JPH1143672A - 蛍光体 - Google Patents

蛍光体

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JPH1143672A
JPH1143672A JP21388497A JP21388497A JPH1143672A JP H1143672 A JPH1143672 A JP H1143672A JP 21388497 A JP21388497 A JP 21388497A JP 21388497 A JP21388497 A JP 21388497A JP H1143672 A JPH1143672 A JP H1143672A
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アルベサール・恵子
Yoshikazu Fukazawa
美和 深澤
Masaaki Tamaya
正昭 玉谷
Naohisa Matsuda
直寿 松田
Shinichi Nakamura
新一 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】十分な発光効率を有し、スポット径が小さくな
るような蛍光膜を形成することが可能な蛍光体を提供す
ること。 【解決手段】本発明の蛍光体1は、表面に凹凸が形成さ
れ、長径と短径との比が1ないし1.3の範囲にある球
状の形状を有し、体積が同じである球の表面積に対し
て、1.01倍ないし1.5倍の表面積を有する粒子か
らなり、組成式Ln3 5 12:RまたはLn2 SiO
5 :Rに示す化学組成を具備することを特徴とする。
(式中、LnはSc、Y、Gd、La、及びLuから選
ばれる少なくとも1種の元素、MはAl及びGaから選
ばれる少なくとも1種の元素、RはCr、Ti、Fe、
及びランタニド属の元素から選ばれる少なくとも1種の
元素を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体に係り、特
に球状の希土類蛍光体に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管やプラズマディスプレイ等のデ
ィスプレイ、或いは蛍光ランプ等で用いられる蛍光体
は、電子線や紫外線で励起することにより発光し、特に
粒径が数μm程度の場合に高い発光効率が得られるとさ
れている。このような粒径を有する蛍光体は、通常、フ
ラックスを用いた固相反応を用いることにより製造され
る。しかしながら、その形状は、原料粒子の形状や蛍光
体粒子の結晶構造を反映して対称性の低い多面体状とな
る。
【0003】そのため、このような多面体状の蛍光体を
用いて、例えば、陰極線管の蛍光膜を形成した場合、蛍
光体粒子間に空隙が多く存在してしまい、高い充填密度
を得ることができない。また、蛍光膜表面の平滑性が低
下してしまうため、光反射膜であるアルミバックの平滑
性も低下してしまう。したがって、陰極線管の蛍光膜を
多面体状の蛍光体を用いて形成した場合、発光光の乱反
射が生じてしまい、出力光強度の低下やスポット径の拡
大が生じてしまうのである。
【0004】また、プラズマディスプレイパネルの場合
でも、薄い蛍光膜が得られないため、放電空間が狭くな
り、発光効率が低下してしまう。
【0005】このような現象は、蛍光ランプについても
同様である。したがって、陰極線管やプラズマディスプ
レイ等のディスプレイ、或いは蛍光ランプ等に用いられ
る蛍光体には、高い充填密度で蛍光膜を形成可能である
ことが望まれている。
【0006】上述の要求に対し、特開昭2−20198
9号公報(特公平7−45655号公報)には、蛍光体
原料を高周波熱プラズマ中で加熱して球状の蛍光体を得
ることが記載されている。この方法により形成される蛍
光体は形状が球状であるため、充填密度の高い蛍光膜を
形成することが可能である。したがって、この球状蛍光
体を用いて、例えば、投写管の蛍光膜を形成した場合、
蛍光膜を薄膜化することができ、多面体状の蛍光体を用
いた場合に比べて発光光のスポット径をある程度までは
小さくすることができる。
【0007】しかしながら、この蛍光体粒子は極端に光
散乱性が低いため、発光光の蛍光膜の面内方向への成分
は殆ど散乱されずに進行してしまう。その結果、投写管
の場合、スポット径を十分に縮小することができず、解
像度を大幅には高めることができないのである。プラズ
マディスプレイの場合においては、比表面積の小さいこ
の蛍光体粒子を使用すると、真空紫外線の吸収が少ない
