JPH1128981A - 中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法 - Google Patents

中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法

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JPH1128981A
JPH1128981A JP18373197A JP18373197A JPH1128981A JP H1128981 A JPH1128981 A JP H1128981A JP 18373197 A JP18373197 A JP 18373197A JP 18373197 A JP18373197 A JP 18373197A JP H1128981 A JPH1128981 A JP H1128981A
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roof rail
mold
nest
cavity
resin
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JP18373197A
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Hisashi Tawara
久志 田原
Takayuki Ito
尊之 伊藤
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金型のキャビティ面の状態を忠実に転写でき、
且つ、成形不良発生を防止できる車両用ルーフレールの
作製方法を提供する。 【解決手段】車両用ルーフレールの作製方法において
は、第1及び第2の金型部10,11、キャビティ17
内に溶融樹脂を導入するための溶融樹脂導入部15、溶
融樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入
装置16、及び、第1の金型部10に配置されたガラス
製又はセラミック製の入れ子20を備え、第2の金型部
11には入れ子被覆部12が設けられ、入れ子20と入
れ子被覆部12との間のクリアランス(C11)は0.0
3mm以下であり、入れ子20に対する入れ子被覆部1
2の重なり量(ΔS11)は0.1mm以上である金型組
立体を用い、溶融樹脂導入部15から溶融樹脂をキャビ
ティ17内に導入し、次いで、加圧流体注入装置16か
ら加圧流体を該溶融樹脂の内部に注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空部を有する樹
脂製の車両用ルーフレールの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用ルーフレールは、近年、レジャー
ビークル系車両の増加と共に急増している車両用部品の
1つであり、車両ルーフの外面にビス等を用いて取り付
けられる。車両用ルーフレールは、通常、レグと呼ばれ
る車両ルーフに取り付けられる部品、荷物等を載置し固
定するレールと呼ばれる部品、あるいは、かかるレグと
レールとが一体化された部品の総称である。尚、この一
体化された部品はルーフレールラックと呼ばれる場合も
ある。荷物等をアタッチメント等を用いて車両用ルーフ
レールに固定することによって、車内に積載できない大
きい荷物等を車両に積載することが可能となる。また、
車両ルーフに傷が付くことを防止することができる。
【0003】車両用ルーフレールには、大きい荷物を積
載するために剛性が要求される。そこで、現在では、ア
ルミニウムダイキャストや金属パイプで作製するか、金
属パイプを金型にインサートしてその周囲を樹脂で被覆
する方法がとられている。これらの工法で得られた車両
用ルーフレールは剛性を満足するものの、金属製である
ために重量が重く、しかも、組み立てに多大の工数を要
する。更には、重量が重いため、車両の燃費が悪くなる
といった問題がある。また、量産性も悪く、製造時の不
良率が高い等の問題点を抱えている。
【0004】そこで、近年、樹脂単独での車両用ルーフ
レールの作製が検討されている。車両用ルーフレールに
は剛性が要求されるので、車両用ルーフレールは肉厚形
状とする必要がある。然るに、熱可塑性樹脂でかなり肉
厚の車両用ルーフレールを成形した場合、熱可塑性樹脂
の収縮によるヒケが車両用ルーフレールに発生したり、
車両用ルーフレールの重量が重くなるといった問題があ
る。そのため、車両用ルーフレールの内部に中空部を設
けて軽量化する方法が提案されている。
【0005】このような方法の1つに、溶融熱可塑性樹
脂内部に高圧流体を注入して車両用ルーフレールの内部
に中空部を形成する方法(ガスアシスト法とも呼ばれ
る)が知られている。このガスアシスト法によれば、金
型のキャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂内部の
低粘度の領域を高圧流体が容易に流れるために、車両用
ルーフレールに中空部を形成することができる。また、
別の方法として、例えば箱形等の形状(凹部)を有する
第1の車両用ルーフレール部材と、平坦なあるいは曲面
を有する第2の車両用ルーフレール部材とを、振動溶着
法にて接着し、あるいは、接着剤を用いて接着すること
で、第1の車両用ルーフレール部材における凹部と第2
の車両用ルーフレール部材とによって中空部を形成する
方法も知られている。尚、このような方法を、便宜上、
接着法と呼ぶ。
【0006】また、十分な剛性を車両用ルーフレールに
付与するためには、成形用材料として無機繊維を含有す
る熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。しかしなが
ら、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂から車両用ルーフ
レールを成形した場合、車両用ルーフレール表面に無機
繊維が析出するために車両用ルーフレールの外観が悪く
なるといった問題がある。そのため、通常、無機繊維を
含有しない熱可塑性樹脂を用い、車両用ルーフレールの
形状を適切に設計することによって高い剛性を得てい
る。即ち、レールを車両ルーフへ固定するための部品で
あるレグの本数を増やし、あるいは又、レールを車両ル
ーフへ直置きする等の方法で、車両用ルーフレール自体
に撓みが発生しないように対応している。
【0007】しかしながら、これらの場合にも以下に説
明する成形不良が多発している。即ち、ガスアシスト法
を採用した場合、車両用ルーフレールの肉厚が厚いた
め、溶融熱可塑性樹脂(以下、単に、溶融樹脂と呼ぶ場
合がある)を金型のキャビティ内に導入した後、高圧流
体を溶融樹脂内部に注入すると、初期の溶融樹脂流動停
止部分でヘジテーションと呼ばれるマークやジェッテイ
ングといった不良、あるいは又、高圧流体によって押し
出された溶融樹脂と固化した固化層とが混ざることによ
って色ムラや転写性不良が発生する。また、接着法を採
用した場合であっても、第1の車両用ルーフレール部材
の寸法が大きいため、キャビティ内の溶融樹脂の流れを
良くしないとキャビティ内を溶融樹脂で完全に充填する
ことができなくなり、その結果、フローマークや湯じわ
といった不良が発止する。更には、穴を有する車両用ル
ーフレールの場合、ウェルドラインが発生するといった
問題もある。
【0008】これらの不良は、車両用ルーフレールや第
1の車両用ルーフレール部材を成形するための金型が炭
素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金
属材料から作製されていることに起因している。通常、
金型は、金型に設けられたキャビティ内に射出あるいは
導入された溶融樹脂に起因した高い圧力によっても変形
しないこれらの金属材料から作製されているが、これら
の金属材料は熱伝導性に優れている。それ故、キャビテ
ィ内に射出あるいは導入された溶融樹脂は、金型のキャ
ビティを構成する面(金型のキャビティ面と呼ぶ)と接
触した時、瞬時に冷却され始める。その結果、金型のキ
ャビティ面と接触した溶融樹脂の表層部分に固化層が形
成され、キャビティ内の溶融樹脂の流動が阻害され、あ
るいは又、無機繊維が析出し、更には、金型のキャビテ
ィ面の転写性が不足し、各種成形不良が発生するという
問題を生じる。
【0009】このような問題点を解決するために、一般
的には、溶融樹脂をキャビティ内に高圧にて導入するこ
とで金型のキャビティ面を無理矢理、成形品の表面に転
写させる方法、あるいは又、金型温度を高温にして溶融
樹脂の固化層の発達を遅らせてウエルドマークやフロー
マークの発生を防止し、且つ、金型のキャビティ面の成
形品表面への転写性不良の発生を防止する方法がある。
しかしながら、前者の方法においては、成形装置の大型
化、金型自体の大型化・肉厚化によるコストアップにつ
ながると共に、溶融樹脂の高圧導入により成形品内部に
応力が残留し、その結果、成形品の品質が低下するとい
った問題が発生する。後者の方法においては、金型温度
を成形に用いる樹脂の荷重撓み温度よりもやや低めに設
定して固化層の発達を遅らせるために、キャビティ内の
樹脂の冷却時間が長くなる結果、成形サイクルが長くな
り、生産性が低下するといった問題がある。更には、こ
れらの成形方法を用いても、上述の成形不良を完全に防
止することは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】キャビティ内に充填さ
れた樹脂の固化層の発達を遅延させることによって、ウ
ェルドマークやフローマーク等の成形不良を防止するこ
とを目的として、低熱伝導材を金型のキャビティ面に設
け若しくは取り付ける技術が、例えば、特開昭55−5
5839号公報、特開昭61−100425号公報、特
開昭62−208919号公報、特開平5−11193
7号公報、特開平5−200789号公報、特公平6−
35134号公報、特開平6−218769号公報に提
案されている。
【0011】低熱伝導材を金型のキャビティ面に接着剤
を用いて単に接着する場合、以下のような問題が生じる
ため、金型全体としての耐久性が乏しく、成形品の量産
は困難である。 (A)金型と低熱伝導材との間のクリアランスが小さい
場合、金型の温度上昇及び温度降下によって、金型を構
成する材料と低熱伝導材の線膨張係数の相違に起因して
低熱伝導材が破損したり、溶融樹脂のキャビティ内への
導入時の圧力によって応力を受けた低熱伝導材が破損す
る。 (B)金型と低熱伝導材との間の接着剤は溶融樹脂等の
熱で溶融されるが、金型と低熱伝導材との間のクリアラ
ンスが大きい場合、長期間の成形を行うと金型と低熱伝
導材との間に溶融樹脂が侵入し、成形品にバリが発生す
る。また、金型から成形品を取り出す際、低熱伝導材の
外周部が抵抗を受ける結果、低熱伝導材が破損する。
【0012】また、低熱伝導材の外周部に切削加工時に
発生した微細なクレーズと溶融樹脂とが接触することに
よって、クレーズがクラックに成長し、かかるクラック
の部分に圧力及び熱による歪が加わるため、低熱伝導材
の外周部から低熱伝導材が破損するといった問題が発生
する。そのため、金型全体としての耐久性が乏しく、成
形品の量産が困難である。
【0013】低熱伝導材を耐熱性プラスチックから作製
する場合もあるが、かかる低熱伝導材の剛性は低く、更
には、表面硬度が劣るために、長期間使用すると低熱伝
導材が歪んだり、低熱伝導材に傷が付き易い等の問題が
ある。あるいは又、金属表面にセラミックから成る薄膜
を化学蒸着等で形成させて成る低熱伝導材もあるが、薄
膜の耐久性が悪く、金属表面から剥離するといった問題
がある。それ故、通常、試験用金型若しくは簡易金型と
して用いられるだけであり、長期使用には耐えられな
い。
【0014】また、このような金型を用いて、無機繊維
を含有する熱可塑性樹脂から成形品を成形する場合、溶
融樹脂の流動性が劣ることから、低熱伝導材に対して加
わる高い応力によって低熱伝導材の寿命の短縮が避けら
れない。更には、無機繊維と低熱伝導材とが接触するた
めに、低熱伝導材の表面に耐摩耗性を付与する必要があ
る。以上の理由により、低熱伝導材を組み込んだ金型を
使用して、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂に基づき成
形品を成形することは、極めて困難である。
【0015】従って、本発明の目的は、たとえ無機繊維
を含有する熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、金型
のキャビティ面の状態を忠実に転写することができ、且
つ、ガスアシスト法や接着法において発生するヘジテー
ション、色ムラ、ウェルドライン、湯じわ、フローマー
ク等の成形不良発生を防止し、しかも入れ子の保守が容
易であり、成形時、セラミックやガラス等の低熱伝導材
から成る入れ子に破損が発生せず、バリが発生すること
のない、中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの
作製方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る中空部を有する樹脂製の
車両用ルーフレールの作製方法は、(イ)車両用ルーフ
レールを成形するためのキャビティが設けられた第1の
金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若しくは第2の
金型部に配置され、該第1の金型部と該第2の金型部と
を型締めした状態において形成される該キャビティ内に
溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融樹脂導入部、
(ハ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該キャ
ビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流
体を注入するための加圧流体注入装置、並びに、(ニ)
該第1の金型部に配置され、キャビティの一部を構成す
る、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又はセラ
ミック製の入れ子、を備え、第2の金型部には、入れ子
被覆部が設けられており、第1の金型部と第2の金型部
とを型締めした状態において、入れ子と入れ子被覆部と
の間のクリアランス(C11)は0.03mm以下(C11
≦0.03mm)であり、且つ、入れ子に対する入れ子
被覆部の重なり量(ΔS11)は0.1mm以上(ΔS11
≧0.1mm)である金型組立体を用い、溶融樹脂導入
部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に導入し、次い
で、加圧流体注入装置から加圧流体を該溶融熱可塑性樹
脂の内部に注入することを特徴とする。
【0017】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレー
ルの作製方法は、(イ)車両用ルーフレールを成形する
ためのキャビティが設けられた第1の金型部及び第2の
金型部、(ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置さ
れ、該第1の金型部と該第2の金型部とを型締めした状
態において形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹
脂を導入するための溶融樹脂導入部、(ハ)該第1若し
くは第2の金型部に配置され、該キャビティ内に導入さ
れた溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するため
の加圧流体注入装置、(ニ)該第1の金型部に配置さ
れ、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃
至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ子、並び
に、(ホ)該第1若しくは第2の金型部に配設され、キ
ャビティの一部を構成し、該入れ子の端部を被覆する被
覆プレート、を備え、第1の金型部と第2の金型部とを
型締めした状態において、入れ子と被覆プレートとの間
のクリアランス(C21)は0.03mm以下(C21
0.03mm)であり、且つ、入れ子に対する被覆プレ
ートの重なり量(ΔS21)は0.1mm以上(ΔS21
0.1mm)である金型組立体を用い、溶融樹脂導入部
から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に導入し、次い
で、加圧流体注入装置から加圧流体を該溶融熱可塑性樹
脂の内部に注入することを特徴とする。
【0018】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレー
ルの作製方法は、(イ)車両用ルーフレールを成形する
ためのキャビティが設けられた第1の金型部及び第2の
金型部、(ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置さ
れ、該第1の金型部と該第2の金型部とを型締めした状
態において形成される該キャビティ内に導入された溶融
熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流
体注入装置、(ハ)第1の金型部に配設され、キャビテ
ィの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmの
ガラス製又はセラミック製の入れ子、並びに、(ニ)入
れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の金型部に
取り付けられ、溶融樹脂導入部が設けられた被覆プレー
ト、を備え、第2の金型部には、入れ子被覆部が設けら
れており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした
状態において、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアラ
ンス(C31)は0.03mm以下(C31≦0.03m
m)であり、入れ子に対する入れ子被覆部の重なり量
(ΔS31)は0.1mm以上(ΔS31≧0.1mm)で
あり、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス(C
32)は0.03mm以下(C32≦0.03mm)であ
り、入れ子に対する被覆プレートの重なり量(ΔS32
は0.1mm以上(ΔS32≧0.1mm)であり、被覆
プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っている金型
組立体を用い、溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂を
キャビティ内に導入し、次いで、加圧流体注入装置から
加圧流体を該溶融熱可塑性樹脂の内部に注入することを
特徴とする。
【0019】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレー
ルの作製方法は、(イ)凹部を有する第1の車両用ルー
フレール部材を成形するためのキャビティが設けられた
第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若しくは
第2の金型部に配置され、該第1の金型部と該第2の金
型部とを型締めした状態において形成される該キャビテ
ィ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融樹脂導入
部、並びに、(ハ)該第1の金型部に配置され、キャビ
ティの一部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mm
のガラス製又はセラミック製の入れ子、を備え、第2の
金型部には、入れ子被覆部が設けられており、第1の金
型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ
子と入れ子被覆部との間のクリアランス(C41)は0.
