JP2000225635A - 表面がメッキされた成形品及びその製造方法 - Google Patents

表面がメッキされた成形品及びその製造方法

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JP2000225635A
JP2000225635A JP11029168A JP2916899A JP2000225635A JP 2000225635 A JP2000225635 A JP 2000225635A JP 11029168 A JP11029168 A JP 11029168A JP 2916899 A JP2916899 A JP 2916899A JP 2000225635 A JP2000225635 A JP 2000225635A
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mold
nest
cavity
mold assembly
molded product
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JP11029168A
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Hisashi Tawara
久志 田原
Akimasa Kaneishi
彰雅 兼石
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形品表面とメッキ層との間の密着性に優れた
成形品を長期的に安定して製造することを可能とする表
面がメッキされた成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】表面がメッキされた成形品の製造方法は、
(イ)キャビティ40を備え、熱可塑性樹脂に基づき成
形品を成形するための金型10,20、(ロ)金型の内
部に配設され、キャビティ40の一部を構成し、厚さが
0.1mm乃至10mmのセラミックス若しくはガラス
から作製された入れ子50、及び、(ハ)キャビティ4
0に開口したゲート部30を備えた金型組立体を用い、
ゲート部30から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ40内
に射出した後、キャビティ40内の該溶融熱可塑性樹脂
を冷却、固化させ、得られた成形品を金型組立体から取
り出し、その後、該成形品の表面にメッキを施す工程か
ら成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面がメッキされ
た成形品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形する
ための金型(以下、単に金型と呼ぶ)は、通常、金型に
設けられた中空部分であるキャビティ内に溶融熱可塑性
樹脂(以下、単に溶融樹脂と呼ぶ場合がある)を射出す
る際の高い圧力によっても変形しない金属材料、例え
ば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金
から作製されている。そして、金型に設けられたキャビ
ティ内に溶融樹脂を射出した後、保圧を行うことで、所
望の形状を有し、しかも金型のキャビティを構成する面
(以下、便宜上、金型のキャビティ面と呼ぶ)が転写さ
れた成形品を得ている。
【0003】ゴム強化ポリスチレンやABS樹脂に代表
される、樹脂相中にゴム相を島状に分散させたゴム強化
熱可塑性樹脂に基づき表面がメッキされた成形品を製造
する場合、一般に、射出成形法にて成形品を成形した
後、その表面にメッキを施す。この成形品にはメッキ層
との間に高い密着性を有することが要求され、そのため
には、成形品の表面構造をメッキに適した構造とする必
要がある。即ち、通常、成形品にメッキを施す際、エッ
チングを行うことによって成形品表面のゴム成分を除去
して凹部を形成する。そして、凹部が形成された成形品
表面に銅やクロム等のメッキを行うが、凹部のアンカー
効果によって、成形品表面とメッキ層との間の密着力を
向上させている。
【0004】ところで、熱可塑性樹脂から成る成形品を
成形するための金型は、上述のように熱伝導率の高い金
属材料から作製されている。それ故、キャビティ内に射
出された溶融樹脂は、金型のキャビティ面と接触した
時、瞬時に冷却され始める。その結果、金型のキャビテ
ィ面と接触した溶融樹脂の表層部分に固化層が形成さ
れ、キャビティ内を流動している溶融樹脂中のゴム成分
が剪断応力を受けて破断し、極小化する。それ故、メッ
キ時、エッチングを行っても成形品表面からゴム成分が
除去され難く、あるいは、形成された凹部が微細過ぎる
といった問題がある。
【0005】また、ガラス繊維等の無機繊維を含有する
熱可塑性樹脂に基づき表面がメッキされた成形品を製造
する場合にも、一般に、射出成形法にて成形品を成形し
た後、その表面にメッキを施す。無機繊維を含有する熱
可塑性樹脂を用いることによって、成形品の耐熱性や剛
性の向上を図ることができる。しかしながら、このよう
な無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を用いて成形品を成
形した場合、成形品の表面に無機繊維が析出するために
外観が損なわれ、あるいは、メッキを施すことができな
いといった問題が生じる。尚、成形品の表面への無機繊
維の析出という現象は、成形品表面に無機繊維が浮き出
ることなどで認識することができる。
【0006】このような無機繊維の析出といった問題を
解決するために、現状では、熱可塑性樹脂の粘度を低下
させ、溶融樹脂の流動性を良くすることで対応してい
る。しかしながら、無機繊維の含有率が増えると、無機
繊維が成形品の表面から析出することを防止することは
難しくなる。それ故、優れた外観や高いメッキ性が必要
とされる成形品には、優れた性能を有しているにも拘ら
ず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用することは
困難である。
【0007】無機繊維の含有率が増えると無機繊維が成
形品の表面から析出する原因も、金型が金属材料から作
製されていることにある。即ち、キャビティ内に射出さ
れた溶融樹脂は、金型のキャビティ面と接触した時、瞬
時に冷却され始める。その結果、金型のキャビティ面と
接触した溶融樹脂の表層部分に固化層が形成され、無機
繊維が析出し、かかる成形品の表面にメッキを施したと
きにメッキができないといった問題や、成形品の表面が
凹凸になるといった問題が生じる。
【0008】更には、結晶性の熱可塑性樹脂に基づき表
面がメッキされた成形品を製造する場合にも、一般に、
射出成形法にて成形品を成形した後、その表面にメッキ
を施す。結晶性熱可塑性樹脂は、結晶化により密度及び
融点が高くなり、成形品の硬度や弾性率が向上する。ま
た、結晶性熱可塑性樹脂は、水分や染料、可塑剤等が結
晶組織へ入り込み難いといった特徴を有しているため、
耐薬品性に優れている。通常、結晶性熱可塑性樹脂を用
いた成形品の成形においては、金型温度を結晶性熱可塑
性樹脂の荷重撓み温度よりかなり低く設定しておき、キ
ャビティ内に射出された溶融結晶性熱可塑性樹脂の冷
却、固化を促進させる方法が採られている。
【0009】ところが、金型温度をこのような温度に設
定した場合、キャビティ内に射出された溶融結晶性熱可
塑性樹脂は、金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時
に冷却され始める。その結果、成形品の表面には、非晶
質層あるいは結晶化度の低い微細な結晶層が形成され
る。尚、これらの層は、一般にはスキン層と呼ばれる。
このようなスキン層が形成された成形品にあっては、成
形品の表面とメッキ層との間の密着性が低いといった問
題がある。
【0010】以上に説明した種々の問題を解決するため
に、一般的には、溶融樹脂を高圧にてキャビティ内に射
出することで、金型のキャビティ面を無理矢理、成形品
の表面に転写させる方法、あるいは又、金型温度を高温
にして溶融樹脂の固化層やスキン層の発達を遅らせる方
法が取られている。しかしながら、前者の方法において
は、成形装置の大型化、金型自体の大型化・肉厚化によ
るコストアップにつながると共に、溶融樹脂の高圧射出
により成形品内部に応力が残留し、その結果、成形品の
品質が低下するといった問題が発生する。後者の方法に
おいては、成形に用いる樹脂の荷重撓み温度に金型温度
を近づけて設定するために、キャビティ内の樹脂の冷却
時間が長くなる。その結果、成形サイクルが長くなり、
生産性が低下するといった問題がある。更には、これら
の成形方法を用いても、成形品表面への無機繊維の析出
を完全に防止することは困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これらの問題
を解決するために、例えば、特開平7−195451号
公報には、熱伝導率が0.002cal/cm・sec
・゜C以下であって厚さが0.01〜2mmの耐熱性重
合体から成る断熱層で金型キャビティを形成する型壁面
が被覆された金型を用いて溶融熱可塑性樹脂を射出し、
得られた成形品の表面にメッキを施す方法が開示されて
いる。しかしながら、このような耐熱性重合体から成る
断熱層は耐久性に乏しく、長期間の使用が困難であると
いった問題がある。特に、例えばガラス繊維を含有する
熱可塑性樹脂を用いたときには、溶融樹脂の流動性が劣
ることから、断熱層に対して加わる高い応力によって断
熱層の寿命の短縮が避けられない。更には、ガラス繊維
と断熱層とが接触するために、断熱層の表面に耐摩耗性
を付与する必要がある。以上の理由により、断熱層を組
み込んだ金型を使用して、熱可塑性樹脂に基づき成形品
を長期的に安定して成形することは困難である。
【0012】従って、本発明の目的は、成形品表面とメ
ッキ層との間の密着性に優れた成形品を長期的に安定し
て製造することを可能とする表面がメッキされた成形品
の製造方法、及び、かかる製造方法によって製造された
表面がメッキされた成形品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の表面がメッキされた成形品の製造方法は、
(イ)キャビティを備え、熱可塑性樹脂に基づき成形品
を成形するための金型、(ロ)該金型の内部に配設さ
れ、キャビティの一部を構成し、厚さが0.1mm乃至
10mm、好ましくは0.5mm乃至10mm、より好
ましくは1mm乃至7mm、更に好ましくは2mm乃至
5mmのセラミックス若しくはガラスから作製された入
れ子、及び、(ハ)キャビティに開口したゲート部、を
備えた金型組立体を用いた、表面がメッキされた成形品
の製造方法であって、ゲート部から溶融熱可塑性樹脂を
キャビティ内に射出した後、キャビティ内の該溶融熱可
塑性樹脂を冷却、固化させ、得られた成形品を金型組立
体から取り出し、その後、該成形品の表面にメッキを施
す工程から成ることを特徴とする。
【0014】上記の目的を達成するための本発明の表面
がメッキされた成形品は、(イ)キャビティを備え、熱
可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための金型、
(ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構
成し、厚さが0.1mm乃至10mmのセラミックス若
しくはガラスから作製された入れ子、及び、(ハ)キャ
ビティに開口したゲート部、を備えた金型組立体を用
い、ゲート部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射
出した後、キャビティ内の該溶融熱可塑性樹脂を冷却、
固化させ、得られた成形品を金型組立体から取り出し、
その後、該成形品の表面にメッキを施すことによって製
造されたことを特徴とする。
【0015】尚、キャビティの一部を構成するとは、成
形品の外形を規定するキャビティ面を構成することを意
味する。より具体的には、キャビティは、例えば、金型
に設けられたキャビティを構成する面と、入れ子に形成
されたキャビティを構成する面とから構成されている。
尚、これらのキャビティを構成する面を、以下、金型の
キャビティ面及び入れ子のキャビティ面と呼ぶ場合があ
る。
【0016】入れ子の厚さが0.1mm未満の場合、入
れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に射出
された溶融樹脂の急冷を招き、入れ子を備えていない通
常の金型組立体と同じような問題が発生する可能性が高
くなる。また、金型の内部に入れ子を固定する際に、熱
硬化性の接着剤等で接着を行う場合があるが、入れ子の
厚さが0.1mm未満では、接着剤の膜厚が不均一であ
ると入れ子に不均一な応力が残るために、成形品の表面
がうねったり、射出された溶融樹脂の圧力によって入れ
子が破損するといった問題が生じる。一方、入れ子の厚
さが10mmを越える場合、入れ子による断熱効果が大
きくなり過ぎるために、キャビティ内の樹脂の冷却が進
行せず、成形サイクルが長くなるという問題が発生す
る。
【0017】入れ子に凹凸形状を設ける場合には、凹凸
部のエッジに発生した微細なクラックが溶融樹脂と接触
して破損することを防止するために、ダイヤモンド砥石
等で凹凸部の縁部を研磨して応力が集中しないようにす
ることが好ましい。あるいは又、場合によっては、半径
0.3mm以下の曲率面やC面カットを設け、応力集中
を避けることが好ましい。
【0018】本発明の表面がメッキされた成形品あるい
はその製造方法(以下、これらを総称して、本発明と呼
ぶ場合がある)においては、入れ子を構成するセラミッ
クス若しくはガラスの熱伝導率は2×10-2cal/c
m・sec・゜C以下であることが好ましい。入れ子を
構成する材料の熱伝導率が2×10-2cal/cm・s
ec・degを超える場合、キャビティ内に射出された
溶融樹脂の急冷を防止することができなくなる場合があ
る。即ち、この値を越える熱伝導率を有する材料で入れ
子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が瞬時に固
化し、炭素鋼等のみから作製された従来の金型を用いて
成形した場合と同じような問題が発生する可能性が高く
なる。より具体的には、入れ子は、ZrO2、ZrO2
CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−CeO2、ZrO2
−MgO、ZrO2−SiO2、K 2O−TiO2、Al2
3、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2S
iO 2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO
−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択
されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラ
ス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択され
たガラスから作製されていることが望ましく、中でも、
ZrO2、ZrO2−Y23又はZrO2−CeO2、ある
いは又、結晶化ガラスから作製することが一層好まし
い。
【0019】後述する第2の入れ子、低熱伝導部材、第
1及び/又は第2の低熱伝導部材、スプルーブッシュ、
ランナー部、あるいは入れ子(以下、これらを総称して
入れ子等と呼ぶ場合がある)を結晶化ガラスから作製す
る場合、入れ子等を、結晶化度が10%以上、更に望ま
しくは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度
が70〜100%の結晶化ガラスから作製することが好
ましい。10%以上の結晶化度になると結晶がガラス全
体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が
飛躍的に向上するため、成形品の成形時における入れ子
等の破損発生を著しく低下させることができる。結晶化
度が10%未満では、成形時にその表面から界面剥離を
起こし易いといった欠点がある。尚、入れ子等を構成す
る結晶化ガラスの線膨張係数が1×10-6/K以下、熱
衝撃強度が400゜C以上であることが好ましい。入れ
子等をセラミックから作製した場合、入れ子等の素材が
多孔質であるために、成形品の表面に凸状の突起物が転
写する場合がある。しかしながら、結晶化ガラスは、結
晶粒子が微細であり、しかも粒子間の接着力が優れてお
り、多孔質でないために、成形品の表面が鏡面になり易
いといった利点がある。
【0020】熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した1
00mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水
中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの
温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が4
00゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×
100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込
んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。
この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前
後の値しか得られない。従って、それ以上の温度(例え
ば、約300゜C)で溶融された樹脂が入れ子等と接触
したとき、入れ子等に歪みが生じ、入れ子等が破損する
場合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係
し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入
れ子等を作製すれば、成形時に入れ子等が割れることを
確実に防止し得る。
【0021】ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少
量のTiO2及びZrO2の核剤を添加し、1600゜C
以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、
キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱
処理を行い、ガラス中にLi 2O−Al23−SiO2
結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結
晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例示する
ことができる。あるいは又、CaO−Al23−SiO
2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ
移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッタ
ー上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラ
ストナイト結晶相が生成したものを例示することができ
る。更には、SiO2−B23−Al23−MgO−K2
O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたもの
や、核剤を含むMgO−Al23−SiO2系ガラスを
熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例
示することができる。
【0022】これら結晶化ガラスにおいては、ガラス基
材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で
表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器
を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化
度を測定することができる。
【0023】入れ子等の表面に、イオンプレーティング
等の表面処理技術によって、上述した入れ子等を構成す
る材料又は金属化合物から成る薄膜層を少なくとも1層
設けてもよく、これによって、セラミックの空孔を充填
することができ、成形品の表面特性を一層向上させるこ
とができる。但し、膜厚としては、20μm以下が好ま
しく、この厚さを越えると断熱効果の低下及び薄膜層の
入れ子等の表面への密着性の低下が生じる虞がある。
【0024】成形品に鏡面性が要求される場合、入れ子
のキャビティ面の表面粗さRyを0.5μm以下とする
ことが望ましい。表面粗さRyが0.5μmを越える
と、鏡面性が不足し、成形品に要求される特性、例えば
表面平滑性(写像性)を満足しない場合がある。そのた
めには、作製された入れ子のキャビティ面に対して、表
面粗さRyが0.5μm以下になるまで、例えばダイヤ
モンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、酸化セ
リウムによるラッピングを行えばよい。ラッピングは、
ラッピングマシン等を用いて行うことができる。尚、ラ
ッピングは入れ子加工の最終工程で行うことが望まし
い。通常の炭素鋼等の磨きと比較すると、例えば結晶化
ガラスの場合、約1/2のコストで鏡面が得られるため
に、金型組立体の製作費を低減させることが可能であ
る。尚、表面粗さRyの測定は、JISB0601に準
じた。
【0025】研削加工等によって所定形状に加工した
後、入れ子の装着時に入れ子が金型内部に設けられた入
れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるい
は又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に
装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型内
部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができ
る。あるいは又、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系
等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子
を入れ子装着部に接着してもよい。但し、接着剤の厚さ
むらの影響で入れ子に歪みが発生することを防止するた
めに、用いる接着剤の厚さを出来る限り薄く且つ均一に
することが望ましい。尚、入れ子装着部が設けられた入
れ子装着用中子を金型部に取り付け、かかる入れ子装着
用中子の入れ子装着部に入れ子を装着してもよい。
【0026】後述する第2の入れ子、低熱伝導部材、第
1及び/又は第2の低熱伝導部材、スプルーブッシュ、
あるいは又、ランナー部を低熱伝導材料から構成する場
合、これらを構成する低熱伝導材料に対して、あるいは
又、入れ子を構成するセラミックスやガラスに対して、
通常の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、か
なり複雑な形状以外は任意の形状の入れ子等を製作でき
る。セラミック粉末若しくは溶融ガラスを成形用金型に
入れてプレス成形した後に熱処理することで、入れ子等
を作製することができる。また、ガラスから成る板状物
を治具上に置いたまま炉内で自然に賦形させることによ
って、入れ子等を作製することもできる。尚、最終工程
でラッピング処理を容易に行うことができる。
