JPH09248829A - 穴空き成形品製造用の金型組立体及び穴空き成形品の製造方法 - Google Patents

穴空き成形品製造用の金型組立体及び穴空き成形品の製造方法

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JPH09248829A
JPH09248829A JP27310296A JP27310296A JPH09248829A JP H09248829 A JPH09248829 A JP H09248829A JP 27310296 A JP27310296 A JP 27310296A JP 27310296 A JP27310296 A JP 27310296A JP H09248829 A JPH09248829 A JP H09248829A
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JP
Japan
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core pin
mold
cavity
annular member
molded product
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JP27310296A
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Inventor
Hisashi Tawara
久志 田原
Toshiaki Izumida
敏明 泉田
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間の使用に耐え、キャビティ面を構成する
入れ子の面の状態を確実に成形品の表面に転写すること
ができ、しかも、ウエルドライン等の発生し難い穴空き
成形品製造用の金型組立体を提供する。 【解決手段】金型組立体は、(イ)第1の金型部10と
第2の金型部11から成る金型と、(ロ)成形品に穴を
形成するために、第1の金型部10及び/又は第211
の金型部に取り付けられたコアピン50A,51Aと、
(ハ)第1及び/又は第2の金型部11に配設され、厚
さが0.5mm乃至10mmのセラミック製若しくはガ
ラス製の入れ子20と、(ニ)入れ子20が配設された
金型部11に取り付けられ、入れ子20の端部を抑える
抑えプレート23から成り、入れ子と抑えプレートとの
間のクリアランス(C0)は、0.03mm以下であ
り、且つ、入れ子に対する抑えプレートの抑え代(Δ
S)は0.1mm以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穴空き成形品製造
用の金型組立体、及び穴空き成形品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を用いて穴空き成形品を成
形するための金型(以下、単に金型と呼ぶ)は、通常、
炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の
金属材料から作製されており、金型に設けられたキャビ
ティ内に、成形品に穴を形成するためのコアピン(ピ
ン、あるいはモールドピンとも呼ばれる)が配設されて
いる。そして、金型に形成された中空部分であるキャビ
ティ内に溶融樹脂を射出あるいは注入することで、所望
の形状を有し、しかも金型のキャビティ面が転写された
成形品を得ることができる。また、コアピンが位置する
部分の成形品には穴が形成される。
【0003】このような金属製の金型を用いて成形品の
成形を行なう場合、成形品の表面状態を金型のキャビテ
ィ面の状態に近づけることは容易でない。通常、金型
は、射出あるいは注入された樹脂に起因した圧力等の高
い応力によっても変形しない金属材料から作製されてい
るが、これらの金属材料は、また、熱伝導性に優れてい
る。それ故、キャビティ内に射出あるいは注入された溶
融樹脂は金型のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷
却され始める。その結果、金型のキャビティ面と接触し
た溶融樹脂の部分に固化層が形成され、ウエルドマーク
やフローマーク等の外観不良が成形品に生じ易いし、金
型のキャビティ面の成形品表面への転写不良といった問
題も生じる。
【0004】特に、穴空き成形品を製造するとき、キャ
ビティ内に射出あるいは導入された溶融樹脂の流れは、
コアピンで分岐され、再び合流する。この過程で溶融樹
脂は冷却され、固化しかけた樹脂が合流するために、ウ
エルドラインが発生し易い。ウエルドラインが発生した
成形品においては、強度の低下が著しい。従って、応力
の加わる成形品の部分にウエルドラインが発生しないよ
うな金型設計を行う必要があり、成形品の設計自由度が
低くなるという問題がある。また、ウエルドラインが発
生した成形品の外観は醜いものとなる。
【0005】これらの問題点を解決するために、一般的
には、溶融樹脂を高圧射出することで金型のキャビティ
面を無理矢理、成形品表面に転写させる方法、あるいは
金型温度を高温にして溶融樹脂の固化層の発達を遅らせ
る方法が取られている。しかしながら、前者の方法にお
いては、成形装置の大型化、金型自体の大型化、肉厚化
によるコストアップにつながると共に、溶融樹脂を高圧
充填することより成形品内部に応力が残留し、その結
果、成形品の品質が低下するといった問題が生じる。後
者の方法においては、金型温度を樹脂の荷重撓み温度に
近づけて設定するために、キャビティ内の樹脂の冷却時
間が長くなる結果、成形サイクルが長くなり、生産性が
低下するといった問題がある。しかも、炭素鋼から作製
された金型では、たとえこのような方法を用いても、金
型のキャビティ面の転写性の向上及びウエルドラインの
発生抑制は十分とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るために、例えば、特開昭55−55839号公報、特
開昭61−100425号公報、特開昭62−2089
19号公報、特開平5−111937号公報、特開平5
−200789号公報、特公平6−35134号公報、
特開平6−218769号公報には、低熱伝導材を金型
のキャビティ面に設け若しくは取り付けることで、キャ
ビティ内に導入された樹脂の固化層の発達を遅延させ、
ウエルドマークやフローマーク等の成形不良を防止する
方法が提案されている。しかしながら、以下のような問
題があって、実用化は厳しい。
【0007】低熱伝導材を金型のキャビティ面に接着剤
を用いて単に接着する場合、以下のような問題が生じ
る。 (A)金型と低熱伝導材との間のクリアランスが小さい
場合、金型の昇温及び降温を繰り返すことによって、金
型を構成する材料と低熱伝導材の線膨張係数の相違に起
因して低熱伝導材が破損する。 (B)金型と低熱伝導材との間の接着剤は樹脂等の熱で
溶融されるが、金型と低熱伝導材との間のクリアランス
が大きい場合、長期間の成形を行うと金型と低熱伝導材
との間に溶融樹脂が侵入し、成形品にバリが発生する。
【0008】また、低熱伝導材の外周部には切削加工時
に発生した微細なクレーズが残っているため、高温高圧
の溶融樹脂が接触することによって低熱伝導材の外周部
にクラックが生じる。そして、かかるクラックと溶融樹
脂とが接触することによって、クラックの部分に圧力及
び熱による歪みが加わるため、低熱伝導材の外周部から
低熱伝導材が破損するといった問題が発生する。そのた
め、金型全体としての耐久性が乏しく、成形品の量産が
困難である。
【0009】低熱伝導材を耐熱性プラスチックから作製
する場合もあるが、かかる低熱伝導材の剛性は低く、更
には、表面硬度が劣るために、長期間使用すると低熱伝
導材が歪んだり、低熱伝導材に傷が付き易い等の問題が
ある。あるいは又、金属表面にセラミックから成る薄膜
を化学的気相成長法等で形成させて成る低熱伝導材もあ
るが、薄膜の耐久性が悪く、金属表面から剥離するとい
った問題がある。それ故、長期使用には耐えられない。
【0010】成形品に穴を形成する場合、コアピンを金
型のキャビティ面に押し付け、部分的にキャビティを閉
鎖して穴を形成するが、低熱伝導材に無理矢理コアピン
を押し付けると、低熱伝導材が変形したり破損するとい
った問題がある。
【0011】従って、本発明の目的は、入れ子やコアピ
ンの保守が容易であり、成形品に確実に穴を形成するこ
とができ、穴空き成形品の成形時、セラミックやガラス
といった非常に脆い材料から成る入れ子に破損が発生せ
ず、成形品にバリを発生させず、長期間の使用に耐え、
キャビティ面を構成する入れ子の面の状態を確実に成形
品の表面に転写することができ、しかも、ウエルドライ
ン等が発生し難い、穴空き成形品製造用の金型組立体及
び穴空き成形品の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る穴空き成形品製造用の金
型組立体は、(イ)第1の金型部と第2の金型部から成
り、型締め状態において成形品を成形するためのキャビ
ティが形成される金型と、(ロ)成形品に穴を形成する
ために、該第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り
付けられ、該キャビティ内を占める部分がキャビティの
一部を構成するコアピンと、(ハ)該第1及び/又は第
2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成し、厚
さが0.5mm乃至10mmのセラミック製若しくはガ
ラス製の入れ子と、(ニ)該入れ子が配設された金型部
に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、該入れ子
の端部を抑える抑えプレート、から成り、入れ子と抑え
プレートとの間のクリアランス(C0)は、0.03m
m以下(C0≦0.03mm)であり、且つ、入れ子に
対する抑えプレートの抑え代(ΔS)は0.1mm以上
(ΔS≧0.1mm)であることを特徴とする。尚、こ
のような構成の本発明の穴空き成形品製造用の金型組立
体によって、非貫通穴(貫通穴ではない盲穴)若しくは
貫通穴を成形品に形成することができる。
【0013】ここで、キャビティの一部を構成すると
は、成形品の外形を規定する金型の面であるキャビティ
面を構成することを意味する。より具体的には、キャビ
ティは、第1の金型部及び第2の金型部に形成されたキ
ャビティ面と、コアピンに形成されたキャビティ面に相
当する面と、入れ子に形成されたキャビティ面に相当す
る面と、抑えプレートに形成されたキャビティ面に相当
する面とから構成されている。
【0014】入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、入
れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入
された溶融樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフロー
マーク等の外観不良が発生する確率が高くなる。また、
金型の内部に入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性