03mm以下(C41≦0.03mm)であり、且つ、入
れ子に対する入れ子被覆部の重なり量(ΔS41)は0.
1mm以上(ΔS41≧0.1mm)である金型組立体を
用い、溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビテ
ィ内に導入することで第1の車両用ルーフレール部材を
成形した後、予め準備された第2の車両用ルーフレール
部材と第1の車両用ルーフレール部材とを接着し、以
て、第1の車両用ルーフレール部材における凹部と第2
の車両用ルーフレール部材とによって形成された中空部
を有する車両用ルーフレールを作製することを特徴とす
る。
【0020】上記の目的を達成するための本発明の第5
の態様に係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレー
ルの作製方法は、(イ)凹部を有する第1の車両用ルー
フレール部材を成形するためのキャビティが設けられた
第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)該第1若しくは
第2の金型部に配置され、該第1の金型部と該第2の金
型部とを型締めした状態において形成される該キャビテ
ィ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融樹脂導入
部、(ハ)該第1の金型部に配置され、キャビティの一
部を構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス
製又はセラミック製の入れ子、並びに、(ニ)該第1若
しくは第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構
成し、該入れ子の端部を被覆する被覆プレート、を備
え、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態に
おいて、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス
(C51)は0.03mm以下(C51≦0.03mm)で
あり、且つ、入れ子に対する被覆プレートの重なり量
(ΔS51)は0.1mm以上(ΔS51≧0.1mm)で
ある金型組立体を用い、溶融樹脂導入部から溶融熱可塑
性樹脂をキャビティ内に導入することで第1の車両用ル
ーフレール部材を成形した後、予め準備された第2の車
両用ルーフレール部材と第1の車両用ルーフレール部材
とを接着し、以て、第1の車両用ルーフレール部材にお
ける凹部と第2の車両用ルーフレール部材とによって形
成された中空部を有する車両用ルーフレールを作製する
ことを特徴とする。
【0021】上記の目的を達成するための本発明の第6
の態様に係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレー
ルの作製方法は、(イ)凹部を有する第1の車両用ルー
フレール部材を成形するためのキャビティが設けられた
第1の金型部及び第2の金型部、(ロ)第1の金型部に
配設され、キャビティの一部を構成する、厚さが0.5
mm乃至10mmのガラス製又はセラミック製の入れ
子、並びに、(ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設
され、第1の金型部に取り付けられ、溶融樹脂導入部が
設けられた被覆プレート、を備え、第2の金型部には、
入れ子被覆部が設けられており、第1の金型部と第2の
金型部とを型締めした状態において、入れ子と入れ子被
覆部との間のクリアランス(C61)は0.03mm以下
(C61≦0.03mm)であり、入れ子に対する入れ子
被覆部の重なり量(ΔS61)は0.1mm以上(ΔS61
≧0.1mm)であり、入れ子と被覆プレートとの間の
クリアランス(C62)は0.03mm以下(C62≦0.
03mm)であり、入れ子に対する被覆プレートの重な
り量(ΔS62)は0.1mm以上(ΔS62≧0.1m
m)であり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重な
り合っている金型組立体を用い、溶融樹脂導入部から溶
融熱可塑性樹脂をキャビティ内に導入することで第1の
車両用ルーフレール部材を成形した後、予め準備された
第2の車両用ルーフレール部材と第1の車両用ルーフレ
ール部材とを接着し、以て、第1の車両用ルーフレール
部材における凹部と第2の車両用ルーフレール部材とに
よって形成された中空部を有する車両用ルーフレールを
作製することを特徴とする。
【0022】尚、以下の説明において、第1〜第3の態
様に係る車両用ルーフレールの作製方法によって作製さ
れた車両用ルーフレール及び第4〜第6の態様に係る車
両用ルーフレールの作製方法によって作製された第1の
車両用ルーフレール部材を総称して、成形品と呼ぶ場合
がある。また、第1〜第6の態様に係る車両用ルーフレ
ールの作製方法によって作製された車両用ルーフレール
及び第4〜第6の態様に係る車両用ルーフレールの作製
方法によって作製された車両用ルーフレールを総称し
て、車両用ルーフレール等と呼ぶ場合がある。
【0023】本発明の第1の態様あるいは第4の態様に
係る中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製
方法(以下、便宜上、車両用ルーフレールの作製方法と
呼ぶ場合がある)における金型組立体の溶融樹脂導入部
としては、例えば、ダイレクトゲート構造を挙げること
ができる。また、本発明の第2の態様あるいは第5の態
様に係る車両用ルーフレールの作製方法における金型組
立体の溶融樹脂導入部としては、例えば、ダイレクトゲ
ート構造、サイドゲート構造やオーバーラップゲート構
造を挙げることができる。更には、本発明の第3の態様
あるいは第6の態様に係る車両用ルーフレールの作製方
法における金型組立体の溶融樹脂導入部としては、例え
ば、サイドゲート構造やオーバーラップゲート構造を挙
げることができる。尚、成形すべき成形品の形状等に依
存して、溶融樹脂導入部を第1の金型部に配置してもよ
いし第2の金型部に配置してもよい。
【0024】被覆プレートを設けることによって、溶融
樹脂が最も高圧で導入される溶融樹脂導入部の近傍の入
れ子の端部に微細なクラックが発生し、入れ子が破損す
ることを確実に防止することができる。また、入れ子端
部の全体を被覆プレートによって被覆すれば(本発明の
第2若しくは第5の態様に係る車両用ルーフレールの作
製方法)、更に、入れ子破損の危険性は低下する。尚、
本発明の第2若しくは第5の態様に係る車両用ルーフレ
ールの作製方法における金型組立体においては被覆プレ
ートは、作製すべき車両用ルーフレールや第1の車両用
ルーフレール部材の形状に依存して、第1の金型部に配
設されていてもよいし、第2の金型部に配設されていて
もよい。一方、金型組立体の構造や成形すべき成形品の
形状によっては、被覆プレートを金型組立体の内部に配
置することが困難な場合もある。このような場合には、
本発明の第1若しくは第4の態様に係る車両用ルーフレ
ールの作製方法に基づき車両用ルーフレールを作製すれ
ばよい。また、本発明の第1若しくは第4の態様に係る
車両用ルーフレールの作製方法においては、第1の金型
部への入れ子の装着は極めて容易である。
【0025】本発明の第4〜6の態様に係る車両用ルー
フレールの作製方法においては、第2の車両用ルーフレ
ール部材は、通常の入れ子が配置されていない金型組立
体を用いて成形してもよいし、本発明の第4〜6の態様
に係る車両用ルーフレールの作製方法にて使用される金
型組立体を用いて成形してもよい。第2の車両用ルーフ
レール部材の成形方法として、射出成形法を例示するこ
とができるが、かかる成形方法に限定するものではな
い。
【0026】デザイン的及び機能的に車両用ルーフレー
ルの側面等に穴を設ける必要がある場合がある。このよ
うな場合には、本発明の第1、第2若しくは第3の態様
に係る車両用ルーフレールの作製方法においては、第1
若しくは第2の金型部に配置され、キャビティの一部を
構成し、車両用ルーフレールに穴(貫通穴若しくは非貫
通穴)を形成するためのスライドコアを金型組立体に更
に備えることが好ましい。この場合、第1の金型部と第
2の金型部とを型締めした状態において、入れ子とスラ
イドコアとの間のクリアランス(C13,C23,C33)は
0.03mm以下(C13,C23,C33≦0.03mm)
であることが望ましい。このようなクリアランスの範囲
(C13,C23,C33≦0.03mm)とすることで、入
れ子とスライドコアとの接触がなくなり、また、車両用
ルーフレールにバリが発生することが防止できる。尚、
一般の炭素鋼等からスライドコアを作製してもよいが、
ウェルドラインを消失させる目的や、エアーの巻き込み
によるシルバーストリーク等の成形不良を防止する目
的、ウェルド強度が低下することを防止する目的で、少
なくともスライドコアのキャビティを構成する面をガラ
ス製又はセラミック製の環状部材、あるいはガラス又は
セラミックから成る溶射層から構成することが好まし
い。
【0027】即ち、車両用ルーフレールに穴を形成する
ためのスライドコアを、一対の対向するスライドコア部
材と、それぞれのスライドコア部材のキャビティの一部
を構成する部分に取り付けられたガラス製又はセラミッ
ク製の環状部材とから構成し、該環状部材は、一端が閉
塞しそして他端が開口した形状を有することが望まし
い。そして、車両用ルーフレールに形成すべき穴が貫通
穴である場合には、一対のスライドコア部材が対向した
状態において、一方のスライドコア部材に取り付けられ
た環状部材と他方のスライドコア部材に取り付けられた
環状部材との間のクリアランス(C14,C24,C34)は
0.03mm以下(C14,C24,C34≦0.03mm)
であることが望ましい。
【0028】あるいは又、車両用ルーフレールに穴を形
成するためのスライドコアを、一対の対向するスライド
コア部材と、それぞれのスライドコア部材のキャビティ
の一部を構成する部分に取り付けられたガラス製又はセ
ラミック製の環状部材とから構成し、該環状部材は、両
端が開口した形状を有することが好ましい。そして、車
両用ルーフレールに形成すべき穴が貫通穴である場合に
は、一対のスライドコア部材が対向した状態において、
一方のスライドコア部材に取り付けられた環状部材の端
部と他方のスライドコア部材に取り付けられた環状部材
の端部との間のクリアランス(C14,C24,C34)は
0.03mm以下(C14,C24,C34≦0.03mm)
であることが望ましい。尚、スライドコア部材とスライ
ドコア部材との間のクリアランスは無くともよい。
【0029】更には、一対の環状部材の内の一方の環状
部材を、一端が閉塞しそして他端が開口した形状を有す
る環状部材とし、他方の環状部材を、両端が開口した形
状を有する環状部材とすることもできる。この場合に
も、一対のスライドコア部材が対向した状態において、
一方の環状部材の端面と他方の環状部材の端部との間の
クリアランス(C14,C24,C34)は0.03mm以下
(C14,C24,C34≦0.03mm)であることが望ま
しい。
【0030】あるいは又、車両用ルーフレールに穴(貫
通穴若しくは非貫通穴)を形成するためのスライドコア
を、一対の対向するスライドコア部材と、それぞれのス
ライドコア部材のキャビティの一部を構成する部分に形
成されたセラミック若しくはガラスを溶射して成る溶射
層とから構成することが好ましい。この場合、貫通穴を
設けるためには、一対のスライドコア部材が対向した状
態において、一方のスライドコア部材に形成された溶射
層と他方のスライドコア部材に形成された溶射層との間
のクリアランス(C14,C24,C34)は0.03mm以
下(C14,C24,C34≦0.03mm)であることが望
ましい。
【0031】上述のように、クリアランス(C14
24,C34)を規定することによって、貫通穴を形成す
る場合に、車両用ルーフレールにバリが発生することを
防止できるし、環状部材や溶射層の損傷発生を防止する
ことができる。尚、スライドコアは、金型組立体開閉時
に第1の金型部あるいは第2の金型部の動きと連動して
スライドする一般的な形式のものであってもよいし、油
圧シリンダー等を用いて強制的に作動させる形式のもの
であってもよい。
【0032】ここで、キャビティの一部を構成すると
は、車両用ルーフレールあるいは第1の車両用ルーフレ
ール部材(成形品)の外形を規定するキャビティ面を構
成することを意味する。より具体的には、キャビティ
は、例えば、第1の金型部及び第2の金型部に形成され
たキャビティを構成する面と、入れ子に形成されたキャ
ビティを構成する面と、場合によっては、被覆プレート
やスライドコアに形成されたキャビティを構成する面と
から構成されている。尚、これらのキャビティを構成す
る面を、以下、金型部のキャビティ面、入れ子のキャビ
ティ面、被覆プレートのキャビティ面、及びスライドコ
アのキャビティ面と呼ぶ。
【0033】入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、入
れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入
された溶融樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフロー
マーク等の外観不良が発生し易くなる。また、金型部に
入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用い
て入れ子を金型部に接着すればよいが、入れ子の厚さが
0.5mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると
入れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうね
る現象が生じたり、キャビティ内に導入された溶融樹脂
の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入
れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱
効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間
を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形する
ことがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題
が発生することがある。尚、入れ子の厚さは、0.5m
m乃至10mm、好ましくは、1mm乃至7mm、一層
好ましくは2mm乃至5mmである。
【0034】型締め状態において、クリアランス
(C11,C21,C31,C32,C41,C51,C61,C62
13,C23,C33,C14,C24,C34)を、0.03m
m以下、実用的には、0.001mm以上0.03mm
以下(0.001mm≦C11,C21,C31,C32
41,C51,C61,C62,C13,C23,C33,C14,C
24,C34≦0.03mm)、好ましくは0.003mm
以上0.03mm以下(0.003mm≦C11,C21
31,C32,C41,C51,C61,C62,C13,C23,C
33,C14,C24,C34≦0.03mm)とする。クリア
ランスの下限は、入れ子の外周部に微細なクラックが発
生したり、金型温度上昇時に入れ子が熱膨張することに
よって、入れ子が金型部の入れ子被覆部や被覆プレー
ト、スライドコアと接触し、入れ子の外周部の微細クラ
ックに応力がかかる結果、入れ子が破損するといった問
題が生じないような値とすればよい。クリアランス(C
11,C21,C31,C32,C41,C51,C61,C62
13,C23,C33,C14,C24,C34)が0.03mm
を越えると、溶融樹脂が、入れ子と金型部の入れ子被覆
部や被覆プレート、スライドコアとの間に侵入し、入れ
子にクラックが生じる場合があるし、成形品にバリが発
生したり、金型部から成形品を取り出す際に入れ子が損
傷するといった問題も生じる。
【0035】重なり量(ΔS11,ΔS21,ΔS31,ΔS
32,ΔS41,ΔS51,ΔS61,ΔS62)の値が0.1m