ために発光効率が低下する。
【0008】また、それ以外の球状の蛍光体としては、
湿式法により数万個の1次粒子を球状に凝集させたもの
が知られている。しかしながら、このような蛍光体は蛍
光体粒子内に数多くの1次粒子間界面を有しているた
め、発光効率が著しく低い。また、これを改善するため
に熱処理を行った場合、凝集していた1次粒子同士が分
離してしまうため蛍光体粒子の形状を球状に保つことが
できない。したがって、このような1次粒子を凝集させ
た蛍光体では、蛍光膜の充填密度を高めることができ
ず、十分な発光の取り出し効率を有し、スポット径を縮
小することが可能な蛍光膜を形成することができないの
である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、十分な発光の取
り出し効率を有し、スポット径が小さくなるような蛍光
膜を形成することが可能な蛍光体を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に凹凸が
形成され、長径と短径との比が1ないし1.3の範囲に
ある球状の形状を有し、同じ体積を有する球の表面積に
対して、1.01倍ないし1.5倍の表面積を有する粒
子からなり、組成式Ln3 5 12:RまたはLn2
iO5 :Rに示す化学組成を具備することを特徴とする
蛍光体を提供する。(式中、LnはSc、Y、Gd、L
a、及びLuから選ばれる少なくとも1種の元素、Mは
Al及びGaから選ばれる少なくとも1種の元素、Rは
Cr、Ti、Fe、及びランタニド属の元素から選ばれ
る少なくとも1種の元素を示す。) 本発明は、上記蛍光体において、前記粒子に外接する球
から前記粒子表面までの距離の最大値が、10nm以上
であり、かつ前記外接する球の直径の20%以下である
ことを特徴とする。
【0011】本発明は、上記蛍光体において、0.11
0cm2 /mgないし0.180cm2 /mgの光散乱
係数を有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳細に
説明する。
【0013】本発明の蛍光体は、組成式Ln3
5 12:RまたはLn2 SiO5 :Rに示す化学組成を
有している。これら組成式において、LnはSc、Y、
Gd、La、及びLuから選ばれる少なくとも1種の元
素を示し、MはAl及びGaから選ばれる少なくとも1
種の元素を示している。したがって、Ln及びMは、そ
れぞれ単独の元素であってもよく、複数種の元素を含む
ものであってもよい。
【0014】また、上記組成式において、RはCr、T
i、Fe、及びランタニド属の元素から選ばれる少なく
とも1種の元素から選ばれる。Rは、単独の元素であっ
てもよく、複数種の元素を含んでもよい。また、Rは、
通常、蛍光体粒子中に0.1重量%〜10重量%含まれ
る。
【0015】以上説明した元素で構成される本発明の蛍
光体において、これら元素の組み合せに特に制限はない
が、Rとして、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、
Dy、Ho、Er、Tm、及びYb等の元素を用いた場
合、高い輝度を得ることができ、特に、組成式Y2 Si
5 :Tb、Y3 (Al,Ga)5 12:Tb等に示す
化学組成とすることにより、例えば投写管では最も高い
輝度を得ることができる。
【0016】以下、本発明の蛍光体の形状について説明
する。
【0017】本発明の蛍光体は、0. 2μm〜10μm
の範囲内の平均粒度を有している。平均粒度が0.2μ
m未満の場合、十分な粉体輝度を得ることができず、1
0μmを超える場合、精細な表示を行うことができな
い。
【0018】また、本発明の蛍光体は、表面に凹凸が形
成され、長径と短径との比が1ないし1.3の範囲にあ
る球状の形状を有している。ここでいう凹凸とは、溝
状、クレータ状、及び井戸状等の凹部や、台地状、丘
状、及び山脈状等の凸部である。すなわち、蛍光体粒子
の球状性を著しく低下させる柱状、粒状、或いはエッジ
状部分等の突起部のような、蛍光膜の充填密度を低下さ
せるものは除かれる。したがって、本発明の蛍光体は、
充填密度の高い蛍光膜を形成することができ、さらに、
蛍光体粒子の表面に凹凸を設けられており比表面積が大
きいので、蛍光体粒子の表面における高い光散乱性を有
している。
【0019】この凹凸は、蛍光体粒子の表面積が、体積
が同じである球の表面積に対して、1.01倍ないし
1.5倍となるように設けられることが好ましく、1.