接着剤を用いて入れ子を金型の内部に接着すればよい
が、入れ子の厚さが0.5mm未満の場合、接着剤の膜
厚が不均一になると入れ子に不均一な応力が残るため
に、成形品表面がうねる現象が生じたり、射出された溶
融樹脂の圧力によって入れ子が破損することがある。一
方、入れ子の厚さが10mmを越える場合、入れ子によ
る断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷
却時間を延長しないと、金型からの成形品の取り出し後
に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクル
の延長といった問題が発生することがある。
【0015】入れ子と抑えプレートとの間のクリアラン
ス(C0)を、0.03mm以下、実用的には、0.0
03mm以上0.03mm以下(0.003mm≦C0
≦0.03mm)とする。クリアランスの下限は、抑え
プレートを取り付ける際に、入れ子の外周部に微細なク
ラックが発生したり、金型の昇温時に入れ子が熱膨張す
ることによって入れ子と抑えプレートが接触し、入れ子
の外周部の微細クラックに応力がかかる結果、入れ子が
破損するといった問題が生じないような値とすればよ
い。また、クリアランス(C0)が0.03mmを越え
ると、溶融樹脂が入れ子と抑えプレートとの間に侵入
し、入れ子にクラックが生じる場合があるし、成形品に
バリが発生するといった問題も生じる。
【0016】抑え代(ΔS)が0.1mm未満の場合、
入れ子の外周部に発生した微細なクラックと溶融樹脂と
が接触することによって、入れ子に生成したクラックが
成長し、入れ子が破損する場合がある。
【0017】本発明の第2の態様に係る穴空き成形品製
造用の金型組立体にあっては、キャビティ内を占めるコ
アピンの部分は、入れ子のキャビティを構成する面と対
向する対向面を有し、この対向面と入れ子のキャビティ
を構成する面との間のクリアランス(C)は、0.00
3mm乃至0.03mm(0.003mm≦C≦0.0
3mm)であることが好ましい。尚、入れ子のキャビテ
ィを構成する面を、以下、便宜上、入れ子のキャビティ
面と呼ぶ。クリアランス(C)が0.003mm未満で
は、金型の昇温時に入れ子の熱膨張に起因して、入れ子
のキャビティ面と対向面とが接触し、入れ子が破損する
虞がある。一方、クリアランス(C)が0.03mmを
超えると、溶融樹脂が対向面と入れ子のキャビティ面と
の間に侵入するために、入れ子にクラックが生じたり、
成形品にバリが発生する虞がある。クリアランス(C)
を0.003mm乃至0.03mmとすることで、対向
面と入れ子のキャビティ面との間に溶融樹脂が侵入する
ことを確実に防止することができ、しかも、成形品に貫
通穴を確実に形成することができる。
【0018】コアピンは、金属、ガラス、セラミックか
ら選択すればよいが、金属製のコアピンの場合、コアピ
ンで分岐されそしてキャビティ内で冷却しかけた溶融樹
脂が合流する結果、ウエルドマークが発生し、成形品の
強度が低下する虞がある。このような場合には、コアピ
ンをセラミック若しくはガラスから構成すればよい。こ
れによって、キャビティ内の溶融樹脂が合流する際の樹
脂の冷却を抑制できるために、成形品内部にウエルドマ
ークが発生することを効果的に防止することができ、成
形品の強度低下を防ぐことができる。尚、この場合、コ
アピンの径(コアピンが円筒径の場合には直径、多角柱
の場合には外接円の直径)が10mmを越えないことが
好ましい。コアピンの肉厚が10mmを越えると、コア
ピンによる断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の
樹脂の冷却時間を延長しないと、金型からの成形品取り
出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サ
イクルの延長といった問題が生じる虞がある。断熱性の
良好な入れ子を第1及び第2の金型部に配設する場合に
は、コアピンで分岐されそして合流する溶融樹脂が冷却
され難いので、コアピンを金属製としても問題はない。
【0019】尚、コアピンは、熱伝導率が2×10-2
al/cm・sec・deg以下である、広く、ジルコ
ニア系材料、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る
群から選択されたセラミック、より具体的には、ZrO
2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−Mg
O、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、T
32、3Al23−2SiO2から成る群から選択さ
れたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガラ
ス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択され
たガラスから作製することができるが、中でも、熱伝導
率が2×10-2cal/cm・sec・deg以下であ
る、ZrO2−Y23又は3Al23・2SiO2から成
るセラミック、若しくは、結晶化ガラスから作製されて
いることが好ましい。コアピンを構成する材料の熱伝導
率は、キャビティ内の溶融樹脂の急冷を防止する目的
で、2×10-2cal/cm・sec・deg以下であ
ることが必要とされる。この値を越える熱伝導率を有す
る材料を用いてコアピンを作製した場合、キャビティ内
の溶融樹脂がコアピンによって急冷される虞がある。
【0020】本発明の第1若しくは第2の態様に係る穴
空き成形品製造用の金型組立体においては、コアピンは
セラミック若しくはガラスから成り、第1の金型部に取
り付けられている形態(第1の形態と呼ぶ)を挙げるこ
とができる。また、本発明の第2の態様に係る穴空き成
形品製造用の金型組立体においては、コアピンはセラミ
ック若しくはガラスから成り、入れ子には貫通孔が設け
られており、コアピンはこの貫通孔を通して第2の金型
部に取り付けられている形態(第2の形態と呼ぶ)を挙
げることができる。
【0021】コアピンの径が10mmを越える場合に
は、本発明の第1若しくは第2の態様に係る穴空き成形
品製造用の金型組立体において、コアピンをセラミック
若しくはガラスから作製する代わりに、コアピンは、
(a)第1の金型部に取り付けられたコアピン取付部
と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞
しそして他端が開口した環状部材とから成り、環状部材
はセラミック若しくはガラスから成り、そしてキャビテ
ィ内を占めるコアピンの部分の表面を構成し、コアピン
取付部を、環状部材の他端から環状部材の内部に延在さ
せる形態(第3の形態と呼ぶ)とすることが望ましい。
【0022】あるいは又、本発明の第2の態様に係る穴
空き成形品製造用の金型組立体において、コアピンは、
(a)第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部
と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が開口
しそして他端が閉塞した環状部材とから成り、環状部材
はセラミック若しくはガラスから成り、そしてキャビテ
ィ内を占めるコアピンの部分の表面を構成し、環状部材
の一端を構成する面は対向面に相当し、コアピン取付部
は、貫通孔を貫通し、そして環状部材の一端から環状部
材の内部に延在している形態(第4の形態と呼ぶ)とす
ることが望ましい。
【0023】あるいは又、本発明の第2の態様に係る穴
空き成形品製造用の金型組立体において、コアピンは、
(a)第1の金型部に取り付けられたコアピン取付部
と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、両端が開口
した環状部材とから成り、環状部材はセラミック若しく
はガラスから成り、そしてキャビティ内を占めるコアピ
ンの部分の表面を構成し、環状部材の一端を構成する面
は対向面に相当し、コアピン取付部は、環状部材の他端
から環状部材の内部に延在している形態(第5の形態と
呼ぶ)とすることが望ましい。
【0024】あるいは又、本発明の第2の態様に係る穴
空き成形品製造用の金型組立体において、コアピンは、
(a)第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部
と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、両端が開口
した環状部材とから成り、環状部材はセラミック若しく
はガラスから成り、そしてキャビティ内を占めるコアピ
ンの部分の表面を構成し、環状部材の一端を構成する面
は対向面に相当し、入れ子には貫通孔が設けられてお
り、コアピン取付部は、貫通孔を貫通し、そして環状部
材の一端から環状部材の内部に延在している形態(第6
の形態と呼ぶ)とすることが望ましい。
【0025】これらの第3〜第6の形態において、環状
部材は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・
deg以下である、広く、ジルコニア系材料、アルミナ
系材料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラ
ミック、より具体的には、ZrO2、ZrO2−CaO、
ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、K2O−TiO2
Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23
2SiO2から成る群から選択されたセラミック、若し
くは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化
ガラスから成る群から選択されたガラスから作製するこ
とができるが、中でも、熱伝導率が2×10-2cal/
cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y23
は3Al23・2SiO2から成るセラミック、若しく
は、結晶化ガラスから作製されていることが好ましい。
環状部材を構成する材料の熱伝導率は、キャビティ内の
溶融樹脂の急冷を防止する目的で、2×10-2cal/
cm・sec・deg以下であることが必要とされる。
この値を越える熱伝導率を有する材料を用いて環状部材
を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が環状部材に
よって急冷される虞がある。尚、コアピン取付部は金属
から作製すればよく、環状部材のコアピン取付部への取
り付けは、例えば接着剤を用いて行うことができる。
【0026】コアピンの径が10mmを越える場合に
は、本発明の第1若しくは第2の態様に係る穴空き成形
品製造用の金型組立体において、コアピンをセラミック
若しくはガラスから作製する代わりに、少なくともキャ
ビティ内を占めるコアピンの部分の表面に、セラミック
若しくはガラスを溶射して成る溶射層が形成されている
形態(第7の形態)とすることもできる。この場合、溶
射層は、熱伝導率が2×10-2cal/cm・sec・