m未満の場合、入れ子の外周部に発生した微細なクラッ
クと溶融樹脂とが接触する結果、入れ子に生成したクラ
ックが成長し、入れ子が破損する場合がある。
【0036】本発明の第1〜第6の態様に係る車両用ル
ーフレールの作製方法においては、入れ子は、広く、ジ
ルコニア系材料、アルミナ系材料、チタニア系材料から
成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガ
ラス、石英ガラス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから成
る群から選択されたガラスから作製することが望まし
い。より具体的には、入れ子は、2×10-2cal/c
m・sec・deg以下の熱伝導率を有する、Zr
2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−M
gO、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、
Ti32、3Al23−2SiO2、ZrO2−Si
2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−
Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択さ
れたセラミックから作製されていることが好ましく、中
でも、2×10-2cal/cm・sec・deg以下の
熱伝導率を有するZrO2又はZrO2−Y23から成る
セラミックから作製されていることが一層好ましい。あ
るいは又、2×10-2cal/cm・sec・deg以
下の熱伝導率を有する、ソーダガラス、石英ガラス、耐
熱ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガ
ラスから作製されていることが好ましく、中でも、2×
10-2cal/cm・sec・deg以下の熱伝導率を
有する結晶化ガラスから作製されていることが一層好ま
しい。
【0037】本発明の第1〜第3の態様に係る車両用ル
ーフレールの作製方法においては、環状部材は、広く、
ジルコニア系材料、アルミナ系材料、チタニア系材料か
ら成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダ
ガラス、石英ガラス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから
成る群から選択されたガラスから作製することが望まし
い。より具体的には、環状部材は、2×10-2cal/
cm・sec・deg以下の熱伝導率を有する、ZrO
2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−Mg
O、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、T
32、3Al23−2SiO2、ZrO2−SiO2
MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al2
3−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセ
ラミックから作製されていることが好ましく、中でも、
2×10-2cal/cm・sec・deg以下の熱伝導
率を有するZrO2又はZrO2−Y23から成るセラミ
ックから作製されていることが一層好ましい。あるいは
又、2×10-2cal/cm・sec・deg以下の熱
伝導率を有する、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラ
ス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスか
ら作製されていることが好ましく、中でも、2×10-2
cal/cm・sec・deg以下の熱伝導率を有する
結晶化ガラスから作製されていることが一層好ましい。
【0038】あるいは又、本発明の第1〜第3の態様に
係る車両用ルーフレールの作製方法においては、溶射層
は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・de
g以下である、広く、ジルコニア系材料、アルミナ系材
料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラミッ
ク、より具体的には、ZrO2、ZrO2−CaO、Zr
2−Y23、ZrO2−MgO、K2O−TiO2、Al
23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2S
iO2から成る群から選択されたセラミック、若しく
は、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガ
ラスから成る群から選択されたガラスを溶射して形成す
ることができるが、中でも、熱伝導率が2×10-2ca
l/cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y2
3又は3Al23・2SiO2から成るセラミックを溶射
することで形成されていることが好ましい。
【0039】入れ子や環状部材、溶射層を構成する材料
の熱伝導率は、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を抑制す
ることで成形品の表面におけるヒケ発生を防止するため
に、2×10-2cal/cm・sec・deg以下であ
ることが好ましい。この値を越える熱伝導率を有する材
料を用いて入れ子や環状部材、溶射層を作製・形成した
場合、キャビティ内の溶融樹脂が入れ子やスライドコア
によって急冷されるために、入れ子や環状部材、溶射層
を備えていない通常の炭素鋼等から作製された金型組立
体やスライドコアを用いて成形された成形品と同程度の
外観しか得られない虞がある。
【0040】入れ子や環状部材を構成する材料に対し
て、通常の研削加工で凹凸、曲面等の加工を容易にで
き、かなり複雑な形状以外は任意の形状の入れ子や環状
部材を製作できる。セラミック粉末若しくは溶融ガラス
を成形用金型に入れてプレス成形した後に熱処理するこ
とで、3次元曲面を有する入れ子や環状部材を作製する
ことができる。また、ガラスから成る板状物を治具上に
置いたまま炉内で自然に賦形させることによって、入れ
子を作製することもできる。
【0041】入れ子や環状部材、溶射層を結晶化ガラス
から作製・形成する場合、入れ子や環状部材、溶射層
を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶化度が
60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜100%
の結晶化ガラスから作製・形成することが好ましい。1
0%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に
分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向
上するため、成形品の成形時における入れ子や環状部
材、溶射層の破損発生を著しく低下させることができ
る。結晶化度が10%未満では、成形時にその表面から
界面剥離を起こし易いといった欠点がある。尚、入れ子
や環状部材、溶射層を構成する結晶化ガラスの線膨張係
数が1×10-6/deg以下、熱衝撃強度が400゜C
以上であることが好ましい。
【0042】熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した1
00mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水
中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの
温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が4
00゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×
100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込
んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。
この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前
後の値しか得られない。従って、それ以上の温度(例え
ば、約300゜C)で溶融された樹脂が入れ子や環状部
材、溶射層と接触したとき、入れ子や環状部材、溶射層
に歪みが生じ、入れ子や環状部材、溶射層が破損する場
合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係
し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入
れ子や環状部材、溶射層を作製・形成すれば、成形時に
入れ子や環状部材が割れ、あるいは溶射層が損傷するこ
とを確実に防止し得る。
【0043】ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少
量のTiO2及びZrO2の核剤を添加した後、1600
゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロー
ル、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のため
に熱処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−Si
2系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイ
ト系結晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例
示することができる。あるいは又、CaO−Al23
SiO2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、
水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物
セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−
ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示すること
ができる。更には、SiO2−B23−Al23−Mg
O−K2O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成さ
せたものや、核剤を含むMgO−Al23−SiO2
ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成された
ものを例示することができる。尚、本発明で使用する入
れ子あるいは環状部材、溶射層は、強度及び熱特性に優
れたβ−ユークリプタイト系及びβ−スポジュメン系の
結晶を有する結晶化ガラスから作製・形成することが好
ましい。
【0044】これら結晶化ガラスにおいては、ガラス基
材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で
表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器
を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化
度を測定することができる。
【0045】入れ子や環状部材、溶射層をセラミックか
ら作製・形成した場合、入れ子や環状部材、溶射層の素
材が多孔質であるために、成形品の表面に凸状の突起物
が転写される場合がある。しかしながら、結晶化ガラス
は、結晶粒子が微細であり、しかも粒子間の接着力が優
れており、多孔質でないために、成形品の表面が鏡面に
なり易いといった利点がある。
【0046】入れ子や環状部材、溶射層の表面に、スパ
ッタリングやイオンプレーティング等の表面処理技術に
よって、上述した材料又は金属化合物から成る薄膜層を
少なくとも1層設けてもよく、これによって、セラミッ
クの空孔を充填することができ、成形品の表面特性を一
層向上させることができる。但し、膜厚としては、20
μm以下が好ましく、この厚さを越えると断熱効果の低
下及び薄膜層の入れ子や環状部材表面、溶射層表面への
密着性の低下、入れ子縁部での薄膜層のだれ発生、薄膜
層の損傷発生、薄膜層の表面のうねり発生が生じる虞が
ある。
【0047】成形品に鏡面性が要求される場合、入れ子
のキャビティを構成する面(入れ子のキャビティ面)の
表面粗さRmaxを0.03μm以下とすることが望まし
い。表面粗さRmaxが0.03μmを越えると、鏡面性
が不足し、成形品に要求される特性、例えば表面平滑性
(写像性)を満足しない場合がある。そのためには、作
製された入れ子のキャビティ面に対して、表面粗さR
maxが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤモン
ドラッピングを行い、更に、必要に応じて、ポリッシン
グを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン等を
用いて行うことができる。尚、ラッピングは入れ子の加
工の最終工程で行うことが望ましい。通常の炭素鋼等の
磨きと比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1/
2のコストで鏡面が得られるために、金型組立体の製作
費を低減させることが可能である。尚、表面粗さRmax
の測定は、JIS B0601に準じた。つや消し若し
くはヘラーラインの状態の表面を有する成形品を成形す
る場合には、入れ子のキャビティ面をサンドブラスト処
理やエッチングを行うことによって、入れ子のキャビテ
ィ面に細かい凹凸やラインを形成すればよい。
【0048】また、入れ子に凹凸形状を設ける場合に
は、凹凸部のエッジに発生した微細なクラックが溶融樹
脂と接触して破損することを防止するために、ダイヤモ
ンド砥石で凹凸部の縁部を研磨して応力が集中しないよ
うにすべきである。あるいは又、場合によっては、半径
0.3mm以下の曲率面やC面カットを設け、応力の集
中を避けることが好ましい。
【0049】研削加工等によって所定形状に加工した
後、入れ子の装着時に入れ子が金型部に設けられた入れ
子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは
又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に装
着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型部に
設けられた入れ子装着部に直接装着することができる。
あるいは又、エポキシ系、シリコン系、ウレタン系、ア
クリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用い
て、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。但し、接
着剤の厚さむらの影響で入れ子に歪みが発生することを
防止するために、用いる接着剤の厚さを出来る限り薄く
且つ均一にすることが望ましい。あるいは又、場合によ
っては、ボルトを用いて固定することができる。尚、入
れ子装着部が設けられた入れ子装着用中子を金型部に取
り付け、かかる入れ子装着用中子の入れ子装着部に入れ
子を装着してもよい。環状部材のスライドコア部材への
取り付けは、エポキシ系、シリコン系、ウレタン系、ア
クリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用い
て、環状部材をスライドコア部材へ接着すればよい。
【0050】本発明の第1〜第3の車両用ルーフレール
の作製方法においては、加圧流体注入装置の取り付け位
置は、成形すべき車両用ルーフレールの形状等に依存し
て、射出成形装置の溶融樹脂射出ノズル内、金型部に配