【0027】本発明におけるメッキ工程は、例えば、以
下に例示する各工程から構成することができるが、これ
らの工程に限定するものではない。 (1)バリ取り等の前処理工程 (2)成形品の表面に適度な凹凸を付与し、あるいは成
形品の表面からゴム成分を除去するために、酸による化
学的エッチング工程 (3)中和工程 (4)成形品の表面に還元力のある金属塩を吸着させ
て、次の活性化処理を効果的にさせる感受性化工程 (5)触媒作用を有する貴金属を成形品の表面に付着さ
せる活性化処理工程 (6)例えばニッケルを化学メッキ(無電解メッキ)す
る化学的メッキ工程 (7)電解銅メッキ工程 (8)電解ニッケルメッキ工程 (9)電解クロムメッキ工程
【0028】本発明での使用に適した熱可塑性樹脂とし
て、ゴム強化熱可塑性樹脂を挙げることができる。具体
的には、樹脂相中にゴム相が島状に分布した、ゴム強化
ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹
脂、MBS樹脂といったゴム強化スチレン系樹脂を挙げ
ることができる。ゴム強化ポリスチレン樹脂は、スチレ
ンを主体とした重合体の樹脂相中に、ポリブタジエン、
SBR等のゴム相が島状に分散している。ABS樹脂
は、スチレンとアクリロニトリルを主体とした共重合体
の樹脂相中に、ポリブタジエン、SBR等のゴム相が島
状に分散している。AAS樹脂は、スチレンとアクリロ
ニトリルを主体とした共重合体の樹脂相中に、アクリル
ゴムが島状に分散している。AES樹脂は、スチレンと
アクリロニトリルを主体とした共重合体の樹脂相中に、
エチレン−プロピレン共重合ゴムが島状に分散してい
る。MBS樹脂は、スチレンとメチルメタアクリレート
を主体とした共重合体の樹脂相中に、ポリブタジエン、
SBR等のゴム相が島状に分散している。その他、ゴム
強化ポリスチレンで変性したポリフェニレンエーテル等
も用いることもできる。
【0029】ゴム強化熱可塑性樹脂を用いる場合、成形
品の表面からゴム成分を除去するために酸による化学的
エッチングを行い、成形品表面の表面に凹部を形成す
る。これによって、凹部が形成された成形品表面に銅や
クロム等のメッキを行ったとき、凹部のアンカー効果に
よって成形品表面とメッキ層との間の密着力を向上させ
ることができる。凹部の短辺の長さは、0.3μm乃至
1.5μm、好ましくは0.5μm乃至1.0μmであ
ることが望ましい。また、成形品表面における凹部の密
度は、10μm四方当たり、70個乃至120個、好ま
しくは80個乃至120個であることが望ましい。
【0030】あるいは又、本発明での使用に適した熱可
塑性樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性
樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポ
リアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等の
ポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセター
ル,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート(PB
T)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサル
ファイド樹脂;ポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂;
メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性PPE
樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;
ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリア
ミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケト
ン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステ
ルカーボネート樹脂を例示することができる。
【0031】更には、本発明においては、ポリマーアロ
イ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。こ
こで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可
塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類
の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体
若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材
料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性
能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用
されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレン
ドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂とし
て、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS
樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル
樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミ
ド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変
性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリ
エチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポ
リオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド
樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレー
ト樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケト
ン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステ
ルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱
可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、
ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ
材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組
合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記す
る。以下においても同様である。更に、少なくとも2種
類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料と
して、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリ
アミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/P
ET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE
樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂
/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹
脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PB
T樹脂/PET樹脂を例示することができる。
【0032】尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂
に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加す
ることができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、
炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材を
添加することもできる。
【0033】本発明においては、繊維状の充填材、より
具体的には、無機繊維を5重量%乃至50重量%含有す
る熱可塑性樹脂を用いることもできる。成形品の強度を
重視する場合には、無機繊維の平均長さを、5μm乃至
5mm、好ましくは10μm乃至0.4mmとし、成形
品の写像性(鏡面性)を重視する場合には、5μm乃至
0.4mm、より好ましくは5μm乃至0.2mm、一
層好ましくは5μm乃至0.1mmとすることが望まし
い。また、これらの場合、無機繊維の平均直径を、0.
01μm乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至
13μm、一層好ましくは0.1μm乃至10μmとす
ることが望ましい。
【0034】本発明においては、キャビティ内に射出さ
れた溶融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないため
に、金型のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が
形成されることがなく、無機繊維が析出することを確実
に防止することができる。また、金型組立体の構造に依
っては、ゲート部内の溶融樹脂が急冷されることがない
ので、ゲート部シール時間の延長が可能となり、保圧の
期間を長くすることができ、金型のキャビティを構成す
る面の成形品への転写性を一層向上させることができ
る。
【0035】この場合、熱可塑性樹脂が含有する無機繊
維の割合(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無
機繊維の割合)は、要求される曲げ弾性率(例えば、A
STM D790に準拠して測定したときの値が3.0
GPa以上)を満足し得る成形品を成形できる範囲であ
ればよく、その上限は、キャビティ内の溶融樹脂の流動
性が低下するため成形が困難となり、あるいは又、優れ
た鏡面性を有する成形品を成形できなくなるときの値と
すればよい。具体的には、上限は概ね50重量%であ
る。一方、含有率が5重量%未満では成形品に要求され
る曲げ弾性率、弾性率や線膨張係数が得られない場合が
ある。
【0036】また、無機繊維の平均長さが5μm未満で
あったり、平均直径が0.01μm未満では、成形品に
要求される曲げ弾性率が得られない場合がある。一方、
無機繊維の平均長さが0.4mmを越えたり、平均直径
が15μmを越えると、成形品の表面が鏡面にならない
といった問題が生じる場合がある。
【0037】上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有す
る無機繊維を、好ましくはシランカップリング剤等を用
いて表面処理した後、熱可塑性樹脂とコンパウンドし
て、ペレット化して成形用材料とする。このような成形
用材料、及び入れ子が組み込まれた金型組立体を用いて
成形品の成形を行うことで、高剛性、高弾性率、低線膨
張係数、高荷重撓み温度(耐熱性)を有し且つ鏡面性
(写像性)、メッキ性に優れた成形品を得ることができ
る。
【0038】無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、
ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊
維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグ
ネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊
維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選
択された少なくとも1種の材料から構成することが好ま
しい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類
に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に
含有させてもよい。
【0039】無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意
味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂
成分を溶解する液体に無機繊維を含有する成形用ペレッ
ト若しくは成形品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガ
ラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃
焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定
することができる。通常、無機繊維を写真撮影して人が
測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維
の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維
の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用すること
が好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまりに
小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無
機繊維の公称直径の2倍よりも長さが短くなると測定が
難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有
する無機繊維を測定の対象とする。
【0040】あるいは又、本発明において、熱可塑性樹
脂には、粉体状若しくは鱗片状の充填材が5重量%乃至
50重量%含まれていてもよい。具体的には、平均粒子
径0.1μm乃至1mm、好ましくは0.2μm乃至
0.5mmの金属粉末、又は、平均厚さ0.1μm乃至
0.2mm、好ましくは1乃至0.15mmで平均外径
が平均厚さより大きい鱗片状の金属フレークを、0.0
1重量%乃至80重量%、好ましくは0.1重量%乃至
60重量%、より好ましくは1重量%乃至50重量%、
一層好ましくは5重量%乃至50重量%含有する熱可塑
性樹脂を用いることもできる。金属粉末の平均粒子径が
0.1μm未満では、深みのある金属感を得られない。
一方、1mmを越えると、金属粉末が成形品表面に析出
し易くなるために深み感が得られなくなる。また、金属
フレークを用いる場合、平均厚さが0.1μm未満で
は、樹脂と混練する際、金属フレークに亀裂が生じるた
め、成形品のメタリック色調が低減する。一方、平均厚
さが0.2mmを越えると、金属フレークが成形品の表
面に析出し易くなり、成形品の表面に深み感を付与する
ことが困難となる。また、平均外径が平均厚さより小さ
いと、成形品の表面に深み感を付与することが困難とな
る。金属粉末の平均粒子径、金属フレークの平均厚さや
平均外径は、画像解析装置を用いて測定することができ
る。金属粉末、金属フレークが樹脂に含有されている場
合、樹脂を炭化するか、溶剤で樹脂を溶解した後、金属
粉末の平均粒子径、金属フレークの平均厚さや平均外径
を測定すればよい。金属粉末若しくは金属フレークを構
成する金属としては、金、銀、白金、銅、アルミニウ
ム、クロム、鉄、ニッケル、又はこれらの化合物、合金
を挙げることができる。中でも、金属粉末を酸化クロム
粉末又はアルミニウム粉末から構成し、あるいは又、金
属フレークをアルミニウムフレークから構成すること
が、深み感のあるメタリック色調を得るために、コスト
あるいは外観的な観点から好ましい。
【0041】入れ子を金型の内部に配設するために、金
型の内部に配設され、キャビティの一部を構成し、入れ
子の端部を抑える抑えプレートを更に備え、入れ子と抑
えプレートとの間のクリアランス(C1)は0.03m
m以下(C1≦0.03mm)、実用的には0.001
mm以上0.03mm以下(0.001mm≦C1
0.03mm)、好ましくは0.003mm以上0.0
3mm以下(0.003mm≦C1≦0.03mm)で
あり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(Δ
1)は0.1mm以上(ΔS1≧0.1mm)である金
型組立体を用いて成形品を成形することができる。尚、
便宜上、このような構造を有する金型組立体を、第1の
構造の金型組立体と呼ぶ。クリアランス(C1)の下限
は、抑えプレートを取り付ける際に、入れ子の外周部に
微細なクラックが発生したり、金型温度上昇時に入れ子
が熱膨張することによって、入れ子と抑えプレートが接
触し、入れ子の外周部の微細クラックに応力がかかる結
果、入れ子が破損するといった問題が生じないような値
とすればよい。なお、クリアランス(C1)が0.03
mmを越えると、溶融樹脂が入れ子と抑えプレートとの
間に侵入し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、
成形品にバリが発生するといった問題も生じる。抑え代
(ΔS1)が0.1mm未満の場合、入れ子の外周部に
発生した微細なクラックと溶融樹脂とが接触することに
よって、入れ子に生成したクラックが成長し、入れ子が
破損する場合がある。
【0042】立体形状あるいは曲面を有する成形品を成
形する場合、入れ子の裏面(入れ子のキャビティ面と反
対側の面であり金型と対向する面)の曲率に合わせて金
型の入れ子装着部を加工し、且つ、抑えプレートも入れ
子のキャビティ面の曲率に合わせて研削加工を行えばよ
い。この場合にも、ΔS1≧0.1mm、C1≦0.03
mmの関係を保ったまま、入れ子を金型の入れ子装着部
に装着し、入れ子を抑えプレートで抑える。
【0043】あるいは又、金型は、第1の金型部及び第
2の金型部から構成され、入れ子は第1の金型部に配設
され、ゲート部は第2の金型部に設けられており、第2
の金型部には入れ子被覆部が設けられており、第1の金
型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入
れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C21)は
0.03mm以下(C21≦0.03mm)であり、入
れ子に対する入れ子被覆部の重なり量は(ΔS21)は
0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)である金型組立
体を用いて成形品を成形することができる。尚、便宜
上、このような構造を有する金型組立体を、第2の構造
の金型組立体と呼ぶ。ここで、このような第2の構造の
金型組立体における入れ子被覆部の構造は、入れ子と対
向する第2の金型部の面に設けられた一種の切り込み
(切り欠き)とすることができる。
【0044】更には、金型は、第1の金型部及び第2の
金型部から構成され、入れ子は第1の金型部に配設さ
れ、入れ子と第2の金型部との間に配設され、そして、
第1の金型部に取り付けられた被覆プレートを更に備
え、ゲート部は被覆プレートに設けられており、第2の
金型部には入れ子被覆部が設けられており、第1の金型
部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ
子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C31)は0.
03mm以下(C31≦0.03mm)であり、入れ子
に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS31)は0.5m
m以上(ΔS31≧0.5mm)であり、入れ子と被覆
プレートとの間のクリアランス(C32)は0.03mm
以下(C32≦0.03mm)であり、入れ子に対する
被覆プレートの重なり量(ΔS32)は0.5mm以上
(ΔS32≧0.5mm)であり、被覆プレートは入れ
子の一部分とのみ重なり合っている金型組立体を用いて
成形品を成形することができる。尚、便宜上、このよう
な構造を有する金型組立体を、第3の金型組立体と呼
ぶ。ここで、このような第3の構造の金型組立体におけ
るゲート部として、例えば、ダイレクトゲート構造を挙
げることができる。
【0045】あるいは又、金型は、第1の金型部及び第
2の金型部から構成され、入れ子は、第1の金型部に配
設された第1の入れ子と、第2の金型部に配設された第
2の入れ子から構成され、第1の入れ子と第2の入れ子
との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、ある
いは、第1及び第2の金型部に取り付けられた被覆プレ
ートを更に備え、ゲート部は被覆プレートに設けられて
おり、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態
において、第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面
と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間の
クリアランス(C40)は0.03mm以下(C40≦0.
03mm)であり、第1の入れ子の第2の入れ子と対
向する面と、第2の入れ子の第1の入れ子と対向する面
との重なり量(ΔS40)は0.5mm以上(ΔS40
0.5mm)であり、第1の入れ子と被覆プレートと
の間のクリアランス(C41)、及び第2の入れ子と被覆
プレートとの間のクリアランス(C42)は0.03mm
以下(C41≦0.03mm且つC42≦0.03mm)で
あり、第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量
(ΔS41)、及び第2の入れ子に対する被覆プレートの
重なり量(ΔS42)は0.5mm以上(ΔS41≧0.5
mm且つΔS42≧0.5mm)であり、被覆プレート
は第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合ってい
る金型組立体を用いて成形品を成形することができる。
尚、便宜上、このような構造を有する金型組立体を、第
4の構造の金型組立体と呼ぶ。ここで、このような第4
の構造の金型組立体におけるゲート部として、例えば、
サイドゲート構造を挙げることができる。第1の入れ子
を構成する材料と第2の入れ子を構成する材料とは、同
一の材料であってもよいし、同種の材料であってもよい
し、異種の材料であってもよい。尚、第1の入れ子及び
第2の入れ子を構成するセラミックス若しくはガラス
は、上述の入れ子を構成するセラミックス若しくはガラ
ス材料と同様とすればよい。
【0046】第2の構造の金型組立体、第3の構造の金
型組立体あるいは第4の構造の金型組立体においては、
型締め状態において、クリアランス(C21,C31
32,C 40,C41,C42)を、0.03mm以下、実用
的には、0.001mm以上0.03mm以下(0.0
01mm≦C21,C31,C32,C40,C41,C42≦0.
