JP4517783B2 - 希土類硼アルミン酸塩蛍光体及びそれを用いた発光装置 - Google Patents
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(1)本発明の第1の蛍光体は、イットリウム、ガドリニウム及びルテチウムから選択される少なくとも1種の元素と、ユーロピウムと、アルミニウムと、ホウ素と、酸素を基本構成元素とする希土類硼アルミン酸塩蛍光体であって、蛍光体中に含まれる希土類元素の全モル数に対するアルミニウムとホウ素との全モル数の比が0.1以上、2以下の範囲であり、アルミニウムとホウ素との全モル数に対するホウ素のモル数の比が0.001以上、0.5以下の範囲であることを特徴とする。
(2)本発明の第2の蛍光体は、下記一般式(1)
(R1-aEua)2O3・n(Al1-mBm)2O3 (1)
(但し、RはY、Gd及びLuから選択される少なくとも1種の元素、0.001≦a≦0.5、0.001≦m≦0.5、0.1≦n≦2)
で表されることを特徴とする希土類硼アルミン酸塩蛍光体である。この第2の蛍光体は上記の第1の蛍光体の好ましい態様である。
(3)本発明の第1及び第2の希土類硼アルミン酸塩蛍光体の中でも、発光スペクトルのピーク波長が少なくとも609〜613nmの範囲にあり、且つ励起スペクトルのピーク波長が少なくとも280nm以下の範囲にある蛍光体を好ましく挙げることができる。励起スペクトルのピーク波長の下限値は100nm程度である。「少なくとも」とは、その波長域外にもピークを有していてよいことを示す。
(4)本発明の第1及び第2の希土類硼アルミン酸塩蛍光体において、平均粒径が1〜5μm程度の範囲であり、中央粒径が3〜10μm程度の範囲であり、且つ分散度が0.4〜0.8程度の範囲である蛍光体を好ましく挙げることができる。このような蛍光体は、真空紫外線励起発光装置、蛍光ランプ、LED発行装置などに好適に使用できる。
(5)本発明の発光装置は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を備えることを特徴とする発光装置である。本発明の発光装置には、真空紫外線励起発光装置、蛍光ランプ、LED発光装置などが含まれる。真空紫外線励起発光装置としては、プラズマディスプレイパネル表示装置、希ガス放電ランプ等の発光デバイスを好ましく挙げることができる。プラズマディスプレイ表示装置としては、DC型やAC型のカラー表示PDPが好ましく、AC型としては対向型、面放電型等が好ましい。蛍光ランプは、表面に蛍光体層を有する透明容器と、該容器に付設された一対の電極と、該容器内に封入された励起源とを備える。蛍光ランプとしては、254nm紫外線が主要励起源である蛍光ランプ、中でも、カラー液晶ディスプレイのバックライトとして用いられている冷陰極ランプが好ましい。LED発光装置は、LED光源と該光源からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体とを備える。LED発光装置としては、窒化物半導体発光素子と蛍光体を組み合わせたLED発光装置が好ましい。
(6)本発明のプラズマディスプレイ表示装置は、所定距離離間して略平行に位置する前面基板及び背面基板と、前記前面基板及び背面基板とともに放電空間を形成する複数個の隔壁と、該隔壁間に形成されるアドレス電極と、該アドレス電極と対向し交差する複数の表示電極と、前記アドレス電極と前記表示電極との交差点に形成される複数個の放電セルと、該放電セル内面の少なくとも一部に形成される蛍光体層と、前記前面基板と背面基板との間の放電空間に密封された放電気体とを備えるプラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ表示装置であって、前記蛍光体層の一部又は全部が上記(1)〜(4)のいずれかに記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を含むことを特徴とする。
蛍光体の製造
ここで、本発明の一実施の形態に係る希土類硼アルミン酸塩蛍光体の製造方法について詳細に説明する。蛍光体原料として、イットリウム、ガドリニウム及びルテチウムから選択される少なくとも1種の元素の化合物と、ユーロピウム化合物と、アルミニウム化合物と、ホウ素化合物を用い、各化合物について、例えば一般式(R1-aEua)2O3・n(Al1-mBm)2O3(但し、RはY、Gd及びLuから選択される少なくとも1種の元素、0.001≦a≦0.5、0.001≦m≦0.5、0.1≦n≦2)の割合になるように秤取し、混合するか、又はこれら蛍光体原料にフラックスを加えて混合し、原料混合物を得る。この原料混合物をルツボに充填後、炉内に入れ、空気中、900〜1500℃程度で1〜20時間程度焼成すればよい。冷却後、焼成品を湿式で分散処理した後、分離乾燥することにより本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体が得られる。
PDP表示装置の作製
次に、本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を用いて真空紫外線励起発光装置として面放電型PDPを作製する。先ず、背面基板にストライプ状の電極を形成し、この電極群に直交する方向にストライプ状の電極を形成し、この上に絶縁膜とMgOを形成し、さらに所定形状の隔壁を形成する。一方、対向基板上には、本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体層を形成する。この2枚の基板は約100μmのギャップを持たせて組み合わせる。このギャップ内の各放電セルに、放電によって真空紫外線を放射するHeとXeとの混合ガスやNeとXeとの混合ガスなどを670hPa程度封入して、面放電型PDPを得る。
冷陰極ランプの作製
本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を用いて、以下のようにして冷陰極ランプを作製する。先ず、蛍光体とピロリン酸カルシウム、カルシウムバリウムボレート等の結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合し懸濁させて蛍光体塗布懸濁液を調製する。得られた蛍光体塗布懸濁液をガラス管の内面に流し込み、その後これに温風を通じることで乾燥させ、ベーキング、排気、フィラメントの装着、口金の取り付けを行い、冷陰極ランプを得る。
LED発光装置の作製