設された溶融樹脂導入部内(例えば、ゲート部内)、あ
るいは、金型部に配設されそしてキャビティに開口する
加圧流体注入装置取付部から適宜選択すればよい。成形
すべき成形品の形状等に依存して、加圧流体注入装置を
第1の金型部に配置してもよいし第2の金型部に配置し
てもよい。
【0051】加圧流体注入装置は、例えば、加圧流体注
入ノズルと、この加圧流体注入ノズルの先端部近傍に内
蔵された逆止弁と、加圧流体注入ノズルを移動させるた
めの移動手段とから構成することができる。移動手段に
よって加圧流体注入ノズルを移動させることで、加圧流
体注入ノズルの先端部が金型部と係合し、あるいは係合
を解かれる。加圧流体注入ノズルの先端部が金型部と係
合することによって加圧流体注入ノズルの先端部はキャ
ビティと連通し、キャビティ内の溶融樹脂の内部に加圧
流体を確実に注入することができる。また、加圧流体注
入ノズルの先端部が金型部との係合を解かれることによ
って、中空部内の加圧流体を大気に解放することができ
る。加圧流体注入ノズルの後端は、配管を介して加圧流
体源に接続されている。
【0052】キャビティ内に導入された溶融樹脂内への
加圧流体の注入開始の時点は、溶融樹脂の導入中、導入
完了と同時、あるいは導入完了後とすることができる。
キャビティ内の樹脂内への加圧流体の注入は、キャビテ
ィ内の樹脂が冷却、固化した後も続けることが好まし
い。また、使用に適した加圧流体としては、常温・常圧
下でガス状あるいは液状の流体であって、溶融樹脂内へ
の注入時、溶融樹脂と反応したり混合しないものが望ま
しい。具体的には、窒素ガス、炭酸ガス、空気、ヘリウ
ムガス等、常温でガス状の物質、水等の液体、高圧下で
液化したガスを使用することができるが、中でも、窒素
ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが好ましい。尚、注
入する加圧流体は、車両用ルーフレールの中空部に断熱
圧縮による焼けが生じないような不活性な加圧流体であ
ることが、一層好ましく、窒素ガスを用いる場合、純度
90%以上のものを使用することが望ましい。更には、
加圧流体として、発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等を使
用することもできる。尚、この場合には、中空部に発泡
性樹脂、繊維強化樹脂材料等が充填されるが、このよう
な構造も、本発明においては中空部という概念に含め
る。
【0053】本発明の第1〜第3の車両用ルーフレール
の作製方法においては、キャビティ内へ導入する溶融樹
脂の量は、どの程度の中空部を車両用ルーフレールに形
成すべきかに依存し、キャビティ内を溶融樹脂で完全に
充填するために必要な量であってもよいが、キャビティ
内を溶融樹脂で完全に充填するには不十分な量とするこ
とが望ましい。
【0054】また、溶融樹脂導入部から最も離れたキャ
ビティの部分(キャビティ端部と呼ぶ)にて成形される
車両用ルーフレールにおける中空部の形成を確実なもの
とするために、本発明の第1〜第3の車両用ルーフレー
ルの作製方法においては、かかるキャビティ端部に連通
した補助キャビティを設けてもよい。このような補助キ
ャビティを設けることで、溶融樹脂の内部に注入された
加圧流体によってキャビティ内の溶融樹脂が流動し、溶
融樹脂の一部は補助キャビティへ流出するため、加圧流
体がキャビティ端部まで容易に確実に流れ、キャビティ
端部に相当する車両用ルーフレールの部分に確実に中空
部を形成することが可能となる。
【0055】本発明の第4〜第6の車両用ルーフレール
の作製方法においては、第1の車両用ルーフレール部材
と第2の車両用ルーフレール部材との接着法として、振
動溶着法や接着剤を用いる方法を挙げることができる。
振動溶着法を採用する場合、第1の車両用ルーフレール
部材あるいは第2の車両用ルーフレール部材の溶着面に
凸形状のエネルギーダイレクターを設置する。そして、
200Hz前後の振動を与え、振動による熱エネルギー
にてエネルギーダイレクターを溶融させることによっ
て、第1の車両用ルーフレール部材と第2の車両用ルー
フレール部材とを接着(溶着)させることができる。エ
ネルギーダイレクターの断面形状は、三角形、矩形、丸
形、円錐形、角錐形等の凸形状であれば、如何なる断面
形状であってもよい。また、接着剤による接着では、接
着面はできるだけ平坦な形状であることが好ましい。接
着剤としては、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤、
アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シアノアクリレ
ート系接着剤等の一般に用いられ、しかも、第1の車両
用ルーフレール部材や第2の車両用ルーフレール部材を
構成する樹脂との間に優れた接着力を有し、更には、第
1の車両用ルーフレール部材や第2の車両用ルーフレー
ル部材にクラック等を生じさせないものを選択すること
が好ましい。尚、第1の車両用ルーフレール部材に接着
面を形成する場合、かかる接着面は入れ子と接触した状
態で形成されなくともよく、通常の鋼材等から成る金型
部のキャビティ面と接した状態で形成されても、接着力
に左程の変化はない。
【0056】本発明の車両用ルーフレールの作製方法で
の使用に適した熱可塑性樹脂、あるいは、第2の車両用
ルーフレール部材を構成する熱可塑性樹脂として、結晶
性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることがで
き、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂、AB
S樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹
脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD
6等のポリアミド系樹脂;ポリアセタール(ポリオキシ
メチレン樹脂);ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート(PB
T)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサル
ファイド樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹
脂;変性PPE樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテル
スルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミ
ド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポ
リエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹
脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例
示することができ、また、これらの熱可塑性樹脂の少な
くとも2種類以上の樹脂から成るアロイ樹脂組成物(即
ち、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたも
の、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に
結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合
体)を挙げることができるが、中でも、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリアミドMXD6樹脂といったポリアミド系
樹脂、変性PPE樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリ
カーボネート樹脂/ポリエステル系樹脂のアロイ樹脂組
成物から構成された群から選択された熱可塑性樹脂を使
用することが好ましい。尚、第1の車両用ルーフレール
部材を構成する熱可塑性樹脂と第2の車両用ルーフレー
ル部材を構成する熱可塑性樹脂とは同じ熱可塑性樹脂で
あってもよいし異なる熱可塑性樹脂であってもよい。
【0057】結晶性熱可塑性樹脂は、結晶化により密度
及び融点が高くなり、成形品の硬度や弾性率が向上す
る。また、結晶性熱可塑性樹脂は、水分や染料、可塑剤
等が結晶組織へ入り込み難いといった特徴を有している
ため、耐薬品性に優れている。通常、結晶性熱可塑性樹
脂を用いた成形品の成形においては、金型温度を結晶性
熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりかなり低く設定してお
き、キャビティ内に導入された溶融した結晶性熱可塑性
樹脂の冷却、固化を促進させる方法が採られている。従
来の技術においては、金型組立体は金属材料から作製さ
れているので、熱伝導性が良く、しかも、金型温度を結
晶性熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりかなり低く設定し
た場合、キャビティ内に導入された溶融した結晶性熱可
塑性樹脂は、金型部のキャビティ面と接触したとき、瞬
時に冷却され始める。その結果、成形品の表面には、非
晶質層あるいは結晶化度の低い微細な結晶層が形成され
る。尚、これらの層は、一般にはスキン層と呼ばれる。
このようなスキン層が形成された成形品においては、成
形品の表面に係わる物性が著しく低下するという問題が
生じる。例えば結晶性熱可塑性樹脂としてポリアセター
ル(ポリオキシメチレン)樹脂から成形された成形品の
耐摩擦摩耗性や耐候性が著しく低下する。また、金型部
のキャビティ面の成形品表面への転写性も劣化する。
【0058】本発明においては、キャビティ内に導入さ
れた溶融した結晶性熱可塑性樹脂が急冷されることがな
いために、結晶性熱可塑性樹脂を用いた場合にも、樹脂
の結晶化度の低下を招くことがなく、成形品の樹脂表面
の結晶化度が高く、樹脂の劣化による割れ等、樹脂表面
に係わる物性の低下が防止できる。
【0059】アロイ樹脂組成物に基づき成形された成形
品においては、一般に、成形品の外観(特に、光沢性)
が悪くなり、特に、成形品の厚さが変わる部分やウェル
ド部分において外観不良が生じ易いという問題がある。
この原因は、通常、金型部は熱伝導性が良い金属材料か
ら作製されているので、キャビティ内に導入された溶融
したアロイ樹脂組成物は、金型部のキャビティ面と接触
したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、溶融した
アロイ樹脂組成物に固化層が形成され、転写性不良や光
沢不良が生じる。本発明においては、キャビティ内に導
入された溶融したアロイ樹脂組成物が急冷されることが
ないために、成形品の光沢性が極めて向上し、鏡面性に
優れた成形品を容易に得ることができる。
【0060】尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂
に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加す
ることができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、
炭酸カルシウム等の無機繊維や無機充填材、あるいは有
機充填材を添加することもできる。
【0061】本発明における車両用ルーフレールには、
レグと呼ばれる車両ルーフに取り付けられる部品、荷物
等を載置し固定するためのレール、及び、レグとレール
とが一体化された部品(ルーフレールラック)が包含さ
れる。車両用ルーフレールの剛性を増加させるために、
本発明の第4〜第6の態様に係る車両用ルーフレールの
作製方法においては、高い剛性を車両用ルーフレールに
付与するために、第1の車両用ルーフレール部材の成形
時、凹部内にリブを形成してもよい。第1の車両用ルー
フレール部材と第2の車両用ルーフレール部材とを接着
したとき、リブは中空部内に隠れる。また、第1の車両
用ルーフレール部材の成形時、入れ子によって溶融樹脂
の急冷を防止することができるが故に、第1の車両用ル
ーフレール部材の外側表面にヒケが発生することを防止
できる。
【0062】車両用ルーフレールがレグから成る場合に
は、車両ルーフに直置きされ、しかも、形状的に剛性を
持たせることができ、荷重をかけても撓み量が少ない。
それ故、無機繊維を含有しない、所謂ノンフィラーの熱
可塑性樹脂を使用することもできる。しかしながら、デ
ザイン面での制約があったり、例えば2乃至3のレグを
有するルーフレールラックから車両用ルーフレールが成
る場合には、高い弾性率、低線膨張係数、高い荷重撓み
温度(耐熱温度)を車両用ルーフレールに付与するため
に、使用する熱可塑性樹脂には無機繊維が含有されてい
ることが好ましい。尚、第2の車両用ルーフレール部材
を構成する熱可塑性樹脂として、無機繊維を含有した熱
可塑性樹脂を使用することもできる。
【0063】この場合、平均長さが5μm乃至4mm、
好ましくは5μm乃至1mmとし、平均直径が0.1μ
m乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至10μ
mの無機繊維が含有された熱可塑性樹脂を用いることが
望ましい。無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、ウ
ォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、
チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシ
ウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及
び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選択さ
れた少なくとも1種の材料から構成することが好まし
い。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類に
限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に含
有させてもよい。無機繊維の平均長さが5μm未満であ
ったり、平均直径が0.1μm未満では、車両用ルーフ
レールに要求される曲げ弾性率が得られない。一方、無
機繊維の平均長さが5mmを越えたり、平均直径が15
μmを越えると、成形品の表面が鏡面にならないといっ
た問題が生じる。
【0064】熱可塑性樹脂が含有する無機繊維の割合
(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無機繊維の
割合)は、車両用ルーフレールに要求される高い曲げ弾
性率を付与できる範囲であればよく、その上限は、キャ
ビティ内の溶融樹脂の流動性が低下するため成形が困難
となり、あるいは又、外観に優れた成形品を成形できな
くなるときの値とすればよい。具体的には、無機繊維の
含有率は15重量%乃至70重量%であることが好まし
い。含有率が15重量%未満では上述の特性が得られ
ず、また70重量%を越えると溶融樹脂の流動性が低下
するため成形が困難となり、あるいは又、優れた外観が
得られなくなる虞がある。尚、非晶性熱可塑性樹脂を用
いる場合には、結晶性熱可塑性樹脂よりも流動性が劣る
ために、無機繊維の含有率の上限は50重量%となる場
合がある。
【0065】上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有す
る無機繊維を、好ましくはシランカップリング剤等を用
いて表面処理した後、熱可塑性樹脂とコンパウンドし
て、ペレット化して成形用材料とする。このような成形
用材料、及び入れ子が組み込まれた金型組立体を用いて
成形品の成形を行うことで、高剛性、高弾性率、低線膨
張係数、高荷重撓み温度(耐熱性)を有し且つ鏡面性
(写像性)に優れた成形品を得ることができる。
【0066】無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意
味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂
成分を溶解する液体に無機繊維を含有する成形用ペレッ
ト若しくは成形品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガ
ラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃
焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定
することができる。通常、無機繊維を写真撮影して人が
測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維
の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維
の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用すること
が好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまりに
小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無
機繊維の公称直径の2倍よりも長さが短くなると測定が
難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有
する無機繊維を測定の対象とする。
【0067】従来の技術において、無機繊維を含有した
熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形した場合、成形品の
表面に無機繊維が析出する結果、成形品の外観が悪くな
り、あるいは又、写像性(鏡面性)が劣化するという問
題が生じ易い。それ故、優れた外観特性や写像性が要求
される成形品に対しては、無機繊維を含有する熱可塑性
樹脂を使用することは困難であった。尚、成形品の表面
への無機繊維の析出という現象は、成形品の表面に無機
繊維が浮き出ることなどで認識することができる。それ
故、成形品の表面への無機繊維の析出といった問題を解
決するために、従来の技術においては、熱可塑性樹脂の
粘度を低下させ、溶融樹脂の流動性を良くすることで対
応していた。しかしながら、無機繊維の含有率を増加さ
せた場合、無機繊維が成形品の表面から析出することを
防止することは難しくなる。そのため、優れた外観特性
が必要とされる成形品には、優れた性能を有しているに
も拘らず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用する
ことは困難であった。無機繊維の含有率が増えると無機
繊維が成形品の表面から析出する原因も、金型部の材質
と関係している。通常、金型部は熱伝導性が良い金属材
料から作製されているので、キャビティ内に導入された
無機繊維を含有する溶融樹脂は、金型部のキャビティ面
と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金
型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成
され、無機繊維が析出する。加えて、金型部のキャビテ
ィ面の成形品表面への転写性が不足するという問題を生
じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶
融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、金
型部のキャビティ面と接触した溶融樹脂に固化層が形成
されることがなく、無機繊維が析出することを確実に防
止することができる。
【0068】本発明の車両用ルーフレールの作製方法に
おいては、成形品の表面そのままであっても非常に綺麗
な成形不良のないものを得ることができるものの、耐候
性や傷付きを考慮して、後塗装にて成形品や車両用ルー
フレール等の表面の少なくとも一部分に塗装塗膜を設け
てもよい。この場合、塗膜は、アクリル系塗料皮膜、ウ
レタン系塗料皮膜及びエポキシ系塗料皮膜から成る群か
ら選択された少なくとも1種の塗料皮膜であることが好
ましい。即ち、成形品や車両用ルーフレール等の表面か
ら埃等を除去した後、成形品や車両用ルーフレール等の
表面に塗料を刷毛塗り、スプレー、静電塗装、浸漬法等
の方法により塗布し、その後、乾燥することによって、
成形品や車両用ルーフレール等の表面の少なくとも一部
分に塗膜を形成することができる。本発明によって得ら
れた成形品に残留する歪みは小さいために、塗料溶液に
よるクラックが成形品や車両用ルーフレール等に発生し
難い。また、本発明によって得られた成形品の表面は写
像性に優れており、塗装後も写像性に優れた外観を有す
る車両用ルーフレールを得ることができる。尚、原料樹
脂の荷重撓み温度以下の硬化温度を有する塗料を使用す
ることが好ましい。
【0069】あるいは又、成形品や車両用ルーフレール
等の表面の少なくとも一部分にハードコート層を形成す
る工程を更に含むことができる。この場合、ハードコー
ト層は、アクリル系ハードコート層、ウレタン系ハード
コート層及びシリコーン系ハードコート層から構成され
た群から選択された少なくとも1種のハードコート層か
ら成ることが好ましい。即ち、成形品や車両用ルーフレ
ール等の表面から埃等を除去した後、アクリル系、ウレ
タン系又はシリコーン系のハードコート溶液から選択さ
れた溶液を、成形品や車両用ルーフレール等の表面にデ
ィップ法、フローコート法、スプレー法等の方法により
塗布し、その後、乾燥、硬化させることによって、成形
品や車両用ルーフレール等の表面の少なくとも一部分に
ハードコート層を形成することができる。成形品や車両
用ルーフレール等の表面のハードコート層の厚さは1μ
m乃至30μm、好ましくは3μm乃至15μmである
ことが望ましい。1μm未満ではハードコート層の耐久
性が不足し、30μmを越えるとハードコート層にクラ
ックが発生し易くなる。ハードコート層と成形品や車両
用ルーフレール等との間の密着性が十分でない場合に
は、プライマーコートを成形品や車両用ルーフレール等
に塗布した後にトップコートを塗布することで、密着力
を向上させることができる。成形品に残留する歪みが小
さいために、ハードコート層の形成に起因したクラック
が成形品や車両用ルーフレール等に発生し難い。また、
本発明によって得られた成形品の表面は写像性に優れて
おり、ハードコート層形成後も写像性に優れた外観を有
する車両用ルーフレールを得ることができる。
【0070】また、艶消し感や傷付きを考慮して、予め
入れ子表面にシボ加工を行って、成形品表面に微細な凹
凸を設けることも可能である。この場合にも、成形品表
面の転写性が向上するために、一般鋼材等から作製され
た金型組立体を用いて成形された成形品よりも艶消し感
が優れるといった効果が得られる。
【0071】本発明の車両用ルーフレールの作製方法に
おける成形方法としては、熱可塑性樹脂を成形するため
に一般的に用いられる射出成形法を例示することができ
る。
【0072】特にエンジニアリングプラスチックス、ス
ーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や
強度に優れる反面、成形性が悪い熱可塑性樹脂を使用す
る場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行
なうが、フローマーク等の外観不良が多発している。然
るに、本発明においては入れ子を備えた金型組立体を使
用することで高い断熱効果が得られるために、金型温度
を80゜C以下としても外観特性が良好な成形品を成形
することができる。即ち、本発明の車両用ルーフレール
の作製方法においては、低い金型温度でも、確実に且つ
容易に優れた鏡面性を有する成形品を成形することがで
きるし、固化層やスキン層の生成を抑制することがで
き、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が発生
することを効果的に防止することができる。
【0073】しかも、溶融樹脂の固化が遅くなる結果、
溶融樹脂の流動性が向上するが故に、流動性の悪い溶融
樹脂を用いた場合でも、車両用ルーフレールを作製する
ことが可能となるし、車両用ルーフレールのような大き
い製品も容易に且つ確実に作製することができる。更に
は、熱可塑性樹脂中の無機繊維含有率が高い場合であっ
ても、無機繊維が成形品の表面に析出する現象が生ぜ
ず、外観特性に優れた車両用ルーフレールの作製が可能
となる。
【0074】また、溶融樹脂のキャビティ内への導入圧
力を低く設定でき、成形品に残留する応力を緩和できる
結果、車両用ルーフレール等の品質が向上するし、後塗
装によるクラックの発生を抑制することもできる。ま
た、溶融樹脂の導入圧力を低減することができる結果、
入れ子に負荷される圧力を低減することができるので、
入れ子の変形や破損の発生を効果的に防止することがで
きる。加えて、しかも、溶融樹脂の導入圧力を低く設定
できる結果、金型組立体の薄肉化、成形装置の小型化が
可能となり、車両用ルーフレールの製造コストダウンも
可能になる。
【0075】また、本発明における入れ子は、低熱膨張
率を有する材料から作製されており、しかも、金型部と
は独立して作製され、金型部に配設されるので、入れ子
による断熱効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易
である。入れ子を結晶化ガラスから作製すれば、線膨張
係数が低く、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが
発生し難い入れ子を作製することができる。しかも、入
れ子を、所定のクリアランスや重なり量の範囲内で入れ
子被覆部や被覆プレートによって抑えることで、成形品
端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部にバリ
が発生しなくなり、更には、入れ子外周部に残っている
微細なクレーズと溶融樹脂が接触しなくなるために入れ
子の破損を防止し得る。
【0076】また、本発明の車両用ルーフレールの作製
方法において、キャビティ内の溶融樹脂中に加圧流体を
注入すれば、キャビティ内の樹脂はキャビティ面に向か
って加圧される。その結果、車両用ルーフレールにヒケ
が発生することを確実に防止し得る。しかも、入れ子と
接触する溶融樹脂の冷却・固化が遅延されるので、入れ
子のキャビティ面近傍の固化し始めた樹脂の部分と内部
の樹脂とが相互に混じり合うといった現象の発生を回避
することができ、肉厚部近傍の車両用ルーフレール表面
に色ムラやヘジテーションマーク、外観不良が発生する
ことを防止し得る。
【0077】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0078】(実施例1)実施例1は、本発明の第1の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例1にて作製された車両用ルーフレール40の模式的
な斜視図を図1の(A)に、模式的な正面図を図1の
(B)に、長手方向に沿った模式的な断面図を図1の
(C)に示す。この車両用ルーフレール40は、レグ4
2と、荷物等を載置し固定するレール41とが一体化さ
れた部品であるルーフレールラックから成る。レール4
1及びレグ42には中空部44が形成されている。尚、
参照番号43は溶融樹脂導入部の跡であり、後に除去さ
れる。車両用ルーフレール40の中央部には2カ所の貫
通穴45が設けられている。
【0079】実施例1にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図2の(A)に示し、図2の(A)の円
「ア」で囲まれた部分の拡大図を図3に示し、図2の
(A)の円「イ」で囲まれた部分の拡大図を図4に示
し、図2の(A)の線B−Bに沿った模式的な端面図を
図2の(B)に示す。
【0080】実施例1の金型組立体は、車両用ルーフレ
ール40を成形するためのキャビティ17が設けられた
第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固
定金型部)11と、溶融樹脂導入部(ゲート部)15
と、加圧流体注入装置16と、厚さが3.0mmのセラ
ミック製の入れ子20から構成されている。溶融樹脂導
入部(ゲート部)15は、第2の金型部11に配置さ
れ、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めし
た状態において形成されるキャビティ17内に溶融熱可
塑性樹脂を導入するために設けられている。また、加圧
流体注入装置16は、第2の金型部11に配置され、キ
ャビティ17内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に
加圧流体を注入するために設けられている。入れ子20
は、第1の金型部10に配置され、キャビティ17の一
部を構成する。更には、第2の金型部11には、入れ子
被覆部12が設けられている。
【0081】実施例1においては、入れ子20のキャビ
ティ面23が車両用ルーフレール40の外側形状と一致
するように、入れ子20をジルコニア(ZrO2)から
厚みが3.0mmとなるようにプレス加工にて作製し
た。また、入れ子20の側面のほぼ中央部に、車両用ル
ーフレール40の中央部に2カ所の貫通穴45を設ける
ための穴22を計4カ所設けた。尚、使用したジルコニ
アの熱伝導率は0.84×10-2cal/cm・sec
・degである。
【0082】一方、第1の金型部(可動金型部)10を
炭素鋼S55Cから作製した。この第1の金型部10に
は、入れ子20を装着するための入れ子装着部を設け
た。そして、入れ子装着部にシリコン系接着剤を用いて
入れ子20を接着した。また、第2の金型部(固定金型
部)11も炭素鋼S55Cから作製した。加圧流体注入
装置16を第2の金型部11に配設した。加圧流体注入
装置16は、加圧流体注入ノズル16Aと、この加圧流
体注入ノズル16Aの先端部近傍に内蔵された逆止弁1
6Bと、加圧流体注入ノズルを移動させるための移動手
段(図示せず)から構成されている(図3参照)。ま
た、加圧流体注入ノズルの後端は、配管を介して加圧流
体源に接続されているが、これらの配管、加圧流体源の
図示は省略した。
【0083】入れ子20の端面21と、第1の金型部1
0のパーティング面PL1との段差を0.01mmとし
た。従って、第1の金型部10と第2の金型部11とを
型締めした状態において、入れ子20と入れ子被覆部1
2との間のクリアランス(より具体的には、入れ子20
の端面21と入れ子被覆部12との間のクリアランス、
11)は0.03mm以下(具体的には0.01mm)
となった。実施例1においては、入れ子被覆部12は、
第2の金型部11のパーティング面PL2の延在部から
構成されている。入れ子20に対する入れ子被覆部12
の重なり量(ΔS11)は0.1mm以上(具体的には
0.5mm)であった。
【0084】更に、車両用ルーフレール40に貫通穴4
5を形成するため、第1の金型部(可動金型部)10内
に、油圧シリンダーで摺動する2つのスライドコアを設
けた。2つのスライドコアのそれぞれは、一対の対向す
るスライドコア部材18A,18Bと、それぞれのスラ
イドコア部材18A,18Bのキャビティの一部を構成
する部分に取り付けられたセラミック製(ジルコニア
製)の環状部材30A,30Bとから構成されている。
また、環状部材30A,30Bは、両端が開口した形状
を有する。環状部材30A,30Bの厚さを2.0mm
とした。環状部材30A,30Bは、炭素鋼S55Cか
ら作製されたスライドコア部材18A,18Bに接着剤
にて取り付けられている。スライドコア部材18A,1
8Bが対向した状態においては、スライドコア部材18
A,18B同士のクリアランスを0mmとした。一方、
一対のスライドコア部材18A,18Bが対向した状態
において(図2の(B)参照)、一方のスライドコア部
材18Aに取り付けられた環状部材30Aの端部と他方
のスライドコア部材18Bに取り付けられた環状部材3
0Bの端部との間のクリアランス(C14)は0.03m
mであった。また、入れ子20に設けた穴22と環状部
材30A,30Bとの間のクリアランス(C13)は0.