03mm)、好ましくは0.003mm以上0.03m
m以下(0.003mm≦C21,C31,C32,C40,C
41,C42≦0.03mm)とする。クリアランスの下限
は、入れ子の外周部に微細なクラックが発生したり、金
型温度上昇時に入れ子が熱膨張することによって、入れ
子が金型部の入れ子被覆部、被覆プレートや他の入れ子
と接触し、入れ子の外周部の微細クラックに応力がかか
る結果、入れ子が破損するといった問題が生じないよう
な値とすればよい。クリアランス(C 21,C31,C32
40,C41,C42)が0.03mmを越えると、溶融樹
脂が、入れ子と金型部入れ子被覆部や被覆プレートとの
間、あるいは第1の入れ子と第2の入れ子との間に侵入
し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、成形品に
バリが発生したり、金型部から成形品を取り出す際に入
れ子が損傷するといった問題も生じる。重なり量(ΔS
21,ΔS31,ΔS32,ΔS40,ΔS41,ΔS42)の値が
0.5mm未満の場合、入れ子の外周部に発生した微細
なクラックと溶融樹脂とが接触する結果、入れ子に生成
したクラックが成長し、入れ子が破損する場合がある。
【0047】更には、金型は、第1の金型部及び第2の
金型部から構成され、入れ子は第1の金型部に配設さ
れ、ゲート部は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・
sec・゜C以下の材料から少なくとも構成されている
金型組立体を用いて成形品を成形することができる。
尚、便宜上、このような構造を有する金型組立体を、第
5の構造の金型組立体と呼ぶ。ゲート部を構成する材料
の熱伝導率は、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を防止す
る目的で、あるいは又、ゲート部内の溶融樹脂の急冷を
防止する目的で、2×10-2cal/cm・sec・゜
C以下とすることが好ましい。この値を越える熱伝導率
を有する材料を用いてゲート部を作製した場合、使用す
る熱可塑性樹脂に依っては、ゲート部内の溶融樹脂が急
冷されるために、通常の炭素鋼等から作製された金型に
て成形された成形品と同程度の外観しか得られない場合
がある。
【0048】第5の構造の金型組立体においては、ゲー
ト部が、入れ子の一部と、第2の金型部の一部とによっ
て構成されている構造とすることができる。尚、このよ
うな金型組立体を、便宜上、第5Aの構造の金型組立体
と呼ぶ場合がある。ゲート部として、例えば、サイドゲ
ート形式、フィルムゲート形式、オーバーラップゲート
形式を挙げることができる。そして、この場合、第1の
金型部と第2の金型部との分割面(パーティング・ライ
ンあるいは合せ目とも呼ばれる)を構成する入れ子対向
面を第2の金型部は有し、第1の金型部と第2の金型部
とを型締めした状態で、入れ子対向面と入れ子との間の
クリアランス(C5A)を0mm乃至0.03mm(0m
m≦C5A≦0.03mm)とすることが望ましい。尚、
この場合、ゲート部を構成する第2の金型部の一部は、
金属材料、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウ
ム合金、銅合金から作製されている。
【0049】あるいは又、第5の構造の金型組立体にお
いては、ゲート部が、入れ子の一部と、第2の金型部に
取り付けられた低熱伝導部材とによって構成されている
構造とすることができる。尚、このような金型組立体
を、便宜上、第5Bの構造の金型組立体と呼ぶ場合があ
る。ゲート部として、例えば、サイドゲート形式、フィ
ルムゲート形式、オーバーラップゲート形式を挙げるこ
とができる。そして、この場合、第1の金型部と第2の
金型部との分割面を構成する入れ子対向面を低熱伝導部
材は有し、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした
状態で、入れ子対向面と入れ子との間のクリアランス
(C5B)を0mm乃至0.03mm(0mm≦C5B
0.03mm)とすることが望ましい。ここで、低熱伝
導部材は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec
・゜C以下の材料から構成されていることが望ましい。
【0050】更には、第5の構造の金型組立体において
は、ゲート部が入れ子に設けられている構造とすること
ができる。尚、このような金型組立体を、便宜上、第5
Cの構造の金型組立体と呼ぶ場合がある。ゲート部とし
て、例えば、ダイレクトゲート形式、ダイヤフラムゲー
ト形式、ピンゲート形式、サブマリンゲート形式、トン
ネルゲート形式を挙げることができる。
【0051】また、第5の構造の金型組立体において
は、ゲート部が、第1の金型部に取り付けられた第1の
低熱伝導部材と、第2の金型部に取り付けられた第2の
低熱伝導部材とによって構成されている構造とすること
ができる。尚、このような金型組立体を、便宜上、第5
Dの構造の金型組立体と呼ぶ場合がある。ゲート部とし
て、例えば、サイドゲート形式、フィルムゲート形式、
オーバーラップゲート形式を挙げることができる。この
場合、第1の低熱伝導部材には第2の低熱伝導部材と対
向する面が設けられ、第2の低熱伝導部材には第1の低
熱伝導部材と対向する面が設けられ、第1の金型部と第
2の金型部とを型締めした状態で、第1の金型部と第2
の金型部との分割面を構成するこれらの面の間のクリア
ランス(C 5D)を0mm乃至0.03mm(0mm≦C
5D≦0.03mm)とすることが望ましい。尚、第1の
低熱伝導部材及び第2の低熱伝導部材は、熱伝導率が2
×10-2cal/cm・sec・゜C以下の材料から構
成されていることが望ましい。
【0052】第5A〜第5Dの構造の金型組立体におい
ては、第2の金型部には入れ子被覆部が設けられてお
り、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態に
おいて、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランス
(C50)を0mm乃至0.03mm(0mm≦C50
0.03mm)とする構造とすることもできる。尚、入
れ子被覆部は、第1の金型部と第2の金型部との分割面
を構成する。
【0053】あるいは又、第5の構造の金型組立体にお
いては、第2の金型部に配設され、キャビティの一部を
構成し、厚さが0.1mm乃至10mmの第2の入れ子
を更に備え、第2の入れ子は、熱伝導率が2×10-2
al/cm・sec・゜C以下のセラミックス若しくは
ガラスから作製されている構造とすることもできる。こ
のような金型組立体を、便宜上、第5Eの構造の金型組
立体と呼ぶ場合がある。この場合、第1の金型部と第2
の金型部とを型締めした状態において、入れ子の第2の
入れ子と対向する面と、第2の入れ子の入れ子と対向す
る面との間のクリアランス(C5E)を0mm乃至0.0
3mm(0mm≦C5E≦0.03mm)とすることが望
ましい。尚、これらの対向する面のそれぞれは、第1の
金型部と第2の金型部との分割面を構成する。また、ゲ
ート部は、入れ子の一部と第2の入れ子の一部とによっ
て構成されていることが望ましく、あるいは又、ゲート
部は入れ子に設けられていることが望ましい。
【0054】以上の第5A〜第5Eの構造の金型組立体
においては、第1の金型部にはスプルーブッシュが取り
付けられ、スプルーブッシュは、熱伝導率が2×10-2
cal/cm・sec・゜C以下である低熱伝導材料か
ら作製されている構造とすることもできる。あるいは
又、第1の金型部にはスプルーブッシュが取り付けら
れ、スプルーブッシュは、熱伝導率が2×10-2cal
/cm・sec・゜C以下である低熱伝導材料と、金属
材料とから作製されている構造とすることもできる。ス
プルーブッシュを少なくとも低熱伝導材料から構成する
ことによって、スプルー内の溶融樹脂の冷却を遅延する
ことができ、ゲート部シール時間の延長を図ることが可
能となる。
【0055】また、以上の第5A〜第5Eの構造の金型
組立体においては、第1の金型部にはランナー部が設け
られ、ランナー部は、熱伝導率が2×10-2cal/c
m・sec・゜C以下である低熱伝導材料から作製され
ている構造とすることもできる。ランナー部をかかる低
熱伝導材料から構成することによって、ランナー部内の
溶融樹脂の冷却を遅延することができ、ゲート部シール
時間の延長を図ることが可能となる。ゲート部として、
例えば、ピンゲート形式、サブマリンゲート形式を挙げ
ることができる。
【0056】以上の第5A〜第5Eの構造の金型組立体
においては、第2の入れ子を構成する材料、低熱伝導部
材を構成する材料、第1及び/又は第2の低熱伝導部材
を構成する材料、スプルーブッシュを構成する低熱伝導
材料、あるいは又、ランナー部を構成する低熱伝導材料
を、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、Z
rO2−CeO2、ZrO2−MgO、ZrO2−Si
2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、
Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2
2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチ
タニアから成る群から選択されたセラミック、若しく
は、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガ
ラスから成る群から選択されたガラスとすることが好ま
しい。尚、入れ子を構成する材料と第2の入れ子を構成
する材料とは、同一の材料であってもよいし、同種の材
料であってもよいし、異種の材料であってもよい。ま
た、第1の低熱伝導部材を構成する材料と第2の低熱伝
導部材を構成する材料とは、同一の材料であってもよい
し、同種の材料であってもよいし、異種の材料であって
もよい。第2の入れ子を構成する材料、低熱伝導部材を
構成する材料、第1及び/又は第2の低熱伝導部材を構
成する材料、スプルーブッシュを構成する低熱伝導材
料、あるいは又、ランナー部を構成する低熱伝導材料
を、同一の材料としてもよいし、同種の材料としてもよ
いし、異種の材料としてもよい。第2の入れ子の厚さが
0.1mm未満の場合、第2の入れ子による断熱効果が
少なくなり、キャビティ内に射出された溶融樹脂の急冷
を招く。また、金型部に第2の入れ子を固定する際に
は、例えば熱硬化性接着剤を用いて第2の入れ子を金型
部に接着すればよいが、第2の入れ子の厚さが0.1m
m未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると第2の入
れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうねる
現象が生じたり、キャビティ内に射出された溶融樹脂の
圧力によって第2の入れ子が破損することがある。一
方、第2の入れ子の厚さが10mmを越える場合、第2
の入れ子による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ
内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取り出し後
に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクル
の延長といった問題が発生することがある。尚、第2の
入れ子の厚さは、0.1mm乃至10mm、好ましく
は、0.5mm乃至10mm、より好ましくは1mm乃
至7mm、一層好ましくは2mm乃至5mmである。低
熱伝導部材、第1及び/又は第2の低熱伝導部材、スプ
ルーブッシュ、あるいは又、ランナー部の肉厚も、0.
1mm乃至10mm、好ましくは、0.5mm乃至10
mm、より好ましくは1mm乃至7mm、一層好ましく
は2mm乃至5mmであることが望ましい。これらの肉
厚が0.1mm未満の場合、断熱効果が少なくなり、ゲ
ート部やスプルーブッシュ、ランナー部内に射出された
溶融樹脂の急冷を招き、ゲート部シール時間が短くな
り、保圧の期間が短縮し、金型のキャビティを構成する
面の成形品への転写性の向上を図れなくなる場合があ
る。一方、これらの肉厚が10mmを越える場合、断熱
効果が大きくなり過ぎ、樹脂の冷却時間を延長しなけれ
ばならなくなる場合がある。
【0057】第5A〜第5Eの構造の金型組立体におい
ては、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態
で、クリアランス(C50,C5A,C5B,C5D,C5E
を、0mm以上0.03mm以下(0mm≦C50
5A,C5B,C5D,C5E≦0.03mm)、実用的には
0.001mm以上0.03mm以下(0.001mm
≦C 50,C5A,C5B,C5D,C5E≦0.03mm)、好
ましくは0.003mm以上0.03mm以下(0.0
03mm≦C50,C5A,C5B,C5D,C5E≦0.03m
m)とすることが望ましい。クリアランス(C50
5A,C5B,C5D,C5E)が0.03mmを越えると、
溶融樹脂が、かかるクリアランスを有する隙間に侵入
し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、成形品に
バリが発生したり、金型部から成形品を取り出す際に入
れ子が損傷するといった問題も生じる。
【0058】場合によっては、金型組立体を、成形品の
成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造とするこ
とができる。この場合、例えば油圧シリンダーで可動さ
せることができる可動中子を金型組立体に配設すればよ
い。そして、かかる構造の金型組立体を使用し、型締め
時、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティ
の容積(VC)が大きくなるように、金型とを型締め
し、且つ、キャビティ内における可動中子の配置位置を
制御し、該キャビティ(容積:VC)内に溶融した熱可
塑性樹脂を射出し、熱可塑性樹脂の射出開始前、開始と
同時に、射出中に、あるいは射出完了後(射出完了と同
時を含む)、可動中子を移動させて、キャビティの容積
を成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させてもよ
い。尚、キャビティの容積が成形すべき成形品の容積
(VM)となる時点を、熱可塑性樹脂の射出中、あるい
は射出完了後(射出完了と同時を含む)とすることがで
きる。
【0059】上記の型締め時、成形すべき成形品の容積
(VM)とキャビティの容積(VC)の関係は、成形すべ
き成形品の厚さをt0とし、型締め時における成形品の
厚さ方向のキャビティの距離をt1とし、Δt=t1−t
0としたとき、0.1mm≦Δt≦6mmとなるような
関係であることが好ましい。Δt<0.1mmでは、流
動性の悪い溶融熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形する
ことが困難となる場合があり、成形品に残留する応力を
小さくすることができなくなる虞がある。Δt>6mm
では、成形品中に空気が巻き込まれ、成形品の品質が劣
化する虞がある。
【0060】あるいは又、本発明においては、金型組立
体に加圧流体注入装置を更に備え、キャビティ内に射出
された溶融樹脂内に、加圧流体注入装置から加圧流体を
注入し、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に中
空部を形成することもできる。加圧流体注入装置の取り
付け位置は、成形すべき成形品の形状等に依存して、射
出成形装置の溶融樹脂射出ノズル内、ゲート部内、ある
いは、金型部に配設されそしてキャビティに開口する加
圧流体注入装置取付部から適宜選択すればよい。キャビ
ティ内に射出された溶融樹脂内への加圧流体の注入開始
の時点は、溶融樹脂の射出中、射出完了と同時、あるい
は射出完了後とすることができる。キャビティ内の樹脂
内への加圧流体の注入は、キャビティ内の樹脂が冷却、
固化した後も続けることが好ましい。キャビティ内へ射
出する溶融樹脂の量は、キャビティ内を溶融樹脂で完全
に充填するために必要な量であってもよいし、成形品に
依っては、キャビティ内を溶融樹脂で完全に充填するに
は不十分な量であってもよい。
【0061】ここで、使用に適した加圧流体としては、
常温・常圧下でガス状あるいは液状の流体であって、溶
融樹脂内への注入時、溶融樹脂と反応したり混合しない
ものが望ましい。具体的には、窒素ガス、炭酸ガス、空
気、ヘリウムガス等、常温でガス状の物質、水等の液
体、高圧下で液化したガスを使用することができるが、
中でも、窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが好ま
しい。尚、注入する加圧流体は、成形品の中空部に断熱
圧縮による焼けが生じないような不活性な加圧流体であ
ることが、一層好ましく、窒素ガスを用いる場合、純度
90%以上のものを使用することが望ましい。更には、
加圧流体として、発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等を使
用することもできる。尚、この場合には、中空部に発泡
性樹脂、繊維強化樹脂材料等が充填されるが、このよう
な構造も中空部という概念に含める。
【0062】本発明の表面がメッキされた成形品あるい
はその製造方法においては、メッキを施す前の、入れ子
と接していた成形品表面の像鮮明度Cは、80%以上で
あることが望ましい。尚、メッキを施す前にエッチング
を行う場合には、メッキを施す前の入れ子と接していた
成形品表面の像鮮明度Cとは、エッチング前の成形品表
面の像鮮明度を指す。ここで、像鮮明度Cは、JIS
H 8686で規定されており、光源から45度の入射
角で試料に入射し、試料から45度の射出角で射出(反
射)した射出光を光学櫛を通過させ、受光器で受光し、
受光出力(光量)の波形に基づき写像性を像鮮明度Cと
して求めることができる。光学櫛として、暗部明部の比
