を200kgf/cm2−G増加させ、1000kgf/cm2−Gとして成形を行なった。得られた成形品には、フローマーク及びジェッテイング等の成形不良が生じていた。また、成形品表面にはガラス繊維が浮いており、実施例1と比較すると鏡面性が著しく劣っていた。
(比較例2)
比較例2においては、実施例1の金型を用いてクリアランス(C11)を変え、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を用いて、実施例1と同様の射出条件にて成形を行った。ここで、クリアランス(C11)を0.00mm及び0.05mmとした。クリアランス(C11)が0.00mmの場合、金型組立体を型締めした際に入れ子17が破損し、成形することができなかった。また、クリアランス(C11)が0.05mmの場合、成形品端部にバリが発生し、100ショット成形後に入れ子17の端部からクラックが発生し、成形不能となった。
(比較例3)
比較例3においては、図18に模式的な端面図を示すように実施例5の金型組立体を改造し、第2の入れ子45の内側面並びに第1及び第2の被覆プレート33,43を切削及び研磨し、キャビティ51の大きさを104mm×104mm×3mmの直方体とした。即ち、第1の入れ子35の第2の入れ子と対向する面35Aと、第2の入れ子45の第1の入れ子と対向する面45Dとの重なり量は無く、第1の入れ子35に対する第1の被覆プレート33の重なり量も無く、第1の入れ子35と入れ子装着部31との間の隙間がキャビティ51に開口した状態とした。
このような金型組立体を使用して、実施例5と同様の熱可塑性樹脂を用いて、実施例5と同様の射出条件にて成形を行った。その結果、溶融熱可塑性樹脂の導入時における高い応力によって、先ず第1ショット目で、第1の被覆プレート33と第1の入れ子35との間の隙間に流入した溶融樹脂によって成形品にバリが発生し、また第3ショット目に、溶融熱可塑性樹脂導入部(サイドゲート構造のゲート部)50の近傍の第1の入れ子35の部分からクラックが発生し、成形不能となった。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造、使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件は例示であり、適宜変更することができる。
例えば、図11の(A)に模式的に示すように、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体とすることもできる。この場合、例えば油圧シリンダー(図示せず)で可動させることができる中子60を金型組立体のキャビティ28内に配設すればよい。尚、図11の(A)に示す例においては、中子60を実施例4にて説明した金型組立体に組み込んだ。そして、成形品の成形においては、型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティ28の容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部20と第2の金型部25とを型締めし、且つ、キャビティ内における中子60の配置位置を制御する。そして、キャビティ(容積:VC)28内に溶融した熱可塑性樹脂18を導入し、熱可塑性樹脂の導入開始前、開始と同時に、導入中に、あるいは導入完了後(導入完了と同時を含む)、図示しない油圧シリンダーの作動によって中子60を移動させて、キャビティ28の容積を成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させる。この状態を図11の(B)に模式的に示す。このように、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体を用いれば、成形品の表面を均一に圧縮することが可能となることから、成形品の表面にヒケが発生することを抑制することができる。
あるいは又、図12の(A)に模式的に示すように、加圧流体注入装置70を更に備えた金型組立体を用いることもできる。尚、図12の(A)に示す例においては、加圧流体注入装置70の取り付け位置は、金型部に配設されそしてキャビティに開口する加圧流体注入装置取付部とした。そして、キャビティ28内に導入された溶融熱可塑性樹脂18内に、加圧流体注入装置70から加圧流体を注入し、以て、キャビティ28内の熱可塑性樹脂の内部に中空部18Aを形成する。尚、キャビティ28内への溶融熱可塑性樹脂18の導入完了時の状態を図12の(B)に模式的に示し、溶融熱可塑性樹脂18内への加圧流体の注入完了の状態を図13に模式的に示す。このように、キャビティ28内の溶融熱可塑性樹脂18中に加圧流体を注入すれば、キャビティ28内の樹脂はキャビティ面に向かって加圧される結果、成形品にヒケが発生することを確実に防止し得る。しかも、入れ子29と接触する溶融樹脂の冷却・固化が遅延されるので、入れ子のキャビティ面近傍の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混じり合うといった現象の発生を回避することができ、肉厚部近傍の成形品表面に色ムラや外観不良が発生することを防止し得る。
図14には、成形品を金型組立体から取り出すために、キャビティ28に連通したタブ形成部80が被覆プレート22Aに設けられている構造を例示する。尚、被覆プレート22Aは第1の金型部20に取り付けられている。尚、この場合にも、入れ子29と被覆プレート22Aとの間のクリアランスC23は0.03mm以下を満足する必要がある。この金型組立体は実施例4にて説明した金型組立体と実質的には同様の構造を有する。被覆プレート22Aは、図14の(A)の紙面垂直方向にも2カ所設けられている。尚、図14の(A)及び図15の(A)は、垂直面で被覆プレート22,22Aを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図14の(B)及び図15の(B)は、かかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレート22,22Aを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。金型組立体をこのような構造にすることによって、成形品にはタブ部が形成される。金型組立体の型開き後(図15の(A)及び(B)参照)、第2の金型部25に配設された突き出しピン(図示せず)をかかるタブ部に当てて成形品を押し出し、成形品を金型組立体から取り出せばよい。尚、成形品に形成されたタブ部は、後の工程で削除すればよい。
図16の(A)には、自動車用ドアハンドルである成形品を成形するための金型組立体の模式的な端面図を示す。この金型組立体は、第1の金型部(固定金型部)90と、第2の金型部91とから構成されている。第2の金型部91は、可動金型部92とスライドコア94A,94Bから成る。尚、円柱状のスライドコア94Aは2つ設けられ、図16の(A)の紙面垂直方向に可動である。また、スライドコア94Bは1つ設けられ、図16の(A)の紙面左右方向に可動である。第1の金型部90には入れ子97が配設されている。尚、参照番号96はキャビティである。また、第2の金型部91には溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられているが、かかる溶融熱可塑性樹脂導入部の図示は省略した。図16の(B)には、自動車用ドアハンドルである成形品の模式的な側面図を示し、図16の(C)には、自動車用ドアハンドルである成形品の模式的な正面図を示す。図16の(B)に示すように、自動車用ドアハンドルにはアンダーカット部が設けられている。かかる成形品を成形した後、成形品を金型組立体から取り出すために、先ず、一方のスライドコア94Aを図16の(A)の紙面垂直方向の上方向に、そして他方のスライドコア94Aを図16の(A)の紙面垂直方向の下方向に移動させ、次いで、スライドコア94Bを図16の(A)の右手方向に移動させ、その後、第1の金型部(固定金型部)90と可動金型部92とを型開きする。このような構造を有する金型組立体においては、特願平7−152519号(特開平8−318534号公報)にて開示した抑えプレートを金型組立体に配設することが困難である。然るに、本発明においては、第2の金型部91である可動金型部92及びスライドコア94Bに入れ子被覆部93,95を設けることによって、入れ子97を第1の金型部90に確実に配設することができる。