02mmであった。
【0085】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された入
れ子20及び環状部材30A,30Bに割れ等の損傷は
発生しなかった。
【0086】成形装置として三菱重工業株式会社製、5
50MM射出成形機を用い、金型組立体を70゜Cに加
熱した。熱可塑性樹脂として、無機繊維としてガラス繊
維(平均長さ0.2mm、平均直径13μm)を50重
量%含有するポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂
から成るアロイ樹脂組成物を用いた。
【0087】先ず、第1の金型部10と第2の金型部1
1の型締めを行った後、2つのスライドコアを油圧シリ
ンダーで前進させ、キャビティ17の一部を閉塞した
(図2〜図4参照)。また、移動手段によって加圧流体
注入ノズルを前進させて、加圧流体注入ノズル16Aの
先端部を第2の金型部11と係合させ、加圧流体注入ノ
ズル16Aの先端部をキャビティ17と連通させた。そ
して、溶融樹脂導入部(ゲート部)15から溶融熱可塑
性樹脂をキャビティ17内に導入(射出)した。具体的
な成形条件を、表1に示す。尚、キャビティ17内に射
出した溶融樹脂量は、キャビティ内を完全に充填するの
に十分な量の7割の溶融樹脂量とした。溶融樹脂の導入
完了後、直ちに加圧流体注入装置16から窒素ガスから
成る加圧流体を溶融樹脂の内部に注入して、キャビティ
17内の溶融樹脂を再流動させ、キャビティ17内を溶
融樹脂で満たし、且つ、中空部を溶融樹脂の内部に形成
した。そして、キャビティ17内の樹脂の冷却後、移動
手段によって加圧流体注入ノズルを後退させて、加圧流
体注入ノズル16Aの先端部と第2の金型部11との係
合を解き、キャビティ内の樹脂の内部に形成された中空
部内の加圧流体を、加圧流体注入ノズル16Aの先端部
と第2の金型部11との隙間から大気に解放した。その
後、油圧シリンダーでスライドコアを後退させ、第1の
金型部10と第2の金型部11を型開きし、車両用ルー
フレールを金型組立体から取り出した。こうして、図1
に模式的に示す車両用ルーフレールを得た。
【0088】
【表1】 樹脂温度 :310゜C 金型温度 : 70゜C 射出圧力 :400kgf/cm2−G
【0089】車両用ルーフレール40の表面(入れ子2
0と接触していた部分)は、金型温度が低いにも拘わら
ず、車両用ルーフレール40の端部に至るまで光沢のあ
る外観を有し、且つ、車両用ルーフレール40の内部に
は所望の中空部44が形成されていた。また、ヘジテー
ションマークやウェルドライン、色ムラ等の成形不良も
発生していなかった。
【0090】尚、連続して成形を10000サイクル行
ったが、入れ子20及び環状部材30A,30Bに割れ
等の損傷は発生しなかった。
【0091】(実施例2)実施例2は、本発明の第2の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例2にて作製される車両用ルーフレールは、図1に示
した車両用ルーフレールと略同形である。
【0092】実施例2にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図5、図6及び図7に示す。尚、図5は、図
3に示したと同様の金型組立体の部分の模式的な端面図
であり、溶融樹脂導入部を含む部分を拡大した図であ
る。また、図6は、図4に示したと同様の金型組立体の
部分の模式的な拡大端面図であり、図7は、図2の
(A)の線B−Bと同様の線に沿った金型組立体の部分
の模式的な拡大された端面図である。
【0093】実施例2の金型組立体は、車両用ルーフレ
ール40を成形するためのキャビティ17が設けられた
第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固
定金型部)11と、溶融樹脂導入部15と、加圧流体注
入装置116と、厚さが3.0mmのセラミック製の入
れ子20から構成されている。溶融樹脂導入部15は、
第2の金型部11に配置され、第1の金型部10と第2
の金型部11とを型締めした状態において形成されるキ
ャビティ17内に溶融熱可塑性樹脂を導入するために設
けられている。また、加圧流体注入装置116は、第2
の金型部11に配置され、キャビティ17内に導入され
た溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するために
設けられており、実施例2においては、溶融樹脂導入部
(ゲート部)15内に配設されている。入れ子20は、
第1の金型部10に配置され、キャビティ17の一部を
構成する。更には、第2の金型部11には、キャビティ
17の一部を構成し、入れ子20の端部を被覆する被覆
プレート13が配設されている。この被覆プレート13
は、入れ子20の全周囲の端部を被覆している。
【0094】実施例2においても、入れ子20のキャビ
ティ面23が車両用ルーフレール40の外側形状と一致
するように、入れ子20をジルコニア(ZrO2)から
厚みが3.0mmとなるようにプレス加工にて作製し
た。また、入れ子20の側面のほぼ中央部に、車両用ル
ーフレール40の中央部に2カ所の貫通穴45を設ける
ための穴22を計4カ所設けた。
【0095】一方、第1の金型部(可動金型部)10を
炭素鋼S55Cから作製した。この第1の金型部10に
は、入れ子20を装着するための入れ子装着部を設け
た。そして、入れ子装着部にシリコン系接着剤を用いて
入れ子20を接着した。また、第2の金型部(固定金型
部)11も炭素鋼S55Cから作製した。
【0096】第1の金型部10と第2の金型部11とを
型締めした状態において、入れ子20と被覆プレート1
3との間のクリアランス(より具体的には、入れ子20
のキャビティ面23と被覆プレート13のキャビティ側
の内側側面との間のクリアランスC21)が0.03mm
以下となるように、更には、入れ子20に対する被覆プ
レート13の重なり量(ΔS21)が0.1mm以上とな
るように、被覆プレート13を炭素鋼S55Cから切削
加工にて作製し、ボルト(図示せず)によって第2の金
型部11に取り付けた。
【0097】更に、第1の金型部(可動金型部)10内
に、車両用ルーフレール40に貫通穴45を形成するた
め、油圧シリンダーで摺動する2つのスライドコアを設
けた。2つのスライドコアのそれぞれは、一対の対向す
るスライドコア部材18A,18Bと、それぞれのスラ
イドコア部材18A,18Bのキャビティの一部を構成
する部分に取り付けられたセラミック製(ジルコニア)
の環状部材31A,31Bとから構成されている。環状
部材31A,31Bは、一端が閉塞しそして他端が開口
した形状を有する。環状部材31A,31Bの厚さを
2.0mmとした。環状部材31A,31Bは、炭素鋼
S55Cから作製されたスライドコア部材18A,18
Bに接着剤にて取り付けられている。一対のスライドコ
ア部材18A,18Bが対向した状態において(図7参
照)、一方のスライドコア部材18Aに取り付けられた
環状部材31Aと他方のスライドコア部材18Bに取り
付けられた環状部材31Bとの間のクリアランス
(C24)は0.03mmであった。
【0098】その他の構造は、実施例1にて説明した金
型組立体と同様とした。
【0099】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された入
れ子20及び環状部材31A,31Bに割れ等の損傷は
発生しなかった。
【0100】実施例1と同様の成形装置、熱可塑性樹脂
を使用し、実施例1と同様の成形条件、成形方法にて車
両用ルーフレールを作製した。車両用ルーフレール40
の表面(入れ子20と接触していた部分)は、金型温度
が低いにも拘わらず、車両用ルーフレール40の端部に
至るまで光沢のある外観を有し、且つ、車両用ルーフレ
ール40の内部には所望の中空部44が形成されてい
た。また、ヘジテーションマークやウェルドライン、色
ムラ等の成形不良も発生していなかった。尚、連続して
成形を10000サイクル行ったが、入れ子20及び環
状部材31A,31Bに割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0101】(実施例3)実施例3は、本発明の第3の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例2にて作製される車両用ルーフレールは、図1に示
した車両用ルーフレールと略同形である。
【0102】実施例3にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図8及び図9に示す。尚、図8及び図9は、
図3に示したと同様の金型組立体の部分の模式的な端面
図であり、図8は溶融樹脂導入部を含む部分を拡大した
図である。また、図9は、溶融樹脂導入部を含む部分の
近傍であって溶融樹脂導入部を含まない部分を拡大した
図である。尚、図8における金型組立体の切断面と図9
における金型組立体の切断面とは平行である。実施例3
の金型組立体においては、図1の(A)の左手側のレグ
を形成する部分の金型組立体の模式的な端面図は図4と
同様であり、また、図2の(A)の線B−Bと同様の線
に沿った金型組立体の部分の模式的な端面図は図2の
(B)と同様である。
【0103】実施例3の金型組立体は、車両用ルーフレ
ール40を成形するためのキャビティ17が設けられた
第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固
定金型部)11と、加圧流体注入装置16と、厚さが
3.0mmのセラミック製の入れ子20と、被覆プレー
ト14から構成されている。加圧流体注入装置16は、
第2の金型部11に配置され、第1の金型部10と第2
の金型部とを型締めした状態において形成されるキャビ
ティ17内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧
流体を注入するために設けられている。入れ子20は、
第1の金型部10に配設され、キャビティ17の一部を
構成する。被覆プレート14は、入れ子20と第2の金
型部11との間に配設され、第1の金型部10に取り付
けられ、溶融樹脂導入部15Aが設けられている。被覆
プレート14は入れ子20の一部分とのみ重なり合って
いる(図8及び図9参照)。更には、第2の金型部11
には、入れ子被覆部12が設けられている。
【0104】実施例3においても、入れ子20のキャビ
ティ面23が車両用ルーフレール40の外側形状と一致
するように、入れ子20をジルコニア(ZrO2)から
厚みが3.0mmとなるようにプレス加工にて作製し
た。また、入れ子20の側面のほぼ中央部に、車両用ル
ーフレール40の中央部に2カ所の貫通穴45を設ける
ための穴22を計4カ所設けた。また、実施例3におい
ても、入れ子20の端面21(図2の(B)、図4及び
図9参照)と、第1の金型部10のパーティング面PL
1との段差を0.01mmとした。従って、第1の金型
部10と第2の金型部11とを型締めした状態におい
て、入れ子20と入れ子被覆部12との間のクリアラン
ス(より具体的には、入れ子20の端面21と入れ子被
覆部12との間のクリアランスC31であり、図2の
(B)及び図4におけるC11に相当する)は0.03m
m以下(具体的には0.01mm)となった。また、入
れ子20に対する入れ子被覆部12の重なり量(ΔS31
であり、図2の(B)及び図4におけるΔS11に相当す
る)は0.1mm以上(具体的には0.5mm)であっ
た。
【0105】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼
S55Cから作製した。この第1の金型部10には、入
れ子20を装着するための入れ子装着部を設けた。そし
て、入れ子装着部にシリコン系接着剤を用いて入れ子2
0を接着した。また、第2の金型部(固定金型部)11
も炭素鋼S55Cから作製した。
【0106】第1の金型部10と第2の金型部11とを
型締めした状態において、入れ子20と被覆プレート1
4との間のクリアランス(より具体的には、入れ子20
のキャビティ面23と被覆プレート14のキャビティ側
の内側側面との間のクリアランスC32)が0.03mm
以下となるように、更には、入れ子20に対する被覆プ
レート14の重なり量(ΔS32)が0.1mm以上とな
るように、被覆プレート14を炭素鋼S55Cから切削
加工にて作製した。また、被覆プレート14の外側底面
には、切削加工にて溶融樹脂導入部15Aを設けた。そ
して、被覆プレート14をボルト(図示せず)を用いて
第1の金型部10に取り付けた。
【0107】更に、第1の金型部(可動金型部)10内
に、車両用ルーフレール40に貫通穴45を形成するた
め、油圧シリンダーで摺動する2つのスライドコアを設
けた。かかるスライドコアの構造は、実施例1と同様と
した。
【0108】その他の構造は、実施例1にて説明した金
型組立体と同様とした。
【0109】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ジルコニアから作製された入
れ子20及び環状部材30A,30Bに割れ等の損傷は
発生しなかった。
【0110】実施例1と同様の成形装置、熱可塑性樹脂
を使用し、実施例1と同様の成形条件、成形方法にて車
両用ルーフレールを作製した。車両用ルーフレール40
の表面(入れ子20と接触していた部分)は、金型温度
が低いにも拘わらず、車両用ルーフレール40の端部に
至るまで光沢のある外観を有し、且つ、車両用ルーフレ
ール40の内部には所望の中空部44が形成されてい
た。また、ヘジテーションマークやウェルドライン、色
ムラ等の成形不良も発生していなかった。尚、連続して
成形を10000サイクル行ったが、入れ子20及び環
状部材30A,30Bに割れ等の損傷は発生しなかっ
た。
【0111】(実施例4)実施例4は、本発明の第4の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例4にて作製された車両用ルーフレール50の模式的
な分解斜視図を図10の(A)に、模式的な正面図を図
10の(B)に、長手方向に沿った模式的な断面図を図
10の(C)に示す。車両用ルーフレール50は、第1
の車両用ルーフレール部材51と第2の車両用ルーフレ
ール部材55とが接着されて成る。また、この車両用ル
ーフレール50は、レグ53と、荷物を載置し固定する
レール52とが一体化された部品であるルーフレールラ
ックから成る。第1の車両用ルーフレール部材51には
凹部54が形成されている。そして、第1の車両用ルー
フレール部材51における凹部54と第2の車両用ルー
フレール部材55とによって中空部56が形成されてい
る。尚、中央のレグ53を含む部分で第1の車両用ルー
フレール部材51を切断したときの模式図を図10の
(D)に示す。
【0112】実施例4にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図11の(A)に示し、図11の(A)の円
「ア」で囲まれた部分の拡大図を図12に示し、図11
の(A)の線B−Bに沿った模式的な拡大された端面図
を図11の(B)に示す。実施例4の金型組立体は、凹
部54を有する第1の車両用ルーフレール部材51を成
形するためのキャビティ67が設けられた第1の金型部
(可動金型部)60及び第2の金型部(固定金型部)6
1と、溶融樹脂導入部65と、厚さが3.0mmのセラ
ミック製の入れ子70から構成されている。溶融樹脂導
入部65は、第2の金型部61に配置され、第1の金型
部と該第2の金型部とを型締めした状態において形成さ
れるキャビティ67内に溶融熱可塑性樹脂を導入するた
めに設けられている。入れ子70は、第1の金型部60
に配置され、キャビティ67の一部を構成する。尚、第
2の金型部61には入れ子被覆部62が設けられてい
る。
【0113】実施例4においては、入れ子70のキャビ
ティ面73が第1の車両用ルーフレール部材51の外側
形状と一致するように、入れ子70をムライト(3Al
23−2SiO2)から厚みが3.0mmとなるように
プレス加工にて作製した。尚、使用したムライトの熱伝
導率は1.1×10-2cal/cm・sec・degで
ある。
【0114】一方、第1の金型部(可動金型部)60を
炭素鋼S55Cから作製した。この第1の金型部60に
は、入れ子70を装着するための入れ子装着部を設け
た。そして、入れ子装着部にシリコン系接着剤を用いて
入れ子70を接着した。また、第2の金型部(固定金型
部)61も炭素鋼S55Cから作製した。
【0115】入れ子70の端面71と、第1の金型部6
0のパーティング面PL1との段差を0.01mmとし
た。従って、第1の金型部60と第2の金型部61とを
型締めした状態において、入れ子70と入れ子被覆部6
2との間のクリアランス(より具体的には、入れ子70
の端面71と入れ子被覆部62との間のクリアランスC
41)は0.03mm以下(具体的には0.01mm)と
なった。実施例4においては、入れ子被覆部62は、第
2の金型部61のパーティング面PL2の延在部から構
成されている。入れ子70に対する入れ子被覆部62の
重なり量(ΔS41)は0.1mm以上(具体的には0.