が1:1で、その幅が0.5mmのものを用いる。10
点を測定して平均値を求める。また、測定範囲を直径2
0mmとする。尚、成形品の測定部位が曲面である場合
には、測定部位として曲率の大きい部位を選定して成形
品を切削し、測定し、測定時には、3kgの試料押えを
用いて、出来る限り測定部位を平面に近づけて測定す
る。像鮮明度Cは、以下の式から求めることができる。
ここで、Mは最高波形における受光出力の値であり、m
は最低波形における受光出力の値である。尚、像鮮明度
Cの値が大きいほど成形品の写像性が良く、成形品表面
の凹凸が少なく、一方、像鮮明度Cの値が小さくれば、
成形品の写像性が悪く、成形品表面の凹凸が大きい。
【0063】 C=(M−m)/(M+m)×100 (%)
【0064】本発明の表面がメッキされた成形品あるい
はその製造方法において、メッキを施す前の、入れ子と
接していた成形品表面の表面粗さRyは、JIS B0
601に基づき測定すればよく、その値は、2μm以下
であることが望ましい。尚、メッキを施す前にエッチン
グを行う場合には、メッキを施す前の入れ子と接してい
た成形品表面の表面粗さRyとは、エッチング前の成形
品表面の表面粗さを指す。
【0065】成形品の成形方法として、熱可塑性樹脂を
成形するために一般的に用いられる射出成形法や射出圧
縮成形法を例示することができる。
【0066】本発明における表面がメッキされた成形品
として、ルームミラー、ドアミラー、フェンダーミラ
ー、スピードメーターに内蔵されるミラー等の車両車載
ミラーフェンダーミラーのボディー部やカバーベース、
カウル、ラジエターグリル、ガーニッシュ、エンブレ
ム、モール、ドアハンドルといった車両用部品、水道配
管部品、各種ツマミ類、カメラ用ダハミラー、複写機用
光学系ミラー、レーザービームプリンター用ポリゴンミ
ラー等の光学系ミラー、リフレクター(ヘッドランプ、
ターンランプ、サーチライト、回転灯、非常灯等に組み
込まれている)、電磁波シールド部品(携帯電話やパー
ソナルコンピュータ等)、各種電子回路を例示すること
ができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】本発明においては、入れ子を金型の内部に
配設することによって、キャビティ内に射出された溶融
樹脂が急冷されることを防止し得る。それ故、例えば、
樹脂相中にゴム相が島状に分散したゴム強化熱可塑性樹
脂を用いた場合であっても、金型のキャビティ面と接触
した溶融樹脂の表層部分に固化層が形成され難く、キャ
ビティ内を溶融樹脂が流動しているときに、ゴム成分が
剪断応力を受けて破断し、極小化するといった現象の発
生を回避することができる。その結果、メッキ時、エッ
チングを行ったとき、成形品表面からゴム成分が容易に
除去され、成形品表面とメッキ層との間の密着性の向上
を図ることができる。
【0068】また、例えばガラス繊維等の無機繊維を含
有する熱可塑性樹脂に基づき表面がメッキされた成形品
を製造する場合にも、キャビティ内に射出された溶融樹
脂が、金型のキャビティ面と接触した時、瞬時に冷却さ
れ始めることを防止し得る。それ故、金型のキャビティ
面と接触した溶融樹脂の表層部分に固化層が形成され難
く、無機繊維が析出することを回避することができる。
その結果、優れたメッキ性を有する成形品を得ることが
できるし、表面が平滑な成形品を得ることができる。
【0069】更には、結晶性の熱可塑性樹脂に基づき表
面がメッキされた成形品を製造する場合にも、キャビテ
ィ内に射出された溶融樹脂が、金型のキャビティ面と接
触した時、瞬時に冷却され始めることを防止し得る。そ
れ故、成形品の表面にスキン層が実質的に形成されるこ
とを防止し得る。その結果、成形品の表面とメッキ層と
の間の密着性の向上を図ることができる。尚、ミクロト
ームを用いて厚さ0.5〜10μmの薄肉切片を成形品
から切り出し、偏光顕微鏡を用いてこの薄肉切片を観察
することによって、スキン層の測定を行うことができ
る。
【0070】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明する。
【0071】(実施例1)実施例1においては、第2の
構造の金型組立体を用いて成形品を成形し、かかる成形
品の表面にメッキを施した。実施例1にて用いた金型組
立体を型締めしたときの模式的な端面図を図1の(A)
に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図2に示
す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図
を、図1の(B)及び(C)に示す。
【0072】実施例1にて用いた金型組立体は、熱可塑
性樹脂に基づき成形品を成形するための第1の金型部
(可動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)2
0と、第1の金型部10に配設され、キャビティ40の
一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ子50と、第
2の金型部20に設けられたゲート部30とを備えてい
る。そして、第2の金型部20には、入れ子被覆部22
が設けられている。具体的には、入れ子被覆部22は、
入れ子50のキャビティ面50Aと対向する第2の金型
部20の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)2
1である。
【0073】図1の(A)に示すように、第1の金型部
10と第2の金型部20とを型締めした状態において、
入れ子50と入れ子被覆部22との間のクリアランス
(C21)を0.03mm以下(C21≦0.03mm)と
する。また、入れ子50に対する入れ子被覆部22の重
なり量(ΔS21)を0.5mm以上(ΔS21≧0.5m
m)とする。実施例1においては、入れ子50を構成す
る材料として、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y2
3)を用いた。この部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y
23)の熱伝導率は0.9×10-2cal/cm・se
c・゜Cである。
【0074】実施例1にて用いた金型組立体におけるキ
ャビティ40の大きさは、100mm×100mm×3
mmであり、形状は直方体である。入れ子50の大きさ
は、102.00mm×102.00mm×3.00m
mである。尚、入れ子50を研削加工にて作製し、入れ
子50のキャビティ面50Aに対して、ダイヤモンド砥
石を用いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子50のキャ
ビティ面50Aの表面粗さRyを0.02μmとした。
【0075】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子50のための入れ子装着
部11の内寸法が102.20mm×102.20m
m、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入
れ子装着部11を設け(図1の(B)参照)、次いで、
入れ子50をシリコン系接着剤(図示せず)を用いて入
れ子装着部11内に接着した(図1の(C)参照)。
【0076】一方、第2の金型部(固定金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部(固定金型
部)20の中央に直径5mmのダイレクトゲートから成
るゲート部30を設けた。
【0077】このように作製した第1の金型部(可動金
型部)10及び第2の金型部(固定金型部)20を組み
付けて実施例1にて用いた金型組立体を得た。この金型
組立体において、入れ子50と入れ子被覆部22との間
のクリアランス(C21)は0.02mm(C21=0.0
2mm)であった。また、入れ子50に対する入れ子被
覆部22の重なり量(ΔS21)は1.0mm(ΔS21
1.0mm)であった。以上のとおり、入れ子50の端
部とキャビティ40に射出される溶融樹脂との間には接
触がない構造とした。
【0078】成形装置として住友重機械株式会社製、S
H−100射出成形機を用い、金型組立体を80゜Cに
加熱した。熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂
とABS樹脂から成るアロイ材料(三菱エンジニアリン
グプラスチックス株式会社製、商品名ユーピロンPL
1)を用いて、射出成形を行なった。成形条件を、金型
温度80゜C、樹脂温度260゜C、射出圧力800k
gf/cm2−G、射出速度100mm/秒とした。キ
ャビティ40を完全に充填する量の溶融熱可塑性樹脂4
1を溶融樹脂41をゲート部30を介してキャビティ4
0内に射出した。射出開始から1秒後に射出を完了した
(図3参照)。その後、熱可塑性樹脂を冷却、固化し、
射出開始から30秒後に金型組立体を型開きし、成形品
を金型組立体から取り出した。尚、保圧時間は8秒であ
った。連続して成形を10000サイクル行ったが、入
れ子50に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0079】得られた成形品の写像性を像鮮明度Cから
求めた。尚、像鮮明度Cの測定には、スガ試験機製IC
M−2DP表面写像性測定機を使用した。その結果、入
れ子50と接していた成形品表面の像鮮明度Cの値は9
8%であった。また、表面粗さRyは0.3μmであっ
た。
【0080】その後、バリ取り等の前処理工程を行い、
[1]成形品の表面からゴム成分を除去するために、6
0゜Cのエッチング液(CrO3400グラム/リット
ル、H2SO420容量%)に15分間、浸漬することに
よる化学的エッチング工程、[2]中和工程、[3]2
0゜Cのキャタライザー(奥野製薬工業株式会社製、
「キャタリスト−A」)に2分間、浸漬した後、40゜
Cのアクセラレーター(H2SO410容量%)に3分
間、浸漬することによる活性化処理工程、[4]奥野製
薬工業株式会社製の「N−100」をメッキ液として用
い、30゜C、10分間、浸漬することによる無電解銅
メッキ工程、[5]硫酸銅200グラム/リットル、H
2SO450グラム/リットル、光沢剤(シエーリング社
製「カバラジド」)1ミリリットル/リットルの組成の
メッキ液を用い、電流密度4A/dm 2の条件で60分
間、浸漬することによる電解銅メッキ工程を実行し、成
形品の表面に銅から成るメッキ層を形成した。尚、入れ
子50と接していた成形品の表面にメッキ層を形成し
た。その後、80゜C、2時間のベーキング処理を行っ
た。
【0081】得られた表面がメッキされた成形品のメッ
キ層に対して碁盤目剥離試験(カッターでメッキ層に5
×5=25個の升目を刻み、セロハンテープを用いて9
0度剥離を行う試験法)を行った。その結果、25個の
升目において成形品の表面からのメッキ層の剥離は全く
認められなかった。その後、−20゜C(4時間)〜8
0゜C(4時間)、500サイクルの冷熱試験を行っ
た。そして、再び、碁盤目剥離試験を行った。その結
果、25個の升目において成形品の表面からのメッキ層
の剥離は全く認められなかった。また、成形品の表面か
らメッキ層が剥離し、膨れが生じるといった現象も認め
られなかった。
【0082】(実施例2)実施例2においては、入れ子
50を構成する材料として、部分安定化ジルコニア(Z
rO2−CeO2)を用い、実施例1と同様の金型組立体
を得た。尚、この部分安定化ジルコニア(ZrO2−C
eO2)の熱伝導率は1.0×10-2cal/cm・s
ec・゜Cである。完成した金型組立体を成形装置に取
り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜
Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジ
ルコニア(ZrO2−CeO2)から作製された入れ子5
0に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0083】実施例1と同じ成形装置を用い、金型組立
体を80゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、ガラス
繊維添加のポリカーボネート樹脂とABS樹脂から成る
アロイ材料(平均直径13mm、平均長さ200μmの
ガラス繊維を20重量%添加)を用いて、射出成形を行
なった。成形条件を、金型温度80゜C、樹脂温度28
0゜C、射出圧力800kgf/cm2−G、射出速度
100mm/秒とした。キャビティ40を完全に充填す
る量の溶融熱可塑性樹脂41を溶融樹脂41をゲート部
30を介してキャビティ40内に射出した。射出開始か
ら1秒後に射出を完了した。その後、熱可塑性樹脂を冷
却、固化し、射出開始から30秒後に金型組立体を型開
きし、成形品を金型組立体から取り出した。尚、保圧時
間は10秒であった。連続して成形を10000サイク
ル行ったが、入れ子50に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0084】その後、実施例1と同様にして、得られた
成形品の写像性を像鮮明度Cから求めた。その結果、入
れ子50と接していた成形品表面の像鮮明度Cの値は8
5%であった。また、表面粗さRyは1.2μmであっ
た。成形品の表面にガラス繊維の析出は認められなかっ
た。
【0085】その後、実施例1と同様にして、入れ子5
0と接していた成形品の表面に銅から成るメッキ層を形
成した。そして、得られた表面がメッキされた成形品の
メッキ層に対して碁盤目剥離試験を行い、その後、実施
例1と同様の冷熱試験を行い、再び、碁盤目剥離試験を
行った。その結果、冷熱試験の前後における試料におい
て、25個の升目において成形品の表面からのメッキ層
の剥離は全く認められなかった。また、成形品の表面か
らメッキ層が剥離し、膨れが生じるといった現象も認め
られなかった。
【0086】(実施例3)実施例3においては、実施例
1と同じ入れ子50を用い、実施例1と同様の金型組立
体を得た。そして、実施例1と同じ成形装置を用い、金
型組立体を80゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、
ポリオキシメチレン(POM)樹脂(三菱エンジニアリ
ングプラスチックス株式会社製、商品名ユピタール F
20−03)を用いて、射出成形を行なった。成形条件
を、金型温度80゜C、樹脂温度190゜C、射出圧力
800kgf/cm2−G、射出速度100mm/秒と
した。キャビティ40を完全に充填する量の溶融熱可塑
性樹脂41を溶融樹脂41をゲート部30を介してキャ
ビティ40内に射出した。射出開始から1.2秒後に射
出を完了した。その後、熱可塑性樹脂を冷却、固化し、
射出開始から30秒後に金型組立体を型開きし、成形品
を金型組立体から取り出した。尚、保圧時間は9秒であ
った。連続して成形を10000サイクル行ったが、入
れ子50に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0087】その後、実施例1と同様にして、得られた
成形品の写像性を像鮮明度Cから求めた。その結果、入
れ子50と接していた成形品表面の像鮮明度Cの値は9
5%であった。また、表面粗さRyは0.4μmであっ
た。
【0088】その後、実施例1と同様にして、入れ子5
0と接していた成形品の表面に銅から成るメッキ層を形
成した。そして、得られた表面がメッキされた成形品の
メッキ層に対して碁盤目剥離試験を行い、その後、実施
例1と同様の冷熱試験を行い、再び、碁盤目剥離試験を
行った。その結果、冷熱試験の前後における試料におい
て、25個の升目において成形品の表面からのメッキ層
の剥離は全く認められなかった。また、成形品の表面か
らメッキ層が剥離し、膨れが生じるといった現象も認め
られなかった。
【0089】(比較例1)比較例1にて用いた金型組立
体の模式的な端面図を図46に示す。炭素鋼(熱伝導率
11×10-2cal/cm・sec・゜C)から作製し
た第1の金型部(固定金型部)100、及び、表面粗さ
yを0.02μmまで鏡面仕上げをした金型部のキャ
ビティ面を有する第2の金型部(可動金型部)101か
ら構成された金型組立体を用いて、実施例1と同じ熱可
塑性樹脂を使用し、実施例1と同じ成形条件にて成形を
行った。ここで、参照番号102はゲート部であり、参
照番号103はキャビティである。尚、保圧時間は8秒
であった。
【0090】その後、実施例1と同様にして、得られた
成形品の写像性を像鮮明度Cから求めた。その結果、第
2の金型部(可動金型部)101のキャビティ面と接し
ていた成形品表面の像鮮明度Cの値は70%であった。
また、表面粗さRyは5.0μmであった。
【0091】その後、実施例1と同様にして、第2の金
型部(可動金型部)101のキャビティ面と接していた
成形品の表面に銅から成るメッキ層を形成した。そし
て、実施例1と同様の冷熱試験を行い、碁盤目剥離試験
を行った。その結果、冷熱試験後における試料におい
て、25個の升目中15の升目において成形品の表面か
らのメッキ層の剥離が認められた。また、成形品の表面
からメッキ層が剥離し、膨れが生じるといった現象も認
められた。
【0092】(比較例2)比較例2においては、比較例
1と同様に、端面図を図46に示す金型組立体を用い
た。そして、実施例2と同じ熱可塑性樹脂を使用し、実
施例2と同じ成形条件にて成形を行った。尚、保圧時間
は10秒であった。得られた成形品の表面にはガラス繊
維の析出が認められ、成形品の表面は凹凸であった。そ
の後、実施例1と同様にして、第2の金型部(可動金型
部)101のキャビティ面と接していた成形品の表面に
銅から成るメッキ層を形成した。そして、実施例1と同
様の冷熱試験を行い、碁盤目剥離試験を行った。その結
果、冷熱試験後における試料において、25個の升目の
全てにおいて成形品の表面からのメッキ層の剥離が認め
られた。また、成形品の表面からメッキ層が剥離し、膨
れが生じるといった現象も認められた。
【0093】メッキ前の成形品に対して、実施例1と同
様にして、写像性を像鮮明度Cから求めた。その結果、