実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型締め時の模式的な端面図、及び、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図である。 実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型開き時の模式的な端面図である。 実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体のキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入した状態を示す模式的な端面図である。 実施例4における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型締め時の模式的な端面図である。 実施例4における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の組み立て中の模式的な端面図である。 実施例4における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型開き時の模式的な端面図である。 実施例5における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型締め時の模式的な端面図である。 実施例5における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の組み立て中の模式的な端面図である。 図8に引き続き、実施例5における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の組み立て中の模式的な端面図である。 実施例5における熱可塑性樹脂成形用の金型組立体の型開き時の模式的な端面図である。 成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体の型締め時の模式的な端面図、及びキャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入後の金型組立体等の模式的な端面図である。 加圧流体注入装置を更に備えた金型組立体の型締め時の模式的な端面図、及びキャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入完了時点での金型組立体等の模式的な端面図である。 キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流体の注入完了時点での金型組立体等の模式的な端面図である。 成形品を金型組立体から取り出すために、キャビティに連通したタブ形成部が被覆プレートに設けられている構造を有する金型組立体の型締め時の模式的な端面図である。 図14に示した金型組立体の型開き後の可動金型部及び成形品の状態を示す図である。 自動車用ドアハンドルを成形するための、スライドコアを備えた金型組立体の型締め時の模式的な端面図、及び自動車用ドアハンドルの模式図である。 比較例1にて使用した金型組立体の型締め時の模式的な端面図である。 比較例3にて使用した金型組立体の型締め時の模式的な端面図である。
符号の説明
10・・・第1の金型部(可動金型部)、11・・・入れ子装着部、12・・・第2の金型部(固定金型部)、13・・・切り込み(切り欠き)、14・・・入れ子被覆部、15・・・溶融熱可塑性樹脂導入部、16・・・キャビティ、17・・・入れ子、17A・・・入れ子のキャビティ面、18・・・溶融熱可塑性樹脂、20・・・第1の金型部(固定金型部)、21・・・入れ子装着部、22・・・被覆プレート、23・・・溶融熱可塑性樹脂導入部、24・・・被覆プレートの入れ子と対向する面、25・・・第2の金型部(可動金型部)、26・・・切り込み(切り欠き)、27・・・入れ子被覆部、28・・・キャビティ、29・・・入れ子、29A・・・入れ子のキャビティ面、30・・・第1の金型部(固定金型部)、31・・・入れ子装着部、32・・・第1の被覆プレート取付部、33・・・第1の被覆プレート、34・・・第1の被覆プレートの第1の入れ子と対向する面、35・・・第1の入れ子、35A・・・第1の入れ子のキャビティ面、40・・・第2の金型部(可動金型部)、41・・・入れ子装着部、42・・・第2の被覆プレート取付部、43・・・第2の被覆プレート、44・・・第2の被覆プレートの第2の入れ子と対向する面、45・・・第2の入れ子、45A・・・第2の入れ子の底面及び立ち上がり部の内側面、45B・・・第2の入れ子の底面、45C・・・第2の入れ子の立ち上がり部、45D・・・第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面、50・・・溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)、50A,50B・・・溶融熱可塑性樹脂導入部の一部、51・・・キャビティ、60・・・中子、70・・・加圧流体注入装置、80・・・タブ形成部、90・・・第1の金型部(固定金型部)、91・・・第2の金型部、92・・・可動金型部、93,95・・・入れ子被覆部、94A,94B・・・スライドコア、96・・・キャビティ、97・・・入れ子

Claims (10)

  1. (イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
    (ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
    (ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
    を備えた、熱可塑性樹脂を成形するための金型組立体であって、
    第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
    第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
    (A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量は0.5mm以上であり、
    (C)入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (D)入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
    入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  2. (イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