deg以下である、広く、ジルコニア系材料、アルミナ
系材料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラ
ミック、より具体的には、ZrO2、ZrO2−CaO、
ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、K2O−TiO2
Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23
2SiO2から成る群から選択されたセラミック、若し
くは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、結晶化
ガラスから成る群から選択されたガラスを溶射して形成
することができるが、中でも、熱伝導率が2×10-2
al/cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y2
3又は3Al23・2SiO2から成るセラミックを溶
射することで形成されていることが好ましい。
【0027】以上の各形態の本発明の穴空き成形品製造
用の金型組立体において、広くは、少なくともキャビテ
ィ内を占めるコアピンの部分の少なくとも表面は、セラ
ミック若しくはガラスから成ると言い換えることができ
る。即ち、コアピン全体の表面をセラミック若しくはガ
ラスから構成してもよいし、キャビティ内を占めるコア
ピンの部分の表面を、セラミック若しくはガラスから構
成してもよいし、コアピン全体の表面から一定の深さま
でをセラミック若しくはガラスから構成してもよいし、
キャビティ内を占めるコアピンの部分の表面から一定の
深さまでを、セラミック若しくはガラスから構成しても
よいし、コアピン全体をセラミック若しくはガラスから
構成してもよい。尚、この場合、キャビティ内を占める
コアピンの部分は、入れ子のキャビティを構成する面と
対向する対向面を有し、この対向面と入れ子のキャビテ
ィを構成する面との間のクリアランスは、0.003m
m乃至0.03mmであることが好ましい。
【0028】上記の目的を達成するための本発明の穴空
き成形品の製造方法は、以上に説明した本発明の各種態
様若しくは各種形態の穴空き成形品製造用の金型組立体
を使用して、金型と、コアピンと、入れ子と、抑えプレ
ートとによって形成されたキャビティ内に、溶融樹脂を
導入することによって穴空き成形品を成形することを特
徴とする。
【0029】本発明の穴空き成形品製造用の金型組立体
における入れ子は、熱伝導率が2×10-2cal/cm
・sec・deg以下である、広く、ジルコニア系材
料、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る群から選
択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英ガ
ラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択さ
れたガラスから作製することができ、より具体的には、
ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2
−MgO、K2O−TiO2、Al23、Al23−Ti
C、Ti32、3Al23−2SiO2から成る群から
選択されたセラミック、若しくは、ソーダガラス、石英
ガラス、耐熱ガラス、結晶化ガラスから成る群から選択
されたガラスから作製することができるが、中でも、熱
伝導率が2×10-2cal/cm・sec・deg以下
である、ZrO2−Y23又は3Al23・2SiO2
ら成るセラミックから作製されていることが好ましい。
【0030】あるいは又、入れ子、コアピン、環状材料
若しくは溶射層を、結晶化度が10%以上、更に望まし
くは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が
70〜100%の結晶化ガラスから作製若しくは構成す
ることが好ましい。10%以上の結晶化度になると結晶
がガラス全体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界
面剥離性が飛躍的に向上するため、成形品の成形時の入
れ子の破損を著しく低下させることができる。結晶化度
が10%未満では、成形時にその表面から界面剥離を起
こし易いといった欠点がある。
【0031】熱衝撃強度とは、所定の高温に加熱した1
00mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水
中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの
温度を強度としたものである。熱衝撃強度が400゜C
であるとは、400゜Cに熱した100mm×100m
m×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだと
き、ガラスに割れが発生しないことを意味する。この熱
衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前後の値
しか得られない。従って、それ以上の温度(例えば、約
300゜C)で溶融された樹脂が冷えた入れ子と接触し
たとき、入れ子に歪みが生じ、入れ子が破損する場合が
ある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、1
0%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子を
作製すれば、成形時に入れ子が割れることを確実に防止
し得る。
【0032】ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少
量のTiO2及びZrO2の核剤を添加した後、1600
゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロー
ル、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のため
に熱処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−Si
2系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイ
ト系結晶及びβ−スポジュメン系結晶が生成したものを
例示することができる。あるいは又、CaO−Al23
−SiO2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融
後、水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐
火物セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、
β−ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示する
ことができる。更には、SiO2−B23−Al23
MgO−K2O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生
成させたものや、核剤を含むMgO−Al23−SiO
2系ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成さ
れたものを例示することができる。尚、本発明における
入れ子として、強度及び熱特性に優れたβ−ユークリプ
タイト系結晶又はβ−スポジュメン系結晶を有する結晶
化ガラスを用いることが好ましい。
【0033】これら結晶化ガラスは、ガラス基材中に存
在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で表すこと
ができる。そして、X線回折等の分析機器を用いて非晶
相と結晶相の割合を測定することで結晶化度を測定でき
る。
【0034】穴空き成形品に鏡面性が要求される場合、
入れ子のキャビティ面の表面粗さRmaxを0.03μm
以下とすることが望ましい。そのためには、作製された
入れ子のキャビティ面に対して、表面粗さRmaxが0.
03μm以下になるまで、例えばダイヤモンドラッピン
グを行い、更に、必要に応じて、酸化セリウムによるラ
ッピングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシ
ン等を用いて行うことができる。通常の炭素鋼等の磨き
と比較すると、例えば結晶化ガラスの場合、約1/2の
コストで鏡面が得られるために、金型組立体の製作費を
低減させることが可能である。尚、表面粗さRmaxの測
定は、JIS B0601に準じた。
【0035】つや消し若しくはヘラーラインの状態の表
面を有する成形品を成形する場合には、入れ子のキャビ
ティ面をサンドブラスト処理やエッチングを行うことに
よって、入れ子のキャビティ面に細かい凹凸やラインを
形成すればよい。
【0036】入れ子を構成する材料は、通常の研削加工
で凹凸、曲面等の加工を容易にでき、かなり複雑な形状
以外は任意の形状に製作できる。セラミック粉末若しく
は溶融ガラスを金型に入れてプレス成形した後に熱処理
することで、入れ子を作製することができる。また、ガ
ラスから成る板状物を金型上に置いたまま炉内で自然賦
形させることによって、入れ子を作製することもでき
る。
【0037】立体形状あるいは曲面を有する成形品を成
形する場合、入れ子の裏面(入れ子のキャビティ面と反
対側の面であり金型と対向する面)の曲率に合わせて金
型の入れ子装着部を加工し、且つ、抑えプレートも入れ
子のキャビティ面の曲率に合わせて研削加工を行えばよ
い。この場合にも、ΔS≧0.1mm、C0≦0.03
mmの関係を保ったまま、入れ子を金型の入れ子装着部
に装着し、入れ子を抑えプレートで抑える。
【0038】金型は第1の金型部(例えば、可動金型
部)と第2の金型部(例えば、固定金型部)から構成さ
れている。第1の金型部及び第2の金型部の少なくとも
一方に、入れ子を装着する入れ子装着部を設ける。本発
明の金型組立体においては、入れ子を装着する金型の部
分を、金型に装着された中子を介して構成することもで
きる。
【0039】研削加工等によって所定形状に加工した
後、入れ子の装着時に入れ子が金型内部に設けられた入
れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるい
は又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に
装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型内
部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができ
る。あるいは又、エポキシ系、ウレタン系、アクリル
系、シリコン系等の中から選択された熱硬化性接着剤を
用いて、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。但
し、接着剤の厚さむらの影響で入れ子に歪みが発生する
ことを防止するために、接着剤の厚さを出来る限り薄く
且つ均一にすることが望ましい。
【0040】入れ子を構成する材料の熱伝導率は、キャ