第2の金型部(可動金型部)101のキャビティ面と接
していた成形品表面の像鮮明度Cの値は40%であっ
た。また、表面粗さRyは10μmであった。
【0094】(比較例3)比較例3においては、比較例
1と同様に、端面図を図46に示す金型組立体を用い
た。そして、実施例3と同じ熱可塑性樹脂を使用し、実
施例3と同じ成形条件にて成形を行った。その後、実施
例1と同様にして、第2の金型部(可動金型部)101
のキャビティ面と接していた成形品の表面に銅から成る
メッキ層を形成した。そして、実施例1と同様の冷熱試
験を行い、碁盤目剥離試験を行った。その結果、冷熱試
験後における試料において、25個の升目中18の升目
において成形品の表面からのメッキ層の剥離が認められ
た。また、成形品の表面からメッキ層が剥離し、膨れが
生じるといった現象も認められた。
【0095】以下、本発明の表面がメッキされた成形品
及びその製造方法において使用に適した金型組立体の変
形例を説明する。
【0096】(第3の構造の金型組立体)第3の構造の
金型組立体を型締めしたときの模式的な端面図を図4の
(A)及び(B)に示し、型開きしたときの模式的な端
面図を図6に示す。また、組み立て中の第3の構造の金
型組立体の模式的な端面図を、図5の(A)、(B)及
び(C)に示す。尚、図4の(A)、図5の(A)〜
(C)及び図6は、垂直面で被覆プレートを含む第3の
構造の金型組立体の領域を切断したときの図であり、図
4の(B)はかかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレー
トを含まない第3の構造の金型組立体の領域を切断した
ときの図である。
【0097】第3の構造の金型組立体においては、金型
は、第1の金型部(固定金型部)10及び第2の金型部
(可動金型部)20と、第1の金型部10に配設され、
キャビティの一部を構成し、厚さが3.00mmの入れ
子50と、入れ子50と第2の金型部20との間に配設
され、第1の金型部10に取り付けられ、ゲート部31
が設けられた被覆プレート32とを備えている。そし
て、第2の金型部20には、入れ子被覆部22が設けら
れている。入れ子被覆部22は、入れ子50のキャビテ
ィ面50Aと対向する第2の金型部20の面に設けられ
た一種の切り込み(切り欠き)21である。
【0098】第1の金型部10と第2の金型部20とを
型締めした状態において(図4の(A)参照)、入れ子
50と入れ子被覆部22との間のクリアランス(C31
を0.03mm以下(C31≦0.03mm)とし、入れ
子50に対する入れ子被覆部22の重なり量(ΔS31
を0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm)とする。ま
た、被覆プレート32の入れ子と対向する面33と、入
れ子50との間のクリアランス(C32)を0.03mm
以下(C32≦0.03mm)とし、入れ子50に対する
被覆プレート32の重なり量(ΔS32)を0.5mm以
上(ΔS32≧0.5mm)とする。図4の(A)及び
(B)に示すように、被覆プレート32は入れ子50の
一部分と一部分とのみ重なり合っている。第3の構造の
金型組立体においては、入れ子50を構成する材料とし
てジルコニア(ZrO2)を用いた。尚、その代わり
に、ZrO2−Y23又はZrO2−CeO2といった部
分安定化ジルコニア、あるいは結晶化ガラスから作製し
てもよい。図に示した第3の構造の金型組立体におい
て、被覆プレート32に設けられたゲート部31は、ダ
イレクトゲート構造である。
【0099】第3の構造の金型組立体におけるキャビテ
ィ40の大きさは、100mm×100mm×4mmで
あり、形状は直方体である。入れ子50の大きさは、1
02.00mm×102.00mm×3.00mmであ
る。尚、入れ子50を研削加工にて作製し、入れ子50
のキャビティ面50Aに対して、ダイヤモンド砥石を用
いた研磨及び仕上げを行ない、入れ子50のキャビティ
面50Aの表面粗さR yを0.02μmとした。
【0100】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子50のための入れ子装着
部11の内寸法が102.20mm×102.20m
m、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入
れ子装着部11を設け(図5の(A)参照)、次いで、
入れ子50をシリコン系接着剤(図示せず)を用いて入
れ子装着部11内に接着した(図5の(B)参照)。
【0101】炭素鋼にて被覆プレート32を作製し、所
定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部10に取
り付けた(図5の(C)参照)。尚、被覆プレート32
にはゲート部31が設けられている。被覆プレート32
の入れ子と対向する面33と、入れ子50との間のクリ
アランス(C32)は0.02mm(C32=0.02m
m)であり、入れ子50に対する被覆プレート32の重
なり量(ΔS32)は1.0mm(ΔS32=1.0mm)
であった。
【0102】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。
【0103】このように作製した第1の金型部(固定金
型部)10及び第2の金型部(可動金型部)20を組み
付けて第3の構造の金型組立体を得た。この第3の構造
の金型組立体において、入れ子50と入れ子被覆部22
との間のクリアランス(C31)は0.02mm(C31
0.02mm)であった。また、入れ子50に対する入
れ子被覆部22の重なり量(ΔS31)は1.0mm(Δ
31=1.0mm)であった。以上のとおり、入れ子5
0の端部とキャビティ40に射出される溶融樹脂との間
には接触がない構造とした。
【0104】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製
された入れ子50に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0105】(第3の構造の金型組立体の変形例−1)
例えば、図7の(A)に模式的に示すように、成形品の
成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する
金型組立体とすることもできる。この場合、例えば油圧
シリンダー(図示せず)で可動させることができる可動
中子60を金型組立体のキャビティ40内に配設すれば
よい。尚、図7の(A)に示す例においては、可動中子
60を第3の構造の金型組立体に組み込んだ。そして、
成形品の成形においては、型締め時、成形すべき成形品
の容積(VM)よりもキャビティ40の容積(VC)が大
きくなるように、第1の金型部10と第2の金型部20
とを型締めし、且つ、キャビティ内における可動中子6
0の配置位置を制御する。そして、キャビティ(容積:
C)40内に溶融した熱可塑性樹脂41を射出し、熱
可塑性樹脂の射出開始前、開始と同時に、射出中に、あ
るいは射出完了後(射出完了と同時を含む)、図示しな
い油圧シリンダーの作動によって可動中子60を移動さ
せて、キャビティ40の容積を成形すべき成形品の容積
(VM)まで減少させる。この状態を図7の(B)に模
式的に示す。このように、成形品の成形時、キャビティ
40の容積を可変とし得る構造を有する金型組立体を用
いれば、成形品の表面を均一に圧縮することが可能とな
ることから、成形品の表面にヒケが発生することを抑制
することができる。
【0106】(第3の構造の金型組立体の変形例−2)
あるいは又、図8の(A)に模式的に示すように、加圧
流体注入装置61を更に備えた金型組立体を用いること
もできる。尚、図8の(A)に示す例においては、加圧
流体注入装置61の取り付け位置は、第2の金型部20
に配設されそしてキャビティ40に開口する加圧流体注
入装置取付部とした。そして、キャビティ40内に射出
された溶融熱可塑性樹脂41内に、加圧流体注入装置6
1から加圧流体を注入し、以て、キャビティ40内の溶
融熱可塑性樹脂41の内部に中空部41Aを形成する。
尚、キャビティ40内への溶融熱可塑性樹脂41の射出
完了時の状態を図8の(B)に模式的に示し、溶融熱可
塑性樹脂41内への加圧流体の注入完了の状態を図9に
模式的に示す。このように、キャビティ40内の溶融熱
可塑性樹脂41中に加圧流体を注入すれば、キャビティ
40内の樹脂はキャビティ面に向かって加圧される結
果、成形品にヒケが発生することを確実に防止し得る。
しかも、入れ子50と接触する溶融樹脂の冷却・固化が
遅延されるので、入れ子50のキャビティ面50A近傍
の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混じ
り合うといった現象の発生を回避することができ、肉厚
部近傍の成形品表面に外観不良が発生することを防止し
得る。
【0107】(第4の構造の金型組立体)第4の構造の
金型組立体の模式的な端面図を、図10に示す。また、
組み立て中の第4の構造の金型組立体の模式的な端面図
を、図11〜図13に示す。尚、図10の(A)、図1
1の(A),(C)、図12の(A),(C)及び図1
3の(A)は、垂直面で被覆プレートを含む第4の構造
の金型組立体の領域を切断したときの図であり、図10
の(B)、図11の(B),(D)、図12の(B),
(D)及び図13の(B)は、かかる垂直面と平行な垂
直面で被覆プレートを含まない第4の構造の金型組立体
の領域を切断したときの図である。
【0108】第4の構造の金型組立体においては、金型
は、熱可塑性樹脂に基づき成形品を成形するための第1
の金型部(固定金型部)10及び第2の金型部(可動金
型部)20と、第1の金型部(固定金型部)10に配設
され、キャビティ40の一部を構成し、厚さが3.00
mmの第1の入れ子51と、第2の金型部(可動金型
部)20に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
厚さが2.00mmの第2の入れ子52と、第1の入れ
子51と第2の入れ子52との間に配設され、第1及び
第2の金型部10,20に取り付けられ、ゲート部31
が設けられた被覆プレート32,34とを備えている。
【0109】第4の構造の金型組立体におけるキャビテ
ィ40の大きさは100mm×100mm×3mmであ
り、形状は直方体である。第1の入れ子51及び第2の
入れ子52をジルコニアから研削加工にて作製した。第
1の入れ子51の大きさは、102.00mm×10
2.00mm×3.00mmである。第1の入れ子51
のキャビティ面51Aに対して、ダイヤモンド砥石を用
いた研磨及び仕上げを行ない、第1の入れ子51のキャ
ビティ面51Aの表面粗さRyを0.02μmとした。
使用したジルコニアの熱伝導率は0.8×10-2cal
/cm・sec・゜Cである。尚、その代わりに、Zr
2−Y23又はZrO2−CeO2といった部分安定化
ジルコニア、あるいは結晶化ガラスから作製してもよ
い。
【0110】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。第1の入れ子51のための入れ
子装着部11の内寸法が102.20mm×102.2
0mm、深さが3.02mmとなるように切削加工を行
い、第1の金型部10に入れ子装着部11を設けた(図
11の(C)及び(D)参照)。尚、参照番号13は、
第1の被覆プレート取付部である。次いで、第1の入れ
子51を、シリコン系接着剤(図示せず)を用いて、入
れ子装着部11内に接着した(図12の(C)及び
(D)参照)。
【0111】ジルコニアをキャビティ面が凹形状になる
ようにプレス成形後、焼成することによって、第2の入
れ子52を作製した。第2の入れ子52には凹部が設け
られている。第2の入れ子52の外形寸法は106.0
0mm×106.00mmである。また、凹部の寸法は
100.00mm×100.00mmであり、凹部の底
面52Bの厚さは2.00mmであり、底面からの立ち
上がり部52Cの厚さ(高さ)は5.00mmである。
従って、キャビティ40を形成する部分の高さ(厚さ)
は3.00mmである。第2の入れ子52の凹部の底面
52B及び立ち上がり部52Cの内側面52A(これら
の面はキャビティ面である)に対して、ダイヤモンド砥
石を用いた研磨及び仕上げを行ない、これらの面の表面
粗さRyを0.02μmとした。更には、第2の入れ子
52の凹部の底面52Bと立ち上がり部52Cの境界部
を、半径0.1mmの曲面とした。尚、第2の金型部2
0に第2の被覆プレート34を取り付けるために、第2
の入れ子52の立ち上がり部52Cの一部は除去された
形状となっている(図12の(A)及び(B)参照)。
【0112】第2の金型部(可動金型部)20を炭素鋼
S55Cから作製した。そして、第2の入れ子52のた
めの入れ子装着部23の内寸法が106.20mm×1
06.20mm、深さが5.02mmとなるように切削
加工を行い、第2の金型部20に入れ子装着部23を設
けた(図11の(A)及び(B)参照)。尚、参照番号
24は、第2の被覆プレート取付部である。次いで、第
2の入れ子52を、シリコン系接着剤(図示せず)を用
いて、入れ子装着部23内に接着した(図12の(A)
及び(B)参照)。
【0113】炭素鋼にて第1の被覆プレート32を作製
し、所定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部1
0に固定した(図13の(B)参照)。尚、第1の被覆
プレート32には、ゲート部の一部31Aが形成されて
いる。また、炭素鋼にて第2の被覆プレート34を作製
し、所定位置にボルト(図示せず)にて第2の金型部2
0に固定した(図13の(A)参照)。尚、第2の被覆
プレート34には、ゲート部の一部31Bが形成されて
いる。第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態
において、第1の被覆プレート32及び第2の被覆プレ
ート34によって、ゲート部31が構成される。
【0114】このように作製した第1の金型部(固定金
型部)10と第2の金型部(可動金型部)20を組み付
けて第4の構造の金型組立体を得た。この金型組立体に
おいて、第1の金型部10と第2の金型部20とを型締
めした状態で、第1の入れ子51の第2の入れ子と対向
する面51Aと、第2の入れ子52の第1の入れ子と対
向する面52Dとの間のクリアランス(C40)は0.0
1mmであった。また、第1の被覆プレート32の第1
の入れ子と対向する面33と第1の入れ子51との間の
クリアランス(C41)、第2の被覆プレート34の第2
の入れ子と対向する面35と第2の入れ子52との間の
クリアランス(C42)は、それぞれ0.01mmであっ
た。更には、第1の入れ子51の第2の入れ子と対向す
る面51Aと、第2の入れ子52の第1の入れ子と対向
する面52Dとの重なり量(ΔS 40)は1.0mmであ
り、第1の入れ子51に対する第1の被覆プレート32
の重なり量(ΔS41)は1.0mmであった。一方、第
2の入れ子52に対する第2の被覆プレート34の重な
り量(ΔS42)は3.0mmであった。尚、第1及び第
2の被覆プレート32,34は第1及び第2の入れ子5
1,52の一部分とのみ重なり合っている。
【0115】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製
された第1及び第2の入れ子51,52に割れ等の損傷
は発生しなかった。
【0116】第2〜第4の構造の金型組立体によれば、
入れ子を、所定のクリアランスや重なり量の範囲内で入
れ子被覆部や被覆プレートによって抑えることで、成形
品端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部にバ
リが発生しなくなり、更には、入れ子外周部に残ってい
る微細なクレーズと溶融熱可塑性樹脂が接触しなくなる
ために入れ子の破損を防止し得る。しかも、場合によっ
ては、被覆プレートを金型の内部に配設する必要がな
く、また、被覆プレートを金型部の内部に配設する場合
にあっても、被覆プレートがゲート部を兼ねるので、入
れ子の配設位置に制約を受けることが少なく、優れた表
面特性を付与すべき成形品の部分に対応した金型部に入
れ子を配設することが可能となる。
【0117】(第1の構造の金型組立体)第1の構造の
金型組立体の一具体例を、図14の(A)の模式的な一
部端面図に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式
的な端面図を、図14の(B)及び(C)に示す。
【0118】第1の構造の金型組立体におけるキャビテ
ィ40の大きさは100.00mm×100.00mm
×2.00mmであり、形状は直方体である。第1の構
造の金型組立体においては、入れ子50を石英ガラスか
ら研削加工にて作製した。入れ子50の大きさは、10
1.00mm×101.00mm×3.00mmであ
る。入れ子50のキャビティ面50Aに対して、ダイヤ
モンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上
げを行ない、入れ子のキャビティ面50Aの表面粗さR
yを0.02μmとした。使用した石英ガラスの熱伝導
率は0.32×10-2cal/cm・sec・degで
あり、線膨張係数は0.58×10-6/degである。
【0119】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子装着部11の内寸法が1
01.20mm×101.20mm、深さが3.02m
mとなるように切削加工を行い、固定金型部10に入れ
子装着部11を設けた。次いで、入れ子50を、2液硬
化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装
着部11内に接着した(図14の(B)参照)。
【0120】炭素鋼S55Cから抑えプレート36を作
製した。抑えプレート36の内寸法を100.00mm
×100.00mmとした。抑えプレート36を切削加
工した後、第1の金型部(固定金型部)10にビス(図
示せず)を用いて固定した(図14の(C)参照)。入