5mm)であった。
【0116】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ムライトから作製された入れ
子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0117】成形装置として実施例1と同じ成形装置を
使用した。そして、金型組立体を100゜Cに加熱し
た。熱可塑性樹脂として、無機繊維としてガラス繊維
(平均長さ0.2mm、平均直径13μm)を50重量
%含有するポリアミドMXD6樹脂から成る熱可塑性樹
脂を用いた。
【0118】そして、先ず、第1の金型部60と第2の
金型部61の型締めを行った後、溶融樹脂導入部(ゲー
ト部)65から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ67内に
導入(射出)した。具体的な成形条件を、表2に示す。
尚、キャビティ67内に射出した溶融樹脂量は、キャビ
ティ内を完全に充填するのに十分な量の溶融樹脂量とし
た。そして、キャビティ67内の樹脂の冷却後、第1の
金型部60と第2の金型部61を型開きし、第1の車両
用ルーフレール部材51を金型組立体から取り出した。
【0119】
【表2】 樹脂温度 :310゜C 金型温度 :100゜C 射出圧力 :800kgf/cm2−G
【0120】第1の車両用ルーフレール部材51の表面
(入れ子70と接触していた部分)は、金型温度が低い
にも拘わらず、第1の車両用ルーフレール部材51の端
部に至るまで光沢のある外観を有していた。また、ヘジ
テーションマークやウェルドライン、色ムラ等の成形不
良も発生していなかった。
【0121】尚、連続して成形を10000サイクル行
ったが、入れ子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0122】一方、別の金型組立体を用いて、第2の車
両用ルーフレール部材55を成形した。この別の金型組
立体の一部分(第2の車両用ルーフレール部材55の外
面と接する金型部のキャビティ面)にもムライトから成
る入れ子を配置した。第2の車両用ルーフレール部材5
5を構成する熱可塑性樹脂を第1の車両用ルーフレール
部材51を構成する熱可塑性樹脂と同じとした。そし
て、表2に示した成形条件にて射出成形法にて第2の車
両用ルーフレール部材55を成形した。
【0123】得られた第1の車両用ルーフレール部材5
1と第2の車両用ルーフレール部材55をエポキシ系の
接着剤を用いて接着し、第1の車両用ルーフレール部材
51における凹部54と第2の車両用ルーフレール部材
55とによって形成された中空部56を有する車両用ル
ーフレール50を作製した。
【0124】(実施例5)実施例5は、本発明の第5の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例5にて作製される車両用ルーフレールは、図10に
示した車両用ルーフレールと略同形である。
【0125】実施例5にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図13及び図14に示す。尚、図13は、図
12に示したと同様の金型組立体の部分の模式的な拡大
された端面図である。また、図14は、図11の(A)
の線B−Bと同様の線に沿った金型組立体の部分の模式
的な拡大された端面図である。
【0126】実施例5の金型組立体は、凹部54を有す
る第1の車両用ルーフレール部材51を成形するための
キャビティ67が設けられた第1の金型部(可動金型
部)60及び第2の金型部(固定金型部)61と、溶融
樹脂導入部65と、厚さが3.0mmのムライト製の入
れ子70と、第2の金型部61に配設され、キャビティ
67の一部を構成し、入れ子70の端部を被覆する被覆
プレート63とから構成されている。溶融樹脂導入部6
5は、第2の金型部61に配置され、第1の金型部60
と第2の金型部61とを型締めした状態において形成さ
れるキャビティ67内に溶融熱可塑性樹脂を導入するた
めに設けられている。入れ子70は、第1の金型部60
に配置され、キャビティ67の一部を構成する。尚、被
覆プレート63は、入れ子70の全周囲の端部を被覆し
ている。
【0127】実施例5においても、入れ子70のキャビ
ティ面73が第1の車両用ルーフレール部材51の外側
形状と一致するように、入れ子70をムライトから厚み
が3.0mmとなるようにプレス加工にて作製した。一
方、第1の金型部(可動金型部)60を炭素鋼S55C
から作製した。この第1の金型部60には、入れ子70
を装着するための入れ子装着部を設けた。そして、入れ
子装着部にシリコン系接着剤を用いて入れ子70を接着
した。また、第2の金型部(固定金型部)61も炭素鋼
S55Cから作製した。
【0128】第1の金型部60と第2の金型部61とを
型締めした状態において、入れ子70と被覆プレート6
3との間のクリアランス(より具体的には、入れ子70
のキャビティ面73と被覆プレート63のキャビティ側
の内側側面との間のクリアランスC51)が0.03mm
以下となるように、更には、入れ子70に対する被覆プ
レート63の重なり量(ΔS51)が0.1mm以上とな
るように、被覆プレート63を炭素鋼HPM1から切削
加工にて作製し、ボルト(図示せず)によって第2の金
型部61に取り付けた。
【0129】その他の構造は、実施例4にて説明した金
型組立体と同様とした。
【0130】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ムライトから作製された入れ
子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0131】実施例4と同様の成形装置、熱可塑性樹脂
を使用し、実施例4と同様の成形条件、成形方法にて第
1の車両用ルーフレール部材51を作製した。第1の車
両用ルーフレール部材51の表面(入れ子70と接触し
ていた部分)は、金型温度が低いにも拘わらず、第1の
車両用ルーフレール部材51の端部に至るまで光沢のあ
る外観を有していた。また、ヘジテーションマークやウ
ェルドライン、色ムラ等の成形不良も発生していなかっ
た。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、
入れ子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0132】実施例4と同様の方法で成形された第2の
車両用ルーフレール部材55と得られた第1の車両用ル
ーフレール部材51とをエポキシ系の接着剤を用いて接
着し、第1の車両用ルーフレール部材51における凹部
54と第2の車両用ルーフレール部材55とによって形
成された中空部56を有する車両用ルーフレール50を
作製した。
【0133】(実施例6)実施例6は、本発明の第6の
態様に係る車両用ルーフレールの作製方法に関する。実
施例6にて作製される車両用ルーフレールは、図10に
示した車両用ルーフレールと略同形である。
【0134】実施例6にて使用した金型組立体の模式的
な端面図を図15に示し、図15の円「ア」で囲まれた
部分の拡大図を図16及び図17に示す。尚、図15の
線B−Bに沿った模式的な端面図は図11の(B)と同
様である。また、図16は、溶融樹脂導入部を含む部分
の拡大された端面図であり、図17は、溶融樹脂導入部
近傍であって溶融樹脂導入部を含まない部分を拡大した
端面図である。図16における金型組立体の切断面と図
17における金型組立体の切断面とは平行である。図1
5の円「イ」で囲まれた部分の拡大図は、図12と同様
である。
【0135】実施例6の金型組立体は、凹部54を有す
る第1の車両用ルーフレール部材51を成形するための
キャビティ67が設けられた第1の金型部(可動金型
部)60及び第2の金型部(固定金型部)61と、第1
の金型部60に配設され、キャビティ67の一部を構成
する、厚さが3.0mmのムライト製の入れ子70と、
入れ子70と第2の金型部61との間に配設され、第1
の金型部60に取り付けられ、溶融樹脂導入部65Aが
設けられた被覆プレート64から構成されている。被覆
プレート64は入れ子70の一部分とのみ重なり合って
いる(図11の(B)、図12、図16及び図17参
照)。尚、図15においては被覆プレート64の図示を
省略した。また、第2の金型部61には、入れ子被覆部
62が設けられている。
【0136】実施例6においても、入れ子70のキャビ
ティ面73が第1の車両用ルーフレール部材51の外側
形状と一致するように、入れ子70をムライトから厚み
が3.0mmとなるようにプレス加工にて作製した。ま
た、実施例6においても、入れ子70の端面71(図1
7)と、第1の金型部60のパーティング面PL1との
段差を0.01mmとした。従って、第1の金型部60
と第2の金型部61とを型締めした状態において、入れ
子70と入れ子被覆部62との間のクリアランス(より
具体的には、入れ子70の端面71と入れ子被覆部62
との間のクリアランスC61)は0.03mm以下(具体
的には0.01mm)となった。また、入れ子70に対
する入れ子被覆部62の重なり量(ΔS61)は0.1m
m以上(具体的には0.5mm)であった。
【0137】第1の金型部(可動金型部)60を炭素鋼
S55Cから作製した。この第1の金型部60には、入
れ子70を装着するための入れ子装着部を設けた。そし
て、入れ子装着部にシリコン系接着剤を用いて入れ子7
0を接着した。また、第2の金型部(固定金型部)61
も炭素鋼S55Cから作製した。
【0138】第1の金型部60と第2の金型部61とを
型締めした状態において、入れ子70と被覆プレート6
4との間のクリアランス(より具体的には、入れ子70
のキャビティ面73と被覆プレート64のキャビティ側
の内側側面との間のクリアランスC62)が0.03mm
以下となるように、更には、入れ子70に対する被覆プ
レート64の重なり量(ΔS62)が0.1mm以上とな
るように、被覆プレート64を炭素鋼HPM1から切削
加工にて作製した。また、被覆プレート64の外側底面
には、切削加工にて溶融樹脂導入部65Aを設けた。そ
して、被覆プレート64をボルト(図示せず)を用いて
第1の金型部60に取り付けた。
【0139】その他の構造は、実施例4にて説明した金
型組立体と同様とした。
【0140】金型組立体を成形装置に取り付けた後、金
型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、
40゜Cまで急冷しても、ムライトから作製された入れ
子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0141】実施例4と同様の成形装置、熱可塑性樹脂
を使用し、実施例4と同様の成形条件、成形方法にて第
1の車両用ルーフレール部材51を作製した。第1の車
両用ルーフレール部材51の表面(入れ子70と接触し
ていた部分)は、金型温度が低いにも拘わらず、第1の
車両用ルーフレール部材51の端部に至るまで光沢のあ
る外観を有していた。また、ヘジテーションマークやウ
ェルドライン、色ムラ等の成形不良も発生していなかっ
た。尚、連続して成形を10000サイクル行ったが、
入れ子70に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0142】実施例4と同様の方法で成形された第2の
車両用ルーフレール部材55と得られた第1の車両用ル
ーフレール部材51とをエポキシ系の接着剤を用いて接
着し、第1の車両用ルーフレール部材51における凹部
54と第2の車両用ルーフレール部材55とによって形
成された中空部56を有する車両用ルーフレール50を
作製した。
【0143】(比較例1)実施例1で用いた入れ子20
及び環状部材30A,30Bを炭素鋼(HPM1)から
作製した。そして、実施例1と同様の成形装置、熱可塑
性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて車両用
ルーフレールを作製した。その結果、車両用ルーフレー
ルに中空部を形成することはできたものの、車両用ルー
フレールの表面には無機繊維が析出しており、非常に醜
い外観であった。また、ガスアシスト法で発生し易いヘ
ジテーションマークや色ムラが発生し、更には、車両用
ルーフレールに穴45があるために、ウェルドラインが
くっきりと発生していた。
【0144】(比較例2)実施例4で用いた入れ子70
を炭素鋼(HPM1)から作製した。そして、実施例4
と同様の成形装置、熱可塑性樹脂を使用し、実施例4と
同様の成形条件にて第1の車両用ルーフレール部材を作
製した。その結果、キャビティ内への溶融樹脂の充填が
完全にはできず、射出圧力を1000kgf/cm2
Gまで増加させることによって、ようやく溶融樹脂をキ
ャビティ内に完全に充填することができた。こうして得
られた第1の車両用ルーフレール部材には無機繊維が析
出しており、更にはフローマークやジェッテングといっ
た成形不良が発生しており、非常に醜い外観であった。
【0145】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例にて説明した金型組立体の構造、使用した熱可塑
性樹脂、射出成形条件は例示であり、適宜変更すること
ができる。実施例1〜実施例3においては、スライドコ
ア部材に環状部材を取り付けたが、環状部材の代わりに
溶射層をスライドコア部材のキャビティ面を構成する部
分に形成してもよい。実施例4〜実施例6においては、
第1の車両用ルーフレール部材と第2の車両用ルーフレ
ール部材とを接着剤を用いて接着したが、その代わりに
振動溶着法にてそれらを接着することもできる。
【0146】
【発明の効果】本発明の車両用ルーフレールの作製方法
においては、断熱性の高い入れ子、及び必要に応じて環
状部材を備えた金型組立体を使用することによって、た
とえ無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を用いて成形を行
っても、高剛性、高弾性率、低線膨張係数、高耐熱性を
有し、しかも、極めて優れた外観を有する成形品の成形
が可能となった。それ故、現状では優れた外観を得るこ
とができないために、外観を重要視しない部品等でしか
使用されていなかった無機繊維を含有する熱可塑性樹脂
を、自動車外装成形分野で活用できるようになった。
【0147】また、ガスアシスト法や接着法によって容
易に中空部を有する車両用ルーフレールを作製すること
ができ、これらの成形方法で発生していた成形不良を完
全に防止できた。そして、これによって、品質の安定
化、軽量化が達成でき、量産性、コストダウンが可能と
なった。
【0148】更には、キャビティ内での溶融樹脂の流動
性が向上するが故に、キャビティ内への溶融樹脂の導入
圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩
和でき、後塗装によるクラックの発生もなくなるため、
車両用ルーフレールの品質が向上する。また、溶融樹脂
の導入圧力を低減できるので、金型組立体の薄肉化、成
形装置の小型化が可能となり、車両用ルーフレールの製
造コストダウンも可能となる。
【0149】本発明における入れ子は、断熱効果が大き
いばかりか、入れ子の保守が容易である。本発明におけ
る金型組立体においては、キャビティ内に導入された溶
融樹脂の急冷を抑制することができ、無機繊維が成形品
の表面に析出することを効果的に防止できる。しかも、
本発明における金型組立体においては、入れ子を、所定
のクリアランス及び重なり量の範囲内で抑えることによ
り、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じる
ことがなく、容易且つ安価に車両用ルーフレールを製作
できる。
【0150】しかも、本発明における金型組立体は、場
合によっては、被覆プレートを金型組立体に配置する必
要がなく、また、被覆プレートを金型部の内部に配設す
る場合にあっても、被覆プレートが溶融樹脂導入部を兼
ねる形態とすることができるので、入れ子の配設位置に
制約を受けることが少なく、優れた表面特性を付与すべ
き成形品の部分に対応した金型部に入れ子を配設するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にて作製された車両用ルーフレールの
模式図である。
【図2】実施例1にて使用した金型組立体の模式的な端
面図である。
【図3】図2の(A)の円「ア」で囲まれた部分の拡大
された端面図である。
【図4】図2の(A)の円「イ」で囲まれた部分の拡大
された端面拡大図である。
【図5】実施例2にて使用した金型組立体の模式的な端
面図であり、図3に示したと同様の金型組立体の部分の
模式的な拡大された端面図であり、溶融樹脂導入部を含
む部分を拡大した図である。
【図6】実施例2にて使用した金型組立体の模式的な端
面図であり、図4に示したと同様の金型組立体の部分の
模式的な拡大された端面図である。
【図7】実施例2にて使用した金型組立体の部分の模式
的な拡大された端面図であり、図2の(A)の線B−B
と同様の線に沿った図である。
【図8】実施例3にて使用した金型組立体の部分の模式
的な拡大された端面図であり、溶融樹脂導入部を含む部
分を拡大した図である。
【図9】実施例3にて使用した金型組立体の部分の模式
的な拡大された端面図であり、溶融樹脂導入部を含まな
い部分を拡大した図である。
【図10】実施例4にて作製された車両用ルーフレール
の模式図である。
【図11】実施例4にて使用した金型組立体の模式的な
端面図である。
【図12】図11の(A)の円「ア」で囲まれた部分の
拡大された端面図である。
【図13】実施例5にて使用した金型組立体の模式的な
端面図であり、図12に示したと同様の金型組立体の部
分の模式的な拡大された端面図である。
【図14】実施例5にて使用した金型組立体の部分の模
式的な拡大された端面図であり、図11の(A)の線B
−Bと同様の線に沿った図である。
【図15】実施例6にて使用した金型組立体の模式的な
端面図である。
【図16】図15の円「ア」で囲まれた部分の拡大され
た端面図であり、溶融樹脂導入部を含む部分を拡大した
図である。
【図17】図15の円「ア」で囲まれた部分の拡大され
た端面図であり、溶融樹脂導入部を含まない部分を拡大
した図である。
【符号の説明】
10,60・・・第1の金型部、 11,61・・・第2の金型部、 12,62・・・入れ子被覆部、 15、15A,65,65A・・・溶融樹脂導入部、 16・・・加圧流体注入装置、 17,67・・・キャビティ、 18A,18B・・・スライドコア部材18A,18