ビティ内の溶融樹脂の急冷を防止する目的で、2×10
-2cal/cm・sec・deg以下であることが必要
とされる。この値を越える熱伝導率を有する材料を用い
て入れ子を作製した場合、キャビティ内の溶融樹脂が入
れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていない
通常の炭素鋼等から作製された金型にて成形された成形
品と同程度の外観しか得られない。
【0041】本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物と
しては、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、オ
レフィン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、MXD6樹
脂、変性PPE樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリマー、
エラストマーなどの熱可塑性樹脂、あるいは又、これら
の樹脂の2種類以上から成るアロイ樹脂組成物を例示す
ることができる。
【0042】また、これらの樹脂材料に無機繊維状充填
材、有機繊維状充填材、フィラー、安定剤、紫外線吸収
剤、染顔料等を添加することができる。無機繊維状充填
材として、ガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイ
ト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ
ー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシ
ウムウィスカー繊維を例示することができる。
【0043】特にエンジニアリングプラスチックス、ス
ーパーエンジニアリングプラスチックといった耐熱性や
強度に優れる反面、成形性が悪いプラスチックを使用す
る場合、通常、金型温度を80゜C以上として成形を行
なうが、フローマーク等の外観不良が多発している。然
るに、本発明の金型組立体を使用することで断熱効果が
得られるために、金型温度を80゜C以下としても外観
特性が良好な成形品を得ることができる。また、充填材
が添加された樹脂であってもよく、この場合、充填材が
成形品の表面に析出する現象が生ぜず、鏡面性等の外観
特性に優れた成形品を得ることができる。これは射出さ
れた溶融樹脂の冷却・固化を入れ子によって遅延するこ
とが可能となる結果、溶融樹脂の流動性及び転写性を向
上できるからである。
【0044】しかも、溶融樹脂の流動性が向上するが故
に、溶融樹脂の射出圧力を低く設定でき、成形品に残留
する応力を緩和できる。その結果、成形品の品質が向上
する。また、射出圧力を低減できるために、金型の薄肉
化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダ
ウンも可能になる。
【0045】本発明の金型組立体を用いた成形方法とし
ては、熱可塑性樹脂を成形するために一般的に用いられ
る射出成形法、射出圧縮成形法、多色成形法、ガスアシ
スト成形法、ブロー成形法を例示することができる。
【0046】本発明における入れ子は、低熱伝導性の材
料から作製されており、しかも、金型とは独立して作製
され、金型の内部に配設されるので、入れ子による断熱
効果が大きいばかりか、入れ子の保守が容易である。ま
た、熱衝撃に対しても強く、破損やクラックが発生し難
い入れ子を作製することができる。その結果、長期間の
使用に耐え、しかも、成形品にウエルドライン等が発生
し難い。
【0047】本発明の金型組立体においては、入れ子に
よる断熱効果が大きく、キャビティ内に導入された溶融
樹脂の急冷を抑制することができ、ウエルドマークやフ
ローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止
することができる。しかも、入れ子を、所定のクリアラ
ンス(C0)及び抑え代(ΔS)の範囲内で抑えプレー
トによって抑えることで、成形品端部の外観を損なうこ
とがなくなり、成形品端部にバリが発生しなくなり、更
には、入れ子外周部に発生した微細なクラックと溶融樹
脂が接触しなくなるために入れ子が破損しない。
【0048】また、コアピンをセラミックやガラスから
作製し、あるいは又、少なくともキャビティ内を占める
コアピンの部分の少なくとも表面をセラミック若しくは
ガラスから構成することによって、コアピンで分岐され
再び合流する溶融樹脂は余り冷却されることがないの
で、成形品にウエルドライン等が発生し難い。
【0049】更には、キャビティ内を占めるコアピンの
部分における対向面と入れ子のキャビティを構成する面
との間のクリアランスを規定することで、コアピンと入
れ子が接触することが無くなり、コアピンや入れ子を長
期間に亙って使用することが可能となる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態
(実施の形態と略す)及び実施例に基づき、図面を参照
して説明する。
【0051】(実施の形態1)実施の形態1は、先に説
明した第1の形態の穴空き成形品製造用の金型組立体に
関する。図6の(A)及び(B)に模式的な一部断面図
を示すように、コアピン31はセラミック若しくはガラ
スから成り、第1の金型部10に公知の方法で取り付け
られている。尚、図中、参照番号11は第2の金型部で
あり、参照番号14はキャビティであり、参照番号20
は入れ子であり、参照番号21は入れ子のキャビティ面
である。
【0052】図6の(A)に示す構造においては、コア
ピン31の先端面33と入れ子のキャビティ面21との
間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品
に非貫通穴を形成することができる。一方、図6の
(B)におけるコアピン31の先端面は、本発明の第2
の態様における対向面32に相当し、先端面(対向面3
2)と入れ子のキャビティ面21との間のクリアランス
(C)は、0.003mm乃至0.03mm(0.00
3mm≦C≦0.03mm)であることが好ましい。こ
れによって、対向面32と入れ子のキャビティ面21と
の間に溶融樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を
形成することができる。尚、図6の(A)及び(B)に
示した構造においては、集中応力によるコアピンの対向
面32あるいは先端面33の破損を防止するために、ダ
イヤモンド砥石で、又は、コアピンの対向面32あるい
は先端面33の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲
率を付与するか、又はC面処理(コーナー部を45度の
角度に面取りする処理)を行うことが好ましい。
【0053】(実施の形態2)実施の形態2は実施の形
態1の変形である。図7の(A)に模式的な一部断面図
を示すように、入れ子20には貫通孔が設けられてお
り、金型の型締め時、コアピン31の先端部34は貫通
孔内へ延び、コアピンの先端部34と入れ子20に設け
られた貫通孔との間のクリアランス(C1)は0.1m
m以上であることが好ましい。クリアランス(C1)が
0.1mm未満の場合、熱による膨張・収縮でコアピン
と入れ子が接触して、入れ子やコアピンが破損する虞が
ある。また、コアピン31のキャビティ14内を占める
部分には段差が付けられ、入れ子20のキャビティ面2
1と対向する対向面32が設けられている。このような
構造にすることで、対向面32と入れ子のキャビティ面
21との間に溶融樹脂が侵入することなく、成形品に貫
通穴を正確な位置へ確実に形成することができ、しか
も、コアピンの先端部34や入れ子20の損傷発生を防
止することができる。
【0054】(実施の形態3)実施の形態3は、先に説
明した第2の形態の穴空き成形品製造用の金型組立体に
関する。図7の(B)及び図8の(A)に模式的な一部
断面図を示すように、コアピン41はセラミック若しく
はガラスから成り、入れ子20には貫通孔が設けられて
おり、コアピン41は、この貫通孔を通して公知の方法
で第2の金型部11に取り付けられている。これらの場
合、キャビティ14内を占めるコアピン41の部分は、
入れ子20のキャビティ面21と対向する対向面42を
有し、対向面42と入れ子のキャビティ面21との間の
クリアランス(C)は、0.003mm乃至0.03m
mであることが好ましい。尚、コアピン41と入れ子2
0に設けられた貫通孔との間のクリアランス(C1)は
0.1mm以上であることが好ましい。
【0055】図7の(B)に示す構造においては、コア
ピン41の先端面43と第1の金型部10のキャビティ
面10Aとの間のクリアランスは十分大きい。これによ
って、成形品に非貫通穴を形成することができる。一
方、図8の(A)におけるコアピン41の先端面43と
第1の金型部10のキャビティ面10Aとの間のクリア
ランス(C2)は、キャビティ面10Aが金属から成る
場合、0mmとすることができる。第1の金型部10に
入れ子(図示せず)を配設する場合には、かかる入れ子
のキャビティ面とコアピン41の先端面43との間のク
リアランス(C2)は、0.003mm乃至0.03m
m(0.003mm≦C2≦0.03mm)であること
が好ましい。これによって、コアピン41の先端面43
と第1の金型部10のキャビティ面10Aとの間に溶融
樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成するこ
とができる。尚、図7の(B)及び図8の(A)に示し
た構造においては、集中応力によるコアピンの破損を防
止するために、ダイヤモンド砥石で、コアピンの先端面
43の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与
するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0056】(実施の形態4)実施の形態4は実施の形
態3の変形である。図8の(B)に模式的な一部断面図
を示すように、コアピン41はセラミック若しくはガラ
スから成る。入れ子20には貫通孔が設けられており、
コアピン41は貫通孔を通して第2の金型部11に公知
の方法で取り付けられている。第1の金型部10には孔
部15が設けられており、金型の型締め時、コアピン4
1の先端部44は孔部15内へ延びる。コアピン41の
先端部44と孔部15との間のクリアランス(C3)は
0.01乃至0.03mmであることが好ましい。この
ような構造にすることで、成形品に貫通穴を確実に形成
することができる。尚、図7の(B)、図8の(A)及
び(B)に示した構造においては、集中応力によるコア
ピンの破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、コ
アピンの対向面42の外側コーナー部に0.2mmR以
上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ま
しい。
【0057】(実施の形態5)実施の形態5は、本発明
の穴空き成形品製造用の金型組立体の先に説明した第3
の形態に関する。即ち、図9の(A)に模式的な一部断