れ子50と抑えプレート36との間のクリアランス(C
1)は、平均で0.0192mmであった。また、入れ
子50に対する抑えプレート36の抑え代(ΔS1
は、1.00mmであった。尚、図14の(C)にはゲ
ート部の図示を省略した。
【0121】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。
【0122】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、石英ガラスから作製
された入れ子50に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0123】あるいは又、入れ子50をスポジュメン系
結晶から成る結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製、
商品名ネオセラム N−11、結晶化度:90%、密
度:2.50g/cm3)から作製した。入れ子50の
キャビティ面50Aに対して、ダイヤモンド砥石及び酸
化セリウム砥石を用いて研磨及び仕上げを行ない、表面
粗さRyを0.02μmとした。金型組立体の構造や、
各要素の大きさ、寸法は、第1の構造の金型組立体と同
様とした。また、クリアランス(C1)及び抑え代(Δ
1)の測定結果は、第1の構造の金型組立体と同じで
あった。尚、使用した結晶化ガラスの熱伝導率は0.4
×10-2cal/cm・sec・degであり、線膨張
係数は0.8×10-6/degであり、熱衝撃温度は8
00゜Cである。完成した金型組立体を成形装置に取り
付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜C
まで加熱後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスか
ら作製された入れ子50に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0124】第1の構造の金型組立体の変形例の模式的
な一部端面図を、図15の(A)に示す。キャビティ4
0の大きさを、200.00mm×50.00mm、キ
ャビティ厚さを2.00mm、入れ子50のキャビティ
面50Aの曲率半径を500mmとした。入れ子50
は、厚さ3.00mm、大きさが201.00mm×5
1.00mm、曲率半径500mmに加工された結晶化
ガラスから成る。尚、入れ子50のキャビティ面50A
に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用
いて表面研磨を行ない、表面粗さRyを0.02μmと
した。尚、結晶化ガラスの特性及び物性は、先に用いた
結晶化ガラスと同じである。
【0125】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。入れ子装着部11の内寸法が2
01.20mm×51.20mm、深さが3.02mm
となるように切削加工を行い、固定金型部10に入れ子
装着部11を設けた。尚、入れ子装着部11の底部の曲
率半径は、入れ子装着部と対向する入れ子50のキャビ
ティ面の曲率半径に合わせた。次いで、入れ子50を2
液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)で、入れ子装着
部11内に接着した。
【0126】炭素鋼S55Cから抑えプレート36を作
製した。抑えプレート36の入れ子50に対向する面の
曲率半径を500mmとした。抑えプレート36を切削
加工した後、第1の金型部10にビス(図示せず)を用
いて固定した。入れ子50と抑えプレート36との間の
クリアランス(C1)は、平均で0.019mmであっ
た。また、入れ子50に対する抑えプレート36の抑え
代(ΔS1)は、1.00mmであった。
【0127】第2の金型部(可動金型部)20を炭素鋼
S55Cから作製した。尚、キャビティを構成する面の
曲率半径を500mmとした。
【0128】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで
加熱後、40゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作
製された入れ子50に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0129】尚、図15の(B)に模式的な一部端面図
を示すように、入れ子50を装着する第1の金型部10
の部分を、第1の金型部10に装着された入れ子装着用
中子12から構成することもできる。この場合、入れ子
装着用中子12に入れ子装着部を設ける。
【0130】尚、入れ子や抑えプレートは、必要に応じ
て、第2の金型部(可動金型部)20可動金型部に設け
てもよいし、第1の金型部(固定金型部)10と第2の
金型部(可動金型部)20の両方に設けてもよい。
【0131】第1の構造の金型組立体においては、入れ
子を、所定のクリアランス(C1)及び抑え代(ΔS1
の範囲内で抑えプレートによって抑えることにより、長
期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることが
なく、容易且つ安価に鏡面性を有する金型組立体を製作
できる。
【0132】(第5Aの構造の金型組立体)第5Aの構
造の金型組立体の概要を、模式的な端面図である図16
〜図19に示す。第5Aの構造の金型組立体において
は、ゲート部70は、入れ子50の一部と第2の金型部
の一部とによって構成されている。そして、第1及び第
2の金型部10,20は炭素鋼から作製されているの
で、ゲート部70を構成する第2の金型部の一部も炭素
鋼から作製されている。ゲート部70の形式はサイドゲ
ート形式である。また、第1の金型部10にはスプルー
ブッシュ72が取り付けられており、このスプルーブッ
シュ72は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・se
c・゜C以下である低熱伝導材料から作製されている。
尚、図16の(A),(B)及び図19の(A)は、第
1の金型部10と第2の金型部20とを型締めした状態
を示し、図17及び図18は、第1の金型部10と第2
の金型部20とを型開きした状態を示す。また、図16
の(A)及び図17は、スプルー部71を含む垂直面で
金型組立体を切断したときの模式的な端面図であり、図
16の(B)、図18及び図19の(A)は、スプルー
部71を含まない垂直面で金型組立体を切断したときの
模式的な端面図である。
【0133】図16〜図18に模式的な端面図を示す第
5Aの構造の金型組立体は、熱可塑性樹脂に基づき成形
品を成形するための第1の金型部(固定金型部)10及
び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さが3.00
mmの入れ子50と、キャビティ40に開口したサイド
ゲート形式のゲート部70とを備えている。第5Aの構
造の金型組立体におけるキャビティ40の大きさは10
0.00mm×100.00mm×4.00mmであ
り、形状は直方体である。従って、得られる成形品の寸
法は、100mm×100mm×4mmである。
【0134】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製されている。ゲート部70も、熱伝
導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下の材
料から少なくとも構成されている。より具体的には、ゲ
ート部70は、入れ子50の一部と、第2の金型部(可
動金型部)20の一部とによって構成されている。尚、
スプルー部71は、第1の金型部10に取り付けられた
スプルーブッシュ72から構成されており、このスプル
ーブッシュ72も部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y2
3)から作製されている。
【0135】図16〜図18に示した第5Aの構造の金
型組立体においては、第2の金型部(可動金型部)20
は、第1の金型部10と第2の金型部20との分割面を
構成する入れ子対向面22Aを有する(図18参照)。
そして、図16に示すように、第1の金型部10と第2
の金型部20とを型締めした状態で、入れ子対向面22
Aと入れ子50との間のクリアランスは0mmである。
一方、第2の金型部20には入れ子被覆部22Bが設け
られており(図17、図18参照)、第1の金型部10
と第2の金型部20とを型締めした状態において、入れ
子50と入れ子被覆部22Bとの間のクリアランスC50
は0mmである(図16参照)。
【0136】尚、図19の(A)に示すように、第1の
金型部10と第2の金型部20とを型締めした状態で、
入れ子対向面22Aと入れ子50との間のクリアランス
5A(単位:mm)が0mm<C5A≦0.03mmを満
足するように、金型組立体を製作してもよい。また、図
19の(A)に示すように、入れ子50と入れ子被覆部
22Bとの間のクリアランスC50(単位:mm)が0m
m<C50≦0.03mmを満足するように、金型組立体
を製作してもよい。
【0137】図19の(B)に模式的な断面図を示すよ
うに、スプルーブッシュ72を、熱伝導率が2×10-2
cal/cm・sec・゜C以下である低熱伝導部材7
2Aと金属部材72B,72Cとから作製してもよい。
この場合、スプルーブッシュ72の先端部及び後端部を
金属部材72C,72Bから構成し、中央部を低熱伝導
部材72Aから構成し、低熱伝導部材72Aと金属部材
72B,72Cとを接着剤を用いて固着させればよい。
あるいは又、場合によっては、スプルーブッシュ72全
体を金属材料から作製してもよい。
【0138】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が130.20mm×1
01.20mm、深さが3.02mmとなるように切削
加工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設け
た。130.00mm×101.00mm×3.00m
mの寸法の入れ子50のゲート部に相当する位置に貫通
孔を設けた。そして、入れ子50のキャビティ面50A
に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用
いた研磨及び仕上げを行い、入れ子50のキャビティ面
50Aの表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、
2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、こ
の入れ子50を入れ子装着部内に接着、固定した。第1
の金型部10にスプルーブッシュ72を取り付けるため
のスプルーブッシュ取付部を設け、図示しないボルトを
用いてスプルーブッシュ取付部にスプルーブッシュ72
を取り付けた。
【0139】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
キャビティ面を構成する部分20A、及びゲート部70
を構成する部分70Aを切削加工によって設けた。
【0140】完成した金型組立体(図16〜図18参
照)を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体
を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40
゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製された入れ子50やスプルーブッシ
ュ72に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0141】(第5Bの構造の金型組立体)第5Bの構
造の金型組立体の概要を、模式的な端面図である図20
〜図23に示す。第5Bの構造の金型組立体において
は、ゲート部70は、入れ子50の一部と、第2の金型
部20に取り付けられた低熱伝導部材80とによって構
成されている。ゲート部70の形式はサイドゲート形式
である。また、第1の金型部10には、第5Aの構造の
金型組立体にて説明したと同様のスプルーブッシュ72
が取り付けられている。ここで、図20の(A),
(B)及び図23は、第1の金型部10と第2の金型部
20とを型締めした状態を示し、図21及び図22は、
第1の金型部10と第2の金型部20とを型開きした状
態を示す。また、図20の(A)及び図21は、スプル
ー部71を含む垂直面で金型組立体を切断したときの模
式的な端面図であり、図20の(B)、図22及び図2
3は、スプルー部71を含まない垂直面で金型組立体を
切断したときの模式的な端面図である。
【0142】図20〜図22に模式的な端面図を示す第
5Bの構造の金型組立体も、熱可塑性樹脂に基づき成形
品を成形するための第1の金型部(固定金型部)10及
び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さが3.00
mmの入れ子50と、キャビティ40に開口したサイド
ゲート形式のゲート部70を備えている。第5Bの構造
の金型組立体におけるキャビティ40の大きさも10
0.00mm×100.00mm×4.00mmであ
り、形状は直方体である。得られる成形品の寸法は、1
00mm×100mm×4mmである。
【0143】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、表1に物性を示す結晶化ガラスか
ら作製されている。また、ゲート部70を構成する低熱
伝導部材80、及びスプルーブッシュ72も結晶化ガラ
スから作製されている。
【0144】 [表1] 材質:スポジュメン系結晶から成る結晶化ガラス (日本電気硝子株式会社製、商品名N−0) 結晶化度 :70% 密度 :2.51g/cm3 熱伝導率 :0.4×10-2cal/cm・sec・゜C 線膨張係数:−6.0×10-6/K 熱衝撃温度:800゜C
【0145】図20〜図22に示した第5Bの構造の金
型組立体においては、低熱伝導部材80は、第1の金型
部10と第2の金型部20との分割面を構成する入れ子
対向面80Aを有する。そして、図20に示すように、
第1の金型部10と第2の金型部20とを型締めした状
態で、入れ子対向面80Aと入れ子50との間のクリア
ランスは0mmである。尚、図23に示すように、第1
の金型部10と第2の金型部20とを型締めした状態
で、入れ子対向面80Aと入れ子50との間のクリアラ
ンスC5B(単位:mm)が0mm<C5B≦0.03mm
を満足するように、金型組立体を製作してもよい。ま
た、第2の金型部20には入れ子被覆部22Bが設けら
れており、第1の金型部10と第2の金型部20とを型
締めした状態において、入れ子50と入れ子被覆部22
Bとの間のクリアランスC50は0mmである(図20参
照)。尚、図23に示すように、入れ子50と入れ子被
覆部22Bとの間のクリアランスC50(単位:mm)が
0mm<C50≦0.03mmを満足するように、金型組
立体を製作してもよい。
【0146】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が130.20mm×1
01.20mm、深さが3.02mmとなるように切削
加工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設け
た。130.00mm×101.00mm×3.00m
mの寸法の入れ子50のゲート部に相当する位置に貫通
孔を設けた。そして、入れ子50のキャビティ面50A
に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用
いた研磨及び仕上げを行い、入れ子50のキャビティ面
50Aの表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、
2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、こ
の入れ子50を入れ子装着部内に接着、固定した。第1
の金型部10にスプルーブッシュ72を取り付けるため
のスプルーブッシュ取付部を設け、図示しないボルトを
用いてスプルーブッシュ取付部にスプルーブッシュ72
を取り付けた。
【0147】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
キャビティ面を構成する部分20A、及び低熱伝導部材
80を取り付けるための低熱伝導部材取付部を切削加工
によって設けた。低熱伝導部材80を結晶化ガラスから
作製した。低熱伝導部材80にはゲート部70を構成す
る部分70Aを設けた。2液硬化型エポキシ系接着剤
(図示せず)を用いて、この低熱伝導部材80を低熱伝
導部材取付部内に接着、固定した。
【0148】完成した金型組立体(図20〜図22参
照)を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体
を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40
゜Cまで急冷しても、結晶化ガラスから作製された入れ
子50やスプルーブッシュ72に割れ等の損傷は発生し
なかった。
【0149】(第5Cの構造の金型組立体)第5Cの構
造の金型組立体の概要を、模式的な端面図である図24
〜図27に示す。第5Cの構造金型組立体においては、
ゲート部は入れ子50の中央部に設けられており、ゲー
ト部はダイレクトゲート形式である。また、第1の金型
部10には、第5Aの構造の金型組立体にて説明したと
同様のスプルーブッシュ72が取り付けられている。こ
こで、図24の(A),(B)及び図27は、第1の金
型部10と第2の金型部20とを型締めした状態を示
し、図25及び図26は、第1の金型部10と第2の金
型部20とを型開きした状態を示す。また、図24の
(A)及び図25は、スプルー部71を含む垂直面で金
型組立体を切断したときの模式的な端面図であり、図2
4の(B)、図26及び図27は、スプルー部71を含
まない垂直面で金型組立体を切断したときの模式的な端