    (ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第1の入れ子、
    (ハ)第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第2の入れ子、及び、
    (ニ)第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
    を備えた、熱可塑性樹脂を成形するための金型組立体であって、
    第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
    (A)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (B)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との重なり量は0.5mm以上であり、
    (C)第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、及び第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (D)第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量、及び第2の入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であり、被覆プレートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
    第1及び第2の入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  3. 成形品を金型組立体から取り出すために、被覆プレートにはキャビティに連通したタブ形成部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  4. 入れ子、第1の入れ子、又は第2の入れ子を構成する材料は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  5. 入れ子、第1の入れ子、又は第2の入れ子を構成する材料は、ZrO2、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、又は、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形用の金型組立体。
  6. (イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
    (ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの入れ子、及び、
    (ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
    を備え、
    第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、
    第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
    (A)入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (B)入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量は0.5mm以上であり、
    (C)入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (D)入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
    入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下である熱可塑性樹脂成形用の金型組立体を用い、
    溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部からキャビティ内に導入した後、該熱可塑性樹脂を冷却、固化することによって成形品を成形することを特徴とする成形品の製造方法。
  7. (イ)熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部及び第2の金型部、
    (ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第1の入れ子、
    (ハ)第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第2の入れ子、及び、
    (ニ)第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレート、
    を備え、
    第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、
    (A)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (B)第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との重なり量は0.5mm以上であり、
    (C)第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、及び第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、
    (D)第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量、及び第2の入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であり、被覆プレートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合っており、
    第1及び第2の入れ子を構成する材料の熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜C以下である熱可塑性樹脂成形用の金型組立体を用い、
    溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部からキャビティ内に導入した後、該熱可塑性樹脂を冷却、固化することによって成形品を成形することを特徴とする成形品の製造方法。
  8. 成形品を金型組立体から取り出すために、被覆プレートにはキャビティに連通したタブ形成部が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の成形品の製造方法。
  9. 入れ子、第1の入れ子、又は第2の入れ子を構成する材料は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の成形品の成形方法。
  10. 入れ子、第1の入れ子、又は第2の入れ子を構成する材料は、ZrO2、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、又は、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の成形品の成形方法。
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