本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を用いて、以下のようにしてLED発光装置を作製する。パッケージ中央の凹部に半導体発光素子を取り付け、発光素子の電極とパッケージの電極とをワイヤーで接続する。半導体発光素子の外周を覆うように、蛍光体を分散させたバインダーを所定の量だけ封入し、蛍光体層を形成する。半導体発光素子から放射される紫外線は、蛍光体層によってより長波長の光に変換され、LED発光装置の発光となる。蛍光体層の調整により、白色を初めとする種々の発光色のLED発光装置が形成される。例えば、本発明の蛍光体のみを用いた場合は赤色発光のLED発光装置が得られ、他の発光色の蛍光体と組み合わせた場合は混色により種々の発光色のLED発光装置が得られる。また、本発明の蛍光体は紫外線励起による発光輝度が高く、耐光性が良いため、直射日光などから長時間耐えることが要求されるLED発光装置に適しているとともに、LED発光装置の光束を向上させることができる。
発光特性
次に、本発明の希土類硼アルミン酸塩蛍光体の特性について図を用いて説明する。
希土類元素の全モル数に対するアルミニウムとホウ素との全モル数の比と相対輝度との関係
図3に、本発明の1実施の形態に係る(Lu0.95Eu0.05)2O3・n(Al0.98B0.02)2O3蛍光体について、254nm紫外線励起による相対輝度(%)とn値との関係を示す。ここで、相対輝度は、浜松ホトニクス(株)の低圧水銀灯を用いて蛍光体に254nm紫外線を照射し、日立分光光度計を用いて測定したものであり、Y2O3:Eu蛍光体の発光輝度を100%にしたときの相対値を示す。
アルミニウムとホウ素との全モル数に対するホウ素のモル数の比率と相対輝度との関係
図4に、本発明の1実施の形態に係る(Lu0.95Eu0.05)2O3・0.5(Al1-mBm)2O3蛍光体について、254nm紫外線励起による相対輝度(%)とm値との関係を示す。ここで、相対輝度は、浜松ホトニクス(株)の低圧水銀灯を用いて蛍光体に254nm紫外線を照射し、日立分光光度計を用いて測定したものであり、Y2O3:Eu蛍光体の発光輝度を100%にしたときの相対値を示す。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
蛍光体原料として、
Lu2O3・・・・・・・・0.2375mol(94.5g)
Al2O3・・・・・・・・0.1225mol(12.5g)
Eu2O3・・・・・・・・0.0125mol(4.4g)
H3BO3・・・・・・・・0.005mol(0.3g)
及びフラックスとしてAlF3を0.5g混合し、アルミナ坩堝に充填し、空気中にて、室温から1400℃まで300℃/hrで昇温し、1400℃で5時間焼成する。得られる焼成品を水中でボールミルし、水洗、分離、乾燥して、篩を通し、平均粒径が3.2μm、中央粒径が6.4μmであり、分散度が0.50である本発明の(Lu0.95 Eu 0.05)2O3・0.5(Al0.98B0.02)2O3蛍光体を得る。
上記蛍光体原料を表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例9〜16]
蛍光体原料として、Lu2O3の代わりにY2O3を使用し、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例17〜19]
蛍光体原料として、Lu2O3の代わりにGd2O3を使用し、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例20]
蛍光体原料として、Y2O3を加えて、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例21]
蛍光体原料として、Gd2O3を加えて、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例22]
蛍光体原料として、Lu2O3の代わりにY2O3及びGd2O3を使用し、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
[実施例23]
蛍光体原料として、Y2O3及びGd2O3を加えて、表1に示した蛍光体組成の割合で混合する以外は実施例1と同様にして蛍光体を作製する。
発光輝度・色度座標値
実施例1〜23で得られる希土類硼アルミン酸塩蛍光体について、254nm紫外線で励起したときの発光輝度と色度座標値(x,y)を測定する。
Claims (8)
- 下記の一般式(1)
(R 1−a Eu a ) 2 O 3 ・n(Al 1−m B m ) 2 O 3 (1)
(但し、RはY、Gd及びLuから選択される少なくとも1種の元素、0.001≦a≦0.5、0.001≦m≦0.5、0.1≦n≦1.5)
で表される希土類硼アルミン酸塩蛍光体。 - 発光スペクトルのピーク波長が少なくとも609〜613nmの範囲にあり、且つ励起スペクトルのピーク波長が少なくとも280nm以下の範囲にある請求項1に記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体。
- 平均粒径が1〜5μmの範囲であり、中央粒径が3〜10μmの範囲であり、且つ分散度が0.4〜0.8の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体。
- 蛍光体として、請求項1〜3のいずれかに記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
- 前記発光装置が真空紫外線励起発光装置である請求項4に記載の発光装置。
- 前記発光装置が、表面に蛍光体層を有する透明容器と、該容器に付設された一対の電極と、該容器内に封入された励起源とを備える蛍光ランプである請求項4に記載の発光装置。
- 前記発光装置が、LED光源と該光源からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体とを備えるLED発光装置である請求項4に記載の発光装置。
- 所定距離離間して略平行に位置する前面基板及び背面基板と、前記前面基板及び背面基板とともに放電空間を形成する複数個の隔壁と、該隔壁間に形成されるアドレス電極と、該アドレス電極と対向し交差する複数の表示電極と、前記アドレス電極と前記表示電極の交差点に形成される複数個の放電セルと、該放電セル内面の少なくとも一部に形成される蛍光体層と、前記前面基板と背面基板間の放電空間に密封されてなる放電気体とを含むプラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ表示装置であって、前記蛍光体層の一部又は全部が請求項1〜3のいずれかに記載の希土類硼アルミン酸塩蛍光体を含む層であることを特徴とするプラズマディスプレイ表示装置。
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