面図である。
【0150】図24〜図26に模式的な端面図を示す第
5Cの構造の金型組立体も、熱可塑性樹脂に基づき成形
品を成形するための第1の金型部(固定金型部)10及
び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さが3.00
mmの入れ子50と、キャビティ40に開口したサイド
ゲート形式のゲート部70を備えている。第5Cの構造
の金型組立体におけるキャビティ40の大きさも10
0.00mm×100.00mm×4.00mmであ
り、形状は直方体である。得られる成形品の寸法は、1
00mm×100mm×4mmである。
【0151】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−CeO2)から作製されている。入れ子50の中央部
には貫通孔が形成され、かかる貫通孔がゲート部70に
相当する。また、スプルーブッシュ72も部分安定化ジ
ルコニア(ZrO2−CeO2)から作製されている。
【0152】図24〜図26に示した第5Cの構造の金
型組立体においては、第2の金型部20には入れ子被覆
部22Bが設けられており、第1の金型部10と第2の
金型部20とを型締めした状態で、入れ子50と入れ子
被覆部22Bとの間のクリアランスC50は0mmであ
る。尚、図27に示すように、第1の金型部10と第2
の金型部20とを型締めした状態で、入れ子50と入れ
子被覆部22Bとの間のクリアランスC50(単位mm)
が0mm<C50≦0.03mmを満足するように、金型
組立体を製作してもよい。
【0153】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が101.20mm×1
01.20mm、深さが3.02mmとなるように切削
加工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設け
た。101.00mm×101.00mm×3.00m
mの寸法の入れ子50の中央部にゲート部に相当する貫
通孔を設けた。そして、入れ子50のキャビティ面50
Aに対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を
用いた研磨及び仕上げを行い、入れ子50のキャビティ
面50Aの表面粗さRyを0.02μmとした。そし
て、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用い
て、この入れ子50を入れ子装着部内に接着、固定し
た。第1の金型部10にスプルーブッシュ72を取り付
けるためのスプルーブッシュ取付部を設け、図示しない
ボルトを用いてスプルーブッシュ取付部にスプルーブッ
シュ72を取り付けた。
【0154】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
キャビティ面を構成する部分20Aを切削加工によって
設けた。
【0155】完成した金型組立体(図24〜図26参
照)を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体
を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40
゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−CeO2)から作製された入れ子50やスプルーブッ
シュ72に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0156】(第5Dの構造の金型組立体)第5Dの構
造の金型組立体の概要を、模式的な端面図である図28
〜図31に示す。第5Dの構造の金型組立体において
は、ゲート部は、第1の金型部10に取り付けられた第
1の低熱伝導部材81と、第2の金型部20に取り付け
られた第2の低熱伝導部材82とによって構成されてい
る。ゲート部はサイドゲート形式である。また、第1の
金型部10には、第5Aの構造の金型組立体にて説明し
たと同様のスプルーブッシュ72が取り付けられてい
る。ここで、図28及び図31は、第1の金型部10と
第2の金型部20とを型締めした状態を示し、図29及
び図30は、第1の金型部10と第2の金型部20とを
型開きした状態を示す。また、図28の(A)及び図2
9は、スプルー部71を含む垂直面で金型組立体を切断
したときの模式的な端面図であり、図28の(B)、図
30及び図31は、スプルー部71を含まない垂直面で
金型組立体を切断したときの模式的な端面図である。
【0157】図28〜図30に模式的な端面図を示す第
5Dの構造の金型組立体も、熱可塑性樹脂に基づき成形
品を成形するための第1の金型部(固定金型部)10及
び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さが3.00
mmの入れ子50と、キャビティ40に開口したサイド
ゲート形式のゲート部70を備えている。第5Dの構造
の金型組立体におけるキャビティ40の大きさも10
0.00mm×100.00mm×4.00mmであ
り、形状は直方体である。得られる成形品の寸法は、1
00mm×100mm×4mmである。
【0158】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製されている。また、ゲート部70を
構成する第1及び第2の低熱伝導部材81,82、並び
にスプルーブッシュ72も部分安定化ジルコニア(Zr
2−Y23)から作製されている。
【0159】図28〜図30に示した第5Dの構造の金
型組立体においては、第1の低熱伝導部材81には第2
の低熱伝導部材82と対向する面81Aが設けられ、第
2の低熱伝導部材82には第1の低熱伝導部材81と対
向する面82Aが設けられ、第1の金型部10と第2の
金型部20とを型締めした状態で、第1の金型部10と
第2の金型部20との分割面を構成するこれらの面81
A,82Aの間のクリアランスC5Dは0mmである。
尚、図31に示すように、第1の金型部10と第2の金
型部20とを型締めした状態で、第1の金型部10と第
2の金型部20との分割面を構成するこれらの面81
A,82Aの間のクリアランスC5D(単位:mm)が0
mm<C5D≦0.03mmを満足するように、金型組立
体を製作してもよい。
【0160】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が90.02mm×9
0.02mm、深さが3.02mmとなるように切削加
工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設けた。
90.00mm×90.00mm×3.00mmの寸法
の入れ子50のキャビティ面50Aに対して、ダイヤモ
ンド砥石及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上げ
を行い、入れ子50のキャビティ面50Aの表面粗さR
yを0.02μmとした。そして、2液硬化型エポキシ
系接着剤(図示せず)を用いて、この入れ子50を入れ
子装着部内に接着、固定した。併せて、第1の金型部1
0に第1の低熱伝導部材81を取り付けるための低熱伝
導部材取付部を設け、かかる低熱伝導部材取付部に2液
硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて第1の低
熱伝導部材81を接着、固定した。尚、第1の低熱伝導
部材81のゲート部に相当する位置には貫通孔が設けら
れている。更には、第1の金型部10にスプルーブッシ
ュ72を取り付けるためのスプルーブッシュ取付部を設
け、図示しないボルトを用いてスプルーブッシュ取付部
にスプルーブッシュ72を取り付けた。
【0161】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
キャビティ面を構成する部分20A、及び第2の低熱伝
導部材82を取り付けるための低熱伝導部材取付部を設
けた。第2の低熱伝導部材82を部分安定化ジルコニア
(ZrO2−Y23)から作製した。第2の低熱伝導部
材82には、ゲート部70を構成する部分70Aを形成
した。そして、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せ
ず)を用いて、この第2の低熱伝導部材82を低熱伝導
部材取付部内に接着、固定した。
【0162】完成した金型組立体(図28〜図30照)
を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体を金
型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40゜C
まで急冷しても、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y2
3)から作製された入れ子50やスプルーブッシュ7
2に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0163】(第5Eの構造の金型組立体)第5Eの構
造の金型組立体の概要を、模式的な端面図である図32
〜図35に示す。第5Eの構造の金型組立体において
は、第2の金型部20に配設され、キャビティ40の一
部を構成し、厚さが2.00mmの第2の入れ子52を
更に備えている。第2の入れ子52は、熱伝導率が2×
10-2cal/cm・sec・゜C以下の材料から作製
されている。ゲート部70は、入れ子50の一部と、第
2の入れ子52の一部とによって構成されている。ゲー
ト部はサイドゲート形式である。また、第1の金型部1
0には、第5Aの構造の金型組立体にて説明したと同様
のスプルーブッシュ72が取り付けられている。ここ
で、図32及び図35は、第1の金型部10と第2の金
型部20とを型締めした状態を示し、図33及び図34
は、第1の金型部10と第2の金型部20とを型開きし
た状態を示す。また、図32の(A)及び図33は、ス
プルー部71を含む垂直面で金型組立体を切断したとき
の模式的な端面図であり、図32の(B)、図34及び
図35は、スプルー部71を含まない垂直面で金型組立
体を切断したときの模式的な端面図である。
【0164】図32〜図34に模式的な端面図を示す第
5Eの構造の金型組立体も、熱可塑性樹脂に基づき成形
品を成形するための第1の金型部(固定金型部)10及
び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さが3.00
mmの入れ子50と、キャビティ40に開口したサイド
ゲート形式のゲート部70を備えている。第5Eの構造
の金型組立体におけるキャビティ40の大きさも10
0.00mm×100.00mm×4.00mmであ
り、形状は直方体である。得られる成形品の寸法は、1
00mm×100mm×4mmである。
【0165】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製されている。また、スプルーブッシ
ュ72も部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)か
ら作製されている。キャビティ40を構成する部分の厚
さが2.00mmの第2の入れ子52は、第2の金型部
20に配設され、キャビティ40の一部を構成し、部分
安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)から作製されて
いる。
【0166】図32〜図34に示した第5Eの構造の金
型組立体においては、第1の金型部10と第2の金型部
20とを型締めした状態において、入れ子50の第2の
入れ子52と対向する面50Aと、第2の入れ子52の
入れ子50と対向する面52Eとの間のクリアランスC
5Eを0mmとした。尚、図35に示すように、第1の金
型部10と第2の金型部20とを型締めした状態で、入
れ子50の第2の入れ子52と対向する面50Aと、第
2の入れ子52の入れ子50と対向する面52Eとの間
のクリアランスC5E(単位:mm)が0mm<C5E
0.03mmを満足するように、金型組立体を製作して
もよい。
【0167】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が134.20mm×1
04.20mm、深さが3.02mmとなるように切削
加工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設け
た。134.00mm×104.00mm×3.00m
mの寸法の入れ子50のゲート部に相当する位置に貫通
孔を設けた。そして、入れ子50のキャビティ面50A
に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石を用
いた研磨及び仕上げを行い、入れ子50のキャビティ面
50Aの表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、
1液硬化型シリコン系接着剤(図示せず)を用いて、こ
の入れ子50を入れ子装着部内に接着、固定した。第1
の金型部10にスプルーブッシュ72を取り付けるため
のスプルーブッシュ取付部を設け、図示しないボルトを
用いてスプルーブッシュ取付部にスプルーブッシュ72
を取り付けた。
【0168】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
第2の入れ子52を取り付けるための入れ子装着部(寸
法:134.20mm×104.20mm×6.02m
m)を切削加工によって設けた。第2の入れ子52を部
分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)から作製し
た。尚、第2の入れ子52にはキャビティ面52F及び
ゲート部を構成する面52Gを形成した。第2の入れ子
52の外形寸法を134.00mm×104.00mm
×6.00mmとした。また、第2の入れ子52に設け
られたキャビティ面52Fの寸法を100.00mm×
100.00mm×4.00mmとした。そして、第2
の入れ子52を、1液硬化型シリコン系接着剤(図示せ
ず)を用いて入れ子装着部に接着、固定した。
【0169】完成した金型組立体(図32〜図34照)
を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体を金
型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40゜C
まで急冷しても、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y2
3)から作製された入れ子50や第2の入れ子52、
スプルーブッシュ72に割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0170】(第5Eの構造の金型組立体の変形)図3
6〜図38に、第5Eの構造の金型組立体の変形例の模
式的な端面図に示す。この変形例においては、ゲート部
70は入れ子50の中央部に設けられており、ゲート部
70の形式はダイレクトゲート形式である。また、第1
の金型部10には、第5Aの構造の金型組立体にて説明
したと同様のスプルーブッシュ72が取り付けられてい
る。ここで、図36は、第1の金型部10と第2の金型
部20とを型締めした状態を示し、図37及び図38
は、第1の金型部10と第2の金型部20とを型開きし
た状態を示す。また、図36の(A)及び図37は、ス
プルー部71を含む垂直面で金型組立体を切断したとき
の模式的な端面図であり、図36の(B)及び図38
は、スプルー部71を含まない垂直面で金型組立体を切
断したときの模式的な端面図である。
【0171】図36〜図38に模式的な端面図を示す第
5Eの構造の金型組立体の変形例も、熱可塑性樹脂に基
づき成形品を成形するための第1の金型部(固定金型
部)10及び第2の金型部(可動金型部)20と、厚さ
が3.00mmの入れ子50と、キャビティ40に開口
したダイレクトゲート形式のゲート部70と、第2の入
れ子52を備えている。第5Eの構造の金型組立体の変
形例におけるキャビティ40の大きさも100.00m
m×100.00mm×4.00mmであり、形状は直
方体である。得られる成形品の寸法は、100mm×1
00mm×4mmである。
【0172】入れ子50は、第1の金型部(固定金型
部)10に配設され、キャビティ40の一部を構成し、
熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜C以下
の材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製されている。入れ子50の中央部に
は貫通孔が形成され、かかる貫通孔がゲート部70に相
当する。また、スプルーブッシュ72も部分安定化ジル
コニア(ZrO2−Y2 3)から作製されている。厚さ
が2.00mmの第2の入れ子52は、第2の金型部2
0に配設され、キャビティ40の一部を構成し、部分安
定化ジルコニア(ZrO2−Y23)から作製されてい
る。第2の入れ子52にはキャビティ面52Fが形成さ
れている。
【0173】第1の金型部10と第2の金型部20とを
型締めした状態において、入れ子50の第2の入れ子5
2と対向する面50Aと、第2の入れ子52の入れ子5
0と対向する面52Eとの間のクリアランスC5Eを0m
m乃至0.03mmとすることが好ましい。尚、図36
に示した例においては、クリアランスC5Eは0mmであ
る。
【0174】第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。内寸法が104.20mm×1
04.20mm、深さが3.02mmとなるように切削
加工を行い、第1の金型部10に入れ子装着部を設け
た。104.00mm×104.00mm×3.00m
mの寸法の入れ子50の中央部に貫通孔を形成した。か
かる貫通孔がゲート部70に相当する。そして、入れ子
50のキャビティ面50Aに対して、ダイヤモンド砥石
及び酸化セリウム砥石を用いた研磨及び仕上げを行い、
入れ子50のキャビティ面50Aの表面粗さRyを0.