1倍ないし1.3倍となるようように設けられることが
より好ましい。この比が下限値未満の場合、蛍光体粒子
の表面積を十分に増加させることができない。また、上
限値を超える場合、蛍光体粒子の球状性が低下するため
充填密度の高い蛍光膜を形成することができないだけで
なく、光散乱性が過剰に増加するため、蛍光膜として用
いた場合にアルミ反射膜や蛍光膜内での光吸収が増加
し、蛍光膜からの出力光が減少してしまう。
【0020】また、ここでいう長径と短径との比が1な
いし1.3の範囲にあるとは、それぞれの蛍光体粒子の
投影を全ての方向について観測した場合に得られる最長
軸の長さと最短軸の長さとの比が1ないし1.3の範囲
にあることをいい、この比は、1ないし1.1であるこ
とがより好ましい。この比が上限値を超える場合、充填
密度の高い蛍光膜を形成することができず、さらに蛍光
膜を形成する際に用いるスラリー中での蛍光体粒子の分
散性等が低下するため、緻密な蛍光膜を形成することが
できない。
【0021】次に、図1を用いて本発明の蛍光体の形状
についてより詳細に説明する。図1(a)に示すよう
に、本発明の蛍光体粒子1は複数の単結晶2で構成され
ており、蛍光体粒子1の表面には、これら単結晶2の界
面により、破線で示す上述の溝状の凹部4が形成されて
いる。なお、この図において参照番号5に示す破線は蛍
光体粒子1に外接する球を示している。
【0022】図1(b)に、蛍光体粒子1の一部7を拡
大して示す。この図において、参照番号6は、上述の外
接する球5から凹部4までの距離を示している。本発明
の蛍光体粒子1においては、通常、距離6は50nm〜
0.2μm程度である。しかしながら、この距離6は、
蛍光体粒子1の製造条件により制御することが可能であ
る。この距離6は、10nm以上であり、かつ上述の最
小の球5の直径の20%以下であることが好ましく、5
0nm以上であり、かつ5%以下であることがより好ま
しい。距離6が下限値未満の場合、蛍光体粒子1の表面
積を十分に増加させることができない。また、上限値を
超える場合、凹部4内で光が散乱して発光光が閉じ込め
られる可能性があるため、蛍光膜からの出力光が減少す
る。
【0023】上記凹凸は、蛍光体1を構成する複数の単
結晶2の界面に起因していると考えられる。すなわち、
複数の単結晶2のそれぞれの界面や結晶面が上述の凹凸
を形成しているのである。したがって、蛍光体1を構成
する単結晶2の数を変えることにより、凹凸の数や大き
さを制御することが可能である。この単結晶2の数は、
2〜100個程度であることが好ましい。蛍光体1が1
個の単結晶で構成される場合、十分な凹凸を形成するこ
とができず、100個を超える単結晶で構成される場
合、蛍光体粒子の内部の粒界が多くなり、粒子全体の発
光効率が低下する。このため、表面での光散乱が過剰と
なり、発光効率の高い蛍光膜を形成することができな
い。
【0024】本発明の蛍光体は、上述のように、適度な
光散乱性を得るために球状の蛍光体粒子の表面に凹凸が
設けられている。本発明の蛍光体の光散乱係数は、用い
る材料及び蛍光体の粒径により異なるが、一般に、0.
110cm2 /mg〜0.180cm2 /mgであるこ
とが好ましく、0.120cm2 /mg〜0.170c
2 /mgであることがより好ましい。後述するよう
に、光散乱係数が下限値未満の場合、蛍光膜内での発光
光の散乱が不十分となり、スポット径を十分に縮小する
ことができない。また、上限値を超える場合、蛍光膜内
での発光光の光散乱が過剰となり、スポット径が拡大
し、出力光の強度が低下する。
【0025】以下、本発明の蛍光体の製造方法について
説明する。
【0026】本発明の蛍光体の製造に当り、まず、特開
平8−059156号公報で開示されている高周波熱プ
ラズマ処理法により、原料蛍光体粉末を高周波熱プラズ
マ中で溶融処理し、これを急冷することにより球状の中
間蛍光体を形成する。このとき、原料蛍光体粉末全体が
蒸発することなく、かつ粒子の表面が完全に溶融するよ
うに、高周波熱プラズマのパワーと原料蛍光体粉末の供
給量を制御する。
【0027】以上のようにして得られる中間蛍光体は、
球状の形状を有しているが、この段階では、双晶等の欠
陥を多く含む多結晶粒子であり、表面には超微粒子が付
着している。
【0028】次に、この中間蛍光体に、その融点(絶対
温度)の80%程度の温度で熱処理を施す。この熱処理
により、中間蛍光体中の多結晶の核は拡散により成長し
て単結晶を形成し、中間蛍光体表面に付着していた超微