面図を示すように、コアピンは、第1の金型部10に公
知の方法で取り付けられたコアピン取付部50と、コア
ピン取付部50に取り付けられ、一端が閉塞しそして他
端が開口した環状部材51とから成る。環状部材51は
キャップ状である。環状部材51はセラミック若しくは
ガラスから成り、そしてキャビティ14内を占めるコア
ピンの部分の表面を構成する。コアピン取付部50は、
環状部材51の他端から環状部材の内部に延在してい
る。環状部材51の肉厚(断面形状が環状の場合、外径
と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmとすること
が好ましい。コアピン取付部50は金属から作製すれば
よい。図9の(A)に示す構造においては、環状部材5
1の先端面53と入れ子のキャビティ面21との間のク
リアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫
通穴を形成することができる。
【0058】(実施の形態6)実施の形態6は実施の形
態5の変形である。図9の(B)に模式的な一部断面図
を示すように、コアピンは、第1の金型部10に公知の
方法で取り付けられたコアピン取付部50と、コアピン
取付部50に取り付けられ、一端が閉塞し他端が開口し
た環状部材51とから成る。環状部材51はセラミック
若しくはガラスから成り、そしてキャビティ内を占める
コアピンの部分の表面を構成する。環状部材51の一端
を構成する面は対向面52に相当し、コアピン取付部5
0は環状部材51の他端から環状部材の内部に延在して
いる。この場合、環状部材51の対向面52に相当する
先端面と入れ子20のキャビティ面21との間のクリア
ランス(C)は、0.003mm乃至0.03mm
(0.003mm≦C≦0.03mm)であることが好
ましい。これによって、環状部材51の対向面52に相
当する先端面と入れ子のキャビティ面21との間に溶融
樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成するこ
とができる。
【0059】尚、図9の(A)及び(B)に示した構造
においては、集中応力による環状部材の破損を防止する
ために、ダイヤモンド砥石で、環状部材51の外側コー
ナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC
面処理を行うことが好ましい。
【0060】(実施の形態7)実施の形態7は、本発明
の穴空き成形品製造用の金型組立体の先に説明した第4
の形態に関する。即ち、図10の(A)及び(B)に模
式的な一部断面図を示すように、コアピンは、第2の金
型部11に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部
60と、コアピン取付部60に取り付けられ、一端が開
口しそして他端が閉塞した環状部材61とから成る。環
状部材61はキャップ状である。環状部材61はセラミ
ック若しくはガラスから成り、そして、キャビティ14
内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材
61の一端を構成する面は対向面62に相当し、コアピ
ン取付部60は、入れ子20に設けられた貫通孔を貫通
し、そして環状部材61の一端から環状部材の内部に延
在している。環状部材61の肉厚(断面形状が環状の場
合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmと
することが好ましい。コアピン取付部60は金属から作
製すればよい。尚、コアピン取付部60と、入れ子20
に設けられた貫通孔との間のクリアランス(C1)は
0.1mm以上であることが好ましい。クリアランス
(C1)が0.1mm未満の場合、熱による膨張・収縮
でコアピンと入れ子が接触して、入れ子やコアピンが破
損する虞がある。
【0061】図10の(A)に示す構造においては、環
状部材61の先端面63と第1の金型部10のキャビテ
ィ面10Aとの間のクリアランスは十分大きい。これに
よって、成形品に非貫通穴を形成することができる。一
方、図10の(B)における環状部材の他端の面(先端
面)63と第1の金型部10のキャビティ面10Aとの
間のクリアランス(C2)は、キャビティ面10Aが金
属から成る場合、0mmとすることができる。第1の金
型部10に入れ子(図示せず)を配設する場合には、か
かる入れ子のキャビティ面と環状部材の他端の面(先端
面)63との間のクリアランス(C2)は、0.003
mm乃至0.03mm(0.003mm≦C2≦0.0
3mm)であることが好ましい。これによって、環状部
材の他端の面(先端面)63と第1の金型部10のキャ
ビティ面10Aとの間に溶融樹脂が侵入することなく、
成形品に貫通穴を形成することができる。尚、環状部材
61の対向面62と入れ子のキャビティ面21との間の
クリアランス(C)は、0.003mm乃至0.03m
m(0.003mm≦C≦0.03mm)であることが
好ましい。図10の(A)及び(B)に示した構造にお
いては、集中応力による環状部材の破損を防止するため
に、ダイヤモンド砥石で、環状部材61の外側コーナー
部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処
理を行うことが好ましい。
【0062】(実施の形態8)実施の形態8は、本発明
の穴空き成形品製造用の金型組立体の先に説明した第5
の形態に関する。即ち、図11の(A)に模式的な一部
断面図を示すように、コアピンは、第1の金型部10に
公知の方法で取り付けられたコアピン取付部50Aと、
コアピン取付部50Aに取り付けられ、両端が開口した
環状部材51Aとから成る。環状部材51Aはリング状
である。環状部材51Aはセラミック若しくはガラスか
ら成り、そしてキャビティ14内を占めるコアピンの部
分の表面を構成する。環状部材51Aの一端を構成する
面は対向面52Aに相当し、コアピン取付部50Aは、
環状部材51Aの他端から環状部材51Aの内部に延在
している。実施の形態8においては、コアピン取付部5
0Aの先端面53Aは、対向面52Aの占める平面内に
位置する。環状部材51Aの肉厚(断面形状が環状の場
合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmと
することが好ましい。コアピン取付部50Aは金属から
作製すればよい。尚、図11の(A)における環状部材
51Aの一端の面(対向面)52Aと入れ子のキャビテ
ィ面21との間のクリアランス(C)は、0.003m
m乃至0.03mm(0.003mm≦C≦0.03m
m)であることが好ましい。これによって、環状部材5
1Aの一端の面(対向面)52Aと入れ子のキャビティ
面21との間に溶融樹脂が侵入することなく、成形品に
貫通穴を形成することができる。
【0063】(実施の形態9)実施の形態9は実施の形
態8の変形である。図11の(B)に模式的な一部断面
図を示すように、入れ子20には貫通孔が設けられてお
り、金型の型締め時、コアピン取付部50Aの先端部5
4Aは環状部材51Aの一端から貫通孔内へと延び、コ
アピン取付部50Aの先端部54Aと貫通孔との間のク
リアランス(C1)は0.1mm以上である。このよう
な構造とすることで、成形品に確実に貫通穴を形成する
ことができる。
【0064】(実施の形態10)実施の形態10も実施
の形態8の変形である。図12の(A)に模式的な一部
断面図を示すように、コアピン取付部50Aの先端部5
5Aは環状部材51の内部に止まる。入れ子20には貫
通孔が設けられており、第2の金型部11には貫通孔か
ら突出した突出部16が設けられている。そして、突出
部16と貫通孔との間のクリアランス(C1)は0.1
mm以上である。金型の型締め時、突出部16は環状部
材51Aの内部に嵌合する。より具体的には、金型の型
締め時、突出部16はコアピン取付部50Aの先端部5
5Aと嵌合する。このような構造とすることでも、成形
品に確実に貫通穴を形成することができる。また、嵌合
精度を高めることができる。尚、コアピン取付部50A
の先端部55A及び突出部16の先端面は平滑であって
もよい。金型の型締め時、突出部16の先端部側壁と環
状部材51Aの内側表面とが接触しないように、突出部
16の先端部側壁と環状部材51Aの内側表面との間の
クリアランスは0.1mm以上あることが好ましい。
【0065】図11の(A)及び(B)並びに図12の
(A)に示した構造においては、集中応力による環状部
材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、環状
部材51Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率
を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0066】(実施の形態11)実施の形態11は、本
発明の穴空き成形品製造用の金型組立体の先に説明した
第6の形態に関する。即ち、図12の(B)に模式的な
一部断面図を示すように、コアピンは、第2の金型部1
1に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部60A
と、コアピン取付部60Aに取り付けられ、両端が開口
した環状部材61Aとから成る。環状部材61Aはリン
グ状である。環状部材61Aはセラミック若しくはガラ
スから成り、そしてキャビティ14内を占めるコアピン
の部分の表面を構成する。環状部材61Aの一端を構成
する面は対向面62Aに相当し、入れ子20には貫通孔
が設けられており、コアピン取付部60Aは、貫通孔を
貫通し、そして環状部材61Aの一端から環状部材の内
部に延在している。この場合、コアピン取付部60Aと
貫通孔との間のクリアランス(C1)は0.1mm以上
であることが好ましい。尚、環状部材61Aの対向面6
2Aに相当する面と入れ子のキャビティ面21との間の
クリアランス(C)は、0.003mm乃至0.03m
m(0.003mm≦C≦0.03mm)であることが
好ましい。更には、環状部材61Aの他端を構成する面
66Aと第1の金型部10のキャビティ面10Aとの間
のクリアランス(C2)は、キャビティ面10Aが金属
から成る場合、0mmとすることができる。第1の金型
部10に入れ子(図示せず)を配設する場合には、かか
る入れ子のキャビティ面と環状部材61Aの他端を構成
する面66Aとの間のクリアランス(C2)は、0.0
03mm乃至0.03mm(0.003mm≦C2
0.03mm)であることが好ましい。実施の形態11
においては、コアピン取付部60Aの先端面63Aは、
面66Aの占める平面内に位置するが、キャビティ面1
0Aが金属から成る場合には、コアピン取付部60Aの
先端面63Aは、面66Aの占める平面から突出してい
てもよい。
【0067】(実施の形態12)実施の形態12は実施
の形態11の変形である。図13の(A)に模式的な一
部断面図を示すように、第1の金型部10には孔部15
が設けられており、金型の型締め時、コアピン取付部6
0Aの先端部64Aは孔部15内へ延び、コアピン取付
部60Aの先端部64Aにおける環状部材61Aと孔部
15との間のクリアランス(C3)は0.01乃至0.