02μmとした。そして、2液硬化型エポキシ系接着剤
(図示せず)を用いて、この入れ子50を入れ子装着部
内に接着、固定した。第1の金型部10にスプルーブッ
シュ72を取り付けるためのスプルーブッシュ取付部を
設け、図示しないボルトを用いてスプルーブッシュ取付
部にスプルーブッシュ72を取り付けた。
【0175】一方、第2の金型部(可動金型部)20を
炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部20には、
外形寸法104.00mm×104.00mm×6.0
0mmの第2の入れ子52を取り付けるための入れ子装
着部(寸法:104.20mm×104.20mm×
6.02mm)を切削加工によって設けた。第2の入れ
子52を部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)か
ら作製した。尚、第2の入れ子52にはキャビティ面5
2F(寸法:100.00mm×100.00mm×
4.00mm)を形成した。そして、第2の入れ子52
を、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて
入れ子装着部に接着、固定した。
【0176】完成した金型組立体(図36〜図38参
照)を射出成形装置に取り付けた。そして、金型組立体
を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40
゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニア(ZrO2
−Y23)から作製された入れ子50、第2の入れ子5
2、スプルーブッシュ72に割れ等の損傷は発生しなか
った。
【0177】(第5Cあるいは第5Eの構造の金型組立
体の変形例)第5C及び第5Eの構造の金型組立体の変
形例の概要を、模式的な端面図である図39及び図40
にそれぞれ示す。この変形例においても、ゲート部は入
れ子50に設けられている。ゲート部はピンゲート形式
である。また、第1の金型部(固定金型部)10は、第
1のブロック10Aと第2のブロック(中間プレート1
0B)から構成されている。中間プレート10Bにはス
プルーブッシュ72が取り付けられている。この変形例
においては、第1の金型部10にはランナー部73が設
けられている。このランナー部73は、熱伝導率が2×
10-2cal/cm・sec・゜C以下である低熱伝導
材料、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2
23)から作製されている。更には、第1のブロック
10Aには、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y
23)から作製された第2のスプルーブッシュ74が取
り付けられている。図示しない射出成形装置の溶融樹脂
射出ノズルから射出された溶融樹脂は、第2のスプルー
ブッシュ74、ランナー部73、スプルーブッシュ72
及びゲート部70を経由して、キャビティ40内に射出
される。この変形例においては、第1の金型部10内を
流れる溶融樹脂は、金属材料に接することはなく、部分
安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)に接するだけで
ある。それ故、ランナー部73内及びゲート部70内の
溶融樹脂の冷却を遅延することができ、ゲート部シール
時間の延長を図ることができる。尚、場合によっては、
第2のスプルーブッシュ74は、金属材料から作製して
もよい。
【0178】尚、この変形例にて説明したランナー部7
3の構造を、第5Aの構造、第5Bの構造あるいは第5
Dの構造の金型組立体に適用することもできる。
【0179】(第5Aの構造の金型組立体の変形例)図
41の(A)に模式的に示すように、成形品の成形時、
キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立
体とすることもできる。この場合、例えば油圧シリンダ
ー(図示せず)で可動させることができる可動中子60
を金型組立体のキャビティ40内に配設すればよい。
尚、図41の(A)に示す例においては、可動中子60
を第5Aの構造の金型組立体にて説明した金型組立体に
組み込んだ。そして、成形品の成形においては、型締め
時、成形すべき成形品の容積(V M)よりもキャビティ
40の容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部
10と第2の金型部20とを型締めし、且つ、キャビテ
ィ内における可動中子60の配置位置を制御する。そし
て、キャビティ(容積:VC)40内に溶融した熱可塑
性樹脂41を射出し、熱可塑性樹脂の射出開始前、開始
と同時に、射出中に、あるいは射出完了後(射出完了と
同時を含む)、図示しない油圧シリンダーの作動によっ
て可動中子60を移動させて、キャビティ40の容積を
成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させる。この
状態を図41の(B)に模式的に示す。このように、成
形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を
有する金型組立体を用いれば、成形品の表面を均一に圧
縮することが可能となることから、成形品の表面にヒケ
が発生することを一層確実に抑制することができる。
尚、金型組立体として、他の第5の構造の金型組立体を
使用することもできる。
【0180】あるいは又、図42の(A)に模式的に示
すように、加圧流体注入装置61を更に備えた金型組立
体を用いることもできる。尚、図42の(A)に示す例
においては、加圧流体注入装置61の取り付け位置は、
金型部に配設されそしてキャビティ40に開口する加圧
流体注入装置取付部とした。そして、キャビティ40内
に射出された溶融熱可塑性樹脂41内に、加圧流体注入
装置61から加圧流体を注入し、以て、キャビティ40
内の溶融熱可塑性樹脂41の内部に中空部41Aを形成
する。尚、キャビティ40内への溶融熱可塑性樹脂41
の射出完了時の状態を図42の(B)に模式的に示し、
溶融熱可塑性樹脂41内への加圧流体の注入完了の状態
を図43に模式的に示す。このように、キャビティ40
内の溶融熱可塑性樹脂41中に加圧流体を注入すれば、
キャビティ40内の樹脂はキャビティ面に向かって加圧
される結果、成形品にヒケが発生することを一層確実に
防止し得る。しかも、入れ子50と接触する溶融樹脂の
冷却・固化が遅延されるので、入れ子のキャビティ面近
傍の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混
じり合うといった現象の発生を回避することができ、肉
厚部近傍の成形品表面に色ムラや外観不良が発生するこ
とを防止し得る。
【0181】第5の構造の金型組立体によれば、ゲート
部も、熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・゜
C以下の材料から少なくとも構成されているので、ゲー
ト部内の溶融樹脂の急冷を防止することができる結果、
保圧の期間を長くすることができ、金型のキャビティ面
の成形品への転写性を一層向上させることができる。
【0182】通常、成形品を金型組立体から取り足すた
めに突き出しピンを金型組立体に配設する。ところが、
成形品の形状に依っては突き出しピンの先端の跡が成形
品の表面に残るために、突き出しピンを金型組立体に配
設することが困難となる場合がある。このような場合、
成形品を金型組立体から取り出すために、第2の金型部
20にキャビティに連通したタブ形成部90が設けられ
ている構造とすることもできる。これによって、成形品
にはタブ部が形成される。かかるタブ部に突き出しピン
を当てて、成形品を金型組立体から取り出せばよい。
尚、成形品に形成されたタブ部は、後の工程で削除すれ
ばよい。
【0183】図44には、成形品を金型組立体から取り
出すために、キャビティ40に連通したタブ形成部90
が第2の金型部20に設けられている第5Aの構造の金
型組立体を例示するが、金型組立体の構造は、第5Aの
構造の金型組立体に限定されるものではない。タブ形成
部90は、図44の(B)の紙面垂直方向に更に2カ所
設けられている。尚、図44の(A)及び図45の
(A)は、垂直面でゲート部70を含む金型組立体の領
域を切断したときの図であり、図44の(B)及び図4
5の(B)は、かかる垂直面と平行な垂直面でゲート部
70を含まない金型組立体の領域を切断したときの図で
ある。金型組立体をこのような構造にすることによっ
て、成形品にはタブ部が形成される。金型組立体の型開
き後(図45の(A)及び(B)参照)、第2の金型部
20に配設された突き出しピン(図示せず)をかかるタ
ブ部に当てて成形品を押し出し、成形品を金型組立体か
ら取り出せばよい。尚、成形品に形成されたタブ部は、
後の工程で削除すればよい。
【0184】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。実施例にて説明した条件や使用した材料は例示
であり、また、金型組立体の構造も例示であり、適宜変
更することができる。入れ子や抑えプレートの形状や大
きさも例示であり、成形すべき射出成形品の形状等に依
存して、適宜設計変更することができる。
【0185】
【発明の効果】本発明においては、入れ子が金型の内部
に配設されているので、キャビティ内に射出された溶融
樹脂が急冷されることを防止し得る。その結果、成形品
に優れたメッキ性を付与することができ、成形品表面と
メッキ層との間の密着性の向上を図ることができるし、
表面が平滑な成形品を得ることができる。しかも、入れ
子はセラミックス若しくはガラスから作製されているの
で、耐久性に優れ、長期間に亙っての使用が可能である
し、その保守も容易である。
【0186】更には、溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上
するが故に、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出
圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩
和でき、成形品の品質が向上する。また、射出圧力を低
減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が
可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組
立体の型締め時の模式的な端面図、及び、組み立て中の
金型組立体の模式的な端面図である。
【図2】実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組
立体の型開き時の模式的な端面図である。
【図3】実施例1における熱可塑性樹脂成形用の金型組
立体のキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出した状態
を示す模式的な端面図である。
【図4】第3の構造の金型組立体の型締め時の模式的な
端面図である。
【図5】第3の構造の金型組立体の組み立て中の模式的
な端面図である。
【図6】第3の構造の金型組立体の型開き時の模式的な
端面図である。
【図7】成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし
得る構造を有する第3の構造の金型組立体の型締め時の
模式的な端面図、及びキャビティ内への溶融熱可塑性樹
脂の射出後の第2の構造の金型組立体等の模式的な端面
図である。
【図8】加圧流体注入装置を更に備えた第2の構造の金
型組立体の型締め時の模式的な端面図、及びキャビティ
内への溶融熱可塑性樹脂の射出完了時点での第3の構造
の金型組立体等の模式的な端面図である。
【図9】キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流体
の注入完了時点での第3の構造の金型組立体等の模式的
な端面図である。
【図10】第4の構造の金型組立体の型締め時の模式的
な端面図である。
【図11】第4の構造の金型組立体の組み立て中の模式
的な端面図である。
【図12】図11に引き続き、第4の構造の金型組立体
の組み立て中の模式的な端面図である。
【図13】第4の構造の金型組立体の型開き時の模式的
な端面図である。
【図14】第1の構造の金型組立体の模式的な端面図、
及び、組み立て中の模式的な端面図である。
【図15】第1の構造の金型組立体の変形例の模式的な
端面図である。
【図16】型締め状態にある第5Aの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図17】型開き状態にある第5Aの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図18】型開き状態にある第5Aの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図19】型締め状態にある第5Aの構造の金型組立体
の模式的な端面図、及びスプルーブッシュの模式的な断
面図である。
【図20】型締め状態にある第5Bの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図21】型開き状態にある第5Bの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図22】型開き状態にある第5Bの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図23】型締め状態にある第5Bの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図24】型締め状態にある第5Cの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図25】型開き状態にある第5Cの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図26】型開き状態にある第5Cの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図27】型締め状態にある第5Cの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図28】型締め状態にある第5Dの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図29】型開き状態にある第5Dの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図30】型開き状態にある第5Dの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図31】型締め状態にある第5Dの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図32】型締め状態にある第5Eの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図33】型開き状態にある第5Eの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図34】型開き状態にある第5Eの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図35】型締め状態にある第5Eの構造の金型組立体
の模式的な端面図である。
【図36】型締め状態にある第5Eの構造の金型組立体
の変形例の模式的な端面図である。
【図37】型開き状態にある第5Eの構造の金型組立体
の変形例の模式的な端面図である。
【図38】型開き状態にある第5Eの構造の金型組立体
の変形例の模式的な端面図である。
【図39】第5Cの構造の金型組立体の変形例の模式的
な端面図である。
【図40】第5Eの構造の金型組立体の変形例の模式的
な端面図である。
【図41】成形品の成形時、キャビティの容積を可変と
し得る構造を有する第5Aの構造の金型組立体の型締め
時の模式的な端面図、及びキャビティ内への溶融熱可塑
性樹脂の射出後の金型組立体等の模式的な端面図であ
る。
【図42】加圧流体注入装置を更に備えた第5Aの構造
の金型組立体の型締め時の模式的な端面図、及びキャビ
ティ内への溶融熱可塑性樹脂の射出完了時点での第5A
の構造の金型組立体等の模式的な端面図である。
【図43】キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流
体の注入完了時点での第5Aの構造の金型組立体等の模
式的な端面図である。
【図44】成形品を第5Aの構造の金型組立体から取り
出すために、キャビティに連通したタブ形成部が第2の
金型部に設けられている構造を有する第5Aの構造の金
型組立体の型締め時の模式的な端面図である。
【図45】図44に示した第5Aの構造の金型組立体の
型開き後の第2の金型部及び成形品の状態を示す図であ
る。
【図46】比較例1〜比較例3にて使用した金型組立体
の型締め時の模式的な端面図である。
【符号の説明】
10・・・第1の金型部 10A・・・第1のブロック 10B・・・第2のブロック(中間プレート) 11・・・入れ子装着部 12・・・入れ子装着用中子 13・・・第1の被覆プレート取付部 20・・・第2の金型部 20A・・・第2の金型部のキャビティ面を構成する部
分 21・・・切り込み(切り欠き) 22・・・入れ子被覆部 22A・・・入れ子対向面 22B・・・入れ子被覆部 23・・・入れ子装着部 24・・・第2の被覆プレート取付部 30,31,70・・・ゲート部 32・・・被覆プレート 33・・・被覆プレート32の入れ子と対向する面 34・・・第2の被覆プレート 35・・・第2の被覆プレート34の第2の入れ子と対
向する面 36・・・抑えプレート 40・・・キャビティ 41・・・溶融樹脂 41A・・・中空部 50,51,52・・・入れ子 50A,51A,52F・・・入れ子のキャビティ面 52G・・・第2の入れ子のゲート部を構成する面 60・・・可動中子 61・・・加圧流体注入装置 70A・・・第2の金型部20のゲート部を構成する部
分 71・・・スプルー部 72・・・スプルーブッシュ 72A・・・スプルーブッシュを構成する低熱伝導部材 72B,72C・・・スプルーブッシュを構成する金属
部材 73・・・ランナー部 74・・・第2のスプルーブッシュ 80・・・第2の金型部20に取り付けられた低熱伝導
部材 80A・・・低熱伝導部材80の入れ子対向面 81・・・第1の低熱伝導部材 81A・・・第1の低熱伝導部材81の第2の低熱伝導
部材82と対向する面 82・・・第2の低熱伝導部材 82A・・・第2の低熱伝導部材82の第1の低熱伝導
部材81と対向する面 90・・・タブ形成部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼石 彰雅 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4F202 AA13 AA47 AB25 AB27 AE10 AG06 AG28 AJ06 AJ12 AM32 CA11 CB01 CD24 CK02 CK06 CK18 CK19 CK42 CK74 CK81 CK86 CN05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)キャビティを備え、熱可塑性樹脂に
    基づき成形品を成形するための金型、 (ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構
    成し、厚さが0.1mm乃至10mmのセラミックス若
    しくはガラスから作製された入れ子、及び、 (ハ)キャビティに開口したゲート部、 を備えた金型組立体を用いた、表面がメッキされた成形
    品の製造方法であって、 ゲート部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出し
    た後、キャビティ内の該溶融熱可塑性樹脂を冷却、固化
    させ、得られた成形品を金型組立体から取り出し、その
    後、該成形品の表面にメッキを施す工程から成ることを
    特徴とする表面がメッキされた成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂には、繊維状、粉体状若しく
    は鱗片状の充填材が5重量%乃至50重量%含まれてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の表面がメッキされ
    た成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】入れ子を構成するセラミックス若しくはガ
    ラスの熱伝導率は2×10-2cal/cm・sec・゜
    C以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面が
    メッキされた成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、Z
    rO2−Y23、ZrO2−CeO2、ZrO2−MgO、
    ZrO2−SiO2、K2O−TiO2、Al23、Al2
    3−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、Mg
    O−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23
    SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミ
    ック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラ
    ス、結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから
    作製されていることを特徴とする請求項3に記載の表面
    がメッキされた成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】金型の内部に配設され、キャビティの一部
    を構成し、入れ子の端部を抑える抑えプレートを更に備
    え、 入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスは0.03
    mm以下であり、且つ、入れ子に対する抑えプレートの
    抑え代は0.1mm以上である金型組立体を用いること
    を特徴とする請求項1に記載の表面がメッキされた成形
    品の製造方法。
  6. 【請求項6】金型は、第1の金型部及び第2の金型部か
    ら構成され、 入れ子は第1の金型部に配設され、 ゲート部は第2の金型部に設けられており、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは
    0.03mm以下であり、入れ子に対する入れ子被覆
    部の重なり量は0.5mm以上である金型組立体を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載の表面がメッキされ
    た成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】金型は、第1の金型部及び第2の金型部か
    ら構成され、 入れ子は第1の金型部に配設され、 入れ子と第2の金型部との間に配設され、そして、第1
    の金型部に取り付けられた被覆プレートを更に備え、 ゲート部は被覆プレートに設けられており、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは
    0.03mm以下であり、入れ子に対する入れ子被覆
    部の重なり量は0.5mm以上であり、入れ子と被覆
    プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であ
    り、入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5
    mm以上であり、被覆プレートは入れ子の一部分との
    み重なり合っている金型組立体を用いることを特徴とす
    る請求項1に記載の表面がメッキされた成形品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】金型は、第1の金型部及び第2の金型部か
    ら構成され、 入れ子は、第1の金型部に配設された第1の入れ子と、
    第2の金型部に配設された第2の入れ子から構成され、 第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の
    金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型
    部に取り付けられた被覆プレートを更に備え、 ゲート部は被覆プレートに設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、第1の入れ子の第2の入れ子と対向する面と、第
    2の入れ子の第1の入れ子と対向する面との間のクリア
    ランスは0.03mm以下であり、第1の入れ子の第
    2の入れ子と対向する面と、第2の入れ子の第1の入れ
    子と対向する面との重なり量は0.5mm以上であり、
    第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、
    及び第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス
    は0.03mm以下であり、第1の入れ子に対する被
    覆プレートの重なり量、及び第2の入れ子に対する被覆
    プレートの重なり量は0.5mm以上であり、被覆プ
    レートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合
    っている金型組立体を用いることを特徴とする請求項1
    に記載の表面がメッキされた成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】金型は、第1の金型部及び第2の金型部か
    ら構成され、 入れ子は第1の金型部に配設され、 ゲート部は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・se
    c・゜C以下の材料から少なくとも構成されている金型
    組立体を用いることを特徴とする請求項1に記載の表面
    がメッキされた成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】ゲート部は、入れ子の一部と、第2の金
    型部の一部とによって構成されている金型組立体を用い
    ることを特徴とする請求項9に記載の表面がメッキされ
    た成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】ゲート部は、入れ子の一部と、第2の金
    型部に取り付けられた低熱伝導部材とによって構成され
    ている金型組立体を用いることを特徴とする請求項9に
    記載の表面がメッキされた成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】ゲート部が入れ子に設けられている金型
    組立体を用いることを特徴とする請求項9に記載の表面
    がメッキされた成形品の製造方法。
  13. 【請求項13】ゲート部は、第1の金型部に取り付けら
    れた第1の低熱伝導部材と、第2の金型部に取り付けら
    れた第2の低熱伝導部材とによって構成されている金型
    組立体を用いることを特徴とする請求項9に記載の表面
    がメッキされた成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】(イ)キャビティを備え、熱可塑性樹脂
    に基づき成形品を成形するための金型、 (ロ)該金型の内部に配設され、キャビティの一部を構
    成し、厚さが0.1mm乃至10mmのセラミックス若
    しくはガラスから作製された入れ子、及び、 (ハ)キャビティに開口したゲート部、を備えた金型組
    立体を用い、 ゲート部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出し
    た後、キャビティ内の該溶融熱可塑性樹脂を冷却、固化
    させ、得られた成形品を金型組立体から取り出し、その
    後、該成形品の表面にメッキを施すことによって製造さ
    れたことを特徴とする表面がメッキされた成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003019717A (ja) * 2001-05-01 2003-01-21 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 金型組立体及び射出成形方法
JP2004122567A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 金型組立体及び射出成形方法
CN102490292A (zh) * 2011-12-21 2012-06-13 江苏秀强玻璃工艺股份有限公司 一种模具玻璃及生产方法
KR102654127B1 (ko) * 2023-04-21 2024-04-02 김병찬 알루미늄 프로파일 사출접합방법

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