粒子は溶融して蛍光体表面に波状の凹凸を形成する。し
たがって、最終的に得られる本発明の蛍光体は、単結晶
が緻密に結合した構造、すなわち、セラミックス等の焼
結体で見られるようなバウンダリで区切られた構造を有
しており、付着していた超微粒子の量により、表面に凹
凸を有している。
【0029】上述の熱処理は、中間蛍光体の組成及び平
均粒度によって異なるが、通常、1300℃〜1700
℃で10分〜10時間行われる。熱処理温度が1300
℃未満、或いは熱処理時間が10分未満の場合、蛍光体
粒子中に上述の単結晶を形成することができず、蛍光体
粒子の表面に十分な凹凸を形成することができない。ま
た、熱処理温度が1700℃を超える場合、或いは熱処
理時間が10時間を超える場合、蛍光体粒子同士が焼結
してしまい、良分散の蛍光体を得ることができない。
【0030】以上説明した本発明の蛍光体は、高温で熱
処理されるため、結晶性が良好であり、高い発光効率を
有している。さらに、蛍光体粒子中の単結晶間の結合が
強力であるため、分散性を向上させるために行われるボ
ールミルにより蛍光体粒子が破壊されることがない。
【0031】以下、本発明の蛍光体を用いた蛍光膜につ
いて説明する。
【0032】図2に、本発明の蛍光体及び従来の蛍光体
を用いた投写管の蛍光膜の断面図を示す。図2(a)に
示す蛍光膜21は、本発明の蛍光体で形成されており、
この蛍光膜21は、ガラスパネル(図示せず)上に形成
されている。また、この蛍光膜21上にはアルミ反射膜
(図示せず)が形成されている。このような投写管での
表示は、アルミ反射膜側から、蛍光膜21に所定の径の
電子線25を照射し、蛍光膜21中の蛍光体を発光させ
て、スポット径L1 の出力光を出射されることにより行
われる。
【0033】また、図2(b)及び(c)は、それぞれ
従来の球状蛍光体を用いた蛍光膜及び従来の多面体状の
蛍光体を用いた蛍光膜を示している。これら図2
(a)、(b)、及び(c)に示す蛍光膜のそれぞれの
スポット径L1 、L2 、及びL3 を比較すると、L
1 は、L2 及びL3 に比べて小さい。すなわち、本発明
の蛍光体を用いて蛍光膜を形成することにより、従来の
蛍光体を用いた場合に比べてより精細な表示が可能とな
る。
【0034】以下に、本発明の蛍光体を用いることによ
り、投写管の蛍光膜のスポット径を縮小することができ
る理由を図3を用いて説明する。
【0035】図3(c)に示す蛍光膜23では多面体状
の蛍光体が用いられている。このような多面体状の蛍光
体で形成される蛍光膜23は充填密度が低いため、十分
な発光効率を得るためには厚い膜が形成されてしまう。
したがって、蛍光膜23に対して斜め方向に進行する発
光光26は、発光位置27から蛍光膜23の面内方向に
距離L6 離れた位置まで拡散されて出力される。また、
従来の多面体状の蛍光体は、過剰な光散乱性を有してい
る。そのため、発光光26は、蛍光膜23から出力され
るまでの間に、数多くの蛍光体粒子表面やアルミ反射膜
で散乱・吸収され、距離L6 が増加するだけでなく、出
力光の強度も低下してしまう。
【0036】図3(b)に示す蛍光膜22では、表面に
凹凸の設けられていない従来の球状蛍光体が用いられて
いる。このような球状蛍光体を用いると蛍光膜22の充
填密度が高くなるため、蛍光膜22を薄くすることがで
きる。したがって、蛍光膜22においては、図3(c)
に示す蛍光膜23に比べて拡散の程度が低くなり、発光
位置27から蛍光膜22の面内方向に距離L5 離れた位
置から出力される。
【0037】しかしながら、図3(b)に示す蛍光膜2
2に用いられる蛍光体は、極端に散乱性が低いため蛍光
体粒子表面での散乱が生じにくい。すなわち、蛍光膜2
2に対して斜め方向に進行する発光光26は、蛍光体表
面での散乱の回数が極端に少なく直進性が高いため、距
離L5 は距離L6 に比べてさほど減少されないのであ
る。
【0038】それに対し、図3(a)に示す蛍光膜21
で用いられる本発明の蛍光体は、球状でありかつ表面に
凹凸が設けられている。したがって、このような蛍光体
を用いると、蛍光膜21の充填密度が高くなるため蛍光
膜を薄く形成することができる。また、図3(a)に示
す蛍光膜21で用いられる本発明の蛍光体は、図3
(b)に示す蛍光膜22で用いられる蛍光体に比べて光
散乱性が高く、図3(c)に示す蛍光膜23で用いられ
る蛍光体に比べて光散乱性が低い。そのため、蛍光膜2
1に対して斜め方向に進行する発光光26は、蛍光体表
面で適度に散乱され、距離L4 は距離L5 に比べてさら
に減少する。