03mmであることが好ましい。
【0068】(実施の形態13)あるいは又、図13の
(B)に模式的な一部断面図を示すように、コアピン取
付部60Aの先端部65Aは環状部材61Aの内部に止
まり、第1の金型部10には突出部17が設けられてお
り、金型の型締め時、突出部17は環状部材61Aの内
部に嵌合する形態とすることができる。より具体的に
は、金型の型締め時、突出部17はコアピン取付部60
Aの先端部65Aと嵌合する。このような構造とするこ
とでも、成形品に確実に貫通穴を形成することができ
る。また、嵌合精度を高めることができる。尚、コアピ
ン取付部60Aの先端部65A及び突出部17の先端面
は平滑であってもよい。金型の型締め時、突出部17の
先端部側壁と環状部材61Aの内側表面とが接触しない
ように、突出部17の先端部側壁と環状部材61Aの内
側表面との間のクリアランスは0.1mm以上あること
が好ましい。
【0069】尚、図12の(B)、図13の(A)及び
(B)に示した構造においては、集中応力による環状部
材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で環状部
材61Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を
付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0070】(実施の形態14)実施の形態14は、本
発明の穴空き成形品製造用の金型組立体の先に説明した
第7の形態に関し、コアピンの径が10mmを越える場
合の好ましい形態である。即ち、本発明の第1若しくは
第2の態様に係る穴空き成形品製造用の金型組立体にお
いて、図14の(A)又は図15の(A)に模式的な一
部断面図を示すように、コアピンをセラミック若しくは
ガラスから作製する代わりに、少なくともキャビティ1
4内を占めるコアピン80,90の部分の表面に、セラ
ミックを溶射して成る溶射層81,91が形成されてい
る。
【0071】図14の(A)に示した構造においては、
コアピン80は第1の金型部10に取り付けられてお
り、コアピン80の先端面83と入れ子のキャビティ面
21との間のクリアランスは十分大きい。図15の
(A)に示した構造においては、入れ子20には貫通孔
が設けられており、コアピン90はこの貫通孔を通して
第2の金型部11に取り付けられており、コアピン90
の先端面93と第1の金型部10のキャビティ面10A
との間のクリアランスは十分大きい。これによって、成
形品に非貫通穴を形成することができる。尚、図15の
(A)に示した例においては、キャビティ14内を占め
るコアピン90の部分は、入れ子20のキャビティ面2
1と対向する対向面92を有し、対向面92と入れ子2
0のキャビティ面21との間のクリアランス(C)は、
0.003mm乃至0.03mmであることが好まし
い。対向面92には、溶射層が形成されていても、形成
されていなくともよい。
【0072】あるいは又、図14の(B)に模式的な一
部断面図を示すように、コアピン80は第1の金型部1
0に取り付けられており、キャビティ14内を占めるコ
アピン80の部分は、入れ子20のキャビティ面21と
対向する対向面82を有し、対向面82と入れ子20の
キャビティ面21との間のクリアランス(C)は、0.
003mm乃至0.03mmであることが好ましい。対
向面82には、溶射層が形成されていても、形成されて
いなくともよい。図14の(B)に示す構造において
は、成形品に貫通穴を形成することができる。
【0073】更には、図15の(B)に模式的な一部断
面図を示すように、入れ子20には貫通孔が設けられて
おり、コアピン90はこの貫通孔を通して第2の金型部
11に取り付けられており、キャビティ14内を占める
コアピン90の部分は、入れ子20のキャビティ面21
と対向する対向面92を有し、対向面92と入れ子20
のキャビティ面21との間のクリアランス(C)は、
0.003mm乃至0.03mmであることが好まし
い。尚、対向面92には、溶射層が形成されていても、
形成されていなくともよい。しかも、コアピン90の先
端面93と第1の金型部10のキャビティ面10Aとの
間のクリアランス(C2)は、キャビティ面10Aが金
属から成る場合、0mmとすることができる。第1の金
型部10に入れ子(図示せず)を配設する場合には、か
かる入れ子のキャビティ面とコアピン90の先端面93
との間のクリアランス(C2)は、0.003mm乃至
0.03mm(0.003mm≦C2≦0.03mm)
であることが好ましい。先端面93には、溶射層が形成
されていても、形成されていなくともよい。これによっ
て、成形品に貫通穴を形成することができる。
【0074】あるいは又、図16の(A)に模式的な一
部断面図を示すように、コアピン80は第1の金型部1
0に取り付けられており、入れ子20には貫通孔が設け
られており、金型の型締め時、コアピン80の先端部8
4は貫通孔内へと延び、コアピン80の先端部84と貫
通孔との間のクリアランスは0.1mm以上である形態
を挙げることができる。尚、図16の(A)において
は、溶射層81は、対向面82上及び先端部84の表面
にも形成されているが、これらの部分に溶射層を形成し
なくともよい。
【0075】一方、図16の(B)に模式的な一部断面
図を示すように、入れ子20には貫通孔が設けられてお
り、コアピン90は貫通孔を通して第2の金型部11に
取り付けられている態様を挙げることができる。この場
合、第1の金型部10には孔部15が設けられており、
金型の型締め時、コアピン90の先端部94は孔部15
内へ延び、コアピン90の先端部94における溶射層9
1と孔部15との間のクリアランス(C3)は0.01
乃至0.03mmであることが好ましい。
【0076】(実施の形態15)実施の形態15におい
ては、コアピンが第1の金型部及び第2の金型部の両方
に設けられている。図17の(A)に示す構造は、図6
の(B)及び図7の(B)に示した実施の形態1及び実
施の形態3を組み合わせた構造である。即ち、第1のコ
アピン100は金属製であり、第1の金型部10に公知
の方法で取り付けられている。また、第2のコアピン1
10も金属製であり、入れ子20には貫通孔が設けられ
ており、第2のコアピン110は、この貫通孔を通して
公知の方法で第2の金型部11に取り付けられている。
第1のコアピン100と第2のコアピン110の先端面
は相互に嵌合し得る構造となっている。第2のコアピン
110は対向面112を有する。
【0077】図17の(B)に示す構造は、図11の
(A)及び図12の(B)に示した実施の形態8及び実
施の形態11を組み合わせた構造である。即ち、第1の
コアピンは、第1の金型部10に公知の方法で取り付け
られたコアピン取付部50Bと、コアピン取付部50B
に取り付けられ、両端が開口した環状部材51Bとから
成る。環状部材51Bはリング状であり、セラミック若
しくはガラスから成る。コアピン取付部50Bは、環状
部材51Bの他端から環状部材51Bの内部に延在して
いる。一方、第2のコアピンは、第2の金型部11に公
知の方法で取り付けられたコアピン取付部60Bと、コ
アピン取付部60Bに取り付けられ、両端が開口した環
状部材61Bとから成る。環状部材61Bはリング状で
あり、セラミック若しくはガラスから成り、これらの環
状部材51B,61Bは、キャビティ14内を占めるコ
アピンの部分の表面を構成する。環状部材61Bの一端
を構成する面は対向面62Aに相当し、入れ子20には
貫通孔が設けられており、コアピン取付部60Bは、貫
通孔を貫通し、そして環状部材61Bの一端から環状部
材の内部に延在している。この場合、コアピン取付部6
0Bと貫通孔との間のクリアランス(C1)は0.1m
m以上であることが好ましい。コアピン取付部50B,
60Bは相互に嵌合し得る構造となっている。環状部材
51Bの一端面(先端面)と環状部材61Bの他端面
(先端面)との間には、0.003乃至0.03mmの
クリアランスがあることが、環状部材51Bや環状部材
61Bの破損を防止する上で好ましい。
【0078】図18の(A)に示す構造は、図14の
(B)及び図15の(B)に示した実施の形態14を組
み合わせた構造である。即ち、入れ子20には貫通孔が
設けられており、コアピンは、第1の金型部10に取り
付けられた第1のコアピン80と、貫通孔を通して第2
の金型部11に取り付けられた第2のコアピン90とか
ら成り、金型の型締め時、第1のコアピン80の先端部
84と第2のコアピン90の先端部94とが嵌合する。
第1のコアピン80に形成された溶射層81の先端面と
第2のコアピン90に形成された溶射層91の先端面と
の間には、0.003乃至0.03mmのクリアランス
があることが、溶射層81,91の破損を防止する上で
好ましい。
【0079】図18の(B)に示す構造は、図17の
(A)に示した構造の変形であり、第1の金型部10に
入れ子20Aが取り付けられ、第2の金型部11に入れ
子20Bが取り付けられている。入れ子20Aには貫通
孔が設けられており、金属製の第1のコアピン100
は、この貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部10
に取り付けられている。第1のコアピン100は対向面
102を有する。第2のコアピン110も金属製であ
り、入れ子20Bには貫通孔が設けられており、第2の
コアピン110は、この貫通孔を通して公知の方法で第
2の金型部11に取り付けられている。第2のコアピン
110は対向面112を有する。第1のコアピン100
と第2のコアピン110の先端面は相互に嵌合し得る構
造となっている。第1のコアピン100における対向面
102と第1の入れ子20Aのキャビティ面21Aとの
間のクリアランス(C)、及び第2のコアピン110に
おける対向面112と第2の入れ子20Bのキャビティ
面21Bとの間のクリアランス(C)は、0.003m
m乃至0.03mmであることが好ましい。また、第1
のコアピン100と入れ子20Aの貫通孔との間のクリ
アランス(C1)、及び第2のコアピン110と入れ子
20Bの貫通孔との間のクリアランス(C1)は、0.