B、 20,70・・・入れ子、 21,71・・・入れ子の端面、 22・・・入れ子に設けられた穴、 23,73・・・入れ子のキャビティ面、 30A,30B・・・環状部材、 40,50・・・車両用ルーフレール、 41,52・・・レール、 42,53・・・レグ、 43・・・溶融樹脂導入部の跡、 44・・・中空部、 45・・・貫通穴、 51・・・第1の車両用ルーフレール部材、 54・・・凹部、 55・・・第2の車両用ルーフレール部材、 56・・・中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 31:58

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)車両用ルーフレールを成形するため
    のキャビティが設けられた第1の金型部及び第2の金型
    部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入す
    るための溶融樹脂導入部、 (ハ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該キャ
    ビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流
    体を注入するための加圧流体注入装置、並びに、 (ニ)該第1の金型部に配置され、キャビティの一部を
    構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又
    はセラミック製の入れ子、を備え、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、且つ、入れ子に対する入れ子被覆
    部の重なり量は0.1mm以上である金型組立体を用
    い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入し、次いで、加圧流体注入装置から加圧流体を該溶
    融熱可塑性樹脂の内部に注入することを特徴とする、中
    空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  2. 【請求項2】(イ)車両用ルーフレールを成形するため
    のキャビティが設けられた第1の金型部及び第2の金型
    部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入す
    るための溶融樹脂導入部、 (ハ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該キャ
    ビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流
    体を注入するための加圧流体注入装置、 (ニ)該第1の金型部に配置され、キャビティの一部を
    構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又
    はセラミック製の入れ子、並びに、 (ホ)該第1若しくは第2の金型部に配設され、キャビ
    ティの一部を構成し、該入れ子の端部を被覆する被覆プ
    レート、を備え、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、且つ、入れ子に対する被覆プレー
    トの重なり量は0.1mm以上である金型組立体を用
    い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入し、次いで、加圧流体注入装置から加圧流体を該溶
    融熱可塑性樹脂の内部に注入することを特徴とする、中
    空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  3. 【請求項3】(イ)車両用ルーフレールを成形するため
    のキャビティが設けられた第1の金型部及び第2の金型
    部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹
    脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入装
    置、 (ハ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構
    成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又は
    セラミック製の入れ子、並びに、 (ニ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の
    金型部に取り付けられ、溶融樹脂導入部が設けられた被
    覆プレート、を備え、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、入れ子に対する入れ子被覆部の重
    なり量は0.1mm以上であり、入れ子と被覆プレート
    との間のクリアランスは0.03mm以下であり、入れ
    子に対する被覆プレートの重なり量は0.1mm以上で
    あり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っ
    ている金型組立体を用い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入し、次いで、加圧流体注入装置から加圧流体を該溶
    融熱可塑性樹脂の内部に注入することを特徴とする、中
    空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  4. 【請求項4】(イ)凹部を有する第1の車両用ルーフレ
    ール部材を成形するためのキャビティが設けられた第1
    の金型部及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入す
    るための溶融樹脂導入部、並びに、 (ハ)該第1の金型部に配置され、キャビティの一部を
    構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又
    はセラミック製の入れ子、を備え、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、且つ、入れ子に対する入れ子被覆
    部の重なり量は0.1mm以上である金型組立体を用
    い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入することで第1の車両用ルーフレール部材を成形し
    た後、予め準備された第2の車両用ルーフレール部材と
    第1の車両用ルーフレール部材とを接着し、以て、第1
    の車両用ルーフレール部材における凹部と第2の車両用
    ルーフレール部材とによって形成された中空部を有する
    車両用ルーフレールを作製することを特徴とする、中空
    部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  5. 【請求項5】(イ)凹部を有する第1の車両用ルーフレ
    ール部材を成形するためのキャビティが設けられた第1
    の金型部及び第2の金型部、 (ロ)該第1若しくは第2の金型部に配置され、該第1
    の金型部と該第2の金型部とを型締めした状態において
    形成される該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入す
    るための溶融樹脂導入部、 (ハ)該第1の金型部に配置され、キャビティの一部を
    構成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又
    はセラミック製の入れ子、並びに、 (ニ)該第1若しくは第2の金型部に配設され、キャビ
    ティの一部を構成し、該入れ子の端部を被覆する被覆プ
    レート、を備え、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、且つ、入れ子に対する被覆プレー
    トの重なり量は0.1mm以上である金型組立体を用
    い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入することで第1の車両用ルーフレール部材を成形し
    た後、予め準備された第2の車両用ルーフレール部材と
    第1の車両用ルーフレール部材とを接着し、以て、第1
    の車両用ルーフレール部材における凹部と第2の車両用
    ルーフレール部材とによって形成された中空部を有する
    車両用ルーフレールを作製することを特徴とする、中空
    部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  6. 【請求項6】(イ)凹部を有する第1の車両用ルーフレ
    ール部材を成形するためのキャビティが設けられた第1
    の金型部及び第2の金型部、 (ロ)第1の金型部に配設され、キャビティの一部を構
    成する、厚さが0.5mm乃至10mmのガラス製又は
    セラミック製の入れ子、並びに、 (ハ)入れ子と第2の金型部との間に配設され、第1の
    金型部に取り付けられ、溶融樹脂導入部が設けられた被
    覆プレート、を備え、 第2の金型部には、入れ子被覆部が設けられており、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子と入れ子被覆部との間のクリアランスは0.
    03mm以下であり、入れ子に対する入れ子被覆部の重
    なり量は0.1mm以上であり、入れ子と被覆プレート
    との間のクリアランスは0.03mm以下であり、入れ
    子に対する被覆プレートの重なり量は0.1mm以上で
    あり、被覆プレートは入れ子の一部分とのみ重なり合っ
    ている金型組立体を用い、 溶融樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に
    導入することで第1の車両用ルーフレール部材を成形し
    た後、予め準備された第2の車両用ルーフレール部材と
    第1の車両用ルーフレール部材とを接着し、以て、第1
    の車両用ルーフレール部材における凹部と第2の車両用
    ルーフレール部材とによって形成された中空部を有する
    車両用ルーフレールを作製することを特徴とする、中空
    部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  7. 【請求項7】入れ子は、2×10-2cal/cm・se
    c・deg以下の熱伝導率を有する、ZrO2、ZrO2
    −CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、K2
    −TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32
    3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−
    SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから
    成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソーダガ
    ラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る
    群から選択されたガラスから作製されていることを特徴
    とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中
    空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  8. 【請求項8】入れ子は、2×10-2cal/cm・se
    c・deg以下の熱伝導率を有する、ZrO2又はZr
    2−Y23から成るセラミック、若しくは、結晶化ガ
    ラスから作製されていることを特徴とする請求項1乃至
    請求項6のいずれか1項に記載の中空部を有する樹脂製
    の車両用ルーフレールの作製方法。
  9. 【請求項9】第1若しくは第2の金型部に配置され、キ
    ャビティの一部を構成し、車両用ルーフレールに穴を形
    成するためのスライドコアを金型組立体は更に備え、 第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態におい
    て、入れ子とスライドコアとの間のクリアランスは0.
    03mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項3のいずれか1項に記載の中空部を有する樹脂製の車
    両用ルーフレールの作製方法。
  10. 【請求項10】車両用ルーフレールに穴を形成するため
    のスライドコアは、一対の対向するスライドコア部材
    と、それぞれのスライドコア部材のキャビティの一部を
    構成する部分に取り付けられたガラス製又はセラミック
    製の環状部材とから構成され、該環状部材は、一端が閉
    塞しそして他端が開口した形状を有することを特徴とす
    る請求項9に記載の中空部を有する樹脂製の車両用ルー
    フレールの作製方法。
  11. 【請求項11】車両用ルーフレールに形成すべき穴は貫
    通穴であり、一対のスライドコア部材が対向した状態に
    おいて、一方のスライドコア部材に取り付けられた環状
    部材と他方のスライドコア部材に取り付けられた環状部
    材との間のクリアランスは0.03mm以下であること
    を特徴とする請求項10に記載の中空部を有する樹脂製
    の車両用ルーフレールの作製方法。
  12. 【請求項12】車両用ルーフレールに穴を形成するため
    のスライドコアは、一対の対向するスライドコア部材
    と、それぞれのスライドコア部材のキャビティの一部を
    構成する部分に取り付けられたガラス製又はセラミック
    製の環状部材とから構成され、該環状部材は、両端が開
    口した形状を有することを特徴とする請求項9に記載の
    中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方
    法。
  13. 【請求項13】車両用ルーフレールに形成すべき穴は貫
    通穴であり、一対のスライドコア部材が対向した状態に
    おいて、一方のスライドコア部材に取り付けられた環状
    部材の端部と他方のスライドコア部材に取り付けられた
    環状部材の端部との間のクリアランスは0.03mm以
    下であることを特徴とする請求項12に記載の中空部を
    有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  14. 【請求項14】環状部材は、2×10-2cal/cm・
    sec・deg以下の熱伝導率を有する、ZrO2、Z
    rO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、
    2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti3
    2、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2M
    gO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニ
    アから成る群から選択されたセラミック、若しくは、ソ
    ーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスか
    ら成る群から選択されたガラスから作製されていること
    を特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項
    に記載の中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの
    作製方法。
  15. 【請求項15】環状部材は、2×10-2cal/cm・
    sec・deg以下の熱伝導率を有する、ZrO2又は
    ZrO2−Y23から成るセラミック、若しくは、結晶
    化ガラスから作製されていることを特徴とする請求項1
    0乃至請求項13のいずれか1項に記載の中空部を有す
    る樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法。
  16. 【請求項16】車両用ルーフレールに穴を形成するため
    のスライドコアは、一対の対向するスライドコア部材
    と、それぞれのスライドコア部材のキャビティの一部を
    構成する部分に形成されたセラミック若しくはガラスを
    溶射して成る溶射層とから構成されていることを特徴と
    する請求項9に記載の中空部を有する樹脂製の車両用ル
    ーフレールの作製方法。
  17. 【請求項17】一対のスライドコア部材が対向した状態
    において、一方のスライドコア部材に形成された溶射層
    と他方のスライドコア部材に形成された溶射層との間の
    クリアランスは0.03mm以下であることを特徴とす
    る請求項16に記載の中空部を有する樹脂製の車両用ル
    ーフレールの作製方法。
  18. 【請求項18】溶射層は、熱伝導率が2×10-2cal
    /cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y23
    又は3Al23・2SiO2から成るセラミックから構
    成されていることを特徴とする請求項16又は請求項1
    7に記載の中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレール
    の作製方法。
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JP18373197A Pending JPH1128981A (ja) 1997-07-09 1997-07-09 中空部を有する樹脂製の車両用ルーフレールの作製方法

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JP (1) JPH1128981A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015139878A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 豊田合成株式会社 ウォーターアシスト成形品

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