【0039】次に、本発明の蛍光体を用いることによ
り、プラズマディスプレイパネルの光取り出し効率を向
上させることができる理由を説明する。
【0040】本発明の蛍光体を用いると、薄い蛍光膜を
形成することができるため、放電効率が高くなり発光効
率が向上するのみならず、以下の2点の利点を有してい
る。第1に、比表面積が大きいため、従来の球状蛍光体
に比べて真空紫外線の吸収が多くなり、発光効率が向上
する。第2に、比表面積に比例して光散乱も多くなるた
め、発光光を効率よく取り出せるようになることであ
る。
【0041】このように、本発明の蛍光体は、適度な光
散乱性を有し、高い充填密度で膜を形成することができ
るため、十分な発光の取り出し効率を有し、スポット径
を小さくすることが可能な蛍光膜を形成することができ
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0043】(実施例1)Y2 3 及びTb4 7 を硝
酸水溶液に溶解し、この溶液に、シュウ酸塩水溶液を加
えて共沈シュウ酸塩を作製した。このシュウ酸塩にフラ
ックスを加え、大気雰囲気下で1000℃の温度で焼成
して酸化物を作製した。この酸化物にシリカを混合し、
さらに焼成を行って、組成式(Y0.93Tb0.072 Si
5 に示す組成の従来の多面体状の蛍光体(サンプル
1)を製造した。
【0044】次に、この多面体状の蛍光体をAr雰囲気
中で高周波熱プラズマ処理して、表面に凹凸の形成され
ていない従来の球状の蛍光体(サンプル2)を製造し
た。
【0045】さらに、この球状の蛍光体に、1300℃
の還元雰囲気(N2 /H2 )中で2時間熱処理を施し、
表面に凹凸の形成された球状の蛍光体(サンプル3)を
得た。
【0046】図4〜図6に、上記サンプル1〜3のSE
M写真をそれぞれ示す。これらSEM像から明らかなよ
うに、サンプル1は一次粒子が凝集した多面体であり、
サンプル2は表面に超微粒子が付着しているが表面の滑
らかな球体である。それに対し、サンプル3は、球状の
形状を保ちながら表面に多数の凹凸が形成されている。
なお、これら凹凸の凹部の平均的な深さは、0.2μm
であった。
【0047】これらサンプルについて、様々な粉体特性
を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】 上記表1において、平均粒度はブレーン法により求めた
値であり、比表面積及び光散乱係数は、それぞれ実測値
とサンプル2に対する相対値について記載されている。
また、長径/短径は、蛍光体粒子の短径に対する長径の
比を示し、表面積比は、同じ体積を有する球の表面積に
対する蛍光体粒子の表面積の比を示しており、凹部の深
さは、蛍光体粒子に外接する球から蛍光体粒子表面まで
の距離の最大値、及びその球の直径に対する距離の比を
示している。なお、これら長径/短径、表面積比、及び
凹部の深さは、SEM写真中の複数の蛍光体粒子の輪郭
から求め、それらの値を平均して概算した。比表面積は
ブレーン径を用いて計算し、光散乱係数はクベルカ・ム
ンク理論に沿って測定した。
【0049】次に、これらサンプル1〜3を用いて、通
常の方法により7インチ投写管を作製し、蛍光膜の膜
厚、及び32kV、1mAでの輝度と解像度(スポット
径)について測定した。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 上記表2において、相対輝度、スポット径、及び蛍光膜
の膜厚は、それぞれサンプル1を用いて作製した投写管
での値に対する相対値で示され、スポット径及び蛍光膜
の膜厚については、さらに実測値が示されている。な
お、スポット径は、最大輝度に対して5%の強度の領域
の径である。
【0051】上記表2に示すように、サンプル3の蛍光
体を用いて作製した投写管では、蛍光膜の膜厚が20%
以上薄いのにも関わらず、サンプル1の蛍光体を用いて
作製した投写管とほぼ同等の輝度が得られている。ま
た、サンプル3の蛍光体を用いて作製した投写管では、
サンプル2の蛍光体を用いた投写管と蛍光膜の膜厚はほ
ぼ同じであるが、サンプル1より10%程度高い輝度が
得られている。したがって、サンプル3の蛍光体を用い
ることにより、比較的高い輝度を有し、より充填密度の
高い蛍光膜を形成することができる。
【0052】また、これら投写管についてスポット径を
比較すると、サンプル3の蛍光体を用いて作製した投写
管において最も小さなスポット径が得られている。した
がって、サンプル3の蛍光体を用いることにより、比較