1mm以上であることが好ましい。尚、実施の形態15
で説明した構造は例示であり、適宜変更することができ
る。
【0080】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
【0081】(実施例1)実施例1における穴空き成形
品製造用の金型組立体として、図11の(B)に示した
発明の実施の形態9の穴空き成形品製造用の金型組立体
を使用した。図1及び図2を参照して、以下、実施例1
における穴空き成形品製造用の金型組立体の組み立てを
説明する。
【0082】実施例1においては、入れ子20として、
中心部に直径27.00mmの貫通孔22が設けられた
厚さ3.00mm、直径100.00mmの円盤状のZ
rO2から成る入れ子を用いた。第2の金型部(固定金
型部)11の入れ子装着部12の内法寸法を外径10
0.2mm、深さを3.02mmとし、S55Cを切削
加工して入れ子装着部12を第2の金型部(固定金型
部)11に形成した。そして、エポキシ系接着剤(図示
せず)を用いて、第2の金型部(固定金型部)内の入れ
子装着部12に入れ子20を固定した(図2の(A)参
照)。
【0083】入れ子20の端部を抑えるための抑えプレ
ート23をS55Cから作製した。尚、内法寸法を9
9.00mmとした。この抑えプレート23を第2の金
型部(固定金型部)11にビス(図示せず)を用いて固
定した(図2の(B)参照)。入れ子20と抑えプレー
ト23との間のクリアランス(C0)は、平均で0.0
1mmであった。また、入れ子20に対する抑えプレー
ト23の抑え代(ΔS)は0.5mmであった。
【0084】実施例1の穴空き成形品製造用の金型組立
体の組み立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時の
状態を、図1の(A)及び(B)にそれぞれ示す。成形
品に穴を形成するためのコアピンは、第1の金型部(可
動金型部)10に公知の方法で取り付けられた金属製の
コアピン取付部50Aと、コアピン取付部50Aに接着
剤(図示せず)を用いて取り付けられた環状部材51A
から成る。環状部材51Aの両端は開口している。環状
部材51Aは切削加工にて作製されたZrO2から成
り、内径を26.00mm、外径を32.00mmとし
た。環状部材51Aの外側コーナー部は0.5mmRに
研磨してある。S55Cから作製したコアピン取付部5
0Aの環状部材51Aを取り付ける部分の直径を25.
90mmとした。環状部材51Aの一端を構成する面は
対向面52Aに相当し、コアピン取付部50Aは、環状
部材51Aの他端から環状部材の内部に延在している。
入れ子20のキャビティ面21と、環状部材51Aの対
向面52Aとは面接触していない。金型の型締め時、入
れ子20のキャビティ面21と、環状部材51Aの対向
面52Aとの間のクリアランス(C)は、0.01mm
であった。金型の型締め時、コアピン取付部50Aの先
端部54Aは環状部材51Aの一端から貫通孔22内へ
と延びる。コアピン取付部50Aの先端部54Aと貫通
孔22との間のクリアランス(C1)は0.55mmで
あった。このような構造とすることで、入れ子20及び
コアピンの破損、あるいは、成形品のバリ発生を防止す
ることができる。
【0085】(実施例2)実施例2における穴空き成形
品製造用の金型組立体として、図16の(A)に示した
発明の実施の形態14の穴空き成形品製造用の金型組立
体を使用した。実施例2においては、実施例1と同じ外
径の入れ子20を使用した。尚、入れ子20の中心部に
設けられた貫通孔22の直径を4.0mmとした。ま
た、少なくともキャビティ14内を占めるコアピン80
の部分の表面(この例においては全面)には、ZrO2
を溶射して成る溶射層81(厚さ0.6mm)を形成し
た。キャビティ14内を占めるコアピン80の直径を
5.0mm(溶射層を含む)とした。また、コアピン8
0の先端部84の直径を3.6mm(溶射層を含む)と
した。キャビティ14内を占めるコアピン80の部分
は、入れ子20のキャビティ面21と対向する対向面8
2を有し、対向面82と入れ子20のキャビティ面21
との間のクリアランス(C)は、0.005mmであっ
た。コアピン80は第1の金型部10に取り付けられて
いる。入れ子20には直径4.0mmの貫通孔22が設
けられており、金型の型締め時、コアピン80の先端部
84は貫通孔22内へと延び、コアピン80の先端部8
4(溶射層を含む)と貫通孔22との間のクリアランス
は0.2mmであった。尚、実施例2の穴空き成形品製
造用の金型組立体の組み立て後の金型の型締め時の状態
及び型開き時の状態を、図3の(A)及び(B)にそれ
ぞれ示す。
【0086】(実施例3)実施例3における穴空き成形
品製造用の金型組立体として、図12の(A)に示した
発明の実施の形態10の穴空き成形品製造用の金型組立
体を使用した。入れ子20を結晶化度70%の結晶化ガ
ラスから作製した。そして、入れ子20のキャビティ面
21に対して、ダイヤモンド砥石及び酸化セリウム砥石
を用いた研磨及び仕上げを行い、表面粗さRmaxを0.
02μmとした。入れ子20の寸法を、厚さ4.00m
m、外径100.00mm、内径30.00mmとし
た。第2の金型部(固定金型部)11の入れ子装着部1
2の内法寸法を外径100.2mm、深さを4.02m
mとし、S55Cから切削加工によって入れ子装着部1
2を作製した。また、入れ子装着部12には、コアピン
取付部50Aと嵌合する円柱状の突出部16を設けた。
次いで、入れ子20を入れ子装着部12内にエポキシ系
接着剤で固定した。
【0087】入れ子20の端部を抑えるための抑えプレ
ート23をS55Cから作製し、内法寸法を99.00
mmとした。この抑えプレート23を第2の金型部(固
定金型部)11にビス(図示せず)を用いて固定した。
【0088】入れ子20と抑えプレート23との間のク
リアランス(C0)は、平均で0.01mmであった。
また、入れ子20に対する抑えプレート23の抑え代
(ΔS)は0.5mmであった。
【0089】第1の金型部(可動金型部)10内にコア
ピン取付部50Aを取り付けた。S55Cから作製した
コアピン取付部50Aの環状部材51Aを取り付ける部
分の直径を25.9mmとした。環状部材51AをZr
2から切削加工にて作製した。環状部材51Aの外径
を32.00mm、内径を26.00mmとした。尚、
環状部材の外側コーナー部をダイヤモンド砥石にて0.
5mmRに仕上げた。そして、コアピン取付部50Aの
環状部材を取り付ける部分に環状部材51Aを接着剤を
用いて固定した。金型の型締め時、入れ子20のキャビ
ティ面21と、環状部材51Aの対向面52Aとの間の
クリアランス(C)は、0.01mmであった。突出部
16と入れ子20に設けられた貫通孔との間のクリアラ
ンス(C1)は2.1mmであった。また、突出部16
の先端部側壁と環状部材51Aの内側表面との間のクリ
アランスは0.1mmであった。尚、成形品は、外径9
9mm、内径32mm、厚さ2mmのドーナツ型であ
る。実施例3の穴空き成形品製造用の金型組立体の組み
立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時の状態を、
図4の(A)及び(B)にそれぞれ示す。
【0090】完成した金型組立体を成形装置に取り付け
た後、金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、
40゜Cまで急冷しても、結晶化度70%の結晶化ガラ
スから作製された入れ子20に割れ等の問題は発生しな
かった。
【0091】成形装置として三菱重工業(株)製、15
0MST射出成形機を用い、金型を80゜C加熱した。
成形材料として黒色のポリカーボネート樹脂(三菱エン
ジニアリングプラスチックス(株)製:S3000)を
用い、樹脂温度280゜C、射出圧力700kgf/c
2の条件でキャビティ14内に溶融樹脂をゲート部1
3から射出した後(図5参照)、20秒後に成形品を金
型から取り出した。
【0092】入れ子20と接触した成形品表面は、成形
品の端部に至るまで優れた光沢を有しており、ウエルド
ラインは発生していなかった。また、10000回の成
形を行っても、入れ子20や環状部材51Aに破損は認
められなかった。
【0093】(比較例1)比較例1において入れ子20
及び環状部材51Aをスタバックス鋼から作製し、キャ
ビティを構成する面を鏡面研磨した以外は、実施例3と
同様の条件で成形品を成形した。その結果、キャビティ
内での溶融樹脂の流動が悪く、キャビティ14内を溶融
樹脂で完全に充填することはできなかった。それ故、射
出圧力を100kgf/cm2増加させ、800kgf
/cm2として成形を行った。しかしながら、得られた
成形品の表面には、ウエルドラインが発生していた。
【0094】(比較例2)実施例3で用いた環状部材5
1Aの対向面52Aと入れ子20のキャビティ面21と
の間のクリアランス(C)を0.00mmとし、且つ、
抑えプレート23の抑え代(ΔS)を0.00mmとし
て、実施例3と同じ成形条件で成形品の成形を行った。
その結果、入れ子20と接触する成形品の表面は優れた
光沢を有し、また、ウエルドラインの発生も認められな
かった。しかしながら、15回の成形で、入れ子20及
び環状部材51Aに割れが生じた。
【0095】以上、本発明を、発明の実施の形態及び好
ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限
定されるものではない。実施例にて説明した条件は例示
であり、適宜変更することができる。コアピンの断面形
状は、所望の穴の断面形状に合わせて設計すればよい。
また、コアピンは先端に向かって先細りとしてもよい
し、コアピンの側面に段差を付けてもよい。
【0096】
【発明の効果】本発明の穴空き成形品製造用の金型組立
体を用いることによって、溶融樹脂の急速なる冷却に起
因した転写性の劣化、光沢性の劣化を防止することがで
き、更にはウエルドラインの発生を抑制することができ
る。また、容易に且つ確実に穴空き成形品を成形するこ
とができる。しかも本発明の穴空き成形品製造用の金型
組立体においては、入れ子を所定のクリアランス
(C0)及び抑え代(ΔS)の範囲内で組み立てること
によって、長期的な成形を実行しても、入れ子に破損が
生じることがない。
【0097】入れ子に使用する結晶化ガラスのような材
料は、熱衝撃に対して強いため、破損やクラックが発生
し難い入れ子が作製でき、しかも低熱伝導材であるた
め、転写性に優れ且つウエルドラインの発生しない成形
品を容易に得ることができる。
【0098】また、コアピンをセラミックやガラスから
作製し、あるいは又、少なくともキャビティ内を占める
コアピンの部分の少なくとも表面をセラミック若しくは
ガラスから構成することによって、コアピンで分岐され
再び合流する溶融樹脂は余り冷却されることがないの
で、成形品にウエルドライン等が発生し難い。更には、
キャビティ内を占めるコアピンの部分における対向面と
入れ子のキャビティを構成する面との間のクリアランス
を規定することで、コアピンと入れ子が接触することが
無くなり、コアピンや入れ子を長期間に亙って使用する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の穴空き成形品製造用の金型組立体の
組み立て後の状態を説明するための図である。
【図2】実施例1の穴空き成形品製造用の金型組立体の
組み立てを説明するための図である。
【図3】実施例2の穴空き成形品製造用の金型組立体の
組み立て後の状態を説明するための図である。
【図4】実施例3の穴空き成形品製造用の金型組立体の
組み立て後の状態を説明するための図である。
【図5】実施例3の穴空き成形品製造用の金型組立体を
用いて、キャビティ内に溶融樹脂を射出している状態を
示す図である。
【図6】発明の実施の形態1における穴空き成形品製造
用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図7】発明の実施の形態2及び発明の実施の形態3に