的高い輝度を有し、精細な表示が可能な蛍光膜を形成す
ることができる。
【0053】(実施例2)実施例1と同様にして、共
沈、混合、及び焼成を行い、組成式(Y0.95Tb0.05
3 (Al,Ga)5 12に示す多面体状の蛍光体(サン
プル4)を作製した。
【0054】次に、この多面体状の蛍光体にAr雰囲気
中で高周波熱プラズマ処理を施して表面に凹凸の形成さ
れていない球状の蛍光体を作製した。さらに、この球状
の蛍光体を1450℃の空気雰囲気中で2時間熱処理を
施し、表面に凹凸の形成された球状の蛍光体(サンプル
5)を得た。
【0055】図7に、上記サンプル5のSEM写真を示
す。このSEM像から明らかなように、サンプル5は、
表面に多数の凹凸が形成された球状体である。なお、こ
れら凹凸の凹部の平均的な深さは、0.1μmであっ
た。
【0056】これらサンプルについて様々な粉体特性を
測定し、さらにこれらサンプルを用いて7インチ投写管
を作製してスポット径を測定した。その結果を下記表3
に示す。
【0057】
【表3】 上記表3に示すように、サンプル5の蛍光体を用いて作
製した投写管では、蛍光膜の膜厚が20%以上薄いのに
も関わらず、サンプル4の蛍光体を用いて作製した投写
管とほぼ同等の輝度が得られている。したがって、サン
プル5の蛍光体を用いることにより、比較的高い輝度を
有し、より充填密度の高い蛍光膜を形成することができ
る。
【0058】また、これら投写管についてスポット径を
比較すると、サンプル5の蛍光体を用いて作製した投写
管において、15%程度小さなスポット径が得られてい
る。したがって、サンプル5の蛍光体を用いることによ
り、比較的高い輝度を有し、精細な表示が可能な蛍光膜
を形成することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明によると、組成式Ln3
5 12:R1 またはLn2 SiO5 :R2 に示す化学組
成を有する粒子の形状を球状とし、粒子表面に凹凸を形
成することにより、適当な光散乱性が付与され、充填密
度が高められるため、十分な発光の取り出し効率を有
し、スポット径が小さくなるような蛍光膜を形成するこ
とが可能な蛍光体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光体の概略を示す図。
【図2】本発明の蛍光体及び従来の蛍光体を用いた蛍光
膜を示す断面図。
【図3】本発明の蛍光体及び従来の蛍光体を用いた蛍光
膜を示す断面図。
【図4】従来の蛍光体のSEM写真。
【図5】従来の蛍光体のSEM写真。
【図6】本発明の実施例に係る蛍光体のSEM写真。
【図7】本発明の実施例に係る蛍光体のSEM写真。
【符号の説明】
1…蛍光体粒子 2…単結晶 4…凹部 5…球 6…距離 7…蛍光体粒子の一部 21〜23…蛍光膜 25…電子線 26…発光光 27…発光位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 直寿 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中村 新一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹凸が形成され、長径と短径との
    比が1ないし1.3の範囲にある球状の形状を有し、 同じ体積を有する球の表面積に対して、1.01倍ない
    し1.5倍の表面積を有する粒子からなり、 組成式Ln3 5 12:RまたはLn2 SiO5 :Rに
    示す化学組成を具備することを特徴とする蛍光体。(式
    中、LnはSc、Y、Gd、La、及びLuから選ばれ
    る少なくとも1種の元素、MはAl及びGaから選ばれ
    る少なくとも1種の元素、RはCr、Ti、Fe、及び
    ランタニド属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素
    を示す。)
  2. 【請求項2】 前記粒子に外接する球から前記表面まで
    の距離の最大値が、10nm以上であり、かつ前記外接
    する球の直径の20%以下であることを特徴とする請求
    項1に記載の蛍光体。
  3. 【請求項3】 0.110cm2 /mgないし0.18
    0cm2 /mgの光散乱係数を有することを特徴とする
    請求項1または2に記載の蛍光体。
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