おける穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的な一部
断面図である。
【図8】発明の実施の形態3及び発明の実施の形態4に
おける穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的な一部
断面図である。
【図9】発明の実施の形態5及び発明の実施の形態6に
おける穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的な一部
断面図である。
【図10】発明の実施の形態7における穴空き成形品製
造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図11】発明の実施の形態8及び発明の実施の形態9
における穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的な一
部断面図である。
【図12】発明の実施の形態10及び発明の実施の形態
11における穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的
な一部断面図である。
【図13】発明の実施の形態12及び発明の実施の形態
13における穴空き成形品製造用の金型組立体の模式的
な一部断面図である。
【図14】発明の実施の形態14における穴空き成形品
製造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図15】発明の実施の形態14における穴空き成形品
製造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図16】発明の実施の形態14における穴空き成形品
製造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図17】発明の実施の形態15における穴空き成形品
製造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【図18】発明の実施の形態15における穴空き成形品
製造用の金型組立体の模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
10 第1の金型部 10A 第1の金型部のキャビティ面 11 第2の金型部 12 入れ子装着部 13 ゲート部 14 キャビティ 15 孔部 16,17 突出部 20,20A,20B 入れ子 21 入れ子のキャビティ面 22 貫通孔 23 抑えプレート 31,41,80,90,100,110 コアピン 32,42,52,52A,62,62A,82,9
2,102,112 対向面 33,43,83,93 コアピンの先端面 34,44 コアピンの先端部 50,50A,60,60A コアピン取付部 51,51A,61,61A 環状部材 53,63 環状部材の先端面 53A,63A コアピン取付部の先端面 54A,55A,64A,65A,84,94 コアピ
ン取付部の先端部 66A 環状部材他端を構成する面 81,91 溶射層

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穴空き成形品製造用の金型組立体であって (イ)第1の金型部と第2の金型部から成り、型締め状
    態において成形品を成形するためのキャビティが形成さ
    れる金型と、 (ロ)成形品に穴を形成するために、該第1の金型部及
    び/又は第2の金型部に取り付けられ、該キャビティ内
    を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピン
    と、 (ハ)該第1及び/又は第2の金型部に配設され、キャ
    ビティの一部を構成し、厚さが0.5mm乃至10mm
    のセラミック製若しくはガラス製の入れ子と、 (ニ)該入れ子が配設された金型部に取り付けられ、キ
    ャビティの一部を構成し、該入れ子の端部を抑える抑え
    プレート、から成る金型組立体であって、 入れ子と抑えプレートとの間のクリアランスは、0.0
    3mm以下であり、且つ、入れ子に対する抑えプレート
    の抑え代は0.1mm以上であることを特徴とする穴空
    き成形品製造用の金型組立体。
  2. 【請求項2】キャビティ内を占めるコアピンの前記部分
    は、入れ子のキャビティを構成する面と対向する対向面
    を有し、該対向面と入れ子のキャビティを構成する面と
    の間のクリアランスは、0.003mm乃至0.03m
    mであることを特徴とする請求項1に記載の穴空き成形
    品製造用の金型組立体。
  3. 【請求項3】コアピンはセラミック若しくはガラスから
    成り、第1の金型部に取り付けられていることを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載の穴空き成形品製造用
    の金型組立体。
  4. 【請求項4】コアピンはセラミック若しくはガラスから
    成り、入れ子には貫通孔が設けられており、コアピンは
    該貫通孔を通して第2の金型部に取り付けられているこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穴空き成
    形品製造用の金型組立体。
  5. 【請求項5】コアピンは、熱伝導率が2×10-2cal
    /cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y23
    又は3Al23・2SiO2から成るセラミック、若し
    くは、結晶化ガラスから作製されていることを特徴とす
    る請求項3又は請求項4に記載の穴空き成形品製造用の
    金型組立体。
  6. 【請求項6】コアピンは、 (a)第1の金型部に取り付けられたコアピン取付部
    と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞しそ
    して他端が開口した環状部材、とから成り、 該環状部材はセラミック若しくはガラスから成り、そし
    てキャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成
    し、 該コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の
    内部に延在していることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の穴空き成形品製造用の金型組立体。
  7. 【請求項7】コアピンは、 (a)第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部
    と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が開口しそ
    して他端が閉塞した環状部材、とから成り、 該環状部材はセラミック若しくはガラスから成り、そし
    てキャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成
    し、該環状部材の一端を構成する面は対向面に相当し、 該コアピン取付部は、該貫通孔を貫通し、そして該環状
    部材の一端から環状部材の内部に延在していることを特
    徴とする請求項2に記載の穴空き成形品製造用の金型組
    立体。
  8. 【請求項8】コアピンは、 (a)第1の金型部に取り付けられたコアピン取付部
    と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、両端が開口した
    環状部材、とから成り、 該環状部材はセラミック若しくはガラスから成り、そし
    てキャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成
    し、該環状部材の一端を構成する面は対向面に相当し、 該コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の
    内部に延在していることを特徴とする請求項2に記載の
    穴空き成形品製造用の金型組立体。
  9. 【請求項9】コアピンは、 (a)第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部
    と、 (b)コアピン取付部に取り付けられ、両端が開口した
    環状部材、とから成り、 該環状部材はセラミック若しくはガラスから成り、そし
    てキャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成
    し、該環状部材の一端を構成する面は対向面に相当し、 入れ子には貫通孔が設けられており、 該コアピン取付部は、該貫通孔を貫通し、そして該環状
    部材の一端から環状部材の内部に延在していることを特
    徴とする請求項2に記載の穴空き成形品製造用の金型組
    立体。
  10. 【請求項10】環状部材は、熱伝導率が2×10-2ca
    l/cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y2
    3又は3Al23・2SiO2から成るセラミック、若し
    くは、結晶化ガラスから作製されていることを特徴とす
    る請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の穴空き
    成形品製造用の金型組立体。
  11. 【請求項11】少なくともキャビティ内を占めるコアピ
    ンの前記部分の表面には、セラミック若しくはガラスを
    溶射して成る溶射層が形成されていることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載の穴空き成形品製造用の金
    型組立体。
  12. 【請求項12】溶射層は、熱伝導率が2×10-2cal
    /cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y23
    又は3Al23・2SiO2から成るセラミックから構
    成されていることを特徴とする請求項11に記載の穴空
    き成形品製造用の金型組立体。
  13. 【請求項13】少なくともキャビティ内を占めるコアピ
    ンの前記部分の少なくとも表面は、セラミック若しくは
    ガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載の穴空
    き成形品製造用の金型組立体。
  14. 【請求項14】キャビティ内を占めるコアピンの前記部
    分は、入れ子のキャビティを構成する面と対向する対向
    面を有し、該対向面と入れ子のキャビティを構成する面
    との間のクリアランスは、0.003mm乃至0.03
    mmであることを特徴とする請求項13に記載の穴空き
    成形品製造用の金型組立体。
  15. 【請求項15】入れ子は、熱伝導率が2×10-2cal
    /cm・sec・deg以下である、ZrO2−Y23
    又は3Al23・2SiO2から成るセラミック、若し
    くは、結晶化ガラスから作製されていることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の穴空
    き成形品製造用の金型組立体。
  16. 【請求項16】請求項1乃至請求項15のいずれか1項
    に記載された穴空き成形品製造用の金型組立体を使用し
    て、金型と、コアピンと、入れ子と、抑えプレートとに
    よって形成されたキャビティ内に、溶融樹脂を導入する
    ことによって穴空き成形品を成形することを特徴とする
    穴空き成形品の製造方法。
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